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婦人補導院法

昭和33年法律第17号
最終改正:昭和47年7月1日法律第111号
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(婦人補導院)

第1条 婦人補導院は、売春防止法(昭和31年法律第118号)第17条の規定により補導処分に付された者を収容して、これを更生させるために必要な補導を行う施設とする。

 婦人補導院は、国立とする。


(補導)

第2条 婦人補導院で行う補導は、規律ある生活のもとで、在院者を社会生活に適応させるために必要な生活指導及び職業の補導を行い、並びにその更生の妨げとなる心身の障害に対する医療を行うものとする。

 在院者に対する生活指導は、相談、助言その他の方法により、婦人の自由と尊厳とを自覚させ、家事その他の基礎的教養を授け、その情操を豊かにさせるとともに、在院者が勤労の精神を身につけ、その他自主自立の精神を体得するように、これを指導するものとする。

 補導は、在院者の個性、心身の状況、家庭その他の環境等を考慮して、その者に最もふさわしい方法で行わなければならない。


(分類処遇)

第3条 在院者の処遇は、本人の性格、医療の要否その他法務省令で定める基準により、在院者を適当な級に分類して行うものとする。


(賞与金)

第4条 職業の補導を受けた者に対しては、法務省令の定めるところにより、賞与金を与えることができる。


(自己労作)

第5条 婦人補導院の長は、在院者が自己の収支において労作をすることを願い出たときは、これを行わせることができる。


(給養)

第6条 在院者には、婦人にふさわしい一定の被服及び寝具を貸与し、並びに糧食及び飲料を給与する。

 婦人補導院の長は、婦人補導院の規律上及び衛生上支障がないと認めるときは、被服、寝具、糧食又は飲料の自弁を許すことができる。


(健康診断)

第7条 婦人補導院の長は、婦人補導院の医師に、入院時及びその後少くとも1箇月に一回、在院者の健康診断を行わせるものとする。

 前項の健康診断にあたつては、婦人補導院の医師は、その診断に必要な限度において、採血その他の医学的処置をとることができる。


(面会及び通信)

第8条 婦人補導院の長は、在院者の更生が妨げられ、又は婦人補導院の保安上支障が生ずると認めるときは、在院者の面会について、これを制限し、又は禁止し、及び通信について、その更生の妨げとなり、又は保安上の支障となる箇所を削除することができる。

 婦人補導院の長は、在院者の発受する通信によつてその更生が妨げられ、又は婦人補導院の保安上支障が生ずるおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある場合でなければ、当該通信の内容を検査してはならない。


(臨時外出)

第9条 婦人補導院の長は、在院者に特別な理由がある場合において、補導上支障がないときは、在院者を臨時に外出させることができる。


(賞)

第10条 婦人補導院の長は、在院者が善行をし、その補導の成績を著しく向上し、又は一定の技能を修得した場合には、法務省令の定めるところにより、賞を与えることができる。


(懲戒)

第11条 婦人補導院の長は、在院者が婦人補導院において遵守すべき事項に違反したときは、次の各号に掲げる懲戒を行うことができる。

 厳重な訓戒をすること。

 10日をこえない期間謹慎室で反省させること。

 前項第2号の懲戒は、情状により、その執行を猶予し、停止し、又は免除することができる。


(手当金)

第12条 在院者が職業の補導を受けるに際して、負傷し、又は疾病にかかつた場合において、これによつて死亡したとき、身体に障害が残つたとき、又は退院時若しくは仮退院時までになおらないときは、法務省令の定めるところにより、手当金を与えることができる。

 前項の手当金のうち、死亡の場合の手当金は、本人の遺族に支給し、その他の場合の手当金は、退院又は仮退院の際本人に支給する。


(領置)

第13条 婦人補導院の長は、在院者が所持し、又は在院者にあてて送付された金銭、被服その他の物を領置して、これを安全に保管しなければならない。ただし、保存の価値のない物又は保管に適しない物は、この限りでない。

 前項ただし書に規定する物について、在院者が相当の処分をしないときは、これを売却してその代金を領置し、又は廃棄することができる。


(学校等の援助)

第14条 婦人補導院の長は、その婦人補導院の所在地を管轄する矯正管区の長の承認を経て、学校、病院、事業所、宗教団体、婦人団体又は学識経験のある者に委嘱して、在院者に対する補導に関する援助を求めることができる。

 前項の場合において、婦人補導院の長は、在院者を事業所等にかよわせ、その他婦人補導院外で職業の補導を行うことができる。

 婦人補導院の長は、矯正職員、警察官その他の公務員に対し、必要な援助を求めることができる。


(保護具)

第15条 在院者が暴行又は自殺をするおそれがある場合において、これを防止するためやむを得ないときは、法務省令の定めるところにより、保護具を使用することができる。

 保護具の使用は、婦人補導院の長の許可を受けなければ行つてはならない。ただし、緊急を要する状態にあつて、その許可を受けるいとまのないときは、この限りでない。

 保護具は、被使用者の両手を腰部に抑止する構造のものとし、その製式は、法務省令で定める。


(連戻し)

第16条 在院者が逃走したときは、婦人補導院の職員は、逃走後48時間内に限り、これを連れ戻すことができる。婦人補導院の職員による連戻しが困難である場合において、婦人補導院の長から連戻しについて援助を求められた警察官も、同様とする。

 在院者の逃走後48時間を経過したときは、検察官は、連戻収容状を発することができる。

 前項の連戻収容状については、売春防止法第22条第3項から第5項まで及び第27条第5項の規定を準用する。この場合において、同法第27条第5項中「仮退院を取り消された者」とあるのは、「婦人補導院から逃走した者」と読み替えるものとする。


(子の保育)

第17条 婦人補導院の長は、在院者の子で1歳に満たないものについて、やむを得ない理由があるときは、これを適当な保護者又は児童福祉施設に引き渡すまでの間、婦人補導院内で保育させることができる。

 前項の子は、特に必要があると認めるときは、満1歳に至つた後も、その者に保育させることができる。


(旅費及び衣類の給与)

第18条 婦人補導院から退院し、又は仮退院する者が帰住旅費又は相当の衣類を持たないときは、予算の範囲内において、これに旅費又は衣類を給与することができる。


(死亡者等の遺留金品)

第19条 婦人補導院の長は、在院中に死亡した者の遺留金品について、その者の遺族から請求があつたときは、請求者にこれを交付するものとする。

 前項の遺留金品は、死亡の日から1年以内に同項の請求がないときは、国庫に帰属する。

 婦人補導院に収容中に逃走した者の遺留金品は、逃走の日から1年以内に本人の居所が分明しないときは、国庫に帰属する。


(実地監査)

第20条 法務大臣は、少くとも1年に一回、その職員を指定して、婦人補導院の実地監査を行わせなければならない。


(処遇に関する事項)

第21条 この法律で定めるもののほか、在院者の処遇に関し必要な事項は、法務省令で定める。

 婦人補導院の長は、在院者の処遇に関する細則を定めることができる。

附 則
(施行期日)

 この法律は、昭和33年4月1日から施行する。

附 則(昭和47年7月1日法律第111号)
(施行期日)

 この法律は、公布の日から施行する。

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売春防止法