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美術品の美術館における公開の促進に関する法律

平成10年法律第99号
最終改正:平成12年5月31日法律第91号
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(目的)

第1条 この法律は、美術品について登録制度を実施し、登録美術品の美術館における公開を促進することによって、国民の美術品を鑑賞する機会の拡大を図り、もって文化の発展に寄与することを目的とする。


(定義)

第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 美術品 絵画、彫刻、工芸品その他の有形の文化的所産である動産をいう。

 美術館 博物館法(昭和26年法律第285号)第2条第1項に規定する博物館又は同法第29条の規定により博物館に相当する施設として指定された施設のうち、美術品の公開及び保管を行うものをいう。

 登録美術品 次条第1項の登録を受けた美術品をいう。

 登録美術品公開契約 登録美術品の所有者が美術館の設置者に対して登録美術品を引き渡すことを約し、美術館の設置者が美術館において当該登録美術品を公開することを約する契約であって、次の要件を満たすものをいう。

 5年以上の期間にわたって有効であること。

 当事者が解約の申入れをすることができない旨の定めがあること。

 公開 公衆の観覧に供することをいう。


(美術品の登録)

第3条 美術品の所有者は、その美術品について文化庁長官の登録を受けることができる。

 文化庁長官は、前項の登録の申請があった場合において、当該申請に係る美術品が次の各号のいずれかに該当するものであり、かつ、当該美術品に係る登録美術品公開契約が確実に締結される見込みがあると認めるときは、登録をしなければならない。

 文化財保護法(昭和25年法律第214号)第27条第1項の規定により重要文化財に指定されたものであること。

 前号に掲げるもののほか、世界文化の見地から歴史上、芸術上又は学術上特に優れた価値を有するものであること。

 文化庁長官は、前項の規定により登録をしたときは、遅滞なく、その旨を申請者に通知しなければならない。

 前三項に規定するもののほか、登録の申請その他登録に関し必要な事項は、文部科学省令で定める。


(契約美術館の設置者の義務)

第4条 登録美術品公開契約を締結した美術館の設置者(以下「契約美術館の設置者」という。)は、登録美術品を積極的に公開し、かつ、善良な管理者の注意をもってその保管を行わなければならない。


(承継)

第5条 登録美術品の所有者について相続、合併又は分割(登録美術品を承継させるものに限る。)があったときは、相続人、合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人又は分割により登録美術品を承継した法人は、その登録美術品の所有者の地位を承継する。

 前項の規定により登録美術品の所有者の地位を承継した者は、遅滞なく、その旨を文化庁長官に届け出なければならない。


(登録の取消し)

第6条 文化庁長官は、次の各号のいずれかに該当するとき又は登録美術品の所有者から第3条第1項の登録の取消しの申請があったときは、登録美術品についてその登録を取り消さなければならない。

 登録美術品が第3条第2項各号のいずれかに該当しなくなったと認められるとき。

 登録美術品の所有者が、第3条第3項の規定による通知を受けた日から3月以内に、当該登録美術品について美術館の設置者との間で登録美術品公開契約を締結せず、又は当該登録美術品に係る契約美術館の設置者に当該登録美術品を引き渡さないとき。

 登録美術品が美術館において公開されていないと認められるとき。

 登録美術品公開契約が終了したとき(その終了に際し、登録美術品の所有者が、当該登録美術品について、美術館の設置者との間で登録美術品公開契約を締結し、かつ、当該登録美術品を当該美術館の設置者に引き渡したときを除く。)

 登録美術品の所有者が不正の手段により第3条第1項の登録を受けたとき。

 文化庁長官は、前項の規定により登録を取り消したときは、遅滞なく、その旨を登録美術品の所有者及び契約美術館の設置者に通知しなければならない。


(登録美術品の所有者の報告)

第7条 登録美術品の所有者は、次の各号のいずれかに該当するときは、文部科学省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を文化庁長官に報告しなければならない。

 登録美術品(第3条第2項第1号に該当するものを除く。)を契約美術館の設置者に引き渡す前に、当該登録美術品の全部若しくは一部が滅失し、若しくはき損し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたとき。

 登録美術品公開契約を締結したとき。


(契約美術館の設置者の報告等)

第8条 契約美術館の設置者は、次の各号のいずれかに該当するときは、文部科学省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を文化庁長官に報告しなければならない。

 登録美術品の引渡しを受けたとき。

 登録美術品の引渡しを受けた後に、当該登録美術品の全部若しくは一部が滅失し、若しくはき損し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたとき。

 登録美術品公開契約の内容を変更したとき。

 登録美術品公開契約が終了したとき。

 契約美術館の設置者は、文部科学省令で定めるところにより、毎年度、登録美術品の公開及び保管の計画を作成し、文化庁長官に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。

 契約美術館の設置者は、文部科学省令で定めるところにより、毎年度、登録美術品の公開及び保管の状況を文化庁長官に報告しなければならない。


(美術館の設置者のあっせん)

第9条 文化庁長官は、必要があると認めるときは、登録美術品公開契約が締結されるよう、登録美術品の所有者に対し、美術館の設置者のあっせんに努めなければならない。


(情報の提供等)

第10条 文化庁長官は、国民の登録美術品を鑑賞する機会の拡大を図るため、登録美術品の所在に関する情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。


(登録美術品の公開等に関する指導等)

第11条 文化庁長官は、契約美術館の設置者に対し、登録美術品の公開又は保管に関し必要な指導又は助言を行うことができる。


(国が所有権を取得した登録美術品の公開)

第12条 国は、登録美術品の所有権を取得したときは、当該美術品を美術館において積極的に公開するよう努めるものとする。


(文化財保護法の特例)

第13条 第8条第2項の規定により届け出た公開及び保管の計画(同項後段の規定による変更の届出があったときは、その変更後のもの。次項において同じ。)に従って契約美術館の設置者が行う登録美術品(第3条第2項第1号に該当するものに限る。次項において同じ。)の公開に関する文化財保護法の規定の適用については、当該計画又はその変更の届出があったことをもって、同法第53条第1項本文の許可があったものとみなす。この場合において、同条第3項中「第1項の許可を与える場合において、その許可の条件として、許可に」とあるのは「契約美術館の設置者(美術品の美術館における公開の促進に関する法律(平成10年法律第99号)第4条に規定する契約美術館の設置者をいう。次項において同じ。)が同法第8条第2項の規定による登録美術品の公開及び保管の計画の届出(同項後段の規定による計画の変更の届出を含む。)をした場合において、当該届出に」と、同条第4項中「第1項の許可を受けた者が前項の許可の条件に」とあるのは「契約美術館の設置者が前項の指示に」と、「許可に係る公開の停止を命じ、又は許可を取り消すこと」とあるのは「公開の停止を命ずること」とする。

 契約美術館が文化財保護法第53条第1項ただし書に規定する公開承認施設である場合において、第8条第2項の規定により届け出た公開及び保管の計画に従って当該契約美術館の設置者が当該契約美術館において行う登録美術品の公開については、同法第53条第2項の規定は適用しない。

附 則
(施行期日)

 この法律は、公布の日から起算して6月を経過した日から施行する。

(検討)

 政府は、この法律の施行後5年を経過した場合において、この法律の施行の状況、美術品を取り巻く状況の変化等を勘案し、美術品の登録に係る制度について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

附 則(平成11年12月22日法律第160号)
(施行期日)

第1条 この法律(第2条及び第3条を除く。)は、平成13年1月6日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 第995条(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律附則の改正規定に係る部分に限る。)、第1305条、第1306条、第1324条第2項、第1326条第2項及び第1344条の規定 公布の日

附 則(平成12年5月31日法律第91号)
(施行期日)

 この法律は、商法等の一部を改正する法律(平成12年法律第90号)の施行の日から施行する。