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環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律

平成16年法律第77号
最終改正:平成17年7月26日法律第87号
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第1章 総則

(目的)

第1条 この法律は、環境を保全しつつ健全な経済の発展を図る上で事業活動に係る環境の保全に関する活動とその評価が適切に行われることが重要であることにかんがみ、事業活動に係る環境配慮等の状況に関する情報の提供及び利用等に関し、国等の責務を明らかにするとともに、特定事業者による環境報告書の作成及び公表に関する措置等を講ずることにより、事業活動に係る環境の保全についての配慮が適切になされることを確保し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。


(定義)

第2条 この法律において「環境配慮等の状況」とは、環境への負荷(環境基本法(平成5年法律第91号)第2条第1項に規定する環境への負荷をいう。以下同じ。)を低減することその他の環境の保全に関する活動及び環境への負荷を生じさせ、又は生じさせる原因となる活動の状況をいう。

 この法律において「環境情報」とは、事業活動に係る環境配慮等の状況に関する情報及び製品その他の物又は役務(以下「製品等」という。)に係る環境への負荷の低減に関する情報をいう。

 この法律において「環境に配慮した事業活動」とは、環境への負荷を低減すること、良好な環境を創出することその他の環境の保全に関する活動が自主的に行われる事業活動をいう。

 この法律において「環境報告書」とは、いかなる名称であるかを問わず、特定事業者(特別の法律によって設立された法人であって、その事業の運営のために必要な経費に関する国の交付金又は補助金の交付の状況その他からみたその事業の国の事務又は事業との関連性の程度、協同組織であるかどうかその他のその組織の態様、その事業活動に伴う環境への負荷の程度、その事業活動の規模その他の事情を勘案して政令で定めるものをいう。以下同じ。)その他の事業者が一の事業年度又は営業年度におけるその事業活動に係る環境配慮等の状況(その事業活動に伴う環境への負荷の程度を示す数値を含む。)を記載した文書(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。)をいう。


(国及び地方公共団体の責務)

第3条 国は、自らの環境配慮等の状況を公表するとともに、事業者による環境情報の提供の促進、事業者又は国民による環境情報の利用の促進その他の環境に配慮した事業活動の促進のための施策を推進するものとする。

 地方公共団体は、自らの環境配慮等の状況を公表するように努めるとともに、その区域の自然的社会的条件に応じた環境に配慮した事業活動の促進のための施策を推進するように努めるものとする。

 国及び地方公共団体は、環境に配慮した事業活動の促進のための施策を推進するに当たっては、中小企業者の事務負担その他の事情に配慮をしつつ、これを行うものとする。


(事業者の責務)

第4条 事業者は、その事業活動に関し、環境情報の提供を行うように努めるとともに、他の事業者に対し、投資その他の行為をするに当たっては、当該他の事業者の環境情報を勘案してこれを行うように努めるものとする。


(国民の責務)

第5条 国民は、投資その他の行為をするに当たっては、環境情報を勘案してこれを行うように努めるものとする。

第2章 国等による環境配慮等の状況の公表

(国による環境配慮等の状況の公表)

第6条 各省各庁の長(財政法(昭和22年法律第34号)第20条第2項に規定する各省各庁の長をいう。)は、毎年度、当該年度の前年度におけるその所掌事務に係る環境配慮等の状況(その事務及び事業の実施による環境への負荷の程度を示す数値を含む。次条において同じ。)をインターネットの利用その他の方法により公表するものとする。


(地方公共団体による環境配慮等の状況の公表)

第7条 地方公共団体の長は、毎年度、当該年度の前年度におけるその所掌事務に係る環境配慮等の状況をインターネットの利用その他の方法により公表するように努めるものとする。

第3章 事業活動に係る環境配慮等の状況の公表

(環境報告書の記載事項等)

第8条 主務大臣は、事業活動に係る環境配慮等の状況の公表に係る慣行その他の事情を勘案して、環境報告書に記載し、又は記録すべき事項及びその記載又は記録の方法(以下「記載事項等」という。)を定めなければならない。

 主務大臣は、前項の規定により記載事項等を定めようとするときは、あらかじめ、定めるべき記載事項等の案について、事業者、学識経験のある者又はこれらの者の組織する協議会その他の団体の意見を聴かなければならない。

 主務大臣は、第1項の規定により記載事項等を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

 前三項の規定は、記載事項等の変更について準用する。


(環境報告書の公表等)

第9条 特定事業者は、主務省令で定めるところにより、毎事業年度、環境報告書を作成し、これを公表しなければならない。

 特定事業者は、前項の規定により環境報告書を公表するときは、記載事項等に従ってこれを作成するように努めるほか、自ら環境報告書が記載事項等に従って作成されているかどうかについての評価を行うこと、他の者が行う環境報告書の審査(特定事業者の環境報告書が記載事項等に従って作成されているかどうかについての審査をいう。以下同じ。)を受けることその他の措置を講ずることにより、環境報告書の信頼性を高めるように努めるものとする。


第10条 環境報告書の審査を行う者は、独立した立場において環境報告書の審査を行うように努めるとともに、環境報告書の審査の公正かつ的確な実施を確保するために必要な体制の整備及び環境報告書の審査に従事する者の資質の向上を図るように努めるものとする。


第11条 大企業者(中小企業者以外の事業者をいい、特定事業者を除く。)は、環境報告書の公表その他のその事業活動に係る環境配慮等の状況の公表を行うように努めるとともに、その公表を行うときは、記載事項等に留意して環境報告書を作成することその他の措置を講ずることにより、環境報告書その他の環境配慮等の状況に関する情報の信頼性を高めるように努めるものとする。

 国は、中小企業者がその事業活動に係る環境配慮等の状況の公表を容易に行うことができるようにするため、その公表の方法に関する情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

第4章 製品等に係る環境への負荷の低減に関する情報の提供

第12条 事業者は、その製品等が環境への負荷の低減に資するものである旨その他のその製品等に係る環境への負荷の低減に関する情報の提供を行うように努めるものとする。

第5章 環境情報の利用の促進

第13条 国は、環境報告書を収集し、整理し、及び閲覧させる業務を行う者に関する情報の提供その他の環境報告書の利用の促進に必要な措置を講ずるものとする。

 国は、前項に定めるもののほか、事業者又は国民が投資、製品等の利用その他の行為をするに当たって環境情報を利用することを促進するため、技術的な助言その他の必要な措置を講ずるものとする。

第6章 雑則

(主務大臣等)

第14条 この法律における主務大臣は、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣、経済産業大臣、国土交通大臣、環境大臣及び特定事業者を所管する大臣とする。

 この法律における主務省令は、主務大臣の発する命令とする。


(経過措置)

第15条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

第7章 罰則

第16条 第9条第1項の規定による公表をせず、又は虚偽の公表をした特定事業者の役員は、20万円以下の過料に処する。

附 則
(施行期日)

第1条 この法律は、平成17年4月1日から施行する。


(公表に関する経過措置)

第2条 第6条の規定は、平成17年度以後の年度に係る環境配慮等の状況について適用する。


第3条 第9条の規定は、この法律の施行の日以後に開始する事業年度又は営業年度に係る環境報告書について適用する。


(検討)

第4条 政府は、この法律の施行後3年を経過した場合において、環境報告書の公表の状況その他のこの法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

附 則(平成17年7月26日法律第87号)

この法律は、会社法の施行の日から施行する。