細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約等の実施に関する法律
第1条 この法律は、細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約(以下「生物兵器禁止条約」という。)及びテロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約の適確な実施を確保するため、生物兵器及び毒素兵器の製造、所持、譲渡し及び譲受けを禁止するとともに、生物剤及び毒素を発散させる行為を規制する等の措置を講ずることを目的とする。
第2条 この法律において「生物剤」とは、微生物であつて、人、動物若しくは植物の生体内で増殖する場合にこれらを発病させ、死亡させ、若しくは枯死させるもの又は毒素を産生するものをいう。
2 この法律において「毒素」とは、生物によつて産生される物質であつて、人、動物又は植物の生体内に入つた場合にこれらを発病させ、死亡させ、又は枯死させるものをいい、人工的に合成された物質で、その構造式がいずれかの毒素の構造式と同一であるものを含むものとする。
3 この法律において「生物兵器」とは、武力の行使の手段として使用される物で、生物剤又は生物剤を保有しかつ媒介する生物を充てんしたものをいう。
4 この法律において「毒素兵器」とは、武力の行使の手段として使用される物で、毒素を充てんしたものをいう。
第3条 生物剤又は毒素の開発、生産、貯蔵、取得又は保有(第5条において「開発等」という。)が認められるのは、防疫の目的、身体防護の目的その他の平和的目的をもつてする場合に限るものとする。
2 外務大臣及び主務大臣は、生物兵器禁止条約及びこの法律の要旨の周知を図るため、適当な措置をとるものとする。
第4条 何人も、生物兵器又は毒素兵器を製造してはならない。
2 何人も、生物兵器又は毒素兵器を所持し、譲り渡し、又は譲り受けてはならない。
第5条 主務大臣は、防疫の目的、身体防護の目的その他の平和的目的以外の目的をもつてする生物剤又は毒素の開発等を防止するため必要な限度において、業として生物剤又は毒素を取り扱う者に対し、その業務に関して必要な報告を求めることができる。
2 前項の場合において必要な事項は、政令で定める。
第6条 外務大臣は、生物兵器禁止条約を実施するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料又は情報の提供その他必要な協力を求めることができる。
第7条 この法律における主務大臣は、政令で定める。
第8条 第5条の規定は、国及び地方公共団体に適用しない。
第9条 生物兵器又は毒素兵器を使用して、当該生物兵器又は当該毒素兵器に充てんされた生物剤又は毒素を発散させた者は、無期若しくは2年以上の懲役又は1000万円以下の罰金に処する。
2 生物剤又は毒素をみだりに発散させて人の生命、身体又は財産に危険を生じさせた者は、10年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処する。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。
第10条 第4条第1項の規定に違反した者は、1年以上の有期懲役又は500万円以下の罰金に処する。
2 第4条第2項の規定に違反した者は、10年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。
3 第1項の罪の未遂は、罰する。
第11条 前二条の罪は、刑法(明治40年法律第45号)第4条の2の例に従う。
第12条 第5条第1項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
第13条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第9条の罪を犯し、又は第10条若しくは前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
この法律は、条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。
第1条 この法律は、テロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。
第2条 改正後の爆発物取締罰則第10条の規定、火炎びんの使用等の処罰に関する法律第4条の規定、細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約等の実施に関する法律第11条の規定、化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律第42条(刑法(明治40年法律第45号)第4条の2に係る部分に限る。)の規定及びサリン等による人身被害の防止に関する法律第8条の規定は、この法律の施行の日以後に日本国について効力を生ずる条約により日本国外において犯したときであっても罰すべきものとされる罪に限り適用する。
第1条 この法律は、公布の日から起算して9月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
第1条 この法律は、核によるテロリズムの行為の防止に関する国際条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。
第1条 この法律は、公布の日から起算して20日を経過した日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第1条中組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下「組織的犯罪処罰法」という。)第12条の改正規定、第2条及び第4条から第7条までの規定並びに附則第4条及び第6条の規定 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約が日本国について効力を生ずる日
第4条 新組織的犯罪処罰法第12条(刑法第4条の2に係る部分に限る。)の規定、第2条の規定による改正後の爆発物取締罰則第10条(爆発物取締罰則第4条から第6条までに係る部分に限る。)の規定、第4条の規定による改正後の暴力行為等処罰に関する法律第1条ノ3第2項の規定、第5条の規定による改正後の児童福祉法第60条第5項(同条第1項に係る部分に限る。)の規定、第6条の規定による改正後の細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約等の実施に関する法律第11条(同法第10条に係る部分に限る。)の規定及び第7条の規定による改正後のサリン等による人身被害の防止に関する法律第8条(同法第5条第3項に係る部分に限る。)の規定は、附則第1条第1号に掲げる規定の施行の日以後に日本国について効力を生ずる条約により日本国外において犯したときであっても罰すべきものとされている罪に限り、適用する。