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裁判の迅速化に関する法律

平成15年法律第107号
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(目的)

第1条 この法律は、司法を通じて権利利益が適切に実現されることその他の求められる役割を司法が十全に果たすために公正かつ適正で充実した手続の下で裁判が迅速に行われることが不可欠であること、内外の社会経済情勢等の変化に伴い、裁判がより迅速に行われることについての国民の要請にこたえることが緊要となっていること等にかんがみ、裁判の迅速化に関し、その趣旨、国の責務その他の基本となる事項を定めることにより、第一審の訴訟手続をはじめとする裁判所における手続全体の一層の迅速化を図り、もって国民の期待にこたえる司法制度の実現に資することを目的とする。


(裁判の迅速化)

第2条 裁判の迅速化は、第一審の訴訟手続については2年以内のできるだけ短い期間内にこれを終局させ、その他の裁判所における手続についてもそれぞれの手続に応じてできるだけ短い期間内にこれを終局させることを目標として、充実した手続を実施すること並びにこれを支える制度及び体制の整備を図ることにより行われるものとする。

 裁判の迅速化に係る前項の制度及び体制の整備は、訴訟手続その他の裁判所における手続の整備、法曹人口の大幅な増加、裁判所及び検察庁の人的体制の充実、国民にとって利用しやすい弁護士の体制の整備等により行われるものとする。

 裁判の迅速化に当たっては、当事者の正当な権利利益が害されないよう、手続が公正かつ適正に実施されることが確保されなければならない。


(国の責務)

第3条 国は、裁判の迅速化(前条に規定する裁判の迅速化をいう。以下同じ。)を推進するため必要な施策を策定し、及び実施する責務を有する。


(法制上の措置等)

第4条 政府は、前条の施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。


(日本弁護士連合会の責務)

第5条 日本弁護士連合会は、弁護士の使命及び職務の重要性にかんがみ、裁判の迅速化に関し、国民による弁護士の利用を容易にするための弁護士の態勢の整備その他の弁護士の体制の整備に努めるものとする。


(裁判所の責務)

第6条 受訴裁判所その他の裁判所における手続を実施する者は、充実した手続を実施することにより、可能な限り裁判の迅速化に係る第2条第1項の目標を実現するよう努めるものとする。


(当事者等の責務)

第7条 当事者、代理人、弁護人その他の裁判所における手続において手続上の行為を行う者(次項において「当事者等」という。)は、可能な限り裁判の迅速化に係る第2条第1項の目標が実現できるよう、手続上の権利は、誠実にこれを行使しなければならない。

 前項の規定は、当事者等の正当な権利の行使を妨げるものと解してはならない。


(最高裁判所による検証)

第8条 最高裁判所は、裁判の迅速化を推進するため必要な事項を明らかにするため、裁判所における手続に要した期間の状況、その長期化の原因その他必要な事項についての調査及び分析を通じて、裁判の迅速化に係る総合的、客観的かつ多角的な検証を行い、その結果を、2年ごとに、国民に明らかにするため公表するものとする。

 前項の検証の結果については、第3条の規定による国の施策の策定及び実施に当たって、適切な活用が図られなければならない。

附 則
(施行期日)

 この法律は、公布の日から施行する。

(最高裁判所による検証の結果の最初の公表)

 第8条の規定による検証の結果の最初の公表は、この法律の施行の日から2年以内に行うものとする。

(検討)

 政府は、この法律の施行後10年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

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