種苗法
第1章 総則
第1条 この法律は、新品種の保護のための品種登録に関する制度、指定種苗の表示に関する規制等について定めることにより、品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図り、もって農林水産業の発展に寄与することを目的とする。
第2条 この法律において「農林水産植物」とは、農産物、林産物及び水産物の生産のために栽培される種子植物、しだ類、せんたい類、多細胞の藻類その他政令で定める植物をいい、「植物体」とは、農林水産植物の個体をいう。
2 この法律において「品種」とは、重要な形質に係る特性(以下単に「特性」という。)の全部又は一部によって他の植物体の集合と区別することができ、かつ、その特性の全部を保持しつつ繁殖させることができる一の植物体の集合をいう。
3 この法律において「種苗」とは、植物体の全部又は一部で繁殖の用に供されるものをいう。
4 この法律において「加工品」とは、種苗を用いることにより得られる収穫物から直接に生産される加工品であって政令で定めるものをいう。
5 この法律において品種について「利用」とは、次に掲げる行為をいう。
一 その品種の種苗を生産し、調整し、譲渡の申出をし、譲渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為
二 その品種の種苗を用いることにより得られる収穫物を生産し、譲渡若しくは貸渡しの申出をし、譲渡し、貸し渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為(育成者権者又は専用利用権者が前号に掲げる行為について権利を行使する適当な機会がなかった場合に限る。)
三 その品種の加工品を生産し、譲渡若しくは貸渡しの申出をし、譲渡し、貸し渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為(育成者権者又は専用利用権者が前二号に掲げる行為について権利を行使する適当な機会がなかった場合に限る。)
6 この法律において「指定種苗」とは、種苗(林業の用に供される樹木の種苗を除く。)のうち、種子、胞子、茎、根、苗、苗木、穂木、台木、種菌その他政令で定めるもので品質の識別を容易にするため販売に際して一定の事項を表示する必要があるものとして農林水産大臣が指定するものをいい、「種苗業者」とは、指定種苗の販売を業とする者をいう。
7 農林水産大臣は、農業資材審議会の意見を聴いて、農林水産植物について農林水産省令で定める区分ごとに、第2項の重要な形質を定め、これを公示するものとする。
第2章 品種登録制度
第1節 品種登録及び品種登録出願
第3条 次に掲げる要件を備えた品種の育成(人為的変異又は自然的変異に係る特性を固定し又は検定することをいう。以下同じ。)をした者又はその承継人(以下「育成者」という。)は、その品種についての登録(以下「品種登録」という。)を受けることができる。
一 品種登録出願前に日本国内又は外国において公然知られた他の品種と特性の全部又は一部によって明確に区別されること。
二 同一の繁殖の段階に属する植物体のすべてが特性の全部において十分に類似していること。
三 繰り返し繁殖させた後においても特性の全部が変化しないこと。
2 品種登録出願又は外国に対する品種登録出願に相当する出願に係る品種につき品種の育成に関する保護が認められた場合には、その品種は、出願時において公然知られた品種に該当するに至ったものとみなす。
第4条 品種登録は、品種登録出願に係る品種(以下「出願品種」という。)の名称が次の各号のいずれかに該当する場合には、受けることができない。
一 一の出願品種につき一でないとき。
二 出願品種の種苗に係る登録商標又は当該種苗と類似の商品に係る登録商標と同一又は類似のものであるとき。
三 出願品種の種苗又は当該種苗と類似の商品に関する役務に係る登録商標と同一又は類似のものであるとき。
四 出願品種に関し誤認を生じ、又はその識別に関し混同を生ずるおそれがあるものであるとき(前二号に掲げる場合を除く。)。
2 品種登録は、出願品種の種苗又は収穫物が、日本国内において品種登録出願の日から1年さかのぼった日前に、外国において当該品種登録出願の日から4年(永年性植物として農林水産省令で定める農林水産植物の種類に属する品種にあっては、6年)さかのぼった日前に、それぞれ業として譲渡されていた場合には、受けることができない。ただし、その譲渡が、試験若しくは研究のためのものである場合又は育成者の意に反してされたものである場合は、この限りでない。
第5条 品種登録を受けようとする者は、農林水産省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した願書を農林水産大臣に提出しなければならない。
一 出願者の氏名又は名称及び住所又は居所
二 出願品種の属する農林水産植物の種類
三 出願品種の名称
四 出願品種の育成をした者の氏名及び住所又は居所
五 前各号に掲げるもののほか、農林水産省令で定める事項
2 前項の願書には、農林水産省令で定めるところにより、農林水産省令で定める事項を記載した説明書及び出願品種の植物体の写真を添付しなければならない。
3 育成者が2人以上あるときは、これらの者が共同して品種登録出願をしなければならない。
第6条 出願者は、一件につき4万7200円を超えない範囲内で農林水産省令で定める額の出願料を納付しなければならない。
2 前項の規定は、出願者が国(独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第1項に規定する独立行政法人のうち品種の育成に関する業務を行うものとして政令で定めるものを含む。次項、第45条第2項及び第3項並びに第54条第2項において同じ。)であるときは、適用しない。
3 第1項の出願料は、国と国以外の者が共同して品種登録出願をする場合であって、品種登録により発生することとなる育成者権について持分の定めがあるときは、同項の規定にかかわらず、同項の農林水産省令で定める出願料の額に国以外の者の持分の割合を乗じて得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければならない。
4 前項の規定により算定した出願料の額に10円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
第7条 出願者の名義は、変更することができる。
2 出願者の名義の変更は、相続その他の一般承継の場合を除き、農林水産省令で定めるところにより、農林水産大臣に届け出なければ、その効力を生じない。
3 出願者について相続その他の一般承継による名義の変更があったときは、その一般承継人は、遅滞なく、農林水産省令で定めるところにより、その旨を農林水産大臣に届け出なければならない。
第8条 従業者、法人の業務を執行する役員又は国若しくは地方公共団体の公務員(以下「従業者等」という。)が育成をした品種については、その育成がその性質上使用者、法人又は国若しくは地方公共団体(以下「使用者等」という。)の業務の範囲に属し、かつ、その育成をするに至った行為が従業者等の職務に属する品種(以下「職務育成品種」という。)である場合を除き、あらかじめ使用者等が品種登録出願をすること、従業者等がした品種登録出願の出願者の名義を使用者等に変更すること又は従業者等が品種登録を受けた場合には使用者等に育成者権を承継させ若しくは使用者等のため専用利用権を設定することを定めた契約、勤務規則その他の定めの条項は、無効とする。
2 職務育成品種については、契約、勤務規則その他の定めにおいてあらかじめ使用者等が品種登録出願をすることを定めているときは、当該職務育成品種に係る品種登録を受ける地位は、当該使用者等が有するものとする。この場合において、従業者等は、相当の金銭その他の経済上の利益(次項において「相当の利益」という。)を受ける権利を有する。
3 前項の規定により受けるべき相当の利益の内容は、その職務育成品種の育成により使用者等が受けるべき利益の額、その育成に関連する使用者等の負担及び貢献の程度並びに従業者等の処遇その他の事情を考慮して定めなければならない。
4 第2項後段及び前項の規定は、契約、勤務規則その他の定めにより、職務育成品種について、使用者等が品種登録出願をしたとき(第2項の場合を除く。)、従業者等がした品種登録出願の出願者の名義を使用者等に変更したとき、又は従業者等が品種登録を受けた場合において使用者等に育成者権を承継させ若しくは使用者等のため専用利用権を設定したときについて準用する。
5 使用者等又はその一般承継人は、従業者等又はその承継人が職務育成品種について品種登録を受けたときは、その育成者権について通常利用権を有する。
第9条 同一の品種又は特性により明確に区別されない品種について二以上の品種登録出願があったときは、最先の出願者に限り、品種登録を受けることができる。
2 品種登録出願が取り下げられ、又は却下されたときは、その品種登録出願は、前項の規定の適用については、初めからなかったものとみなす。
3 育成者でない者がした品種登録出願は、第1項の規定の適用については、品種登録出願でないものとみなす。
第10条 日本国内に住所及び居所(法人にあっては、営業所)を有しない外国人は、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、育成者権その他育成者権に関する権利を享有することができない。
一 その者の属する国又はその者が住所若しくは居所(法人にあっては、営業所)を有する国が、1972年11月10日、1978年10月23日及び1991年3月19日にジュネーヴで改正された1961年12月2日の植物の新品種の保護に関する国際条約を締結している国(以下「締約国」という。)又は同条約を締結している政府間機関(以下「政府間機関」という。)の構成国(以下「締約国等」と総称する。)である場合
二 その者の属する国又はその者が住所若しくは居所(法人にあっては、営業所)を有する国が、1972年11月10日及び1978年10月23日にジュネーヴで改正された1961年12月2日の植物の新品種の保護に関する国際条約を締結している国(同条約第34条(2)の規定により日本国がその国との関係において同条約を適用することとされている国を含む。以下「同盟国」という。)であり、かつ、その者の出願品種につき品種の育成に関する保護を認める場合(前号に掲げる場合を除く。)
三 その者の属する国が、日本国民に対し品種の育成に関してその国の国民と同一の条件による保護を認める国(その国の国民に対し日本国が育成者権その他育成者権に関する権利の享有を認めることを条件として日本国民に対し当該保護を認める国を含む。)であり、かつ、その者の出願品種につき品種の育成に関する保護を認める場合(前二号に掲げる場合を除く。)
四 前三号に掲げる場合のほか、条約に別段の定めがある場合
第10条の2 日本国内に住所及び居所(法人にあっては、営業所)を有しない者(次項において「在外者」という。)は、農林水産省令で定める場合を除き、その者の品種登録に関する代理人であって日本国内に住所又は居所を有するもの(同項において「品種登録管理人」という。)によらなければ、品種登録出願その他品種登録に関する手続(同項において単に「手続」という。)をすることができない。
2 品種登録管理人は、一切の手続について本人を代理する。ただし、在外者が品種登録管理人の代理権の範囲を制限したときは、この限りでない。
第11条 次の各号に掲げる者は、当該各号に定める場合には、当該出願の時に、農林水産省令で定めるところにより、優先権を主張することができる。
一 締約国、政府間機関又は同盟国に対する品種登録出願に相当する出願(以下「締約国出願」と総称する。)をした者又はその承継人(日本国民、締約国等若しくは同盟国に属する者又は日本国、締約国等若しくは同盟国に住所若しくは居所(法人にあっては、営業所)を有する者に限る。) 締約国出願のうち最先の出願をした日(以下「締約国出願日」という。)の翌日から1年以内に当該締約国出願に係る品種につき品種登録出願をする場合
二 第10条第3号に規定する国であって日本国民に対し日本国と同一の条件により優先権の主張を認めるもの(締約国及び同盟国を除く。以下「特定国」という。)に対する品種登録出願に相当する出願(以下「特定国出願」という。)をした者又はその承継人(日本国民又は当該特定国に属する者に限る。) 特定国出願のうち最先の出願(当該特定国に属する者にあっては、当該特定国出願)をした日(以下「特定国出願日」という。)の翌日から1年以内に当該特定国出願に係る品種につき品種登録出願をする場合
2 出願者が前項の規定により優先権を主張した場合には、締約国出願日又は特定国出願日から品種登録出願をした日までの間にされた当該出願品種と同一の品種又は特性により明確に区別されない品種についての品種登録出願、公表、譲渡その他の行為は、当該品種登録出願についての品種登録を妨げる事由とはならない。
第12条 農林水産大臣は、次に掲げる場合は、相当の期間を指定して、品種登録出願の補正をすべきことを命ずることができる。
一 品種登録出願がこの法律又はこの法律に基づく命令で定める方式に違反しているとき。
二 出願者が第6条第1項の規定により納付すべき出願料を納付しないとき。
2 農林水産大臣は、前項の規定により品種登録出願の補正をすべきことを命じられた者が同項の規定により指定した期間内にその補正をしないときは、その品種登録出願を却下することができる。
第2節 出願公表
第13条 農林水産大臣は、品種登録出願を受理したとき(前条第1項の規定により品種登録出願の補正をすべきことを命じた場合にあっては、その補正が行われたとき)は、遅滞なく、次に掲げる事項を公示して、その品種登録出願について出願公表をしなければならない。
一 品種登録出願の番号及び年月日
二 出願者の氏名又は名称及び住所又は居所
三 出願品種の属する農林水産植物の種類
四 出願品種の名称
五 出願公表の年月日
六 前各号に掲げるもののほか、必要な事項
2 農林水産大臣は、出願公表があった後に、品種登録出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、又は品種登録出願が拒絶されたときは、その旨を公示しなければならない。
第14条 出願者は、出願公表があった後に出願品種の内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、その警告後品種登録前にその出願品種、当該出願品種と特性により明確に区別されない品種又は当該出願品種が品種登録された場合に第20条第2項各号に該当することとなる品種を業として利用した者に対し、その出願品種が品種登録を受けた場合にその利用に対し受けるべき金銭の額に相当する額の補償金の支払を請求することができる。当該警告をしない場合においても、出願公表に係る出願品種(当該出願品種と特性により明確に区別されない品種及び当該出願品種が品種登録された場合に同項各号に該当することとなる品種を含む。以下この条において同じ。)であることを知って品種登録前にその出願品種を業として利用した者に対しては、同様とする。
2 前項の規定による請求権は、品種登録があった後でなければ、行使することができない。
3 第1項の規定による請求権の行使は、育成者権の行使を妨げない。
4 出願公表後に品種登録出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、品種登録出願が拒絶されたとき、第49条第1項第1号若しくは第4号の規定により品種登録が取り消されたとき、品種登録についての審査請求が理由があるとしてこれを取り消す裁決が確定したとき、又は品種登録を取り消し、若しくは無効を確認する判決が確定したときは、第1項の規定による請求権は、初めから生じなかったものとみなす。
5 第36条から第38条まで及び第40条から第43条まで並びに民法(明治29年法律第89号)第719条及び第724条の規定は、第1項の規定による請求権を行使する場合に準用する。この場合において、当該請求権を有する者が品種登録前に当該品種登録出願に係る出願品種の利用の事実及びその利用をした者を知ったときは、同条第1号中「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時」とあるのは、「品種登録の日」と読み替えるものとする。
第3節 審査
第15条 農林水産大臣は、出願者に対し、出願品種の審査のために必要な出願品種の植物体の全部又は一部その他の資料の提出を命ずることができる。
2 農林水産大臣は、出願品種の審査をするに当たっては、その職員に現地調査を行わせ、又は国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(以下「研究機構」という。)に栽培試験を行わせるものとする。ただし、出願品種の審査上その必要がないと認められる場合は、この限りでない。
3 農林水産大臣は、前項の規定による現地調査を関係行政機関、学校その他適当と認める者に依頼することができる。
4 栽培試験の項目、試験方法その他第2項の栽培試験の実施に関して必要な事項は、農林水産省令で定める。
5 研究機構は、農林水産大臣の同意を得て、第2項の規定による栽培試験を関係行政機関、学校その他適当と認める者に依頼することができる。
6 農林水産大臣は、第2項の栽培試験の業務の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、研究機構に対し、当該業務に関し必要な命令をすることができる。
第16条 農林水産大臣は、出願品種の名称が第4条第1項各号のいずれかに該当するときは、出願者に対し、相当の期間を指定して、出願品種の名称を同項各号のいずれにも該当しない名称に変更すべきことを命ずることができる。
2 農林水産大臣は、出願公表があった後に、前項の規定により名称が変更されたときは、その旨を公示しなければならない。
第17条 農林水産大臣は、品種登録出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その品種登録出願について、文書により拒絶しなければならない。
一 その出願品種が、第3条第1項、第4条第2項、第5条第3項、第9条第1項又は第10条の規定により、品種登録をすることができないものであるとき。
二 その出願者が、正当な理由がないのに、第15条第1項の規定による命令に従わず、同条第2項の規定による現地調査を拒み、又は前条第1項の規定による命令に従わないとき。
2 農林水産大臣は、前項の規定により品種登録出願について拒絶しようとするときは、その出願者に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。
第18条 農林水産大臣は、品種登録出願につき前条第1項の規定により拒絶する場合を除き、品種登録をしなければならない。
2 品種登録は、品種登録簿に次に掲げる事項を記載してするものとする。
一 品種登録の番号及び年月日
二 品種の属する農林水産植物の種類
三 品種の名称
四 品種の特性
五 育成者権の存続期間
六 品種登録を受ける者の氏名又は名称及び住所又は居所
七 前各号に掲げるもののほか、農林水産省令で定める事項
3 農林水産大臣は、第1項の規定による品種登録をしたときは、当該品種登録を受けた者に対しその旨を通知するとともに、農林水産省令で定める事項を公示しなければならない。
第4節 育成者権
第19条 育成者権は、品種登録により発生する。
2 育成者権の存続期間は、品種登録の日から25年(第4条第2項に規定する品種にあっては、30年)とする。
第20条 育成者権者は、品種登録を受けている品種(以下「登録品種」という。)及び当該登録品種と特性により明確に区別されない品種を業として利用する権利を専有する。ただし、その育成者権について専用利用権を設定したときは、専用利用権者がこれらの品種を利用する権利を専有する範囲については、この限りでない。
2 登録品種の育成者権者は、当該登録品種に係る次に掲げる品種が品種登録された場合にこれらの品種の育成者が当該品種について有することとなる権利と同一の種類の権利を専有する。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
一 変異体の選抜、戻し交雑、遺伝子組換えその他の農林水産省令で定める方法により、登録品種の主たる特性を保持しつつ特性の一部を変化させて育成され、かつ、特性により当該登録品種と明確に区別できる品種
二 その品種の繁殖のため常に登録品種の植物体を交雑させる必要がある品種
3 登録品種が、前項第1号の農林水産省令で定める方法により、当該登録品種以外の品種の主たる特性を保持しつつ特性の一部を変化させて育成された品種である場合における同項及び次条第2項の規定の適用については、前項中「次に」とあるのは「第2号に」と、同条第2項中「前条第2項各号」とあるのは「前条第2項第2号」とする。
第21条 育成者権の効力は、次に掲げる行為には、及ばない。
一 新品種の育成その他の試験又は研究のためにする品種の利用
二 登録品種(登録品種と特性により明確に区別されない品種を含む。以下この項において同じ。)の育成をする方法についての特許権を有する者又はその特許につき専用実施権若しくは通常実施権を有する者が当該特許に係る方法により登録品種の種苗を生産し、又は当該種苗を調整し、譲渡の申出をし、譲渡し、輸出し、輸入し、若しくはこれらの行為をする目的をもって保管する行為
三 前号の特許権の消滅後において、同号の特許に係る方法により登録品種の種苗を生産し、又は当該種苗を調整し、譲渡の申出をし、譲渡し、輸出し、輸入し、若しくはこれらの行為をする目的をもって保管する行為
四 前二号の種苗を用いることにより得られる収穫物を生産し、譲渡若しくは貸渡しの申出をし、譲渡し、貸し渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為
五 前号の収穫物に係る加工品を生産し、譲渡若しくは貸渡しの申出をし、譲渡し、貸し渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為
2 農業を営む者で政令で定めるものが、最初に育成者権者、専用利用権者又は通常利用権者により譲渡された登録品種、登録品種と特性により明確に区別されない品種及び登録品種に係る前条第2項各号に掲げる品種(以下「登録品種等」と総称する。)の種苗を用いて収穫物を得、その収穫物を自己の農業経営において更に種苗として用いる場合には、育成者権の効力は、その更に用いた種苗、これを用いて得た収穫物及びその収穫物に係る加工品には及ばない。ただし、契約で別段の定めをした場合は、この限りでない。
3 前項の規定は、農林水産省令で定める栄養繁殖をする植物に属する品種の種苗を用いる場合は、適用しない。
4 育成者権者、専用利用権者若しくは通常利用権者の行為又は第1項各号に掲げる行為により登録品種等の種苗、収穫物又は加工品が譲渡されたときは、当該登録品種の育成者権の効力は、その譲渡された種苗、収穫物又は加工品の利用には及ばない。ただし、当該登録品種等の種苗を生産する行為、当該登録品種につき品種の育成に関する保護を認めていない国に対し種苗を輸出する行為及び当該国に対し最終消費以外の目的をもって収穫物を輸出する行為については、この限りでない。
第21条の2 品種登録を受けようとする者は、次の各号に掲げる場合において、当該品種登録に係る育成者権の適切な行使を確保するため、農林水産省令で定めるところにより、品種登録出願と同時に当該各号に定める事項を農林水産大臣に届け出ることができる。
一 出願品種の保護が図られないおそれがある国への当該出願品種の種苗の流出を防止しようとする場合 次に掲げる事項
イ 出願者が当該出願品種の保護が図られないおそれがない国として指定する国(前条第2項ただし書に規定する国を除く。以下「指定国」という。)
ロ 前条第2項ただし書に規定する国以外の国であって指定国以外の国に対し種苗を輸出する行為及び当該国に対し最終消費以外の目的をもって収穫物を輸出する行為を制限する旨
二 出願品種の産地を形成しようとする場合 次に掲げる事項
イ 出願者が当該出願品種の産地を形成しようとする地域として指定する地域(以下「指定地域」という。)
ロ 指定地域以外の地域において種苗を用いることにより得られる収穫物を生産する行為を制限する旨
2 前項の規定による届出をした者(その承継人を含む。次条第1項及び第2項並びに第21条の4第1項及び第2項において同じ。)は、次項の規定による公示(第13条第1項の規定による公示と併せてされたものに限る。)前に限り、当該届出に係る指定国又は指定地域の指定の全部又は一部を取り消す旨を農林水産大臣に届け出ることができる。
3 農林水産大臣は、第1項の規定による届出があった場合には、第13条第1項又は第18条第3項の規定による公示の際、これらの公示と併せて、それぞれ第13条第1項第1号から第4号までに掲げる事項及び当該届出に係る事項(前項の規定による届出があった場合には、当該届出に係る変更後の事項。以下この項及び次項並びに第21条の4第3項において同じ。)又は第18条第2項第1号から第3号まで及び第6号に掲げる事項並びに当該届出に係る事項を公示しなければならない。
4 農林水産大臣は、前項の規定による公示(第18条第3項の規定による公示と併せてされたものに限る。)をした場合には、品種登録簿に第1項の規定による届出に係る事項及び当該公示をした年月日を記載するものとする。
5 登録品種の種苗を業として譲渡する者は、農林水産大臣が前項に規定する公示をした日の翌日以後は、当該公示に係る登録品種の種苗を譲渡する場合には、その譲渡する種苗又はその種苗の包装に、第55条第1項の規定による表示に加え、農林水産省令で定めるところにより、その種苗が第1項第1号ロ又は第2号ロに規定する制限が付されている旨及び当該制限の内容について当該公示がされている旨の表示を付さなければならない。
6 登録品種の種苗の譲渡のための展示又は広告を業として行う者は、農林水産大臣が第4項に規定する公示をした日の翌日以後は、当該公示に係る登録品種の種苗の譲渡のための展示をする場合にはその展示をする種苗又はその種苗の包装に、当該公示に係る登録品種の種苗の譲渡のための広告をする場合にはその広告に、第55条第2項の規定による表示に加え、農林水産省令で定めるところにより、それぞれその種苗が第1項第1号ロ若しくは第2号ロに規定する制限が付されている旨及び当該制限の内容について当該公示がされている旨の表示を付し、又はこれらを表示しなければならない。
7 農林水産大臣が第4項に規定する公示をした日の翌日以後は、前条第2項本文の規定にかかわらず、育成者権の効力は、当該公示に係る登録品種等についての第1項第1号ロ又は第2号ロに規定する行為(以下「輸出等の行為」という。)には及ぶものとする。
第21条の3 前条第1項の規定による届出をした者は、同条第4項に規定する公示がされた後において、当該登録品種について指定国又は指定地域を追加する必要があると認めるときは、農林水産省令で定めるところにより、指定国又は指定地域を追加する旨を農林水産大臣に届け出ることができる。
2 前項の規定による届出をした者は、次項の規定による公示前に限り、当該届出に係る指定国又は指定地域の追加の全部又は一部を取り消す旨を農林水産大臣に届け出ることができる。
3 農林水産大臣は、第1項の規定による届出があった場合(前項の規定による指定国又は指定地域の追加の全部を取り消す旨の届出があった場合を除く。)には、当該登録品種に係る第18条第2項第1号から第3号まで及び第6号に掲げる事項並びに当該届出に係る事項(前項の規定による届出があった場合には、当該届出に係る変更後の事項。次項及び次条第3項において同じ。)を公示しなければならない。
4 農林水産大臣は、前項の規定による公示をした場合には、品種登録簿に第1項の規定による届出に係る事項及び当該公示をした年月日を記載するものとする。
5 農林水産大臣が第3項の規定による公示をした日の翌日以後は、当該公示に係る登録品種等について追加された指定国又は指定地域に係る輸出等の行為については、前条第7項の規定は、適用しない。
第21条の4 第21条の2第1項の規定による届出をした者は、同条第4項に規定する公示がされた後において、当該登録品種について輸出等の行為に係る制限をする必要がなくなったと認めるときは、農林水産省令で定めるところにより、当該届出を取り下げる旨を農林水産大臣に届け出ることができる。
2 前項の規定による届出をした者は、次項の規定による公示前に限り、当該届出を取り下げる旨を農林水産大臣に届け出ることができる。
3 農林水産大臣は、第1項の規定による届出があった場合(前項の規定による届出があった場合を除く。)には、当該登録品種に係る第18条第2項第1号から第3号まで及び第6号に掲げる事項、第21条の2第1項の規定による届出に係る事項(前条第1項の規定による届出に係る事項を含む。)並びに第21条の2第1項の規定による届出が取り下げられた旨を公示しなければならない。
4 農林水産大臣は、前項の規定による公示をした場合には、品種登録簿に第21条の2第1項の規定による届出が取り下げられた旨及び当該公示をした年月日を記載するものとする。
5 農林水産大臣が第3項の規定による公示をした日の翌日以後は、当該公示に係る登録品種の種苗についての表示については、第21条の2第5項及び第6項の規定は、適用しない。
6 農林水産大臣が第3項の規定による公示をした日の翌日以後は、当該公示に係る登録品種等についての輸出等の行為については、第21条の2第7項の規定は、適用しない。
第22条 登録品種(登録品種であった品種を含む。以下この条において同じ。)の種苗を業として譲渡の申出をし、又は譲渡する場合には、当該登録品種の名称(第48条第2項の規定により名称が変更された場合にあっては、その変更後の名称)を使用しなければならない。
2 登録品種が属する農林水産植物の種類又はこれと類似の農林水産植物の種類として農林水産省令で定めるものに属する当該登録品種以外の品種の種苗を業として譲渡の申出をし、又は譲渡する場合には、当該登録品種の名称を使用してはならない。
第23条 育成者権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡し、又はその持分を目的として質権を設定することができない。
2 育成者権が共有に係るときは、各共有者は、契約で別段の定めをした場合を除き、他の共有者の同意を得ないでその登録品種等を利用することができる。
3 育成者権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その育成者権について専用利用権を設定し、又は他人に通常利用権を許諾することができない。
第24条 育成者権は、次に掲げる場合には、消滅する。
一 育成者権者である法人が解散した場合において、その育成者権が一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号)第239条第3項その他これに準ずる法律の規定により国庫に帰属すべきこととなるとき。
二 育成者権者である個人が死亡した場合において、その育成者権が民法第959条の規定により国庫に帰属すべきこととなるとき。
第25条 育成者権者は、その育成者権について専用利用権を設定することができる。
2 専用利用権者は、設定行為で定めた範囲内において、業としてその登録品種等を利用する権利を専有する。
3 専用利用権は、品種の利用の事業とともにする場合、育成者権者の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。
4 専用利用権者は、育成者権者の承諾を得た場合に限り、その専用利用権について質権を設定し、又は他人に通常利用権を許諾することができる。
5 第23条の規定は、専用利用権に準用する。
第26条 育成者権者は、その育成者権について他人に通常利用権を許諾することができる。
2 通常利用権者は、この法律の規定により又は設定行為で定めた範囲内において、業としてその登録品種等を利用する権利を有する。
第27条 登録品種の育成をした者よりも先に当該登録品種と同一の品種又は特性により明確に区別されない品種の育成をした者は、その登録品種に係る育成者権について通常利用権を有する。
第28条 登録品種等の利用が継続して2年以上日本国内において適当にされていないとき、又は登録品種等の利用が公共の利益のため特に必要であるときは、当該登録品種等につき業として利用しようとする者は、当該登録品種の育成者権者又は専用利用権者に対し通常利用権の許諾につき協議を求めることができる。
2 前項の協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、同項に規定する者は、農林水産大臣の裁定を申請することができる。
3 農林水産大臣は、前項の規定による申請があったときは、その旨を公示するとともに、当該申請に係る育成者権者又は専用利用権者その他その登録品種に関し登録した権利を有する者に対し、文書をもって通知し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えなければならない。
4 第2項の規定による申請があったときは、その登録品種の通常利用権者は、前項に規定する期間内に限り、意見を述べることができる。
5 農林水産大臣は、登録品種等につき利用がされることが公共の利益のため特に必要である場合を除き、当該登録品種等につき利用が適当にされていないことについて正当な理由がある場合は、通常利用権を設定すべき旨の裁定をしてはならない。
6 農林水産大臣は、第2項の裁定をしようとするときは、農業資材審議会の意見を聴かなければならない。
7 通常利用権を設定すべき旨の裁定においては、通常利用権を設定すべき範囲並びに対価及びその支払の方法を定めなければならない。
8 農林水産大臣は、第2項の裁定をしたときは、その旨を当事者、当事者以外の者であってその登録品種に関し登録した権利を有するもの及び第4項の規定により意見を述べた通常利用権者に通知しなければならない。
9 前項の規定により当事者に第7項に規定する裁定の通知があったときは、当該裁定で定めるところにより、当事者間に協議が成立したものとみなす。
第29条 通常利用権は、前条第2項の裁定による通常利用権を除き、品種の利用の事業とともにする場合、育成者権者(専用利用権についての通常利用権にあっては、育成者権者及び専用利用権者。次項において同じ。)の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。
2 通常利用権者は、前条第2項の裁定による通常利用権を除き、育成者権者の承諾を得た場合に限り、その通常利用権について質権を設定することができる。
3 前条第2項の裁定による通常利用権は、品種の利用の事業とともにする場合に限り、移転することができる。
4 第23条第1項及び第2項の規定は、通常利用権に準用する。
第30条 育成者権、専用利用権又は通常利用権を目的として質権を設定したときは、質権者は、契約で別段の定めをした場合を除き、当該登録品種等を利用することができない。
2 育成者権、専用利用権又は通常利用権を目的とする質権は、育成者権、専用利用権若しくは通常利用権の対価又は登録品種等の利用に対しその育成者権者若しくは専用利用権者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行うことができる。ただし、その払渡し又は引渡し前に差押えをしなければならない。
第31条 育成者権者は、専用利用権者、質権者又は第8条第5項、第25条第4項若しくは第26条第1項の規定による通常利用権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その育成者権を放棄することができる。
2 専用利用権者は、質権者又は第25条第4項の規定による通常利用権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その専用利用権を放棄することができる。
3 通常利用権者は、質権者があるときは、その承諾を得た場合に限り、その通常利用権を放棄することができる。
第32条 次に掲げる事項は、登録しなければ、その効力を生じない。
一 育成者権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、放棄による消滅又は処分の制限
二 専用利用権の設定、移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、変更、消滅(混同又は育成者権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限
三 育成者権又は専用利用権を目的とする質権の設定、移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、変更、消滅(混同又は担保する債権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限
2 前項各号の相続その他の一般承継の場合は、遅滞なく、農林水産省令で定めるところにより、その旨を農林水産大臣に届け出なければならない。
第32条の2 通常利用権は、その発生後にその育成者権若しくは専用利用権又はその育成者権についての専用利用権を取得した者に対しても、その効力を有する。
第5節 権利侵害
第33条 育成者権者又は専用利用権者は、自己の育成者権又は専用利用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 育成者権者又は専用利用権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した種苗、収穫物若しくは加工品又は侵害の行為に供した物の廃棄その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。
第34条 育成者権者又は専用利用権者が故意又は過失により自己の育成者権又は専用利用権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為を組成した種苗、収穫物又は加工品を譲渡したときは、その譲渡した種苗、収穫物又は加工品の数量(以下この項において「譲渡数量」という。)に、育成者権者又は専用利用権者がその侵害の行為がなければ販売することができた種苗、収穫物又は加工品の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を、育成者権者又は専用利用権者の利用の能力に応じた額を超えない限度において、育成者権者又は専用利用権者が受けた損害の額とすることができる。ただし、譲渡数量の全部又は一部に相当する数量を育成者権者又は専用利用権者が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量に応じた額を控除するものとする。
2 育成者権者又は専用利用権者が故意又は過失により自己の育成者権又は専用利用権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、育成者権者又は専用利用権者が受けた損害の額と推定する。
3 育成者権者又は専用利用権者は、故意又は過失により自己の育成者権又は専用利用権を侵害した者に対し、その登録品種等の利用に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。
4 前項の規定は、同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。この場合において、育成者権又は専用利用権を侵害した者に故意又は重大な過失がなかったときは、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。
第35条 他人の育成者権又は専用利用権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があったものと推定する。
第36条 育成者権又は専用利用権の侵害に係る訴訟において、育成者権者又は専用利用権者が侵害の行為を組成したものとして主張する種苗、収穫物又は加工品の具体的態様を否認するときは、相手方は、自己の行為の具体的態様を明らかにしなければならない。ただし、相手方において明らかにすることができない相当の理由があるときは、この限りでない。
第37条 裁判所は、育成者権又は専用利用権の侵害に係る訴訟においては、当事者の申立てにより、当事者に対し、当該侵害の行為について立証するため、又は当該侵害の行為による損害の計算をするため必要な書類の提出を命ずることができる。ただし、その書類の所持者においてその提出を拒むことについて正当な理由があるときは、この限りでない。
2 裁判所は、前項本文の申立てに係る書類が同項本文の書類に該当するかどうか又は同項ただし書に規定する正当な理由があるかどうかの判断をするため必要があると認めるときは、書類の所持者にその提示をさせることができる。この場合においては、何人も、その提示された書類の開示を求めることができない。
3 裁判所は、前項の場合において、第1項本文の申立てに係る書類が同項本文の書類に該当するかどうか又は同項ただし書に規定する正当な理由があるかどうかについて前項後段の書類を開示してその意見を聴くことが必要であると認めるときは、当事者等(当事者(法人である場合にあっては、その代表者)又は当事者の代理人(訴訟代理人及び補佐人を除く。)、使用人その他の従業者をいう。以下同じ。)、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該書類を開示することができる。
4 裁判所は、第2項の場合において、同項後段の書類を開示して専門的な知見に基づく説明を聴くことが必要であると認めるときは、当事者の同意を得て、民事訴訟法(平成8年法律第109号)第1編第5章第2節第1款に規定する専門委員に対し、当該書類を開示することができる。
5 前各項の規定は、育成者権又は専用利用権の侵害に係る訴訟における当該侵害の行為について立証するため必要な検証の目的の提示について準用する。
第38条 育成者権又は専用利用権の侵害に係る訴訟において、当事者の申立てにより、裁判所が当該侵害の行為による損害の計算をするため必要な事項について鑑定を命じたときは、当事者は、鑑定人に対し、当該鑑定をするため必要な事項について説明しなければならない。
第39条 育成者権又は専用利用権の侵害に係る訴訟において、損害が生じたことが認められる場合において、損害額を立証するために必要な事実を立証することが当該事実の性質上極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。
第40条 裁判所は、育成者権又は専用利用権の侵害に係る訴訟において、その当事者が保有する営業秘密(不正競争防止法(平成5年法律第47号)第2条第6項に規定する営業秘密をいう。以下同じ。)について、次に掲げる事由のいずれにも該当することにつき疎明があった場合には、当事者の申立てにより、決定で、当事者等、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該営業秘密を当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用し、又は当該営業秘密に係るこの項の規定による命令を受けた者以外の者に開示してはならない旨を命ずることができる。ただし、その申立ての時までに当事者等、訴訟代理人又は補佐人が第1号に規定する準備書面の閲読又は同号に規定する証拠の取調べ若しくは開示以外の方法により当該営業秘密を取得し、又は保有していた場合は、この限りでない。
一 既に提出され若しくは提出されるべき準備書面に当事者の保有する営業秘密が記載され、又は既に取り調べられ若しくは取り調べられるべき証拠(第37条第3項の規定により開示された書類又は第43条第4項の規定により開示された書面を含む。)の内容に当事者の保有する営業秘密が含まれること。
二 前号の営業秘密が当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用され、又は当該営業秘密が開示されることにより、当該営業秘密に基づく当事者の事業活動に支障を生ずるおそれがあり、これを防止するため当該営業秘密の使用又は開示を制限する必要があること。
2 前項の規定による命令(以下「秘密保持命令」という。)の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
一 秘密保持命令を受けるべき者
二 秘密保持命令の対象となるべき営業秘密を特定するに足りる事実
三 前項各号に掲げる事由に該当する事実
3 秘密保持命令が発せられた場合には、その決定書を秘密保持命令を受けた者に送達しなければならない。
4 秘密保持命令は、秘密保持命令を受けた者に対する決定書の送達がされた時から、効力を生ずる。
5 秘密保持命令の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
第41条 秘密保持命令の申立てをした者又は秘密保持命令を受けた者は、訴訟記録の存する裁判所(訴訟記録の存する裁判所がない場合にあっては、秘密保持命令を発した裁判所)に対し、前条第1項に規定する要件を欠くこと又はこれを欠くに至ったことを理由として、秘密保持命令の取消しの申立てをすることができる。
2 秘密保持命令の取消しの申立てについての裁判があった場合には、その決定書をその申立てをした者及び相手方に送達しなければならない。
3 秘密保持命令の取消しの申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
4 秘密保持命令を取り消す裁判は、確定しなければその効力を生じない。
5 裁判所は、秘密保持命令を取り消す裁判をした場合において、秘密保持命令の取消しの申立てをした者又は相手方以外に当該秘密保持命令が発せられた訴訟において当該営業秘密に係る秘密保持命令を受けている者があるときは、その者に対し、直ちに、秘密保持命令を取り消す裁判をした旨を通知しなければならない。
第42条 秘密保持命令が発せられた訴訟(全ての秘密保持命令が取り消された訴訟を除く。)に係る訴訟記録につき、民事訴訟法第92条第1項の決定があった場合において、当事者から同項に規定する秘密記載部分の閲覧等の請求があり、かつ、その請求の手続を行った者が当該訴訟において秘密保持命令を受けていない者であるときは、裁判所書記官は、同項の申立てをした当事者(その請求をした者を除く。第3項において同じ。)に対し、その請求後直ちに、その請求があった旨を通知しなければならない。
2 前項の場合において、裁判所書記官は、同項の請求があった日から2週間を経過する日までの間(その請求の手続を行った者に対する秘密保持命令の申立てがその日までにされた場合にあっては、その申立てについての裁判が確定するまでの間)、その請求の手続を行った者に同項の秘密記載部分の閲覧等をさせてはならない。
3 前二項の規定は、第1項の請求をした者に同項の秘密記載部分の閲覧等をさせることについて民事訴訟法第92条第1項の申立てをした当事者の全ての同意があるときは、適用しない。
第43条 育成者権又は専用利用権の侵害に係る訴訟における当事者等が、その侵害の有無についての判断の基礎となる事項であって当事者の保有する営業秘密に該当するものについて、当事者本人若しくは法定代理人又は証人として尋問を受ける場合においては、裁判所は、裁判官の全員一致により、その当事者等が公開の法廷で当該事項について陳述をすることにより当該営業秘密に基づく当事者の事業活動に著しい支障を生ずることが明らかであることから当該事項について十分な陳述をすることができず、かつ、当該陳述を欠くことにより他の証拠のみによっては当該事項を判断の基礎とすべき育成者権又は専用利用権の侵害の有無についての適正な裁判をすることができないと認めるときは、決定で、当該事項の尋問を公開しないで行うことができる。
2 裁判所は、前項の決定をするに当たっては、あらかじめ、当事者等の意見を聴かなければならない。
3 裁判所は、前項の場合において、必要があると認めるときは、当事者等にその陳述すべき事項の要領を記載した書面の提示をさせることができる。この場合においては、何人も、その提示された書面の開示を求めることができない。
4 裁判所は、前項後段の書面を開示してその意見を聴くことが必要であると認めるときは、当事者等、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該書面を開示することができる。
5 裁判所は、第1項の規定により当該事項の尋問を公開しないで行うときは、公衆を退廷させる前に、その旨を理由とともに言い渡さなければならない。当該事項の尋問が終了したときは、再び公衆を入廷させなければならない。
第44条 故意又は過失により育成者権又は専用利用権を侵害したことにより育成者権者又は専用利用権者の業務上の信用を害した者に対しては、裁判所は、育成者権者又は専用利用権者の請求により、損害の賠償に代え、又は損害の賠償とともに、育成者権者又は専用利用権者の業務上の信用を回復するのに必要な措置を命ずることができる。
第6節 品種登録の維持及び取消し
第45条 育成者権者は、第19条第2項に規定する存続期間の満了までの各年について、一件ごとに、3万6000円を超えない範囲内で農林水産省令で定める額の登録料を納付しなければならない。
2 前項の規定は、育成者権者が国であるときは、適用しない。
3 第1項の登録料は、育成者権が国と国以外の者との共有に係る場合であって持分の定めがあるときは、同項の規定にかかわらず、同項の農林水産省令で定める登録料の額に国以外の者の持分の割合を乗じて得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければならない。
4 前項の規定により算定した登録料の額に10円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
5 第1項の規定による第1年分の登録料は、第18条第3項の規定による公示があった日から30日以内に納付しなければならない。
6 第1項の規定による第2年以後の各年分の登録料は、前年以前に納付しなければならない。
7 前項に規定する期間内に登録料を納付することができないときは、その期間が経過した後であっても、その期間の経過後6月以内にその登録料を追納することができる。
8 前項の規定により登録料を追納する育成者権者は、第1項の規定により納付すべき登録料のほか、その登録料と同額の割増登録料を納付しなければならない。
第46条 利害関係人は、育成者権者の意に反しても、登録料を納付することができる。
2 前項の規定により登録料を納付した利害関係人は、育成者権者が現に利益を受ける限度においてその費用の償還を請求することができる。
第47条 農林水産大臣は、登録品種の特性が保持されているかどうかについて調査の必要があると認める場合は、育成者権者又は専用利用権者に対し登録品種の植物体の全部又は一部その他の資料の提出を命ずることができる。
2 農林水産大臣は、前項に規定する場合には、その職員に現地調査を行わせ、又は研究機構に栽培試験を行わせるものとする。
3 第15条第3項から第6項までの規定は、前項の現地調査又は栽培試験に準用する。
第48条 農林水産大臣は、登録品種の名称が第4条第1項第2号から第4号までのいずれかに該当する場合であることが判明したときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、育成者権者に対し、相当の期間を指定して、当該登録品種について同項各号のいずれにも該当しない名称を提出すべきことを命ずることができる。
2 農林水産大臣は、前項の規定により第4条第1項各号のいずれにも該当しない名称が提出されたときは、品種登録簿に記載して当該登録品種の名称をその提出された名称に変更しなければならない。
3 農林水産大臣は、前項の規定により登録品種の名称を変更したときは、その旨を、当該登録品種の育成者権者に通知するとともに、公示しなければならない。
第49条 農林水産大臣は、次に掲げる場合には、品種登録を取り消さなければならない。
一 その品種登録が第3条第1項、第4条第2項、第5条第3項、第9条第1項又は第10条の規定に違反してされたことが判明したとき。
二 品種登録がされた後において、登録品種が第3条第1項第2号又は第3号に掲げる要件を備えなくなったことが判明したとき。
三 品種登録がされた後において、育成者権者が第10条の規定により育成者権を享有することができない者になったとき。
四 第45条第5項に規定する期間内に第1年分の登録料が納付されないとき。
五 第45条第7項に規定する期間内に登録料及び割増登録料が納付されないとき。
六 第47条第1項の規定により資料の提出を命じられた者が正当な理由なく命令に従わないとき。
七 前条第1項の規定により登録品種の名称の提出を命じられた者が正当な理由なく命令に従わないとき。
2 前項第1号から第3号まで、第6号又は第7号の規定による品種登録の取消しに係る聴聞を行うに当たっては、当該品種登録に係る育成者権に係る専用利用権者その他登録した権利を有する者に対し、行政手続法(平成5年法律第88号)第15条第1項の規定による通知をするとともに、聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて、聴聞の期日及び場所を公示しなければならない。
3 前項の聴聞の主宰者は、同項に規定する者又は同項の品種登録に係る育成者権に係る通常利用権者が当該聴聞に関する手続に参加することを求めたときは、行政手続法第17条第1項の規定による参加の許可をしなければならない。
4 育成者権は、第1項の規定により品種登録が取り消されたときは、消滅する。ただし、次の各号に掲げる場合は、育成者権は、当該各号に定める時に遡って消滅したものとみなす。
一 第1項第1号又は第4号に該当する場合 品種登録の時
二 第1項第3号に該当する場合 同号に該当するに至った時
三 第1項第5号に該当する場合 第45条第6項に規定する期間が経過した時
5 農林水産大臣は、第1項の規定による品種登録の取消しをしたときは、その旨を、当該品種登録に係る育成者権者に通知するとともに、公示しなければならない。
6 第1項第4号又は第5号の規定による品種登録の取消しについては、行政手続法第3章(第12条及び第14条を除く。)の規定は、適用しない。
第7節 雑則
第50条 日本国内に住所及び居所(法人にあっては、営業所)を有しない者の育成者権その他育成者権に関する権利については、農林水産省の所在地をもって民事訴訟法第5条第4号の財産の所在地とみなす。
第51条 品種登録についての審査請求については、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第18条の規定は、適用しない。
2 品種登録についての審査請求の審理を行うに当たっては、相当な期間をおいて、その旨を、当該品種登録に係る育成者権者又は専用利用権者その他登録した権利を有する者に通知をし、かつ、公示しなければならない。
3 行政不服審査法第11条第2項に規定する審理員は、前項の規定により通知を受けた者又は同項の品種登録に係る育成者権に係る通常利用権者が当該審査請求に参加することを求めたときは、これを許可しなければならない。
第52条 次に掲げる事項は、農林水産省に備える品種登録簿に登録する。
一 育成者権の設定、移転、消滅又は処分の制限
二 専用利用権の設定、保存、移転、変更、消滅又は処分の制限
三 育成者権又は専用利用権を目的とする質権の設定、移転、変更、消滅又は処分の制限
2 この法律に定めるもののほか、品種登録及び品種登録簿に関して必要な事項は、農林水産省令で定める。
第53条 何人も、農林水産大臣に対し、農林水産省令で定めるところにより、次に掲げる請求をすることができる。
一 品種登録出願及び登録品種に関する証明の請求
二 品種登録簿の謄本又は抄本の交付の請求
三 品種登録簿又は第5条第1項の願書若しくはこれに添付した写真その他の資料(農林水産大臣が秘密を保持する必要があると認めるものを除く。)の閲覧又は謄写の請求
2 品種登録簿又は第5条第1項の願書若しくはこれに添付した写真その他の資料(次項において「品種登録簿等」という。)については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)の規定は、適用しない。
3 品種登録簿等に記録されている保有個人情報(行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第58号)第2条第5項に規定する保有個人情報をいう。)については、同法第4章の規定は、適用しない。
第54条 前条第1項の規定による請求をする者は、実費を勘案して農林水産省令で定める額の手数料を納付しなければならない。
2 前項の規定は、同項の規定により手数料を納付すべき者が国であるときは、適用しない。
第55条 登録品種の種苗を業として譲渡する者は、その譲渡する登録品種の種苗又はその種苗の包装に、農林水産省令で定めるところにより、その種苗が品種登録されている旨の表示を付さなければならない。
2 登録品種の種苗の譲渡のための展示又は広告を業として行う者は、農林水産省令で定めるところにより、登録品種の種苗の譲渡のための展示をする場合にはその展示をする種苗又はその種苗の包装にその種苗が品種登録されている旨の表示を付し、登録品種の種苗の譲渡のための広告をする場合にはその広告にその旨を表示しなければならない。
第56条 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
一 登録品種以外の品種の種苗又はその種苗の包装にその種苗が品種登録されている旨の表示又はこれと紛らわしい表示を付する行為
二 登録品種以外の品種の種苗であって、その種苗又はその種苗の包装にその種苗が品種登録されている旨の表示又はこれと紛らわしい表示を付したものの譲渡又は譲渡のための展示をする行為
三 登録品種以外の品種の種苗を譲渡するため、広告にその種苗が品種登録されている旨を表示し、又はこれと紛らわしい表示をする行為
第57条 新品種の保護に関し条約に別段の定めがあるときは、その規定による。
第57条の2 この法律の規定による公示は、官報に掲載してするものとする。
2 農林水産大臣は、この法律の規定による公示をしたときは、当該公示をした年月日及びその内容をインターネットの利用その他の方法により公表するものとする。
第3章 指定種苗
第58条 種苗業者は、農林水産省令で定めるところにより、次に掲げる事項を農林水産大臣に届け出なければならない。ただし、農林水産省令で定める種苗業者については、この限りでない。
一 氏名又は名称及び住所
二 取り扱う指定種苗の種類
三 その他農林水産省令で定める事項
2 前項の事項中に変更を生じたときも、また同項と同様とする。
3 前二項の規定による届出は、新たに営業を開始した場合にあってはその開始後2週間以内に、第1項の事項中に変更を生じた場合にあってはその変更を生じた後2週間以内にこれをしなければならない。
第59条 指定種苗は、その包装に次に掲げる事項を表示したもの又は当該事項を表示する証票を添付したものでなければ、販売してはならない。ただし、掲示その他見やすい方法をもってその指定種苗につき第1号から第4号まで及び第6号に掲げる事項を表示する場合又は種苗業者以外の者が販売する場合は、この限りでない。
一 表示をした種苗業者の氏名又は名称及び住所
二 種類及び品種(接木した苗木にあっては、穂木及び台木の種類及び品種)(品種が判明しない場合には、その旨)
三 生産地
四 種子については、採種の年月又は有効期限及び発芽率
五 数量
六 その他農林水産省令で定める事項
2 前項第3号に掲げる生産地の表示は、国内産のものにあっては当該生産地の属する都道府県名をもって、外国産のものにあっては当該生産地の属する国名をもってこれをしなければならない。
3 前二項に規定するもののほか、需要者が自然的経済的条件に適合した品種の種苗を選択するに際しその品種の栽培適地、用途その他の栽培上又は利用上の特徴を識別するための表示が必要であると認められる指定種苗については、農林水産大臣は、その識別のため表示すべき事項その他の当該表示に関し種苗業者が遵守すべき基準を定め、これを公表するものとする。
4 農林水産大臣は、前項の規定により定められた基準を遵守しない種苗業者があるときは、その者に対し、その基準を遵守すべき旨の勧告をすることができる。
第60条 農林水産大臣は、前条第1項及び第2項の規定に違反した種苗業者に対し、同条第1項各号に掲げる事項を表示し、若しくは当該事項の表示を変更すべき旨を命じ、又はその違反行為に係る指定種苗の販売を禁止することができる。
2 農林水産大臣は、前条第4項の規定による勧告を受けた種苗業者がその勧告に従わなかったときは、当該種苗業者に対し、期限を定めて、同条第3項の基準を遵守すべきことを命ずることができる。
第61条 農林水産大臣は、優良な品質の指定種苗の流通を確保するため特に必要があると認められるときは、当該指定種苗の生産、調整、保管又は包装について当該指定種苗の生産を業とする者及び種苗業者が遵守すべき基準を定め、これを公表するものとする。
2 農林水産大臣は、前項の規定により定められた基準を遵守しない指定種苗の生産を業とする者又は種苗業者があるときは、これらの者に対し、その基準を遵守すべき旨の勧告をすることができる。
3 農林水産大臣は、前項の勧告に従わない指定種苗の生産を業とする者又は種苗業者があるときは、その旨を公表することができる。
第62条 農林水産大臣は、その職員に、種苗業者から検査のために必要な数量の指定種苗を集取させることができる。ただし、時価によってその対価を支払わなければならない。
2 前項の場合において種苗業者の要求があったときは、その職員は、その身分を示す証明書を提示しなければならない。
第63条 農林水産大臣は、必要があると認めるときは、農林水産省令で定める区分により、研究機構又は独立行政法人家畜改良センター(以下「研究機構等」という。)に、種苗業者から検査のために必要な数量の指定種苗を集取させることができる。ただし、時価によってその対価を支払わなければならない。
2 農林水産大臣は、前項の規定により研究機構等に集取を行わせる場合には、研究機構等に対し、当該集取の期日、場所その他必要な事項を示してこれを実施すべきことを指示するものとする。
3 研究機構等は、前項の指示に従って第1項の集取を行ったときは、農林水産省令の定めるところにより、同項の規定により得た検査の結果を農林水産大臣に報告しなければならない。
4 第1項の場合において種苗業者の要求があったときは、同項の規定により集取をする研究機構等の職員は、その身分を示す証明書を提示しなければならない。
第64条 農林水産大臣は、前条第1項の集取の業務の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、研究機構等に対し、当該業務に関し必要な命令をすることができる。
第65条 農林水産大臣は、この法律の施行に必要な限度において、種苗業者に対し、その業務に関し必要な報告を命じ、又は帳簿その他の書類の提出を命ずることができる。
第66条 第59条第4項、第60条、第61条第2項及び第3項、第62条並びに前条に規定する農林水産大臣の権限に属する事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる。
2 この章に規定する農林水産大臣の権限は、農林水産省令で定めるところにより、その一部を地方農政局長に委任することができる。
第4章 罰則
第67条 育成者権又は専用利用権を侵害した者は、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第68条 詐欺の行為により品種登録を受けた者は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。
第69条 第56条の規定に違反した者は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。
第70条 秘密保持命令に違反した者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
3 第1項の罪は、日本国外において同項の罪を犯した者にも適用する。
第71条 次の各号のいずれかに該当する者は、50万円以下の罰金に処する。
一 第59条第1項及び第2項の規定により表示すべき事項について虚偽の表示をした指定種苗を販売した者
二 第60条第1項又は第2項の規定による処分に違反して指定種苗を販売した者
第72条 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
一 第58条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 正当な理由がないのに第62条第1項又は第63条第1項の集取を拒み、妨げ、又は忌避した者
三 第65条の規定による報告若しくは書類の提出をせず、又は虚偽の報告をし、若しくは虚偽の書類を提出した者
第73条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
一 第67条又は第70条第1項 3億円以下の罰金刑
二 第68条又は第69条 1億円以下の罰金刑
三 第71条又は前条第1号若しくは第3号 各本条の罰金刑
2 前項の場合において、当該行為者に対してした第70条第2項の告訴は、その法人又は人に対しても効力を生じ、その法人又は人に対してした告訴は、当該行為者に対しても効力を生ずるものとする。
3 第1項の規定により第67条又は第70条第1項の違反行為につき法人又は人に罰金刑を科する場合における時効の期間は、これらの規定の罪についての時効の期間による。
第74条 第15条第6項(第47条第3項において準用する場合を含む。)又は第64条の規定による命令に違反した場合には、その違反行為をした研究機構等の役員は、20万円以下の過料に処する。
第75条 次の各号のいずれかに該当する者は、10万円以下の過料に処する。
一 第21条の2第5項又は第6項の規定に違反した者
二 第22条の規定に違反した者
三 第55条の規定に違反した者(第1号の規定に該当する者を除く。)
第1条 この法律は、1972年11月10日、1978年10月23日及び1991年3月19日にジュネーヴで改正された1961年12月2日の植物の新品種の保護に関する国際条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。ただし、次条の規定は、公布の日から施行する。
第2条 改正後の種苗法(以下「新法」という。)第2条第6項に規定する重要な形質の指定については、農林水産大臣は、この法律の施行前においても農業資材審議会の意見を聴くことができる。
第3条 この法律の施行の際現に改正前の種苗法(以下「旧法」という。)第7条第1項の規定による登録の出願がされている品種については、当該出願の日に新法第5条第1項の品種登録出願がされたものとみなす。この場合において、新法第4条第2項中「品種登録出願の日から1年さかのぼった日前」とあるのは「品種登録出願の日前」と、新法第13条第1項中「品種登録出願を受理したとき」とあるのは「この法律が施行されたとき」と、新法第17条第1項中「該当するとき」とあるのは「該当するとき又はその出願品種が種苗法(昭和22年法律第115号)第1条の2第1項に規定する農林水産植物の種類に属する品種でないとき」と読み替えるものとする。
2 農林水産大臣は、新法の適用上必要と認められる範囲内において、前項の規定により新法第5条第1項の品種登録出願がされたものとみなされた品種についての出願者に対し、相当の期間を指定して、品種登録出願の補正をすべきことを命ずることができる。この場合において、新法第12条第2項中「前項」とあるのは「附則第3条第2項」と、新法第13条第1項中「品種登録出願を受理したとき(前条第1項」とあるのは「この法律が施行されたとき(附則第3条第2項」と読み替えるものとする。
第4条 この法律の施行の際現に旧法第12条の4第1項の規定による品種登録を受けている品種で同条第2項の有効期間が満了していないものについては、当該期間が満了するまでの間は、その品種について新法第19条第1項の規定による育成者権が発生しているものとみなす。この場合において、新法第38条第1項中「第19条第2項に規定する存続期間の満了までの各年」とあるのは、「種苗法(昭和22年法律第115号)第12条の4第2項の有効期間が満了するまでの各年」と読み替えるものとする。
2 前項の規定により育成者権が発生しているものとみなされた品種についてこの法律の施行の際現に旧法第12条の5第2項第7号に該当している使用者等又はその一般承継人については、新法第8条第3項の規定による通常利用権を有するものとみなす。
3 第1項の規定により育成者権が発生しているものとみなされた品種についてこの法律の施行の際現にされている旧法第12条の5第2項第1号の許諾は、新法第26条第1項の規定による通常利用権の許諾とみなす。
第5条 附則第3条第1項の規定により新法第5条第1項の品種登録出願がされたものとみなされた品種のうち、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)の施行前に旧法第7条第1項の規定による登録の出願があったものについては、新法第4条第1項中「次の各号のいずれか」とあるのは「第1号、第2号又は第4号」と、新法第16条第1項中「第4条第1項各号のいずれか」とあるのは「第4条第1項第1号、第2号又は第4号」と、新法第41条第1項中「第4条第1項第2号から第4号までのいずれか」とあるのは「第4条第1項第2号又は第4号」と読み替えるものとする。
2 前条第1項の規定により育成者権が発生しているものとみなされた品種のうち、商標法の一部を改正する法律の施行前に旧法第7条第1項の規定による登録の出願があったものについては、新法第41条第1項中「第4条第1項第2号から第4号までのいずれか」とあるのは、「第4条第1項第2号又は第4号」と読み替えるものとする。
3 前二項の規定の適用を受ける品種の名称を表示する商標の当該品種の種苗についての使用については、商標法の一部を改正する法律による改正後の商標法(昭和34年法律第127号)第37条の規定にかかわらず、なお従前の例による。ただし、第1項の規定の適用を受ける品種について登録がされないことが確定したときは、この限りでない。
第6条 新法第20条第2項第1号に該当する品種であって、この法律の施行前に育成されたものについては、同項の規定にかかわらず、同項の育成者権者の権利は及ばないものとする。
2 前項の規定の適用を受ける新法第20条第2項第1号に該当する品種については、新法第14条第1項の規定にかかわらず、その利用に対する補償金の支払を請求することができないものとする。
第7条 この法律の施行の際現に登録品種等の種苗を用いて農業を営んでいる者で新法第21条第2項の政令で定めるものに該当するものについては、当該種苗を最初に育成者権者、専用利用権者又は通常利用権者により譲渡された登録品種等の種苗とみなして、同項の規定を適用する。
第8条 この法律の施行前に旧法第12条の12第2項の規定により納付された各年分の登録料は、新法第38条第1項の規定により納付された当該各年分の登録料とみなす。
2 この法律の施行前に旧法第12条の4第1項の規定による品種登録を受けた品種であってこの法律の施行の際旧法第12条の12第4項に規定する期間が経過していないものに係る第1年分の登録料については、新法第38条第1項の規定にかかわらず、なお従前の例による。
第9条 この法律の施行の際現に旧法第1条の2第2項の規定により農林水産大臣の指定を受けている種苗は、新法第2条第5項の規定により農林水産大臣が指定した種苗とみなす。
2 この法律の施行前に旧法第2条第1項及び第2項の規定による届出をした者(農産種苗法の一部を改正する法律(昭和53年法律第89号)附則第3条の規定により旧法第2条第1項及び第2項の規定による届出をしたものとみなされた者を含む。)は、新法第49条第1項及び第2項による届出をしたものとみなす。
3 この法律の施行の際現に旧法第3条第3項の規定により定められている基準は、新法第50条第3項の規定により定められた基準とみなす。
4 この法律の施行前に旧法第3条第4項の規定によりされた勧告は、新法第50条第4項の規定によりされた勧告とみなす。
5 この法律の施行の際現に旧法第5条第1項の規定により定められている基準は、新法第52条第1項の規定により定められた基準とみなす。
6 この法律の施行前に旧法第5条第2項の規定によりされた勧告は、新法第52条第2項の規定によりされた勧告とみなす。
第10条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第11条 附則第3条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
第1条 この法律は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号。以下「情報公開法」という。)の施行の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一~三 略
四 第13条の規定 種苗法(平成10年法律第83号)又はこの法律の施行の日のうちいずれか遅い日
第1条 この法律は、平成12年4月1日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第1条中地方自治法第250条の次に五条、節名並びに二款及び款名を加える改正規定(同法第250条の9第1項に係る部分(両議院の同意を得ることに係る部分に限る。)に限る。)、第40条中自然公園法附則第9項及び第10項の改正規定(同法附則第10項に係る部分に限る。)、第244条の規定(農業改良助長法第14条の3の改正規定に係る部分を除く。)並びに第472条の規定(市町村の合併の特例に関する法律第6条、第8条及び第17条の改正規定に係る部分を除く。)並びに附則第7条、第10条、第12条、第59条ただし書、第60条第4項及び第5項、第73条、第77条、第157条第4項から第6項まで、第160条、第163条、第164条並びに第202条の規定 公布の日
第159条 この法律による改正前のそれぞれの法律に規定するもののほか、この法律の施行前において、地方公共団体の機関が法律又はこれに基づく政令により管理し又は執行する国、他の地方公共団体その他公共団体の事務(附則第161条において「国等の事務」という。)は、この法律の施行後は、地方公共団体が法律又はこれに基づく政令により当該地方公共団体の事務として処理するものとする。
第160条 この法律(附則第1条各号に掲げる規定については、当該各規定。以下この条及び附則第163条において同じ。)の施行前に改正前のそれぞれの法律の規定によりされた許可等の処分その他の行為(以下この条において「処分等の行為」という。)又はこの法律の施行の際現に改正前のそれぞれの法律の規定によりされている許可等の申請その他の行為(以下この条において「申請等の行為」という。)で、この法律の施行の日においてこれらの行為に係る行政事務を行うべき者が異なることとなるものは、附則第2条から前条までの規定又は改正後のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の経過措置に関する規定に定めるものを除き、この法律の施行の日以後における改正後のそれぞれの法律の適用については、改正後のそれぞれの法律の相当規定によりされた処分等の行為又は申請等の行為とみなす。
2 この法律の施行前に改正前のそれぞれの法律の規定により国又は地方公共団体の機関に対し報告、届出、提出その他の手続をしなければならない事項で、この法律の施行の日前にその手続がされていないものについては、この法律及びこれに基づく政令に別段の定めがあるもののほか、これを、改正後のそれぞれの法律の相当規定により国又は地方公共団体の相当の機関に対して報告、届出、提出その他の手続をしなければならない事項についてその手続がされていないものとみなして、この法律による改正後のそれぞれの法律の規定を適用する。
第161条 施行日前にされた国等の事務に係る処分であって、当該処分をした行政庁(以下この条において「処分庁」という。)に施行日前に行政不服審査法に規定する上級行政庁(以下この条において「上級行政庁」という。)があったものについての同法による不服申立てについては、施行日以後においても、当該処分庁に引き続き上級行政庁があるものとみなして、行政不服審査法の規定を適用する。この場合において、当該処分庁の上級行政庁とみなされる行政庁は、施行日前に当該処分庁の上級行政庁であった行政庁とする。
2 前項の場合において、上級行政庁とみなされる行政庁が地方公共団体の機関であるときは、当該機関が行政不服審査法の規定により処理することとされる事務は、新地方自治法第2条第9項第1号に規定する第1号法定受託事務とする。
第163条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第164条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
第250条 新地方自治法第2条第9項第1号に規定する第1号法定受託事務については、できる限り新たに設けることのないようにするとともに、新地方自治法別表第一に掲げるもの及び新地方自治法に基づく政令に示すものについては、地方分権を推進する観点から検討を加え、適宜、適切な見直しを行うものとする。
第251条 政府は、地方公共団体が事務及び事業を自主的かつ自立的に執行できるよう、国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源の充実確保の方途について、経済情勢の推移等を勘案しつつ検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
第1条 この法律は、平成12年4月1日から施行する。ただし、附則第8条の規定は、この法律の公布の日又は行政機関の保有する情報の公開に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成11年法律第43号)の公布の日のいずれか遅い日から施行する。
第1条 この法律(第2条及び第3条を除く。)は、平成13年1月6日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第995条(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律附則の改正規定に係る部分に限る。)、第1305条、第1306条、第1324条第2項、第1326条第2項及び第1344条の規定 公布の日
第1条 この法律は、平成13年1月6日から施行する。ただし、第10条第2項及び附則第7条から第9条までの規定は、同日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
第9条 前条の規定の施行の際現に同条の規定による改正前の種苗法(以下「旧法」という。)第15条第2項又は第40条第2項の規定により農林水産大臣の職員に行わせている栽培試験は、前条の規定による改正後の種苗法(以下「新法」という。)第15条第2項又は第40条第2項の規定によりセンターに行わせている栽培試験とみなす。
2 前条の規定の施行の日前に旧法第15条第2項又は第40条第2項の規定により農林水産大臣の職員に行わせた栽培試験は、新法第15条第2項又は第40条第2項の規定によりセンターに行わせた栽培試験とみなす。
3 前条の規定の施行の日前に旧法第15条第3項(旧法第40条第3項において準用する場合を含む。)の規定により農林水産大臣が依頼した栽培試験は、新法第15条第5項(新法第40条第3項において準用する場合を含む。)の規定によりセンターが依頼した栽培試験とみなす。
第1条 この法律は、平成13年1月6日から施行する。ただし、第10条第2項及び附則第7条から第10条までの規定は、同日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
第1条 この法律(第1条を除く。)は、平成13年1月6日から施行する。
第4条 前二条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。
第1条 この法律は、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成14年法律第151号)の施行の日から施行する。
第4条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第5条 前三条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
第1条 この法律は、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の施行の日から施行する。
第4条 前二条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
この法律は、公布の日から起算して20日を経過した日から施行する。
第1条 この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
第1条 この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第19条第2項の改正規定及び附則第3条の規定は、公布の日から施行する。
第2条 この法律の施行前に日本国内において生産され、又は輸入されたこの法律による改正後の種苗法(以下「新法」という。)第2条第4項に規定する加工品については、育成者権の効力は及ばないものとする。
第3条 新法第19条第2項の規定は、この法律の施行後に品種登録を受ける品種に係る育成者権について適用し、この法律の施行前に品種登録を受けた品種に係る育成者権については、なお従前の例による。
この法律は、一般社団・財団法人法の施行の日から施行する。
第1条 この法律は、平成19年12月1日から施行する。ただし、附則第6条の規定は、公布の日から施行する。
第2条 この法律による改正後の種苗法(以下「新法」という。)第2章第5節(新法第14条第5項において準用する場合を含む。)の規定は、別段の定めがある場合を除き、この法律の施行前に生じた事項にも適用する。ただし、この法律による改正前の種苗法(以下「旧法」という。)第2章第5節(旧法第14条第5項において準用する場合を含む。)の規定により生じた効力を妨げない。
第3条 新法第34条第1項及び第39条の規定は、この法律の施行前に、第二審である高等裁判所又は地方裁判所における口頭弁論が終結した事件及び簡易裁判所の判決又は地方裁判所が第一審としてした判決に対して上告をする権利を留保して控訴をしない旨の合意をした事件については、適用しない。
2 新法第40条から第42条までの規定は、この法律の施行前に、訴訟の完結した事件、第二審である高等裁判所又は地方裁判所における口頭弁論が終結した事件及び簡易裁判所の判決又は地方裁判所が第一審としてした判決に対して上告をする権利を留保して控訴をしない旨の合意をした事件については、適用しない。
第5条 この法律の施行前に犯した罪の公訴時効の期間については、新法第73条第3項の規定にかかわらず、なお従前の例による。
第6条 附則第2条から前条までに規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
第7条 政府は、この法律の施行後5年を経過した場合において、新法の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、新法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
第1条 この法律は、公布の日から起算して20日を経過した日から施行する。
第1条 この法律は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)の施行の日から施行する。
第5条 行政庁の処分その他の行為又は不作為についての不服申立てであってこの法律の施行前にされた行政庁の処分その他の行為又はこの法律の施行前にされた申請に係る行政庁の不作為に係るものについては、この附則に特別の定めがある場合を除き、なお従前の例による。
第6条 この法律による改正前の法律の規定により不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の行為を経た後でなければ訴えを提起できないこととされる事項であって、当該不服申立てを提起しないでこの法律の施行前にこれを提起すべき期間を経過したもの(当該不服申立てが他の不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の行為を経た後でなければ提起できないとされる場合にあっては、当該他の不服申立てを提起しないでこの法律の施行前にこれを提起すべき期間を経過したものを含む。)の訴えの提起については、なお従前の例による。
2 この法律の規定による改正前の法律の規定(前条の規定によりなお従前の例によることとされる場合を含む。)により異議申立てが提起された処分その他の行為であって、この法律の規定による改正後の法律の規定により審査請求に対する裁決を経た後でなければ取消しの訴えを提起することができないこととされるものの取消しの訴えの提起については、なお従前の例による。
3 不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の行為の取消しの訴えであって、この法律の施行前に提起されたものについては、なお従前の例による。
第9条 この法律の施行前にした行為並びに附則第5条及び前二条の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第10条 附則第5条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
第1条 この法律は、平成28年4月1日から施行する。
第24条 前条の規定の施行の際現に同条の規定による改正前の種苗法(以下この条において「旧種苗法」という。)第15条第2項又は第47条第2項の規定により種苗管理センターに行わせている栽培試験は、前条の規定による改正後の種苗法(以下この条において「新種苗法」という。)第15条第2項又は第47条第2項の規定により研究機構に行わせている栽培試験とみなす。
2 施行日前に旧種苗法第15条第2項又は第47条第2項の規定により種苗管理センターに行わせた栽培試験は、新種苗法第15条第2項又は第47条第2項の規定により研究機構に行わせた栽培試験とみなす。
3 施行日前に旧種苗法第15条第5項(旧種苗法第47条第3項において準用する場合を含む。)の規定により種苗管理センターが依頼した栽培試験は、新種苗法第15条第5項(新種苗法第47条第3項において準用する場合を含む。)の規定により研究機構が依頼した栽培試験とみなす。
第1条 この法律は、公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
この法律は、民法改正法の施行の日から施行する。ただし、第103条の2、第103条の3、第267条の2、第267条の3及び第362条の規定は、公布の日から施行する。
第1条 この法律は、令和3年4月1日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 目次の改正規定(「第57条」を「第57条の2」に改める部分に限る。)、第10条に一号を加える改正規定及び第2章第7節中第57条の次に一条を加える改正規定並びに附則第7条の規定 公布の日
二 第3条の改正規定、第4条の改正規定、第5条の改正規定、第6条第1項の改正規定、第15条の改正規定及び同条の次に三条を加える改正規定、第17条の改正規定、同条の次に一条を加える改正規定、第18条の改正規定、第21条の改正規定、第35条の次に二条を加える改正規定、第45条第1項の改正規定、第47条の改正規定並びに第74条の改正規定並びに附則第5条、第10条及び第11条の規定 令和4年4月1日
第2条 この法律による改正後の種苗法(以下「新法」という。)第10条の2の規定は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後に新法第5条第1項(前条第2号に掲げる規定の施行の日(附則第4条及び第5条において「第2号施行日」という。)前にあっては、この法律による改正前の種苗法(以下「旧法」という。)第5条第1項)の規定による品種登録の出願をする日本国内に住所及び居所(法人にあっては、営業所)を有しない者(以下この条において「在外者」という。)について適用し、施行日前に旧法第5条第1項の規定による品種登録の出願をした在外者については、なお従前の例による。
第3条 この法律の施行の際現に旧法第5条第1項の規定による品種登録の出願をしている者及び旧法第18条第1項の規定による品種登録を受けている者は、新法第21条の2第1項の規定にかかわらず、施行日から起算して6月を経過する日までの間に限り、同項(第1号に係る部分に限る。)の規定による届出をすることができる。
2 前項の届出が種苗法第13条第1項の規定による公示後旧法第18条第3項の規定による公示前にされた場合における新法第21条の2第3項の規定の適用については、同項中「第13条第1項又は」とあるのは「直ちに、当該出願品種に係る第13条第1項第1号から第4号までに掲げる事項及び当該届出に係る事項を公示するとともに、」と、「これらの公示と併せて、それぞれ第13条第1項第1号から第4号までに掲げる事項及び当該届出に係る事項(前項の規定による届出があった場合には、当該届出に係る変更後の事項。以下この項及び次項並びに第21条の4第3項において同じ。)又は第18条第2項第1号」とあるのは「当該公示と併せて同条第2項第1号」とする。
3 第1項の届出が旧法第18条第3項の規定による公示後にされた場合における新法第21条の2第3項及び第4項の規定の適用については、同条第3項中「第13条第1項又は第18条第3項の規定による公示の際、これらの公示と併せて、それぞれ第13条第1項第1号から第4号までに掲げる事項及び当該届出に係る事項(前項の規定による届出があった場合には、当該届出に係る変更後の事項。以下この項及び次項並びに第21条の4第3項において同じ。)又は第18条第2項第1号」とあるのは「直ちに、当該登録品種に係る第18条第2項第1号」と、同条第4項中「公示(第18条第3項の規定による公示と併せてされたものに限る。)」とあるのは「公示」とする。
第4条 施行日から第2号施行日の前日までの間における新法第21条の2第1項及び第7項の規定の適用については、同条第1項第1号イ及びロ中「前条第2項ただし書」とあるのは「前条第4項ただし書」と、同条第7項中「前条第2項本文」とあるのは「前条第4項本文」とする。
第6条 施行日前に旧法第32条第5項の規定により登録された通常利用権の移転、変更、消滅若しくは処分の制限又は通常利用権を目的とする質権の設定、移転、変更、消滅若しくは処分の制限については、なお従前の例による。
2 新法第32条の2の規定は、施行日以後に通常利用権に係る育成者権若しくは専用利用権又はその育成者権についての専用利用権を取得した者について適用し、施行日前にこれらの権利を取得した者については、なお従前の例による。
第7条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
第8条 政府は、この法律の施行後5年を目途として、この法律による改正後の規定の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、当該規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。