移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律
第1章 総則
第1条 この法律は、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関し、基本理念を定め、国の責務等を明らかにし、及び移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する施策の基本となる事項について定めるとともに、骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業及び臍帯血供給事業について必要な規制及び助成を行うこと等により、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進を図り、もって造血幹細胞移植の円滑かつ適正な実施に資することを目的とする。
第2条 この法律において「移植に用いる造血幹細胞」とは、移植に用いる骨髄、移植に用いる末梢血幹細胞及び移植に用いる臍帯血をいう。
2 この法律において「移植に用いる骨髄」とは、造血幹細胞移植(造血機能障害を伴う疾病その他の疾病であって厚生労働省令で定めるものの治療を目的として造血幹細胞を人に移植することをいう。以下同じ。)に用いるために採取される人の骨髄をいう。
3 この法律において「移植に用いる末梢血幹細胞」とは、造血幹細胞移植に用いるために厚生労働省令で定める方法により末梢血から採取される人の造血幹細胞をいう。
4 この法律において「移植に用いる臍帯血」とは、造血幹細胞移植に用いるために採取される人の臍帯血(出産の際に娩出される臍帯及び胎盤の中にある胎児の血液をいう。第30条第3項及び第4項において同じ。)をいい、当該採取の後造血幹細胞移植に適するよう調製されたものを含むものとする。
5 この法律において「骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業」とは、移植に用いる骨髄又は移植に用いる末梢血幹細胞の提供のあっせん(以下「骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん業務」という。)を行う事業をいう。
6 この法律において「臍帯血供給事業」とは、移植に用いる臍帯血の提供について、その採取、調製、保存、検査及び引渡し(情報管理その他これらの業務に付随し、又は関連する業務として厚生労働省令で定める業務を含む。以下「臍帯血供給業務」という。)を行う事業(移植に用いる臍帯血を採取される者の委託により当該移植に用いる臍帯血を当該者又はその親族が用いるために臍帯血供給業務を行うものを除く。)をいう。
第3条 移植に用いる造血幹細胞については、造血幹細胞移植を必要とする者が造血幹細胞移植を受ける機会が十分に確保されることを旨として、その提供の促進が図られなければならない。
2 移植に用いる造血幹細胞の提供は、任意にされたものでなければならない。
3 移植に用いる造血幹細胞の提供については、造血幹細胞移植を必要とする者が造血幹細胞移植を受ける機会が公平に与えられるよう配慮されなければならない。
4 移植に用いる造血幹細胞の提供については、移植に用いる造血幹細胞が人に由来するものであることに鑑み、その安全性が確保されなければならない。
5 移植に用いる骨髄及び移植に用いる末梢血幹細胞の提供については、その採取に身体的負担を伴うことに鑑み、移植に用いる骨髄又は移植に用いる末梢血幹細胞を提供する者の健康の保護が十分に図られなければならない。
6 移植に用いる臍帯血の提供については、移植に用いる臍帯血の特性及びその提供に調製、保存等の過程を伴うことに鑑み、その安全性その他の品質の確保が図られなければならない。
第4条 国は、前条の基本理念(次条において「基本理念」という。)にのっとり、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。
第5条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との適切な役割分担を踏まえて、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。
第6条 第19条に規定する骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業者及び第30条第2項に規定する臍帯血供給事業者(以下「造血幹細胞提供関係事業者」という。)並びに第44条第1項に規定する支援機関は、移植に用いる造血幹細胞の提供において中核的な役割を果たすべきことに鑑み、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に積極的に寄与するよう努めなければならない。
第7条 医師その他の医療関係者は、国及び地方公共団体が講ずる移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
2 医療機関の開設者及び管理者は、第12条の健康等の状況の把握及び分析のための取組に必要な情報の提供に努めなければならない。
第8条 国、地方公共団体、造血幹細胞提供関係事業者、第44条第1項に規定する支援機関及び医療関係者は、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進を図るため、相互に連携を図りながら協力するよう努めなければならない。
第2章 基本方針
第9条 厚生労働大臣は、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進を図るための基本的な方針(以下この条において「基本方針」という。)を定めるものとする。
2 基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する基本的な方向
二 移植に用いる造血幹細胞の提供の目標その他移植に用いる造血幹細胞の提供の促進に関する事項
三 移植に用いる造血幹細胞の安全性の確保に関する事項
四 その他移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関し必要な事項
3 厚生労働大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
第3章 移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進のための施策
第10条 国及び地方公共団体は、教育活動、広報活動等を通じて、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する国民の理解を深めるよう必要な施策を講ずるものとする。
第11条 国は、造血幹細胞移植を行おうとする医師その他の移植に用いる造血幹細胞を必要とする者に対して移植に用いる造血幹細胞の提供に関する情報が一体的に提供されるよう必要な施策を講ずるものとする。
第12条 国は、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に資するよう、移植に用いる骨髄又は移植に用いる末梢血幹細胞を提供した者及び移植に用いる造血幹細胞の提供を受けた者の健康等の状況の把握及び分析のための取組を支援するために必要な施策を講ずるものとする。
第13条 国は、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に資するよう、造血幹細胞提供関係事業者の安定的な事業の運営を確保するため、財政上の措置その他必要な施策を講ずるものとする。
第14条 国は、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に資する研究開発の促進及びその成果の普及に必要な施策を講ずるものとする。
第15条 国は、移植に用いる臍帯血の品質の確保に係る国際的な技術協力その他の移植に用いる造血幹細胞の提供に関する国際協力の推進に必要な施策を講ずるものとする。
第16条 国は、移植に用いる骨髄及び移植に用いる末梢血幹細胞の提供が円滑に行われるよう、移植に用いる骨髄及び移植に用いる末梢血幹細胞の採取に係る医療提供体制の整備に必要な施策を講ずるものとする。
第4章 骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業
第17条 骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。
第18条 厚生労働大臣は、前条の許可の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同条の許可をしてはならない。
一 営利を目的としてその事業を行おうとする者でないこと。
二 移植に用いる骨髄又は移植に用いる末梢血幹細胞の安全性の確保のために必要な措置を講じていること。
三 移植に用いる骨髄又は移植に用いる末梢血幹細胞を提供する者の健康の保護のために必要な措置を講じていること。
四 その事業を公平かつ適正に行わないおそれがないこと。
五 申請者が次のいずれにも該当しないこと。
イ 心身の故障によりその事業を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
ロ 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
ハ この法律の規定により刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から3年を経過しない者
ニ 第27条の規定により許可を取り消され、その取消しの日から3年を経過しない者(当該許可を取り消された者が法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。第61条第2項を除き、以下同じ。)である場合においては、当該取消しの処分に係る行政手続法(平成5年法律第88号)第15条の規定による通知があった日前60日以内に当該法人の役員(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものの代表者又は管理人を含む。以下同じ。)であった者で当該取消しの日から3年を経過しないものを含む。)
ホ 法人でその役員のうちにイからニまでのいずれかに該当する者のあるもの
第19条 第17条の許可を受けた者(以下「骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業者」という。)は、移植に用いる骨髄又は移植に用いる末梢血幹細胞の安全性が確保されるよう、これらを提供しようとする者の感染症等への罹患についての調査その他の必要な措置を講じなければならない。
第20条 骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業者は、移植に用いる骨髄又は移植に用いる末梢血幹細胞を提供する者に対する健康診断の実施その他の移植に用いる骨髄又は移植に用いる末梢血幹細胞を提供する者の健康の保護のための措置及び移植に用いる骨髄又は移植に用いる末梢血幹細胞の採取に伴う健康被害の補償のための措置を講じなければならない。
第21条 骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業者は、移植に用いる骨髄又は移植に用いる末梢血幹細胞の採取に当たっては、移植に用いる骨髄又は移植に用いる末梢血幹細胞を提供しようとする者に対し、これらの採取に伴う身体的負担、これらの安全性の確保に関し協力すべき事項その他これらの採取に関し必要な事項について適切な説明を行い、その同意を得なければならない。
第22条 骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業者(その者が法人である場合にあっては、その役員)若しくはその職員又はこれらの者であった者は、正当な理由がなく、骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。
第23条 骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん業務に関する事項で厚生労働省令で定めるものを記載した帳簿を備え付け、これを保存しなければならない。
第24条 厚生労働大臣は、この章の規定の施行に必要な限度において、骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業者に対し、骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん業務に関し必要な報告を求め、又はその職員に、骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業者の事務所その他の施設に立ち入り、骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査又は質問をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第1項の規定による立入検査及び質問の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第25条 厚生労働大臣は、骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん業務の運営に関し改善が必要であると認めるときは、その必要の限度において、骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業者に対し、その改善に必要な措置を命ずることができる。
第26条 骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業者は、骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業の全部又は一部を休止し、又は廃止しようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。
第27条 厚生労働大臣は、骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、その許可を取り消し、又は6月以内の期間を定めて骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一 第18条第5号イからハまで又はホのいずれかに該当するに至ったとき。
二 この章の規定に違反したとき。
三 第25条の規定による命令に違反したとき。
第28条 国は、骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業者に対し、予算の範囲内において、骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業に要する費用の一部を補助することができる。
第29条 厚生労働大臣は、骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業者に対し、移植に用いる骨髄又は移植に用いる末梢血幹細胞の適切な提供の推進のために必要な助言、指導その他の援助を行うよう努めなければならない。
第5章 臍帯血供給事業
第30条 臍帯血供給事業を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。
2 前項の許可を受けた者(以下「臍帯血供給事業者」という。)でなければ、業として、移植に用いる臍帯血の採取、調製、保存、検査若しくは引渡しをし、又は引渡しを受けてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一 臍帯血供給事業者の委託により行う場合
二 臍帯血供給事業者が引渡しをした移植に用いる臍帯血について行う場合
三 移植に用いる臍帯血を採取される者の委託により当該移植に用いる臍帯血を当該者又はその親族が用いるために採取される移植に用いる臍帯血について行う場合(臍帯血供給事業を行う場合を除く。)
四 前三号に掲げるもののほか、移植に用いる臍帯血の適切な提供に支障がない場合として厚生労働省令で定める場合
3 何人も、業として、人の臍帯血(採取の後調製されたものを含む。第2号及び次項において同じ。)(前項の規定によりその引渡しが禁止される場合における移植に用いる臍帯血(当該移植に用いる臍帯血であることをその者が知らないものを除く。)を除く。)を、造血幹細胞移植に用いることができるものとして、引き渡してはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一 臍帯血供給事業者(その委託を受けた者を含む。)が移植に用いる臍帯血を引き渡す場合
二 人の臍帯血を採取される者の委託により当該人の臍帯血を当該者又はその親族が用いるために引き渡す場合
三 前二号に掲げるもののほか、移植に用いる臍帯血の適切な提供に支障がない場合として厚生労働省令で定める場合
4 何人も、業として、前項の規定により禁止される人の臍帯血の引渡しを受けてはならない。
第31条 厚生労働大臣は、前条第1項の許可の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。
一 営利を目的としてその事業を行おうとする者でないこと。
二 その業務の方法が次条の基準に適合していること。
三 その事業を公平かつ適正に行わないおそれがないこと。
四 申請者が次のいずれにも該当しないこと。
イ 心身の故障によりその事業を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
ロ 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
ハ この法律の規定により刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から3年を経過しない者
ニ 第41条の規定により許可を取り消され、その取消しの日から3年を経過しない者(当該許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しの処分に係る行政手続法第15条の規定による通知があった日前60日以内に当該法人の役員であった者で当該取消しの日から3年を経過しないものを含む。)
ホ 法人でその役員のうちにイからニまでのいずれかに該当する者のあるもの
第32条 臍帯血供給事業者は、臍帯血供給事業を行うに当たっては、臍帯血供給業務の方法に関して移植に用いる臍帯血の安全性その他の品質の確保のために必要なものとして厚生労働省令で定める基準を遵守しなければならない。
第33条 臍帯血供給事業者は、移植に用いる臍帯血の採取に当たっては、移植に用いる臍帯血を提供しようとする妊婦に対し、採取した移植に用いる臍帯血の使途、移植に用いる臍帯血の安全性の確保に関し協力すべき事項その他移植に用いる臍帯血の採取に関し必要な事項について適切な説明を行い、その同意を得なければならない。
第34条 臍帯血供給事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、その保存する移植に用いる臍帯血に関し厚生労働省令で定める情報を第44条第1項に規定する支援機関に対し提供しなければならない。
第35条 臍帯血供給事業者は、厚生労働省令で定める基準に従い、臍帯血供給業務の遂行に支障のない範囲内において、その採取した移植に用いる臍帯血を研究のために自ら利用し、又は提供することができる。
第36条 臍帯血供給事業者(その者が法人である場合にあっては、その役員)若しくはその職員又はこれらの者であった者は、正当な理由がなく、臍帯血供給業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。
第37条 臍帯血供給事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、臍帯血供給業務に関する事項で厚生労働省令で定めるものを記載した帳簿を備え付け、これを保存しなければならない。
第38条 厚生労働大臣は、この章の規定の施行に必要な限度において、臍帯血供給事業者に対し、臍帯血供給業務に関し必要な報告を求め、又はその職員に、臍帯血供給事業者の事務所その他の施設に立ち入り、臍帯血供給業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査又は質問をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第1項の規定による立入検査及び質問の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第39条 厚生労働大臣は、臍帯血供給業務の運営に関し改善が必要であると認めるときは、その必要の限度において、臍帯血供給事業者に対し、その改善に必要な措置を命ずることができる。
第40条 臍帯血供給事業者は、臍帯血供給事業の全部又は一部を休止し、又は廃止しようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。
第41条 厚生労働大臣は、臍帯血供給事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、その許可を取り消し、又は6月以内の期間を定めて臍帯血供給事業の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一 第31条第4号イからハまで又はホのいずれかに該当するに至ったとき。
二 この章の規定に違反したとき。
三 第39条の規定による命令に違反したとき。
第42条 国は、臍帯血供給事業者に対し、予算の範囲内において、臍帯血供給事業に要する費用の一部を補助することができる。
第43条 厚生労働大臣は、臍帯血供給事業者に対し、移植に用いる臍帯血の品質の確保その他移植に用いる臍帯血の適切な提供の推進のために必要な助言、指導その他の援助を行うよう努めなければならない。
第6章 造血幹細胞提供支援機関
第44条 厚生労働大臣は、営利を目的としない法人であって、次条各号に掲げる業務(以下「支援業務」という。)を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、全国を通じて一個に限り、造血幹細胞提供支援機関(以下「支援機関」という。)として指定することができる。
2 厚生労働大臣は、前項の規定による指定をしたときは、支援機関の名称、住所及び事務所の所在地を公示しなければならない。
3 支援機関は、その名称、住所又は事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。
4 厚生労働大臣は、前項の規定による届出があったときは、当該届出に係る事項を公示しなければならない。
第45条 支援機関は、次に掲げる業務を行うものとする。
一 移植に用いる骨髄又は移植に用いる末梢血幹細胞を提供する意思がある者の登録その他造血幹細胞提供関係事業者の行う骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業及び臍帯血供給事業に必要な協力を行うこと。
二 造血幹細胞提供関係事業者の行う骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業及び臍帯血供給事業について、必要な連絡調整を行うこと。
三 第1号の登録をした者に係る移植に用いる骨髄及び移植に用いる末梢血幹細胞に関する情報並びに第34条の規定により臍帯血供給事業者から提供された移植に用いる臍帯血に関する情報を一元的に管理し、並びにこれらの情報を造血幹細胞移植を行おうとする医師その他の移植に用いる造血幹細胞を必要とする者に提供すること。
四 移植に用いる造血幹細胞の提供に関する普及啓発を行うこと。
第46条 支援機関の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、正当な理由がなく、支援業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。
第47条 支援機関は、厚生労働省令で定めるところにより、支援業務に関する事項で厚生労働省令で定めるものを記載した帳簿を備え付け、これを保存しなければならない。
第48条 厚生労働大臣は、支援業務の適正な実施を確保するために必要な限度において、支援機関に対し、支援業務に関し必要な報告を求め、又はその職員に、支援機関の事務所その他の施設に立ち入り、支援業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査又は質問をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第1項の規定による立入検査及び質問の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第49条 厚生労働大臣は、支援業務の適正な実施を確保するために必要な限度において、支援機関に対し、支援業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
第50条 支援機関は、厚生労働大臣の許可を受けなければ、支援業務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。
第51条 厚生労働大臣は、支援機関が次の各号のいずれかに該当するときは、第44条第1項の規定による指定を取り消すことができる。
一 支援業務を適正かつ確実に実施することができないと認められるとき。
二 第49条の規定による命令に違反したとき。
2 厚生労働大臣は、前項の規定により指定を取り消したときは、その旨を公示しなければならない。
第52条 国は、支援機関に対し、予算の範囲内において、支援業務に要する費用の一部を補助することができる。
第7章 雑則
第53条 この法律の規定に基づき厚生労働省令を制定し、又は改廃する場合においては、その厚生労働省令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第54条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。
第8章 罰則
第55条 次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第17条の許可を受けないで骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業を行った者
二 第30条第2項から第4項までの規定に違反した者
第56条 第27条又は第41条の規定による事業の停止の命令に違反した者は、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第57条 第22条、第36条又は第46条の規定に違反して秘密を漏らした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
第58条 第25条又は第39条の規定による命令に違反した者は、100万円以下の罰金に処する。
第59条 次の各号のいずれかに該当する者は、50万円以下の罰金に処する。
一 第23条又は第37条の規定に違反して帳簿を備え付けず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかった者
二 第24条第1項若しくは第38条第1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は第24条第1項若しくは第38条第1項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは第24条第1項若しくは第38条第1項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者
三 第26条又は第40条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
第60条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした支援機関の役員又は職員は、50万円以下の罰金に処する。
一 第47条の規定に違反して帳簿を備え付けず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかったとき。
二 第48条第1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。
三 第50条の許可を受けないで、支援業務の全部を廃止したとき。
第61条 法人の代表者若しくは管理人又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第55条、第56条、第58条又は第59条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
2 前項の規定により法人でない団体を処罰する場合には、その代表者又は管理人がその訴訟行為につきその団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
第1条 この法律は、公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 附則第4条の規定 公布の日
二 次条の規定 公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日
第2条 第44条第1項の規定による指定及びこれに関し必要な手続その他の行為は、この法律の施行前においても、同条の規定の例により行うことができる。
第3条 この法律の施行の際現に骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業又は臍帯血供給事業を行っている者は、この法律の施行の日から3月間(当該期間内に第17条又は第30条の許可の申請について不許可の処分があったときは、当該処分のあった日までの間)は、第17条又は第30条の規定にかかわらず、引き続き骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業又は臍帯血供給事業を行うことができる。その者がその期間内に第17条又は第30条の規定による許可の申請をした場合において、その期間を経過したときは、その申請について許可又は不許可の処分があるまでの間も、同様とする。
第4条 前二条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
第5条 この法律の規定については、この法律の施行後3年を経過した場合において、この法律の施行の状況等を勘案して必要があると認められるときは、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。
1 この法律は、公布の日から起算して3月を経過した日から施行する。
2 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第1条 この法律は、公布の日から起算して3月を経過した日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第40条、第59条、第61条、第75条(児童福祉法第34条の20の改正規定に限る。)、第85条、第102条、第107条(民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律第26条の改正規定に限る。)、第111条、第143条、第149条、第152条、第154条(不動産の鑑定評価に関する法律第25条第6号の改正規定に限る。)及び第168条並びに次条並びに附則第3条及び第6条の規定 公布の日
第2条 この法律(前条各号に掲げる規定にあっては、当該規定。以下この条及び次条において同じ。)の施行の日前に、この法律による改正前の法律又はこれに基づく命令の規定(欠格条項その他の権利の制限に係る措置を定めるものに限る。)に基づき行われた行政庁の処分その他の行為及び当該規定により生じた失職の効力については、なお従前の例による。
第3条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第7条 政府は、会社法(平成17年法律第86号)及び一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号)における法人の役員の資格を成年被後見人又は被保佐人であることを理由に制限する旨の規定について、この法律の公布後1年以内を目途として検討を加え、その結果に基づき、当該規定の削除その他の必要な法制上の措置を講ずるものとする。