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特定複合観光施設区域整備法

平成30年法律第80号
最終改正:令和元年5月31日法律第16号
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第1章 総則

(目的)

第1条 この法律は、我が国における人口の減少、国際的な交流の増大その他の我が国を取り巻く経済社会情勢の変化に対応して我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展を図るためには、国内外からの観光旅客の来訪及び滞在を促進することが一層重要となっていることに鑑み、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(平成28年法律第115号。以下「推進法」という。)第5条の規定に基づく法制上の措置として、適切な国の監視及び管理の下で運営される健全なカジノ事業の収益を活用して地域の創意工夫及び民間の活力を生かした特定複合観光施設区域の整備を推進することにより、我が国において国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現するため、特定複合観光施設区域に関し、国土交通大臣による基本方針の作成、都道府県等による区域整備計画の作成、国土交通大臣による当該区域整備計画の認定等の制度を定めるほか、カジノ事業の免許その他のカジノ事業者の業務に関する規制措置、カジノ施設への入場等の制限及び入場料等に関する事項、カジノ事業者が納付すべき国庫納付金等に関する事項、カジノ事業等を監督するカジノ管理委員会の設置、その任務及び所掌事務等に関する事項その他必要な事項を定め、もって観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資することを目的とする。


(定義)

第2条 この法律において「特定複合観光施設」とは、カジノ施設と第1号から第5号までに掲げる施設から構成される一群の施設(これらと一体的に設置され、及び運営される第6号に掲げる施設を含む。)であって、民間事業者により一体として設置され、及び運営されるものをいう。

 国際会議の誘致を促進し、及びその開催の円滑化に資する国際会議場施設であって、政令で定める基準に適合するもの

 国際的な規模の展示会、見本市その他の催しの開催の円滑化に資する展示施設、見本市場施設その他の催しを開催するための施設であって、政令で定める基準に適合するもの

 我が国の伝統、文化、芸術等を生かした公演その他の活動を行うことにより、我が国の観光の魅力の増進に資する施設であって、政令で定めるもの

 我が国における各地域の観光の魅力に関する情報を適切に提供し、併せて各地域への観光旅行に必要な運送、宿泊その他のサービスの手配を一元的に行うことにより、国内における観光旅行の促進に資する施設であって、政令で定める基準に適合するもの

 利用者の需要の高度化及び多様化に対応した宿泊施設であって、政令で定める基準に適合するもの

 前各号に掲げるもののほか、国内外からの観光旅客の来訪及び滞在の促進に寄与する施設

 この法律において「特定複合観光施設区域」とは、一の特定複合観光施設を設置する一団の土地の区域として、当該特定複合観光施設を設置し、及び運営する民間事業者(施設供用事業が行われる場合には、当該施設供用事業を行う民間事業者を含む。)により当該区域が一体的に管理されるものであって、第9条第11項の認定を受けた同条第1項に規定する区域整備計画(第11条第1項の規定による変更の認定があったときは、その変更後のもの。以下「認定区域整備計画」という。)に記載された区域をいう。

 この法律において「設置運営事業」とは、次に掲げる事業をいう。

 特定複合観光施設を設置し、及び運営する事業

 前号に掲げる事業に附帯する事業

 この法律において「設置運営事業者」とは、設置運営事業を行う民間事業者をいう。

 この法律において「施設供用事業」とは、特定複合観光施設を構成する一群の施設の整備(新設、改修又は増設をいう。)を一体的に行う業務並びに設置運営事業者との契約に基づき当該特定複合観光施設をその用途に応じて管理し及び当該設置運営事業者に専ら使用させる業務並びにこれらに附帯する業務を行う事業をいう。

 この法律において「施設供用事業者」とは、施設供用事業を行う民間事業者をいう。

 この法律において「カジノ行為」とは、カジノ事業者と顧客との間又は顧客相互間で、同一の施設において、その場所に設置された機器又は用具を用いて、偶然の事情により金銭の得喪を争う行為であって、海外において行われているこれに相当する行為の実施の状況を勘案して、カジノ事業の健全な運営に対する国民の信頼を確保し、及びその理解を得る観点から我が国においても行われることが社会通念上相当と認められるものとしてその種類及び方法をカジノ管理委員会規則で定めるものをいう。

 この法律において「カジノ事業」とは、次に掲げる業務(以下「カジノ業務」という。)を行う事業をいう。

 カジノ施設におけるカジノ行為を顧客との間で行い、又は顧客相互間で行わせることに係る業務(以下「カジノ行為業務」という。)

 カジノ行為を行う顧客の依頼を受けて当該顧客の金銭について行う次に掲げる業務(第3章において「特定金融業務」という。)

 銀行その他のカジノ管理委員会規則で定める金融機関を介し、カジノ事業者の管理する当該顧客の口座と当該顧客の指定する預貯金口座との間で当該顧客の金銭の移動に係る為替取引を行う業務(第3章第2節第4款において「特定資金移動業務」という。)

 当該顧客の金銭を受け入れる業務(第84条において「特定資金受入業務」という。)

 当該顧客に金銭を貸し付ける業務(第3章第2節において「特定資金貸付業務」という。)

 金銭の両替を行う業務

 前二号に掲げる業務に附帯する業務

 この法律において「カジノ事業者」とは、第9条第11項の認定(第11条第1項の規定による変更の認定を含む。以下「区域整備計画の認定」という。)を受けた設置運営事業者(以下「認定設置運営事業者」という。)であって、第39条の免許を受けてカジノ事業を行うものをいう。

10 この法律において「カジノ施設」とは、特定複合観光施設区域に設置する施設であって、カジノ事業者がカジノ行為業務を行うための次に掲げる区画により構成されるものをいう。

 主としてカジノ行為を顧客との間で行い、又は顧客相互間で行わせるための区画(以下「カジノ行為区画」という。)

 第70条第1項の確認(次号において「本人確認」という。)をするための区画(第3章において「本人確認区画」という。)

 カジノ事業者がカジノ行為業務又は本人確認に係る業務に附帯する監視、警備その他の業務を行うための区画

11 この法律において「カジノ行為区画内関連業務」とは、顧客の利便性の向上を図るためカジノ行為区画において顧客に対して行う次に掲げる業務及びこれらに附帯する業務をいう。

 設備を設けて飲食物の提供をする業務であって、次のイ又はロのいずれにも該当しないもの

 顧客の接待(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号。第91条第9項において「風俗営業適正化法」という。)第2条第3項に規定する接待をいう。)を伴うもの

 他から見通すことが困難であって、その広さが五平方メートル以下である客席を設けて行うもの

 歌謡ショーその他の興行をする業務(顧客がカジノ行為を行いながら鑑賞することができるもの又は前号に掲げる業務に伴って行われるものに限る。)であって、同号イ又はロのいずれにも該当しないもの

 物品の給付をする業務(第1号に掲げる業務を除く。)

12 この法律において「認可主要株主等」とは、会社(当該会社が持株会社(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)第9条第4項第1号に規定する持株会社をいう。以下この項及び第40条第1項第7号において同じ。)の子会社(持株会社がその総株主又は総出資者の議決権(株式会社にあっては、株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式についての議決権を除き、会社法(平成17年法律第86号)第879条第3項の規定により議決権を有するものとみなされる株式についての議決権を含む。以下同じ。)の過半数を保有する他の会社をいう。この場合において、持株会社及びその一若しくは二以上の子会社又は当該持株会社の一若しくは二以上の子会社がその総株主又は総出資者の議決権の過半数を保有する他の会社は、当該持株会社の子会社とみなす。第40条第1項第7号において同じ。)であるときは、当該持株会社を含む。)の主要株主等基準値(次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める基準値をいう。以下同じ。)以上の数の議決権又は株式若しくは持分(以下「議決権等」という。)の保有者(他人(仮設人を含む。)の名義をもって保有する者を含み、国、地方公共団体その他これらに準ずるものとしてカジノ管理委員会規則で定める法人を除き、法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、これを当該法人でない社団又は財団の名義をもって保有される議決権等の保有者とみなす。以下同じ。)であって、第58条第1項若しくは第4項ただし書(これらの規定を第131条及び第164条において準用する場合を含む。)の認可を受けているもの又は第58条第1項(第131条及び第164条において準用する場合を含む。)の認可を受けて設立されるものをいう。この場合において、持株会社が保有する議決権又は議決権等の保有者が保有する議決権等には、金銭又は有価証券の信託に係る信託財産として所有する議決権等(委託者又は受益者が行使し、又はその行使について当該持株会社若しくは当該議決権等の保有者に指図を行うことができるものに限る。)その他カジノ管理委員会規則で定める議決権等を含まないものとし、信託財産である議決権等で、当該持株会社又は当該議決権等の保有者が委託者若しくは受益者として行使し、又はその行使について指図を行うことができるもの(カジノ管理委員会規則で定める議決権等を除く。)及び社債、株式等の振替に関する法律(平成13年法律第75号)第147条第1項又は第148条第1項の規定により発行者に対抗することができない株式又はこれに係る議決権を含むものとし、一の者と株式又は持分の所有関係、親族関係その他カジノ管理委員会規則で定める特別の関係にある者が議決権等の保有者であるときは、当該特別の関係にある者が保有する当該議決権等は、当該一の者がこれを保有しているものとみなす。

 議決権 総株主又は総出資者の議決権の百分の五

 株式又は持分 発行済株式(当該会社の有する自己の株式を除く。)又は出資の総数又は総額の百分の五

13 この法律において「カジノ行為関連景品類」とは、次に掲げるものをいう。

 顧客をカジノ行為に誘引するための手段として、カジノ事業者がカジノ行為に付随して相手方に提供する物品、金銭、役務その他の経済上の利益

 顧客をカジノ行為に誘引するための手段として、カジノ事業者その他の事業者が商品の販売、役務の提供その他の取引に付随して相手方に提供する金銭その他の経済上の利益であって、第73条第6項に規定するチップと交換することができるもの(前号に掲げるものを除く。)

14 この法律において「カジノ施設供用事業」とは、カジノ事業者との契約に基づきカジノ施設をその用途に応じて管理し及び当該カジノ事業者に専ら使用させる業務並びにこれに附帯する業務(以下「カジノ施設供用業務」という。)を行う事業をいう。

15 この法律において「カジノ施設供用事業者」とは、区域整備計画の認定を受けた施設供用事業者(以下「認定施設供用事業者」という。)であって、第124条の免許を受けてカジノ施設供用事業を行うものをいう。

16 この法律において「認可施設土地権利者」とは、特定複合観光施設区域の土地に関する所有権若しくは地上権その他カジノ管理委員会規則で定める使用及び収益を目的とする権利又はこれらの権利の取得を目的とする権利(第40条第1項第11号及び第5章において「施設土地に関する権利」という。)を保有する者(国、地方公共団体及び第10条第2項に規定する認定設置運営事業者等を除く。以下「施設土地権利者」という。)であって、第136条第1項若しくは第5項ただし書の認可を受けているもの又は同条第1項の認可を受けて設立されるものをいう。

17 この法律において「カジノ関連機器等」とは、専らカジノ行為業務において使用されるように設計された機器等(機器若しくは用具又はプログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。次項第2号において同じ。)若しくはこれを記録した記録媒体をいう。以下同じ。)であって、カジノ行為の結果、当該結果に基づく金銭の支払若しくはカジノ行為業務に関する会計事務又はこれらを監視する業務に関連するものとしてその種別、用途及び機能をカジノ管理委員会規則で定めるものをいう。

18 この法律において「電磁的カジノ関連機器等」とは、カジノ関連機器等のうち、次に掲げるものをいう。

 電子的方法、磁気的方法その他人の知覚によって認識することができない方法を利用した機器又は用具

 プログラム又はこれを記録した記録媒体

19 この法律において「非電磁的カジノ関連機器等」とは、電磁的カジノ関連機器等以外のカジノ関連機器等をいう。


(国の責務)

第3条 国は、推進法第3条の基本理念(次条において「基本理念」という。)にのっとり、我が国において国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現するため、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する施策(特定複合観光施設区域の周辺地域の開発及び整備、交通環境の改善その他の特定複合観光施設区域の整備に伴い必要となる関連する施策を含む。次条及び次章第1節において同じ。)を策定し、及び実施するとともに、犯罪の発生の予防、善良の風俗及び清浄な風俗環境の保持、青少年の健全育成、カジノ施設に入場した者がカジノ施設を利用したことに伴い受ける悪影響の防止並びにこれらの実施のために必要な体制の整備その他のカジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うために必要な施策を策定し、及び実施する責務を有する。


(地方公共団体の責務)

第4条 特定複合観光施設区域の整備に関係する地方公共団体は、基本理念にのっとり、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する施策並びにカジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うために必要な施策に関し、国との適切な役割分担の下、地方公共団体が実施すべき施策として、その地方公共団体の区域の実情に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

第2章 特定複合観光施設区域

第1節 区域整備計画の認定等

(基本方針)

第5条 国土交通大臣は、特定複合観光施設区域の整備のための基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。

 基本方針には、次に掲げる事項を定めるものとする。

 特定複合観光施設区域の整備の意義及び目標に関する事項

 特定複合観光施設区域の整備の推進に関する施策に関する基本的な事項

 設置運営事業等(設置運営事業又は、施設供用事業が行われる場合には設置運営事業及び施設供用事業をいう。以下この章において同じ。)及び設置運営事業者等(設置運営事業者又は、施設供用事業が行われる場合には設置運営事業者及び施設供用事業者をいう。以下この節において同じ。)に関する基本的な事項

 区域整備計画の認定に関する基本的な事項

 前各号に掲げるもののほか、カジノ事業の収益を活用して地域の創意工夫及び民間の活力を生かした特定複合観光施設区域の整備を推進することにより我が国において国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現するための施策に関する基本的な事項

 カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うために必要な施策に関する基本的な事項

 国土交通大臣は、基本方針を定めようとするときは、関係行政機関の長に協議するとともに、特定複合観光施設区域整備推進本部の決定を経なければならない。

 国土交通大臣は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

 前二項の規定は、基本方針の変更について準用する。


(実施方針)

第6条 都道府県等(都道府県又は指定都市(地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項に規定する指定都市をいい、当該指定都市の区域に特定複合観光施設区域を整備しようとする区域の全部を包含するものに限る。)をいう。以下この節において同じ。)は、特定複合観光施設区域を整備しようとするときは、第8条第1項の規定による選定に先立ち、基本方針に即して、当該特定複合観光施設区域の整備の実施に関する方針(以下この節において「実施方針」という。)を定めなければならない。

 実施方針には、次に掲げる事項を定めるものとする。

 当該特定複合観光施設区域の整備の意義及び目標に関する事項

 当該特定複合観光施設区域を整備しようとする区域の位置及び規模に関する事項

 当該特定複合観光施設を構成する施設の種類、機能及び規模に関する事項並びに設置運営事業等に関する事項

 設置運営事業等を行おうとする民間事業者の募集及び選定に関する事項

 設置運営事業等の円滑かつ確実な実施の確保に関する事項

 カジノ事業の収益を活用して地域の創意工夫及び民間の活力を生かした当該特定複合観光施設区域の整備を推進することにより我が国において国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現するための施策及び措置に関する事項

 カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うために必要な施策及び措置に関する事項

 前項第5号から第7号までに掲げる事項には、都道府県等が実施する施策及び措置に係るもの(特定複合観光施設区域を整備しようとする区域を管轄する都道府県公安委員会(以下この章において「公安委員会」という。)が実施する施策及び措置に係るものを含む。)を記載するほか、必要に応じ、立地市町村等(当該都道府県等が都道府県であるときは当該特定複合観光施設区域を整備しようとする区域をその区域に含む市町村及び特別区を、当該都道府県等が指定都市であるときは当該特定複合観光施設区域を整備しようとする区域をその区域に含む都道府県をいう。以下この章において同じ。)が実施する施策及び措置に係るもの(公安委員会が実施する施策及び措置に係るものを除く。)を記載することができる。

 都道府県等は、実施方針を定めようとするときは、第12条第1項に規定する協議会が組織されている場合には当該協議会における協議を、同項に規定する協議会が組織されていない場合には立地市町村等及び公安委員会との協議をしなければならない。

 都道府県等は、実施方針に定める次の各号に掲げる事項については、あらかじめ、当該各号に定める者の同意を得なければならない。この場合において、第2号に定める者の同意については、地方自治法第96条第2項の規定の適用を妨げない。

 公安委員会が実施する施策及び措置に係る事項 公安委員会

 立地市町村等が実施する施策及び措置に係る事項(前号に掲げるものを除く。) 立地市町村等

 都道府県等は、実施方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

 前三項の規定は、実施方針の変更について準用する。


(実施方針の策定の提案)

第7条 設置運営事業等を行おうとする民間事業者(当該民間事業者がまだ設立されていないときは、発起人その他の当該民間事業者を設立しようとする者。次項において同じ。)は、都道府県等に対し、実施方針を定めることを提案することができる。この場合において、当該民間事業者は、特定複合観光施設区域を整備しようとする区域の位置及び規模、特定複合観光施設を構成する施設の種類、機能及び規模並びに当該設置運営事業等の概要及びその実施により見込まれる経済的社会的効果に関する事項を記載した書類その他国土交通省令で定める書類を添付しなければならない。

 前項の都道府県等は、同項の規定による提案を踏まえた実施方針を定める必要がないと認めるときは、その旨及びその理由を当該提案をした民間事業者に通知しなければならない。


(民間事業者の選定)

第8条 都道府県等は、実施方針に即して、次条第1項の規定により同項に規定する区域整備計画を共同して作成し国土交通大臣の認定を申請する民間事業者を公募の方法により選定するものとする。

 都道府県等は、前項の規定による選定をしようとするときは、第12条第1項に規定する協議会が組織されている場合には当該協議会における協議を、同項に規定する協議会が組織されていない場合には立地市町村等及び公安委員会との協議をしなければならない。


(区域整備計画の認定)

第9条 都道府県等は、設置運営事業等を行おうとする民間事業者と共同して、基本方針及び実施方針に即して、特定複合観光施設区域の整備に関する計画(以下「区域整備計画」という。)を作成し、国土交通大臣の認定を申請することができる。この場合において、当該民間事業者がまだ設立されていないときは、発起人その他の当該民間事業者を設立しようとする者と区域整備計画を共同して作成し国土交通大臣の認定を申請するものとする。

 区域整備計画には、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を定めるものとする。

 区域整備計画の意義及び目標に関する事項

 特定複合観光施設区域を整備しようとする区域の位置及び規模に関する事項

 設置運営事業者等の名称及び住所並びに代表者の氏名

 特定複合観光施設を構成する施設の種類、機能及び規模に関する事項並びに設置運営事業等及び設置運営事業者等に関する事項その他の設置運営事業等の基本となる事項に関する計画(以下この章において「事業基本計画」という。)

 前各号に掲げるもののほか、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する施策及び措置に関する事項

 前各号に掲げるもののほか、カジノ事業の収益を活用して地域の創意工夫及び民間の活力を生かした特定複合観光施設区域の整備を推進することにより我が国において国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現するための施策及び措置に関する事項

 カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うために必要な施策及び措置に関する事項

 区域整備計画の実施により見込まれる経済的社会的効果に関する事項

 第179条第1項に規定する認定都道府県等入場料納入金の使途に関する事項

 第193条第1項に規定する認定都道府県等納付金の使途(当該認定都道府県等納付金を立地市町村等その他の関係地方公共団体に交付する場合には、その条件を含む。)に関する事項

 前項第5号から第7号までに掲げる事項には、都道府県等が実施する施策及び措置に係るもの(公安委員会が実施する施策及び措置に係るものを含む。)を記載するほか、必要に応じ、立地市町村等が実施する施策及び措置に係るもの(公安委員会が実施する施策及び措置に係るものを除く。)を記載することができる。

 事業基本計画は、設置運営事業等を行おうとする民間事業者が作成する案に基づいて作成するものとする。

 都道府県等は、区域整備計画を作成しようとするときは、第12条第1項に規定する協議会が組織されている場合には当該協議会における協議を、同項に規定する協議会が組織されていない場合には立地市町村等及び公安委員会との協議をしなければならない。

 都道府県等は、区域整備計画に定める次の各号に掲げる事項については、あらかじめ、当該各号に定める者の同意を得なければならない。この場合において、第2号に定める者の同意については、地方自治法第96条第2項の規定の適用を妨げない。

 公安委員会が実施する施策及び措置に係る事項 公安委員会

 立地市町村等が実施する施策及び措置に係る事項(前号に掲げるものを除く。) 立地市町村等

 都道府県等は、区域整備計画を作成しようとするときは、公聴会の開催その他の住民の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。

 都道府県等は、第1項の規定による申請をしようとするときは、その議会の議決を経なければならない。

 前項の場合において、当該都道府県等が都道府県であるときは、当該都道府県は、あらかじめ、当該特定複合観光施設区域を整備しようとする区域をその区域に含む市町村及び特別区の同意を得なければならない。この場合において、当該同意については、地方自治法第96条第2項の規定の適用を妨げない。

10 第1項の規定による申請は、基本方針の公表後の政令で定める期間内にしなければならない。

11 国土交通大臣は、第1項の規定による申請があった場合において、その区域整備計画が次に掲げる基準に適合すると認めるときは、その認定をすることができる。

 基本方針に適合するものであること。

 国内外の主要都市との交通の利便性その他の経済的社会的条件からみて、特定複合観光施設区域の整備を推進することが適切と認められる地域であること。

 事業基本計画が次に掲げる基準に適合するものであること。

 カジノ事業の収益が設置運営事業の実施に活用されることにより、設置運営事業が一の設置運営事業者により一体的かつ継続的に行われると認められるものであること。

 施設供用事業が行われる場合には、設置運営事業等が設置運営事業者と施設供用事業者との適切な責任分担及び相互の緊密な連携により行われると認められるものであること。

 設置運営事業者等が会社法に規定する会社であって、専ら設置運営事業(施設供用事業者にあっては、施設供用事業)を行うものとされていること。

 設置運営事業者が特定複合観光施設を所有するものとされていること(施設供用事業が行われる場合には、施設供用事業者が所有する特定複合観光施設を設置運営事業者が使用するものとされていること。)

 設置運営事業者等がカジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うために必要な措置を講ずると認められるものであること。

 イからホまでに掲げるもののほか、設置運営事業等が円滑かつ確実に行われると見込まれること。

 前三号に掲げるもののほか、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する施策及び措置が適切に実施されると認められるものであること。

 国際競争力の高い魅力ある滞在型観光の実現を図ることにより、観光及び地域経済の振興に寄与すると認められるものであること。

 カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うために必要な施策及び措置が実施されると認められるものであること。

 その認定をすることによって、認定区域整備計画の数が三を超えることとならないこと。

12 国土交通大臣は、前項の認定をしようとするときは、関係行政機関の長に協議し、これらの同意を得るとともに、特定複合観光施設区域整備推進本部の意見を聴かなければならない。

13 国土交通大臣は、特定複合観光施設区域の適正な整備を確保するため必要があると認めるときは、第11項の認定に条件を付し、及びこれを変更することができる。

14 国土交通大臣は、第11項の認定をしたときは、遅滞なく、その旨及びその内容を公示しなければならない。前項の規定により新たに条件を付し、又は変更したときも、同様とする。


(認定の有効期間等)

第10条 区域整備計画の認定の有効期間は、前条第11項の認定の日から起算して10年とする。

 区域整備計画の認定を受けた都道府県等(以下「認定都道府県等」という。)は、区域整備計画の認定を受けた設置運営事業者等(以下「認定設置運営事業者等」という。)と共同して、区域整備計画の認定の更新を受けることができる。

 前項の更新を受けようとする認定都道府県等は、認定設置運営事業者等と共同して、区域整備計画の認定の有効期間の満了の日の6月前から3月前までの期間内に、国土交通大臣に申請をしなければならない。ただし、災害その他やむを得ない事由により当該期間内に当該申請をすることができないときは、国土交通大臣が当該事由を勘案して定める期間内に申請をしなければならない。

 前条第5項から第9項まで及び第11項から第14項までの規定は、第2項の更新について準用する。

 第3項の申請があった場合において、区域整備計画の認定の有効期間の満了の日までに当該申請に対する処分がされないときは、従前の区域整備計画の認定は、その有効期間の満了後も当該処分がされるまでの間は、なお効力を有する。

 第2項の更新がされたときは、区域整備計画の認定の有効期間は、従前の区域整備計画の認定の有効期間の満了の日の翌日から起算して5年とする。


(認定区域整備計画の変更)

第11条 認定都道府県等は、設置運営事業又は施設供用事業の内容の変更又は譲渡、認定設置運営事業者又は認定施設供用事業者の合併又は分割その他の事由により認定区域整備計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、認定設置運営事業者等(設置運営事業又は施設供用事業の譲渡により認定区域整備計画の変更をしようとするときは、当該事業を譲り受けようとする者を含む。)と共同して、国土交通大臣の認定を受けなければならない。

 認定都道府県等は、前項の国土交通省令で定める軽微な変更をしたときは、認定設置運営事業者等と共同して、国土交通省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。この場合において、認定都道府県等は、国土交通省令で定める書類を添付しなければならない。

 第9条第5項から第9項までの規定は認定都道府県等が認定区域整備計画を変更しようとする場合について、同条第11項から第14項までの規定は認定区域整備計画の変更の認定について、それぞれ準用する。

 第1項の規定による変更の認定を受けた認定区域整備計画に基づく設置運営事業若しくは施設供用事業の譲渡又は認定設置運営事業者若しくは認定施設供用事業者たる会社の合併若しくは分割があったときは、設置運営事業若しくは施設供用事業を譲り受けた会社、合併後存続する会社、合併により設立された会社又は分割により設置運営事業若しくは施設供用事業を承継した会社は、認定設置運営事業者又は認定施設供用事業者の地位を承継する。


(協議会)

第12条 都道府県等は、実施方針の策定及び変更、設置運営事業等を行おうとする民間事業者の選定、区域整備計画の作成及び認定区域整備計画の変更並びに第37条第2項の規定による認定区域整備計画の実施の状況の報告その他必要な事項について協議するための協議会(以下この章において「協議会」という。)を組織することができる。

 協議会は、次に掲げる者をもって構成する。

 都道府県等の長

 立地市町村等の長

 公安委員会

 都道府県等の住民、学識経験者、関係行政機関その他の都道府県等が必要と認める者

 協議会に議長を置き、前項第1号に掲げる者をもって充てる。

 都道府県等は、第8条第1項の規定により設置運営事業等を行おうとする民間事業者を選定したときは、当該民間事業者を協議会の構成員として加えるものとする。

 協議会の構成員は、当該協議会において協議が調った事項については、当該協議の結果を尊重しなければならない。

 国土交通大臣は、協議会の議長の求めに応じて、必要な助言をすることができる。

 前各項に定めるもののほか、協議会の運営に関し必要な事項は、協議会が定める。


(実施協定)

第13条 認定都道府県等及び認定設置運営事業者等は、第9条第11項の認定の後速やかに、次に掲げる事項をその内容に含む協定(以下この章において「実施協定」という。)を締結しなければならない。設置運営事業若しくは施設供用事業の譲渡又は認定設置運営事業者若しくは認定施設供用事業者たる会社の合併若しくは分割により第11条第1項の規定による変更の認定を受けたときも、同様とする。

 設置運営事業等の具体的な実施体制及び実施方法に関する事項(施設供用事業が行われる場合には、施設の管理その他の事項に係る認定設置運営事業者と認定施設供用事業者との間の責任分担及び相互の連携に関する事項を含む。)

 設置運営事業等の継続が困難となった場合における措置に関する事項

 特定複合観光施設区域の整備の推進に関する施策その他の国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現するための施策及び措置に関する事項

 カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うために必要な施策及び措置に関する事項

 実施協定に違反した場合における措置に関する事項

 実施協定の有効期間

 前各号に掲げるもののほか、認定区域整備計画の適正な実施のために必要な事項として国土交通省令で定めるもの

 認定都道府県等及び認定設置運営事業者等は、実施協定を締結しようとするときは、国土交通大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

 認定都道府県等及び認定設置運営事業者等は、前項の認可を受けようとするときは、国土交通省令で定める書類を添付しなければならない。

 国土交通大臣は、第2項の認可をしようとするときは、関係行政機関の長に協議し、これらの同意を得なければならない。

 認定都道府県等は、実施協定を締結したときは、国土交通省令で定めるところにより、遅滞なく、当該実施協定の概要を公表するものとする。これを変更したときも、同様とする。


(認定都道府県等の指示等)

第14条 認定都道府県等は、認定区域整備計画の適正な実施及び前条第2項の認可を受けた実施協定の確実な履行のため、認定設置運営事業者等に対して、その業務若しくは経理の状況に関し報告を求め、実地について調査し、又は必要な指示をすることができる。

第2節 認定設置運営事業者等の義務等

(認定設置運営事業者等の事業実施義務等)

第15条 認定設置運営事業者等は、認定区域整備計画及び第13条第2項の認可を受けた実施協定に従い、設置運営事業等を行わなければならない。

 認定設置運営事業者等は、カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うため国及び認定都道府県等が実施する施策に協力しなければならない。

 認定設置運営事業者等は、カジノ事業の収益の活用に当たっては、カジノ事業が特定複合観光施設区域の整備の推進のため特別に認められるものであることに鑑み、第37条第1項の規定による評価の結果に基づき、当該収益を特定複合観光施設の整備その他設置運営事業等の事業内容の向上及び認定都道府県等が実施する認定区域整備計画に関する施策への協力に充てるよう努めなければならない。


(事業計画)

第16条 認定設置運営事業者等は、カジノ事業の収益を活用して設置運営事業等を円滑かつ確実に行うため、毎事業年度の開始前に、事業基本計画に基づき、国土交通省令で定めるところにより、当該事業年度における特定複合観光施設の維持管理、設備投資その他の事業活動に関する計画(以下この条及び第37条において「事業計画」という。)を作成し、認定都道府県等の同意を得て、国土交通大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。

 認定設置運営事業者等の第9条第11項の認定後最初の事業年度の事業計画については、前項中「毎事業年度の開始前に」とあるのは、「第9条第11項の認定後遅滞なく」とする。

 認定設置運営事業者等は、第1項の規定による届出をしたときは、国土交通省令で定めるところにより、遅滞なく、その事業計画を公表しなければならない。

 国土交通大臣は、第1項の規定による事業計画の届出があったときは、速やかに関係行政機関の長に通知しなければならない。


(特定複合観光施設の営業の開始)

第17条 認定設置運営事業者は、特定複合観光施設の営業を開始しようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、その開始の時期を、認定都道府県等の同意を得て、国土交通大臣に届け出なければならない。

 認定設置運営事業者は、特定複合観光施設のうちカジノ施設の営業を先行して開始してはならない。

 国土交通大臣は、第1項の規定による開始の届出があったときは、速やかに関係行政機関の長に通知しなければならない。


(設置運営事業等以外の事業の兼営の禁止)

第18条 認定設置運営事業者は、設置運営事業以外の事業を営んではならない。

 認定施設供用事業者は、施設供用事業以外の事業を営んではならない。


(設置運営事業等の廃止)

第19条 認定設置運営事業者等は、設置運営事業等を廃止しようとするときは、あらかじめ、その理由及び廃止の時期その他国土交通省令で定める事項を明らかにして、認定都道府県等の同意を得て、国土交通大臣の承認を受けなければならない。

 第9条第5項の規定は認定都道府県等が前項の同意をしようとする場合について、同条第12項及び第14項前段の規定は前項の承認について、それぞれ準用する。

 区域整備計画の認定は、認定設置運営事業者等が第1項の承認を受け、設置運営事業等を廃止したときは、その効力を失う。

第3節 設置運営事業等の監査及び会計

(監査人の設置)

第20条 認定設置運営事業者等は、監査人を置かなければならない。

 前項の監査人は、認定設置運営事業者等が選定する。

 前二項の規定は、当該認定設置運営事業者等に、会社法の規定により、監査役(その監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社の監査役を除く。第27条第1項、第28条第6項及び第159条第5項第1号イにおいて同じ。)、監査等委員会又は監査委員会が置かれるときは、適用しない。


(認定設置運営事業者等と監査人との関係)

第21条 認定設置運営事業者等と監査人との関係は、委任に関する規定に従う。


(監査人の資格等)

第22条 会社法第331条第1項各号に掲げる者は、監査人となることができない。

 監査人は、認定設置運営事業者等の業務を執行する社員(業務を執行する社員が法人であるときは、その職務を行うべき者)、取締役、執行役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)又は使用人を兼ねることができない。


(監査人の職務及び権限)

第23条 監査人は、認定設置運営事業者等が行う設置運営事業等を監査する。この場合において、監査人は、国土交通省令(当該認定設置運営事業者等がカジノ事業者又はカジノ施設供用事業者であるときは、カジノ管理委員会規則・国土交通省令。第25条第2項及び第28条において同じ。)で定めるところにより、監査報告を作成し、認定設置運営事業者等にその内容を通知しなければならない。

 監査人は、いつでも、認定設置運営事業者等及びその役員(業務を執行する社員(業務を執行する社員が法人であるときは、その職務を行うべき者を含む。以下この項において同じ。)、取締役、執行役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員を含む。以下この項において同じ。)、監査役若しくは監査人、代表者、管理人又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人等(法人又は法人でない社団若しくは財団で代表者若しくは管理人の定めがあるものをいう。以下同じ。)に対し業務を執行する社員、取締役、執行役、会計参与、監査役若しくは監査人、代表者、管理人又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下同じ。)、代理人、使用人その他の従業者(以下単に「従業者」という。)(監査人を除く。)に対して設置運営事業等の報告を求め、又は設置運営事業等若しくは当該認定設置運営事業者等の財産の状況を調査することができる。


(監査人の報告義務)

第24条 監査人は、設置運営事業等において認定設置運営事業者等が不正の行為をし若しくはするおそれがあると認めるとき、又は法令若しくは定款に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときは、遅滞なく、その旨を当該認定設置運営事業者等に報告しなければならない。


(監査人による認定設置運営事業者等の行為の差止め)

第25条 監査人は、設置運営事業等において認定設置運営事業者等が法令若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合において、当該行為によって設置運営事業等の健全な運営に著しい支障が生ずるおそれがあるときは、当該認定設置運営事業者等に対し、当該行為をやめることを請求しなければならない。

 前項の規定による請求をした監査人は、遅滞なく、その旨その他国土交通省令で定める事項を国土交通大臣(当該認定設置運営事業者等がカジノ事業者又はカジノ施設供用事業者であるときは、カジノ管理委員会及び国土交通大臣。第28条第4項、第7項、第8項、第10項、第11項及び第18項において同じ。)に報告しなければならない。

 前項の規定による報告をした監査人は、当該認定設置運営事業者等及び認定都道府県等に対し、当該報告をした旨及びその内容を書面で通知しなければならない。

 第1項の規定による請求がされた場合において、裁判所が仮処分をもって同項の認定設置運営事業者等に対し当該行為をやめることを命ずるときは、担保を立てさせないものとする。


(費用等の請求)

第26条 監査人がその職務の執行について認定設置運営事業者等に対して次に掲げる請求をしたときは、当該認定設置運営事業者等は、当該請求に係る費用又は債務が当該監査人の職務の執行に必要でないことを証明した場合を除き、これを拒むことができない。

 費用の前払の請求

 支出した費用及び支出の日以後におけるその利息の償還の請求

 負担した債務の債権者に対する弁済(当該債務が弁済期にないときは、相当の担保の提供)の請求


(会社法の規定により選任された監査役等についての本法の適用関係)

第27条 認定設置運営事業者等に監査役が置かれるときは、第23条から前条までの規定の適用については、これを監査人とみなす。

 認定設置運営事業者等に監査等委員会又は監査委員会が置かれるときは、第23条第1項の規定の適用については当該監査等委員会又は当該監査委員会を監査人と、同条第2項の規定の適用については当該監査等委員会が選定する監査等委員又は当該監査委員会が選定する監査委員を監査人と、前三条の規定の適用については当該監査等委員会の監査等委員又は当該監査委員会の監査委員を監査人とみなす。


(認定設置運営事業者等が行う業務の会計)

第28条 認定設置運営事業者等は、設置運営事業等について、国土交通省令で定めるところにより、その事業年度並びに勘定科目の分類及び貸借対照表、損益計算書その他の財務諸表で国土交通省令で定めるもの(第8項において「財務諸表」という。)の様式を定め、その会計を整理しなければならない。

 認定設置運営事業者は、国土交通省令で定めるところにより、カジノ業務、カジノ行為区画内関連業務及び第2条第1項各号に掲げる施設ごとの業務並びにそれら以外の業務に係る経理をそれぞれ区分して整理しなければならない。

 認定施設供用事業者は、国土交通省令で定めるところにより、カジノ施設供用業務及び第2条第1項各号に掲げる施設ごとの業務に係る経理をそれぞれ区分して整理しなければならない。

 認定設置運営事業者等は、国土交通省令で定めるところにより、事業年度ごとに、次に掲げる事項を記載した報告書(以下この条において「財務報告書」という。)を、認定都道府県等の同意を得て、当該事業年度経過後3月以内(やむを得ない理由により当該期間内に提出することができないと認められるときは、国土交通省令で定めるところによりあらかじめ国土交通大臣の承認を受けた期間内)に、国土交通大臣に提出しなければならない。

 経理の状況

 業務の内容に関する重要な事項(前号に掲げる事項を除く。)

 前二号に掲げるもののほか、法人の概況、事業の状況その他の国土交通省令で定める事項

 財務報告書には、定款その他の国土交通省令で定める書類を添付しなければならない。

 認定設置運営事業者等は、第4項の規定により財務報告書を提出するときは、国土交通省令で定めるところにより、監査人の監査を受けなければならない。この場合において、認定設置運営事業者等に監査役、監査等委員会又は監査委員会が置かれるときは、これらを監査人とみなす。

 認定設置運営事業者等は、国土交通省令で定めるところにより、財務報告書の記載内容が国土交通省令に基づき適正であることを確認した旨を記載した確認書(以下この条において「確認書」という。)を、当該財務報告書と併せて認定都道府県等の同意を得て、国土交通大臣に提出しなければならない。

 認定設置運営事業者等は、国土交通省令で定めるところにより、事業年度ごとに、財務諸表その他の財務報告に関する情報の適正性を確保するために必要なものとして国土交通省令で定める体制について、国土交通省令で定めるところにより評価を行った報告書(以下この条において「財務報告に係る内部統制報告書」という。)を、財務報告書と併せて認定都道府県等の同意を得て、国土交通大臣に提出しなければならない。

 財務報告に係る内部統制報告書には、前項の国土交通省令で定める体制に関する事項を記載した書類その他の書類で国土交通省令で定めるものを添付しなければならない。

10 認定設置運営事業者等は、第4項、第5項及び第7項から前項までの規定により提出した財務報告書及びその添付書類、確認書又は財務報告に係る内部統制報告書及びその添付書類(以下この項において「財務報告書等」という。)に記載すべき重要な事項の変更その他財務報告書等の内容を訂正する必要があるものとして国土交通省令で定める事由があるときは、その内容を訂正した財務報告書等を、認定都道府県等の同意を得て、国土交通大臣に提出しなければならない。これらの事由がない場合において、認定設置運営事業者等が当該財務報告書等のうちに訂正を必要とするものがあると認めたときも、同様とする。

11 認定設置運営事業者等は、国土交通省令で定めるところにより、その事業年度の期間を3月ごとに区分した各期間(国土交通省令で定める期間を除く。)ごとに、第4項第1号及び第2号に掲げる事項のほか、法人の概況、事業の状況その他の国土交通省令で定める事項を記載した報告書(以下この条において「四半期報告書」という。)を、認定都道府県等の同意を得て、当該各期間経過後45日以内の国土交通省令で定める期間内(やむを得ない理由により当該期間内に提出することができないと認められるときは、国土交通省令で定めるところによりあらかじめ国土交通大臣の承認を受けた期間内)に、国土交通大臣に提出しなければならない。

12 第6項及び第7項の規定は前項の規定により提出する四半期報告書について、第10項の規定は前項の規定により提出した四半期報告書及びこの項において準用する第7項の規定により提出した確認書について、それぞれ準用する。

13 認定設置運営事業者等は、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる書類を公告しなければならない。

 財務報告書(第10項の規定によりその内容を訂正したものを含む。)及びその添付書類

 確認書(第10項の規定によりその内容を訂正したものを含む。)

 財務報告に係る内部統制報告書(第10項の規定によりその内容を訂正したものを含む。)及びその添付書類

 四半期報告書(前項において準用する第10項の規定によりその内容を訂正したものを含む。)

 前項において準用する第7項の規定により提出した確認書(前項において準用する第10項の規定によりその内容を訂正したものを含む。)

14 認定設置運営事業者等は、国土交通省令で定めるところにより、前項各号に掲げる書類の内容である情報を、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって国土交通省令で定めるものにより不特定多数の者が継続して提供を受けることができる状態に置く措置を講ずることができる。この場合においては、同項の規定による公告をしたものとみなす。

15 認定設置運営事業者等が第4項、第10項(第12項において準用する場合を含む。)及び第11項の規定により提出する財務報告書及び四半期報告書には、当該認定設置運営事業者等と特別の利害関係(公認会計士(公認会計士法(昭和23年法律第103号)第16条の2第5項に規定する外国公認会計士を含む。以下同じ。)又は監査法人が当該認定設置運営事業者等との間に有する同法第24条から第24条の3まで(これらの規定を同法第16条の2第6項において準用する場合を含む。)、第34条の11第1項又は第34条の11の2に規定する関係及び公認会計士又は監査法人が認定設置運営事業者等に対し株主若しくは出資者として有する関係又は認定設置運営事業者等の事業若しくは財産経理に関して有する関係で、財務の適正性の確保のために認めることが相当でない利害関係として国土交通省令で定めるものをいう。)のない公認会計士又は監査法人の監査証明を受けなければならない。認定設置運営事業者等が第8項の規定により提出する財務報告に係る内部統制報告書(第10項の規定によりその内容を訂正したものを含む。)についても、同様とする。

16 前項の監査証明は、国土交通省令で定める基準及び手続によって、これを行わなければならない。

17 公認会計士又は監査法人は、第15項前段の監査証明を行うに当たって、認定設置運営事業者等が行う業務における法令に違反する事実その他の財務の適正性の確保に影響を及ぼすおそれがある事実(次項第1号において「法令違反等事実」という。)を発見したときは、国土交通省令で定めるところにより、当該事実の内容及び当該事実に係る法令違反の是正その他の適切な措置を講ずべき旨を、遅滞なく、当該認定設置運営事業者等に書面で通知しなければならない。

18 前項の規定による通知をした公認会計士又は監査法人は、当該通知をした日から起算して国土交通省令で定める期間が経過した日後なお次の各号に掲げる事項のいずれにも該当すると認める場合において、第1号に規定する著しい支障を防止するため必要があると認めるときは、国土交通省令で定めるところにより、当該事項に関する意見を国土交通大臣に申し出なければならない。この場合において、当該公認会計士又は監査法人は、あらかじめ、国土交通大臣に申出をする旨を当該認定設置運営事業者等及び認定都道府県等に書面で通知しなければならない。

 法令違反等事実が、認定設置運営事業者等の財務の適正性の確保に重大な影響を及ぼし、設置運営事業等の健全な運営に著しい支障が生ずるおそれがあること。

 前項の規定による通知を受けた認定設置運営事業者等が、同項の適切な措置を講じないこと。

19 前項の規定による申出をした公認会計士又は監査法人は、当該認定設置運営事業者等及び認定都道府県等に対し、当該申出をした旨及びその内容を書面で通知しなければならない。

20 国土交通大臣は、第13項各号に掲げる書類の提出があったときは、速やかに、その旨を関係行政機関の長に通知しなければならない。

第4節 認定設置運営事業者等の監督等

(認定設置運営事業者等に対する報告の徴収等)

第29条 国土交通大臣は、この法律の施行に必要な限度において、認定設置運営事業者等に対し、当該認定設置運営事業者等が行う業務又はその財産に関し、参考となるべき報告又は資料の提出を求めることができる。

 国土交通大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、認定設置運営事業者等に対し、当該認定設置運営事業者等が行う業務若しくはその財産に関し質問させ、又は当該認定設置運営事業者等の営業所若しくは事務所その他の施設に立ち入らせ、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

 前項の規定による質問又は立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

 第2項の規定による質問及び立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 関係行政機関の長は、国土交通大臣に対し、認定設置運営事業者等に対し設置運営事業等の実施の状況を報告することを求めるよう申し出ることができる。


(認定設置運営事業者等に対する指示等)

第30条 国土交通大臣は、設置運営事業等の的確な実施を図るため必要があると認めるときは、認定設置運営事業者等に対し、その実施に関し必要な措置を講ずべきことを指示することができる。

 国土交通大臣は、認定設置運営事業者等が前項の指示に違反したときは、当該認定設置運営事業者等に対し、期限を付して、設置運営事業等の全部又は一部の停止を命ずることができる。

 関係行政機関の長は、設置運営事業等の的確な実施を図るため必要があると認めるときは、国土交通大臣に対し、認定設置運営事業者等に対し必要な措置を講ずべきことを指示するよう申し出ることができる。

 国土交通大臣は、第2項の規定による処分をしたときは、遅滞なく、その旨を公示しなければならない。


(認定設置運営事業者等に対する指示等の通知)

第31条 国土交通大臣は、前条第1項又は第2項の規定による処分をしようとするときは、カジノ管理委員会及び認定都道府県等に当該処分の内容及び理由を通知しなければならない。


(認定都道府県等に対する報告の徴収)

第32条 国土交通大臣は、認定都道府県等に対し、認定区域整備計画の実施の状況について報告を求めることができる。

 関係行政機関の長は、国土交通大臣に対し、認定都道府県等に対し認定区域整備計画に記載された第9条第2項第5号から第7号までの施策及び措置の実施の状況を報告することを求めるよう申し出ることができる。


(認定都道府県等に対する措置の要求)

第33条 国土交通大臣は、認定区域整備計画の的確な実施を図るため必要があると認めるときは、認定都道府県等に対し、その実施に関し必要な措置を講ずるよう求めることができる。

 関係行政機関の長は、認定区域整備計画に記載された第9条第2項第5号から第7号までの施策及び措置の的確な実施を図るため必要があると認めるときは、国土交通大臣に対し、認定都道府県等に対しその実施に関し必要な措置を講ずることを求めるよう申し出ることができる。


(認定都道府県等に対する指示等)

第34条 国土交通大臣は、認定都道府県等がカジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除について必要な措置を講じていないと認められるときその他の認定区域整備計画の的確な実施のため特に必要があると認められるときは、認定都道府県等に対し、必要な指示をすることができる。

 関係行政機関の長は、認定区域整備計画の実施に関し、認定都道府県等がカジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除について必要な措置を講じていないと認められるときは、国土交通大臣に対し、認定都道府県等に対し必要な指示をするよう申し出ることができる。

第5節 区域整備計画の認定の取消し

(認定の取消し)

第35条 国土交通大臣は、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、区域整備計画の認定を取り消すことができる。

 認定区域整備計画が第9条第11項各号に掲げる基準に適合しなくなったと認めるとき。

 公益上必要があるものとして認定都道府県等から区域整備計画の認定の取消しの申請があったとき。

 認定設置運営事業者等が第30条第1項又は第2項の規定による処分に違反したとき。

 認定都道府県等が前条第1項の指示に違反したとき。

 関係行政機関の長は、国土交通大臣に対し、前項の規定による取消しに関し必要と認める意見を申し出ることができる。

 第9条第12項及び第14項前段の規定は、第1項の規定による取消しについて準用する。


(認定の取消しの通知)

第36条 国土交通大臣は、前条第1項の規定により区域整備計画の認定を取り消したときは、直ちに、カジノ管理委員会にその旨を通知しなければならない。

第6節 認定区域整備計画の実施の状況の評価等

(認定区域整備計画の実施の状況の評価)

第37条 国土交通大臣は、基本方針に即して、毎年度、認定区域整備計画(事業計画を含む。以下この条において同じ。)の実施の状況について、評価を行わなければならない。

 国土交通大臣は、前項の評価を行おうとするときは、認定都道府県等に対し、認定区域整備計画の実施の状況について、報告を求めることができる。この場合において、認定都道府県等は、認定区域整備計画のうち事業基本計画及び事業計画の実施の状況については、認定設置運営事業者等に対し報告を求め、当該報告について意見があるときは、意見を付して、国土交通大臣に報告するものとする。

 認定都道府県等は、前項の規定により認定区域整備計画の実施の状況について報告しようとするときは、協議会が組織されている場合には協議会における協議を、協議会が組織されていない場合には立地市町村等及び公安委員会との協議をしなければならない。

 国土交通大臣は、第1項の評価を行おうとするときは、関係行政機関の長に協議するとともに、特定複合観光施設区域整備推進本部の意見を聴かなければならない。

 国土交通大臣は、第1項の評価を行ったときは、遅滞なく、認定都道府県等に対し、当該評価の結果を通知するとともに、これを公表しなければならない。

 認定都道府県等及び認定設置運営事業者等は、第1項の規定による評価の結果を、事業基本計画及び事業計画に適時に反映させるなど、認定区域整備計画に係る業務運営の改善に適切に反映させなければならない。


(関係行政機関の協力)

第38条 国土交通大臣は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、必要な資料又は情報の提供、意見の開陳その他の協力を求めることができる。

第11章 カジノ管理委員会

(設置)

第213条 内閣府設置法(平成11年法律第89号)第49条第3項の規定に基づいて、カジノ管理委員会を置く。

 カジノ管理委員会は、内閣総理大臣の所轄に属する。


(任務)

第214条 カジノ管理委員会は、カジノ施設の設置及び運営に関する秩序の維持及び安全の確保を図ることを任務とする。


(所掌事務)

第215条 カジノ管理委員会は、前条の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる。

 カジノ事業の監督に関すること。

 カジノ施設供用事業の監督に関すること。

 カジノ関連機器等製造業等の監督に関すること。

 カジノ施設の適正な利用に関すること。

 前各号に掲げる事務を行うために必要な調査及び研究に関すること。

 所掌事務に係る国際協力に関すること。

 前各号に掲げるもののほか、法律(法律に基づく命令を含む。)に基づきカジノ管理委員会に属させられた事務


(職権行使の独立性)

第216条 カジノ管理委員会の委員長及び委員は、独立してその職権を行う。


(組織等)

第217条 カジノ管理委員会は、委員長及び委員4人をもって組織する。

 委員のうち2人は、非常勤とすることができる。

 委員長及び委員は、人格が高潔であって、カジノ管理委員会の所掌事務の遂行につき公正な判断をすることができ、かつ、識見の高い者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。

 次に掲げる者は、委員長又は委員となることができない。

 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

 禁錮以上の刑に処せられた者

 カジノ事業者、カジノ施設供用事業者、カジノ関連機器等製造業者等又はカジノ関連機器等外国製造業者の従業者

 指定試験機関の役員又は職員

 認可主要株主等若しくは認可施設土地権利者又はこれらの者が法人等であるときはその従業者

 第3号に規定する事業者の団体の従業者


(任期等)

第218条 委員長及び委員の任期は、5年とする。ただし、補欠の委員長又は委員の任期は、前任者の残任期間とする。

 委員長及び委員は、再任されることができる。

 委員長及び委員の任期が満了したときは、当該委員長及び委員は、後任者が任命されるまで引き続きその職務を行うものとする。

 委員長又は委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、前条第3項の規定にかかわらず、同項に定める資格を有する者のうちから、委員長又は委員を任命することができる。

 前項の場合においては、任命後最初の国会において両議院の事後の承認を得なければならない。この場合において、両議院の事後の承認が得られないときは、内閣総理大臣は、直ちに、その委員長又は委員を罷免しなければならない。


(身分保障)

第219条 委員長及び委員は、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときを除いては、在任中、その意に反して罷免されることがない。

 第217条第4項各号に掲げる場合のいずれかに該当することとなったとき。

 この法律の規定に違反して刑に処せられたとき。

 カジノ管理委員会により、心身の故障のため職務を執行することができないと認められたとき、又は職務上の義務違反その他委員長若しくは委員たるに適しない非行があると認められたとき。


(罷免)

第220条 内閣総理大臣は、委員長又は委員が前条各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、その委員長又は委員を罷免しなければならない。


(委員長)

第221条 委員長は、カジノ管理委員会の会務を総理し、カジノ管理委員会を代表する。

 カジノ管理委員会は、あらかじめ常勤の委員のうちから、委員長に事故がある場合に委員長を代理する者を定めておかなければならない。


(会議)

第222条 カジノ管理委員会の会議は、委員長が招集する。

 カジノ管理委員会は、委員長及び2人以上の委員の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができない。

 カジノ管理委員会の議事は、出席者の過半数でこれを決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。

 第219条第3号の規定による認定をするには、前項の規定にかかわらず、本人を除く全員の一致がなければならない。

 委員長に事故がある場合の第2項の規定の適用については、前条第2項に規定する委員長を代理する者は、委員長とみなす。


(専門委員)

第223条 カジノ管理委員会に、専門の事項を調査させるため、専門委員を置くことができる。

 専門委員は、カジノ管理委員会の申出に基づいて内閣総理大臣が任命する。

 専門委員は、当該専門の事項に関する調査が終了したときは、解任されるものとする。

 専門委員は、非常勤とする。


(事務局)

第224条 カジノ管理委員会の事務を処理させるため、カジノ管理委員会に事務局を置く。

 事務局に、事務局長その他の職員を置く。

 事務局長は、委員長の命を受けて、局務を掌理する。


(政治運動等の禁止)

第225条 委員長及び委員は、在任中、政党その他の政治団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。

 委員長及び常勤の委員は、在任中、内閣総理大臣の許可のある場合を除き、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならない。


(秘密保持義務)

第226条 委員長、委員、専門委員及び事務局の職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らし、又は盗用してはならない。その職務を退いた後も、同様とする。


(給与)

第227条 委員長及び委員の給与は、別に法律で定める。


(公務所等への照会)

第228条 カジノ管理委員会は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、公務所、公私の団体その他の関係者に照会して、必要な事項の報告を求めることができる。


(調査の委託)

第229条 カジノ管理委員会は、必要があると認めるときは、この法律の施行に必要な限度において、次に掲げる調査の一部を、その調査を適切に行うことができるものとしてカジノ管理委員会規則で定める基準に適合する者に委託することができる。

 第159条第1項の規定による指定(第160条第2項の更新を含む。)の申請、第161条第1項の認可の申請、第164条において準用する第58条第1項又は第4項ただし書の認可の申請又は第165条第1項の確認の申請に対する審査のために必要な調査

 第234条第1項各号に掲げる処分に係る申請に対する審査のために必要な調査

 前章(第211条及び第212条を除く。)の規定による監督のために必要な調査

 前項の規定により事務の委託を受けた者若しくはその従業者又はこれらであった者は、当該委託に係る事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

 第1項の規定により事務の委託を受けた者又はその従業者であって当該委託に係る事務に従事するものは、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。


(規則の制定)

第230条 カジノ管理委員会は、その所掌事務について、法律若しくは政令を実施するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、カジノ管理委員会規則を制定することができる。

第12章 雑則

(外国執行当局への情報提供)

第235条 カジノ管理委員会は、この法律に相当する外国の法令を執行する外国の当局(以下この条において「外国執行当局」という。)に対し、その職務(この法律に規定するカジノ管理委員会の職務に相当するものに限る。次項において同じ。)の遂行に資すると認める情報を提供することができる。

 前項の規定による情報の提供については、当該情報が当該外国執行当局の職務の遂行以外に使用されず、かつ、次項の同意がなければ外国の刑事事件の捜査(その対象たる犯罪事実が特定された後のものに限る。)又は審判(同項において「捜査等」という。)に使用されないよう適切な措置がとられなければならない。

 カジノ管理委員会は、外国執行当局からの要請があったときは、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときを除き、第1項の規定により提供した情報を当該要請に係る外国の刑事事件の捜査等に使用することについて同意をすることができる。

 当該要請に係る刑事事件の捜査等の対象とされている犯罪が政治犯罪であるとき、又は当該要請が政治犯罪について捜査等を行う目的で行われたものと認められるとき。

 当該要請に係る刑事事件の捜査等の対象とされている犯罪に係る行為が日本国内において行われたとした場合において、その行為が日本国の法令によれば罪に当たるものでないとき。

 日本国が行う同種の要請に応ずる旨の要請国の保証がないとき。

 カジノ管理委員会は、前項の同意をする場合においては、あらかじめ、同項第1号及び第2号に掲げる場合に該当しないことについて法務大臣の確認を、同項第3号に掲げる場合に該当しないことについて外務大臣の確認を、それぞれ受けなければならない。

第13章 罰則

第236条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 第30条第2項の規定による設置運営事業の停止の命令に違反して、設置運営事業(カジノ行為業務に係る部分に限る。)を行ったとき。


第237条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 第30条第2項の規定による設置運営事業等の停止の命令に違反して、設置運営事業(カジノ行為業務に係る部分を除く。)又は施設供用事業を行ったとき。


第238条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、2年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 第18条第1項の規定に違反して、設置運営事業以外の事業を営んだとき。


第239条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 第18条第2項の規定に違反して、施設供用事業以外の事業を営んだとき。

 第28条第4項の規定による財務報告書若しくは同条第5項の規定によりこれに添付すべき書類若しくは同条第8項の規定による財務報告に係る内部統制報告書若しくは同条第9項の規定によりこれに添付すべき書類(いずれも同条第10項の規定によりその内容を訂正したものを含む。)の提出をせず、又はこれらに虚偽の記載をして提出したとき。

 第29条第1項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告若しくは資料の提出をしたとき、又は同条第2項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。

 第30条第1項の規定による指示に違反したとき。

四十四 第229条第2項の規定に違反して、秘密を漏らしたとき。


第241条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、100万円以下の罰金に処する。

 第17条第1項の規定による届出をしないで営業を開始し、又は虚偽の届出をしたとき。

 第19条第1項の承認を受けないで設置運営事業等を廃止したとき。

 第28条第7項(同条第12項において準用する場合を含む。)の規定による確認書(同条第10項(同条第12項において準用する場合を含む。)の規定によりその内容を訂正したものを含む。)若しくは同条第11項の規定による四半期報告書(同条第12項において準用する同条第10項の規定によりその内容を訂正したものを含む。)の提出をせず、又はこれらに虚偽の記載をして提出したとき。

 第28条第13項の規定による公告をせず、又は虚偽の公告をしたとき。


第243条 法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含む。以下この項及び次項において同じ。)の代表者若しくは管理人又は法人若しくは人の従業者が、その法人又は人の業務若しくは財産に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。

 第236条第1項(第4号を除く。) 5億円以下の罰金刑

 第237条第1項(第6号、第13号、第17号、第19号及び第20号を除く。)又は第238条(第2号から第9号までを除く。) 3億円以下の罰金刑

 第239条第1項(第6号から第10号まで、第12号から第14号まで、第16号から第23号まで、第27号、第33号、第34号、第38号及び第44号を除く。) 1億円以下の罰金刑

 第236条第1項第4号、第237条第1項第6号、第13号、第17号、第19号若しくは第20号、第238条第2号から第9号まで、第239条第1項第6号から第10号まで、第12号から第14号まで、第16号から第23号まで、第27号、第33号、第34号、第38号若しくは第44号又は第240条から前条まで 各本条の罰金刑

 前項の規定により第236条第1項の違反行為につき法人又は人に罰金刑を科する場合における時効の期間は、同項の罪についての時効の期間による。

 法人でない社団又は財団について第1項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人がその訴訟行為につきその法人でない社団又は財団を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。


第251条 第226条の規定に違反して、秘密を漏らし、又は盗用した者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

附 則
(施行期日)

第1条 この法律は、公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 次条及び附則第3条の規定 公布の日

 第1章の規定 公布の日から起算して9月を超えない範囲内において政令で定める日

 第11章、第235条、第239条第1項(第44号に係る部分に限る。)、第243条第1項(第4号(第239条第1項第44号に係る部分に限る。)に係る部分に限る。)及び第3項並びに第251条並びに附則第5条、第7条から第10条まで、第12条、第14条(特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律第19条第2項の改正規定に限る。)、第15条及び第16条の規定 公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日

 第2章、第236条第1項(第1号に係る部分に限る。)、第237条第1項(第1号に係る部分に限る。)、第238条(第1号に係る部分に限る。)、第239条第1項(第1号から第4号までに係る部分に限る。)、第241条(第1号から第4号までに係る部分に限る。)並びに第243条第1項(第1号(第236条第1項第1号に係る部分に限る。)、第2号(第237条第1項第1号及び第238条第1号に係る部分に限る。)、第3号(第239条第1項第1号から第4号までに係る部分に限る。)及び第4号(第241条第1号から第4号までに係る部分に限る。)に係る部分に限る。)及び第2項(第236条第1項第1号に係る部分に限る。)並びに附則第14条(前号に掲げる改正規定を除く。)の規定 公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日


(準備行為)

第2条 第217条第3項の規定によるカジノ管理委員会の委員長及び委員の任命に関し必要な行為は、前条第3号に掲げる規定の施行の日前においても、同項の規定の例によりすることができる。


(経過措置)

第3条 附則第1条第3号に掲げる規定の施行後最初に任命されるカジノ管理委員会の委員の任期は、第218条第1項本文の規定にかかわらず、4人のうち、2人は3年、2人は5年とする。

 前項に規定する各委員の任期は、内閣総理大臣が定める。

附 則(令和元年5月31日法律第16号)
(施行期日)

第1条 この法律は、公布の日から起算して9月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。