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税制改革法

昭和63年法律第107号
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第1章 総則

(目的)

第1条 この法律は、昭和63年6月15日に行われた税制調査会の答申の趣旨にのつとつて行われる税制の抜本的な改革(以下「今次の税制改革」という。)の趣旨、基本理念及び方針を明らかにし、かつ、簡潔にその全体像を示すことにより、今次の税制改革についての国民の理解を深めるとともに、今次の税制改革が、整合性をもつて、包括的かつ一体的に行われることに資するほか、今次の税制改革が我が国の経済社会に及ぼす影響にかんがみ、国等の配慮すべき事項について定めることを目的とする。


(今次の税制改革の趣旨)

第2条 今次の税制改革は、現行の税制が、産業構造及び就業構造の変化、所得の水準の上昇及び平準化、消費の多様化及び消費におけるサービスの比重の増加、経済取引の国際化等を反映して著しく変化してきた現在の経済社会との間に不整合を生じている事態に対処して、将来の展望を踏まえつつ、国民の租税に対する不公平感を払しよくするとともに、所得、消費、資産等に対する課税を適切に組み合わせることにより均衡がとれた税体系を構築することが、国民生活及び国民経済の安定及び向上を図る上で緊要な課題であることにかんがみ、これに即応した税制を確立するために行われるものとする。


(今次の税制改革の基本理念)

第3条 今次の税制改革は、租税は国民が社会共通の費用を広く公平に分かち合うためのものであるという基本的認識の下に、税負担の公平を確保し、税制の経済に対する中立性を保持し、及び税制の簡素化を図ることを基本原則として行われるものとする。


(今次の税制改革の方針)

第4条 今次の税制改革は、所得課税において税負担の公平の確保を図るための措置を講ずるとともに、税体系全体として税負担の公平に資するため、所得課税を軽減し、消費に広く薄く負担を求め、資産に対する負担を適正化すること等により、国民が公平感をもつて納税し得る税体系の構築を目指して行われるものとする。

 今次の税制改革は、全体として税負担の軽減を図るとともに、国及び地方公共団体の財政運営に基本的に影響を与えることのないよう配慮して行われるものとする。


(今次の税制改革に際しての国及び地方公共団体の責務)

第5条 国及び地方公共団体は、今次の税制改革の趣旨及び方針にかんがみ、福祉の充実に配慮しなければならない。

 国及び地方公共団体は、今次の税制改革に際し、行政及び財政の改革の一層の推進に努めなければならない。

 国及び地方公共団体は、国民に今次の税制改革の趣旨及び内容の周知徹底を図り、その理解と協力を得るように努める等今次の税制改革の円滑な推進に資するための環境の整備に配慮しなければならない。

第2章 国税及び地方税に関する改革等

第1節 改革の実施

第6条 今次の税制改革の趣旨、基本理念及び方針に従い、国税及び地方税並びに国と地方公共団体との間の財源の配分について、別に所得税法等の一部を改正する法律(昭和63年法律第109号)その他の法律で定めるところにより、この章に定める措置を中心とする改革を行うものとする。

第2節 国税に関する改革

(所得税の負担の軽減及び合理化等)

第7条 次の措置を講ずることにより所得税の負担の軽減及び合理化を図る。

 中堅所得者を中心として、税負担の累増感の解消を図り、所得税の負担を軽減するため、最低税率を百分の十とし、その適用範囲を大幅に拡大する等税率の累進度を緩和するとともに、簡素な税率構造とすること。

 税体系全体を通ずる低所得者及び中堅所得者の税負担等に配慮し、基礎控除、配偶者控除及び扶養控除を引き上げるとともに、配偶者特別控除を大幅に引き上げること。

 所得税の負担の公平の確保を図るため、株式等の譲渡による所得について他の所得と分離して所得税を課する制度を設けるとともに、社会保険診療報酬の所得計算の特例制度についてその縮減を行う。


(法人税の負担の軽減及び合理化等)

第8条 国際的視点に立つた法人税制の確立を目指し、法人税の基本税率を引き下げ、配当等に充てた所得に対する軽減税率を廃止するとともに、受取配当等の益金不算入制度についてその縮減を図ることにより、法人税の負担の軽減及び合理化を図る。

 法人税の負担の公平の確保等を図るため、法人が新たに取得した土地等に係る負債の利子について損金算入を繰り延べる措置を講ずる。


(相続税及び贈与税の負担の軽減及び合理化等)

第9条 次の措置を講ずることにより相続税の負担の軽減及び合理化を図る。

 健全な資産の形成と国民生活の安定等に配慮し、遺産に係る基礎控除等を二倍に引き上げるとともに、税率区分の幅を拡大するほか、最高税率を引き下げること。

 配偶者の生活の安定に資するため、配偶者が相続により取得した財産について非課税とする範囲を拡大すること。

 相続税の負担の公平の確保を図るため、遺産に係る基礎控除等の算定の基礎となる相続人の数に含まれる養子の数を制限する措置を講ずる。

 相続税の改正との関連において、贈与税の税率区分の幅を拡大する等の措置を講ずる。


(消費税の創設)

第10条 現行の個別間接税制度が直面している諸問題を根本的に解決し、税体系全体を通ずる税負担の公平を図るとともに、国民福祉の充実等に必要な歳入構造の安定化に資するため、消費に広く薄く負担を求める消費税を創設する。

 消費税は、事業者による商品の販売、役務の提供等の各段階において課税し、経済に対する中立性を確保するため、課税の累積を排除する方式によるものとし、その税率は、百分の三とする。この場合において、その仕組みについては、我が国における取引慣行及び納税者の事務負担に極力配慮したものとする。

 消費税の創設に伴い、砂糖消費税、物品税、トランプ類税、入場税及び通行税を廃止する。


(消費税の円滑かつ適正な転嫁)

第11条 事業者は、消費に広く薄く負担を求めるという消費税の性格にかんがみ、消費税を円滑かつ適正に転嫁するものとする。その際、事業者は、必要と認めるときは、取引の相手方である他の事業者又は消費者にその取引に課せられる消費税の額が明らかとなる措置を講ずるものとする。

 国は、消費税の円滑かつ適正な転嫁に寄与するため、前項の規定を踏まえ、消費税の仕組み等の周知徹底を図る等必要な施策を講ずるものとする。


(酒税等に関する改正)

第12条 近年における酒類の消費態様の変化及び酒税の国際的な調和並びに消費税の創設を考慮し、従価税率及び級別制度の廃止等を行い、各種酒類間の税負担格差の縮小を図るとともに、消費税との負担の調整を行う。

 たばこ消費税及び石油税について課税方式を従量税方式に改める等の改正を行い、取引所税、有価証券取引税及び印紙税について一部の税率の引下げ等の措置を講ずる。

第3節 地方税に関する改革等

(個人住民税の負担の軽減及び合理化等)

第13条 次の措置を講ずることにより個人の道府県民税及び市町村民税(以下「個人住民税」という。)の負担の軽減及び合理化を図る。

 中堅所得者を中心として、税負担の累増感の解消を図り、個人住民税の負担を軽減するため、最低税率の適用範囲を拡大する等税率の累進度を緩和するとともに、簡素な税率構造とすること。

 税体系全体を通ずる低所得者及び中堅所得者の税負担等に配慮し、基礎控除、配偶者控除及び扶養控除を引き上げるとともに、配偶者特別控除を大幅に引き上げること。

 個人住民税の負担の公平の確保を図るため、株式等の譲渡による所得について所得税における課税の仕組みを踏まえつつ個人住民税を課する制度を設ける。


(消費税の創設に伴う地方税に関する改正)

第14条 消費税の創設に伴い、娯楽施設利用税及び料理飲食等消費税について税率を引き下げる等の改正を行うとともに、道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税について課税方式を従量税方式に改める等の改正を行うほか、不動産取得税について負担の軽減措置を講ずる。

 消費税の創設に伴い、電気税、ガス税及び木材引取税を廃止する。


(消費譲与税の創設)

第15条 消費税の創設に伴い、地方公共団体の財源の安定的な確保に資するため、消費税の収入額のうち一定割合の額を地方公共団体に譲与する消費譲与税を創設する。


(地方交付税の対象税目の追加)

第16条 消費税を地方交付税の対象税目に加える。

第4節 実施の時期等

第17条 今次の税制改革は、その趣旨、基本理念及び方針からみて、整合性をもつて、包括的かつ一体的に行われるものであることにかんがみ、その実施の時期は、各税の改革等の内容及び事前手続に要する期間並びに各税の有する性質に応じて、国税に係るものについてはこの法律の施行の日及びその翌日、昭和64年1月1日並びに同年4月1日とし、地方税等に係るものについては同日及び昭和65年4月1日として、別に法律で適切に定めるものとする。この場合において、相続税及び贈与税の負担の軽減及び合理化に係る改正については、昭和63年1月1日にさかのぼつて適用することとする。

 国税当局においては、昭和64年9月30日までは、消費税になじみの薄い我が国の現状を踏まえ、その執行に当たり、広報、相談及び指導を中心として弾力的運営を行うものとする。

 消費税の中小事業者の事務負担等に配慮した諸措置については、納税者の事務負担、消費税の円滑かつ適正な転嫁の実現の状況、納税者の税負担の公平の確保の必要性等を踏まえ、消費税の仕組みの定着状況等を勘案しつつ、その見直しを行うものとする。

附 則

この法律は、公布の日から施行する。

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