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国際海上物品運送法

昭和32年法律第172号
最終改正:平成4年6月3日法律第69号
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    (適用範囲)

    第1条 この法律(第20条の2を除く。)の規定は船舶による物品運送で船積港又は陸揚港が本邦外にあるものに、同条の規定は運送人及びその使用する者の不法行為による損害賠償の責任に適用する。


    (定義)

    第2条 この法律において「船舶」とは、商法(明治32年法律第48号)第684条第1項に規定する船舶で、同条第2項の舟以外のものをいう。

     この法律において「運送人」とは、前条の運送をする船舶所有者、船舶賃借人及び傭船者をいう。

     この法律において「荷送人」とは、前条の運送を委託する傭船者及び荷送人をいう。

     この法律において「一計算単位」とは、国際通貨基金協定第3条第1項に規定する特別引出権による一特別引出権に相当する金額をいう。


    (運送品に関する注意義務)

    第3条 運送人は、自己又はその使用する者が運送品の受取、船積、積付、運送、保管、荷揚及び引渡につき注意を怠つたことにより生じた運送品の滅失、損傷又は延着について、損害賠償の責を負う。

     前項の規定は、船長、海員、水先人その他運送人の使用する者の航行若しくは船舶の取扱に関する行為又は船舶における火災(運送人の故意又は過失に基くものを除く。)により生じた損害には、適用しない。


    第4条 運送人は、前条の注意が尽されたことを証明しなければ、同条の責を免かれることができない。

     運送人は、次の事実があつたこと及び運送品に関する損害がその事実により通常生ずべきものであることを証明したときは、前項の規定にかかわらず、前条の責を免かれる。ただし、同条の注意が尽されたならばその損害を避けることができたにかかわらず、その注意が尽されなかつたことの証明があつたときは、この限りでない。

     海上その他可航水域に特有の危険

     天災

     戦争、暴動又は内乱

     海賊行為その他これに準ずる行為

     裁判上の差押、検疫上の制限その他公権力による処分

     荷送人若しくは運送品の所有者又はその使用する者の行為

     同盟罷業、怠業、作業所閉鎖その他の争議行為

     海上における人命若しくは財産の救助行為又はそのためにする離路若しくはその他の正当な理由に基く離路

     運送品の特殊な性質又は隠れた欠陥

     運送品の荷造又は記号の表示の不完全

    十一 起重機その他これに準ずる施設の隠れた欠陥

     前項の規定は、第9条の規定の適用を妨げない。


    (航海に堪える能力に関する注意義務)

    第5条 運送人は、自己又はその使用する者が発航の当時次の事項につき注意を怠つたことにより生じた運送品の滅失、損傷又は延着について、損害賠償の責を負う。

     船舶を航海に堪える状態におくこと。

     船員を乗り組ませ、船舶を艤装し、及び需品を補給すること。

     船倉、冷蔵室その他運送品を積み込む場所を運送品の受入、運送及び保存に適する状態におくこと。

     運送人は、前項の注意が尽されたことを証明しなければ、同項の責を免かれることができない。


    (船荷証券の交付義務)

    第6条 運送人、船長又は運送人の代理人は、荷送人の請求により、運送品の船積後遅滞なく、船積があつた旨を記載した船荷証券(以下「船積船荷証券」という。)の一通又は数通を交付しなければならない。運送品の船積前においても、その受取後は、荷送人の請求により、受取があつた旨を記載した船荷証券(以下「受取船荷証券」という。)の一通又は数通を交付しなければならない。

     受取船荷証券が交付された場合には、受取船荷証券の全部と引換でなければ、船積船荷証券の交付を請求することができない。


    (船荷証券の作成)

    第7条 船荷証券には、次の事項(受取船荷証券については、第7号及び第8号の事項を除く。)を記載し、運送人、船長又は運送人の代理人が署名し、又は記名押印しなければならない。

     運送品の種類

     運送品の容積若しくは重量又は包若しくは個品の数及び運送品の記号

     外部から認められる運送品の状態

     荷送人の氏名又は商号

     荷受人の氏名又は商号

     運送人の氏名又は商号

     船舶の名称及び国籍

     船積港及び船積の年月日

     陸揚港

     運送賃

    十一 数通の船荷証券を作つたときは、その数

    十二 作成地及び作成の年月日

     受取船荷証券と引換に船積船荷証券の交付の請求があつたときは、その受取船荷証券に船積があつた旨を記載し、かつ、署名し、又は記名押印して、船積船荷証券の作成に代えることができる。この場合には、前項第7号及び第8号の事項をも記載しなければならない。


    (荷送人の通告)

    第8条 前条第1項第1号及び第2号の事項は、その事項につき荷送人の書面による通告があつたときは、その通告に従つて記載しなければならない。

     前項の規定は、同項の通告が正確でないと信ずべき正当な理由がある場合及び同項の通告が正確であることを確認する適当な方法がない場合には、適用しない。運送品の記号について、運送品又はその容器若しくは包装に航海の終了の時まで判読に堪える表示がされていない場合も、また同様とする。

     荷送人は、運送人に対し、第1項の通告が正確であることを担保する。


    (船荷証券の不実記載)

    第9条 運送人は、船荷証券の記載が事実と異なることをもつて善意の船荷証券所持人に対抗することができない。


    (準用規定)

    第10条 商法第573条から第575条まで、第584条及び第770条から第775条までの規定は、この法律による船荷証券に準用する。


    (危険物の処分)

    第11条 引火性、爆発性その他の危険性を有する運送品で、船積の際運送人、船長及び運送人の代理人がその性質を知らなかつたものは、何時でも、陸揚し、破壊し、又は無害にすることができる。

     前項の規定は、運送人の荷送人に対する損害賠償の請求を妨げない。

     引火性、爆発性その他の危険性を有する運送品で、船積の際運送人、船長又は運送人の代理人がその性質を知つていたものは、船舶又は積荷に危害を及ぼすおそれが生じたときは、陸揚し、破壊し、又は無害にすることができる。

     運送人は、第1項又は前項の処分により当該運送品につき生じた損害については、賠償の責を負わない。


    (荷受人等の通知義務)

    第12条 荷受人又は船荷証券所持人は、運送品の一部滅失又は損傷があつたときは、受取の際運送人に対しその滅失又は損傷の概況につき書面による通知を発しなければならない。ただし、その滅失又は損傷が直ちに発見することができないものであるときは、受取の日から3日以内にその通知を発すれば足りる。

     前項の通知がなかつたときは、運送品は、滅失及び損傷がなく引き渡されたものと推定する。

     前二項の規定は、運送品の状態が引渡の際当事者の立会によつて確認された場合には、適用しない。

     運送品につき滅失又は損傷が生じている疑があるときは、運送人と荷受人又は船荷証券所持人とは、相互に、運送品の点検のため必要な便宜を与えなければならない。


    (損害賠償の額)

    第12条の2 運送品に関する損害賠償の額は、荷揚げされるべき地及び時における運送品の市場価格(商品取引所の相場のある物品については、その相場)によつて定める。ただし、市場価格がないときは、その地及び時における同種類で同一の品質の物品の正常な価格によつて定める。

     商法第580条第3項の規定は、前項の場合に準用する。


    (責任の限度)

    第13条 運送品に関する運送人の責任は、一包又は一単位につき、次に掲げる金額のうちいずれか多い金額を限度とする。

     一計算単位の六百六十六・六七倍の金額

     滅失、損傷又は延着に係る運送品の総重量について1キログラムにつき一計算単位の二倍を乗じて得た金額

     前項各号の一計算単位は、運送人が運送品に関する損害を賠償する日において公表されている最終のものとする。

     運送品がコンテナー、パレットその他これらに類する輸送用器具(以下この項において「コンテナー等」という。)を用いて運送される場合における第1項の規定の適用については、その運送品の包若しくは個品の数又は容積若しくは重量が船荷証券に記載されているときを除き、コンテナー等の数を包又は単位の数とみなす。

     運送品に関する運送人の使用する者の責任が、第20条の2第2項の規定により、同条第1項において準用する前三項の規定により運送人の責任が軽減される限度で軽減される場合において、運送人の使用する者が損害を賠償したときは、前三項の規定による運送品に関する運送人の責任は、運送人の使用する者が賠償した金額の限度において、更に軽減される。

     前各項の規定は、運送品の種類及び価額が、運送の委託の際荷送人により通告され、かつ、船荷証券が交付されるときは、船荷証券に記載されている場合には、適用しない。

     前項の場合において、荷送人が実価を著しくこえる価額を故意に通告したときは、運送人は、運送品に関する損害については、賠償の責を負わない。

     第5項の場合において、荷送人が実価より著しく低い価額を故意に通告したときは、その価額は、運送品に関する損害については、運送品の価額とみなす。

     前二項の規定は、運送人に悪意があつた場合には、適用しない。


    (損害賠償の額及び責任の限度の特例)

    第13条の2 運送人は、運送品に関する損害が、自己の故意により、又は損害の発生のおそれがあることを認識しながらした自己の無謀な行為により生じたものであるときは、第12条の2及び前条第1項から第4項までの規定にかかわらず、一切の損害を賠償する責めを負う。


    (責任の消滅)

    第14条 運送品に関する運送人の責任は、運送品が引き渡された日(全部滅失の場合には、引き渡されるべき日)から1年以内に裁判上の請求がされないときは、消滅する。

     前項の期間は、運送品に関する損害が発生した後に限り、合意により、延長することができる。

     運送人が更に第三者に対して運送を委託した場合における運送品に関する第三者の責任は、運送人が、第1項の期間内に、損害を賠償し、又は裁判上の請求をされた場合においては、同項の期間(前項の規定により第1項の期間が運送人と当該第三者との合意により延長された場合にあつては、その延長後の期間)が満了した後にあつても、運送人が損害を賠償し、又は裁判上の請求をされた日から3月を経過する日までは、消滅しない。


    (特約禁止)

    第15条 第3条から第5条まで、第8条、第9条又は第12条から前条までの規定に反する特約で、荷送人、荷受人又は船荷証券所持人に不利益なものは、無効とする。運送品の保険契約によつて生ずる権利を運送人に譲渡する契約その他これに類似する契約も、また同様とする。

     前項の規定は、運送人に不利益な特約をすることを妨げない。この場合には、荷送人は、船荷証券にその特約を記載すべきことを請求することができる。

     第1項の規定は、運送品の船積前又は荷揚後の事実により生じた損害には、適用しない。

     前項の損害につき第1項の特約がされた場合において、その特約が船荷証券に記載されていないときは、運送人は、その特約をもつて船荷証券所持人に対抗することができない。


    (特約禁止の特例)

    第16条 前条第1項の規定は、船舶の全部又は一部を運送契約の目的とする場合には、適用しない。ただし、運送人と船荷証券所持人との関係については、この限りでない。


    第17条 前条の規定は、運送品の特殊な性質若しくは状態又は運送が行われる特殊な事情により、運送品に関する運送人の責任を免除し、又は軽減することが相当と認められる運送に準用する。


    第18条 第15条第1項の規定は、生動物の運送及び甲板積の運送には、適用しない。

     前項の運送につき第15条第1項の特約がされた場合において、その特約が船荷証券に記載されていないときは、運送人は、その特約をもつて船荷証券所持人に対抗することができない。甲板積の運送につきその旨が船荷証券に記載されていないときも、また同様とする。


    (船舶先取特権)

    第19条 船舶の全部又は一部を運送契約の目的とした場合において、傭船者が更に第三者と運送契約をしたときは、運送品に関する損害で、船長の職務に属する範囲内において生じたものについて、賠償を請求することができる者は、その債権につき船舶及びその属具の上に先取特権を有する。

     前項の先取特権は、商法第842条第8号の先取特権に次ぐ。

     商法第844条第2項及び第3項、第845条、第846条、第847条第1項並びに第849条の規定は、第1項の先取特権に準用する。


    (商法の適用等)

    第20条 第1条の運送には、商法第738条、第739条、第759条及び第766条から第776条までの規定を除く外、同法を適用する。

     商法第576条、第578条、第579条、第582条及び第583条の規定は、第1条の運送に準用する。


    (運送人等の不法行為責任)

    第20条の2 第3条第2項、第11条第4項及び第12条の2から第14条まで並びに前条第2項において準用する商法第578条の規定は、運送品に関する運送人の荷送人、荷受人又は船荷証券所持人に対する不法行為による損害賠償の責任に準用する。この場合において、第3条第2項中「前項」とあるのは、「民法(明治29年法律第89号)第715条第1項本文及び商法第690条(同法第704条第1項の規定により船舶賃借人が船舶所有者と同一の権利義務を有することとされる場合を含む。)」と読み替えるものとする。

     前項の規定により運送品に関する運送人の責任が免除され、又は軽減される場合には、その責任が免除され、又は軽減される限度において、当該運送品に関する運送人の使用する者の荷送人、荷受人又は船荷証券所持人に対する不法行為による損害賠償の責任も、免除され、又は軽減される。

     第4条第2項及び第3項の規定は、運送品に関する運送人の使用する船長の荷送人、荷受人又は船荷証券所持人に対する不法行為による損害賠償の責任について商法第705条の規定の適用がある場合に準用する。この場合において、第4条第2項中「運送人」とあるのは「船長」と、「前項」とあるのは「商法第705条」と、「前条」とあるのは「同条」と読み替えるものとする。

     第13条第4項の規定は、運送品に関する運送人の責任が同条第1項から第3項までの規定(第1項において準用する場合を含む。)により軽減される場合において、運送人が損害を賠償したときの、運送品に関する運送人の使用する者の責任に準用する。

     前三項の規定は、運送品に関する損害が、運送人の使用する者の故意により、又は損害の発生のおそれがあることを認識しながらしたその者の無謀な行為により生じたものであるときには、適用しない。


    (郵便物の運送)

    第21条 この法律は、郵便物の運送には、適用しない。

    附 則

     この法律は、1924年8月25日にブラツセルで署名された船荷証券に関するある規則の統一のための国際条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。

    (効力を生ずる日=昭和33年1月1日)

     この法律は、この法律の施行前に締結された運送契約には、適用しない。

    附 則(昭和50年12月27日法律第94号)
    (施行期日等)

     この法律は、海上航行船舶の所有者の責任の制限に関する国際条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。

    (効力を生ずる日=昭和51年9月1日)

     この法律は、この法律の施行前に発生した事故により生じた損害に基づく債権については適用せず、この法律の施行前に生じた債権及びこの法律の施行前に発生した事故によりこの法律の施行後に生じた損害に基づく債権については、なお従前の例による。

    附 則(平成4年6月3日法律第69号)

     この法律は、1968年2月23日の議定書によって改正された1924年8月25日の船荷証券に関するある規則の統一のための国際条約を改正する議定書が日本国について効力を生ずる日から施行する。

    (効力を生ずる日=平成5年6月1日)

     この法律の施行前に締結された運送契約並びにその契約に係る運送品に関する運送人及びその使用する者の不法行為による損害賠償の責任に関しては、なお従前の例による。