国立研究開発法人日本医療研究開発機構法
第1章 総則
第1条 この法律は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定めることを目的とする。
第2条 この法律及び独立行政法人通則法(平成11年法律第103号。以下「通則法」という。)の定めるところにより設立される通則法第2条第1項に規定する独立行政法人の名称は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構とする。
第3条 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下「機構」という。)は、医療分野の研究開発における基礎的な研究開発から実用化のための研究開発までの一貫した研究開発の推進及びその成果の円滑な実用化並びに医療分野の研究開発が円滑かつ効果的に行われるための環境の整備を総合的かつ効果的に行うため、医療分野研究開発推進計画(健康・医療戦略推進法(平成26年法律第48号)第18条第1項に規定する医療分野研究開発推進計画をいう。)に基づき、大学、研究開発法人(科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律(平成20年法律第63号)第2条第9項に規定する研究開発法人をいう。)その他の研究機関(以下この条において単に「研究機関」という。)の能力を活用して行う医療分野の研究開発及びその環境の整備、研究機関における医療分野の研究開発及びその環境の整備の助成等の業務を行うことを目的とする。
第3条の2 機構は、通則法第2条第3項に規定する国立研究開発法人とする。
第4条 機構は、主たる事務所を東京都に置く。
第5条 機構の資本金は、附則第2条第2項及び第3条第2項の規定により政府から出資があったものとされた金額の合計額とする。
2 政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、機構に追加して出資することができる。
3 機構は、前項の規定による政府の出資があったときは、その出資額により資本金を増加するものとする。
第6条 機構でない者は、日本医療研究開発機構という名称を用いてはならない。
第2章 役員及び職員
第7条 機構に、役員として、その長である理事長及び監事2人を置く。
2 機構に、役員として、理事1人を置くことができる。
第8条 主務大臣は、通則法第20条第1項の規定により理事長を任命しようとするとき及び同条第2項の規定により監事を任命しようとするときは、あらかじめ、健康・医療戦略推進本部の意見を聴かなければならない。
第9条 理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して機構の業務を掌理する。
2 通則法第19条第2項の個別法で定める役員は、理事とする。ただし、理事が置かれていないときは、監事とする。
3 前項ただし書の場合において、通則法第19条第2項の規定により理事長の職務を代理し又はその職務を行う監事は、その間、監事の職務を行ってはならない。
第10条 理事の任期は、当該理事について理事長が定める期間(その末日が通則法第21条の2第1項の規定による理事長の任期の末日以前であるものに限る。)とする。
第11条 通則法第22条の規定にかかわらず、教育公務員又は研究公務員で政令で定めるもの(次条各号のいずれかに該当する者を除く。)は、非常勤の理事又は監事となることができる。
第12条 通則法第22条に定めるもののほか、次の各号のいずれかに該当する者は、役員となることができない。
一 物品の製造若しくは販売若しくは工事の請負を業とする者であって機構と取引上密接な利害関係を有するもの又はこれらの者が法人であるときはその役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)
二 前号に掲げる事業者の団体の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)
第13条 機構の理事長の解任に関する通則法第23条第1項の規定の適用については、同項中「前条」とあるのは、「前条及び国立研究開発法人日本医療研究開発機構法(平成26年法律第49号)第12条」とする。
2 機構の理事及び監事の解任に関する通則法第23条第1項の規定の適用については、同項中「前条」とあるのは、「前条並びに国立研究開発法人日本医療研究開発機構法(平成26年法律第49号)第11条及び第12条」とする。
第14条 機構の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、その職務上知ることができた秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
第15条 機構の役員及び職員は、刑法(明治40年法律第45号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第3章 業務等
第16条 機構は、第3条の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 医療分野の研究開発及びその環境の整備を行うこと。
二 前号に掲げる業務に係る成果を普及し、及びその活用を促進すること。
三 医療分野の研究開発及びその環境の整備に対する助成を行うこと。
四 前三号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
第16条の2 機構は、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律第34条の5第1項及び第2項の規定による株式又は新株予約権の取得及び保有を行うことができる。
第17条 機構は、通則法第35条の4第2項第1号に規定する中長期目標の期間(以下この項において「中長期目標の期間」という。)の最後の事業年度に係る通則法第44条第1項又は第2項の規定による整理を行った後、同条第1項の規定による積立金があるときは、その額に相当する金額のうち主務大臣の承認を受けた金額を、当該中長期目標の期間の次の中長期目標の期間に係る通則法第35条の5第1項の認可を受けた中長期計画(同項後段の規定による変更の認可を受けたときは、その変更後のもの)の定めるところにより、当該次の中長期目標の期間における第16条に規定する業務の財源に充てることができる。
2 主務大臣は、前項の規定による承認をしようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。
3 機構は、第1項に規定する積立金の額に相当する金額から同項の規定による承認を受けた金額を控除してなお残余があるときは、その残余の額を国庫に納付しなければならない。
4 前三項に定めるもののほか、納付金の納付の手続その他積立金の処分に関し必要な事項は、政令で定める。
第17条の2 機構は、主務大臣が通則法第35条の4第1項に規定する中長期目標において第16条各号に掲げる業務のうち科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律第27条の2第1項に規定する特定公募型研究開発業務として行うものに関する事項を定めた場合には、同項に規定する基金(以下この条及び次条において「基金」という。)を設け、次項の規定により交付を受けた補助金をもってこれに充てるものとする。
2 政府は、予算の範囲内において、機構に対し、基金に充てる資金を補助することができる。
3 機構は、第1項の規定により基金を設けた場合には、当該基金に係る業務については、特別の勘定を設けて経理しなければならない。
第17条の3 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号)の規定(罰則を含む。)は、基金に係る業務として機構が交付する助成金について準用する。この場合において、同法(第2条第7項を除く。)中「各省各庁」とあるのは「国立研究開発法人日本医療研究開発機構」と、「各省各庁の長」とあるのは「国立研究開発法人日本医療研究開発機構の理事長」と、同法第2条第1項及び第4項第1号、第7条第2項、第19条第1項及び第2項、第24条並びに第33条中「国」とあるのは「国立研究開発法人日本医療研究開発機構」と、同法第14条中「国の会計年度」とあるのは「国立研究開発法人日本医療研究開発機構の事業年度」と読み替えるものとする。
第4章 雑則
第18条 機構に係るこの法律(第8条(附則第4条において準用する場合を含む。)を除く。)及び通則法(第14条及び第20条並びにこの法律第13条第1項又は第2項の規定により読み替えて適用する第23条第1項を除く。)における主務大臣は、内閣総理大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣及び経済産業大臣とする。
2 機構に係る第8条(附則第4条において準用する場合を含む。)並びに通則法第14条及び第20条並びにこの法律第13条第1項又は第2項の規定により読み替えて適用する通則法第23条第1項における主務大臣は、内閣総理大臣とする。
3 機構に係る通則法における主務省令は、主務大臣の発する命令とする。
第19条 内閣府に、日本医療研究開発機構審議会(次項及び第3項において「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 主務大臣の諮問に応じて機構の行う研究開発の事務及び事業に関する事項を調査審議すること。
二 前号に掲げる事項に関し、主務大臣に意見を述べること。
3 前項に規定するもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
第20条 主務大臣は、通則法第35条の4第1項の規定により中長期目標を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、健康・医療戦略推進本部の意見を聴かなければならない。
2 主務大臣は、通則法第35条の7第1項の規定による検討を行うに当たっては、あらかじめ、健康・医療戦略推進本部の意見を聴かなければならない。
第21条 国家公務員宿舎法(昭和24年法律第117号)の規定は、機構の役員及び職員には適用しない。
第5章 罰則
第22条 第14条の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
第23条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした機構の役員は、20万円以下の過料に処する。
一 第16条に規定する業務以外の業務を行ったとき。
二 第17条第1項の規定により主務大臣の承認を受けなければならない場合において、その承認を受けなかったとき。
第24条 第6条の規定に違反した者は、10万円以下の過料に処する。
第1条 この法律は、公布の日から施行する。
第2条 機構の成立の際、第16条各号に掲げる業務に関し、現に国が有する権利及び義務のうち政令で定めるものは、機構の成立の時において機構が承継する。
2 前項の規定により機構が国の有する権利及び義務を承継したときは、その承継の際、承継される権利に係る機械設備その他の財産で政令で定めるものの価額の合計額に相当する金額は、政府から機構に対し出資されたものとする。
3 前項の規定により政府から出資があったものとされる同項の財産の価額は、機構の成立の日現在における時価を基準として評価委員が評価した価額とする。
4 前項の評価委員その他評価に関し必要な事項は、政令で定める。
第3条 機構の成立の際、附則第8条の規定による改正前の独立行政法人医薬基盤研究所法(平成16年法律第135号)第15条第1号ロ及び第3号に掲げる業務に関し、現に国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(次項及び第4項において「医薬基盤・健康・栄養研究所」という。)が有する権利及び義務のうち政令で定めるものは、機構の成立の時において機構が承継する。
2 前項の規定により機構が医薬基盤・健康・栄養研究所の権利及び義務を承継したときは、その承継の際、承継される資産の価額から負債の金額を差し引いた額に相当する金額は、政府から機構に対し出資されたものとする。
3 前条第3項及び第4項の規定は、前項の資産の価額について準用する。
4 医薬基盤・健康・栄養研究所は、第1項の規定により機構が医薬基盤・健康・栄養研究所の権利及び義務を承継したときは、第2項の規定により機構に対し出資されたものとされた額に対応する額として厚生労働大臣が定める金額によりその資本金を減少するものとする。
第4条 第8条の規定は、通則法第14条第1項の規定による機構の理事長となるべき者及び監事となるべき者の指名について準用する。
第5条 この法律の施行の際現に日本医療研究開発機構という名称を使用している者については、第6条の規定は、この法律の施行後6月間は、適用しない。
第6条 附則第1条ただし書に規定する規定の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第7条 附則第2条から前条までに定めるもののほか、機構の設立に伴い必要な経過措置その他この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
第1条 この法律は、独立行政法人通則法の一部を改正する法律(平成26年法律第66号。以下「通則法改正法」という。)の施行の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 附則第14条第2項、第18条及び第30条の規定 公布の日
二 附則第9条の規定 この法律の公布の日又は独立行政法人日本医療研究開発機構法の公布の日のいずれか遅い日
第9条 国立研究開発法人日本医療研究開発機構の中長期目標(通則法改正法による改正後の独立行政法人通則法(以下「新通則法」という。)第35条の4第1項に規定する中長期目標をいう。以下同じ。)の策定に関する通則法改正法附則第2条第1項の規定の適用については、同項中「の規定の」とあるのは、「並びに独立行政法人通則法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律(平成26年法律第67号)第32条の規定による改正後の国立研究開発法人日本医療研究開発機構法(平成26年法律第49号)第20条第1項の規定の」とする。
第27条 新通則法第1条第1項に規定する個別法及び新通則法第4条第2項の規定によりその名称中に国立研究開発法人という文字を使用するものとされた新通則法第2条第1項に規定する独立行政法人が当該名称の変更に伴い受ける名義人の名称の変更の登記又は登録については、登録免許税を課さない。
第28条 この法律の施行前にこの法律による改正前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の規定によってした又はすべき処分、手続その他の行為であってこの法律による改正後のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。以下この条において「新法令」という。)に相当の規定があるものは、法律(これに基づく政令を含む。)に別段の定めのあるものを除き、新法令の相当の規定によってした又はすべき処分、手続その他の行為とみなす。
第29条 この法律の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなおその効力を有することとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第30条 附則第3条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令(人事院の所掌する事項については、人事院規則)で定める。
第1条 この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
第35条 この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。