クラスター弾等の製造の禁止及び所持の規制等に関する法律
第1章 総則
第1条 この法律は、クラスター弾に関する条約(以下「条約」という。)の適確な実施を確保するため、クラスター弾等の製造を禁止するとともに、クラスター弾等の所持を規制する等の措置を講ずることを目的とする。
第2条 この法律において「クラスター弾等」とは、クラスター弾、子弾及び小型爆弾をいう。
2 この法律において「クラスター弾」とは、複数の子弾を内蔵し、当該複数の子弾を散布するように設計された砲弾、ロケット弾、爆弾その他の弾薬であって、次に掲げるもの以外のものをいう。
一 地雷
二 専らミサイルその他の物体を空中において破壊するように設計されたもの
三 十個未満の子弾(次に掲げるすべての要件を満たすものに限る。)のみを内蔵するもの
イ それぞれの子弾の重量が4キログラムを超えるものであること。
ロ それぞれの子弾が殺傷又は破壊の対象となる単一の対象を探知し、かつ、その対象を殺傷し、又は破壊するように設計されているものであること。
ハ それぞれの子弾が主要な起爆装置のほかに、それぞれの子弾自体を自動的に破壊するための電子式の装置を内蔵するものであること。
ニ それぞれの子弾が、爆発するために不可欠な電子式の部分品又は附属品の機能を自動的に失わせるための機能を有するものであること。
3 この法律において「子弾」とは、小型弾薬(地雷以外の弾薬であって、人の殺傷又は物の破壊のために使用されるもののうち、その重量が20キログラム未満のものをいう。次項において同じ。)のうち、専ら砲弾、ロケット弾、爆弾その他の弾薬に内蔵されるように設計され、かつ、当該砲弾、ロケット弾、爆弾その他の弾薬から散布された後に爆発するように設計されたもの(専ら前項各号に掲げるものに内蔵されるように設計されたものを除く。)をいう。
4 この法律において「小型爆弾」とは、小型弾薬のうち、専ら容器(複数の小型弾薬を収納し、当該複数の小型弾薬を散布するように設計されたものであって、航空機に取り付けられるものに限る。)に収納されるように設計され、かつ、当該容器から散布された後に爆発するように設計されたもの(ロケット弾、ミサイルその他の散布された後に推力を得るための推進薬を使用するものを除く。)をいう。
第2章 クラスター弾等の製造の禁止
第3条 何人も、クラスター弾等を製造してはならない。
第3章 クラスター弾等の所持等の規制
第4条 何人も、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、クラスター弾等を所持してはならない。
一 次条第1項の許可を受けた者(以下「許可所持者」という。)が、同項の許可(第8条第1項の規定による変更の許可があったときは、その変更後のもの)に係るクラスター弾等を所持するとき。
二 第10条第1項の輸入の承認を受けた者(以下「承認輸入者」という。)が、その輸入したクラスター弾等を許可所持者に譲り渡すまでの間所持するとき。
三 第11条第1項の規定によりクラスター弾等を廃棄し、輸出し、又は引き渡さなければならない者が、廃棄し、輸出し、又は引き渡すまでの間所持するとき。
四 運搬を委託された者が、その委託に係るクラスター弾等を当該運搬のために所持するとき(この条の規定に違反してクラスター弾等を所持する者から運搬を委託された場合を除く。)。
五 前各号に規定する者の従業者が、その職務上クラスター弾等を所持するとき。
第5条 クラスター弾等を所持しようとする者は、経済産業大臣の許可を受けなければならない。ただし、前条第2号、第4号又は第5号に規定する者がそれぞれ同条第2号、第4号又は第5号に規定する所持をしようとする場合は、この限りでない。
2 前項の許可を受けようとする者は、経済産業省令で定めるところにより、次の事項を記載した申請書を経済産業大臣に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 所持しようとするクラスター弾等の型式及びその数量
三 所持の目的、期間及び方法
四 その他経済産業省令で定める事項
第6条 次の各号のいずれかに該当する者は、前条第1項の許可を受けることができない。
一 この法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過しない者
二 第9条の規定により許可を取り消され、その取消しの日から3年を経過しない者
三 他の法令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過しない者で、その情状がクラスター弾等の所持をする者として不適当なもの
四 心身の故障によりクラスター弾等を適正に所持することができない者として経済産業省令で定める者
五 法人であって、その業務を行う役員のうちに前各号のいずれかに該当する者があるもの
第7条 経済産業大臣は、第5条第1項の許可の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。
一 クラスター弾等が条約で認められた目的のために所持されることが確実であること。
二 その他条約の適確な実施に支障を及ぼすおそれがないこと。
第8条 許可所持者は、第5条第2項第3号に掲げる事項を変更しようとするときは、経済産業省令で定めるところにより、経済産業大臣の許可を受けなければならない。
2 許可所持者は、第5条第2項第1号に掲げる事項に変更があったときは、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。
3 前条の規定は、第1項の許可に準用する。
第9条 経済産業大臣は、許可所持者が次の各号のいずれかに該当するときは、その許可を取り消すことができる。
一 第6条第1号又は第3号から第5号までのいずれかに該当するに至ったとき。
二 不正の手段により第5条第1項又は前条第1項の許可を受けたとき。
三 前条第1項の規定により許可を受けなければならない事項を同項の許可を受けないで変更したとき。
四 第12条第1項の規定により第5条第1項又は前条第1項の許可に付された条件に違反したとき。
第10条 クラスター弾等を輸入しようとする者は、外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号)第52条の規定により、輸入の承認を受ける義務を課せられるものとする。
2 前項の輸入の承認は、許可所持者からその許可に係るクラスター弾等の輸入の委託を受けた者がその委託に係るクラスター弾等を輸入する場合又は許可所持者自らがその許可に係るクラスター弾等を輸入する場合であって、条約の締約国である外国(以下「締約国」という。)から輸入する場合でなければ、これを行わないものとする。
第11条 次の各号のいずれかに該当する場合において、当該各号に規定する者がクラスター弾等を所持しているときは、その者は、遅滞なく、そのクラスター弾等(第1号に該当する場合にあっては、所持することを要しなくなった部分に限る。)を廃棄し、締約国に輸出し、又は当該クラスター弾等について新たに許可所持者となった者に引き渡さなければならない。
一 許可所持者が、その許可に係るクラスター弾等の全部又は一部について所持することを要しなくなったとき。
二 許可所持者が、第9条の規定によりその許可を取り消されたとき。
三 承認輸入者が、許可所持者に譲り渡すためにクラスター弾等の輸入をした場合において、その許可所持者がそのクラスター弾等を譲り受ける前に、第9条の規定によりその許可を取り消されたとき。
2 前項の規定によりクラスター弾等を廃棄し、輸出し、又は引き渡さなければならない者(以下「廃棄等義務者」という。)が、当該クラスター弾等を廃棄し、輸出し、又は引き渡したときは、経済産業省令で定めるところにより、廃棄し、輸出し、又は引き渡したクラスター弾等の型式及びその数量を経済産業大臣に届け出なければならない。
第12条 第5条第1項又は第8条第1項の許可には、条件を付し、及びこれを変更することができる。
2 前項の条件は、条約の適確な実施を確保し、又は許可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、許可を受ける者に不当な義務を課することとなるものであってはならない。
第13条 許可所持者について相続又は合併があったときは、相続人(相続人が2人以上ある場合において、その全員の同意により承継すべき相続人を選定したときは、その者)又は合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人は、許可所持者の地位を承継する。
2 前項の規定により許可所持者の地位を承継した者は、遅滞なく、その事実を証する書面を添えて、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。
第14条 許可所持者又は承認輸入者は、クラスター弾等を所持することとなったときは、経済産業省令で定めるところにより、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。
第15条 許可所持者は、帳簿を備え、その所持に係るクラスター弾等に関し経済産業省令で定める事項を記載しなければならない。
2 前項の帳簿は、経済産業省令で定めるところにより、保存しなければならない。
第4章 雑則
第16条 経済産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、許可所持者、承認輸入者又は廃棄等義務者に対し、その業務に関し報告させることができる。
2 経済産業大臣は、国際連合事務総長から条約の定めるところにより要請があった場合にあっては、国際連合事務総長に対して説明を行うために必要な限度において、クラスター弾等を取り扱う者その他の者に対し、その要請に係る事項に関し報告させることができる。
第17条 経済産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、許可所持者、承認輸入者又は廃棄等義務者の事務所、工場その他の事業所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第1項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第18条 自衛隊が行う条約で認められた目的のためのクラスター弾等の所持は、次条の規定により読み替えられた第5条第1項又は第8条第1項の承認を受けたものとみなす。
2 第16条第2項の規定は、前項の規定により所持の承認を受けたものとみなされたクラスター弾等に係る事項については、適用しない。
第19条 この法律の規定は、次章の規定を除き、国に適用があるものとする。この場合において、「許可」とあるのは、「承認」と読み替えるものとする。
第20条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第5章 罰則
第21条 第3条の規定に違反した者は、7年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。
2 前項の未遂罪は、罰する。
第22条 クラスター弾等をみだりに所持した者は、7年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。
第23条 前二条の罪は、刑法(明治40年法律第45号)第3条の例に従う。
第24条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
一 第8条第1項の規定に違反して第5条第2項第3号に掲げる事項を変更した者
二 第11条第1項の規定に違反した者
第25条 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
一 第11条第2項又は第14条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 第15条第1項の規定に違反して帳簿を備えず、又は帳簿に記載せず、若しくは虚偽の記載をした者
三 第15条第2項の規定に違反して帳簿を保存しなかった者
四 第16条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
五 第17条第1項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者
第26条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第22条の罪を犯し、又は第21条若しくは前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
第27条 第8条第2項又は第13条第2項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、20万円以下の過料に処する。
第1条 この法律は、条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。
第2条 この法律の施行の際クラスター弾等を所持している者は、この法律の施行の日から30日を経過するまでの間(以下この条において「猶予期間」という。)に第5条第1項の許可の申請をしなかった場合にあっては猶予期間の経過後遅滞なく、猶予期間に申請した同項の許可を拒否された場合にあってはその処分後遅滞なく、その所持する当該クラスター弾等を廃棄し、締約国に輸出し、又は当該クラスター弾等について新たに許可所持者となった者に引き渡さなければならない。
2 この法律の施行の際クラスター弾等を所持している者は、次に掲げる期間は、第4条の規定にかかわらず、そのクラスター弾等を所持することができる。その者の従業者がその職務上所持する場合も、同様とする。
一 猶予期間
二 猶予期間にした第5条第1項の許可の申請についての処分があるまでの間
三 前項の規定により廃棄し、輸出し、又は引き渡すまでの間
3 第11条第2項の規定は、この法律の施行の際クラスター弾等を所持する者がそのクラスター弾等を廃棄し、輸出し、又は引き渡した場合に準用する。
4 前三項の規定は、この法律の施行の際自衛隊が所持するクラスター弾等については、適用しない。
第3条 前条第1項の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
2 前条第3項において準用する第11条第2項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、30万円以下の罰金に処する。
3 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して当該各項の罰金刑を科する。
第4条 前二条に定めるもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。
第1条 この法律は、公布の日から起算して3月を経過した日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
第2条 この法律(前条各号に掲げる規定にあっては、当該規定。以下この条及び次条において同じ。)の施行の日前に、この法律による改正前の法律又はこれに基づく命令の規定(欠格条項その他の権利の制限に係る措置を定めるものに限る。)に基づき行われた行政庁の処分その他の行為及び当該規定により生じた失職の効力については、なお従前の例による。
第3条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第7条 政府は、会社法(平成17年法律第86号)及び一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号)における法人の役員の資格を成年被後見人又は被保佐人であることを理由に制限する旨の規定について、この法律の公布後1年以内を目途として検討を加え、その結果に基づき、当該規定の削除その他の必要な法制上の措置を講ずるものとする。