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雨水の利用の推進に関する法律

平成26年法律第17号
最終改正:平成27年9月11日法律第66号
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第1章 総則

(目的)

第1条 この法律は、近年の気候の変動等に伴い水資源の循環の適正化に取り組むことが課題となっていることを踏まえ、その一環として雨水の利用が果たす役割に鑑み、雨水の利用の推進に関し、国等の責務を明らかにするとともに、基本方針等の策定その他の必要な事項を定めることにより、雨水の利用を推進し、もって水資源の有効な利用を図り、あわせて下水道、河川等への雨水の集中的な流出の抑制に寄与することを目的とする。


(定義)

第2条 この法律において「雨水の利用」とは、雨水を一時的に貯留するための施設に貯留された雨水を水洗便所の用、散水の用その他の用途に使用すること(消火のための使用その他災害時における使用に備えて確保することを含む。)をいう。ただし、次に掲げるものにより供給される水の原水として使用することを除く。

 水道法(昭和32年法律第177号)第3条第8項に規定する水道施設

 土地改良法(昭和24年法律第195号)第2条第2項に規定する土地改良事業又はこれに準ずる事業により整備される農業用用水路

 工業用水道事業法(昭和33年法律第84号)第2条第6項に規定する工業用水道施設

 この法律において「独立行政法人等」とは、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第1項に規定する独立行政法人をいう。)又は特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法(平成11年法律第91号)第4条第1項第9号の規定の適用を受けるものをいう。)のうち、その資本金の全部若しくは大部分が国からの出資による法人又はその事業の運営のために必要な経費の主たる財源を国からの交付金若しくは補助金によって得ている法人であって、政令で定めるものをいう。

 この法律において「地方独立行政法人」とは、地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第2条第1項に規定する地方独立行政法人をいう。


(国及び独立行政法人等の責務)

第3条 国は、雨水の利用の推進に関する総合的な施策を策定し、及び実施するものとする。

 国及び独立行政法人等は、自らの雨水の利用を推進するための措置を講ずるよう努めなければならない。


(地方公共団体及び地方独立行政法人の責務)

第4条 地方公共団体は、その区域の自然的社会的条件に応じて、雨水の利用の推進に関する施策を策定し、及び実施するよう努めなければならない。

 地方公共団体及び地方独立行政法人は、自らの雨水の利用を推進するための措置を講ずるよう努めるものとする。


(事業者及び国民の責務)

第5条 事業者及び国民は、自らの雨水の利用に努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する雨水の利用の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。


(法制上の措置等)

第6条 政府は、雨水の利用の推進に関する施策を実施するために必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。

第2章 基本方針等

(基本方針)

第7条 国土交通大臣は、雨水の利用の推進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。

 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

 雨水の利用の推進の意義に関する事項

 雨水の利用の方法(これに係る雨水の貯留の方法を含む。以下同じ。)に関する基本的な事項

 健康への悪影響の防止その他の雨水の利用に際し配慮すべき事項

 雨水の利用の推進に関する施策に係る基本的な事項

 その他雨水の利用の推進に関する重要事項

 国土交通大臣は、情勢の推移により必要が生じたときは、基本方針を変更するものとする。

 国土交通大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更しようとするときは、厚生労働大臣その他の関係行政機関の長に協議しなければならない。

 国土交通大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。


(都道府県方針)

第8条 都道府県は、基本方針に即して、当該都道府県の区域内における雨水の利用の推進に関する方針(以下この条及び次条第1項において「都道府県方針」という。)を定めることができる。

 都道府県方針においては、おおむね次に掲げる事項を定めるものとする。

 当該都道府県の区域の自然的社会的条件に応じた雨水の利用の方法(当該方法が地域ごとに異なる場合にあっては、当該地域ごとの方法)に関する基本的な事項

 当該都道府県の区域内における雨水の利用の推進に関する施策に係る基本的な事項

 その他当該都道府県の区域内における雨水の利用の推進に関する重要事項

 都道府県は、都道府県方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するよう努めなければならない。


(市町村計画)

第9条 市町村は、基本方針(都道府県方針が策定されているときは、基本方針及び都道府県方針)に即して、当該市町村の区域内における雨水の利用の推進に関する計画(以下この条において「市町村計画」という。)を定めることができる。

 市町村計画においては、おおむね次に掲げる事項を定めるものとする。

 当該市町村の区域の自然的社会的条件に応じた雨水の利用の方法(当該方法が地域ごとに異なる場合にあっては、当該地域ごとの方法)

 当該市町村の区域内における雨水の利用の計画的な推進に関する施策の実施に係る事項

 その他当該市町村の区域内における雨水の利用の計画的な推進に関する重要事項

 市町村は、市町村計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するよう努めなければならない。

第3章 雨水の利用の推進に関する施策

(国及び独立行政法人等による自らの雨水の利用のための施設の設置に関する目標)

第10条 国は、国及び独立行政法人等が建築物を整備する場合における自らの雨水の利用のための施設の設置に関する目標を定めるものとする。

 国土交通大臣は、あらかじめ各省各庁の長(財政法(昭和22年法律第34号)第20条第2項に規定する各省各庁の長をいう。)及び独立行政法人等の主務大臣と協議して前項の目標の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。

 国土交通大臣は、前項の閣議の決定があったときは、遅滞なく、第1項の目標を公表しなければならない。

 前二項の規定は、第1項の目標の変更について準用する。


(地方公共団体及び地方独立行政法人による自らの雨水の利用のための施設の設置に関する目標)

第11条 地方公共団体及び地方独立行政法人は、前条第1項の目標に準じて、当該地方公共団体及び地方独立行政法人が建築物を整備する場合における自らの雨水の利用のための施設の設置に関する目標を定め、及び公表するよう努めるものとする。


(普及啓発)

第12条 国及び地方公共団体は、災害時における身近な水源としての雨水の有用性を含め、雨水の利用に関し、広報活動等を通じて普及啓発を図るよう努めなければならない。


(調査研究の推進等及び技術者等の育成)

第13条 国は、雨水の利用を効果的に推進するため、雨水の利用に係る技術、雨水の利用のための施設に係る規格等に関する調査研究等の推進及びその成果の普及に努めるとともに、雨水の利用に関する技術者及び研究者の育成に努めなければならない。


(特に雨水の利用を推進すべき建築物における雨水の利用の推進)

第14条 政府は、特に雨水の利用を推進すべき建築物における雨水の利用のための施設の設置を推進するため、税制上又は金融上の措置その他の必要な措置を講じなければならない。


(地方公共団体による助成)

第15条 地方公共団体は、その区域の自然的社会的条件に応じて、雨水を一時的に貯留するための施設の新設、不要となった浄化槽の当該施設への転用その他の雨水の利用のための施設の整備について、助成を行うよう努めるものとする。

 国は、前項の助成を行う地方公共団体に対し、財政上の援助をするよう努めなければならない。

附 則

この法律は、公布の日から起算して1月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

附 則(平成27年9月11日法律第66号)
(施行期日)

第1条 この法律は、平成28年4月1日から施行する。