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航空機抵当法

昭和28年法律第66号
最終改正:平成29年6月2日法律第45号
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(この法律の目的)

第1条 この法律は、航空機に関する動産信用の増進により、航空の発達を図ることを目的とする。


(定義)

第2条 この法律で「航空機」とは、飛行機及び回転翼航空機で航空法(昭和27年法律第231号)第2章の規定による登録を受けたものをいう。


(抵当権の目的)

第3条 航空機は、抵当権の目的とすることができる。


(抵当権の内容)

第4条 抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移さないで債務の担保に供した航空機(以下「抵当航空機」という。)につき、他の債権者に先だつて、自己の債権の弁済を受けることができる。


(対抗要件)

第5条 抵当権の得喪及び変更は、航空法に規定する航空機登録原簿に国土交通大臣が行う登録を受けなければ、第三者に対抗することができない。


(抵当権の効力の及ぶ範囲)

第6条 抵当権は、抵当航空機に付加して一体となつている物に及ぶ。ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び債務者の行為について民法(明治29年法律第89号)第424条第3項に規定する詐害行為取消請求をすることができる場合は、この限りでない。


(不可分性)

第7条 抵当権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、抵当航空機の全部につき、その権利を行使することができる。


(物上代位)

第8条 抵当権は、抵当航空機の売却、賃貸、滅失又はき損によつて抵当権設定者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。この場合においては、その払渡又は引渡前に差押をしなければならない。


(物上保証人の求償権)

第9条 他人の債務を担保するため抵当権を設定した者がその債務を弁済し、又は抵当権の実行によつて抵当航空機の所有権を失つたときは、民法に規定する保証債務に関する規定に従い、債務者に対して求償権を有する。


(抵当権の順位)

第10条 数個の債権を担保するため同一の航空機について抵当権を設定したときは、その抵当権の順位は、登録の前後による。

 民法第374条の規定は、抵当権の順位の変更について準用する。


(先取特権との順位)

第11条 同一の航空機について抵当権及び先取特権が競合する場合には、抵当権は、民法第330条第1項に規定する第一順位の先取特権と同順位とする。


(担保される利息等)

第12条 抵当権者が利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となつた最後の2年分についてのみその抵当権を行使することができる。

 前項の規定は、抵当権者が債務の不履行によつて生じた損害の賠償を請求する権利を有する場合において、その最後の2年分についても適用する。但し、利息その他の定期金を通算して2年分をこえることができない。


(抵当権の処分)

第13条 抵当権者は、抵当権を他の債権の担保に供し、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のため抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。

 前項の場合において、抵当権者が数人のために抵当権の処分をしたときは、その処分の利益を受ける者の権利の順位は、抵当権の登録にした附記の前後による。


第14条 前条の処分は、民法第467条の規定に従い、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又はその債務者がこれを承諾しなければ、これをもつてその債務者、保証人、抵当権設定者又はこれらの承継人に対抗することができない。

 主たる債務者が前項の通知を受け、又は承諾をしたときは、抵当権の処分の利益を受ける者の承諾を得ないで行つた弁済は、これをもつてその者に対抗することができない。


(代価弁済)

第15条 抵当航空機を買い受けた第三者が抵当権者の請求に応じてその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する。


(第三取得者の費用償還請求権)

第16条 抵当航空機を取得した第三者が抵当航空機について必要費又は有益費を出したときは、民法第196条の区別に従い、抵当航空機の代価をもつて最も先にその償還を受けることができる。


(共同抵当の代価の配当)

第17条 債権者が同一の債権の担保として数個の航空機の上に抵当権を有する場合において、同時にその代価を配当すべきときは、その各航空機の価額に応じてその債権の負担を分ける。

 ある航空機の代価のみを配当すべきときは、抵当権者は、その代価につき債権の全部の弁済を受けることができる。この場合においては、次の順位にある抵当権者は、右の抵当権者が前項の規定により他の航空機につき弁済を受けるべき金額に達するまでこれに代位して抵当権を行うことができる。

 前項後段の規定により代位して抵当権を行う者は、その抵当権の登録にその代位を附記することができる。


(一般財産からの弁済)

第18条 抵当権者は、抵当航空機の代価で弁済を受けない債権の部分についてのみ他の財産から弁済を受けることができる。

 前項の規定は、抵当航空機の代価に先だつて他の財産の代価を配当すべき場合には、適用しない。

 前項の場合において、抵当権者に第1項の規定による弁済を受けさせるため、他の債権者は、抵当権者に配当すべき金額の供託を請求することができる。


(抵当権者に対する通知)

第19条 国土交通大臣は、抵当航空機が航空法第8条第1項第3号に該当することとなつた場合において、同条第1項の規定によりまつ消登録の申請を受理したとき、又は同条第2項の催告をした後当該航空機の所有者が同項の期間内にまつ消登録を申請しないときは、遅滞なく、抵当権者に通知しなければならない。


(抵当権の実行)

第20条 抵当権者は、前条の通知を受けたときは、当該航空機に対して、直ちに、その権利を実行することができる。

 前項の規定により抵当権を実行しようとするときは、抵当権者は、前条の通知を受けた日から3箇月以内に、その手続をしなければならない。

 国土交通大臣は、前項の規定により抵当権の実行の手続をすることができる期間内及び抵当権の実行の終るまでの期間内は、第1項の航空機について航空法の規定によるまつ消登録をすることができない。

 買受人が代金を納付したときは、第1項の航空機について航空法第8条第1項第3号の事由が発生しなかつたものとみなす。


(時効による消滅)

第21条 抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によつて消滅しない。


第22条 債務者又は抵当権設定者以外の者が抵当航空機について取得時効に必要な条件を具備した占有をしたときは、抵当権は、これによつて消滅する。


(根抵当権)

第22条の2 抵当権は、設定行為をもつて定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。

 民法第398条の2第2項及び第3項並びに第398条の3から第398条の22までの規定は、前項の抵当権について準用する。


(質権設定の禁止)

第23条 航空機は、質権の目的とすることができない。


(行政手続法の適用除外)

第24条 抵当権の登録については、行政手続法(平成5年法律第88号)第2章及び第3章の規定は、適用しない。


(政令への委任)

第25条 航空機登録原簿の記載その他登録に関する事項は、政令で定める。

附 則

 この法律の施行期日は、公布の日から起算して6箇月をこえない範囲内において政令で定める。

附 則(昭和46年6月3日法律第99号)
(施行期日)

第1条 この法律は、昭和47年4月1日から施行する。


(経過措置の原則)

第2条 この法律による改正後の民法(以下「新法」という。)の規定は、別段の定めがある場合を除き、この法律の施行の際現に存する抵当権で根抵当であるもの(以下「旧根抵当権」という。)にも適用する。ただし、改正前の民法(以下「旧法」という。)の規定により生じた効力を妨げない。


(新法の適用の制限)

第3条 旧根抵当権で、極度額についての定めが新法の規定に適合していないもの又は附記によらない極度額の増額の登記があるものについては、その極度額の変更、新法第398条の4の規定による担保すべき債権の範囲又は債務者の変更、新法第398条の12の規定による根抵当権の譲渡、新法第398条の13の規定による根抵当権の一部譲渡及び新法第398条の14第1項ただし書の規定による定めは、することができない。

 前項の規定は、同項に規定する旧根抵当権以外の旧根抵当権で、旧法第375条第1項の規定による処分がされているものについて準用する。ただし、極度額の変更及び新法第398条の12第2項の規定による根抵当権の譲渡をすることは、妨げない。


(極度額についての定めの変更)

第4条 旧根抵当権で、極度額についての定めが新法の規定に適合していないものについては、元本の確定前に限り、その定めを変更して新法の規定に適合するものとすることができる。この場合においては、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得ることを要しない。


(附記によらない極度額の増額の登記がある旧根抵当権の分割)

第5条 附記によらない極度額の増額の登記がある旧根抵当権については、元本の確定前に限り、根抵当権者及び根抵当権設定者の合意により、当該旧根抵当権を分割して増額に係る部分を新法の規定による独立の根抵当権とすることができる。この場合においては、旧根抵当権を目的とする権利は、当該増額に係る部分について消滅する。

 前項の規定による分割をする場合には、増額に係る部分を目的とする権利を有する者その他の利害の関係を有する者の承諾を得なければならない。


(元本の確定すべき期日に関する経過措置)

第6条 この法律の施行の際旧根抵当権について現に存する担保すべき元本の確定すべき時期に関する定め又はその登記は、その定めにより元本が確定することとなる日をもつて新法第398条の6第1項の期日とする定め又はその登記とみなす。ただし、その定めにより元本が確定することとなる日がこの法律の施行の日から起算して5年を経過する日より後であるときは、当該定め又はその登記は、当該5年を経過する日をもつて同項の期日とする定め又はその登記とみなす。


(弁済による代位に関する経過措置)

第7条 この法律の施行前から引き続き旧根抵当権の担保すべき債務を弁済するについて正当な利益を有していた者が、この法律の施行後元本の確定前にその債務を弁済した場合における代位に関しては、なお従前の例による。


(旧根抵当権の処分に関する経過措置)

第8条 この法律の施行前に元本の確定前の旧根抵当権についてされた旧法第375条第1項の規定による処分に関しては、なお従前の例による。


(同一の債権の担保として設定された旧根抵当権の分離)

第9条 同一の債権の担保として設定された数個の不動産の上の旧根抵当権については、元本の確定前に限り、根抵当権者及び根抵当権設定者の合意により、当該旧根抵当権を一の不動産について他の不動産から分離し、これらの不動産の間に、新法第392条の規定の適用がないものとすることができる。ただし、後順位の抵当権者その他の利害の関係を有する者の承諾がないときは、この限りでない。

 前項の規定による分離は、新法第398条の16の規定の適用に関しては、根抵当権の設定とみなす。


(元本の確定の時期に関する経過措置)

第10条 この法律の施行前に、新法第398条の20第1項第1号に規定する申立て、同項第2号に規定する差押え、同項第3号に規定する競売手続の開始若しくは差押え又は同項第4号に規定する破産手続開始の決定があつた旧根抵当権で、担保すべき元本が確定していないものについては、この法律の施行の日にこれらの事由が生じたものとみなして、同項の規定を適用する。


(旧根抵当権の消滅請求に関する経過措置)

第11条 極度額についての定めが新法の規定に適合していない旧根抵当権については、その優先権の限度額を極度額とみなして、新法第398条の22の規定を適用する。


(航空機抵当法の一部改正に伴う経過措置)

第25条 前条の規定による航空機抵当法の一部改正に伴う経過措置については、附則第2条から附則第11条までの規定の例による。

附 則(昭和54年3月30日法律第5号)
(施行期日)

 この法律は、民事執行法(昭和54年法律第4号)の施行の日(昭和55年10月1日)から施行する。

(経過措置)

 この法律の施行前に申し立てられた民事執行、企業担保権の実行及び破産の事件については、なお従前の例による。

 前項の事件に関し執行官が受ける手数料及び支払又は償還を受ける費用の額については、同項の規定にかかわらず、最高裁判所規則の定めるところによる。

附 則(平成5年11月12日法律第89号)
(施行期日)

第1条 この法律は、行政手続法(平成5年法律第88号)の施行の日から施行する。


(政令への委任)

第15条 附則第2条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。

附 則(平成11年12月22日法律第160号)
(施行期日)

第1条 この法律(第2条及び第3条を除く。)は、平成13年1月6日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 第995条(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律附則の改正規定に係る部分に限る。)、第1305条、第1306条、第1324条第2項、第1326条第2項及び第1344条の規定 公布の日

附 則(平成16年6月18日法律第124号)
(施行期日)

第1条 この法律は、新不動産登記法の施行の日から施行する。

附 則(平成16年12月1日法律第147号)
(施行期日)

第1条 この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

附 則(平成29年6月2日法律第45号)

この法律は、民法改正法の施行の日から施行する。ただし、第103条の2、第103条の3、第267条の2、第267条の3及び第362条の規定は、公布の日から施行する。

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航空機抵当法
引用されている法律
航空法民法行政手続法