国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律
第1条 この法律は、国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人による環境物品等の調達の推進、環境物品等に関する情報の提供その他の環境物品等への需要の転換を促進するために必要な事項を定めることにより、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築を図り、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
第2条 この法律において「環境物品等」とは、次の各号のいずれかに該当する物品又は役務をいう。
一 再生資源その他の環境への負荷(環境基本法(平成5年法律第91号)第2条第1項に規定する環境への負荷をいう。以下同じ。)の低減に資する原材料又は部品
二 環境への負荷の低減に資する原材料又は部品を利用していること、使用に伴い排出される温室効果ガス等による環境への負荷が少ないこと、使用後にその全部又は一部の再使用又は再生利用がしやすいことにより廃棄物の発生を抑制することができることその他の事由により、環境への負荷の低減に資する製品
三 環境への負荷の低減に資する製品を用いて提供される等環境への負荷の低減に資する役務
2 この法律において「独立行政法人等」とは、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第1項に規定する独立行政法人をいう。)又は特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法(平成11年法律第91号)第4条第1項第9号の規定の適用を受けるものをいう。以下同じ。)のうち、その資本金の全部若しくは大部分が国からの出資による法人又はその事業の運営のために必要な経費の主たる財源を国からの交付金若しくは補助金によって得ている法人であって、政令で定めるものをいう。
3 この法律において「地方独立行政法人」とは、地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第2条第1項に規定する地方独立行政法人をいう。
4 この法律において「各省各庁の長」とは、財政法(昭和22年法律第34号)第20条第2項に規定する各省各庁の長をいう。
第3条 国及び独立行政法人等は、物品及び役務(以下「物品等」という。)の調達に当たっては、環境物品等への需要の転換を促進するため、予算の適正な使用に留意しつつ、環境物品等を選択するよう努めなければならない。
2 国は、教育活動、広報活動等を通じて、環境物品等への需要の転換を促進する意義に関する事業者及び国民の理解を深めるとともに、国、地方公共団体、事業者及び国民が相互に連携して環境物品等への需要の転換を図る活動を促進するため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
第4条 地方公共団体は、その区域の自然的社会的条件に応じて、環境物品等への需要の転換を図るための措置を講ずるよう努めるものとする。
2 地方独立行政法人は、当該地方独立行政法人の事務及び事業に関し、環境物品等への需要の転換を図るための措置を講ずるよう努めるものとする。
第5条 事業者及び国民は、物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合には、できる限り環境物品等を選択するよう努めるものとする。
第6条 国は、国及び独立行政法人等における環境物品等の調達を総合的かつ計画的に推進するため、環境物品等の調達の推進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
2 基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 国及び独立行政法人等による環境物品等の調達の推進に関する基本的方向
二 国及び独立行政法人等が重点的に調達を推進すべき環境物品等の種類(以下「特定調達品目」という。)及びその判断の基準並びに当該基準を満たす物品等(以下「特定調達物品等」という。)の調達の推進に関する基本的事項
三 その他環境物品等の調達の推進に関する重要事項
3 環境大臣は、あらかじめ各省各庁の長等(国にあっては各省各庁の長、独立行政法人等にあってはその主務大臣をいう。以下同じ。)と協議して基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
4 前項の規定による各省各庁の長等との協議に当たっては、特定調達品目の判断の基準については、当該特定調達品目に該当する物品等の製造等に関する技術及び需給の動向等を勘案する必要があることにかんがみ、環境大臣が当該物品等の製造、輸入、販売等の事業を所管する大臣と共同して作成する案に基づいて、これを行うものとする。
5 環境大臣は、第3項の閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本方針を公表しなければならない。
6 前三項の規定は、基本方針の変更について準用する。
第7条 各省各庁の長及び独立行政法人等の長(当該独立行政法人等が特殊法人である場合にあっては、その代表者。以下同じ。)は、毎年度、基本方針に即して、物品等の調達に関し、当該年度の予算及び事務又は事業の予定等を勘案して、環境物品等の調達の推進を図るための方針を作成しなければならない。
2 前項の方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 特定調達物品等の当該年度における調達の目標
二 特定調達物品等以外の当該年度に調達を推進する環境物品等及びその調達の目標
三 その他環境物品等の調達の推進に関する事項
3 各省各庁の長及び独立行政法人等の長は、第1項の方針を作成したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
4 各省各庁の長及び独立行政法人等の長は、第1項の方針に基づき、当該年度における物品等の調達を行うものとする。
第8条 各省各庁の長及び独立行政法人等の長は、毎会計年度又は毎事業年度の終了後、遅滞なく、環境物品等の調達の実績の概要を取りまとめ、公表するとともに、環境大臣に通知するものとする。
2 前項の規定による環境大臣への通知は、独立行政法人等の長にあっては、当該独立行政法人等の主務大臣を通じて行うものとする。
第9条 環境大臣は、各省各庁の長等に対し、環境物品等の調達の推進を図るため特に必要があると認められる措置をとるべきことを要請することができる。
第10条 都道府県、市町村及び地方独立行政法人は、毎年度、物品等の調達に関し、当該都道府県、市町村及び地方独立行政法人の当該年度の予算及び事務又は事業の予定等を勘案して、環境物品等の調達の推進を図るための方針を作成するよう努めるものとする。
2 前項の方針は、都道府県及び市町村にあっては当該都道府県及び市町村の区域の自然的社会的条件に応じて、地方独立行政法人にあっては当該地方独立行政法人の事務及び事業に応じて、当該年度に調達を推進する環境物品等及びその調達の目標について定めるものとする。この場合において、特定調達品目に該当する物品等については、調達を推進する環境物品等として定めるよう努めるものとする。
3 都道府県、市町村及び地方独立行政法人は、第1項の方針を作成したときは、当該方針に基づき、当該年度における物品等の調達を行うものとする。
第11条 国、独立行政法人等、都道府県、市町村及び地方独立行政法人は、環境物品等であっても、その適正かつ合理的な使用に努めるものとし、この法律に基づく環境物品等の調達の推進を理由として、物品等の調達量の増加をもたらすことのないよう配慮するものとする。
第12条 物品の製造、輸入若しくは販売又は役務の提供の事業を行う者は、当該物品の購入者等に対し、当該物品等に係る環境への負荷の把握のため必要な情報を適切な方法により提供するよう努めるものとする。
第13条 他の事業者が製造し、輸入し若しくは販売する物品若しくは提供する役務について環境への負荷の低減に資するものである旨の認定を行い、又はこれらの物品若しくは役務に係る環境への負荷についての情報を表示すること等により環境物品等に関する情報の提供を行う者は、科学的知見を踏まえ、及び国際的取決めとの整合性に留意しつつ、環境物品等への需要の転換に資するための有効かつ適切な情報の提供に努めるものとする。
第14条 国は、環境物品等への需要の転換に資するため、前二条に規定する者が行う情報の提供に関する状況について整理及び分析を行い、その結果を提供するものとする。
第15条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置を定めることができる。
1 この法律は、平成13年1月6日から施行する。ただし、第7条、第8条及び第10条の規定は、同年4月1日から施行する。
2 政府は、環境物品等への需要の転換を促進する観点から、提供すべき環境物品等に関する情報の内容及び提供の方法、環境物品等に関する情報の提供を行う者の自主性を尊重しつつ適切な情報の提供を確保するための方策その他環境物品等に関する情報の提供体制の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
第1条 この法律は、地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)の施行の日から施行する。
第6条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
第1条 この法律は、平成28年4月1日から施行する。
第7条 附則第2条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。