公文書等の管理に関する法律
第1章 総則
第1条 この法律は、国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることにかんがみ、国民主権の理念にのっとり、公文書等の管理に関する基本的事項を定めること等により、行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする。
第2条 この法律において「行政機関」とは、次に掲げる機関をいう。
一 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。)及び内閣の所轄の下に置かれる機関
二 内閣府、宮内庁並びに内閣府設置法(平成11年法律第89号)第49条第1項及び第2項に規定する機関(これらの機関のうち第4号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)
三 国家行政組織法(昭和23年法律第120号)第3条第2項に規定する機関(第5号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)
四 内閣府設置法第39条及び第55条並びに宮内庁法(昭和22年法律第70号)第16条第2項の機関並びに内閣府設置法第40条及び第56条(宮内庁法第18条第1項において準用する場合を含む。)の特別の機関で、政令で定めるもの
五 国家行政組織法第8条の2の施設等機関及び同法第8条の3の特別の機関で、政令で定めるもの
六 会計検査院
2 この法律において「独立行政法人等」とは、独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第1項に規定する独立行政法人及び別表第一に掲げる法人をいう。
3 この法律において「国立公文書館等」とは、次に掲げる施設をいう。
一 独立行政法人国立公文書館(以下「国立公文書館」という。)の設置する公文書館
二 行政機関の施設及び独立行政法人等の施設であって、前号に掲げる施設に類する機能を有するものとして政令で定めるもの
4 この法律において「行政文書」とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書(図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)を含む。第19条を除き、以下同じ。)であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう。ただし、次に掲げるものを除く。
一 官報、白書、新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもの
二 特定歴史公文書等
三 政令で定める研究所その他の施設において、政令で定めるところにより、歴史的若しくは文化的な資料又は学術研究用の資料として特別の管理がされているもの(前号に掲げるものを除く。)
5 この法律において「法人文書」とは、独立行政法人等の役員又は職員が職務上作成し、又は取得した文書であって、当該独立行政法人等の役員又は職員が組織的に用いるものとして、当該独立行政法人等が保有しているものをいう。ただし、次に掲げるものを除く。
一 官報、白書、新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもの
二 特定歴史公文書等
三 政令で定める博物館その他の施設において、政令で定めるところにより、歴史的若しくは文化的な資料又は学術研究用の資料として特別の管理がされているもの(前号に掲げるものを除く。)
四 別表第二の上欄に掲げる独立行政法人等が保有している文書であって、政令で定めるところにより、専ら同表下欄に掲げる業務に係るものとして、同欄に掲げる業務以外の業務に係るものと区分されるもの
6 この法律において「歴史公文書等」とは、歴史資料として重要な公文書その他の文書をいう。
7 この法律において「特定歴史公文書等」とは、歴史公文書等のうち、次に掲げるものをいう。
一 第8条第1項の規定により国立公文書館等に移管されたもの
二 第11条第4項の規定により国立公文書館等に移管されたもの
三 第14条第4項の規定により国立公文書館の設置する公文書館に移管されたもの
四 法人その他の団体(国及び独立行政法人等を除く。以下「法人等」という。)又は個人から国立公文書館等に寄贈され、又は寄託されたもの
8 この法律において「公文書等」とは、次に掲げるものをいう。
一 行政文書
二 法人文書
三 特定歴史公文書等
第3条 公文書等の管理については、他の法律又はこれに基づく命令に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。
第2章 行政文書の管理
第1節 文書の作成
第4条 行政機関の職員は、第1条の目的の達成に資するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、次に掲げる事項その他の事項について、文書を作成しなければならない。
一 法令の制定又は改廃及びその経緯
二 前号に定めるもののほか、閣議、関係行政機関の長で構成される会議又は省議(これらに準ずるものを含む。)の決定又は了解及びその経緯
三 複数の行政機関による申合せ又は他の行政機関若しくは地方公共団体に対して示す基準の設定及びその経緯
四 個人又は法人の権利義務の得喪及びその経緯
五 職員の人事に関する事項
第2節 行政文書の整理等
第5条 行政機関の職員が行政文書を作成し、又は取得したときは、当該行政機関の長は、政令で定めるところにより、当該行政文書について分類し、名称を付するとともに、保存期間及び保存期間の満了する日を設定しなければならない。
2 行政機関の長は、能率的な事務又は事業の処理及び行政文書の適切な保存に資するよう、単独で管理することが適当であると認める行政文書を除き、適時に、相互に密接な関連を有する行政文書(保存期間を同じくすることが適当であるものに限る。)を一の集合物(以下「行政文書ファイル」という。)にまとめなければならない。
3 前項の場合において、行政機関の長は、政令で定めるところにより、当該行政文書ファイルについて分類し、名称を付するとともに、保存期間及び保存期間の満了する日を設定しなければならない。
4 行政機関の長は、第1項及び前項の規定により設定した保存期間及び保存期間の満了する日を、政令で定めるところにより、延長することができる。
5 行政機関の長は、行政文書ファイル及び単独で管理している行政文書(以下「行政文書ファイル等」という。)について、保存期間(延長された場合にあっては、延長後の保存期間。以下同じ。)の満了前のできる限り早い時期に、保存期間が満了したときの措置として、歴史公文書等に該当するものにあっては政令で定めるところにより国立公文書館等への移管の措置を、それ以外のものにあっては廃棄の措置をとるべきことを定めなければならない。
第6条 行政機関の長は、行政文書ファイル等について、当該行政文書ファイル等の保存期間の満了する日までの間、その内容、時の経過、利用の状況等に応じ、適切な保存及び利用を確保するために必要な場所において、適切な記録媒体により、識別を容易にするための措置を講じた上で保存しなければならない。
2 前項の場合において、行政機関の長は、当該行政文書ファイル等の集中管理の推進に努めなければならない。
第7条 行政機関の長は、行政文書ファイル等の管理を適切に行うため、政令で定めるところにより、行政文書ファイル等の分類、名称、保存期間、保存期間の満了する日、保存期間が満了したときの措置及び保存場所その他の必要な事項(行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号。以下「行政機関情報公開法」という。)第5条に規定する不開示情報に該当するものを除く。)を帳簿(以下「行政文書ファイル管理簿」という。)に記載しなければならない。ただし、政令で定める期間未満の保存期間が設定された行政文書ファイル等については、この限りでない。
2 行政機関の長は、行政文書ファイル管理簿について、政令で定めるところにより、当該行政機関の事務所に備えて一般の閲覧に供するとともに、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により公表しなければならない。
第8条 行政機関の長は、保存期間が満了した行政文書ファイル等について、第5条第5項の規定による定めに基づき、国立公文書館等に移管し、又は廃棄しなければならない。
2 行政機関(会計検査院を除く。以下この項、第4項、次条第3項、第10条第3項、第30条及び第31条において同じ。)の長は、前項の規定により、保存期間が満了した行政文書ファイル等を廃棄しようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議し、その同意を得なければならない。この場合において、内閣総理大臣の同意が得られないときは、当該行政機関の長は、当該行政文書ファイル等について、新たに保存期間及び保存期間の満了する日を設定しなければならない。
3 行政機関の長は、第1項の規定により国立公文書館等に移管する行政文書ファイル等について、第16条第1項第1号に掲げる場合に該当するものとして国立公文書館等において利用の制限を行うことが適切であると認める場合には、その旨の意見を付さなければならない。
4 内閣総理大臣は、行政文書ファイル等について特に保存の必要があると認める場合には、当該行政文書ファイル等を保有する行政機関の長に対し、当該行政文書ファイル等について、廃棄の措置をとらないように求めることができる。
第9条 行政機関の長は、行政文書ファイル管理簿の記載状況その他の行政文書の管理の状況について、毎年度、内閣総理大臣に報告しなければならない。
2 内閣総理大臣は、毎年度、前項の報告を取りまとめ、その概要を公表しなければならない。
3 内閣総理大臣は、第1項に定めるもののほか、行政文書の適正な管理を確保するために必要があると認める場合には、行政機関の長に対し、行政文書の管理について、その状況に関する報告若しくは資料の提出を求め、又は当該職員に実地調査をさせることができる。
4 内閣総理大臣は、前項の場合において歴史公文書等の適切な移管を確保するために必要があると認めるときは、国立公文書館に、当該報告若しくは資料の提出を求めさせ、又は実地調査をさせることができる。
第10条 行政機関の長は、行政文書の管理が第4条から前条までの規定に基づき適正に行われることを確保するため、行政文書の管理に関する定め(以下「行政文書管理規則」という。)を設けなければならない。
2 行政文書管理規則には、行政文書に関する次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 作成に関する事項
二 整理に関する事項
三 保存に関する事項
四 行政文書ファイル管理簿に関する事項
五 移管又は廃棄に関する事項
六 管理状況の報告に関する事項
七 その他政令で定める事項
3 行政機関の長は、行政文書管理規則を設けようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議し、その同意を得なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
4 行政機関の長は、行政文書管理規則を設けたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。
第3章 法人文書の管理
第11条 独立行政法人等は、第4条から第6条までの規定に準じて、法人文書を適正に管理しなければならない。
2 独立行政法人等は、法人文書ファイル等(能率的な事務又は事業の処理及び法人文書の適切な保存に資するよう、相互に密接な関連を有する法人文書を一の集合物にまとめたもの並びに単独で管理している法人文書をいう。以下同じ。)の管理を適切に行うため、政令で定めるところにより、法人文書ファイル等の分類、名称、保存期間、保存期間の満了する日、保存期間が満了したときの措置及び保存場所その他の必要な事項(独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成13年法律第140号。以下「独立行政法人等情報公開法」という。)第5条に規定する不開示情報に該当するものを除く。)を帳簿(以下「法人文書ファイル管理簿」という。)に記載しなければならない。ただし、政令で定める期間未満の保存期間が設定された法人文書ファイル等については、この限りでない。
3 独立行政法人等は、法人文書ファイル管理簿について、政令で定めるところにより、当該独立行政法人等の事務所に備えて一般の閲覧に供するとともに、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により公表しなければならない。
4 独立行政法人等は、保存期間が満了した法人文書ファイル等について、歴史公文書等に該当するものにあっては政令で定めるところにより国立公文書館等に移管し、それ以外のものにあっては廃棄しなければならない。
5 独立行政法人等は、前項の規定により国立公文書館等に移管する法人文書ファイル等について、第16条第1項第2号に掲げる場合に該当するものとして国立公文書館等において利用の制限を行うことが適切であると認める場合には、その旨の意見を付さなければならない。
第12条 独立行政法人等は、法人文書ファイル管理簿の記載状況その他の法人文書の管理の状況について、毎年度、内閣総理大臣に報告しなければならない。
2 内閣総理大臣は、毎年度、前項の報告を取りまとめ、その概要を公表しなければならない。
第13条 独立行政法人等は、法人文書の管理が前二条の規定に基づき適正に行われることを確保するため、第10条第2項の規定を参酌して、法人文書の管理に関する定め(以下「法人文書管理規則」という。)を設けなければならない。
2 独立行政法人等は、法人文書管理規則を設けたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。
第4章 歴史公文書等の保存、利用等
第14条 国の機関(行政機関を除く。以下この条において同じ。)は、内閣総理大臣と協議して定めるところにより、当該国の機関が保有する歴史公文書等の適切な保存のために必要な措置を講ずるものとする。
2 内閣総理大臣は、前項の協議による定めに基づき、歴史公文書等について、国立公文書館において保存する必要があると認める場合には、当該歴史公文書等を保有する国の機関との合意により、その移管を受けることができる。
3 前項の場合において、必要があると認めるときは、内閣総理大臣は、あらかじめ、国立公文書館の意見を聴くことができる。
4 内閣総理大臣は、第2項の規定により移管を受けた歴史公文書等を国立公文書館の設置する公文書館に移管するものとする。
第15条 国立公文書館等の長(国立公文書館等が行政機関の施設である場合にあってはその属する行政機関の長、国立公文書館等が独立行政法人等の施設である場合にあってはその施設を設置した独立行政法人等をいう。以下同じ。)は、特定歴史公文書等について、第25条の規定により廃棄されるに至る場合を除き、永久に保存しなければならない。
2 国立公文書館等の長は、特定歴史公文書等について、その内容、保存状態、時の経過、利用の状況等に応じ、適切な保存及び利用を確保するために必要な場所において、適切な記録媒体により、識別を容易にするための措置を講じた上で保存しなければならない。
3 国立公文書館等の長は、特定歴史公文書等に個人情報(生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。)が記録されている場合には、当該個人情報の漏えいの防止のために必要な措置を講じなければならない。
4 国立公文書館等の長は、政令で定めるところにより、特定歴史公文書等の分類、名称、移管又は寄贈若しくは寄託をした者の名称又は氏名、移管又は寄贈若しくは寄託を受けた時期及び保存場所その他の特定歴史公文書等の適切な保存を行い、及び適切な利用に資するために必要な事項を記載した目録を作成し、公表しなければならない。
第16条 国立公文書館等の長は、当該国立公文書館等において保存されている特定歴史公文書等について前条第4項の目録の記載に従い利用の請求があった場合には、次に掲げる場合を除き、これを利用させなければならない。
一 当該特定歴史公文書等が行政機関の長から移管されたものであって、当該特定歴史公文書等に次に掲げる情報が記録されている場合
イ 行政機関情報公開法第5条第1号に掲げる情報
ロ 行政機関情報公開法第5条第2号又は第6号イ若しくはホに掲げる情報
ハ 公にすることにより、国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると当該特定歴史公文書等を移管した行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報
ニ 公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると当該特定歴史公文書等を移管した行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報
二 当該特定歴史公文書等が独立行政法人等から移管されたものであって、当該特定歴史公文書等に次に掲げる情報が記録されている場合
イ 独立行政法人等情報公開法第5条第1号に掲げる情報
ロ 独立行政法人等情報公開法第5条第2号又は第4号イからハまで若しくはトに掲げる情報
三 当該特定歴史公文書等が国の機関(行政機関を除く。)から移管されたものであって、当該国の機関との合意において利用の制限を行うこととされている場合
四 当該特定歴史公文書等がその全部又は一部を一定の期間公にしないことを条件に法人等又は個人から寄贈され、又は寄託されたものであって、当該期間が経過していない場合
五 当該特定歴史公文書等の原本を利用に供することにより当該原本の破損若しくはその汚損を生ずるおそれがある場合又は当該特定歴史公文書等を保存する国立公文書館等において当該原本が現に使用されている場合
2 国立公文書館等の長は、前項に規定する利用の請求(以下「利用請求」という。)に係る特定歴史公文書等が同項第1号又は第2号に該当するか否かについて判断するに当たっては、当該特定歴史公文書等が行政文書又は法人文書として作成又は取得されてからの時の経過を考慮するとともに、当該特定歴史公文書等に第8条第3項又は第11条第5項の規定による意見が付されている場合には、当該意見を参酌しなければならない。
3 国立公文書館等の長は、第1項第1号から第4号までに掲げる場合であっても、同項第1号イからニまで若しくは第2号イ若しくはロに掲げる情報又は同項第3号の制限若しくは同項第4号の条件に係る情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは、利用請求をした者に対し、当該部分を除いた部分を利用させなければならない。ただし、当該部分を除いた部分に有意の情報が記録されていないと認められるときは、この限りでない。
第17条 国立公文書館等の長は、前条第1項第1号イ及び第2号イの規定にかかわらず、これらの規定に掲げる情報により識別される特定の個人(以下この条において「本人」という。)から、当該情報が記録されている特定歴史公文書等について利用請求があった場合において、政令で定めるところにより本人であることを示す書類の提示又は提出があったときは、本人の生命、健康、生活又は財産を害するおそれがある情報が記録されている場合を除き、当該特定歴史公文書等につきこれらの規定に掲げる情報が記録されている部分についても、利用させなければならない。
第18条 利用請求に係る特定歴史公文書等に国、独立行政法人等、地方公共団体、地方独立行政法人及び利用請求をした者以外の者(以下この条において「第三者」という。)に関する情報が記録されている場合には、国立公文書館等の長は、当該特定歴史公文書等を利用させるか否かについての決定をするに当たって、当該情報に係る第三者に対し、利用請求に係る特定歴史公文書等の名称その他政令で定める事項を通知して、意見書を提出する機会を与えることができる。
2 国立公文書館等の長は、第三者に関する情報が記録されている特定歴史公文書等の利用をさせようとする場合であって、当該情報が行政機関情報公開法第5条第1号ロ若しくは第2号ただし書に規定する情報又は独立行政法人等情報公開法第5条第1号ロ若しくは第2号ただし書に規定する情報に該当すると認めるときは、利用させる旨の決定に先立ち、当該第三者に対し、利用請求に係る特定歴史公文書等の名称その他政令で定める事項を書面により通知して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、当該第三者の所在が判明しない場合は、この限りでない。
3 国立公文書館等の長は、特定歴史公文書等であって第16条第1項第1号ハ又はニに該当するものとして第8条第3項の規定により意見を付されたものを利用させる旨の決定をする場合には、あらかじめ、当該特定歴史公文書等を移管した行政機関の長に対し、利用請求に係る特定歴史公文書等の名称その他政令で定める事項を書面により通知して、意見書を提出する機会を与えなければならない。
4 国立公文書館等の長は、第1項又は第2項の規定により意見書を提出する機会を与えられた第三者が当該特定歴史公文書等を利用させることに反対の意思を表示した意見書を提出した場合において、当該特定歴史公文書等を利用させる旨の決定をするときは、その決定の日と利用させる日との間に少なくとも2週間を置かなければならない。この場合において、国立公文書館等の長は、その決定後直ちに、当該意見書(第21条第4項第2号において「反対意見書」という。)を提出した第三者に対し、利用させる旨の決定をした旨及びその理由並びに利用させる日を書面により通知しなければならない。
第19条 国立公文書館等の長が特定歴史公文書等を利用させる場合には、文書又は図画については閲覧又は写しの交付の方法により、電磁的記録についてはその種別、情報化の進展状況等を勘案して政令で定める方法により行う。ただし、閲覧の方法により特定歴史公文書等を利用させる場合にあっては、当該特定歴史公文書等の保存に支障を生ずるおそれがあると認めるときその他正当な理由があるときに限り、その写しを閲覧させる方法により、これを利用させることができる。
第20条 写しの交付により特定歴史公文書等を利用する者は、政令で定めるところにより、手数料を納めなければならない。
2 前項の手数料の額は、実費の範囲内において、できる限り利用しやすい額とするよう配慮して、国立公文書館等の長が定めるものとする。
第21条 利用請求に対する処分又は利用請求に係る不作為について不服がある者は、国立公文書館等の長に対し、審査請求をすることができる。
2 利用請求に対する処分又は利用請求に係る不作為に係る審査請求については、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第9条、第17条、第24条、第2章第3節及び第4節並びに第50条第2項の規定は、適用しない。
3 利用請求に対する処分又は利用請求に係る不作為に係る審査請求についての行政不服審査法第2章の規定の適用については、同法第11条第2項中「第9条第1項の規定により指名された者(以下「審理員」という。)」とあるのは「第4条の規定により審査請求がされた行政庁(第14条の規定により引継ぎを受けた行政庁を含む。以下「審査庁」という。)」と、同法第13条第1項及び第2項中「審理員」とあるのは「審査庁」と、同法第25条第7項中「あったとき、又は審理員から第40条に規定する執行停止をすべき旨の意見書が提出されたとき」とあるのは「あったとき」と、同法第44条中「行政不服審査会等」とあるのは「公文書管理委員会」と、「受けたとき(前条第1項の規定による諮問を要しない場合(同項第2号又は第3号に該当する場合を除く。)にあっては審理員意見書が提出されたとき、同項第2号又は第3号に該当する場合にあっては同項第2号又は第3号に規定する議を経たとき)」とあるのは「受けたとき」と、同法第50条第1項第4号中「審理員意見書又は行政不服審査会等若しくは審議会等」とあるのは「公文書管理委員会」とする。
4 利用請求に対する処分又は利用請求に係る不作為に係る審査請求があったときは、国立公文書館等の長は、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、公文書管理委員会に諮問しなければならない。
一 審査請求が不適法であり、却下する場合
二 裁決で、審査請求の全部を認容し、当該審査請求に係る特定歴史公文書等の全部を利用させることとする場合(当該特定歴史公文書等の利用について反対意見書が提出されている場合を除く。)
第22条 独立行政法人等情報公開法第19条第2項及び第20条並びに情報公開・個人情報保護審査会設置法(平成15年法律第60号)第9条から第16条までの規定は、前条第1項の規定による審査請求について準用する。この場合において、独立行政法人等情報公開法第19条第2項中「前項」とあるのは「公文書等の管理に関する法律(以下「公文書管理法」という。)第21条第4項」と、「独立行政法人等」とあるのは「公文書管理法第15条第1項に規定する国立公文書館等の長」と、同項第2号中「開示請求者(開示請求者が」とあるのは「利用請求(公文書管理法第16条第2項に規定する利用請求をいう。以下同じ。)をした者(利用請求をした者が」と、同項第3号中「法人文書の開示について反対意見書」とあるのは「特定歴史公文書等(公文書管理法第2条第7項に規定する特定歴史公文書等をいう。以下同じ。)の利用について公文書管理法第18条第4項に規定する反対意見書」と、独立行政法人等情報公開法第20条中「第14条第3項」とあるのは「公文書管理法第18条第4項」と、同条第1号中「開示決定」とあるのは「利用させる旨の決定」と、同条第2号中「開示決定等」とあるのは「利用請求に対する処分」と、「開示請求」とあるのは「利用請求」と、「法人文書」とあるのは「特定歴史公文書等」と、「開示する旨」とあるのは「利用させる旨」と、「の開示」とあるのは「を利用させること」と、情報公開・個人情報保護審査会設置法第9条から第16条までの規定中「審査会」とあるのは「公文書管理委員会」と、同法第9条第1項中「諮問庁」とあるのは「諮問庁(公文書等の管理に関する法律(以下「公文書管理法」という。)第21条第4項の規定により諮問をした公文書管理法第15条第1項に規定する国立公文書館等の長をいう。以下この条において同じ。)」と、「行政文書等又は保有個人情報の提示」とあるのは「特定歴史公文書等(公文書管理法第2条第7項に規定する特定歴史公文書等をいう。以下同じ。)の提示」と、「行政文書等又は保有個人情報の開示」とあるのは「特定歴史公文書等の開示」と、同条第3項中「行政文書等に記録されている情報又は保有個人情報に含まれている情報」とあるのは「特定歴史公文書等に記録されている情報」と、同法第12条中「行政文書等若しくは保有個人情報」とあるのは「特定歴史公文書等」と読み替えるものとする。
第23条 国立公文書館等の長は、特定歴史公文書等(第16条の規定により利用させることができるものに限る。)について、展示その他の方法により積極的に一般の利用に供するよう努めなければならない。
第24条 特定歴史公文書等を移管した行政機関の長又は独立行政法人等が国立公文書館等の長に対してそれぞれその所掌事務又は業務を遂行するために必要であるとして当該特定歴史公文書等について利用請求をした場合には、第16条第1項第1号又は第2号の規定は、適用しない。
第25条 国立公文書館等の長は、特定歴史公文書等として保存されている文書が歴史資料として重要でなくなったと認める場合には、内閣総理大臣に協議し、その同意を得て、当該文書を廃棄することができる。
第26条 国立公文書館等の長は、特定歴史公文書等の保存及び利用の状況について、毎年度、内閣総理大臣に報告しなければならない。
2 内閣総理大臣は、毎年度、前項の報告を取りまとめ、その概要を公表しなければならない。
第27条 国立公文書館等の長は、特定歴史公文書等の保存、利用及び廃棄が第15条から第20条まで及び第23条から前条までの規定に基づき適切に行われることを確保するため、特定歴史公文書等の保存、利用及び廃棄に関する定め(以下「利用等規則」という。)を設けなければならない。
2 利用等規則には、特定歴史公文書等に関する次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 保存に関する事項
二 第20条に規定する手数料その他一般の利用に関する事項
三 特定歴史公文書等を移管した行政機関の長又は独立行政法人等による当該特定歴史公文書等の利用に関する事項
四 廃棄に関する事項
五 保存及び利用の状況の報告に関する事項
3 国立公文書館等の長は、利用等規則を設けようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議し、その同意を得なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
4 国立公文書館等の長は、利用等規則を設けたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。
第5章 公文書管理委員会
第28条 内閣府に、公文書管理委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2 委員会は、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理する。
3 委員会の委員は、公文書等の管理に関して優れた識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する。
4 この法律に規定するもののほか、委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
第29条 内閣総理大臣は、次に掲げる場合には、委員会に諮問しなければならない。
一 第2条第1項第4号若しくは第5号、第3項第2号、第4項第3号若しくは第5項第3号若しくは第4号、第5条第1項若しくは第3項から第5項まで、第7条、第10条第2項第7号、第11条第2項から第4項まで、第15条第4項、第17条、第18条第1項から第3項まで、第19条又は第20条第1項の政令の制定又は改廃の立案をしようとするとき。
二 第10条第3項、第25条又は第27条第3項の規定による同意をしようとするとき。
三 第31条の規定による勧告をしようとするとき。
第30条 委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認める場合には、関係行政機関の長又は国立公文書館等の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。
第6章 雑則
第31条 内閣総理大臣は、この法律を実施するため特に必要があると認める場合には、行政機関の長に対し、公文書等の管理について改善すべき旨の勧告をし、当該勧告の結果とられた措置について報告を求めることができる。
第32条 行政機関の長及び独立行政法人等は、それぞれ、当該行政機関又は当該独立行政法人等の職員に対し、公文書等の管理を適正かつ効果的に行うために必要な知識及び技能を習得させ、及び向上させるために必要な研修を行うものとする。
2 国立公文書館は、行政機関及び独立行政法人等の職員に対し、歴史公文書等の適切な保存及び移管を確保するために必要な知識及び技能を習得させ、及び向上させるために必要な研修を行うものとする。
第33条 行政機関の長は、当該行政機関について統合、廃止等の組織の見直しが行われる場合には、その管理する行政文書について、統合、廃止等の組織の見直しの後においてこの法律の規定に準じた適正な管理が行われることが確保されるよう必要な措置を講じなければならない。
2 独立行政法人等は、当該独立行政法人等について民営化等の組織の見直しが行われる場合には、その管理する法人文書について、民営化等の組織の見直しの後においてこの法律の規定に準じた適正な管理が行われることが確保されるよう必要な措置を講じなければならない。
第34条 地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その保有する文書の適正な管理に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない。
第1条 この法律は、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第5章(第29条第2号及び第3号を除く。)の規定、附則第10条中内閣府設置法第37条第2項の表の改正規定及び附則第11条第3項の規定 公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日
二 削除
第2条 この法律の施行の際現に国立公文書館等が保存する歴史公文書等については、特定歴史公文書等とみなす。
第3条 この法律の施行前に次条の規定による改正前の国立公文書館法(平成11年法律第79号)第15条第1項の規定に基づく協議による国の機関(行政機関を除く。)と内閣総理大臣との定めは、第14条第1項の規定に基づく協議による定めとみなす。
第13条 政府は、この法律の施行後5年を目途として、この法律の施行の状況を勘案しつつ、行政文書及び法人文書の範囲その他の事項について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
2 国会及び裁判所の文書の管理の在り方については、この法律の趣旨、国会及び裁判所の地位及び権能等を踏まえ、検討が行われるものとする。
第1条 この法律は、消費者庁及び消費者委員会設置法(平成21年法律第48号)の施行の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一~四 略
五 附則第17条の規定 この法律の公布の日又は公文書等の管理に関する法律(平成21年法律第66号)の公布の日〔平成21年7月1日〕のいずれか遅い日
第1条 この法律は、公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
第1条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第5条第1項及び第47条並びに附則第22条から第51条までの規定は、平成24年4月1日から施行する。
第1条 この法律は、公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
第1条 この法律は、公布の日から施行する。
第1条 この法律は、平成27年10月1日から施行する。
第1条 この法律は、公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
第1条 この法律は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)の施行の日から施行する。
第5条 行政庁の処分その他の行為又は不作為についての不服申立てであってこの法律の施行前にされた行政庁の処分その他の行為又はこの法律の施行前にされた申請に係る行政庁の不作為に係るものについては、この附則に特別の定めがある場合を除き、なお従前の例による。
第6条 この法律による改正前の法律の規定により不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の行為を経た後でなければ訴えを提起できないこととされる事項であって、当該不服申立てを提起しないでこの法律の施行前にこれを提起すべき期間を経過したもの(当該不服申立てが他の不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の行為を経た後でなければ提起できないとされる場合にあっては、当該他の不服申立てを提起しないでこの法律の施行前にこれを提起すべき期間を経過したものを含む。)の訴えの提起については、なお従前の例による。
2 この法律の規定による改正前の法律の規定(前条の規定によりなお従前の例によることとされる場合を含む。)により異議申立てが提起された処分その他の行為であって、この法律の規定による改正後の法律の規定により審査請求に対する裁決を経た後でなければ取消しの訴えを提起することができないこととされるものの取消しの訴えの提起については、なお従前の例による。
3 不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の行為の取消しの訴えであって、この法律の施行前に提起されたものについては、なお従前の例による。
第10条 附則第5条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
第1条 この法律は、平成29年4月1日から施行する。
第1条 この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第1章、第3章、第103条、第106条、第107条、第110条(第80条(第86条及び第88条第2項において準用する場合を含む。)に係る部分に限る。)、第112条(第12号に係る部分に限る。)、第114条及び第115条の規定並びに附則第5条から第9条まで、第11条、第14条から第17条まで、第18条(登録免許税法(昭和42年法律第35号)別表第三の改正規定に限る。)、第20条から第23条まで及び第26条の規定は、公布の日から施行する。
第26条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
名称 |
根拠法 |
沖縄科学技術大学院大学学園 |
沖縄科学技術大学院大学学園法(平成21年法律第76号) |
沖縄振興開発金融公庫 |
沖縄振興開発金融公庫法(昭和47年法律第31号) |
外国人技能実習機構 |
外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成28年法律第89号) |
株式会社国際協力銀行 |
株式会社国際協力銀行法(平成23年法律第39号) |
株式会社日本政策金融公庫 |
株式会社日本政策金融公庫法(平成19年法律第57号) |
株式会社日本貿易保険 |
貿易保険法(昭和25年法律第67号) |
原子力損害賠償・廃炉等支援機構 |
原子力損害賠償・廃炉等支援機構法(平成23年法律第94号) |
国立大学法人 |
国立大学法人法(平成15年法律第112号) |
新関西国際空港株式会社 |
関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律(平成23年法律第54号) |
大学共同利用機関法人 |
国立大学法人法 |
日本銀行 |
日本銀行法(平成9年法律第89号) |
日本司法支援センター |
総合法律支援法(平成16年法律第74号) |
日本私立学校振興・共済事業団 |
日本私立学校振興・共済事業団法(平成9年法律第48号) |
日本中央競馬会 |
日本中央競馬会法(昭和29年法律第205号) |
日本年金機構 |
日本年金機構法(平成19年法律第109号) |
農水産業協同組合貯金保険機構 |
農水産業協同組合貯金保険法(昭和48年法律第53号) |
放送大学学園 |
放送大学学園法(平成14年法律第156号) |
預金保険機構 |
預金保険法(昭和46年法律第34号) |
新関西国際空港株式会社 |
一 関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律(以下この項において「設置管理法」という。)第9条第1項の事業に係る業務のうち関西国際空港に係るものであって、次のいずれかに該当するもの イ 関西国際空港及び設置管理法第9条第1項第2号に規定する施設の設置(これらの建設に係るものを除く。)及び管理の事業に係る業務 ロ 設置管理法第9条第1項第3号の政令で定める施設及び同項第6号に規定する施設の管理の事業に係る業務 ハ イ又はロに規定する事業に附帯する事業に係る業務 二 設置管理法第9条第1項の事業に係る業務のうち大阪国際空港に係るもの 三 設置管理法第9条第2項に規定する事業に係る業務 |
日本私立学校振興・共済事業団 |
一 日本私立学校振興・共済事業団法(以下この項において「事業団法」という。)第23条第1項第6号から第9号までに掲げる業務 二 事業団法第23条第2項に規定する業務 三 事業団法第23条第3項第1号及び第2号に掲げる業務 |