国際文化交流の祭典の実施の推進に関する法律
第1章 総則
第1条 この法律は、国際文化交流の振興を図る上で我が国が国際文化交流の場を提供することが重要であることに鑑み、国際文化交流の祭典の実施の推進に関し、基本理念を定め、及び国等の責務を明らかにするとともに、基本計画の策定その他の国際文化交流の祭典の実施を推進するために必要な事項を定めることにより、国際文化交流の祭典の実施の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって国際文化交流を通じた心豊かな国民生活及び活力ある地域社会の実現に寄与するとともに、世界の文化芸術の発展に貢献し、あわせて我が国の国際的地位の向上に資することを目的とする。
第2条 この法律において「国際文化交流の祭典」とは、国際文化交流のために行われる複数の公演、展示等からなる文化芸術に係る国際的な催しをいう。ただし、第12条及び第14条を除き、我が国において行われるものに限る。
第3条 国際文化交流の祭典の実施の推進は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
一 国際文化交流の場を提供することにより、世界における多様な文化芸術の発展に積極的に貢献するとともに、我が国に対する諸外国の理解を深め、及び国際相互理解の増進を図ること。
二 創造的な内容の企画、優れた芸術家の世界の多様な国又は地域からの参加等により国際的に大きな影響力を有し、国内のみならず海外からも多数の来訪者が得られる国際文化交流の祭典が実施されることを目指すこと。
三 全国各地において、多彩な文化芸術に係る国際文化交流の祭典が実施されるようにすること。この場合において、地域住民その他の地域社会を構成する多様な主体の参加と協力が得られるようにするとともに、地域の歴史、風土等の特性が生かされるようにすること。
四 青少年が国際的に高い水準の文化芸術に接する機会を充実させること。
五 国際文化交流の祭典の実施の推進に関する施策と、国際観光の振興に関する施策、地域の活性化に関する施策その他の関連する施策との有機的な連携が図られるようにすること。
第4条 国は、前条の基本理念にのっとり、国際文化交流の祭典の実施の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
第5条 地方公共団体は、第3条の基本理念にのっとり、国際文化交流の祭典の実施の推進に関し、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
第6条 政府は、国際文化交流の祭典の実施の推進に関する施策を実施するため必要な財政上又は税制上の措置その他の措置を講じなければならない。
第2章 基本計画
第7条 政府は、国際文化交流の祭典の実施の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、国際文化交流の祭典の実施の推進に関する基本的な計画(以下この条において「基本計画」という。)を定めなければならない。
2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 国際文化交流の祭典の実施の推進に関する施策についての基本的な方針
二 国際文化交流の祭典の実施の推進に関し政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策
三 前二号に掲げるもののほか、国際文化交流の祭典の実施の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 文部科学大臣及び外務大臣は、基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
4 文部科学大臣及び外務大臣は、基本計画の案を作成しようとするときは、あらかじめ、経済産業大臣、国土交通大臣その他の関係行政機関の長に協議しなければならない。
5 文部科学大臣及び外務大臣は、第3項の閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本計画を公表しなければならない。
6 前三項の規定は、基本計画の変更について準用する。
第3章 基本的施策
第1節 国の施策
第8条 国は、大規模祭典(第3条第2号の国際文化交流の祭典及びこれを目指して実施される大規模な国際文化交流の祭典をいう。以下第13条までにおいて同じ。)の継続的かつ安定的な実施を図るため、大規模祭典を実施する者が、当該大規模祭典について、企画等に関し専門的能力を有する者の継続的な確保、公演、展示等を行う施設等の確保、海外の芸術家を円滑に受け入れることができる体制の整備等を行うことができるよう、必要な施策を講ずるものとする。
第9条 国は、大規模祭典を実施する者がその企画等に関し外部から専門的な助言、情報の提供その他の協力を得ることができる体制を整備するため、必要な施策を講ずるものとする。
第10条 国は、大規模祭典の国際的な評価の確立及び向上を図るため、大規模祭典の海外における紹介及び宣伝の強化、海外において効果的に情報を発信することのできる有識者等の大規模祭典への招へいの促進その他の必要な施策を講ずるものとする。
第11条 国は、大規模祭典への来訪者の利便性を向上させるため、大規模祭典について、来訪のための交通手段及び滞在のための施設の確保及び充実、展示、公演等に関する外国語によるものを含む案内の充実等が図られるよう、必要な施策を講ずるものとする。
第12条 国は、大規模祭典を実施する者が、海外において国際文化交流の祭典を実施する者と交流するとともに、大規模祭典の実施についてその者と連携することができるよう、必要な施策を講ずるものとする。
第13条 国は、大規模祭典の実施の推進に関し、我が国以外の国又は地域の政府機関等、独立行政法人国際交流基金その他の国内外の関係機関及び民間の団体との連携を図るものとする。
第14条 国は、国際文化交流の祭典に関する国内外における実施状況その他の情報の収集、整理及び分析並びにその結果の提供が行われるよう、必要な施策を講ずるものとする。
第15条 国は、国際文化交流の祭典の企画等に関し専門的能力を有する者の確保、養成及び資質の向上を図るため、必要な施策を講ずるものとする。
第16条 国は、国際文化交流の祭典の実施に関するボランティア活動への参加の促進及びその活動の充実を図るため、必要な施策を講ずるものとする。
第17条 国は、国際文化交流の祭典の円滑な実施及び質の向上に資するよう、国際文化交流の祭典の相互の連携を図るため、必要な施策を講ずるものとする。
第18条 国は、地方公共団体、民間の団体等による国際文化交流の祭典の実施、これへの参加その他その実施の推進を支援するため、必要な施策を講ずるものとする。
第2節 地方公共団体の施策
第19条 地方公共団体は、前節の国の施策を勘案し、その地域の実情に応じ、国際文化交流の祭典の実施の推進に関する施策を講ずるものとする。
第4章 国際文化交流の祭典推進会議
第20条 政府は、文部科学省、外務省、経済産業省、国土交通省その他の関係行政機関相互の調整を行うことにより、国際文化交流の祭典の実施の総合的、効果的かつ効率的な推進を図るため、国際文化交流の祭典推進会議を設けるものとする。
この法律は、公布の日から施行する。