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万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律

昭和31年法律第86号
最終改正:平成12年5月8日法律第56号
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(目的)

第1条 この法律は、万国著作権条約の実施に伴い、著作権法(昭和45年法律第48号)の特例を定めることを目的とする。


(定義)

第2条 この法律において「万国条約」とは、万国著作権条約をいう。

 この法律において「発行」とは、万国条約第6条に規定する発行をいう。

 この法律において「翻訳権」とは、万国条約第5条に規定する翻訳権をいう。


(著作物の保護期間の特例)

第3条 万国条約の締約国の国民の発行されていない著作物又は万国条約の締約国で最初に発行された著作物で、万国条約第2条の規定に基いて著作権法による保護を受けているものが、その締約国の法令により保護期間の満了によつて保護を受けなくなつたときは、その著作物の保護期間は、著作権法の規定にかかわらず、その締約国の法令による保護期間の満了の日までとする。

 万国条約の締約国の国民の発行されていない著作物又は万国条約の締約国で最初に発行された著作物で、その締約国の法令により保護を受ける著作物の種類に属しないものは、万国条約第2条の規定に基く著作権法による保護を受けないものとする。


第4条 万国条約の締約国の国民の著作物で非締約国で最初に発行されたものは、前条の規定の適用については、その締約国で最初に発行されたものとみなす。

 二以上の万国条約の締約国で同時に発行された著作物は、前条の規定の適用については、最も短い保護期間を許与する締約国で最初に発行されたものとみなす。最初の発行の日から30日以内に二以上の締約国で発行された著作物は、これらの締約国で同時に発行されたものとみなす。


(翻訳権に関する特例)

第5条 万国条約に基いて著作権法による保護を受けている文書の最初の発行の日の属する年の翌年から起算して7年を経過した時までに、翻訳権を有する者又はその者の許諾を得た者により、日本語で、その文書の翻訳物が発行されず、又は発行されたが絶版になつている場合において、次の各号の一に該当するときは、日本国民は、政令の定めるところにより、文化庁長官の許可を受けて、日本語でその文書の翻訳物を発行することができる。ただし、その発行前に、政令の定めるところにより、文化庁長官の認可を受けた公正なかつ国際慣行に合致した補償額の全部又は一部を、翻訳権を有する者に支払い、又はその者のために供託しなければならない。

 翻訳権を有する者に対し翻訳し、かつ、その翻訳物を発行することの許諾を求めたが拒否されたとき。

 相当な努力を払つたが翻訳権を有する者と連絡することができなかつたとき。

 前項第2号の場合においては、同項の許可を申請した者は、原著作物に発行者の氏名が掲げられているときはその発行者に対し、及び翻訳権を有する者の国籍が判明しているときはその翻訳権を有する者が国籍を有する国の外交代表若しくは領事代表又はその国の政府が指定する機関に対して、申請書の写を送付し、かつ、これを送付した旨を文化庁長官に届け出なければならない。

 文化庁長官は、前項の規定による申請書の写の発送の日から2箇月の期間が経過するまでは、第1項の許可をすることができない。

 文化庁長官は、第1項ただし書の認可をするには、文化審議会に諮問しなければならない。


第6条 前条第1項の許可を受けた者は、その許可に係る翻訳物を発行する権利を譲渡することができない。


第7条 第5条第1項の許可に係る翻訳物には、政令の定めるところにより、原著作物の題号、原著作者の氏名及びその他の事項を掲げなければならない。


第8条 第5条第1項の許可に係る翻訳物は、政令で定める万国条約の締約国以外の国へは、輸出することができない。


(無国籍者及び亡命者)

第9条 無国籍者及び亡命者の著作物に対する万国著作権条約の適用に関する同条約の第一附属議定書の締約国に常時居住する無国籍者及び亡命者は、第3条から第5条までの規定の適用については、その締約国の国民とみなす。


(ベルヌ条約等の保護を受ける著作物)

第10条 この法律は、文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約により創設された国際同盟の加盟国、著作権に関する世界知的所有権機関条約の締約国又は世界貿易機関の加盟国の一をそれぞれ文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約、著作権に関する世界知的所有権機関条約又は世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の規定に基づいて本国とする著作物については、適用しない。ただし、当該著作物となる前に第5条第1項の許可を受けた者及び当該許可に係る翻訳物に対する同条から第8条までの規定の適用については、この限りでない。


(日本国との平和条約第12条の保護を受けている著作物)

第11条 日本国との平和条約第25条に規定する連合国でこの法律の施行の際万国条約の締約国であるもの及びその国民は、この法律の施行の際日本国との平和条約第12条の規定に基く旧著作権法(明治32年法律第39号)による保護を受けている著作物については、この法律の施行後も引き続き、その保護(著作権法の施行の際当該保護を受けている著作物については、同法による保護)と同一の保護を受けるものとする。


(政令への委任)

第12条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。

附 則
(施行期日)

 この法律は、万国条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。

(経過規定)

 この法律(第11条を除く。)は、発行されていない著作物でこの法律の施行前に著作されたもの及び発行された著作物でこの法律の施行前に発行されたものについては、適用しない。

附 則(昭和37年3月29日法律第35号)

 この法律は、昭和37年4月1日から施行する。

附 則(昭和43年6月15日法律第99号)
(施行期日)

 この法律は、公布の日から施行する。

(経過規定)

 この法律の施行の際現にこの法律による改正前の文化財保護法、著作権法、著作権に関する仲介業務に関する法律、万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律、銃砲刀剣類所持等取締法又は国立劇場法の規定により文化財保護委員会又は文部大臣がした許可、認可、指定その他の処分又は通知その他の手続は、この法律による改正後のこれらの法律の相当規定に基づいて、文部大臣又は文化庁長官がした処分又は手続とみなす。

 この法律の施行の際現にこの法律による改正前の文化財保護法、著作権法、著作権に関する仲介業務に関する法律、万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律、銃砲刀剣類所持等取締法又は国立劇場法の規定により文化財保護委員会又は文部大臣に対してされている申請、届出その他の手続は、この法律による改正後のこれらの法律の相当規定に基づいて、文部大臣又は文化庁長官に対してされた手続とみなす。

附 則(昭和45年5月6日法律第48号)
(施行期日)

第1条 この法律は、昭和46年1月1日から施行する。

附 則(昭和58年12月2日法律第78号)

 この法律(第1条を除く。)は、昭和59年7月1日から施行する。

 この法律の施行の日の前日において法律の規定により置かれている機関等で、この法律の施行の日以後は国家行政組織法又はこの法律による改正後の関係法律の規定に基づく政令(以下「関係政令」という。)の規定により置かれることとなるものに関し必要となる経過措置その他この法律の施行に伴う関係政令の制定又は改廃に関し必要となる経過措置は、政令で定めることができる。

附 則(平成6年12月14日法律第112号)
(施行期日)

 この法律は、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定が日本国について効力を生ずる日の翌日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

附 則(平成11年12月22日法律第160号)
(施行期日)

第1条 この法律(第2条及び第3条を除く。)は、平成13年1月6日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 第995条(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律附則の改正規定に係る部分に限る。)、第1305条、第1306条、第1324条第2項、第1326条第2項及び第1344条の規定 公布の日

附 則(平成12年5月8日法律第56号)
(施行期日)

 この法律は、平成13年1月1日から施行する。