農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律
第1条 この法律は、人口の減少、高齢化の進展等により農山漁村の活力が低下していることにかんがみ、農山漁村における定住等及び農山漁村と都市との地域間交流を促進するための措置を講ずることにより、農山漁村の活性化を図ることを目的とする。
第2条 この法律において「定住等」とは、農山漁村における定住及び都市の住民がその住所のほか農山漁村に居所を有することをいう。
2 この法律において「地域間交流」とは、都市の住民の農林漁業の体験その他の農山漁村と都市との地域間交流をいう。
3 この法律において「農林地等」とは、次に掲げる土地をいう。
一 耕作(農地法(昭和27年法律第229号)第43条第1項の規定により耕作に該当するものとみなされる農作物の栽培を含む。以下同じ。)の目的又は主として耕作若しくは養畜の事業のための採草若しくは家畜の放牧の目的に供される土地(以下「農用地」という。)
二 木竹の集団的な生育に供される土地(主として農用地又は住宅地若しくはこれに準ずる土地として使用される土地を除く。以下「林地」という。)
三 第5条第8項に規定する活性化施設の用に供される土地及び開発して同項に規定する活性化施設の用に供されることが適当な土地(前二号に掲げる土地を除く。)
四 前三号に掲げる土地のほか、これらの土地との一体的な利用に供されることが適当な土地
第3条 この法律による措置は、次に掲げる要件に該当する地域について講じられるものとする。
一 農用地及び林地(以下「農林地」という。)が当該地域内の土地の相当部分を占めていることその他当該地域の土地利用の状況、農林漁業従事者数等からみて、農林漁業が重要な事業である地域であること。
二 当該地域において定住等及び地域間交流を促進することが、当該地域を含む農山漁村の活性化にとって有効かつ適切であると認められること。
三 既に市街地を形成している区域以外の地域であること。
第4条 農林水産大臣は、定住等及び地域間交流の促進による農山漁村の活性化に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 定住等及び地域間交流の促進の意義及び目標に関する事項
二 定住等及び地域間交流の促進のための措置を講ずべき地域の設定に関する基本的事項
三 定住等及び地域間交流の促進のための施策に関する基本的事項
四 次条第1項に規定する活性化計画の作成に関する基本的事項
五 前各号に掲げるもののほか、定住等及び地域間交流の促進に関する重要事項
3 農林水産大臣は、基本方針を定めようとするときは、国土交通大臣その他関係行政機関の長に協議しなければならない。
4 農林水産大臣は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 前二項の規定は、基本方針の変更について準用する。
第5条 都道府県又は市町村は、単独で又は共同して、基本方針に基づき、当該都道府県又は市町村の区域内の地域であって第3条各号に掲げる要件に該当すると認められるものについて、定住等及び地域間交流の促進による農山漁村の活性化に関する計画(以下「活性化計画」という。)を作成することができる。
2 活性化計画には、次に掲げる事項を記載するものとする。
一 活性化計画の区域
二 前号の区域において定住等及び地域間交流を促進するために必要な次に掲げる事業に関する事項
イ 定住等の促進に資する農林漁業の振興を図るための生産基盤及び施設の整備に関する事業
ロ 定住等を促進するための集落における排水処理施設その他の生活環境施設の整備に関する事業
ハ 農林漁業の体験のための施設その他の地域間交流の拠点となる施設の整備に関する事業
ニ その他農林水産省令で定める事業
三 前号の事業と一体となってその効果を増大させるために必要な事業又は事務に関する事項
四 計画期間
3 活性化計画には、前項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を記載するよう努めるものとする。
一 活性化計画の目標
二 前項第2号及び第3号に掲げる事項に係る他の地方公共団体との連携に関する事項
三 その他農林水産省令で定める事項
4 第2項第2号及び第3号に掲げる事項には、当該活性化計画を作成する都道府県又は市町村が実施する事業又は事務(以下「事業等」という。)に係るものを記載するほか、必要に応じ、定住等及び地域間交流の促進に寄与する事業等を実施しようとする農林漁業者の組織する団体若しくは特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条第2項に規定する特定非営利活動法人又はこれらに準ずる者として農林水産省令で定めるもの(都道府県が作成する活性化計画にあっては、当該都道府県と共同して活性化計画を作成する市町村以外の市町村を含む。以下「農林漁業団体等」という。)が実施する事業等(活性化計画を作成する都道府県又は市町村が当該事業等に要する費用の一部を負担してその推進を図るものに限る。)に係るものを記載することができる。
5 前項の規定により活性化計画に農林漁業団体等が実施する事業等に係る事項を記載しようとする都道府県又は市町村は、当該事項について、あらかじめ、当該農林漁業団体等の同意を得なければならない。
6 定住等及び地域間交流の促進に寄与する事業等を実施しようとする農林漁業団体等は、当該事業等を実施しようとする地域をその区域に含む都道府県又は市町村に対し、当該事業等をその内容に含む活性化計画の案の作成についての提案をすることができる。
7 前項の都道府県又は市町村は、同項の提案を踏まえた活性化計画の案を作成する必要がないと判断したときは、その旨及びその理由を、当該提案をした農林漁業団体等に通知しなければならない。
8 活性化計画には、第2項各号に掲げる事項のほか、当該活性化計画を作成する市町村が行う農林地所有権移転等促進事業(同項第2号に掲げる事業により整備される施設(以下「活性化施設」という。)の整備を図るため行う農林地等についての所有権の移転又は地上権、賃借権若しくは使用貸借による権利の設定若しくは移転(以下「所有権の移転等」という。)及びこれと併せ行う当該所有権の移転等を円滑に推進するために必要な農林地についての所有権の移転等を促進する事業をいう。以下同じ。)に関する次に掲げる事項を記載することができる。
一 農林地所有権移転等促進事業の実施に関する基本方針
二 移転される所有権の移転の対価の算定基準及び支払の方法
三 設定され、又は移転される地上権、賃借権又は使用貸借による権利の存続期間又は残存期間に関する基準並びに当該設定され、又は移転を受ける権利が地上権又は賃借権である場合における地代又は借賃の算定基準及び支払の方法
四 その他農林水産省令で定める事項
9 前項の規定により活性化計画に農林地所有権移転等促進事業に関する事項を記載しようとする市町村(都道府県と共同して当該活性化計画を作成する市町村を除く。)は、当該事項のうち同項第2号及び第3号に掲げる事項については、あらかじめ、都道府県知事に協議し、その同意を得なければならない。
10 活性化計画は、過疎地域自立促進計画、山村振興計画、農業振興地域整備計画その他法律の規定による地域振興に関する計画、地域森林計画その他法律の規定による森林の整備に関する計画並びに都市計画及び都市計画法(昭和43年法律第100号)第18条の2の市町村の都市計画に関する基本的な方針との調和が保たれたものでなければならない。
11 都道府県又は市町村は、活性化計画を作成したときは、遅滞なく、これを公表するよう努めるとともに、都道府県にあっては関係市町村(都道府県と共同して当該活性化計画を作成した市町村を除く。)に、市町村(都道府県と共同して当該活性化計画を作成した市町村を除く。)にあっては都道府県に、当該活性化計画の写しを送付しなければならない。
12 第5項から第7項まで、第9項及び前項の規定は、活性化計画の変更について準用する。
第6条 活性化計画を作成した都道府県又は市町村は、次項の交付金を充てて当該活性化計画に基づく事業等の実施(農林漁業団体等が実施する事業等に要する費用の一部の負担を含む。同項において同じ。)をしようとするときは、当該活性化計画を農林水産大臣に提出しなければならない。
2 国は、前項の都道府県又は市町村に対し、同項の規定により提出された活性化計画に基づく事業等の実施に要する経費に充てるため、農林水産省令で定めるところにより、予算の範囲内で、交付金を交付することができる。
3 前項の交付金を充てて行う事業に要する費用については、土地改良法(昭和24年法律第195号)その他の法令の規定に基づく国の負担又は補助は、当該規定にかかわらず、行わないものとする。
4 前三項に定めるもののほか、第2項の交付金の交付に関し必要な事項は、農林水産省令で定める。
第7条 第5条第8項各号に掲げる事項が記載された活性化計画を作成した市町村は、農林地所有権移転等促進事業を行おうとするときは、農林水産省令で定めるところにより、農業委員会(農業委員会等に関する法律(昭和26年法律第88号)第3条第1項ただし書又は第5項の規定により農業委員会を置かない市町村にあっては、市町村長。以下同じ。)の決定を経て、所有権移転等促進計画を定めるものとする。
2 所有権移転等促進計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 所有権の移転等を受ける者の氏名又は名称及び住所
二 前号に規定する者が所有権の移転等を受ける土地の所在、地番、地目及び面積
三 第1号に規定する者に前号に規定する土地について所有権の移転等を行う者の氏名又は名称及び住所
四 第1号に規定する者が移転を受ける所有権の移転の後における土地の利用目的並びに当該所有権の移転の時期並びに移転の対価及びその支払の方法
五 第1号に規定する者が設定又は移転を受ける地上権、賃借権又は使用貸借による権利の種類、内容(土地の利用目的を含む。)、始期又は移転の時期、存続期間又は残存期間並びに当該設定又は移転を受ける権利が地上権又は賃借権である場合にあっては地代又は借賃及びその支払の方法
六 その他農林水産省令で定める事項
3 所有権移転等促進計画は、次に掲げる要件に該当するものでなければならない。
一 所有権移転等促進計画の内容が活性化計画に適合するものであること。
二 前項第2号に規定する土地ごとに、同項第1号に規定する者並びに当該土地について所有権、地上権、永小作権、質権、賃借権、使用貸借による権利又はその他の使用及び収益を目的とする権利を有する者の全ての同意が得られていること。
三 前項第4号又は第5号に規定する土地の利用目的が、当該土地に係る農業振興地域整備計画、都市計画その他の土地利用に関する計画に適合すると認められ、かつ、当該土地の位置及び規模並びに周辺の土地利用の状況からみて、当該土地を当該利用目的に供することが適当であると認められること。
四 所有権移転等促進計画の内容が、活性化計画の区域内にある土地の農林業上の利用と他の利用との調整に留意して活性化施設の用に供する土地を確保するとともに、当該土地の周辺の地域における農用地の集団化その他農業構造の改善に資するように定められていること。
五 前項第2号に規定する土地ごとに、次に掲げる要件に該当するものであること。
イ 当該土地が農用地であり、かつ、当該土地に係る前項第4号又は第5号に規定する土地の利用目的が農用地の用に供するためのものである場合にあっては、農地法第3条第2項の規定により同条第1項の許可をすることができない場合に該当しないこと。
ロ 当該土地が農用地であり、かつ、当該土地に係る所有権の移転等の内容が農地法第5条第1項本文に規定する場合に該当する場合にあっては、同条第2項の規定により同条第1項の許可をすることができない場合に該当しないこと。
ハ 当該土地が農用地以外の土地である場合にあっては、前項第1号に規定する者が、所有権の移転等が行われた後において、当該土地を同項第4号又は第5号に規定する土地の利用目的に即して適正かつ確実に利用することができると認められること。
4 農業委員会は、第2項第2号に規定する土地の全部又は一部が農用地(当該農用地に係る所有権の移転等の内容が農地法第5条第1項本文に規定する場合に該当するものに限る。以下この条において同じ。)である所有権移転等促進計画について第1項の決定をしようとするとき(当該所有権移転等促進計画に係る農用地の全部又は一部が三十アールを超える農地(耕作の目的に供される土地をいう。)であるときに限る。)は、あらかじめ、農業委員会等に関する法律第43条第1項に規定する都道府県機構(以下「都道府県機構」という。)の意見を聴かなければならない。ただし、同法第42条第1項の規定による都道府県知事の指定がされていない場合については、この限りでない。
5 前項に定めるもののほか、農業委員会は、第2項第2号に規定する土地の全部又は一部が農用地である所有権移転等促進計画について第1項の決定をするため必要があると認めるときは、都道府県機構の意見を聴くことができる。
6 市町村(農地法第4条第1項に規定する指定市町村を除く。)は、第1項の規定により所有権移転等促進計画を定めようとする場合において、第2項第2号に規定する土地の全部又は一部が農用地であるときは、当該所有権移転等促進計画について、農林水産省令で定めるところにより、あらかじめ、都道府県知事の承認を受けなければならない。
第8条 市町村は、所有権移転等促進計画を定めたときは、農林水産省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を公告しなければならない。
2 市町村は、前項の規定による公告をしようとするときは、農林水産省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を都道府県知事に通知しなければならない。ただし、前条第6項の承認を受けた所有権移転等促進計画について前項の規定による公告を行う場合については、この限りでない。
第9条 前条第1項の規定による公告があったときは、その公告があった所有権移転等促進計画の定めるところによって所有権が移転し、又は地上権、賃借権若しくは使用貸借による権利が設定され、若しくは移転する。
第10条 第8条第1項の規定による公告があった所有権移転等促進計画に係る土地の登記については、政令で、不動産登記法(平成16年法律第123号)の特例を定めることができる。
第11条 第5条第4項の規定により活性化計画にその実施する市民農園(市民農園整備促進法(平成2年法律第44号)第2条第2項に規定する市民農園をいう。)の整備に関する事業が記載された農林漁業団体等は、同法第7条第1項の認定の申請に係る事項が当該事業に係るものであるときは、同項及び同条第2項(これらの規定に基づく命令の規定を含む。)の規定にかかわらず、当該申請に係る記載事項の一部を省略する手続その他の農林水産省令・国土交通省令で定める簡略化された手続によることができる。
第12条 国及び地方公共団体は、活性化計画に基づく事業等を実施する者に対し、当該事業等の確実かつ効果的な実施に関し必要な助言、指導その他の援助を行うよう努めなければならない。
2 前項に定めるもののほか、農林水産大臣、関係行政機関の長、関係地方公共団体及び関係農林漁業団体等は、活性化計画の円滑な実施が促進されるよう、相互に連携を図りながら協力しなければならない。
第13条 国の行政機関の長又は都道府県知事は、活性化計画の区域内の土地を当該活性化計画に定める活性化施設の用に供するため、農地法その他の法律の規定による許可その他の処分を求められたときは、当該活性化施設の設置の促進が図られるよう適切な配慮をするものとする。
第14条 国は、活性化計画の実施を促進するため、国有林野の活用について適切な配慮をするものとする。
2 活性化計画を作成した都道府県又は市町村は、当該活性化計画の達成のため必要があるときは、関係森林管理局長に対し、技術的援助その他の必要な協力を求めることができる。
第15条 第7条第6項の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第2条第9項第1号に規定する第1号法定受託事務とする。
第1条 この法律は、公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
第2条 政府は、この法律の施行後7年以内に、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
第1条 この法律は、公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
第1条 この法律は、公布の日から施行する。
第4条 この法律の施行の日が地方自治法の一部を改正する法律の施行の日前である場合には、同法附則第49条のうち農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律第5条第9項の改正規定中「第5条第9項」とあるのは、「第5条第10項」とする。
第82条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
第1条 この法律は、平成28年4月1日から施行する。
第1条 この法律は、平成28年4月1日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 附則第28条、第29条第1項及び第3項、第30条から第40条まで、第47条(都道府県農業会議及び全国農業会議所の役員に係る部分に限る。)、第50条、第109条並びに第115条の規定 公布の日(以下「公布日」という。)
第98条 施行日前にされた前条の規定による改正前の農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律(次項において「旧農山漁村活性化法」という。)第7条第1項の決定は、前条の規定による改正後の農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律(次項において「新農山漁村活性化法」という。)第7条第1項の決定とみなす。
2 前項の場合において、旧農山漁村活性化法第7条第5項の規定により都道府県農業会議が意見を述べていない場合であって、新農山漁村活性化法第7条第2項第2号に規定する土地の全部又は一部が新農山漁村活性化法第2条第3項第1号に規定する農用地(当該農用地に係る新農山漁村活性化法第5条第8項に規定する所有権の移転等の内容が新農地法第5条第1項本文に規定する場合に該当するものに限る。以下この項において同じ。)である所有権移転等促進計画に係る農用地の全部又は一部が三十アールを超える農地であるときは、都道府県知事は、都道府県機構の意見を聴かなければならない。ただし、新農業委員会法第42条第1項の規定による都道府県知事の指定がされていない場合は、この限りでない。
第115条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
第1条 この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次条の規定は、公布の日から施行する。
第19条 農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律(平成19年法律第48号)の一部を次のように改正する。