高等学校等就学支援金の支給に関する法律
第1章 総則
第1条 この法律は、高等学校等の生徒等がその授業料に充てるために高等学校等就学支援金の支給を受けることができることとすることにより、高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図り、もって教育の機会均等に寄与することを目的とする。
第2条 この法律において「高等学校等」とは、次に掲げるものをいう。
一 高等学校(専攻科及び別科を除く。以下同じ。)
二 中等教育学校の後期課程(専攻科及び別科を除く。次条第3項及び第5条第3項において同じ。)
三 特別支援学校の高等部
四 高等専門学校(第一学年から第三学年までに限る。)
五 専修学校及び各種学校(これらのうち高等学校の課程に類する課程を置くものとして文部科学省令で定めるものに限り、学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校以外の教育施設で学校教育に類する教育を行うもののうち当該教育を行うにつき同法以外の法律に特別の規定があるものであって、高等学校の課程に類する課程を置くものとして文部科学省令で定めるもの(第4条及び第6条第1項において「特定教育施設」という。)を含む。)
第2章 高等学校等就学支援金の支給
第3条 高等学校等就学支援金(以下「就学支援金」という。)は、高等学校等に在学する生徒又は学生で日本国内に住所を有する者に対し、当該高等学校等(その者が同時に二以上の高等学校等の課程に在学するときは、これらのうちいずれか一の高等学校等の課程)における就学について支給する。
2 就学支援金は、前項に規定する者が次の各号のいずれかに該当するときは、支給しない。
一 高等学校等(修業年限が3年未満のものを除く。)を卒業し又は修了した者
二 前号に掲げる者のほか、高等学校等に在学した期間が通算して36月を超える者
三 前二号に掲げる者のほか、前項に規定する者の保護者(学校教育法第16条に規定する保護者をいう。)その他の同項に規定する者の就学に要する経費を負担すべき者として政令で定める者(以下「保護者等」という。)の収入の状況に照らして、就学支援金の支給により当該保護者等の経済的負担を軽減する必要があるとは認められない者として政令で定める者
3 前項第2号の期間は、その初日において高等学校等に在学していた月を1月(その初日において高等学校又は中等教育学校の後期課程の定時制の課程又は通信制の課程のみに在学していた月その他の政令で定める月にあっては、1月を超えない範囲内で政令で定める月数)として計算する。
第4条 前条第1項に規定する者(同条第2項各号のいずれかに該当する者を除く。)は、就学支援金の支給を受けようとするときは、文部科学省令で定めるところにより、その在学する高等学校等(その者が同時に二以上の高等学校等の課程に在学するときは、その選択した一の高等学校等の課程)の設置者を通じて、当該高等学校等の所在地の都道府県知事(当該高等学校等が地方公共団体の設置するものである場合(当該高等学校等が特定教育施設である場合を除く。)にあっては、都道府県教育委員会)に対し、当該高等学校等における就学について就学支援金の支給を受ける資格を有することについての認定を申請し、その認定を受けなければならない。
第5条 就学支援金は、前条の認定を受けた者(以下「受給権者」という。)がその初日において当該認定に係る高等学校等(以下「支給対象高等学校等」という。)に在学する月について、月を単位として支給されるものとし、その額は、1月につき、支給対象高等学校等の授業料の月額(授業料の額が年額その他月額以外の方法により定められている場合にあっては、授業料の月額に相当するものとして文部科学省令で定めるところにより算定した額をいい、受給権者が授業料の減免を受けた場合にあっては、文部科学省令で定めるところにより当該授業料の月額から当該減免に係る額を控除した額をいう。)に相当する額(その額が支給対象高等学校等の設置者、種類及び課程の区分に応じて政令で定める額(以下この項において「支給限度額」という。)を超える場合にあっては、支給限度額)とする。
2 支給対象高等学校等が政令で定める高等学校等である受給権者であって、その保護者等の収入の状況に照らして特に当該保護者等の経済的負担を軽減する必要があるものとして政令で定めるものに対して支給される就学支援金に係る前項の規定の適用については、同項中「定める額」とあるのは、「定める額に政令で定める額を加えた額」とする。
3 第1項の支給限度額は、地方公共団体の設置する高等学校、中等教育学校の後期課程及び特別支援学校の高等部の授業料の月額その他の事情を勘案して定めるものとする。
第6条 都道府県知事(支給対象高等学校等が地方公共団体の設置するものである場合(支給対象高等学校等が特定教育施設である場合を除く。)にあっては、都道府県教育委員会。以下同じ。)は、受給権者に対し、就学支援金を支給する。
2 就学支援金の支給は、受給権者が第4条の認定の申請をした日(当該申請が支給対象高等学校等の設置者に到達した日(次項において「申請日」という。)をいう。)の属する月(受給権者がその月の初日において当該支給対象高等学校等に在学していないとき、受給権者がその月について当該支給対象高等学校等以外の高等学校等を支給対象高等学校等とする就学支援金の支給を受けることができるときその他政令で定めるときは、その翌月)から始め、当該就学支援金を支給すべき事由が消滅した日の属する月で終わる。
3 受給権者がやむを得ない理由により第4条の認定の申請をすることができなかった場合において、やむを得ない理由がやんだ後15日以内にその申請をしたとき(当該申請が支給対象高等学校等の設置者に到達したときをいう。)は、やむを得ない理由により当該認定の申請をすることができなくなった日を申請日とみなして、前項の規定を適用する。
4 前三項に定めるもののほか、就学支援金の支払の時期その他就学支援金の支給に関し必要な事項は、文部科学省令で定める。
第7条 支給対象高等学校等の設置者は、受給権者に代わって就学支援金を受領し、その有する当該受給権者の授業料に係る債権の弁済に充てるものとする。
第8条 就学支援金は、受給権者が支給対象高等学校等を休学した場合その他の政令で定める場合において、受給権者が、文部科学省令で定めるところにより、支給対象高等学校等の設置者を通じて、都道府県知事に申し出たときは、政令で定めるところにより、その支給を停止する。
2 前項の規定により当該月に係る就学支援金の支給が停止された月は、第3条第3項の規定による同条第2項第2号の期間の計算については、その初日において高等学校等に在学していた月には該当しないものとみなす。
第9条 受給権者が、正当な理由がなく第17条の規定による届出をしないときは、就学支援金の支払を一時差し止めることができる。
第10条 就学支援金を支給すべきでないにもかかわらず、就学支援金の支給としての支払が行われたときは、その支払は、その後に支払うべき就学支援金の内払とみなすことができる。就学支援金として支給すべき額を超える額の就学支援金の支給としての支払が行われた場合における当該超過額の支払についても、同様とする。
第11条 偽りその他不正の手段により就学支援金の支給を受けた者があるときは、都道府県知事は、国税徴収の例により、その者から、その支給を受けた就学支援金の額に相当する金額の全部又は一部を徴収することができる。
2 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
第12条 就学支援金の支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。
第13条 租税その他の公課は、就学支援金として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。
第14条 国の設置する高等学校等における就学について支給される就学支援金に係る第4条、第6条第1項から第3項まで、第7条、第8条第1項及び第11条第1項の規定の適用については、第4条中「設置者を」とあるのは「長を」と、「当該高等学校等の所在地の都道府県知事(当該高等学校等が地方公共団体の設置するものである場合(当該高等学校等が特定教育施設である場合を除く。)にあっては、都道府県教育委員会)」とあるのは「文部科学大臣」と、第6条第1項中「都道府県知事(支給対象高等学校等が地方公共団体の設置するものである場合(支給対象高等学校等が特定教育施設である場合を除く。)にあっては、都道府県教育委員会。以下同じ。)」とあるのは「文部科学大臣」と、同条第2項及び第3項中「設置者に」とあるのは「長に」と、第7条中「支給対象高等学校等の設置者」とあるのは「文部科学大臣」と、「代わって就学支援金を受領し、その有する」とあるのは「支給すべき就学支援金を国の有する」と、「充てるものとする」とあるのは「充てるものとする。この場合においては、当該受給権者に対し、就学支援金の支給があったものとみなす」と、第8条第1項中「設置者を」とあるのは「長を」と、「都道府県知事」とあるのは「文部科学大臣」と、第11条第1項中「都道府県知事」とあるのは「文部科学大臣」とする。
2 独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第1項に規定する独立行政法人又は国立大学法人法(平成15年法律第112号)第2条第1項に規定する国立大学法人の設置する高等学校等における就学について支給される就学支援金に係る第4条、第6条第1項、第8条第1項及び第11条第1項の規定の適用については、第4条中「当該高等学校等の所在地の都道府県知事(当該高等学校等が地方公共団体の設置するものである場合(当該高等学校等が特定教育施設である場合を除く。)にあっては、都道府県教育委員会)」とあり、第6条第1項中「都道府県知事(支給対象高等学校等が地方公共団体の設置するものである場合(支給対象高等学校等が特定教育施設である場合を除く。)にあっては、都道府県教育委員会。以下同じ。)」とあり、並びに第8条第1項及び第11条第1項中「都道府県知事」とあるのは、「文部科学大臣」とする。
3 都道府県の設置する高等学校等における就学について支給される就学支援金に係る第4条、第7条及び第8条第1項の規定の適用については、第4条中「設置者を通じて、当該高等学校等の所在地の都道府県知事(当該高等学校等が地方公共団体の設置するものである場合(当該高等学校等が特定教育施設である場合を除く。)にあっては、都道府県教育委員会」とあるのは「設置者である都道府県の知事(当該高等学校等が特定教育施設でない場合にあっては、教育委員会」と、第7条中「支給対象高等学校等の設置者」とあるのは「都道府県知事」と、「代わって就学支援金を受領し、その有する」とあるのは「支給すべき就学支援金を当該都道府県の」と、「充てるものとする」とあるのは「充てるものとする。この場合においては、当該受給権者に対し、就学支援金の支給があったものとみなす」と、同項中「支給対象高等学校等の設置者を通じて、都道府県知事」とあるのは「都道府県知事」とする。
第15条 国は、就学支援金の支給に要する費用の全額に相当する金額を都道府県に交付する。
2 国は、毎年度、予算の範囲内で、就学支援金に関する事務の執行に要する費用に相当する金額を都道府県に交付する。
第3章 雑則
第16条 削除
第17条 受給権者は、文部科学省令で定めるところにより、都道府県知事(第14条第1項又は第2項に規定する就学支援金に係る場合にあっては、文部科学大臣。次条第1項において同じ。)に対し、保護者等の収入の状況に関する事項として文部科学省令で定める事項を届け出なければならない。
第18条 都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、受給権者、その保護者等若しくは支給対象高等学校等の設置者(国及び都道府県を除く。)若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であった者に対し、報告若しくは文書その他の物件の提出若しくは提示を命じ、又は当該職員に質問させることができる。
2 前項の規定による質問を行う場合においては、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3 第1項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第19条 第4条(第14条第3項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)、第6条第1項、第8条第1項(第14条第3項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)、第11条第1項、第17条及び前条第1項の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第2条第9項第1号に規定する第1号法定受託事務とする。
第20条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、文部科学省令で定める。
第21条 偽りその他不正の手段により就学支援金の支給をさせた者は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。ただし、刑法(明治40年法律第45号)に正条があるときは、同法による。
2 第18条第1項の規定による命令に違反して、報告若しくは物件の提出若しくは提示をせず、若しくは虚偽の報告若しくは虚偽の物件の提出若しくは提示をし、又は同項の規定による当該職員の質問に対して、答弁せず、若しくは虚偽の答弁をした者は、30万円以下の罰金に処する。
3 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、当該各項の罰金刑を科する。
1 この法律は、平成22年4月1日から施行する。
2 政府は、この法律の施行後3年を経過した場合において、この法律の施行の状況を勘案し、この法律の規定について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に応じて所要の見直しを行うものとする。
第1条 この法律は、平成26年4月1日から施行する。
第2条 平成26年3月分以前の月分の高等学校等就学支援金の支給については、なお従前の例による。
2 この法律の施行の日前から引き続き高等学校等(この法律による改正前の公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律(次項において「旧法」という。)第2条第1項に規定する高等学校等をいう。)に在学する者に係るこの法律の施行の日以後の公立高等学校(同条第2項に規定する公立高等学校をいう。)に係る授業料の徴収及び高等学校等就学支援金の支給については、なお従前の例による。
3 前項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における旧法第3条第2項の交付金の交付については、なお従前の例による。
第1条 この法律は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)の施行の日から施行する。
第5条 行政庁の処分その他の行為又は不作為についての不服申立てであってこの法律の施行前にされた行政庁の処分その他の行為又はこの法律の施行前にされた申請に係る行政庁の不作為に係るものについては、この附則に特別の定めがある場合を除き、なお従前の例による。
第6条 この法律による改正前の法律の規定により不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の行為を経た後でなければ訴えを提起できないこととされる事項であって、当該不服申立てを提起しないでこの法律の施行前にこれを提起すべき期間を経過したもの(当該不服申立てが他の不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の行為を経た後でなければ提起できないとされる場合にあっては、当該他の不服申立てを提起しないでこの法律の施行前にこれを提起すべき期間を経過したものを含む。)の訴えの提起については、なお従前の例による。
2 この法律の規定による改正前の法律の規定(前条の規定によりなお従前の例によることとされる場合を含む。)により異議申立てが提起された処分その他の行為であって、この法律の規定による改正後の法律の規定により審査請求に対する裁決を経た後でなければ取消しの訴えを提起することができないこととされるものの取消しの訴えの提起については、なお従前の例による。
3 不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の行為の取消しの訴えであって、この法律の施行前に提起されたものについては、なお従前の例による。
第9条 この法律の施行前にした行為並びに附則第5条及び前二条の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第10条 附則第5条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。