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サリン等による人身被害の防止に関する法律

平成7年法律第78号
最終改正:平成29年6月21日法律第67号
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(目的)

第1条 この法律は、サリン等の製造、所持等を禁止するとともに、これを発散させる行為についての罰則及びその発散による被害が発生した場合の措置等を定め、もってサリン等による人の生命及び身体の被害の防止並びに公共の安全の確保を図ることを目的とする。


(定義)

第2条 この法律において「サリン等」とは、サリン(メチルホスホノフルオリド酸イソプロピルをいう。以下同じ。)及び次の各号のいずれにも該当する物質で政令で定めるものをいう。

 サリン以上の又はサリンに準ずる強い毒性を有すること。

 その原材料、製法、発散させる方法、発散したときの性状その他その物質の特性を勘案して人を殺傷する目的に供されるおそれ並びに発散した場合の人の生命及び身体に対する危害の程度が大きいと認められること。

 犯罪に係る社会状況その他の事情を勘案して人の生命及び身体の保護並びに公共の安全の確保を図るためにその物質についてこの法律の規定により規制等を行う必要性が高いと認められること。


(製造等の禁止)

第3条 何人も、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、サリン等を製造し、輸入し、所持し、譲り渡し、又は譲り受けてはならない。

 国又は地方公共団体の職員で政令で定めるものが試験又は研究のため製造し、輸入し、所持し、譲り渡し、又は譲り受けるとき。

 化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律(平成7年法律第65号。以下「化学兵器禁止法」という。)又は外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号)の規定により化学兵器禁止法第2条第3項に規定する特定物質の製造、所持、譲渡し若しくは譲受け又は輸入をすることができる場合に該当して、製造し、所持し、譲り渡し、若しくは譲り受け、又は輸入するとき。


(被害発生時の措置等)

第4条 警察官、海上保安官又は消防吏員(以下「警察官等」という。)は、サリン等又はサリン等である疑いがある物質の発散により人の生命又は身体の被害が生じており、又は生じるおそれがあると認めるときは、警察法(昭和29年法律第162号)、警察官職務執行法(昭和23年法律第136号)、道路交通法(昭和35年法律第105号)、海上保安庁法(昭和23年法律第28号)、消防法(昭和23年法律第186号)その他の法令の定めるところにより、直ちに、その被害に係る建物、車両、船舶その他の場所への立入りを禁止し、又はこれらの場所にいる者を退去させ、サリン等を含む物品その他のその被害に係る物品を回収し、又は廃棄し、その他その被害を防止するために必要な措置をとらなければならない。この場合において、警察官等は、相互に緊密な連携を保たなければならない。

 警視総監若しくは道府県警察本部長又は管区海上保安本部長は前項の規定による措置又はこの法律に規定する犯罪の捜査に関し、消防長又は消防署長は同項の規定による措置に関し、それぞれ、関係行政機関又は関係のある公私の団体に対し、技術的知識の提供、装備資機材の貸与その他必要な協力を求めることができる。

 国民は、サリン等若しくはサリン等である疑いがある物質若しくはこれらの物質を含む物品を発見し又はこれらが所在する場所を知ったときは速やかに警察官等にその旨を通報するとともに、第1項の規定による警察官等の措置の円滑な実施に協力するよう努めなければならない。


(罰則)

第5条 サリン等を発散させて公共の危険を生じさせた者は、無期又は2年以上の懲役に処する。

 前項の未遂罪は、罰する。

 第1項の罪を犯す目的でその予備をした者は、5年以下の懲役に処する。ただし、同項の罪の実行の着手前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。


第6条 第3条の規定に違反した者は、7年以下の懲役に処する。

 前条第1項の犯罪の用に供する目的で前項の罪を犯した者は、10年以下の懲役に処する。ただし、同条第1項の罪の実行の着手前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。

 前二項の未遂罪は、罰する。

 製造又は輸入に係る第1項又は第2項の罪を犯す目的でその予備をした者は、3年以下の懲役に処する。


第7条 情を知って、第5条第1項の罪又は製造若しくは輸入に係る前条第1項若しくは第2項の罪に当たる行為に要する資金、土地、建物、艦船、航空機、車両、設備、機械、器具又は原材料を提供した者は、3年以下の懲役に処する。


第8条 第5条の罪は、刑法(明治40年法律第45号)第4条の2の例に従う。

附 則
(施行期日)

第1条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、それぞれ当該各号に定める日から施行する。

 第3条第2号及び附則第4条の規定 化学兵器禁止法の施行の日

 第5条から第7条までの規定 この法律の公布の日から起算して10日を経過した日


(経過措置)

第2条 前条第1号に掲げる規定が施行されるまでの間における第3条の規定の適用については、同条第1号中「国又は地方公共団体の職員で政令で定めるものが」とあるのは、「国の職員が又は国から試験若しくは研究の委託を受けた者で国家公安委員会が指定したものが」とする。


第3条 この法律の施行の際現にサリン等を所持する者(前条の規定により読み替えて適用する第3条第1号に規定する者を除く。次条において同じ。)又はこの法律の施行の日以後その日から起算して10日を経過する日までの間に第3条の規定に違反してサリン等を所持するに至った者は、同日までの間に、その所持するサリン等の種類、数量及び所在する場所を当該場所を管轄する警察署長に届け出なければならない。

 前項の規定による届出をした者は、警察署長が指示する日時において、その指示する方法により、その届出に係るサリン等を廃棄しなければならない。

 前項の規定により廃棄するまでの間における当該廃棄のためのサリン等の所持については、第3条及び化学兵器禁止法第16条第1項の規定は、適用しない。


第4条 この法律の施行の際現にサリン等を所持する者の当該所持するサリン等及び第3条の規定に違反して所持されるサリン等については、化学兵器禁止法附則第2条の規定は、適用しない。この場合における第3条の規定の適用については、同条第2号中「化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律(平成7年法律第65号。以下「化学兵器禁止法」という。)」とあるのは、「化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律(平成7年法律第65号。以下「化学兵器禁止法」という。)(附則第2条を除く。)」とする。


(罰則)

第5条 附則第3条第2項の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

 附則第3条第1項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、30万円以下の罰金に処する。

 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して当該各項の罰金刑を科する。

附 則(平成9年5月23日法律第59号)
(施行期日)

第1条 この法律は、平成10年4月1日から施行する。

附 則(平成13年11月16日法律第121号)
(施行期日)

第1条 この法律は、テロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。


(経過措置)

第2条 改正後の爆発物取締罰則第10条の規定、火炎びんの使用等の処罰に関する法律第4条の規定、細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約等の実施に関する法律第11条の規定、化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律第42条(刑法(明治40年法律第45号)第4条の2に係る部分に限る。)の規定及びサリン等による人身被害の防止に関する法律第8条の規定は、この法律の施行の日以後に日本国について効力を生ずる条約により日本国外において犯したときであっても罰すべきものとされる罪に限り適用する。

附 則(平成19年5月11日法律第38号)
(施行期日)

第1条 この法律は、核によるテロリズムの行為の防止に関する国際条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。

附 則(平成29年6月21日法律第67号)
(施行期日)

第1条 この法律は、公布の日から起算して20日を経過した日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 第1条中組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下「組織的犯罪処罰法」という。)第12条の改正規定、第2条及び第4条から第7条までの規定並びに附則第4条及び第6条の規定 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約が日本国について効力を生ずる日


(経過措置)

第4条 新組織的犯罪処罰法第12条(刑法第4条の2に係る部分に限る。)の規定、第2条の規定による改正後の爆発物取締罰則第10条(爆発物取締罰則第4条から第6条までに係る部分に限る。)の規定、第4条の規定による改正後の暴力行為等処罰に関する法律第1条ノ3第2項の規定、第5条の規定による改正後の児童福祉法第60条第5項(同条第1項に係る部分に限る。)の規定、第6条の規定による改正後の細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約等の実施に関する法律第11条(同法第10条に係る部分に限る。)の規定及び第7条の規定による改正後のサリン等による人身被害の防止に関する法律第8条(同法第5条第3項に係る部分に限る。)の規定は、附則第1条第1号に掲げる規定の施行の日以後に日本国について効力を生ずる条約により日本国外において犯したときであっても罰すべきものとされている罪に限り、適用する。