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大都市地域における特別区の設置に関する法律

平成24年法律第80号
最終改正:平成26年5月30日法律第42号
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(目的)

第1条 この法律は、道府県の区域内において関係市町村を廃止し、特別区を設けるための手続並びに特別区と道府県の事務の分担並びに税源の配分及び財政の調整に関する意見の申出に係る措置について定めることにより、地域の実情に応じた大都市制度の特例を設けることを目的とする。


(定義)

第2条 この法律において「関係市町村」とは、人口(地方自治法(昭和22年法律第67号)第254条に規定する人口によるものとする。以下この項において同じ。)200万以上の指定都市(同法第252条の19第1項の指定都市をいう。以下同じ。)又は一の指定都市及び当該指定都市に隣接する同一道府県の区域内の一以上の市町村(当該市町村が指定都市である場合にあっては、当該指定都市に隣接する同一道府県の区域内のものを含む。)であって、その総人口が200万以上のものをいう。

 この法律において「関係道府県」とは、関係市町村を包括する道府県をいう。

 この法律(第12条及び第13条を除く。)において「特別区の設置」とは、関係市町村を廃止し、当該関係市町村の区域の全部を分けて定める区域をその区域として、特別区を設けることをいう。


(道府県の区域内における特別区の設置の特例)

第3条 地方自治法第281条第1項の規定にかかわらず、総務大臣は、この法律の定めるところにより、道府県の区域内において、特別区の設置を行うことができる。


(特別区設置協議会の設置)

第4条 特別区の設置を申請しようとする関係市町村及び関係道府県は、地方自治法第252条の2の2第1項の規定により、特別区の設置に関する協定書(以下「特別区設置協定書」という。)の作成その他特別区の設置に関する協議を行う協議会(以下「特別区設置協議会」という。)を置くものとする。

 特別区設置協議会の会長及び委員は、地方自治法第252条の3第2項の規定にかかわらず、規約の定めるところにより、関係市町村若しくは関係道府県の議会の議員若しくは長その他の職員又は学識経験を有する者の中から、これを選任する。


(特別区設置協定書の作成)

第5条 特別区設置協定書は、次に掲げる事項について、作成するものとする。

 特別区の設置の日

 特別区の名称及び区域

 特別区の設置に伴う財産処分に関する事項

 特別区の議会の議員の定数

 特別区とこれを包括する道府県の事務の分担に関する事項

 特別区とこれを包括する道府県の税源の配分及び財政の調整に関する事項

 関係市町村及び関係道府県の職員の移管に関する事項

 前各号に掲げるもののほか、特別区の設置に関し必要な事項

 関係市町村の長及び関係道府県の知事は、特別区設置協議会が特別区設置協定書に前項第5号及び第6号に掲げる事項のうち政府が法制上の措置その他の措置を講ずる必要があるものを記載しようとするときは、共同して、あらかじめ総務大臣に協議しなければならない。

 前項の規定による協議の申出があったときは、総務大臣並びに関係市町村の長及び関係道府県の知事は、誠実に協議を行うとともに、速やかに当該協議が調うよう努めなければならない。

 特別区設置協議会は、特別区設置協定書を作成しようとするときは、あらかじめ、その内容について総務大臣に報告しなければならない。

 総務大臣は、前項の規定による報告を受けたときは、遅滞なく、当該特別区設置協定書の内容について検討し、特別区設置協議会並びに関係市町村の長及び関係道府県の知事に意見を述べるものとする。

 特別区設置協議会は、特別区設置協定書を作成したときは、これを全ての関係市町村の長及び関係道府県の知事に送付しなければならない。


(特別区設置協定書についての議会の承認)

第6条 関係市町村の長及び関係道府県の知事は、前条第6項の規定により特別区設置協定書の送付を受けたときは、同条第5項の意見を添えて、当該特別区設置協定書を速やかにそれぞれの議会に付議して、その承認を求めなければならない。

 関係市町村の長及び関係道府県の知事は、前項の規定による議会の審議の結果を、速やかに、特別区設置協議会並びに他の関係市町村の長及び関係道府県の知事に通知しなければならない。

 特別区設置協議会は、前項の規定により全ての関係市町村の長及び関係道府県の知事から当該関係市町村及び関係道府県の議会が特別区設置協定書を承認した旨の通知を受けたときは、直ちに、全ての関係市町村の長及び関係道府県の知事から同項の規定による通知を受けた日(次条第1項において「基準日」という。)を関係市町村の選挙管理委員会及び総務大臣に通知するとともに、当該特別区設置協定書を公表しなければならない。


(関係市町村における選挙人の投票)

第7条 前条第3項の規定による通知を受けた関係市町村の選挙管理委員会は、基準日から60日以内に、特別区の設置について選挙人の投票に付さなければならない。

 関係市町村の長は、前項の規定による投票に際し、選挙人の理解を促進するよう、特別区設置協定書の内容について分かりやすい説明をしなければならない。

 関係市町村の選挙管理委員会は、第1項の規定による投票に際し、当該関係市町村の議会の議員から申出があったときは、当該投票に関する当該議員の意見を公報に掲載し、選挙人に配布しなければならない。

 前項の場合において、2人以上の議員は、関係市町村の選挙管理委員会に対し、当該議員が共同で表明する意見を掲載するよう申し出ることができる。

 関係市町村の選挙管理委員会は、第1項の規定による投票の結果が判明したときは、直ちにこれを全ての関係市町村の長及び関係道府県の知事に通知するとともに、公表しなければならない。その投票の結果が確定したときも、同様とする。

 政令で特別の定めをするものを除くほか、公職選挙法(昭和25年法律第100号)中普通地方公共団体の選挙に関する規定は、第1項の規定による投票について準用する。

 第1項の規定による投票は、普通地方公共団体の選挙と同時にこれを行うことができる。


(特別区の設置の申請)

第8条 関係市町村及び関係道府県は、全ての関係市町村の前条第1項の規定による投票においてそれぞれその有効投票の総数の過半数の賛成があったときは、共同して、総務大臣に対し、特別区の設置を申請することができる。ただし、指定都市以外の関係市町村にあっては、当該関係市町村に隣接する指定都市が特別区の設置を申請する場合でなければ、当該申請を行うことができない。

 前項の規定による申請は、特別区設置協定書を添えてしなければならない。


(特別区の設置の処分)

第9条 特別区の設置は、前条第1項の規定による申請に基づき、総務大臣がこれを定めることができる。

 前項の規定による処分をしたときは、総務大臣は、直ちにその旨を告示するとともに、これを国の関係行政機関の長に通知しなければならない。

 第1項の規定による処分は、前項の規定による告示によりその効力を生ずる。

 関係市町村は、第2項の規定による告示があったときは、直ちに特別区設置協定書に定められた特別区の議会の議員の定数を告示しなければならない。

 前項の規定により告示された特別区の議会の議員の定数は、地方自治法第283条第1項の規定により適用される同法第91条第1項の規定に基づく当該特別区の条例により定められたものとみなす。

 政府は、前条第1項の規定による申請があった場合において、特別区設置協定書の内容を踏まえて新たな措置を講ずる必要があると認めるときは、当該申請があった日から6月を目途に必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。


(特別区を包括する道府県に対する法令の適用)

第10条 特別区を包括する道府県は、地方自治法その他の法令の規定の適用については、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、都とみなす。


(事務の分担等に関する意見の申出に係る措置)

第11条 一の道府県の区域内の全ての特別区及び当該道府県は、共同して、特別区とこれを包括する道府県の事務の分担並びに税源の配分及び財政の調整の在り方に関し、政府に対し意見を申し出ることができる。

 前項の規定による申出については、当該特別区及び道府県の議会の議決を経なければならない。

 政府は、第1項の規定による申出を受けた日から6月を目途に当該意見を踏まえた新たな措置を講ずる必要の有無について判断し、必要があると認めるときは、当該意見の趣旨を尊重し、速やかに必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。


(特別区を包括する道府県における特別区の設置の特例)

第12条 地方自治法第281条の4第8項の規定は、特別区を包括する道府県における特別区の設置については、適用しない。


第13条 特別区を包括する道府県の区域内における当該特別区に隣接する一の市町村の区域の全部による二以上の特別区の設置については、第4条から第9条まで(第8条第1項ただし書を除く。)の規定を準用する。この場合において、第4条第1項中「関係市町村及び関係道府県」とあるのは「特別区に隣接する同一道府県の区域内の市町村(以下「特定市町村」という。)及び当該市町村を包括する道府県(以下「特定道府県」という。)」と、同条第2項中「関係市町村若しくは関係道府県」とあるのは「特定市町村若しくは特定道府県」と、第5条から第9条までの規定中「関係市町村」とあるのは「特定市町村」と、「関係道府県」とあるのは「特定道府県」と読み替えるものとする。

 特別区を包括する道府県の区域内における当該特別区に隣接する一の市町村の区域の全部による一の特別区の設置については、第4条から第6条まで、第8条(第1項ただし書を除く。)及び第9条の規定を準用する。この場合において、第4条第1項中「関係市町村及び関係道府県」とあるのは「特別区に隣接する同一道府県の区域内の市町村(以下「特定市町村」という。)及び当該市町村を包括する道府県(以下「特定道府県」という。)」と、同条第2項、第5条並びに第6条第1項及び第2項中「関係市町村」とあるのは「特定市町村」と、「関係道府県」とあるのは「特定道府県」と、同条第3項中「関係市町村の長及び関係道府県の知事」とあるのは「特定市町村の長及び特定道府県の知事」と、「関係市町村及び関係道府県」とあるのは「特定市町村及び特定道府県」と、「関係市町村の選挙管理委員会及び総務大臣」とあるのは「総務大臣」と、第8条第1項中「関係市町村及び関係道府県」とあるのは「特定市町村及び特定道府県」と、「全ての関係市町村の前条第1項の規定による投票においてそれぞれその有効投票の総数の過半数の賛成があったとき」とあるのは「当該特定市町村及び特定道府県の議会が特別区設置協定書を承認したとき」と、第9条第4項中「関係市町村」とあるのは「特定市町村」と読み替えるものとする。


(政令への委任)

第14条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

附 則
(施行期日)

第1条 この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

附 則(平成26年5月30日法律第42号)
(施行期日)

第1条 この法律は、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 目次の改正規定(次号に掲げる部分を除く。)、第251条及び第2編第11章第2節第4款の款名の改正規定、第251条の3の次に一条を加える改正規定、第251条の4の改正規定、第2編第11章第3節第4款を同節第6款とする改正規定、第252条の14及び第252条の16の改正規定、第2編第11章第3節第3款を同節第4款とし、同款の次に一款を加える改正規定、第252条の7第3項及び第252条の7の2の改正規定、第2編第11章第3節第2款を同節第3款とする改正規定、第252条の2を第252条の2の2とする改正規定、第252条の6及び第252条の6の2の改正規定並びに第2編第11章第3節第1款を同節第2款とし、同款の前に一款を加える改正規定並びに附則第4条、第9条、第14条、第22条、第56条及び第70条(市町村の合併の特例に関する法律(平成16年法律第59号)第3条第1項、第4条第2項及び第5条第6項の改正規定に限る。)の規定 公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日