逃亡犯罪人引渡法
第1条 この法律において「引渡条約」とは、日本国と外国との間に締結された犯罪人の引渡しに関する条約をいう。
2 この法律において「請求国」とは、日本国に対して犯罪人の引渡しを請求した外国をいう。
3 この法律において「引渡犯罪」とは、請求国からの犯罪人の引渡しの請求において当該犯罪人が犯したとする犯罪をいう。
4 この法律において「逃亡犯罪人」とは、引渡犯罪について請求国の刑事に関する手続が行なわれた者をいう。
第2条 左の各号の一に該当する場合には、逃亡犯罪人を引き渡してはならない。但し、第3号、第4号、第8号又は第9号に該当する場合において、引渡条約に別段の定があるときは、この限りでない。
一 引渡犯罪が政治犯罪であるとき。
二 引渡の請求が、逃亡犯罪人の犯した政治犯罪について審判し、又は刑罰を執行する目的でなされたものと認められるとき。
三 引渡犯罪が請求国の法令により死刑又は無期若しくは長期3年以上の拘禁刑にあたるものでないとき。
四 引渡犯罪に係る行為が日本国内において行なわれたとした場合において、当該行為が日本国の法令により死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮に処すべき罪にあたるものでないとき。
五 引渡犯罪に係る行為が日本国内において行われ、又は引渡犯罪に係る裁判が日本国の裁判所において行われたとした場合において、日本国の法令により逃亡犯罪人に刑罰を科し、又はこれを執行することができないと認められるとき。
六 引渡犯罪について請求国の有罪の裁判がある場合を除き、逃亡犯罪人がその引渡犯罪に係る行為を行つたことを疑うに足りる相当な理由がないとき。
七 引渡犯罪に係る事件が日本国の裁判所に係属するとき、又はその事件について日本国の裁判所において確定判決を経たとき。
八 逃亡犯罪人の犯した引渡犯罪以外の罪に係る事件が日本国の裁判所に係属するとき、又はその事件について逃亡犯罪人が日本国の裁判所において刑に処せられ、その執行を終らず、若しくは執行を受けないこととなつていないとき。
九 逃亡犯罪人が日本国民であるとき。
第3条 外務大臣は、逃亡犯罪人の引渡しの請求があつたときは、次の各号の一に該当する場合を除き、引渡請求書又は外務大臣の作成した引渡しの請求があつたことを証明する書面に関係書類を添附し、これを法務大臣に送付しなければならない。
一 請求が引渡条約に基づいて行なわれたものである場合において、その方式が引渡条約に適合しないと認めるとき。
二 請求が引渡条約に基づかないで行なわれたものである場合において、請求国から日本国が行なう同種の請求に応ずべき旨の保証がなされないとき。
第4条 法務大臣は、外務大臣から前条の規定による引渡しの請求に関する書面の送付を受けたときは、次の各号の一に該当する場合を除き、東京高等検察庁検事長に対し関係書類を送付して、逃亡犯罪人を引き渡すことができる場合に該当するかどうかについて東京高等裁判所に審査の請求をなすべき旨を命じなければならない。
一 明らかに逃亡犯罪人を引き渡すことができない場合に該当すると認めるとき。
二 第2条第8号又は第9号に該当する場合には逃亡犯罪人を引き渡すかどうかについて日本国の裁量に任せる旨の引渡条約の定めがある場合において、明らかに同条第8号又は第9号に該当し、かつ、逃亡犯罪人を引き渡すことが相当でないと認めるとき。
三 前号に定める場合のほか、逃亡犯罪人を引き渡すかどうかについて日本国の裁量に任せる旨の引渡条約の定めがある場合において、当該定めに該当し、かつ、逃亡犯罪人を引き渡すことが相当でないと認めるとき。
四 引渡しの請求が引渡条約に基づかないで行われたものである場合において、逃亡犯罪人を引き渡すことが相当でないと認めるとき。
2 法務大臣は、前項第3号又は第4号の認定をしようとするときは、あらかじめ外務大臣と協議しなければならない。
3 法務大臣は、第1項の規定による命令その他逃亡犯罪人の引渡しに関する措置をとるため必要があると認めるときは、逃亡犯罪人の所在その他必要な事項について調査を行うことができる。
第5条 東京高等検察庁検事長は、前条第1項の規定による法務大臣の命令を受けたときは、逃亡犯罪人が仮拘禁許可状により拘禁され、又は仮拘禁許可状による拘禁を停止されている場合を除き、東京高等検察庁の検察官をして、東京高等裁判所の裁判官のあらかじめ発する拘禁許可状により、逃亡犯罪人を拘禁させなければならない。但し、逃亡犯罪人が定まつた住居を有する場合であつて、東京高等検察庁検事長において逃亡犯罪人が逃亡するおそれがないと認めるときは、この限りでない。
2 前項の拘禁許可状は、東京高等検察庁の検察官の請求により発する。
3 拘禁許可状には、逃亡犯罪人の氏名、引渡犯罪名、請求国の名称、有効期間及びその期間経過後は拘束に着手することができず拘禁許可状は返還しなければならない旨並びに発付の年月日を記載し、裁判官が記名押印しなければならない。
第6条 東京高等検察庁の検察官は、検察事務官、警察官、海上保安官又は海上保安官補(以下「検察事務官等」という。)に前条の拘禁許可状による拘束をさせることができる。
2 拘禁許可状により逃亡犯罪人を拘束するには、これを逃亡犯罪人に示さなければならない。
3 検察事務官等は、拘禁許可状により逃亡犯罪人を拘束したときは、できる限りすみやかに、これを東京高等検察庁の検察官に引致しなければならない。
4 刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第71条、第73条第3項、第74条及び第126条の規定は、拘禁許可状による拘束について準用する。
第7条 東京高等検察庁の検察官は、拘禁許可状により逃亡犯罪人を拘束したとき、又は拘禁許可状により拘束された逃亡犯罪人を受け取つたときは、直ちに、その人違でないかどうかを取り調べなければならない。
2 逃亡犯罪人が人違いでないときは、直ちに、拘束の事由を告げた上、拘禁すべき刑事施設を指定し、速やかに、かつ、直接、逃亡犯罪人をその刑事施設に送致しなければならない。この場合には、前条第1項の規定を準用する。
第8条 東京高等検察庁の検察官は、第4条第1項の規定による法務大臣の命令があつたときは、逃亡犯罪人の現在地が判らない場合を除き、すみやかに、東京高等裁判所に対し、逃亡犯罪人を引き渡すことができる場合に該当するかどうかについて審査の請求をしなければならない。拘禁許可状により逃亡犯罪人を拘束し、又は拘禁許可状により拘束された逃亡犯罪人を受け取つたときは、拘束した時又は受け取つた時から24時間以内に審査の請求をしなければならない。
2 前項の審査の請求は書面で行い、これに関係書類を添附しなければならない。
3 東京高等検察庁の検察官は、第1項の請求をしたときは、逃亡犯罪人に前項の請求書の謄本を送付しなければならない。
第9条 東京高等裁判所は、前条の審査の請求を受けたときは、すみやかに、審査を開始し、決定をするものとする。逃亡犯罪人が拘禁許可状により拘禁されているときは、おそくとも、拘束を受けた日から2箇月以内に決定をするものとする。
2 逃亡犯罪人は、前項の審査に関し、弁護士の補佐を受けることができる。
3 東京高等裁判所は、第1項の決定をする前に、逃亡犯罪人及びこれを補佐する弁護士に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。但し、次条第1項第1号又は第2号の決定をする場合は、この限りでない。
4 東京高等裁判所は、第1項の審査をするについて必要があるときは、証人を尋問し、又は鑑定、通訳若しくは翻訳を命ずることができる。この場合においては、その性質に反しない限り、刑事訴訟法第1編第11章から第13章まで及び刑事訴訟費用に関する法令の規定を準用する。
第10条 東京高等裁判所は、前条第1項の規定による審査の結果に基いて、左の区別に従い、決定をしなければならない。
一 審査の請求が不適法であるときは、これを却下する決定
二 逃亡犯罪人を引き渡すことができない場合に該当するときは、その旨の決定
三 逃亡犯罪人を引き渡すことができる場合に該当するときは、その旨の決定
2 前項の決定は、その主文を東京高等検察庁の検察官に通知することによつて、その効力を生ずる。
3 東京高等裁判所は、第1項の決定をしたときは、すみやかに、東京高等検察庁の検察官及び逃亡犯罪人に裁判書の謄本を送達し、東京高等検察庁の検察官にその提出した関係書類を返還しなければならない。
第11条 外務大臣は、第3条の規定による書面の送付をした後に、請求国から逃亡犯罪人の引渡しの請求を撤回する旨の通知を受け、又は第3条第2号に該当するに至つたときは、直ちに、その旨を法務大臣に通知しなければならない。
2 法務大臣は、第4条第1項の命令をした後に、外務大臣から前項の規定による通知を受け、又は第4条第1項各号の一に該当するに至つたときは、直ちに、その命令を取り消すとともに、第8条第3項の規定による審査請求書の謄本の送付を受けた逃亡犯罪人にその旨を通知しなければならない。
3 東京高等検察庁の検察官は、審査の請求をした後に審査請求命令が取り消されたときは、すみやかに、審査の請求を取り消さなければならない。
第12条 東京高等検察庁の検察官は、第10条第1項第1号若しくは第2号の決定があつたとき、又は前条の規定により審査請求命令が取り消されたときは、直ちに、拘禁許可状により拘禁されている逃亡犯罪人を釈放しなければならない。
第13条 東京高等検察庁検事長は、第10条第3項の規定により、裁判書の謄本が東京高等検察庁の検察官に送達されたときは、すみやかに、意見を附し、関係書類とともに、これを法務大臣に提出しなければならない。
第14条 法務大臣は、第10条第1項第3号の決定があつた場合において、逃亡犯罪人を引き渡すことが相当であると認めるときは、東京高等検察庁検事長に対し逃亡犯罪人の引渡を命ずるとともに、逃亡犯罪人にその旨を通知し、逃亡犯罪人を引き渡すことが相当でないと認めるときは、直ちに、東京高等検察庁検事長及び逃亡犯罪人にその旨を通知するとともに、東京高等検察庁検事長に対し拘禁許可状により拘禁されている逃亡犯罪人の釈放を命じなければならない。
2 東京高等検察庁の検察官は、前項の規定による釈放の命令があつたとき、又は第10条第3項の規定により同条第1項第3号の決定の裁判書の謄本の送達を受けた日から10日以内に前項の規定による引渡の命令がないときは、直ちに、拘禁許可状により拘禁されている逃亡犯罪人を釈放しなければならない。
3 法務大臣は、第1項の規定により逃亡犯罪人を引き渡すことが相当でないと認める旨の通知をした後は、当該引渡請求につき逃亡犯罪人の引渡を命ずることができない。但し、第2条第8号の場合に関し引渡条約に別段の定がある場合において、同条同号に該当するため逃亡犯罪人を引き渡すことが相当でないと認める旨の通知をした後同条同号に該当しないこととなつたときは、この限りでない。
第15条 前条第1項の引渡しの命令による逃亡犯罪人の引渡しの場所は、逃亡犯罪人が拘禁許可状により拘禁されている刑事施設とし、引渡しの期限は、引渡命令の日の翌日から起算して30日目の日とする。ただし、逃亡犯罪人が引渡しの命令の日に拘禁されていないときは、引渡しの場所は、拘禁状により逃亡犯罪人を拘禁すべき刑事施設又は拘禁が停止されるまで逃亡犯罪人が拘禁されていた刑事施設とし、引渡しの期限は、逃亡犯罪人が拘禁状により拘束され、又は拘禁の停止の取消しにより拘束された日の翌日から起算して30日目の日とする。
第16条 第14条第1項の規定による引渡の命令は、引渡状を発して行う。
2 引渡状は、東京高等検察庁検事長に交付しなければならない。
3 法務大臣は、引渡状を発すると同時に、外務大臣に受領許可状を送付しなければならない。
4 引渡状及び受領許可状には、逃亡犯罪人の氏名、引渡犯罪名、請求国の名称、引渡の場所、引渡の期限及び発付の年月日を記載し、法務大臣が記名押印しなければならない。
第17条 東京高等検察庁検事長は、法務大臣から引渡状の交付を受けた場合において、逃亡犯罪人が拘禁許可状により拘禁され、又はその拘禁が停止されているときは、逃亡犯罪人が拘禁され、又は停止されるまで拘禁されていた刑事施設の長に対し、引渡状を交付して逃亡犯罪人の引渡しを指揮しなければならない。
2 前項に規定する場合を除き、東京高等検察庁検事長は、法務大臣から引渡状の交付を受けたときは、東京高等検察庁の検察官をして拘禁状により逃亡犯罪人を拘禁させなければならない。
3 前項の拘禁状は、東京高等検察庁の検察官が発する。
4 第6条及び第7条の規定は、拘禁状による逃亡犯罪人の拘束について準用する。
5 東京高等検察庁検事長は、拘禁状により拘束された逃亡犯罪人が拘禁すべき刑事施設に送致されたときは、速やかに、その刑事施設の長に対し引渡状を交付して逃亡犯罪人の引渡しを指揮するとともに、法務大臣にその旨及び拘束した年月日を報告しなければならない。
第18条 法務大臣は、東京高等検察庁検事長から前条第5項又は第22条第6項の規定による報告があつたときは、直ちに、外務大臣に対し、逃亡犯罪人を引き渡すべき場所に拘束した旨及び引渡の期限を通知しなければならない。
第19条 外務大臣は、第16条第3項の規定による受領許可状の送付を受けたときは、直ちに、これを請求国に送付しなければならない。
2 外務大臣は、前条の規定による通知を受けたときは、直ちに、その内容を請求国に通知しなければならない。
第20条 第17条第1項又は第5項の規定による逃亡犯罪人の引渡しの指揮を受けた刑事施設の長は、請求国の官憲から受領許可状を示して逃亡犯罪人の引渡しを求められたときは、逃亡犯罪人を引き渡さなければならない。
2 刑事施設の長は、引渡しの期限内に前項の規定による引渡しの求めがないときは、逃亡犯罪人を釈放し、その旨を東京高等検察庁検事長に報告しなければならない。
第21条 前条第1項の規定により、逃亡犯罪人の引渡を受けた請求国の官憲は、すみやかに、逃亡犯罪人を請求国内に護送するものとする。
第22条 東京高等検察庁の検察官は、必要と認めるときは、拘禁許可状により拘禁されている逃亡犯罪人を親族その他の者に委託し、又は逃亡犯罪人の住居を制限して、拘禁の停止をすることができる。
2 東京高等検察庁の検察官は、必要と認めるときは、いつでも、拘禁の停止を取り消すことができる。第17条第1項の規定により法務大臣から東京高等検察庁検事長に対して引渡状の交付があつたときは、拘禁の停止を取り消さなければならない。
3 東京高等検察庁の検察官は、前項の規定により拘禁の停止を取り消したときは、検察事務官等に逃亡犯罪人の拘束をさせることができる。
4 前項の規定による拘束は、拘禁許可状の謄本及び東京高等検察庁の検察官が作成した拘禁の停止を取り消した旨の書面を逃亡犯罪人に示した上、これを拘禁すべき刑事施設に引致して行う。
5 前項の書面を所持しないためこれを示すことができない場合において、急速を要するときは、同項の規定にかかわらず、逃亡犯罪人に対し拘禁の停止が取り消された旨を告げて、これを拘禁すべき刑事施設に引致することができる。ただし、その書面は、できる限り速やかに逃亡犯罪人に示さなければならない。
6 東京高等検察庁検事長は、第2項後段の規定による拘禁の停止の取消しがあつた場合において、逃亡犯罪人が拘禁すべき刑事施設に送致されたときは、速やかに、法務大臣にその旨及び拘束した年月日を報告しなければならない。
7 左の各号の一に該当するときは、停止されている拘禁は、その効力を失う。
一 逃亡犯罪人に対し、第10条第1項第1号又は第2号の決定の裁判書の謄本が送達されたとき。
二 逃亡犯罪人に対し、第11条第2項の規定による通知があつたとき。
三 逃亡犯罪人に対し、第14条第1項の規定により、法務大臣から引き渡すことが相当でないと認める旨の通知があつたとき。
第23条 外務大臣は、引渡条約に基づき、締約国から引渡条約により日本国に対し引渡しの請求をすることができる犯罪人が犯した犯罪(引渡条約において締約国が日本国に対し犯罪人の引渡しを請求することができるものとして掲げる犯罪に限る。)についてその者を仮に拘禁することの請求があつたときは、次の各号の一に該当する場合を除き、その請求があつたことを証明する書面に関係書類を添付し、これを法務大臣に送付しなければならない。
一 請求に係る者を逮捕すべき旨の令状が発せられ又は刑の言渡しがなされていることの通知がないとき。
二 請求に係る者の引渡しの請求を行うべき旨の保証がなされないとき。
2 引渡条約に基づかないで犯罪人を仮に拘禁することの請求があつたときは、当該請求をした外国から日本国が行う同種の請求に応ずべき旨の保証がなされた場合に限り、前項と同様とする。
第24条 法務大臣は、前条の規定による書面の送付を受けた場合において、当該犯罪人を仮に拘禁することを相当と認めるときは、東京高等検察庁検事長に対し、当該犯罪人を仮に拘禁すべき旨を命じなければならない。
第25条 東京高等検察庁検事長は、前条の規定による法務大臣の命令を受けたときは、東京高等検察庁の検察官をして、東京高等裁判所の裁判官があらかじめ発する仮拘禁許可状により、当該犯罪人を拘禁させなければならない。
2 第5条第2項及び第3項、第6条並びに第7条の規定は、仮拘禁許可状による拘禁について準用する。
第26条 法務大臣は、仮拘禁許可状により拘禁されている犯罪人について、外務大臣から第3条の規定による引渡しの請求に関する書面の送付を受けた場合において、第4条第1項各号の一に該当するため同条同項の規定による命令をしないときは、東京高等検察庁検事長及び当該犯罪人にその旨を通知するとともに、東京高等検察庁検事長に対し、当該犯罪人の釈放を命じなければならない。
2 東京高等検察庁の検察官は、前項の規定による釈放の命令があつたときは、直ちに、当該犯罪人を釈放しなければならない。
第27条 東京高等検察庁検事長は、仮拘禁許可状が発せられている犯罪人について第4条第1項の規定による法務大臣の命令を受けたときは、直ちに、東京高等検察庁の検察官をして、当該犯罪人に対し引渡の請求があつた旨を告知させなければならない。
2 前項の告知は、当該犯罪人が仮拘禁許可状により拘禁されている場合には、その刑事施設の長に通知して行い、拘禁されていない場合には、当該犯罪人に書面を送付して行う。
3 仮拘禁許可状により拘禁されている犯罪人に対し第1項の規定による告知があつたときは、その拘禁は、拘禁許可状による拘禁とみなし、第8条第1項の規定の適用については、その告知があつた時に東京高等検察庁の検察官が拘禁許可状により逃亡犯罪人を拘禁したものとみなす。
第28条 外務大臣は、第23条の規定による書面の送付をした後に仮に拘禁することの請求をした国から当該犯罪人の引渡しの請求をしない旨の通知があつたときは、直ちに、その旨を法務大臣に通知しなければならない。
2 法務大臣は、前項の規定による通知を受けたときは、直ちに、東京高等検察庁検事長及び当該犯罪人にその旨を通知するとともに、東京高等検察庁検事長に対し、当該犯罪人の釈放を命じなければならない。
3 東京高等検察庁の検察官は、前項の規定による釈放の命令があつたときは、直ちに、当該犯罪人を釈放しなければならない。
第29条 刑事施設の長は、仮拘禁許可状により拘禁されている犯罪人について、その者が拘束された日から2箇月(引渡条約に2箇月より短い期間の定めがあるときは、その期間)以内に第27条第2項の規定による通知を受けないときは、当該犯罪人を釈放し、その旨を東京高等検察庁検事長に報告しなければならない。
第30条 第22条第1項から第5項までの規定は、仮拘禁許可状による拘禁に準用する。
2 前項において準用する第22条第1項の規定により、仮拘禁許可状による拘禁の停止があつた場合において、当該犯罪人に対し第27条第1項の規定による告知がなされたときは、当該仮拘禁許可状による拘禁の停止は、第22条第1項の規定による拘禁の停止とみなす。
3 第1項において準用する第22条第1項の規定により、仮拘禁許可状による拘禁の停止があつた場合において、次の各号の一に該当するときは、停止されている仮拘禁許可状による拘禁は、その効力を失う。
一 当該犯罪人に対し、第26条第1項又は第28条第2項の規定による通知があつたとき。
二 当該犯罪人が仮拘禁許可状により拘束された日から2箇月(引渡条約に2箇月より短い期間の定めがあるときは、その期間)以内に、当該犯罪人に対し第27条第1項の規定による告知がないとき。
第31条 この法律に定めるものの外、東京高等裁判所の審査に関する手続及び拘禁許可状又は仮拘禁許可状の発付に関する手続について必要な事項は、最高裁判所が定める。
第32条 この法律に定める東京高等裁判所若しくはその裁判官又は東京高等検察庁の検察官の職務の執行に関しては、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律(昭和22年法律第63号)の規定にかかわらず、東京高等裁判所には、管轄区域の定がないものとする。
第33条 日本国と外国との間に新たに引渡条約が締結された場合においては、引渡条約に締約国が日本国に対し当該引渡条約の効力発生前に犯された犯罪については犯罪人の引渡を請求することができない旨の定がある場合を除き、この法律中引渡条約に基づく引渡しの請求に関する規定は、当該引渡条約の効力発生前に犯された犯罪につきその効力発生後になされた引渡の請求に関しても、適用されるものとする。
第34条 法務大臣は、外国から外交機関を経由して当該外国の官憲が他の外国から引渡しを受けた者を日本国内を通過して護送することの承認の請求があつたときは、次の各号の一に該当する場合を除き、これを承認することができる。
一 請求に係る者の引渡しの原因となつた行為が日本国内において行われたとした場合において、当該行為が日本国の法令により罪となるものでないとき。
二 請求に係る者の引渡しの原因となつた犯罪が政治犯罪であるとき、又は当該引渡しの請求が政治犯罪について審判し、若しくは刑罰を執行する目的で行われたものと認められるとき。
三 請求が引渡条約に基づかないで行われたものである場合において、請求に係る者が日本国民であるとき。
2 法務大臣は、前項の承認をするかどうかについてあらかじめ外務大臣と協議しなければならない。
第35条 この法律に基づいて行う処分については、行政手続法(平成5年法律第88号)第3章の規定は、適用しない。
2 この法律に基づいて行う処分(行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)第3条第2項に規定する処分をいう。)又は裁決(同条第3項に規定する裁決をいう。)に係る抗告訴訟(同条第1項に規定する抗告訴訟をいう。)については、同法第12条第4項及び第5項(これらの規定を同法第38条第1項において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない。
1 この法律は、昭和28年7月22日から施行する。
2 逃亡犯罪人引渡条例(明治20年勅令第42号)は、廃止する。
3 この法律は、この法律の施行前に犯された引渡犯罪に関する逃亡犯罪人の引渡の請求についても、適用する。
1 この法律中、第53条の規定は交通事件即決裁判手続法の施行の日から、その他の部分は、警察法(昭和29年法律第162号。同法附則第1項但書に係る部分を除く。)の施行の日から施行する。
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律による改正後の逃亡犯罪人引渡法の規定は、この法律の施行前に犯された犯罪に係る犯罪人の引渡しの請求についても、適用する。
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律による改正後の逃亡犯罪人引渡法の規定は、この法律の施行前に犯された犯罪に係る犯罪人の引渡し及び通過護送の承認の請求についても、適用する。
第1条 この法律は、行政手続法(平成5年法律第88号)の施行の日から施行する。
第2条 この法律の施行前に法令に基づき審議会その他の合議制の機関に対し行政手続法第13条に規定する聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続に相当する手続を執るべきことの諮問その他の求めがされた場合においては、当該諮問その他の求めに係る不利益処分の手続に関しては、この法律による改正後の関係法律の規定にかかわらず、なお従前の例による。
第13条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第14条 この法律の施行前に法律の規定により行われた聴聞、聴問若しくは聴聞会(不利益処分に係るものを除く。)又はこれらのための手続は、この法律による改正後の関係法律の相当規定により行われたものとみなす。
第15条 附則第2条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。
第1条 この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
第1条 この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
第1条 この法律は、規程が日本国について効力を生ずる日から施行する。