新幹線鉄道に係る鉄道施設の譲渡等に関する法律
第1条 この法律は、新幹線鉄道に係る旅客鉄道事業を経営する旅客鉄道株式会社の最近における経営状況を踏まえ、日本国有鉄道清算事業団が保有する当該旅客鉄道株式会社の株式を売却することにより、当該旅客鉄道株式会社の経営責任の一層の明確化と事業の運営に係る自主性の強化を図るとともに、日本国有鉄道清算事業団の債務の償還等を確実かつ円滑に実施し、もって日本国有鉄道改革法(昭和61年法律第87号)に定める日本国有鉄道の改革の進展を図ることが緊要な課題となっていることにかんがみ、当該旅客鉄道株式会社の株式の売却を円滑かつ適切に実施する上で必要とされる環境の整備を図るため、新幹線鉄道保有機構(以下「機構」という。)が一括して保有し、当該旅客鉄道株式会社に貸し付けている新幹線鉄道に係る鉄道施設(以下「新幹線鉄道施設」という。)を機構から当該旅客鉄道株式会社に対し譲渡することその他当該新幹線鉄道施設の譲渡及びこれに伴う機構の解散に関する事項について定めるものとする。
第2条 機構は、平成3年度において、その保有する新幹線鉄道施設を、次条第1項の認可を受けた新幹線鉄道施設譲渡計画に定めるところに従い、東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社及び西日本旅客鉄道株式会社(以下「旅客鉄道株式会社」という。)に対し譲渡するものとし、旅客鉄道株式会社はこれを譲り受けるものとする。
第3条 機構は、運輸省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した新幹線鉄道施設譲渡計画を定め、運輸大臣の認可を受けなければならない。
一 各旅客鉄道株式会社に対する新幹線鉄道施設の譲渡の実施時期
二 各旅客鉄道株式会社に対し譲渡する新幹線鉄道施設の範囲
三 各旅客鉄道株式会社に対する新幹線鉄道施設の譲渡価額
四 各旅客鉄道株式会社による新幹線鉄道施設の対価の支払方法
2 新幹線鉄道施設譲渡計画は、次の各号に適合するように定めなければならない。
一 前項第1号に掲げる事項については、各旅客鉄道株式会社に対する新幹線鉄道施設の譲渡が同時に実施されるように期日が設定されているものであること。
二 前項第2号に掲げる事項については、新幹線鉄道保有機構法(昭和61年法律第89号)第21条第1項の規定により各旅客鉄道株式会社に対し貸し付けることとされている新幹線鉄道施設の範囲を基準とするものであること。
三 前項第3号に掲げる事項については、機構の保有するすべての新幹線鉄道施設の再調達価額(新幹線鉄道施設を当該譲渡の際に新たに取得するものとした場合において見込まれる価額として運輸省令で定める方法により算定される価額をいう。以下同じ。)として機構が決定する価額を、各旅客鉄道株式会社における新幹線鉄道(新幹線鉄道保有機構法第2条第1項に規定する新幹線鉄道をいう。)に係る旅客鉄道事業に係る経営基盤の均衡化及び新幹線鉄道施設に係る利用者の負担の適正化を図る観点から、各旅客鉄道株式会社における当該旅客鉄道事業の収益及び費用の見通し、各旅客鉄道株式会社に対し譲渡される新幹線鉄道施設の再調達価額等を勘案して運輸大臣が各旅客鉄道株式会社ごとに定める割合により配分した額を基準とするものであること。
四 前項第4号に掲げる事項については、政令で定める半年賦支払の方法を基準とするものであること。
3 運輸大臣は、第1項の認可をしようとするとき及び前項第3号の割合を定めようとするときは、各旅客鉄道株式会社の意見を聴くとともに、大蔵大臣に協議しなければならない。
第4条 前条第2項第3号の機構の保有するすべての新幹線鉄道施設の再調達価額についての決定は、臨時に機構に置く新幹線鉄道施設評価審議会の議を経なければならない。
2 新幹線鉄道施設評価審議会の委員は、10人以内とし、新幹線鉄道施設の評価に必要な学識経験を有する者のうちから、運輸大臣が任命する。
3 新幹線鉄道保有機構法第13条、第14条第1項及び第2項並びに第19条の規定は、前項の委員について準用する。
4 前三項に定めるもののほか、新幹線鉄道施設評価審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、運輸省令で定める。
第5条 機構は、第2条の規定による新幹線鉄道施設の譲渡の実施の時において解散する。
2 前項の規定により機構が解散した場合におけるその権利及び義務の承継については、鉄道整備基金法(平成3年法律第46号)の定めるところによる。
3 第1項の規定により機構が解散した場合における解散の登記については、政令で定める。
第1条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、次条、附則第4条、第5条及び第7条から第24条までの規定は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
第2条 新幹線鉄道保有機構法は、廃止する。
第3条 機構の平成3年4月1日に始まる事業年度は、その解散の日の前日に終わるものとする。
2 機構の平成3年4月1日に始まる事業年度に係る決算並びに財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下この項において「財務諸表」という。)については、なお従前の例による。この場合において、当該財務諸表の提出の期限は、当該事業年度の終了後6月以内とする。
3 機構の平成3年4月1日に始まる事業年度における新幹線鉄道保有機構法第21条第1項の規定による貸付けに係る貸付料の年額は、同法第23条第1項及び附則第14条第1項の規定にかかわらず、同条第2項及び第3項の基準に適合するように定められた当該貸付料の年額に政令で定める割合を乗じて得た額を基準として定めるものとする。
4 新幹線鉄道保有機構法第21条第2項の規定は前項の規定による貸付料の年額について、同法第40条の規定はこの項において準用する同法第21条第2項の規定による認可について、同法第43条の規定は当該認可に係る違反行為をした機構の役員又は職員について準用する。
5 第2条の規定による新幹線鉄道施設の譲渡に関する新幹線鉄道保有機構法第34条第1項の規定の適用については、同項中「第21条第1項」とあるのは、「新幹線鉄道に係る鉄道施設の譲渡等に関する法律第2条の規定による場合を除き、第21条第1項」とする。
6 第2条の規定により機構が旅客鉄道株式会社に対し譲渡する新幹線鉄道施設に係る土地については、日本国有鉄道改革法等施行法(昭和61年法律第93号。次条において「施行法」という。)第32条の規定は、適用しない。
第4条 施行法附則第26条第1項の規定により第5条第1項の規定による解散前の機構(以下「旧機構」という。)に対して港湾法(昭和25年法律第218号)第37条第1項の規定により港湾管理者の長がした許可に基づくものとみなされた行為は、第2条の規定により当該行為に係る新幹線鉄道施設を譲り受けた旅客鉄道株式会社に対して同項の規定により港湾管理者の長がした許可に基づく行為とみなす。
2 附則第21条の規定による改正前の施行法附則第32条第6項の規定により旧機構に対し全国新幹線鉄道整備法(昭和45年法律第71号)第6条第1項の規定による建設主体の指名及び同法第8条の規定による建設の指示が行われたものとみなされた建設線の区間については、施行法附則第32条第5項の規定にかかわらず、第5条第1項の規定による機構の解散の時において、東日本旅客鉄道株式会社に対し全国新幹線鉄道整備法第6条第1項の規定による建設主体の指名及び同法第8条の規定による建設の指示が行われたものとみなす。
3 附則第21条の規定による改正前の施行法附則第32条第8項の規定により旧機構に対しされたものとみなされた全国新幹線鉄道整備法第9条第1項の規定による工事実施計画の認可及び旧機構に対しされた同項の規定による工事実施計画の認可は、東日本旅客鉄道株式会社に対しされた同項の規定による工事実施計画の認可とみなす。
4 施行法附則第39条の規定により旧機構に対して道路法(昭和27年法律第180号)第32条第1項及び第3項の規定により道路管理者がした許可に基づくものとみなされた占用並びに旧機構に対して同条第1項及び第3項の規定により道路管理者がした許可に基づく占用は、第2条の規定により当該占用に係る新幹線鉄道施設を譲り受けた旅客鉄道株式会社に対して同法第32条第1項及び第3項の規定により道路管理者がした許可に基づく占用とみなす。
5 第2条の規定により旅客鉄道株式会社が新幹線鉄道施設を譲り受ける場合における当該新幹線鉄道施設の取得に対しては、不動産取得税を課することができない。
第5条 附則第2条の規定の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第6条 前三条に定めるもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
第1条 この法律は、公布の日から起算して1月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。