金融業者の貸付業務のための社債の発行等に関する法律
第1章 総則
第1条 この法律は、金融業者がその貸付業務のために行う社債の発行等による貸付資金の受入れに関し、社債の購入者等の保護に資するため、社債の発行等による貸付資金の受入れをする金融業者について、一定の財産的基礎等を要件とする登録制度を実施するとともに、その貸付状況等を明確に表示するための会計の整理を義務付ける措置を定めることを目的とする。
第2条 この法律において「金融業者」とは、貸金業法(昭和58年法律第32号)第2条第2項に規定する貸金業者その他の金銭の貸付け(手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によってする金銭の交付を含む。以下同じ。)を業として行う者で政令で定めるものをいう。
2 この法律において「金融会社等」とは、法人である金融業者をいう。
3 この法律において「特定金融会社等」とは、次条の規定により内閣総理大臣の登録を受けた者をいう。
第2章 登録
第3条 金融業者は、内閣総理大臣の登録を受けた金融会社等でなければ、社債の発行その他の政令で定める方法(以下「社債の発行等」という。)による貸付資金の受入れをしてはならない。
第4条 前条の登録を受けようとする金融会社等は、次に掲げる事項を記載した登録申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
一 商号又は名称及び住所
二 資本金又は出資の額
三 その他内閣府令で定める事項
2 前項の登録申請書には、登記事項証明書その他内閣府令で定める書類を添付しなければならない。
第5条 内閣総理大臣は、第3条の登録の申請があったときは、次条第1項の規定によりその登録を拒否する場合を除き、次に掲げる事項を特定金融会社等登録簿に登録しなければならない。
一 前条第1項各号に掲げる事項
二 登録年月日及び登録番号
2 内閣総理大臣は、前項の規定による登録をしたときは、遅滞なく、その旨を登録申請者に通知しなければならない。
3 内閣総理大臣は、内閣府令で定めるところにより、特定金融会社等登録簿を公衆の縦覧に供しなければならない。
第6条 内閣総理大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはその添付書類に虚偽の記載があり、若しくは記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
一 金融会社等に該当しない者
二 資本金又は出資の額が政令で定める金額に満たない金融会社等
三 金銭の貸付けに係る業務を政令で定める基準に達しない人的構成により行う金融会社等
四 第11条第1項の規定により第3条の登録を取り消され、その取消しの日から3年を経過しない金融会社等
2 内閣総理大臣は、前項の規定により登録を拒否したときは、遅滞なく、その理由を示して、その旨を登録申請者に通知しなければならない。
第7条 特定金融会社等は、第4条第1項各号に掲げる事項に変更があったときは、その日から2週間以内に、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
2 内閣総理大臣は、前項の規定による届出を受理したときは、その届出があった事項を特定金融会社等登録簿に登録しなければならない。
第8条 特定金融会社等が、第2条第2項に規定する金融会社等に該当しないこととなったとき、又は社債の発行等による貸付資金の受入れをやめたときは、その特定金融会社等であった法人を代表する役員その他の政令で定める者は、その日から30日以内に、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
2 特定金融会社等が第2条第2項に規定する金融会社等に該当しないこととなったとき、又は特定金融会社等から社債の発行等による貸付資金の受入れをやめた旨の届出があったときは、当該特定金融会社等の第3条の登録は、その効力を失う。
第3章 会計の整理
第9条 特定金融会社等は、内閣府令で定める勘定科目の分類及び貸借対照表、損益計算書その他の財務計算に関する諸表の記載要領に従い、その会計を整理しなければならない。
2 前項に規定する内閣府令で定める勘定科目の分類及び貸借対照表、損益計算書その他の財務計算に関する諸表の記載要領は、特定金融会社等の金銭の貸付け及び社債の発行等の状況を明確に表示することとなるものでなければならない。
第4章 監督
第10条 内閣総理大臣は、この法律の施行に必要な限度において、特定金融会社等に対し、その業務又は経理の状況に関し報告をさせることができる。
第11条 内閣総理大臣は、特定金融会社等が次の各号のいずれかに該当するときは、第3条の登録を取り消し、又は6月以内の期間を定めて社債の発行等による貸付資金の受入れの停止を命ずることができる。
一 第6条第1項第2号又は第3号のいずれかに該当することとなったとき。
二 不正の手段により第3条の登録を受けたとき。
三 この法律若しくはこの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したとき。
四 貸金業法その他の法律の規定により金銭の貸付けに係る業務の全部又は一部の停止を命ぜられたとき。
2 内閣総理大臣は、特定金融会社等の営業所若しくは事務所の所在地を確知できないとき、又は特定金融会社等を代表する役員の所在を確知できないときは、内閣府令で定めるところにより、その事実を公告し、その公告の日から30日を経過しても当該特定金融会社等から申出がないときは、当該特定金融会社等の第3条の登録を取り消すことができる。
3 前項の規定による処分については、行政手続法(平成5年法律第88号)第3章の規定は、適用しない。
第12条 内閣総理大臣は、第8条第2項の規定により第3条の登録がその効力を失ったとき、又は前条第1項若しくは第2項の規定により第3条の登録を取り消したときは、当該登録を抹消しなければならない。
第13条 内閣総理大臣は、第11条第1項又は第2項の規定による処分をしたときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公告しなければならない。
第5章 雑則
第14条 特定金融会社等について、第8条第2項の規定により第3条の登録が効力を失ったとき、又は第11条第1項若しくは第2項の規定により第3条の登録が取り消されたときは、当該特定金融会社等であった者又はその一般承継人(政令で定める者を除く。)は、当該特定金融会社等が貸付資金の受入れのために行った社債の発行等に係る債務として政令で定めるものの履行を完了する目的の範囲内においては、なお特定金融会社等とみなす。
第15条 財務大臣は、その所掌に係る金融破綻処理制度及び金融危機管理に関し、金融業者の貸付業務のための社債の発行等に係る制度の企画又は立案をするため必要があると認めるときは、内閣総理大臣に対し、必要な資料の提出及び説明を求めることができる。
2 財務大臣は、その所掌に係る金融破綻処理制度及び金融危機管理に関し、金融業者の貸付業務のための社債の発行等に係る制度の企画又は立案をするため特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、特定金融会社等に対し、資料の提出、説明その他の協力を求めることができる。
第16条 内閣総理大臣は、この法律による権限(政令で定めるものを除く。)を金融庁長官に委任する。
2 金融庁長官は、政令で定めるところにより、前項の規定により委任された権限の一部を財務局長又は財務支局長に委任することができる。
第17条 この法律に定めるもののほか、この法律を実施するため必要な事項は、内閣府令で定める。
第6章 罰則
第18条 次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第3条の規定に違反した者
二 不正の手段により第3条の登録を受けた者
第19条 第11条第1項の規定による社債の発行等による貸付資金の受入れの停止の命令に違反して社債の発行等による貸付資金の受入れをした特定金融会社等の代表者、代理人、使用人その他の従業者でその違反行為をした者は、2年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第20条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第4条第1項の登録申請書又は同条第2項の書類に虚偽の記載をして提出した者
二 第10条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
第21条 第7条第1項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、50万円以下の罰金に処する。
第22条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
一 第19条 3億円以下の罰金刑
二 第20条 2億円以下の罰金刑
三 第18条又は前条 各本条の罰金刑
2 前項の規定により法人でない団体を処罰する場合には、その代表者又は管理人がその訴訟行為につきその団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
第23条 次の各号のいずれかに該当する者は、100万円以下の過料に処する。
一 第8条第1項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 第9条第1項の規定に違反した特定金融会社等の代表者、代理人、使用人その他の従業者でその違反行為をした者
第1条 この法律は、公布の日から起算して1月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
第6条 政府は、この法律の施行後5年以内に、この法律の施行状況のほか、金融業者が社債の発行等により貸付資金の受入れをして行っている金銭の貸付けが国民経済に及ぼしている影響等を勘案し、この法律に規定する金融業者の貸付業務のための社債の発行等に係る制度について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
第1条 この法律(第2条及び第3条を除く。)は、平成13年1月6日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第995条(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律附則の改正規定に係る部分に限る。)、第1305条、第1306条、第1324条第2項、第1326条第2項及び第1344条の規定 公布の日
二 第3章(第3条を除く。)及び次条の規定 平成12年7月1日
第1条 この法律は、新不動産登記法の施行の日から施行する。
この法律は、会社法の施行の日から施行する。
第1条 この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日(以下「施行日」という。)から施行する。