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外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法

昭和61年法律第66号
最終改正:令和2年5月29日法律第33号
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第1章 総則

(目的)

第1条 この法律は、外国弁護士となる資格を有する者が国内において外国法に関する法律事務を取り扱うことができるみちを開き、かつ、その法律事務の取扱いを弁護士の例に準じて規律する等の特別の措置を講ずることにより、渉外的法律関係の安定を図り、あわせて、外国における日本法に関する法律事務の取扱いの充実に資することを目的とする。


(定義)

第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 弁護士 弁護士法(昭和24年法律第205号)の規定による弁護士をいう。

一の二 弁護士法人 弁護士法の規定による弁護士法人をいう。

 外国弁護士 外国(法務省令で定める連邦国家にあつては、その連邦国家の州、属地その他の構成単位で法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)において法律事務を行うことを職務とする者で弁護士に相当するものをいう。

 外国法事務弁護士 第7条の規定による承認を受け、かつ、第24条の規定による名簿への登録を受けた者をいう。

三の二 外国法事務弁護士法人 外国法に関する法律事務(外国において効力を有し、又は有した法がその全部又は主要な部分に適用され、又は適用されるべき法律事件についての法律事務をいう。第50条の5第1項において同じ。)を行うことを目的として、この法律の定めるところにより、外国法事務弁護士が設立した法人をいう。

 原資格国 第7条の規定による承認を受けた者がその承認の基礎となつた外国弁護士となる資格を取得した外国をいう。

 原資格国法 原資格国において効力を有し、又は有した法をいう。

 原資格国法に関する法律事務 原資格国法がその全部又は主要な部分に適用され、又は適用されるべき法律事件についての法律事務をいう。

 特定外国 原資格国以外の特定の外国をいう。

 特定外国法 特定外国において効力を有し、又は有した法をいう。

 指定法 第7条の規定による承認を受けた者が第16条第1項の規定による指定を受けた特定外国法をいう。

 指定法に関する法律事務 指定法がその全部又は主要な部分に適用され、又は適用されるべき法律事件についての法律事務をいう。

十一 国際仲裁事件 民事に関する仲裁事件であつて、次のいずれかに該当するものをいう。

 当事者の全部又は一部が外国に住所又は主たる事務所若しくは本店を有する者であるもの(当事者の全部又は一部の発行済株式(議決権のあるものに限る。)又は出資の総数又は総額の百分の五十を超える数又は額の株式(議決権のあるものに限る。)又は持分を有する者その他これと同等のものとして法務省令で定める者が外国に住所又は主たる事務所若しくは本店を有する者であるものを含む。)

 仲裁廷が仲裁判断において準拠すべき法(当事者が合意により定めたものに限る。)が日本法以外の法であるもの

 外国を仲裁地とするもの

十一の二 国際調停事件 民事に関する調停事件(民事に関するあつせん事件を含み、民事上の契約又は取引のうち、その当事者の全部が法人その他の社団若しくは財団又は事業として若しくは事業のために当該民事上の契約若しくは取引の当事者となる個人であるものに関する紛争に係る事件に限る。)であつて、次のいずれかに該当するものをいう。

 当事者の全部又は一部が外国に住所又は主たる事務所若しくは本店を有する者であるもの(当事者の全部又は一部の発行済株式(議決権のあるものに限る。)又は出資の総数又は総額の百分の五十を超える数又は額の株式(議決権のあるものに限る。)又は持分を有する者その他これと同等のものとして法務省令で定める者が外国に住所又は主たる事務所若しくは本店を有する者であるものを含む。)

 当該紛争に係る民事上の契約又は取引によつて生ずる債権の成立及び効力について適用すべき法(当事者が合意により定めたものに限る。)が日本法以外の法であるもの

十二 日本弁護士連合会 弁護士法の規定による日本弁護士連合会をいう。

十三 弁護士会 弁護士法の規定による弁護士会をいう。

十四 国内 この法律の施行地をいう。

十五 外国法共同事業 外国法事務弁護士又は外国法事務弁護士法人と弁護士又は弁護士法人とが、組合契約その他の継続的な契約により、共同して行う事業であつて、法律事務を行うことを目的とするものをいう。

第2章 外国法事務弁護士の職務

(職務)

第3条 外国法事務弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によつて、原資格国法に関する法律事務を行うことを職務とする。ただし、次に掲げる法律事務を行うことは、この限りでない。

 国内の裁判所、検察庁その他の官公署における手続についての代理及びその手続についてこれらの機関に提出する文書の作成

 刑事に関する事件における弁護人としての活動、少年の保護事件における付添人としての活動及び逃亡犯罪人引渡審査請求事件における補佐

 原資格国法以外の法の解釈又は適用についての鑑定その他の法的意見の表明

 外国の裁判所又は行政庁のために行う手続上の文書の送達

 民事執行法(昭和54年法律第4号)第22条第5号の公正証書の作成嘱託の代理

 国内に所在する不動産に関する権利又は工業所有権、鉱業権その他の国内の行政庁への登録により成立する権利若しくはこれらの権利に関する権利(以下「工業所有権等」という。)の得喪又は変更を主な目的とする法律事件についての代理又は文書(鑑定書を除く。以下この条において同じ。)の作成

 外国法事務弁護士は、前項の規定により職務として行うことができる法律事務であつても、次に掲げるものについては、弁護士と共同し、又は弁護士の書面による助言を受けて行わなければならない。

 国内に所在する不動産に関する権利又は工業所有権等の得喪又は変更を目的とする法律事件のうち、前項第6号の法律事件以外のものについての代理及び文書の作成

 親族関係に関する法律事件で、その当事者として日本国民が含まれるものについての代理及び文書の作成

 国内に所在する財産で国内に居住する者が所有するものに係る遺言若しくは死因贈与に関する法律事件又は国内に所在する財産で死亡の時に国内に居住していた者が所有していたものについての遺産の分割、遺産の管理その他の相続に関する法律事件で、その当事者として日本国民が含まれるものについての代理及び文書の作成


(職務外の法律事務の取扱いの禁止)

第4条 外国法事務弁護士は、前条第1項の規定による職務の範囲を超えて法律事務を行つてはならない。


(指定法に関する法律事務)

第5条 外国法事務弁護士は、前条の規定にかかわらず、第16条第1項の規定による指定を受け、かつ、第34条第1項の規定による指定法の付記を受けたときは、指定法に関する法律事務を行うことができる。ただし、第3条第1項第1号、第2号及び第4号から第6号までに掲げる法律事務並びに指定法以外の法の解釈又は適用についての鑑定その他の法的意見の表明については、この限りでない。

 第3条第2項の規定は、外国法事務弁護士が前項の規定により指定法に関する法律事務を行う場合について準用する。


(指定法に関する法律事務以外の特定外国法に関する法律事務)

第5条の2 外国法事務弁護士は、第4条の規定にかかわらず、次に掲げる者の書面による助言を受けてするときは、指定法に関する法律事務以外の特定外国法に関する法律事務(当該特定外国法がその全部又は主要な部分に適用され、又は適用されるべき法律事件についての法律事務をいう。以下「特定外国法に関する法律事務」という。)を行うことができる。ただし、第3条第1項第1号、第2号及び第4号から第6号までに掲げる法律事務並びに当該特定外国法以外の法の解釈又は適用についての鑑定その他の法的意見の表明については、この限りでない。

 当該特定外国法に係る特定外国における外国弁護士(外国法事務弁護士である者を除く。)であつて外国弁護士となる資格を基礎として当該特定外国法に関する法律事務を行う業務に従事している者(国内において雇用されて外国法に関する知識に基づいて労務の提供を行つている者を除く。)

 外国法事務弁護士であつてその原資格国法又は指定法が当該特定外国法である者

 外国法事務弁護士法人(原資格国法又は指定法が当該特定外国法である社員が業務を執行する場合に限る。)

 第3条第2項の規定は、外国法事務弁護士が前項の規定により当該特定外国法に関する法律事務を行う場合について準用する。


(国際仲裁事件の手続等及び国際調停事件の手続の代理)

第5条の3 外国法事務弁護士は、第3条から前条までの規定にかかわらず、次に掲げる手続についての代理を行うことができる。

 国際仲裁事件の手続(当該手続の進行中に仲裁人が試み、又は当事者間で行われる和解の手続を含む。)及び当該国際仲裁事件に係る仲裁合意の対象とされた民事上の紛争に関する調停の手続(あつせんの手続を含み、民間事業者によつて実施されるものに限る。)(以下「国際仲裁事件の手続等」という。)

 国際調停事件の手続(民間事業者によつて実施されるものに限る。以下同じ。)


(弁護士法の準用等)

第6条 弁護士法第1条及び第2条の規定は、外国法事務弁護士について準用する。

 弁護士法第72条の規定は、外国法事務弁護士には適用しない。

第3章 外国法事務弁護士となる資格

第1節 法務大臣による承認

(外国法事務弁護士となる資格)

第7条 外国弁護士となる資格を有する者は、法務大臣の承認を受けた場合に限り、外国法事務弁護士となる資格を有する。


(欠格事由)

第8条 弁護士法第7条の規定は、外国法事務弁護士となる資格について準用する。


(承認の申請)

第9条 第7条の規定による承認(以下「承認」という。)を受けようとする者は、氏名、生年月日、国籍、住所、外国弁護士となる資格を取得した年月日、その資格を取得した外国(次条において「資格取得国」という。)の国名、当該外国弁護士の名称その他の法務省令で定める事項を記載した承認申請書を法務大臣に提出しなければならない。

 前項の承認申請書には、外国弁護士となる資格を取得したことを証する書類、次条第1項各号に掲げる基準に適合することを証する書類その他の法務省令で定める書類を添付しなければならない。

 承認を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めなければならない。


(承認の基準)

第10条 法務大臣は、前条第1項の規定による申請をした者(以下「承認申請者」という。)が次に掲げる基準に適合するものでなければ、承認をすることができない。

 外国弁護士となる資格を有し、かつ、その資格を取得した後3年以上資格取得国において外国弁護士として職務を行つた経験(資格取得国における外国弁護士が資格取得国以外の外国において外国弁護士となる資格を基礎として資格取得国の法に関する法律事務を行う業務に従事した経験を含む。)を有すること。

 次に掲げる者でないこと。

 禁錮以上の刑に相当する外国の法令による刑に処せられた者

 弾劾裁判所の罷免の裁判に相当する外国の法令による裁判を受けた者

 弁護士法第7条第3号に規定する処分に相当する外国の法令による処分を受け、その処分を受けた日から3年を経過しない者

 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者と外国の法令上同様に取り扱われている者

 誠実に職務を遂行する意思並びに適正かつ確実に職務を遂行するための計画、住居及び財産的基礎を有するとともに、依頼者に与えた損害を賠償する能力を有すること。

 前項第1号の規定の適用については、外国弁護士となる資格を有する者がその資格を取得した後に国内において弁護士、弁護士法人、外国法事務弁護士又は外国法事務弁護士法人に雇用され、かつ、当該弁護士、当該弁護士法人、当該外国法事務弁護士又は当該外国法事務弁護士法人に対し資格取得国の法に関する知識に基づいて行つた労務の提供は、通算して2年を限度として資格取得国において外国弁護士として行つた職務の経験とみなす。

 法務大臣は、承認申請者が第1項各号に掲げる基準に適合するものである場合においても、次の各号のいずれかに掲げる事情があるときでなければ、承認をすることができない。

 弁護士となる資格を有する者に対し第1項第1号の外国においてこの法律による取扱いと実質的に同等な取扱いが行われていること。

 弁護士となる資格を有する者に対し第1項第1号の外国においてこの法律による取扱いと実質的に同等な取扱いが行われていない場合においては、そのことを理由に承認をしないことが条約その他の国際約束の誠実な履行を妨げることとなること。

 法務大臣は、承認をする場合には、あらかじめ、日本弁護士連合会の意見を聴かなければならない。


(承認の告示等)

第11条 法務大臣は、承認をしたときは、遅滞なく、その旨を承認申請者及び日本弁護士連合会に書面で通知するとともに、官報で告示しなければならない。

 承認は、前項の告示があつた日からその効力を生ずる。


(承認の失効)

第12条 承認を受けた者が、前条第1項の規定による告示の日の翌日から起算して6箇月以内に、又は第29条の規定による請求により登録の取消しを受けた日の翌日から起算して6箇月以内に、第25条第1項の規定による請求をしなかつたときは、その承認は、その効力を失う。


(報告等)

第13条 法務大臣は、承認を受けた者に対し、必要があると認めるときは、第10条第1項各号に掲げる基準に係る事項又は弁護士となる資格を有する者に対する原資格国における取扱いに関する事項について、報告又は資料の提出を求めることができる。

 法務大臣は、承認に関する事務の処理に関し必要があると認めるときは、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。


(承認の取消し)

第14条 法務大臣は、承認を受けた者が次の各号のいずれかに該当する場合には、その承認を取り消さなければならない。

 原資格国の外国弁護士となる資格を失つたとき。

 第8条において準用する弁護士法第7条各号(第2号を除く。)のいずれかに該当するに至つたとき。

 第26条の規定により登録が拒絶されたとき。

 第30条第2項の規定により登録が取り消されたとき。

 法務大臣は、承認を受けた者が次の各号のいずれかに該当する場合には、その承認を取り消すことができる。

 第9条第1項の承認申請書又は同条第2項の添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、又は重要な事実の記載が欠けていることが判明したとき。

 第10条第1項第2号に掲げる基準に適合しなくなつたとき。

 業務又は財産の状況が著しく悪化し、これによつて依頼者が損害を受けるおそれがある場合において、その損害を防止するためやむを得ないと認められるとき。

 第10条第1項各号に掲げる基準に係る事項について、前条第1項の報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をしたとき。

 法務大臣は、承認後に次の各号のいずれかに掲げる事情が生じているときは、当該各号に規定する外国を原資格国として承認を受けた者に対し、その承認を取り消すことができる。

 弁護士となる資格を有する者に対し外国においてこの法律による取扱いと実質的に同等な取扱いが行われなくなり、そのことを理由に承認を取り消すことが条約その他の国際約束の誠実な履行を妨げることとならないこと。

 弁護士となる資格を有する者に対し引き続き外国においてこの法律による取扱いと実質的に同等な取扱いが行われていない場合においては、そのことを理由に承認を取り消すことが条約その他の国際約束の誠実な履行を妨げることとならなくなつたこと。

 第10条第4項及び第11条の規定は、前三項の規定による承認の取消しについて準用する。


第15条 削除

第2節 特定外国法の指定

(指定)

第16条 法務大臣は、承認を受けた者が次の各号に掲げる条件のいずれかに該当するときは、その者に対し、特定外国法を指定することができる。

 特定外国の外国弁護士となる資格を有する者であること。

 特定外国の外国弁護士となる資格を有する者と同程度に当該特定外国の法に関する学識を有し、かつ、その法に関する法律事務の取扱いについて5年以上の実務経験を有する者であること。

 第10条第4項及び第11条の規定は、前項の規定による指定について準用する。


(指定の申請)

第17条 承認を受けた者が前条第1項の規定による指定(以下「指定」という。)を受けようとするときは、指定申請書を法務大臣に提出しなければならない。

 前項の指定申請書には、前条第1項各号に掲げる条件の一に該当することを証する書類その他の法務省令で定める書類を添付しなければならない。

 指定を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めなければならない。


(指定の失効)

第18条 承認がその効力を失い、又は取り消されたときは、指定は、その効力を失う。指定を受けた者が第16条第2項において準用する第11条第1項の規定による告示の日の翌日から起算して6箇月以内に第33条第1項の規定による請求をしなかつたときも、同様とする。


(報告等)

第19条 法務大臣は、指定を受けた者に対し、必要があると認めるときは、第16条第1項各号に掲げる条件に係る事項について、報告又は資料の提出を求めることができる。

 第13条第2項の規定は、指定に関する事務の処理について準用する。


(指定の取消し)

第20条 法務大臣は、指定を受けた者が第16条第1項第1号の資格を失つたときは、その指定を取り消さなければならない。

 法務大臣は、指定を受けた者が次の各号の一に該当する場合には、その指定を取り消すことができる。

 第17条第1項の指定申請書又は同条第2項の添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、又は重要な事実の記載が欠けていることが判明したとき。

 前条第1項の報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をしたとき。

 第10条第4項及び第11条の規定は、前二項の規定による指定の取消しについて準用する。

第4章 外国法事務弁護士の登録及び業務

第1節 総則

(弁護士会及び日本弁護士連合会の目的等)

第21条 弁護士法第31条第1項、第41条及び第42条第2項(同法第50条において準用する場合を含む。)並びに同法第45条第2項、第48条及び第49条の規定の適用については、外国法事務弁護士及び外国法事務弁護士法人は、それぞれ弁護士及び弁護士法人とみなす。


(弁護士会の会則の記載事項の特則)

第22条 弁護士会の会則には、弁護士法第33条第2項各号に掲げるもののほか、日本弁護士連合会の会則で定めるところにより、次に掲げる事項を記載するものとする。

 外国法事務弁護士及び外国法事務弁護士法人に関する弁護士法第33条第2項第3号、第9号、第15号及び第16号に掲げる事項

 外国法事務弁護士及び外国法事務弁護士法人の綱紀保持に関する規定

 官公署その他に対する外国法事務弁護士の推薦に関する規定

 外国法事務弁護士及び外国法事務弁護士法人の職務に関する紛議の調停に関する規定

 外国法事務弁護士及び外国法事務弁護士法人の懲戒の請求に関する規定

 外国法事務弁護士の営利業務の届出及び営利業務従事外国法事務弁護士名簿に関する規定

 その他外国法事務弁護士及び外国法事務弁護士法人に関する必要な規定


(日本弁護士連合会の会則の記載事項の特則)

第23条 日本弁護士連合会の会則には、弁護士法第46条第2項各号に掲げるもののほか、次に掲げる事項を記載しなければならない。

 前条第1号から第3号までに掲げる事項

 外国法事務弁護士名簿の登録、登録換え及び登録の取消しに関する規定

 外国法事務弁護士登録審査会に関する規定

 外国法事務弁護士及び外国法事務弁護士法人の懲戒、外国法事務弁護士懲戒委員会並びに外国法事務弁護士綱紀委員会に関する規定

 その他外国法事務弁護士及び外国法事務弁護士法人に関する必要な規定

第2節 外国法事務弁護士の登録

第1款 外国法事務弁護士名簿

(登録)

第24条 外国法事務弁護士となる資格を有する者が、外国法事務弁護士となるには、日本弁護士連合会に備える外国法事務弁護士名簿に、氏名、生年月日、国籍、原資格国の国名、国内の住所、事務所、所属弁護士会その他の日本弁護士連合会の会則で定める事項の登録を受けなければならない。

 外国法事務弁護士名簿の登録は、日本弁護士連合会が行う。


(登録の請求等)

第25条 前条の規定による登録(以下「登録」という。)を受けようとする者は、入会しようとする弁護士会を経由して、日本弁護士連合会に登録請求書を提出しなければならない。

 前項の登録請求書には、次に掲げる事項を記載し、外国法事務弁護士となる資格を有することを証する書類その他の日本弁護士連合会の会則で定める書類を添付しなければならない。

 登録を受けるべき事項

 承認を受けた年月日

 外国弁護士として受けた賞罰及びその職務上の監督機関によるその職務歴に関する評価

 その他日本弁護士連合会の会則で定める事項

 第1項の登録請求書の提出を受けた弁護士会は、速やかに、これを日本弁護士連合会に進達しなければならない。

 前項の弁護士会は、日本弁護士連合会に対し、第1項の規定による登録の請求(以下「登録請求」という。)について意見を述べることができる。


(登録の拒絶)

第26条 日本弁護士連合会は、登録請求をした者が、弁護士会若しくは日本弁護士連合会の秩序若しくは信用を害するおそれがあるとき、又は次の各号のいずれかに該当し、外国法事務弁護士の職務を行わせることがその適正を欠くおそれがあるときは、外国法事務弁護士登録審査会の議決に基づき、その登録を拒絶することができる。

 心身に故障があるとき。

 第8条において準用する弁護士法第7条第3号に規定する処分を受けた者が当該処分を受けた日から3年を経過して請求したとき。


(登録に関する通知)

第27条 日本弁護士連合会は、登録請求を受けた場合において、登録をしたときはその旨を、登録を拒絶したときはその旨及びその理由を当該登録請求をした者及びこれを進達した弁護士会並びに法務大臣に書面により通知しなければならない。


(登録換えの請求等)

第28条 外国法事務弁護士は、所属弁護士会を変更しようとするときは、新たに入会しようとする弁護士会を経由して、日本弁護士連合会に登録換え請求書を提出しなければならない。

 外国法事務弁護士は、前項の規定による登録換えの請求(以下「登録換え請求」という。)をするときは、所属弁護士会にその旨を届け出なければならない。

 第25条第3項及び第4項並びに前二条の規定は、登録換え請求について準用する。


(登録の取消しの請求)

第29条 外国法事務弁護士は、その業務をやめようとするときは、所属弁護士会を経由して、日本弁護士連合会に登録の取消しを請求しなければならない。


(登録の取消し)

第30条 日本弁護士連合会は、外国法事務弁護士が次の各号のいずれかに該当する場合には、その登録を取り消さなければならない。

 第8条において準用する弁護士法第7条各号(第2号を除く。)のいずれかに該当するに至つたとき。

 前条の規定により登録の取消しを請求したとき。

 退会命令を受けたとき。

 第14条第1項第1号若しくは第2項各号のいずれかに該当することにより、又は同条第3項の規定により承認が取り消されたとき。

 死亡したとき。

 日本弁護士連合会は、外国法事務弁護士が、第26条各号に掲げる事項について虚偽の申告をしていたとき、若しくは心身の故障により外国法事務弁護士の職務を行わせることがその適正を欠くおそれがあるとき、又は第48条の規定に違反したときは、外国法事務弁護士登録審査会の議決に基づき、その登録を取り消すことができる。

 日本弁護士連合会は、第1項第1号から第4号まで又は前項の規定により登録を取り消したときは、その旨及びその理由を当該外国法事務弁護士及び従前の所属弁護士会並びに法務大臣に書面により通知しなければならない。


(登録の取消事由の報告)

第31条 弁護士会は、所属の外国法事務弁護士に登録の取消事由があると認めるときは、日本弁護士連合会に、速やかに、その旨を報告しなければならない。


(登録等の公告)

第32条 日本弁護士連合会は、登録、登録換え及び登録の取消しをしたときは、速やかに、その旨を官報で公告しなければならない。


(指定法の付記の請求)

第33条 外国法事務弁護士は、登録に指定法の付記を受けようとするときは、所属弁護士会を経由して、日本弁護士連合会に対し、指定法付記請求書を提出しなければならない。

 前項の指定法付記請求書には、日本弁護士連合会の会則で定める事項を記載し、指定を受けたことを証する書類を添付しなければならない。

 第25条第3項の規定は、第1項の指定法付記請求書の進達について準用する。


(指定法の付記)

第34条 日本弁護士連合会は、前条の規定による請求を受けたときは、速やかに、当該外国法事務弁護士の登録に当該指定法を付記しなければならない。

 第27条の規定は、前項の規定による付記をした場合について準用する。


(指定法の付記の抹消)

第35条 日本弁護士連合会は、指定が取り消されたときは、当該指定法の付記を抹消しなければならない。


(指定法の付記等の公告)

第36条 第32条の規定は、指定法の付記及びその付記の抹消について準用する。

第2款 外国法事務弁護士登録審査会

(設置)

第37条 日本弁護士連合会に外国法事務弁護士登録審査会を置く。

 外国法事務弁護士登録審査会は、日本弁護士連合会の請求により、外国法事務弁護士の登録請求、登録換え請求、第29条の規定による登録の取消しの請求及び第30条第2項の規定による登録の取消しに関して必要な審査を行うものとする。


(組織)

第38条 外国法事務弁護士登録審査会は、会長及び委員13人をもつて組織する。

 会長は、日本弁護士連合会の会長が指名する日本弁護士連合会の副会長をもつて充てる。

 委員のうち、8人は弁護士の中から、3人は裁判官、検察官及び学識経験者の中からそれぞれ1人ずつ、2人は政府職員の中から日本弁護士連合会の会長が委嘱する。ただし、裁判官、検察官又は政府職員である委員は最高裁判所、検事総長又は法務大臣の推薦に基づき、その他の委員は日本弁護士連合会の会則で定める日本弁護士連合会の機関の決議に基づかなければならない。

 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

 外国法事務弁護士登録審査会に予備委員13人を置く。

 第3項及び第4項並びに弁護士法第53条第3項の規定は、前項の予備委員について準用する。

 弁護士法第54条の規定は外国法事務弁護士登録審査会の会長について、同条第2項の規定は外国法事務弁護士登録審査会の委員及び予備委員について準用する。


(審査手続)

第39条 弁護士法第55条第1項の規定は、外国法事務弁護士登録審査会の審査手続について準用する。

 外国法事務弁護士登録審査会は、登録請求若しくは登録換え請求の拒絶又は第30条第2項の規定による登録の取消しを可とする議決をする場合には、あらかじめ、当事者に対してその旨を通知し、かつ、これに関して陳述及び資料の提出をする機会を与えなければならない。

第3款 弁護士会及び日本弁護士連合会への入会及び退会

(弁護士会及び日本弁護士連合会への入会及び退会)

第40条 登録を受けた者は、当該登録の時に、当該弁護士会及び日本弁護士連合会に入会するものとする。

 登録換えを受けた者は、当該登録換えの時に、当該弁護士会に入会するものとし、これによつて従前の所属弁護士会を退会するものとする。

 第29条の規定による請求により登録の取消しを受けた者は、その取消しの時に、所属弁護士会及び日本弁護士連合会を退会するものとする。


第41条 弁護士会が合併したときは、合併により解散した弁護士会に所属した外国法事務弁護士は、当然、合併後存続し又は合併により設立された弁護士会に入会するものとする。

 第28条第1項の規定は、前項の場合について準用する。


(会則を守る義務)

第42条 外国法事務弁護士は、所属弁護士会及び日本弁護士連合会の会則中外国法事務弁護士に関する規定を守らなければならない。


(外国法事務弁護士の議決権)

第43条 外国法事務弁護士は、所属弁護士会又は日本弁護士連合会が、第22条各号又は第23条各号に掲げる事項についての会則の制定又は改廃を審議すべき総会を招集するときは、その総会に出席し、意見を述べ、及び議決に加わることができる。

第3節 外国法事務弁護士の権利及び義務

(外国法事務弁護士の資格の表示)

第44条 外国法事務弁護士は、業務を行うに際しては、外国法事務弁護士の名称を用い、かつ、その名称に原資格国の国名を付加しなければならない。


(外国法事務弁護士の事務所)

第45条 外国法事務弁護士の事務所は、外国法事務弁護士事務所と称さなければならない。

 外国法事務弁護士の事務所の名称中には、他の個人又は団体の名称を用いてはならない。ただし、法律事務の処理を目的とする原資格国の法人、組合その他の事業体で自己が所属するもの(以下「所属事業体」という。)の名称については、次に掲げる場合に限り、用いることができる。

 当該所属事業体の名称を用いている外国法事務弁護士又は外国法事務弁護士法人がない場合

 既に当該所属事業体の名称を用いている外国法事務弁護士又は外国法事務弁護士法人がある場合において、その外国法事務弁護士又は外国法事務弁護士法人と事務所を共にするとき。

 前二項の規定にかかわらず、外国法事務弁護士は、外国法事務弁護士、外国法事務弁護士法人、弁護士又は弁護士法人に雇用されているときは、その外国法事務弁護士、外国法事務弁護士法人、弁護士又は弁護士法人の事務所の名称を使用することができる。

 外国法事務弁護士事務所は、その外国法事務弁護士の所属弁護士会の地域内に設けなければならない。

 外国法事務弁護士は、いかなる名義をもつてしても、国内に二個以上の事務所を設けることができない。


(原資格国法及び指定法の表示)

第46条 外国法事務弁護士は、日本弁護士連合会の会則で定めるところにより、その事務所内の公衆の見やすい場所に、原資格国法及び指定法を表示する標識を掲示しなければならない。

 前項の規定による掲示のほか、原資格国法及び指定法の表示に関し必要な事項は、日本弁護士連合会の会則で定める。


(外国弁護士の名称等の使用)

第47条 外国法事務弁護士は、業務を行うに際しては、外国法事務弁護士の名称及び原資格国の国名に付加する場合に限り、原資格国における外国弁護士の名称を用いることができる。

 外国法事務弁護士は、第45条第2項ただし書の規定により事務所の名称中に用いることができる場合のほか、業務を行うに際しては、同項各号に掲げる場合において自己の氏名又は事務所の名称に付加するときに限り、所属事業体の名称を用いることができる。


(在留義務)

第48条 外国法事務弁護士は、1年のうち180日以上本邦に在留しなければならない。

 外国法事務弁護士が、自己又は親族の傷病その他のやむを得ない事情に基づき、出国をして本邦外の地域に在つた場合においては、その本邦外の地域に在つた期間は、前項の規定の適用については、本邦に在留した期間とみなす。


(権限外法律事務の取扱いについての雇用関係に基づく業務上の命令の禁止等)

第49条 外国法事務弁護士であつて弁護士又は外国法事務弁護士を雇用するものは、自己の第3条及び第5条から第5条の3までに規定する業務の範囲を超える法律事務(以下「権限外法律事務」という。)の取扱いについて、その雇用する弁護士又は外国法事務弁護士に対し、雇用関係に基づく業務上の命令をしてはならない。

 前項の規定に違反してされた命令を受けて、使用者である外国法事務弁護士が権限外法律事務を行うことに関与した弁護士又は外国法事務弁護士は、これが雇用関係に基づく業務上の命令に従つたものであることを理由として、懲戒その他の責任を免れることができない。

 外国法事務弁護士であつて弁護士又は外国法事務弁護士を雇用するものは、第1項に規定するもののほか、その雇用する弁護士又は外国法事務弁護士が自ら行う法律事務であつて当該使用者である外国法事務弁護士の権限外法律事務に当たるものの取扱いについて、不当な関与をしてはならない。


(外国法共同事業における不当関与の禁止)

第49条の2 外国法共同事業を営む外国法事務弁護士は、当該外国法共同事業に係る弁護士又は弁護士法人が自ら行う法律事務であつて当該外国法事務弁護士の権限外法律事務に当たるものの取扱いについて、不当な関与をしてはならない。


(弁護士の雇用及び外国法共同事業に係る届出)

第49条の3 外国法事務弁護士は、弁護士を雇用しようとするとき又は外国法共同事業を営もうとするときは、あらかじめ、次に掲げる事項その他の日本弁護士連合会の会則で定める事項を日本弁護士連合会に届け出なければならない。この場合においては、日本弁護士連合会の会則で定める書類を添付しなければならない。

 当該雇用に係る弁護士の氏名及び事務所

 当該外国法共同事業に係る弁護士又は弁護士法人の氏名又は名称及び事務所並びに当該外国法共同事業において行う法律事務の範囲

 日本弁護士連合会は、前項の規定による届出があつたときは、当該外国法事務弁護士の登録に当該届出に係る事項で日本弁護士連合会の会則で定めるものを付記しなければならない。

 第1項の規定による届出をした外国法事務弁護士は、当該届出に係る事項のうち、外国法共同事業において行う法律事務の範囲その他の日本弁護士連合会の会則で定める重要な事項の変更をしようとするときは、あらかじめ、その旨を日本弁護士連合会に届け出なければならない。この場合においては、同項後段の規定を準用する。

 日本弁護士連合会は、前項の規定による届出があつたときは、当該届出に基づき、第2項の規定により当該外国法事務弁護士の登録に付記された事項の訂正をしなければならない。

 第1項の規定による届出をした外国法事務弁護士は、弁護士を雇用すること又は外国法共同事業を営むことをやめたときは、遅滞なく、その旨を日本弁護士連合会に届け出なければならない。

 日本弁護士連合会は、前項の規定による届出があつたときは、第2項の規定により当該外国法事務弁護士の登録に付記された事項を抹消しなければならない。

 日本弁護士連合会は、第1項、第3項又は第5項の規定による届出があつたときは、当該届出に係る事項を当該外国法事務弁護士の所属弁護士会及び当該雇用若しくは外国法共同事業に係る弁護士又は当該外国法共同事業に係る弁護士法人の所属弁護士会に書面により通知しなければならない。


(外国法共同事業の表示)

第49条の4 前条第1項の規定により外国法共同事業に係る届出をした外国法事務弁護士は、次条の規定によりその事務所の名称中に「外国法共同事業」の文字を使用する場合を除き、その事務所の名称に、外国法共同事業を営む旨及び当該外国法共同事業に係る弁護士又は弁護士法人の事務所の名称を付加しなければならない。


(外国法共同事業に係る事務所の名称の特例)

第49条の5 外国法共同事業を営む外国法事務弁護士の事務所については、当該外国法事務弁護士が当該外国法共同事業に係る弁護士又は弁護士法人と事務所(弁護士法人にあつては、その主たる事務所に限る。以下この条において同じ。)を共にし、かつ、当該外国法共同事業において行う法律事務の範囲に制限を設けていない場合であつて、その弁護士又は弁護士法人の事務所の名称中に「外国法共同事業」の文字があるときは、第45条第1項及び第2項の規定にかかわらず、これと同一の名称を使用することができる。


(弁護士法の準用等)

第50条 弁護士法第23条から第30条までの規定は、外国法事務弁護士について準用する。この場合において、同法第25条第6号中「弁護士法人(第30条の2第1項に規定する弁護士法人」とあるのは「外国法事務弁護士法人(外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法(昭和61年法律第66号)第2条第3号の2に規定する外国法事務弁護士法人」と、「外国法事務弁護士法人(外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法(昭和61年法律第66号)第2条第3号の2に規定する外国法事務弁護士法人」とあるのは「弁護士法人(第30条の2第1項に規定する弁護士法人」と、同条第7号から第9号までの規定中「弁護士法人の社員」とあるのは「外国法事務弁護士法人の社員」と、「外国法事務弁護士法人の使用人」とあるのは「弁護士法人の使用人」と、同法第30条第2項及び第4項中「営利業務従事弁護士名簿」とあるのは「営利業務従事外国法事務弁護士名簿」と読み替えるものとする。

 弁護士法第74条第2項の規定は、外国法事務弁護士には適用しない。

第5章 外国法事務弁護士法人

(設立)

第50条の2 外国法事務弁護士は、この章の定めるところにより、外国法事務弁護士法人を設立することができる。


(名称)

第50条の3 外国法事務弁護士法人は、その名称中に外国法事務弁護士法人という文字を使用しなければならない。


(社員の資格)

第50条の4 外国法事務弁護士法人の社員は、外国法事務弁護士でなければならない。

 次に掲げる者は、社員となることができない。

 第51条の規定により業務の停止の懲戒を受け、当該業務の停止の期間を経過しない者

 第51条の規定により外国法事務弁護士法人が除名され、又は外国法事務弁護士法人の業務の停止の懲戒を受けた場合において、その処分を受けた日以前30日内にその社員であつた者でその処分を受けた日から3年(外国法事務弁護士法人の業務の停止の懲戒を受けた場合にあつては、当該業務の停止の期間)を経過しないもの


(業務の範囲)

第50条の5 外国法事務弁護士法人は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によつて、外国法に関する法律事務を行うほか、定款で定めるところにより、法令等に基づき外国法事務弁護士が行うことができるものとして法務省令で定める業務の全部又は一部を行うことができる。ただし、次に掲げる業務を行うことは、この限りでない。

 第3条第1項第1号、第2号及び第4号から第6号までに掲げる法律事務

 国内において効力を有し、又は有した法(外国において効力を有し、又は有した法に含まれる条約その他の国際法を除く。)の解釈又は適用についての鑑定その他の法的意見の表明

 外国法事務弁護士法人は、前項に規定するもののほか、国際仲裁事件の手続等及び国際調停事件の手続についての代理を行うことができる。


(設立の手続)

第50条の6 外国法事務弁護士法人を設立するには、その社員になろうとする外国法事務弁護士が、定款を定めなければならない。

 弁護士法第30条の8第2項及び第3項の規定は、外国法事務弁護士法人の定款について準用する。この場合において、同項第3号中「法律事務所」とあるのは「事務所」と、同項第5号中「住所」とあるのは「住所、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法第2条第5号に規定する原資格国法、同条第9号に規定する指定法」と読み替えるものとする。


(弁護士会及び日本弁護士連合会への入会及び退会)

第50条の7 外国法事務弁護士法人は、その成立の時に、主たる事務所の所在する地域の弁護士会(二個以上の弁護士会があるときは、当該外国法事務弁護士法人が定款に記載した弁護士会)及び日本弁護士連合会に入会するものとする。

 第41条第1項及び弁護士法第36条の2第2項から第7項までの規定は、外国法事務弁護士法人について準用する。この場合において、同条第2項から第4項までの規定中「法律事務所」とあるのは「事務所」と、同条第2項中「の会員となる」とあるのは「に入会するものとする」と読み替えるものとする。


(業務の執行)

第50条の8 外国法事務弁護士法人の社員は、定款で業務を執行しないものとされた場合を除き、次に掲げる業務を執行する。

 当該社員の原資格国法に関する法律事務(第3条第1項各号に掲げる法律事務を除く。)

 国際仲裁事件の手続等及び国際調停事件の手続についての代理

 業務を執行する社員は、前項に規定するもののほか、指定を受け、かつ、第34条第1項の規定による指定法の付記を受けたときは、当該指定法に関する法律事務について業務を執行することができる。ただし、第3条第1項第1号、第2号及び第4号から第6号までに掲げる法律事務並びに当該指定法以外の法の解釈又は適用についての鑑定その他の法的意見の表明については、この限りでない。

 業務を執行する社員は、前二項に規定するもののほか、第5条の2第1項各号に掲げる者の書面による助言を受けてするときは、特定外国法に関する法律事務について業務を執行することができる。ただし、第3条第1項第1号、第2号及び第4号から第6号までに掲げる法律事務並びに当該特定外国法以外の法の解釈又は適用についての鑑定その他の法的意見の表明については、この限りでない。

 業務を執行する社員は、前三項の規定により執行することのできる業務であつても、第3条第2項各号に掲げるものについては、弁護士と共同し、又は弁護士の書面による助言を受けて行わなければならない。


(社員の資格の表示)

第50条の9 外国法事務弁護士法人は、社員が業務を執行するに際しては、当該社員に、外国法事務弁護士の名称を用いさせ、かつ、その名称に原資格国の国名を付加させなければならない。


(事務所)

第50条の10 外国法事務弁護士法人は、その事務所の名称中に当該外国法事務弁護士法人の名称を用いなければならない。

 第45条第2項及び第4項の規定は外国法事務弁護士法人の事務所について、第49条の4の規定は外国法事務弁護士法人及びその事務所について、第49条の5の規定は外国法事務弁護士法人について準用する。この場合において、第45条第2項ただし書中「原資格国」とあるのは「社員の原資格国」と、「自己」とあるのは「当該社員」と、第49条の5中「外国法事務弁護士の事務所」とあるのは「外国法事務弁護士法人の主たる事務所」と、「弁護士法人にあつては」とあるのは「弁護士法人又は外国法事務弁護士法人にあつては」と、「限る。以下この条において同じ」とあるのは「限る」と、「事務所の」とあるのは「事務所(弁護士法人にあつては、その主たる事務所に限る。)の」と読み替えるものとする。


(業務の範囲を超える法律事務の取扱いについての雇用関係に基づく業務上の命令の禁止等)

第50条の11 外国法事務弁護士法人は、自己の業務の範囲を超える法律事務の取扱いについて、その雇用する弁護士又は外国法事務弁護士に対し、雇用関係に基づく業務上の命令をしてはならない。

 前項の規定に違反してされた命令を受けて、使用者である外国法事務弁護士法人が自己の業務の範囲を超える法律事務を行うことに関与した弁護士又は外国法事務弁護士は、これが雇用関係に基づく業務上の命令に従つたものであることを理由として、懲戒その他の責任を免れることができない。

 外国法事務弁護士法人は、第1項に規定するもののほか、その雇用する弁護士又は外国法事務弁護士が自ら行う法律事務であつて当該使用者である外国法事務弁護士法人の業務の範囲を超える法律事務に当たるものの取扱いについて、不当な関与をしてはならない。

 外国法事務弁護士法人の社員は、当該外国法事務弁護士法人が雇用する弁護士又は外国法事務弁護士が自ら行う法律事務であつて当該社員の権限外法律事務に当たるものの取扱いについて、不当な関与をしてはならない。


(外国法共同事業における不当関与の禁止)

第50条の12 外国法共同事業を営む外国法事務弁護士法人は、当該外国法共同事業に係る弁護士又は弁護士法人が自ら行う法律事務であつて当該外国法事務弁護士法人の業務の範囲を超える法律事務に当たるものの取扱いについて、不当な関与をしてはならない。

 外国法共同事業を営む外国法事務弁護士法人の社員は、当該外国法共同事業に係る弁護士又は弁護士法人が自ら行う法律事務であつて当該社員の権限外法律事務に当たるものの取扱いについて、不当な関与をしてはならない。


(外国法事務弁護士の義務の規定及び弁護士法の準用等)

第50条の13 第42条並びに第49条の3第1項、第3項、第5項及び第7項の規定は、外国法事務弁護士法人について準用する。

 弁護士法第1条、第21条、第23条の2、第24条、第27条から第29条まで、第30条の7、第30条の9から第30条の11まで、第30条の13から第30条の16まで、第30条の17本文、第30条の18から第30条の20まで及び第30条の22から第30条の30までの規定は、外国法事務弁護士法人について準用する。この場合において、同法第21条、第30条の9、第30条の17本文、第30条の26の3及び第30条の27第2項中「法律事務所」とあるのは「事務所」と、同法第30条の18第4号中「社員若しくは使用人である弁護士又は使用人である外国法事務弁護士(以下「社員等」という。)」とあり、及び同法第30条の20中「社員等」とあるのは「社員若しくは使用人である外国法事務弁護士又は使用人である弁護士」と、同法第30条の22第5号中「第11条」とあるのは「外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法第29条」と、同条第6号中「第57条第1項第2号」とあるのは「外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法第52条第1項第2号」と、「第13条第1項」とあるのは「同法第30条第2項」と、同法第30条の23第1項第6号中「第56条又は第60条」とあるのは「外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法第51条」と、同法第30条の26第1項中「弁護士で」とあるのは「弁護士又は外国法事務弁護士で」と、同法第30条の30第1項中「「弁護士法」とあるのは「「外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法(昭和61年法律第66号)第50条の13第2項において準用する弁護士法」と、同条第2項中「「弁護士法」とあるのは「「外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法第50条の13第2項において準用する弁護士法」と読み替えるものとする。

 弁護士法第72条及び第74条第2項の規定は、外国法事務弁護士法人には適用しない。

第6章 懲戒

第1節 懲戒の処分

(懲戒事由及び懲戒権者)

第51条 外国法事務弁護士及び外国法事務弁護士法人は、この法律(弁護士法人の使用人である外国法事務弁護士にあつては、この法律又は弁護士法)又は所属弁護士会若しくは日本弁護士連合会の会則中外国法事務弁護士若しくは外国法事務弁護士法人に関する規定に違反し、所属弁護士会又は日本弁護士連合会の秩序又は信用を害し、その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があつたときは、懲戒を受ける。

 懲戒は、日本弁護士連合会が外国法事務弁護士懲戒委員会の議決に基づいて行う。


(懲戒の種類)

第52条 外国法事務弁護士に対する懲戒は、次の四種とする。

 戒告

 2年以内の業務の停止

 退会命令

 除名

 外国法事務弁護士法人に対する懲戒は、次の三種とする。

 戒告

 2年以内の外国法事務弁護士法人の業務の停止又はその事務所の業務の停止

 除名


(懲戒の手続)

第53条 何人も、外国法事務弁護士又は外国法事務弁護士法人について懲戒の事由があると思料するときは、その事由の説明を添えて、当該外国法事務弁護士又は外国法事務弁護士法人の所属弁護士会を経由して、日本弁護士連合会に懲戒の請求をすることができる。

 弁護士会は、所属の外国法事務弁護士又は外国法事務弁護士法人について、懲戒の事由があると思料するとき、又は前項の請求があつたときは、懲戒の手続に付し、弁護士法第70条第1項の規定によりその弁護士会に置かれた綱紀委員会に調査をさせることができる。この場合において、その綱紀委員会が当該外国法事務弁護士又は外国法事務弁護士法人を懲戒することを相当と認めたときは、その綱紀委員会の調査結果及び意見を添えて日本弁護士連合会に懲戒の請求をしなければならない。

 日本弁護士連合会は、外国法事務弁護士又は外国法事務弁護士法人について、懲戒の事由があると思料するとき、又は第1項の請求があつたときは、懲戒の手続に付し、外国法事務弁護士綱紀委員会にその調査をさせなければならない。ただし、同一の事由について前項の調査が行われているときは、この限りでない。

 日本弁護士連合会は、外国法事務弁護士綱紀委員会が前項の調査により外国法事務弁護士若しくは外国法事務弁護士法人を懲戒することを相当と認めたとき、又は第2項の請求があつたときは、外国法事務弁護士懲戒委員会にその審査を求めなければならない。

 弁護士会の綱紀委員会及び外国法事務弁護士綱紀委員会は、調査に関し必要があるときは、懲戒の手続に付された外国法事務弁護士又は外国法事務弁護士法人、第1項の請求をした者、関係人及び官公署その他に対して陳述、説明又は資料の提出を求めることができる。

 日本弁護士連合会は、外国法事務弁護士又は外国法事務弁護士法人を懲戒するときは、当該外国法事務弁護士又は外国法事務弁護士法人に懲戒の処分の内容及びその理由を書面により通知しなければならない。

 日本弁護士連合会は、外国法事務弁護士又は外国法事務弁護士法人を懲戒したときは、遅滞なく、懲戒の処分の内容を官報をもつて公告しなければならない。

 日本弁護士連合会は、第1項若しくは第2項の請求に係る外国法事務弁護士若しくは外国法事務弁護士法人を懲戒したとき、又はその外国法事務弁護士若しくは外国法事務弁護士法人を懲戒しないこととしたときは、その旨を第1項の請求をした者又は第2項の請求をした弁護士会に通知しなければならない。


(弁護士法の準用)

第54条 弁護士法第57条の2第1項の規定は懲戒を受けた外国法事務弁護士法人について、同法第62条の規定は懲戒の手続に付された外国法事務弁護士及び外国法事務弁護士法人について、同法第63条の規定は外国法事務弁護士及び外国法事務弁護士法人の懲戒の手続について準用する。この場合において、同法第57条の2第1項並びに第62条第2項及び第4項中「法律事務所」とあるのは「事務所」と、同項及び同条第5項中「この章の規定の適用については」とあるのは「当該懲戒の手続との関係においては」と読み替えるものとする。

第2節 外国法事務弁護士懲戒委員会及び外国法事務弁護士綱紀委員会

(外国法事務弁護士懲戒委員会の設置)

第55条 日本弁護士連合会に外国法事務弁護士懲戒委員会を置く。

 外国法事務弁護士懲戒委員会は、日本弁護士連合会の請求により、外国法事務弁護士及び外国法事務弁護士法人の懲戒に関して必要な審査を行うものとする。


(組織)

第56条 外国法事務弁護士懲戒委員会は、委員15人をもつて組織する。

 委員のうち、8人は弁護士の中から、6人は裁判官、検察官及び政府職員の中からそれぞれ2人ずつ、1人は学識経験者の中から日本弁護士連合会の会長が委嘱する。ただし、裁判官、検察官又は政府職員である委員は最高裁判所、検事総長又は法務大臣の推薦に基づき、その他の委員は日本弁護士連合会の会則で定める日本弁護士連合会の機関の決議に基づかなければならない。

 外国法事務弁護士懲戒委員会に委員長を置き、委員が互選する。

 第38条第4項の規定は、外国法事務弁護士懲戒委員会の委員の任期について準用する。

 外国法事務弁護士懲戒委員会に予備委員15人を置く。

 第2項及び第38条第4項並びに弁護士法第66条の4第2項の規定は、前項の予備委員について準用する。この場合において、同条第2項中「弁護士会の会長又は日本弁護士連合会の会長」とあるのは、「委員長」と読み替えるものとする。

 弁護士法第66条の2第4項の規定は外国法事務弁護士懲戒委員会の委員長、委員及び予備委員について、同法第66条の3第2項及び第3項の規定は外国法事務弁護士懲戒委員会の委員長について準用する。


(審査手続)

第57条 外国法事務弁護士懲戒委員会は、審査を求められたときは、速やかに、審査の期日を定め、懲戒の手続に付された外国法事務弁護士又は外国法事務弁護士法人にその旨を通知しなければならない。

 審査を受ける外国法事務弁護士又は外国法事務弁護士法人の社員は、審査期日に出頭し、かつ、陳述することができる。この場合において、その外国法事務弁護士又は外国法事務弁護士法人の社員は、委員長の指揮に従わなければならない。

 外国法事務弁護士懲戒委員会は、審査に関し必要があるときは、懲戒の手続に付された外国法事務弁護士又は外国法事務弁護士法人、第53条第1項の請求をした者、同条第2項の請求をした弁護士会、関係人及び官公署その他に対して陳述、説明又は資料の提出を求めることができる。

 弁護士法第67条の2及び第68条の規定は、外国法事務弁護士懲戒委員会の審査手続について準用する。


(外国法事務弁護士綱紀委員会の設置等)

第58条 日本弁護士連合会に外国法事務弁護士綱紀委員会を置く。

 外国法事務弁護士綱紀委員会は、第53条第3項の調査を行うものとする。

 外国法事務弁護士綱紀委員会は、委員若干人をもつて組織する。

 委員は、弁護士、裁判官、検察官、政府職員及び学識経験者の中から日本弁護士連合会の会長が委嘱する。ただし、裁判官、検察官又は政府職員である委員は最高裁判所、検事総長又は法務大臣の推薦に基づき、その他の委員は日本弁護士連合会の会則で定める日本弁護士連合会の機関の決議に基づかなければならない。

 外国法事務弁護士綱紀委員会に委員長を置き、委員が互選する。

 第38条第4項の規定は、外国法事務弁護士綱紀委員会の委員の任期について準用する。

 外国法事務弁護士綱紀委員会に予備委員若干人を置く。

 第4項及び第38条第4項並びに弁護士法第70条の5第2項の規定は、前項の予備委員について準用する。この場合において、同条第2項中「弁護士会の会長又は日本弁護士連合会の会長」とあるのは、「委員長」と読み替えるものとする。

 弁護士法第70条の3第4項の規定は外国法事務弁護士綱紀委員会の委員長、委員及び予備委員について、同法第70条の4第2項及び第3項の規定は外国法事務弁護士綱紀委員会の委員長について準用する。

第7章 雑則

(外国弁護士による国際仲裁事件の手続等及び国際調停事件の手続の代理)

第58条の2 外国弁護士(外国法事務弁護士である者を除く。)であつて外国において当該外国弁護士となる資格を基礎として法律事務を行う業務に従事している者(国内において雇用されて外国法に関する知識に基づいて労務の提供を行つている者を除く。)は、弁護士法第72条の規定にかかわらず、その外国において依頼され又は受任した国際仲裁事件の手続等及び国際調停事件の手続についての代理を行うことができる。ただし、第52条第1項第2号又は同法第57条第1項第2号に規定する処分に相当する外国の法令による処分により業務を停止されているときは、この限りでない。


(行政不服審査法の適用除外)

第58条の3 行政不服審査法(平成26年法律第68号)第2章第4節の規定は、法務大臣が第10条第4項(第14条第4項、第16条第2項及び第20条第3項において準用する場合を含む。)の規定により日本弁護士連合会の意見を聴いて行つた承認に関する処分、第14条第1項から第3項までの規定による承認の取消しの処分、指定に関する処分及び第20条第1項又は第2項の規定による指定の取消しの処分についての審査請求については、適用しない。


(行政手続法の適用除外)

第58条の4 行政手続法(平成5年法律第88号)第2章、第3章及び第4章の2の規定は、日本弁護士連合会及び弁護士会がこの法律に基づいて行う処分については、適用しない。


(審査請求の制限)

第59条 この法律に基づく日本弁護士連合会の処分又はその不作為については、審査請求をすることができない。


(訴えの提起)

第60条 第26条の規定により登録を拒絶された者、第28条第3項において準用する第26条の規定により登録換えを拒絶された者、第30条第2項の規定により登録を取り消された者又は第51条の規定による懲戒を受けた者は、東京高等裁判所に当該処分の取消しの訴えを提起することができる。

 登録請求又は登録換え請求をした者は、その請求の日の翌日から起算して5箇月を経過しても、日本弁護士連合会が当該請求に対して何ら処分をしないときは、当該登録又は登録換えを拒絶されたものとして、前項の訴えを提起することができる。


(非外国法事務弁護士の虚偽標示等の禁止)

第61条 外国法事務弁護士又は外国法事務弁護士法人でない者は、外国法事務弁護士又は外国法事務弁護士事務所の標示又は記載をしてはならない。

 外国法事務弁護士法人でない者は、その名称中に外国法事務弁護士法人又はこれに類似する名称を用いてはならない。


(法務省令への委任)

第62条 この法律に定めるもののほか、承認及びその取消し並びに指定及びその取消しの手続その他第3章の規定の実施に関し必要な事項は、法務省令で定める。

第8章 罰則

第63条 外国法事務弁護士が、業務に関し、次の各号に掲げる法律事務を行つたときは、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。

 国内の裁判所における訴訟事件(刑事に関するものを除く。)、非訟事件、家事審判事件、民事執行事件、民事保全事件その他民事に関する事件の手続についての代理

 刑事に関する事件の手続についての代理、刑事に関する事件における弁護人としての活動、少年の保護事件における付添人としての活動又は逃亡犯罪人引渡審査請求事件における補佐

 国内の行政庁に対する審査請求、再調査の請求その他の不服申立事件の手続についての代理

 国内において効力を有し、又は有した法(原資格国法若しくは指定法に含まれる条約その他の国際法又は第5条の2第1項の規定により特定外国法に関する法律事務を行う場合の特定外国法に含まれる条約その他の国際法を除く。)の解釈又は適用についての書面による鑑定


第64条 偽りその他不正の手段により、外国法事務弁護士名簿に登録をさせ、又は登録に指定法の付記をさせた者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

 前項の未遂罪は、罰する。


第65条 第50条第1項において準用する弁護士法第26条又は第50条の13第2項において準用する同法第30条の20の規定に違反した者は、3年以下の懲役に処する。


第66条 第50条第1項又は第50条の13第2項において準用する弁護士法第27条又は第28条の規定に違反した者は、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。


第67条 外国法事務弁護士又は外国法事務弁護士であつた者が、正当な理由がないのに、その業務に関して知ることができた人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。


第68条 第61条の規定に違反した者は、100万円以下の罰金に処する。


第69条 第50条の13第2項において準用する弁護士法第30条の28第6項において準用する会社法(平成17年法律第86号)第955条第1項の規定に違反して、同項に規定する調査記録簿等に同項に規定する電子公告調査に関し法務省令で定めるものを記載せず、若しくは記録せず、若しくは虚偽の記載若しくは記録をし、又は当該調査記録簿等を保存しなかつた者は、30万円以下の罰金に処する。


第70条 弁護士法人の使用人である外国法事務弁護士又は外国法事務弁護士法人の社員若しくは使用人である外国法事務弁護士若しくは使用人である弁護士が、その弁護士法人又は外国法事務弁護士法人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その弁護士法人又は外国法事務弁護士法人に対して当該各号に定める罰金刑を科する。

 第63条 同条の罰金刑

 第65条(第50条の13第2項において準用する弁護士法第30条の20に係る部分に限る。) 300万円以下の罰金刑

 第66条(第50条の13第2項において準用する弁護士法第27条又は第28条に係る部分に限る。) 第66条の罰金刑

 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して前二条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の刑を科する。


第71条 次の各号のいずれかに該当する者は、100万円以下の過料に処する。

 第50条の13第2項において準用する弁護士法第30条の28第6項において準用する会社法第946条第3項の規定に違反して、報告をせず、又は虚偽の報告をした者

 正当な理由がないのに、第50条の13第2項において準用する弁護士法第30条の28第6項において準用する会社法第951条第2項各号又は第955条第2項各号に掲げる請求を拒んだ者


第72条 次の各号のいずれかに該当する場合には、外国法事務弁護士法人の社員又は清算人は、30万円以下の過料に処する。

 第50条の13第2項において準用する弁護士法第30条の7第1項の規定に基づく政令に違反して登記をすることを怠つたとき。

 第50条の13第2項において準用する弁護士法第30条の28第2項又は第5項の規定に違反して合併をしたとき。

 第50条の13第2項において準用する弁護士法第30条の28第6項において準用する会社法第941条の規定に違反して同条の調査を求めなかつたとき。

 定款又は第50条の13第2項において準用する弁護士法第30条の30第1項において準用する会社法第615条第1項の会計帳簿若しくは第50条の13第2項において準用する弁護士法第30条の30第1項において準用する会社法第617条第1項若しくは第2項の貸借対照表に記載し、若しくは記録すべき事項を記載せず、若しくは記録せず、又は虚偽の記載若しくは記録をしたとき。

 第50条の13第2項において準用する弁護士法第30条の30第2項において準用する会社法第656条第1項の規定に違反して破産手続開始の申立てを怠つたとき。

 第50条の13第2項において準用する弁護士法第30条の30第2項において準用する会社法第664条の規定に違反して財産を分配したとき。

 第50条の13第2項において準用する弁護士法第30条の30第2項において準用する会社法第670条第2項又は第5項の規定に違反して財産を処分したとき。

附 則
(施行期日)

 この法律は、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

附 則(平成元年12月22日法律第91号)
(施行期日)

第1条 この法律は、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

附 則(平成5年11月12日法律第89号)
(施行期日)

第1条 この法律は、行政手続法(平成5年法律第88号)の施行の日から施行する。


(諮問等がされた不利益処分に関する経過措置)

第2条 この法律の施行前に法令に基づき審議会その他の合議制の機関に対し行政手続法第13条に規定する聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続に相当する手続を執るべきことの諮問その他の求めがされた場合においては、当該諮問その他の求めに係る不利益処分の手続に関しては、この法律による改正後の関係法律の規定にかかわらず、なお従前の例による。


(罰則に関する経過措置)

第13条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。


(聴聞に関する規定の整理に伴う経過措置)

第14条 この法律の施行前に法律の規定により行われた聴聞、聴問若しくは聴聞会(不利益処分に係るものを除く。)又はこれらのための手続は、この法律による改正後の関係法律の相当規定により行われたものとみなす。

附 則(平成6年6月29日法律第65号)
(施行期日)

 この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(承認の基準等に関する経過措置)

 改正後の外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法(以下「新法」という。)第10条第2項及び第3項の規定は、この法律の施行の際現に改正前の外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法(以下「旧法」という。)第9条第1項の規定による申請をしている者についても適用があるものとする。

(承認の失効に関する経過措置)

 この法律の施行前に旧法第29条の規定による請求により登録の取消しを受けた外国法事務弁護士で、この法律の施行の際現に旧法第14条第2項の規定による承認の取消しを受けていない者については、新法第12条の規定を適用する。この場合においては、同条中「第29条の規定による請求により登録の取消しを受けた日の翌日」とあるのは、「外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律(平成6年法律第65号)の施行の日の翌日」とする。

(承認の取消しに関する経過措置)

 新法第14条第3項の規定は、この法律の施行の際現に旧法第7条の規定による承認を受けている者についても適用があるものとする。

(懲戒の処分に関する経過措置)

 この法律の施行の際現に外国法事務弁護士である者に対するこの法律の施行前に生じた事実に基づく懲戒の処分については、なお従前の例による。

附 則(平成7年5月12日法律第91号)
(施行期日)

第1条 この法律は、公布の日から起算して20日を経過した日から施行する。

附 則(平成8年6月12日法律第65号)
(施行期日)

 この法律は、公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(罰則に関する経過措置)

 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(懲戒の処分に関する経過措置)

 この法律の施行前に生じた事実に基づく外国法事務弁護士に対する懲戒の処分については、なお従前の例による。

附 則(平成10年5月13日法律第60号)
(施行期日)

 この法律は、公布の日から起算して3月を経過した日から施行する。

(承認の基準に関する経過措置)

 改正後の外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法第10条第1項及び第2項の規定は、この法律の施行の際現に改正前の外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法第9条第1項の規定による申請をしている者についても適用があるものとする。

(罰則に関する経過措置)

 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(懲戒の処分に関する経過措置)

 この法律の施行前に生じた事実に基づく外国法事務弁護士に対する懲戒の処分については、なお従前の例による。

附 則(平成11年12月8日法律第151号)
(施行期日)

第1条 この法律は、平成12年4月1日から施行する。


(経過措置)

第3条 民法の一部を改正する法律(平成11年法律第149号)附則第3条第3項の規定により従前の例によることとされる準禁治産者及びその保佐人に関するこの法律による改正規定の適用については、次に掲げる改正規定を除き、なお従前の例による。

一から二十五まで 略


第4条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

附 則(平成13年6月8日法律第41号)
(施行期日)

第1条 この法律は、平成14年4月1日から施行する。

附 則(平成13年11月28日法律第129号)
(施行期日)

 この法律は、平成14年4月1日から施行する。

(罰則の適用に関する経過措置)

 この法律の施行前にした行為及びこの法律の規定により従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

附 則(平成15年7月25日法律第128号)
(施行期日)

第1条 この法律は、平成16年4月1日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 附則第6条、第11条及び第12条の規定 公布の日

 略

 第8条(外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法第8条、第10条、第14条、第22条、第26条、第30条、第50条、第53条、第54条及び第56条から第58条までの改正規定を除く。)及び附則第13条第2項の規定 公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日


(外国法事務弁護士の営利業務の届出に関する経過措置)

第12条 施行日前に第8条の規定による改正前の外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法(以下「旧外弁法」という。)第50条第1項において準用する旧弁護士法第30条第3項の許可を受けて営利を目的とする業務を営み、若しくはこれを営む者の使用人となり、又は営利を目的とする法人の業務執行社員、取締役、執行役若しくは使用人となっている外国法事務弁護士は、施行日において引き続きその業務を営み、又はその地位にあろうとするときは、施行日前に、第8条の規定による改正後の外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法(以下「新外弁法」という。)第50条第1項において準用する新弁護士法第30条第1項各号に掲げる区分に応じ、同項各号に規定する事項を、所属弁護士会に届け出ることができる。

 前項の規定による届出をした者は、その届出に係る事項に変更を生じたときは、遅滞なく、その旨を所属弁護士会に届け出なければならない。施行日前に届出に係る業務を廃止し、又は届出に係る地位を失ったときも、同様とする。

 前二項の規定による届出のあった事項については、施行日に新外弁法第50条第1項において準用する新弁護士法第30条第1項の規定による届出があったものとみなす。ただし、前項後段の規定による届出があったものについては、この限りでない。


(外国法事務弁護士の懲戒の処分に関する経過措置)

第13条 施行日前に外国法事務弁護士が旧外弁法第50条第1項の規定において準用する旧弁護士法第30条の規定に違反したことによる懲戒の処分については、なお従前の例による。

 附則第1条第3号に定める日前に外国法事務弁護士が旧外弁法第45条及び第49条から第49条の4までの規定に違反したことによる懲戒の処分については、なお従前の例による。


(外国法事務弁護士の懲戒の手続に関する経過措置)

第14条 新外弁法第53条第7項の規定は、施行日前に日本弁護士連合会がした懲戒の処分については、適用しない。

附 則(平成26年4月25日法律第29号)
(施行期日)

 この法律は、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

附 則(平成26年6月13日法律第69号)
(施行期日)

第1条 この法律は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)の施行の日から施行する。


(経過措置の原則)

第5条 行政庁の処分その他の行為又は不作為についての不服申立てであってこの法律の施行前にされた行政庁の処分その他の行為又はこの法律の施行前にされた申請に係る行政庁の不作為に係るものについては、この附則に特別の定めがある場合を除き、なお従前の例による。


(訴訟に関する経過措置)

第6条 この法律による改正前の法律の規定により不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の行為を経た後でなければ訴えを提起できないこととされる事項であって、当該不服申立てを提起しないでこの法律の施行前にこれを提起すべき期間を経過したもの(当該不服申立てが他の不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の行為を経た後でなければ提起できないとされる場合にあっては、当該他の不服申立てを提起しないでこの法律の施行前にこれを提起すべき期間を経過したものを含む。)の訴えの提起については、なお従前の例による。

 この法律の規定による改正前の法律の規定(前条の規定によりなお従前の例によることとされる場合を含む。)により異議申立てが提起された処分その他の行為であって、この法律の規定による改正後の法律の規定により審査請求に対する裁決を経た後でなければ取消しの訴えを提起することができないこととされるものの取消しの訴えの提起については、なお従前の例による。

 不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の行為の取消しの訴えであって、この法律の施行前に提起されたものについては、なお従前の例による。


(罰則に関する経過措置)

第9条 この法律の施行前にした行為並びに附則第5条及び前二条の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。


(その他の経過措置の政令への委任)

第10条 附則第5条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。

附 則(平成26年6月13日法律第70号)
(施行期日)

第1条 この法律は、平成27年4月1日から施行する。

附 則(令和元年6月14日法律第37号)
(施行期日)

第1条 この法律は、公布の日から起算して3月を経過した日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。


(行政庁の行為等に関する経過措置)

第2条 この法律(前条各号に掲げる規定にあっては、当該規定。以下この条及び次条において同じ。)の施行の日前に、この法律による改正前の法律又はこれに基づく命令の規定(欠格条項その他の権利の制限に係る措置を定めるものに限る。)に基づき行われた行政庁の処分その他の行為及び当該規定により生じた失職の効力については、なお従前の例による。


(罰則に関する経過措置)

第3条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

附 則(令和2年5月29日法律第33号)
(施行期日)

第1条 この法律は、公布の日から起算して2年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第1条並びに次条から附則第5条まで及び附則第26条の規定は、公布の日から起算して3月を経過した日から施行する。


(承認の基準に関する経過措置)

第2条 第1条の規定による改正後の外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法第10条第2項の規定は、第1条の規定の施行の際現に同条の規定による改正前の外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法第9条第1項の規定による申請をしている者についても適用があるものとする。


(罰則に関する経過措置)

第3条 この法律(附則第1条ただし書に規定する規定にあっては、当該規定。次条において同じ。)の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。


(懲戒の処分に関する経過措置)

第4条 この法律の施行前に生じた事実に基づく外国法事務弁護士に対する懲戒の処分については、なお従前の例による。