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国際連合安全保障理事会決議第千二百六十七号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法

平成26年法律第124号
最終改正:平成30年7月27日法律第80号
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第1章 総則

(目的)

第1条 この法律は、国際連合安全保障理事会決議第1267号、同理事会決議第1373号その他の同理事会決議が国際的なテロリズムの行為を非難し、国際連合の全ての加盟国に対し当該行為を防止し、及び抑止するために当該行為を実行し、又は支援する者(以下「国際テロリスト」という。)の財産の凍結等の措置をとることを求めていることを踏まえ、我が国が実施する当該措置について必要な事項を定めることにより、外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号)による措置と相まって、我が国が当該行為を防止し、及び抑止するための国際社会の取組に積極的かつ主体的に寄与し、もって我が国を含む国際社会の平和及び安全に対する脅威の除去に資することを目的とする。


(国の責務)

第2条 国は、次章及び第3章の規定による措置が適正かつ円滑に行われることを確保するため、国際的なテロリズムの行為の防止及び抑止に関する国際的な情報交換その他の協力を推進するとともに、当該行為の防止及び抑止の重要性について国民の理解を深めるよう努めるものとする。

第2章 公告及び指定

(公告)

第3条 国際連合安全保障理事会決議第1267号、同理事会決議第1333号その他の政令で定める同理事会決議(附則第2条において「第1267号等決議」という。)によりその財産の凍結等の措置をとるべきこととされている国際テロリストが、同理事会決議第1267号、同理事会決議第1988号その他の政令で定める同理事会決議により設置された委員会の作成する名簿(以下単に「名簿」という。)に記載されたときは、国家公安委員会は、遅滞なく、その旨、その者の氏名又は名称その他の国家公安委員会規則で定める事項を官報により公告するものとする。この場合において、当該公告された者の所在が判明しているときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、その者に対し、当該公告に係る事項を通知するものとする。

 前項の規定により公告された事項に変更があったときは、国家公安委員会は、遅滞なく、その旨を官報により公告するものとする。この場合において、当該変更に係る者の所在が判明しているときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、その者に対し、当該変更があった旨を通知するものとする。

 前項の規定は、第1項の規定により公告された者が名簿から抹消された場合について準用する。


(指定)

第4条 国家公安委員会は、国際連合安全保障理事会決議第1373号(以下この項及び附則第2条において「第1373号決議」という。)に定める国際的なテロリズムの行為を防止し、及び抑止するための国際社会の取組に我が国として寄与するため、次の各号のいずれにも該当する者(前条第1項の規定により公告された者(現に名簿に記載されている者に限る。第9条において同じ。)を除く。)を、第1373号決議によりその財産の凍結等の措置をとるべきこととされている国際テロリストとして、3年を超えない範囲内で期間を定めて指定するものとする。

 外国為替及び外国貿易法第16条第1項に規定する本邦から外国へ向けた支払をしようとする居住者若しくは非居住者又は非居住者との間で支払等をしようとする居住者であるとしたならば、第1373号決議を誠実に履行するため必要があるとして同項の規定により当該支払又は支払等について許可を受ける義務を課せられることとなる者(第1373号決議によりその財産の凍結等の措置をとるべきこととされている者として現に当該義務を課せられている者を含む。)

 次のいずれかに該当する者

 公衆等脅迫目的の犯罪行為(公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金等の提供等の処罰に関する法律(平成14年法律第67号)第1条に規定する公衆等脅迫目的の犯罪行為をいう。以下同じ。)を行い、行おうとし、又は助けたと認められる者であって、将来更に公衆等脅迫目的の犯罪行為を行い、又は助ける明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由があるもの

 イ又はこのロに該当する者が出資、融資、取引その他の関係を通じてその活動に支配的な影響力を有する者であって、次の(1)又は(2)に掲げる者の区分に応じ、それぞれ(1)又は(2)に定める要件に該当するもの

(1) 自然人 公衆等脅迫目的の犯罪行為を行い、又は助ける明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由があること。

(2) 法人その他の団体 当該団体の役職員(代表者、主幹者その他いかなる名称であるかを問わず当該団体の事務に従事する者をいう。第5章において同じ。)又は構成員が当該団体の活動として公衆等脅迫目的の犯罪行為を行い、又は助ける明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由があること。

 第1373号決議が求める国際テロリストの財産の凍結等の措置に関し、当該措置に係る者の権利利益の保護に留意しつつ国際的なテロリズムの行為の防止及び抑止を図る上で我が国と同等の水準にあると認められる制度を有している国として政令で定めるもののいずれかにより、この法律に相当する当該国の法令に従い、当該措置がとられている者

 国家公安委員会は、前項の規定による指定(以下単に「指定」という。)をするため必要があると認めるときは、外務大臣、外国為替及び外国貿易法第16条第1項の主務大臣その他の関係行政機関の長又は関係地方公共団体の長に対し、資料又は情報の提供、意見の表明その他必要な協力を求めることができる。

 外務大臣、外国為替及び外国貿易法第16条第1項の主務大臣その他の関係行政機関の長又は関係都道府県公安委員会は、国家公安委員会に対し、指定に関し意見を述べることができる。

 国家公安委員会は、指定をしようとするときは、行政手続法(平成5年法律第88号)第13条第1項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。


(指定の公告)

第5条 国家公安委員会は、指定をするときは、その旨、当該指定に係る者の氏名又は名称、当該指定の有効期間その他の国家公安委員会規則で定める事項を官報により公告するものとする。

 指定は、前項の規定による公告によってその効力を生ずる。

 国家公安委員会は、指定をした場合において、当該指定を受けた者の所在が判明しているときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、その者に対し、当該指定をした旨、当該指定の有効期間その他の国家公安委員会規則で定める事項を通知するものとする。

 第1項の規定により公告された事項に変更があったときは、国家公安委員会は、その旨を官報により公告するものとする。この場合において、当該変更に係る者の所在が判明しているときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、その者に対し、当該変更があった旨を通知するものとする。


(指定の有効期間の延長)

第6条 国家公安委員会は、指定の有効期間(この項の規定により延長された有効期間を含む。)が満了する時において、当該指定を受けた者が引き続き第4条第1項に規定する要件に該当するときは、3年を超えない範囲内で期間を定めて、当該指定の有効期間を延長するものとする。

 第4条第2項から第4項まで及び前条第1項から第3項までの規定は、前項の規定による有効期間の延長について準用する。


(指定の取消し)

第7条 国家公安委員会は、指定を受けた者が次の各号のいずれかに該当するに至ったと認めるときは、有効期間内であっても、その指定を取り消さなければならない。

 死亡し、又は解散その他の事由により消滅したとき。

 第4条第1項に規定する要件に該当しなくなったとき。

 第4条第2項及び第3項並びに第5条第1項から第3項までの規定は、前項の規定による指定の取消しについて準用する。この場合において、同条第1項及び第3項中「、当該指定の有効期間その他の」とあるのは、「その他の」と読み替えるものとする。


(仮指定)

第8条 国家公安委員会は、第4条第4項の規定及び行政手続法第13条第1項の規定によっては財産の隠匿その他の行為により指定後に次章の規定による措置の確実な実施を図ることが著しく困難となると認めるときは、これらの規定にかかわらず、聴聞又は弁明の機会の付与を行わないで、仮に指定をすることができる。

 前項の規定による指定(以下「仮指定」という。)の効力は、当該仮指定について第5条第1項の規定による公告があった日(次項において「公告日」という。)から起算して15日とする。

 国家公安委員会は、仮指定をしたときは、公告日から起算して15日以内に、意見の聴取を行わなければならない。

 行政手続法第3章第2節(第28条を除く。)の規定は、前項の規定による意見の聴取(以下この条において単に「意見の聴取」という。)について準用する。この場合において、同法第15条第1項中「聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて」とあるのは、「速やかに」と読み替えるほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

 国家公安委員会は、意見の聴取の結果、仮指定が不当でないと認めるときは、第4条第4項の規定及び行政手続法第13条第1項の規定にかかわらず、聴聞又は弁明の機会の付与を行わないで指定をすることができる。

 仮指定を受けた者に対し前項の規定により指定をしたときは、当該仮指定は、その効力を失う。

 国家公安委員会は、意見の聴取の結果、仮指定が不当であると認めるときは、直ちに、その仮指定を取り消さなければならない。

 仮指定を受けた者の所在が不明であるため第4項において準用する行政手続法第15条第3項の規定により意見の聴取の通知を行った場合の当該仮指定の効力は、第2項の規定にかかわらず、当該仮指定に係る意見の聴取の期日までとする。

 前各項に定めるもののほか、仮指定及び意見の聴取の実施に関し必要な事項は、国家公安委員会規則で定める。

第3章 公告国際テロリストの財産の凍結等の措置

第1節 規制対象財産等に係る行為の制限

(公告国際テロリストに対する行為の制限)

第9条 第3条第1項の規定により公告された者又は指定(仮指定を含む。第17条第6項及び第24条において同じ。)を受けている者(以下「公告国際テロリスト」と総称する。)は、次に掲げる行為をしようとするときは、都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の許可を受けなければならない。

 金銭、有価証券(金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第1項に規定する有価証券をいい、同条第2項の規定により有価証券とみなされる権利を含む。)、貴金属等(犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号)第2条第2項第42号に規定する貴金属等をいう。)、土地、建物、自動車(道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第2条第2項に規定する自動車をいう。第17条第1項において同じ。)その他これらに類する財産として政令で定めるもの(その価額が政令で定める額を超えるものに限る。以下「規制対象財産」という。)の贈与を受けること。

 規制対象財産の貸付けを受けること。

 規制対象財産(金銭を除く。第15条第3号において同じ。)の売却、貸付けその他の処分の対価の支払を受けること。

 預貯金に係る債務その他の政令で定める金銭債務(第15条第4号において「預貯金等債務」という。)の履行を受けること(前三号に掲げる行為に該当するものを除く。)

 この条(前二号に係る部分に限る。)の規定により債務の履行を受けることについて許可を受けなければならない金銭債権(以下「特定金銭債権」という。)を譲り渡すこと。


(許可の申請)

第10条 公告国際テロリストは、前条の許可を受けようとするときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、当該公告国際テロリストの住所地又は居所地(法人その他の団体にあっては、主たる事務所の所在地。以下「住所地等」という。)を管轄する公安委員会(日本国内に当該公告国際テロリストの住所地等がないときは、当該許可の申請に係る行為に最も密接な関係がある地を管轄する公安委員会)に、次に掲げる事項を記載した申請書を提出しなければならない。

 当該行為の内容

 当該行為の相手方の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

 当該行為により取得することとなる財産(以下「取得財産」という。)がある場合にあっては、その使用目的

 前条第5号に掲げる行為にあっては、当該行為に係る特定金銭債権を当該行為の相手方に対する債務の履行に充てることその他の当該行為の目的

 前各号に掲げるもののほか、国家公安委員会規則で定める事項

 前項の申請書には、取得財産が次条第1項各号のいずれかに該当することを証する書類その他の国家公安委員会規則で定める書類を添付しなければならない。


(許可の基準)

第11条 公安委員会は、公告国際テロリストから第9条第1号から第4号までに掲げる行為に係る同条の許可の申請があった場合において、当該申請に係る取得財産が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、その許可をしなければならない。

 当該公告国際テロリスト及びその者と生計を一にする配偶者その他の親族(その者と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者及び当該事情にある者の親族を含む。)の生活のために通常必要とされる費用の支払に充てられること。

 公租公課の支払に充てられること。

 この法律の規定による処分その他公権力の行使に当たる行為に係る訴訟に関する費用の支払に充てられること。

 前三号に掲げるもののほか、公衆等脅迫目的の犯罪行為のために使用されるおそれがないこと。

 公安委員会は、公告国際テロリストから第9条第5号に掲げる行為に係る同条の許可の申請があった場合において、当該行為に係る特定金銭債権が当該行為の相手方に対する仮装のものでない債務の履行に充てられると認めるときその他当該行為が同条(第3号及び第4号に係る部分に限る。)の規定による当該公告国際テロリストに対する行為の制限を免れる目的でされるものでないと認めるときは、その許可をしなければならない。


(許可の条件)

第12条 公安委員会は、第9条の許可に条件を付し、及びこれを変更することができる。

 前項の条件は、第9条の規定による公告国際テロリストに対する行為の制限の確実な実施を図るため必要な最小限度のものでなければならない。


(許可証の交付等)

第13条 公安委員会は、第9条の許可をしたときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、許可証を交付しなければならない。

 許可証の交付を受けた公告国際テロリストは、当該許可証を亡失し、又は当該許可証が滅失したときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、公安委員会に申請をして、許可証の再交付を受けることができる。

 許可証の交付を受けた公告国際テロリストは、次の各号のいずれかに該当することとなったときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、遅滞なく、その許可証(第3号の場合にあっては、発見し、又は回復した許可証)を公安委員会に返納しなければならない。

 次条の規定により第9条の許可が取り消されたとき。

 第9条の許可を受けた行為をしないこととなったとき。

 前項の規定により許可証の再交付を受けた場合において、亡失した許可証を発見し、又は回復したとき。


(許可の取消し)

第14条 公安委員会は、第9条の許可を受けた者について、次の各号のいずれかに該当するときは、その許可を受けた行為をする前に限り、その許可を取り消すものとする。

 当該者に係る取得財産が第11条第1項各号のいずれにも該当しなくなったと認めるとき。

 偽りその他不正の手段により当該許可を受けたことが判明したとき。


(公告国際テロリストを相手方とする行為の制限)

第15条 何人も、公告国際テロリストを相手方として次の各号に掲げる行為をしてはならない。ただし、その相手方がそれぞれ当該各号に定める行為に係る許可証を提示した場合は、この限りでない。

 規制対象財産の贈与をすること 第9条第1号に掲げる行為

 規制対象財産の貸付けをすること 第9条第2号に掲げる行為

 規制対象財産の売却、貸付けその他の処分の対価を支払うこと 第9条第3号に掲げる行為

 預貯金等債務の履行をすること(前三号に掲げる行為に該当するものを除く。) 第9条第4号に掲げる行為

 特定金銭債権を譲り受けること 第9条第5号に掲げる行為


(特定金銭債権の差押債権者に対する支払の禁止命令)

第16条 特定金銭債権に対し強制執行による差押命令又は差押処分が発せられた場合において、当該差押えをした債権者(以下この条において「差押債権者」という。)が有する債権が仮装のものであると認められるときその他当該差押債権者が第9条(第3号及び第4号に係る部分に限る。)の規定による公告国際テロリストに対する行為の制限を免れさせる目的で当該差押えをしたと認められるときは、当該公告国際テロリストの住所地等(日本国内に住所地等がないとき、又は日本国内の住所地等が知れないときは、当該差押命令を発した執行裁判所又は当該差押処分をした裁判所書記官の所属する簡易裁判所の所在地)を管轄する公安委員会は、国家公安委員会規則で定めるところにより、当該特定金銭債権の債務者に対し、3月を超えない範囲内で期間を定めて、当該差押債権者に対する当該特定金銭債権に係る金銭の支払をしてはならない旨を命ずることができる。この場合において、当該公安委員会は、国家公安委員会規則で定めるところにより、当該差押債権者に対し、当該命令をした旨その他の国家公安委員会規則で定める事項を通知するものとする。

 公安委員会は、前項後段の規定による通知をしようとする場合において、差押債権者の所在が判明しないときは、当該通知に代えて、その通知すべき事項を官報により公告するものとする。

 公安委員会は、次の各号のいずれかに該当するときは、第1項の規定による命令を取り消さなければならない。

 第1項の公告国際テロリストが公告国際テロリストでなくなったとき。

 第1項の公告国際テロリストと差押債権者との関係その他の事情に照らし、当該差押債権者が当該命令に係る金銭の支払を受けたとしても当該金銭が公衆等脅迫目的の犯罪行為のために使用されるおそれがないと認めるとき。

第2節 規制対象財産の仮領置

第17条 公告国際テロリストが所持している規制対象財産(土地、建物、自動車その他携帯することができない財産として政令で定めるものを除く。以下この条、第24条及び第29条第3号において同じ。)の一部が、第11条第1項各号のいずれにも該当しないと認められるときは、当該公告国際テロリストの住所地等(日本国内に住所地等がないとき、又は日本国内の住所地等が知れないときは、当該規制対象財産の所在地)を管轄する公安委員会は、国家公安委員会規則で定めるところにより、当該公告国際テロリスト又はこれに代わって当該規制対象財産を管理する者に対し、その該当しない部分の規制対象財産の提出を命じ、提出された規制対象財産を仮領置することができる。

 前項又はこの項の規定による規制対象財産の仮領置をした公安委員会は、当該規制対象財産を所持していた公告国際テロリストの住所地等が他の公安委員会の管轄区域内にあることが判明した場合において、第4項又は第5項の規定による当該規制対象財産の返還を適正かつ円滑に実施するため必要があると認めるときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、当該規制対象財産を当該他の公安委員会に引き継ぐことができる。この場合において、その引継ぎを受けた公安委員会は、引き続き当該規制対象財産を仮領置した上で、国家公安委員会規則で定めるところにより、速やかに、当該公告国際テロリストに対し、その旨を通知するものとする。

 前二項の規定による仮領置に係る規制対象財産を所持していた公告国際テロリストは、国家公安委員会規則で定めるところにより、当該仮領置をしている公安委員会に対し、その全部又は一部の返還を申請することができる。

 公安委員会は、前項の規定による申請を受けた場合において、公告国際テロリストが所持する規制対象財産の減少その他の第1項の規定による仮領置をした後の事情の変化により、当該申請に係る規制対象財産の全部又は一部が第11条第1項各号のいずれかに該当するに至ったと認めるときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、その該当する部分の規制対象財産を返還しなければならない。

 第1項又は第2項の規定による仮領置をした公安委員会は、当該仮領置に係る規制対象財産を所持していた公告国際テロリストが公告国際テロリストでなくなったときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、その者又はその者以外の所有者その他の当該規制対象財産の返還を受ける権利を有する者に対し、当該規制対象財産を返還しなければならない。

 前項の場合において、第3条第3項において準用する同条第2項の規定による公告があった日、指定の有効期間が満了した日又は第7条第2項において準用する第5条第1項の規定による公告があった日から起算して1年を経過してもなお規制対象財産の返還を受けるべき者の所在が判明しないとき、又はその者が当該規制対象財産の引取りをしないことによりこれを返還することができないときは、当該規制対象財産は、これを仮領置している公安委員会が置かれている都道府県に帰属する。

 第5項の規定により公告国際テロリストでなくなった者以外の規制対象財産の返還を受ける権利を有する者に対し当該規制対象財産を返還しようとする場合において、その者が公告国際テロリストであるときは、公安委員会は、同項の規定にかかわらず、当該規制対象財産のうちその者について第11条第1項各号のいずれにも該当しないと認められる部分については引き続き仮領置するものとし、その他の部分についてはその者に返還するものとする。この場合において、公安委員会は、国家公安委員会規則で定めるところにより、その者に対し、引き続き仮領置する旨を通知するものとする。

 第2項から前項までの規定は、同項(この項において準用する場合を含む。)の規定による仮領置について準用する。この場合において、第2項、第3項及び第5項中「を所持していた」とあるのは、「の返還を受ける権利を有する」と読み替えるほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

第3節 財産の凍結等の措置の実施に当たっての配慮等

(財産の凍結等の措置の実施に当たっての配慮)

第18条 前二節の規定による措置は、その国民経済に対する影響をできるだけ少ないものとするように留意しつつ、国際的協調の下に、国際的なテロリズムの行為の防止及び抑止の効果が十分に発揮されるように実施しなければならない。


(資料の提出その他の協力)

第19条 公安委員会は、前二節の規定による措置を実施するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長、関係地方公共団体の長、関係のある公私の団体その他の関係者に対し、資料の提出その他必要な協力を求めることができる。


(立入検査等)

第20条 公安委員会は、前二節の規定による措置を実施するため必要があると認めるときは、公告国際テロリストに対し報告若しくは資料の提出を求め、又は警察職員に公告国際テロリストが所有し、若しくは占有する不動産に立ち入らせ、帳簿書類その他必要な物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

 前項の規定による立入検査又は質問をする警察職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

 第1項の規定による立入検査及び質問の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

第4章 雑則

(情報の提供等)

第21条 公安委員会は、第15条の規定に違反し、又は違反するおそれがある事業者その他の関係者に対し、同条の規定による行為の制限に関し必要な情報の提供又は指導若しくは助言をするものとする。


(公告国際テロリストを相手方とする行為の制限に係る命令)

第22条 第15条の規定に違反して前条の規定による情報の提供又は指導若しくは助言を受けた者が再び第15条の規定に違反した場合において、更に反復して同条の規定に違反するおそれがあると認めるときは、当該違反行為をした者の住所地等(日本国内に住所地等がないとき、又は日本国内の住所地等が知れないときは、当該違反行為に最も密接な関係がある地。次項において同じ。)を管轄する公安委員会は、国家公安委員会規則で定めるところにより、その者に対し、更に反復して同条の規定に違反する行為をしてはならないことを命ずることができる。

 前項の規定による場合のほか、第15条の規定に違反した者が再び同条の規定に違反するおそれがあると認める場合において、同条の規定による公告国際テロリストを相手方とする行為の制限の確実な実施を図るため特に必要があると認めるときは、当該違反行為をした者の住所地等を管轄する公安委員会は、国家公安委員会規則で定めるところにより、その者に対し、再び同条の規定に違反する行為をしてはならないことを命ずることができる。


(国家公安委員会への報告等)

第23条 公安委員会は、第9条の規定により許可をし、第12条第1項の規定により条件を付し、若しくはこれを変更し、第13条第2項の規定により許可証を再交付し、第14条の規定により許可を取り消し、第16条第1項若しくは前条の規定により命令をし、第16条第3項の規定により命令を取り消し、第17条第1項若しくは第2項後段若しくは第7項(これらの規定を同条第8項において準用する場合を含む。)の規定により仮領置をし、同条第4項、第5項若しくは第7項(これらの規定を同条第8項において準用する場合を含む。)の規定により返還をし、又は第21条の規定により情報の提供若しくは指導若しくは助言をしたとき、その他前章の規定による措置の実施に関し国家公安委員会規則で定める事由が生じたときは、国家公安委員会規則で定める事項を国家公安委員会に報告しなければならない。この場合において、国家公安委員会は、当該報告に係る事項を各公安委員会に通報するものとする。


(損失補償)

第24条 第15条各号に掲げる行為の行為者が、当該行為をすることをその相手方に約した後(当該行為のうちその相手方の請求があった場合に限りすることが約されているものにあっては、当該相手方が当該行為者にその請求をし、又はその請求をすることを当該行為者以外の者に約した後)に当該相手方が第3条第1項の規定により公告され、若しくは指定を受けたため、当該行為ができなくなったことにより当該相手方以外の者が損失を受けた場合又は規制対象財産を所持している者が同項の規定により公告され、若しくは指定を受け、第17条第1項の規定により当該規制対象財産が仮領置されたため、当該規制対象財産を所持していた者以外の者が損失を受けた場合においては、国は、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償する。


(適用範囲)

第25条 この法律の規定は、日本国内に住所地等がある者が、日本国外でする行為にも適用する。

 公告国際テロリストが行う第9条各号に掲げる行為に該当する行為が、外国為替及び外国貿易法第16条第1項若しくは第3項、第19条第1項若しくは第2項、第21条第1項、第24条第1項若しくは第52条の規定により許可若しくは承認を受ける義務を課されるものである場合又は同法第21条第1項、第25条第6項若しくは第48条第3項の規定により許可若しくは承認を受ける義務を課される資本取引(同法第20条に規定する資本取引をいう。以下この項において同じ。)、役務取引等(同法第25条第6項に規定する役務取引等をいう。以下この項において同じ。)若しくは輸出に係るものである場合には、当該公告国際テロリストが行う第9条各号に掲げる行為に該当する行為については、この法律の規定は、適用しない。公告国際テロリストを相手方として行う第15条各号に掲げる行為に該当する行為が、外国為替及び外国貿易法第16条第1項若しくは第3項、第19条第1項若しくは第2項、第21条第1項、第24条第1項若しくは第48条第3項の規定により許可若しくは承認を受ける義務を課されるものである場合又は同法第21条第1項、第25条第6項若しくは第52条の規定により許可若しくは承認を受ける義務を課される資本取引、役務取引等若しくは輸入に係るものである場合における当該公告国際テロリストを相手方として行う第15条各号に掲げる行為に該当する行為についても、同様とする。


(方面公安委員会への権限の委任)

第26条 この法律の規定により道公安委員会の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、方面公安委員会に行わせることができる。


(経過措置)

第27条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。


(国家公安委員会規則への委任)

第28条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、国家公安委員会規則で定める。

第5章 罰則

第29条 次の各号のいずれかに該当する行為をした者(法人その他の団体にあっては、その役職員又は構成員として当該行為をした者)は、3年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 第9条の規定に違反して許可を受けないで同条各号に掲げる行為をすること。

 偽りその他不正の手段により第9条の許可を受けること。

 第17条第1項の規定による命令に違反して規制対象財産を提出しないこと。

 偽りその他不正の手段により第17条第4項(同条第8項において準用する場合を含む。)の規定による返還を受けること。


第30条 次の各号のいずれかに該当する行為をした者(法人その他の団体にあっては、その役職員又は構成員として当該行為をした者)は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

 第12条第1項の規定により第9条の許可に付された条件に違反すること。

 第20条第1項の規定に違反して報告をせず、若しくは資料を提出せず、若しくは同項の報告若しくは資料の提出について虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出し、又は同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をすること。

 第22条の規定による命令に違反して第15条の規定に違反する行為をすること。


第31条 第16条第1項の規定による命令に違反する行為をした者(法人その他の団体にあっては、その役職員又は構成員として当該行為をした者)は、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。


第32条 第13条第3項の規定に違反する行為をした者(法人その他の団体にあっては、その役職員又は構成員として当該行為をした者)は、30万円以下の罰金に処する。

附 則
(施行期日)

第1条 この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。


(この法律の廃止)

第2条 この法律は、第1267号等決議(国際テロリストの財産の凍結等の措置に係る部分に限る。)及び第1373号決議(国際テロリストの財産の凍結等の措置に係る部分に限る。)がいずれもその効力を失ったときは、速やかに、廃止するものとする。


(経過措置)

第3条 この法律の施行の際現に名簿に記載されている者についての第3条第1項の規定の適用については、同項中「記載された」とあるのは「記載されている」と、「遅滞なく」とあるのは「この法律の施行後遅滞なく」とする。


(政令への委任)

第4条 前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

附 則(平成28年6月3日法律第62号)
(施行期日)

第1条 この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。


(その他の経過措置の政令への委任)

第19条 附則第2条から第8条まで及び前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。

附 則(平成30年7月27日法律第80号)
(施行期日)

第1条 この法律は、公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。