消費者契約法
第1章 総則
第1条 この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差に鑑み、事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合等について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに、事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とするほか、消費者の被害の発生又は拡大を防止するため適格消費者団体が事業者等に対し差止請求をすることができることとすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
第2条 この法律において「消費者」とは、個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいう。
2 この法律(第43条第2項第2号を除く。)において「事業者」とは、法人その他の団体及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう。
3 この法律において「消費者契約」とは、消費者と事業者との間で締結される契約をいう。
4 この法律において「適格消費者団体」とは、不特定かつ多数の消費者の利益のためにこの法律の規定による差止請求権を行使するのに必要な適格性を有する法人である消費者団体(消費者基本法(昭和43年法律第78号)第8条の消費者団体をいう。以下同じ。)として第13条の定めるところにより内閣総理大臣の認定を受けた者をいう。
第3条 事業者は、次に掲げる措置を講ずるよう努めなければならない。
一 消費者契約の条項を定めるに当たっては、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容が、その解釈について疑義が生じない明確なもので、かつ、消費者にとって平易なものになるよう配慮すること。
二 消費者契約の締結について勧誘をするに際しては、消費者の理解を深めるために、物品、権利、役務その他の消費者契約の目的となるものの性質に応じ、個々の消費者の知識及び経験を考慮した上で、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容についての必要な情報を提供すること。
2 消費者は、消費者契約を締結するに際しては、事業者から提供された情報を活用し、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容について理解するよう努めるものとする。
第2章 消費者契約
第1節 消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し
第4条 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
一 重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認
二 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものに関し、将来におけるその価額、将来において当該消費者が受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供すること。 当該提供された断定的判断の内容が確実であるとの誤認
2 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意又は重大な過失によって告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。ただし、当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず、当該消費者がこれを拒んだときは、この限りでない。
3 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次に掲げる行為をしたことにより困惑し、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
一 当該事業者に対し、当該消費者が、その住居又はその業務を行っている場所から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず、それらの場所から退去しないこと。
二 当該事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をしている場所から当該消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、その場所から当該消費者を退去させないこと。
三 当該消費者が、社会生活上の経験が乏しいことから、次に掲げる事項に対する願望の実現に過大な不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、裏付けとなる合理的な根拠がある場合その他の正当な理由がある場合でないのに、物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものが当該願望を実現するために必要である旨を告げること。
イ 進学、就職、結婚、生計その他の社会生活上の重要な事項
ロ 容姿、体型その他の身体の特徴又は状況に関する重要な事項
四 当該消費者が、社会生活上の経験が乏しいことから、当該消費者契約の締結について勧誘を行う者に対して恋愛感情その他の好意の感情を抱き、かつ、当該勧誘を行う者も当該消費者に対して同様の感情を抱いているものと誤信していることを知りながら、これに乗じ、当該消費者契約を締結しなければ当該勧誘を行う者との関係が破綻することになる旨を告げること。
五 当該消費者が、加齢又は心身の故障によりその判断力が著しく低下していることから、生計、健康その他の事項に関しその現在の生活の維持に過大な不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、裏付けとなる合理的な根拠がある場合その他の正当な理由がある場合でないのに、当該消費者契約を締結しなければその現在の生活の維持が困難となる旨を告げること。
六 当該消費者に対し、霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、そのままでは当該消費者に重大な不利益を与える事態が生ずる旨を示してその不安をあおり、当該消費者契約を締結することにより確実にその重大な不利益を回避することができる旨を告げること。
七 当該消費者が当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をする前に、当該消費者契約を締結したならば負うこととなる義務の内容の全部又は一部を実施し、その実施前の原状の回復を著しく困難にすること。
八 前号に掲げるもののほか、当該消費者が当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をする前に、当該事業者が調査、情報の提供、物品の調達その他の当該消費者契約の締結を目指した事業活動を実施した場合において、当該事業活動が当該消費者からの特別の求めに応じたものであったことその他の取引上の社会通念に照らして正当な理由がある場合でないのに、当該事業活動が当該消費者のために特に実施したものである旨及び当該事業活動の実施により生じた損失の補償を請求する旨を告げること。
4 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの分量、回数又は期間(以下この項において「分量等」という。)が当該消費者にとっての通常の分量等(消費者契約の目的となるものの内容及び取引条件並びに事業者がその締結について勧誘をする際の消費者の生活の状況及びこれについての当該消費者の認識に照らして当該消費者契約の目的となるものの分量等として通常想定される分量等をいう。以下この項において同じ。)を著しく超えるものであることを知っていた場合において、その勧誘により当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、消費者が既に当該消費者契約の目的となるものと同種のものを目的とする消費者契約(以下この項において「同種契約」という。)を締結し、当該同種契約の目的となるものの分量等と当該消費者契約の目的となるものの分量等とを合算した分量等が当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超えるものであることを知っていた場合において、その勧誘により当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときも、同様とする。
5 第1項第1号及び第2項の「重要事項」とは、消費者契約に係る次に掲げる事項(同項の場合にあっては、第3号に掲げるものを除く。)をいう。
一 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの質、用途その他の内容であって、消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきもの
二 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの対価その他の取引条件であって、消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきもの
三 前二号に掲げるもののほか、物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものが当該消費者の生命、身体、財産その他の重要な利益についての損害又は危険を回避するために通常必要であると判断される事情
6 第1項から第4項までの規定による消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消しは、これをもって善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。
第5条 前条の規定は、事業者が第三者に対し、当該事業者と消費者との間における消費者契約の締結について媒介をすることの委託(以下この項において単に「委託」という。)をし、当該委託を受けた第三者(その第三者から委託(二以上の段階にわたる委託を含む。)を受けた者を含む。以下「受託者等」という。)が消費者に対して同条第1項から第4項までに規定する行為をした場合について準用する。この場合において、同条第2項ただし書中「当該事業者」とあるのは、「当該事業者又は次条第1項に規定する受託者等」と読み替えるものとする。
2 消費者契約の締結に係る消費者の代理人(復代理人(二以上の段階にわたり復代理人として選任された者を含む。)を含む。以下同じ。)、事業者の代理人及び受託者等の代理人は、前条第1項から第4項まで(前項において準用する場合を含む。次条から第7条までにおいて同じ。)の規定の適用については、それぞれ消費者、事業者及び受託者等とみなす。
第6条 第4条第1項から第4項までの規定は、これらの項に規定する消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示に対する民法(明治29年法律第89号)第96条の規定の適用を妨げるものと解してはならない。
第6条の2 民法第121条の2第1項の規定にかかわらず、消費者契約に基づく債務の履行として給付を受けた消費者は、第4条第1項から第4項までの規定により当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消した場合において、給付を受けた当時その意思表示が取り消すことができるものであることを知らなかったときは、当該消費者契約によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。
第7条 第4条第1項から第4項までの規定による取消権は、追認をすることができる時から1年間行わないときは、時効によって消滅する。当該消費者契約の締結の時から5年を経過したときも、同様とする。
2 会社法(平成17年法律第86号)その他の法律により詐欺又は強迫を理由として取消しをすることができないものとされている株式若しくは出資の引受け又は基金の拠出が消費者契約としてされた場合には、当該株式若しくは出資の引受け又は基金の拠出に係る意思表示については、第4条第1項から第4項までの規定によりその取消しをすることができない。
第2節 消費者契約の条項の無効
第8条 次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。
一 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項
二 事業者の債務不履行(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除し、又は当該事業者にその責任の限度を決定する権限を付与する条項
三 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項
四 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除し、又は当該事業者にその責任の限度を決定する権限を付与する条項
2 前項第1号又は第2号に掲げる条項のうち、消費者契約が有償契約である場合において、引き渡された目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないとき(当該消費者契約が請負契約である場合には、請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡したとき(その引渡しを要しない場合には、仕事が終了した時に仕事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないとき。)。以下この項において同じ。)に、これにより消費者に生じた損害を賠償する事業者の責任を免除し、又は当該事業者にその責任の有無若しくは限度を決定する権限を付与するものについては、次に掲げる場合に該当するときは、同項の規定は、適用しない。
一 当該消費者契約において、引き渡された目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないときに、当該事業者が履行の追完をする責任又は不適合の程度に応じた代金若しくは報酬の減額をする責任を負うこととされている場合
二 当該消費者と当該事業者の委託を受けた他の事業者との間の契約又は当該事業者と他の事業者との間の当該消費者のためにする契約で、当該消費者契約の締結に先立って又はこれと同時に締結されたものにおいて、引き渡された目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないときに、当該他の事業者が、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないことにより当該消費者に生じた損害を賠償する責任の全部若しくは一部を負い、又は履行の追完をする責任を負うこととされている場合
第8条の2 事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させ、又は当該事業者にその解除権の有無を決定する権限を付与する消費者契約の条項は、無効とする。
第8条の3 事業者に対し、消費者が後見開始、保佐開始又は補助開始の審判を受けたことのみを理由とする解除権を付与する消費者契約(消費者が事業者に対し物品、権利、役務その他の消費者契約の目的となるものを提供することとされているものを除く。)の条項は、無効とする。
第9条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分
二 当該消費者契約に基づき支払うべき金銭の全部又は一部を消費者が支払期日(支払回数が二以上である場合には、それぞれの支払期日。以下この号において同じ。)までに支払わない場合における損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、支払期日の翌日からその支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該支払期日に支払うべき額から当該支払期日に支払うべき額のうち既に支払われた額を控除した額に年14.6パーセントの割合を乗じて計算した額を超えるもの 当該超える部分
第10条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
第3節 補則
第11条 消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し及び消費者契約の条項の効力については、この法律の規定によるほか、民法及び商法(明治32年法律第48号)の規定による。
2 消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し及び消費者契約の条項の効力について民法及び商法以外の他の法律に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
第3章 差止請求
第1節 差止請求権
第12条 適格消費者団体は、事業者、受託者等又は事業者の代理人若しくは受託者等の代理人(以下「事業者等」と総称する。)が、消費者契約の締結について勧誘をするに際し、不特定かつ多数の消費者に対して第4条第1項から第4項までに規定する行為(同条第2項に規定する行為にあっては、同項ただし書の場合に該当するものを除く。次項において同じ。)を現に行い又は行うおそれがあるときは、その事業者等に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為に供した物の廃棄若しくは除去その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。ただし、民法及び商法以外の他の法律の規定によれば当該行為を理由として当該消費者契約を取り消すことができないときは、この限りでない。
2 適格消費者団体は、次の各号に掲げる者が、消費者契約の締結について勧誘をするに際し、不特定かつ多数の消費者に対して第4条第1項から第4項までに規定する行為を現に行い又は行うおそれがあるときは、当該各号に定める者に対し、当該各号に掲げる者に対する是正の指示又は教唆の停止その他の当該行為の停止又は予防に必要な措置をとることを請求することができる。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
一 受託者等 当該受託者等に対して委託(二以上の段階にわたる委託を含む。)をした事業者又は他の受託者等
二 事業者の代理人又は受託者等の代理人 当該代理人を自己の代理人とする事業者若しくは受託者等又はこれらの他の代理人
3 適格消費者団体は、事業者又はその代理人が、消費者契約を締結するに際し、不特定かつ多数の消費者との間で第8条から第10条までに規定する消費者契約の条項(第8条第1項第1号又は第2号に掲げる消費者契約の条項にあっては、同条第2項の場合に該当するものを除く。次項において同じ。)を含む消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を現に行い又は行うおそれがあるときは、その事業者又はその代理人に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為に供した物の廃棄若しくは除去その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。ただし、民法及び商法以外の他の法律の規定によれば当該消費者契約の条項が無効とされないときは、この限りでない。
4 適格消費者団体は、事業者の代理人が、消費者契約を締結するに際し、不特定かつ多数の消費者との間で第8条から第10条までに規定する消費者契約の条項を含む消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を現に行い又は行うおそれがあるときは、当該代理人を自己の代理人とする事業者又は他の代理人に対し、当該代理人に対する是正の指示又は教唆の停止その他の当該行為の停止又は予防に必要な措置をとることを請求することができる。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
第12条の2 前条、不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)第30条第1項、特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)第58条の18から第58条の24まで又は食品表示法(平成25年法律第70号)第11条の規定による請求(以下「差止請求」という。)は、次に掲げる場合には、することができない。
一 当該適格消費者団体若しくは第三者の不正な利益を図り又は当該差止請求に係る相手方に損害を加えることを目的とする場合
二 他の適格消費者団体を当事者とする差止請求に係る訴訟等(訴訟並びに和解の申立てに係る手続、調停及び仲裁をいう。以下同じ。)につき既に確定判決等(確定判決及びこれと同一の効力を有するものをいい、次のイからハまでに掲げるものを除く。以下同じ。)が存する場合において、請求の内容及び相手方が同一である場合。ただし、当該他の適格消費者団体について、当該確定判決等に係る訴訟等の手続に関し、次条第1項の認定が第34条第1項第4号に掲げる事由により取り消され、又は同条第3項の規定により同号に掲げる事由があった旨の認定がされたときは、この限りでない。
イ 訴えを却下した確定判決
ロ 前号に掲げる場合に該当することのみを理由として差止請求を棄却した確定判決及び仲裁判断
ハ 差止請求をする権利(以下「差止請求権」という。)の不存在又は差止請求権に係る債務の不存在の確認の請求(第24条において「差止請求権不存在等確認請求」という。)を棄却した確定判決及びこれと同一の効力を有するもの
2 前項第2号本文の規定は、当該確定判決に係る訴訟の口頭弁論の終結後又は当該確定判決と同一の効力を有するものの成立後に生じた事由に基づいて同号本文に掲げる場合の当該差止請求をすることを妨げない。
第2節 適格消費者団体
第1款 適格消費者団体の認定等
第13条 差止請求関係業務(不特定かつ多数の消費者の利益のために差止請求権を行使する業務並びに当該業務の遂行に必要な消費者の被害に関する情報の収集並びに消費者の被害の防止及び救済に資する差止請求権の行使の結果に関する情報の提供に係る業務をいう。以下同じ。)を行おうとする者は、内閣総理大臣の認定を受けなければならない。
2 前項の認定を受けようとする者は、内閣総理大臣に認定の申請をしなければならない。
3 内閣総理大臣は、前項の申請をした者が次に掲げる要件のすべてに適合しているときに限り、第1項の認定をすることができる。
一 特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条第2項に規定する特定非営利活動法人又は一般社団法人若しくは一般財団法人であること。
二 消費生活に関する情報の収集及び提供並びに消費者の被害の防止及び救済のための活動その他の不特定かつ多数の消費者の利益の擁護を図るための活動を行うことを主たる目的とし、現にその活動を相当期間にわたり継続して適正に行っていると認められること。
三 差止請求関係業務の実施に係る組織、差止請求関係業務の実施の方法、差止請求関係業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法その他の差止請求関係業務を適正に遂行するための体制及び業務規程が適切に整備されていること。
四 その理事に関し、次に掲げる要件に適合するものであること。
イ 差止請求関係業務の執行を決定する機関として理事をもって構成する理事会が置かれており、かつ、定款で定めるその決定の方法が次に掲げる要件に適合していると認められること。
(1) 当該理事会の決議が理事の過半数又はこれを上回る割合以上の多数決により行われるものとされていること。
(2) 第41条第1項の規定による差止請求、差止請求に係る訴えの提起その他の差止請求関係業務の執行に係る重要な事項の決定が理事その他の者に委任されていないこと。
ロ 理事の構成が次の(1)又は(2)のいずれかに該当するものでないこと。この場合において、第2号に掲げる要件に適合する者は、次の(1)又は(2)に規定する事業者に該当しないものとみなす。
(1) 理事の数のうちに占める特定の事業者(当該事業者との間に発行済株式の総数の二分の一以上の株式の数を保有する関係その他の内閣府令で定める特別の関係のある者を含む。)の関係者(当該事業者及びその役員又は職員である者その他の内閣府令で定める者をいう。(2)において同じ。)の数の割合が三分の一を超えていること。
(2) 理事の数のうちに占める同一の業種(内閣府令で定める事業の区分をいう。)に属する事業を行う事業者の関係者の数の割合が二分の一を超えていること。
五 差止請求の要否及びその内容についての検討を行う部門において次のイ及びロに掲げる者(以下「専門委員」と総称する。)が共にその専門的な知識経験に基づいて必要な助言を行い又は意見を述べる体制が整備されていることその他差止請求関係業務を遂行するための人的体制に照らして、差止請求関係業務を適正に遂行することができる専門的な知識経験を有すると認められること。
イ 消費生活に関する消費者と事業者との間に生じた苦情に係る相談(第40条第1項において「消費生活相談」という。)その他の消費生活に関する事項について専門的な知識経験を有する者として内閣府令で定める条件に適合する者
ロ 弁護士、司法書士その他の法律に関する専門的な知識経験を有する者として内閣府令で定める条件に適合する者
六 差止請求関係業務を適正に遂行するに足りる経理的基礎を有すること。
七 差止請求関係業務以外の業務を行う場合には、その業務を行うことによって差止請求関係業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。
4 前項第3号の業務規程には、差止請求関係業務の実施の方法、差止請求関係業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法その他の内閣府令で定める事項が定められていなければならない。この場合において、業務規程に定める差止請求関係業務の実施の方法には、同項第5号の検討を行う部門における専門委員からの助言又は意見の聴取に関する措置及び役員、職員又は専門委員が差止請求に係る相手方と特別の利害関係を有する場合の措置その他業務の公正な実施の確保に関する措置が含まれていなければならない。
5 次のいずれかに該当する者は、第1項の認定を受けることができない。
一 この法律、消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律(平成25年法律第96号。以下「消費者裁判手続特例法」という。)その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から3年を経過しない法人
二 第34条第1項各号若しくは消費者裁判手続特例法第86条第2項各号に掲げる事由により第1項の認定を取り消され、又は第34条第3項の規定により同条第1項第4号に掲げる事由があった旨の認定がされ、その取消し又は認定の日から3年を経過しない法人
三 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第6号に規定する暴力団員(以下この号において「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(次号及び第6号ハにおいて「暴力団員等」という。)がその事業活動を支配する法人
四 暴力団員等をその業務に従事させ、又はその業務の補助者として使用するおそれのある法人
五 政治団体(政治資金規正法(昭和23年法律第194号)第3条第1項に規定する政治団体をいう。)
六 役員のうちに次のいずれかに該当する者のある法人
イ 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律、消費者裁判手続特例法その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定若しくはこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から3年を経過しない者
ロ 適格消費者団体が第34条第1項各号若しくは消費者裁判手続特例法第86条第2項各号に掲げる事由により第1項の認定を取り消され、又は第34条第3項の規定により同条第1項第4号に掲げる事由があった旨の認定がされた場合において、その取消し又は認定の日前6月以内に当該適格消費者団体の役員であった者でその取消し又は認定の日から3年を経過しないもの
ハ 暴力団員等
第14条 前条第2項の申請は、次に掲げる事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出してしなければならない。
一 名称及び住所並びに代表者の氏名
二 差止請求関係業務を行おうとする事務所の所在地
三 前二号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項
2 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
一 定款
二 不特定かつ多数の消費者の利益の擁護を図るための活動を相当期間にわたり継続して適正に行っていることを証する書類
三 差止請求関係業務に関する業務計画書
四 差止請求関係業務を適正に遂行するための体制が整備されていることを証する書類
五 業務規程
六 役員、職員及び専門委員に関する次に掲げる書類
イ 氏名、役職及び職業を記載した書類
ロ 住所、略歴その他内閣府令で定める事項を記載した書類
七 前条第3項第1号の法人の社員について、その数及び個人又は法人その他の団体の別(社員が法人その他の団体である場合にあっては、その構成員の数を含む。)を記載した書類
八 最近の事業年度における財産目録、貸借対照表、収支計算書その他の経理的基礎を有することを証する書類
九 前条第5項各号のいずれにも該当しないことを誓約する書面
十 差止請求関係業務以外の業務を行う場合には、その業務の種類及び概要を記載した書類
十一 その他内閣府令で定める書類
第15条 内閣総理大臣は、前条の規定による認定の申請があった場合には、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、その旨並びに同条第1項第1号及び第2号に掲げる事項を公告するとともに、同条第2項各号(第6号ロ、第9号及び第11号を除く。)に掲げる書類を、公告の日から2週間、公衆の縦覧に供しなければならない。
2 内閣総理大臣は、第13条第1項の認定をしようとするときは、同条第3項第2号に規定する事由の有無について、経済産業大臣の意見を聴くものとする。
3 内閣総理大臣は、前条の規定による認定の申請をした者について第13条第5項第3号、第4号又は第6号ハに該当する疑いがあると認めるときは、警察庁長官の意見を聴くものとする。
第16条 内閣総理大臣は、第13条第1項の認定をしたときは、内閣府令で定めるところにより、当該適格消費者団体の名称及び住所、差止請求関係業務を行う事務所の所在地並びに当該認定をした日を公示するとともに、当該適格消費者団体に対し、その旨を書面により通知するものとする。
2 適格消費者団体は、内閣府令で定めるところにより、適格消費者団体である旨を、差止請求関係業務を行う事務所において見やすいように掲示しなければならない。
3 適格消費者団体でない者は、その名称中に適格消費者団体であると誤認されるおそれのある文字を用い、又はその業務に関し、適格消費者団体であると誤認されるおそれのある表示をしてはならない。
第17条 第13条第1項の認定の有効期間は、当該認定の日から起算して6年とする。
2 前項の有効期間の満了後引き続き差止請求関係業務を行おうとする適格消費者団体は、その有効期間の更新を受けなければならない。
3 前項の有効期間の更新を受けようとする適格消費者団体は、第1項の有効期間の満了の日の90日前から60日前までの間(以下この項において「更新申請期間」という。)に、内閣総理大臣に有効期間の更新の申請をしなければならない。ただし、災害その他やむを得ない事由により更新申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。
4 前項の申請があった場合において、第1項の有効期間の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の認定は、同項の有効期間の満了後もその処分がされるまでの間は、なお効力を有する。
5 前項の場合において、第2項の有効期間の更新がされたときは、その認定の有効期間は、従前の認定の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。
6 第13条(第1項及び第5項第2号を除く。)、第14条、第15条及び前条第1項の規定は、第2項の有効期間の更新について準用する。ただし、第14条第2項各号に掲げる書類については、既に内閣総理大臣に提出されている当該書類の内容に変更がないときは、その添付を省略することができる。
第18条 適格消費者団体は、第14条第1項各号に掲げる事項又は同条第2項各号(第2号及び第11号を除く。)に掲げる書類に記載した事項に変更があったときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、その旨を記載した届出書を内閣総理大臣に提出しなければならない。ただし、その変更が内閣府令で定める軽微なものであるときは、この限りでない。
第19条 適格消費者団体である法人が他の適格消費者団体である法人と合併をしたときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、合併により消滅した法人のこの法律の規定による適格消費者団体としての地位を承継する。
2 前項の規定により合併により消滅した法人のこの法律の規定による適格消費者団体としての地位を承継した法人は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
3 適格消費者団体である法人が適格消費者団体でない法人と合併をした場合には、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、その合併について内閣総理大臣の認可がされたときに限り、合併により消滅した法人のこの法律の規定による適格消費者団体としての地位を承継する。
4 前項の認可を受けようとする適格消費者団体は、その合併がその効力を生ずる日の90日前から60日前までの間(以下この項において「認可申請期間」という。)に、内閣総理大臣に認可の申請をしなければならない。ただし、災害その他やむを得ない事由により認可申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。
5 前項の申請があった場合において、その合併がその効力を生ずる日までにその申請に対する処分がされないときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、その処分がされるまでの間は、合併により消滅した法人のこの法律の規定による適格消費者団体としての地位を承継しているものとみなす。
6 第13条(第1項を除く。)、第14条、第15条及び第16条第1項の規定は、第3項の認可について準用する。
7 適格消費者団体である法人は、適格消費者団体でない法人と合併をする場合において、第4項の申請をしないときは、その合併がその効力を生ずる日までに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
8 内閣総理大臣は、第2項又は前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。
第20条 適格消費者団体である法人が他の適格消費者団体である法人に対し差止請求関係業務に係る事業の全部の譲渡をしたときは、その譲渡を受けた法人は、その譲渡をした法人のこの法律の規定による適格消費者団体としての地位を承継する。
2 前項の規定によりその譲渡をした法人のこの法律の規定による適格消費者団体としての地位を承継した法人は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
3 適格消費者団体である法人が適格消費者団体でない法人に対し差止請求関係業務に係る事業の全部の譲渡をした場合には、その譲渡を受けた法人は、その譲渡について内閣総理大臣の認可がされたときに限り、その譲渡をした法人のこの法律の規定による適格消費者団体としての地位を承継する。
4 前項の認可を受けようとする適格消費者団体は、その譲渡の日の90日前から60日前までの間(以下この項において「認可申請期間」という。)に、内閣総理大臣に認可の申請をしなければならない。ただし、災害その他やむを得ない事由により認可申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。
5 前項の申請があった場合において、その譲渡の日までにその申請に対する処分がされないときは、その譲渡を受けた法人は、その処分がされるまでの間は、その譲渡をした法人のこの法律の規定による適格消費者団体としての地位を承継しているものとみなす。
6 第13条(第1項を除く。)、第14条、第15条及び第16条第1項の規定は、第3項の認可について準用する。
7 適格消費者団体である法人は、適格消費者団体でない法人に対し差止請求関係業務に係る事業の全部の譲渡をする場合において、第4項の申請をしないときは、その譲渡の日までに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
8 内閣総理大臣は、第2項又は前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。
第21条 適格消費者団体が次の各号に掲げる場合のいずれかに該当することとなったときは、当該各号に定める者は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
一 破産手続開始の決定により解散した場合 破産管財人
二 合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散した場合 清算人
三 差止請求関係業務を廃止した場合 法人の代表者
2 内閣総理大臣は、前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。
第22条 適格消費者団体について、次のいずれかに掲げる事由が生じたときは、第13条第1項の認定は、その効力を失う。
一 第13条第1項の認定の有効期間が経過したとき(第17条第4項に規定する場合にあっては、更新拒否処分がされたとき)。
二 適格消費者団体である法人が適格消費者団体でない法人と合併をした場合において、その合併が第19条第3項の認可を経ずにその効力を生じたとき(同条第5項に規定する場合にあっては、その合併の不認可処分がされたとき)。
三 適格消費者団体である法人が適格消費者団体でない法人に対し差止請求関係業務に係る事業の全部の譲渡をした場合において、その譲渡が第20条第3項の認可を経ずにされたとき(同条第5項に規定する場合にあっては、その譲渡の不認可処分がされたとき)。
四 適格消費者団体が前条第1項各号に掲げる場合のいずれかに該当することとなったとき。
第2款 差止請求関係業務等
第23条 適格消費者団体は、不特定かつ多数の消費者の利益のために、差止請求権を適切に行使しなければならない。
2 適格消費者団体は、差止請求権を濫用してはならない。
3 適格消費者団体は、事案の性質に応じて他の適格消費者団体と共同して差止請求権を行使するほか、差止請求関係業務について相互に連携を図りながら協力するように努めなければならない。
4 適格消費者団体は、次に掲げる場合には、内閣府令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を他の適格消費者団体に通知するとともに、その旨及びその内容その他内閣府令で定める事項を内閣総理大臣に報告しなければならない。この場合において、当該適格消費者団体が、当該通知及び報告に代えて、すべての適格消費者団体及び内閣総理大臣が電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法をいう。以下同じ。)を利用して同一の情報を閲覧することができる状態に置く措置であって内閣府令で定めるものを講じたときは、当該通知及び報告をしたものとみなす。
一 第41条第1項(同条第3項において準用する場合を含む。)の規定による差止請求をしたとき。
二 前号に掲げる場合のほか、裁判外において差止請求をしたとき。
三 差止請求に係る訴えの提起(和解の申立て、調停の申立て又は仲裁合意を含む。)又は仮処分命令の申立てがあったとき。
四 差止請求に係る判決の言渡し(調停の成立、調停に代わる決定の告知又は仲裁判断を含む。)又は差止請求に係る仮処分命令の申立てについての決定の告知があったとき。
五 前号の判決に対する上訴の提起(調停に代わる決定に対する異議の申立て又は仲裁判断の取消しの申立てを含む。)又は同号の決定に対する不服の申立てがあったとき。
六 第4号の判決(調停に代わる決定又は仲裁判断を含む。)又は同号の決定が確定したとき。
七 差止請求に係る裁判上の和解が成立したとき。
八 前二号に掲げる場合のほか、差止請求に係る訴訟(和解の申立てに係る手続、調停手続又は仲裁手続を含む。)又は差止請求に係る仮処分命令に関する手続が終了したとき。
九 差止請求に係る裁判外の和解が成立したときその他差止請求に関する相手方との間の協議が調ったとき、又はこれが調わなかったとき。
十 差止請求に関し、請求の放棄、和解、上訴の取下げその他の内閣府令で定める手続に係る行為であって、それにより確定判決及びこれと同一の効力を有するものが存することとなるものをしようとするとき。
十一 その他差止請求に関し内閣府令で定める手続に係る行為がされたとき。
5 内閣総理大臣は、前項の規定による報告を受けたときは、すべての適格消費者団体並びに内閣総理大臣及び経済産業大臣が電磁的方法を利用して同一の情報を閲覧することができる状態に置く措置その他の内閣府令で定める方法により、他の適格消費者団体及び経済産業大臣に当該報告の日時及び概要その他内閣府令で定める事項を伝達するものとする。
6 適格消費者団体について、第12条の2第1項第2号本文の確定判決等で強制執行をすることができるものが存する場合には、当該適格消費者団体は、当該確定判決等に係る差止請求権を放棄することができない。
第24条 適格消費者団体は、差止請求権の行使(差止請求権不存在等確認請求に係る訴訟を含む。第28条において同じ。)に関し、消費者から収集した消費者の被害に関する情報をその相手方その他の第三者が当該被害に係る消費者を識別することができる方法で利用するに当たっては、あらかじめ、当該消費者の同意を得なければならない。
第25条 適格消費者団体の役員、職員若しくは専門委員又はこれらの職にあった者は、正当な理由がなく、差止請求関係業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
第26条 適格消費者団体の差止請求関係業務に従事する者は、その差止請求関係業務を行うに当たり、相手方の請求があったときは、当該適格消費者団体の名称、自己の氏名及び適格消費者団体における役職又は地位その他内閣府令で定める事項を、その相手方に明らかにしなければならない。
第27条 適格消費者団体は、消費者の被害の防止及び救済に資するため、消費者に対し、差止請求に係る判決(確定判決と同一の効力を有するもの及び仮処分命令の申立てについての決定を含む。)又は裁判外の和解の内容その他必要な情報を提供するよう努めなければならない。
第28条 適格消費者団体は、次に掲げる場合を除き、その差止請求に係る相手方から、その差止請求権の行使に関し、寄附金、賛助金その他名目のいかんを問わず、金銭その他の財産上の利益を受けてはならない。
一 差止請求に係る判決(確定判決と同一の効力を有するもの及び仮処分命令の申立てについての決定を含む。以下この項において同じ。)又は民事訴訟法(平成8年法律第109号)第73条第1項の決定により訴訟費用(和解の費用、調停手続の費用及び仲裁手続の費用を含む。)を負担することとされた相手方から当該訴訟費用に相当する額の償還として財産上の利益を受けるとき。
二 差止請求に係る判決に基づいて民事執行法(昭和54年法律第4号)第172条第1項の規定により命じられた金銭の支払として財産上の利益を受けるとき。
三 差止請求に係る判決に基づく強制執行の執行費用に相当する額の償還として財産上の利益を受けるとき。
四 差止請求に係る相手方の債務の履行を確保するために約定された違約金の支払として財産上の利益を受けるとき。
2 適格消費者団体の役員、職員又は専門委員は、適格消費者団体の差止請求に係る相手方から、その差止請求権の行使に関し、寄附金、賛助金その他名目のいかんを問わず、金銭その他の財産上の利益を受けてはならない。
3 適格消費者団体又はその役員、職員若しくは専門委員は、適格消費者団体の差止請求に係る相手方から、その差止請求権の行使に関し、寄附金、賛助金その他名目のいかんを問わず、金銭その他の財産上の利益を第三者に受けさせてはならない。
4 前三項に規定する差止請求に係る相手方からその差止請求権の行使に関して受け又は受けさせてはならない財産上の利益には、その相手方がその差止請求権の行使に関してした不法行為によって生じた損害の賠償として受け又は受けさせる財産上の利益は含まれない。
5 適格消費者団体は、第1項各号に規定する財産上の利益を受けたときは、これに相当する金額を積み立て、これを差止請求関係業務に要する費用に充てなければならない。
6 適格消費者団体は、その定款において、差止請求関係業務を廃止し、又は第13条第1項の認定の失効(差止請求関係業務の廃止によるものを除く。)若しくは取消しにより差止請求関係業務を終了した場合において、積立金(前項の規定により積み立てられた金額をいう。)に残余があるときは、その残余に相当する金額を、他の適格消費者団体(第35条の規定により差止請求権を承継した適格消費者団体がある場合にあっては、当該適格消費者団体)があるときは当該他の適格消費者団体に、これがないときは第13条第3項第2号に掲げる要件に適合する消費者団体であって内閣総理大臣が指定するもの又は国に帰属させる旨を定めておかなければならない。
第29条 適格消費者団体は、その行う差止請求関係業務に支障がない限り、定款の定めるところにより、差止請求関係業務以外の業務を行うことができる。
2 適格消費者団体は、次に掲げる業務に係る経理をそれぞれ区分して整理しなければならない。
一 差止請求関係業務
二 不特定かつ多数の消費者の利益の擁護を図るための活動に係る業務(前号に掲げる業務を除く。)
三 前二号に掲げる業務以外の業務
第3款 監督
第30条 適格消費者団体は、内閣府令で定めるところにより、その業務及び経理に関する帳簿書類を作成し、これを保存しなければならない。
第31条 適格消費者団体は、毎事業年度終了後3月以内に、その事業年度の財産目録、貸借対照表、収支計算書及び事業報告書(これらの作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この条において同じ。)の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。以下「財務諸表等」という。)を作成しなければならない。
2 適格消費者団体は、内閣府令で定めるところにより、毎事業年度、その差止請求関係業務その他の業務がこの法律の規定に従い適正に遂行されているかどうかについて、その業務の遂行の状況の調査に必要な学識経験を有する者が行う調査を受けなければならない。
3 適格消費者団体の事務所には、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる書類を備え置かなければならない。
一 定款
二 業務規程
三 役職員等名簿(役員、職員及び専門委員の氏名、役職及び職業その他内閣府令で定める事項を記載した名簿をいう。)
四 適格消費者団体の社員について、その数及び個人又は法人その他の団体の別(社員が法人その他の団体である場合にあっては、その構成員の数を含む。)を記載した書類
五 財務諸表等
六 収入の明細その他の資金に関する事項、寄附金に関する事項その他の経理に関する内閣府令で定める事項を記載した書類
七 差止請求関係業務以外の業務を行う場合には、その業務の種類及び概要を記載した書類
八 前項の調査の方法及び結果が記載された調査報告書
4 何人も、適格消費者団体の業務時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第2号又は第4号に掲げる請求をするには、当該適格消費者団体の定めた費用を支払わなければならない。
一 前項各号に掲げる書類が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
二 前号の書面の謄本又は抄本の交付の請求
三 前項各号に掲げる書類が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を内閣府令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
四 前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって内閣府令で定めるものにより提供することの請求又は当該事項を記載した書面の交付の請求
5 適格消費者団体は、前項各号に掲げる請求があったときは、正当な理由がある場合を除き、これを拒むことができない。
6 適格消費者団体は、毎事業年度終了後3月以内に、第3項第3号から第6号まで及び第8号に掲げる書類を内閣総理大臣に提出しなければならない。
第32条 内閣総理大臣は、この法律の実施に必要な限度において、適格消費者団体に対し、その業務若しくは経理の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、適格消費者団体の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第1項に規定する立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第33条 内閣総理大臣は、適格消費者団体が、第13条第3項第2号から第7号までに掲げる要件のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、当該適格消費者団体に対し、これらの要件に適合するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
2 内閣総理大臣は、前項に定めるもののほか、適格消費者団体が第13条第5項第3号から第6号までのいずれかに該当するに至ったと認めるとき、適格消費者団体又はその役員、職員若しくは専門委員が差止請求関係業務の遂行に関しこの法律の規定に違反したと認めるとき、その他適格消費者団体の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該適格消費者団体に対し、人的体制の改善、違反の停止、業務規程の変更その他の業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
第34条 内閣総理大臣は、適格消費者団体について、次のいずれかに掲げる事由があるときは、第13条第1項の認定を取り消すことができる。
一 偽りその他不正の手段により第13条第1項の認定、第17条第2項の有効期間の更新又は第19条第3項若しくは第20条第3項の認可を受けたとき。
二 第13条第3項各号に掲げる要件のいずれかに適合しなくなったとき。
三 第13条第5項各号(第2号を除く。)のいずれかに該当するに至ったとき。
四 第12条の2第1項第2号本文の確定判決等に係る訴訟等の手続に関し、当該訴訟等の当事者である適格消費者団体が、差止請求に係る相手方と通謀して請求の放棄又は不特定かつ多数の消費者の利益を害する内容の和解をしたとき、その他不特定かつ多数の消費者の利益に著しく反する訴訟等の追行を行ったと認められるとき。
五 第12条の2第1項第2号本文の確定判決等に係る強制執行に必要な手続に関し、当該確定判決等に係る訴訟等の当事者である適格消費者団体がその手続を怠ったことが不特定かつ多数の消費者の利益に著しく反するものと認められるとき。
六 前各号に掲げるもののほか、この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反したとき。
七 当該適格消費者団体の役員、職員又は専門委員が第28条第2項又は第3項の規定に違反したとき。
2 適格消費者団体が、第23条第4項の規定に違反して同項の通知又は報告をしないで、差止請求に関し、同項第10号に規定する行為をしたときは、内閣総理大臣は、当該適格消費者団体について前項第4号に掲げる事由があるものとみなすことができる。
3 第12条の2第1項第2号本文に掲げる場合であって、当該他の適格消費者団体に係る第13条第1項の認定が、第22条各号に掲げる事由により既に失効し、又は第1項各号に掲げる事由(当該確定判決等に係る訴訟等の手続に関する同項第4号に掲げる事由を除く。)若しくは消費者裁判手続特例法第86条第2項各号に掲げる事由により既に取り消されている場合においては、内閣総理大臣は、当該他の適格消費者団体につき当該確定判決等に係る訴訟等の手続に関し第1項第4号に掲げる事由があったと認められるとき(前項の規定により同号に掲げる事由があるものとみなすことができる場合を含む。)は、当該他の適格消費者団体であった法人について、その旨の認定をすることができる。
4 前項に規定する場合における当該他の適格消費者団体であった法人は、清算が結了した後においても、同項の規定の適用については、なお存続するものとみなす。
5 内閣総理大臣は、第1項各号に掲げる事由により第13条第1項の認定を取り消し、又は第3項の規定により第1項第4号に掲げる事由があった旨の認定をしたときは、内閣府令で定めるところにより、その旨及びその取消し又は認定をした日を公示するとともに、当該適格消費者団体又は当該他の適格消費者団体であった法人に対し、その旨を書面により通知するものとする。
第35条 適格消費者団体について、第12条の2第1項第2号本文の確定判決等で強制執行をすることができるものが存する場合において、第13条第1項の認定が、第22条各号に掲げる事由により失効し、若しくは前条第1項各号若しくは消費者裁判手続特例法第86条第2項各号に掲げる事由により取り消されるとき、又はこれらの事由により既に失効し、若しくは既に取り消されているときは、内閣総理大臣は、当該適格消費者団体の有する当該差止請求権を承継すべき適格消費者団体として他の適格消費者団体を指定するものとする。
2 前項の規定による指定がされたときは、同項の差止請求権は、その指定の時において(その認定の失効又は取消しの後にその指定がされた場合にあっては、その認定の失効又は取消しの時にさかのぼって)その指定を受けた適格消費者団体が承継する。
3 前項の場合において、同項の規定により当該差止請求権を承継した適格消費者団体が当該差止請求権に基づく差止請求をするときは、第12条の2第1項第2号本文の規定は、当該差止請求については、適用しない。
4 内閣総理大臣は、次のいずれかに掲げる事由が生じたときは、第1項、第6項又は第7項の規定による指定を受けた適格消費者団体(以下この項から第7項までにおいて「指定適格消費者団体」という。)に係る指定を取り消さなければならない。
一 指定適格消費者団体について、第13条第1項の認定が、第22条各号に掲げる事由により失効し、若しくは既に失効し、又は前条第1項各号若しくは消費者裁判手続特例法第86条第2項各号に掲げる事由により取り消されるとき。
二 指定適格消費者団体が承継した差止請求権をその指定前に有していた者(以下この条において「従前の適格消費者団体」という。)のうち当該確定判決等の当事者であったものについて、第13条第1項の認定の取消処分、同項の認定の有効期間の更新拒否処分若しくは合併若しくは事業の全部の譲渡の不認可処分(以下この条において「認定取消処分等」という。)が取り消され、又は認定取消処分等の取消し若しくはその無効若しくは不存在の確認の判決(次項第2号において「取消判決等」という。)が確定したとき。
5 内閣総理大臣は、次のいずれかに掲げる事由が生じたときは、指定適格消費者団体に係る指定を取り消すことができる。
一 指定適格消費者団体が承継した差止請求権に係る強制執行に必要な手続に関し、当該指定適格消費者団体がその手続を怠ったことが不特定かつ多数の消費者の利益に著しく反するものと認められるとき。
二 従前の適格消費者団体のうち指定適格消費者団体であったもの(当該確定判決等の当事者であったものを除く。)について、前項第1号の規定による指定の取消しの事由となった認定取消処分等が取り消され、若しくはその認定取消処分等の取消判決等が確定したとき、又は前号の規定による指定の取消処分が取り消され、若しくはその取消処分の取消判決等が確定したとき。
6 内閣総理大臣は、第4項第1号又は前項第1号に掲げる事由により指定適格消費者団体に係る指定を取り消し、又は既に取り消しているときは、当該指定適格消費者団体の承継していた差止請求権を承継すべき適格消費者団体として他の適格消費者団体を新たに指定するものとする。
7 内閣総理大臣は、第4項第2号又は第5項第2号に掲げる事由により指定適格消費者団体に係る指定を取り消すときは、当該指定適格消費者団体の承継していた差止請求権を承継すべき適格消費者団体として当該従前の適格消費者団体を新たに指定するものとする。
8 前二項の規定による新たな指定がされたときは、前二項の差止請求権は、その新たな指定の時において(従前の指定の取消し後に新たな指定がされた場合にあっては、従前の指定の取消しの時(従前の適格消費者団体に係る第13条第1項の認定の失効後に従前の指定の取消し及び新たな指定がされた場合にあっては、その認定の失効の時)にさかのぼって)その新たな指定を受けた適格消費者団体が承継する。
9 第3項の規定は、前項の場合において、同項の規定により当該差止請求権を承継した適格消費者団体が当該差止請求権に基づく差止請求をするときについて準用する。
10 内閣総理大臣は、第1項、第6項又は第7項の規定による指定をしたときは、内閣府令で定めるところにより、その旨及びその指定の日を公示するとともに、その指定を受けた適格消費者団体に対し、その旨を書面により通知するものとする。第4項又は第5項の規定により当該指定を取り消したときも、同様とする。
第4款 補則
第36条 適格消費者団体は、これを政党又は政治的目的のために利用してはならない。
第37条 内閣総理大臣は、この法律の実施のため必要があると認めるときは、官庁、公共団体その他の者に照会し、又は協力を求めることができる。
第38条 次の各号に掲げる者は、適格消費者団体についてそれぞれ当該各号に定める事由があると疑うに足りる相当な理由があるため、内閣総理大臣が当該適格消費者団体に対して適当な措置をとることが必要であると認める場合には、内閣総理大臣に対し、その旨の意見を述べることができる。
一 経済産業大臣 第13条第3項第2号に掲げる要件に適合しない事由又は第34条第1項第4号に掲げる事由
二 警察庁長官 第13条第5項第3号、第4号又は第6号ハに該当する事由
第39条 内閣総理大臣は、消費者の被害の防止及び救済に資するため、適格消費者団体から第23条第4項第4号から第9号まで及び第11号の規定による報告を受けたときは、インターネットの利用その他適切な方法により、速やかに、差止請求に係る判決(確定判決と同一の効力を有するもの及び仮処分命令の申立てについての決定を含む。)又は裁判外の和解の概要、当該適格消費者団体の名称及び当該差止請求に係る相手方の氏名又は名称その他内閣府令で定める事項を公表するものとする。
2 前項に規定する事項のほか、内閣総理大臣は、差止請求関係業務に関する情報を広く国民に提供するため、インターネットの利用その他適切な方法により、適格消費者団体の名称及び住所並びに差止請求関係業務を行う事務所の所在地その他内閣府令で定める必要な情報を公表することができる。
3 内閣総理大臣は、独立行政法人国民生活センターに、前二項の情報の公表に関する業務を行わせることができる。
第40条 独立行政法人国民生活センター及び地方公共団体は、内閣府令で定めるところにより、適格消費者団体の求めに応じ、当該適格消費者団体が差止請求権を適切に行使するために必要な限度において、当該適格消費者団体に対し、消費生活相談に関する情報で内閣府令で定めるものを提供することができる。
2 前項の規定により情報の提供を受けた適格消費者団体は、当該情報を当該差止請求権の適切な行使の用に供する目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。
第3節 訴訟手続等の特例
第41条 適格消費者団体は、差止請求に係る訴えを提起しようとするときは、その訴えの被告となるべき者に対し、あらかじめ、請求の要旨及び紛争の要点その他の内閣府令で定める事項を記載した書面により差止請求をし、かつ、その到達した時から1週間を経過した後でなければ、その訴えを提起することができない。ただし、当該被告となるべき者がその差止請求を拒んだときは、この限りでない。
2 前項の請求は、その請求が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
3 前二項の規定は、差止請求に係る仮処分命令の申立てについて準用する。
第42条 差止請求に係る訴えは、訴訟の目的の価額の算定については、財産権上の請求でない請求に係る訴えとみなす。
第43条 差止請求に係る訴訟については、民事訴訟法第5条(第5号に係る部分を除く。)の規定は、適用しない。
2 次の各号に掲げる規定による差止請求に係る訴えは、当該各号に定める行為があった地を管轄する裁判所にも提起することができる。
一 第12条 同条に規定する事業者等の行為
二 不当景品類及び不当表示防止法第30条第1項 同項に規定する事業者の行為
三 特定商取引に関する法律第58条の18から第58条の24まで これらの規定に規定する当該差止請求に係る相手方である販売業者、役務提供事業者、統括者、勧誘者、一般連鎖販売業者、関連商品の販売を行う者、業務提供誘引販売業を行う者又は購入業者(同法第58条の21第2項の規定による差止請求に係る訴えにあっては、勧誘者)の行為
四 食品表示法第11条 同条に規定する食品関連事業者の行為
第44条 裁判所は、差止請求に係る訴えが提起された場合であって、他の裁判所に同一又は同種の行為の差止請求に係る訴訟が係属している場合においては、当事者の住所又は所在地、尋問を受けるべき証人の住所、争点又は証拠の共通性その他の事情を考慮して、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、当該訴えに係る訴訟の全部又は一部について、当該他の裁判所又は他の管轄裁判所に移送することができる。
第45条 請求の内容及び相手方が同一である差止請求に係る訴訟が同一の第一審裁判所又は控訴裁判所に数個同時に係属するときは、その弁論及び裁判は、併合してしなければならない。ただし、審理の状況その他の事情を考慮して、他の差止請求に係る訴訟と弁論及び裁判を併合してすることが著しく不相当であると認めるときは、この限りでない。
2 前項本文に規定する場合には、当事者は、その旨を裁判所に申し出なければならない。
第46条 内閣総理大臣は、現に係属する差止請求に係る訴訟につき既に他の適格消費者団体を当事者とする第12条の2第1項第2号本文の確定判決等が存する場合において、当該他の適格消費者団体につき当該確定判決等に係る訴訟等の手続に関し第34条第1項第4号に掲げる事由があると疑うに足りる相当な理由がある場合(同条第2項の規定により同号に掲げる事由があるものとみなすことができる場合を含む。)であって、同条第1項の規定による第13条第1項の認定の取消し又は第34条第3項の規定による認定(次項において「認定の取消し等」という。)をするかどうかの判断をするため相当の期間を要すると認めるときは、内閣府令で定めるところにより、当該差止請求に係る訴訟が係属する裁判所(以下この条において「受訴裁判所」という。)に対し、その旨及びその判断に要すると認められる期間を通知するものとする。
2 内閣総理大臣は、前項の規定による通知をした場合には、その通知に係る期間内に、認定の取消し等をするかどうかの判断をし、その結果を受訴裁判所に通知するものとする。
3 第1項の規定による通知があった場合において、必要があると認めるときは、受訴裁判所は、その通知に係る期間を経過する日まで(その期間を経過する前に前項の規定による通知を受けたときは、その通知を受けた日まで)、訴訟手続を中止することができる。
第47条 差止請求権について民事執行法第172条第1項に規定する方法により強制執行を行う場合において、同項又は同条第2項の規定により債務者が債権者に支払うべき金銭の額を定めるに当たっては、執行裁判所は、債務不履行により不特定かつ多数の消費者が受けるべき不利益を特に考慮しなければならない。
第4章 雑則
第48条 この法律の規定は、労働契約については、適用しない。
第48条の2 内閣総理大臣は、前章の規定による権限(政令で定めるものを除く。)を消費者庁長官に委任する。
第5章 罰則
第49条 適格消費者団体の役員、職員又は専門委員が、適格消費者団体の差止請求に係る相手方から、寄附金、賛助金その他名目のいかんを問わず、当該適格消費者団体においてその差止請求権の行使をしないこと若しくはしなかったこと、その差止請求権の放棄をすること若しくはしたこと、その相手方との間でその差止請求に係る和解をすること若しくはしたこと又はその差止請求に係る訴訟その他の手続を他の事由により終了させること若しくは終了させたことの報酬として、金銭その他の財産上の利益を受け、又は第三者(当該適格消費者団体を含む。)に受けさせたときは、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。
2 前項の利益を供与した者も、同項と同様とする。
3 第1項の場合において、犯人又は情を知った第三者が受けた財産上の利益は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
4 第1項の罪は、日本国外においてこれらの罪を犯した者にも適用する。
5 第2項の罪は、刑法(明治40年法律第45号)第2条の例に従う。
第50条 次のいずれかに該当する者は、100万円以下の罰金に処する。
一 偽りその他不正の手段により第13条第1項の認定、第17条第2項の有効期間の更新又は第19条第3項若しくは第20条第3項の認可を受けた者
二 第25条の規定に違反して、差止請求関係業務に関して知り得た秘密を漏らした者
第51条 次のいずれかに該当する者は、50万円以下の罰金に処する。
一 第14条第1項(第17条第6項、第19条第6項及び第20条第6項において準用する場合を含む。)の申請書又は第14条第2項各号(第17条第6項、第19条第6項及び第20条第6項において準用する場合を含む。)に掲げる書類に虚偽の記載をして提出した者
二 第16条第3項の規定に違反して、適格消費者団体であると誤認されるおそれのある文字をその名称中に用い、又はその業務に関し、適格消費者団体であると誤認されるおそれのある表示をした者
三 第30条の規定に違反して、帳簿書類の作成若しくは保存をせず、又は虚偽の帳簿書類の作成をした者
四 第32条第1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
第52条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者若しくは管理人又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
2 法人でない団体について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人が、その訴訟行為につき法人でない団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
第53条 次のいずれかに該当する者は、30万円以下の過料に処する。
一 第16条第2項の規定による掲示をせず、又は虚偽の掲示をした者
二 第18条、第19条第2項若しくは第7項、第20条第2項若しくは第7項又は第21条第1項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
三 第23条第4項前段の規定による通知若しくは報告をせず、又は虚偽の通知若しくは報告をした者
四 第24条の規定に違反して、消費者の被害に関する情報を利用した者
五 第26条の規定に違反して、同条の請求を拒んだ者
六 第31条第1項の規定に違反して、財務諸表等を作成せず、又はこれに記載し、若しくは記録すべき事項を記載せず、若しくは記録せず、若しくは虚偽の記載若しくは記録をした者
七 第31条第2項の規定による調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による調査において説明をせず、若しくは虚偽の説明をした者
八 第31条第3項の規定に違反して、書類を備え置かなかった者
九 第31条第5項の規定に違反して、正当な理由がないのに同条第4項各号に掲げる請求を拒んだ者
十 第31条第6項の規定に違反して、書類を提出せず、又は書類に虚偽の記載若しくは記録をして提出した者
十一 第40条第2項の規定に違反して、情報を同項に定める目的以外の目的のために利用し、又は提供した者
この法律は、平成13年4月1日から施行し、この法律の施行後に締結された消費者契約について適用する。
1 この法律は、平成14年4月1日から施行する。
この法律は、会社法の施行の日から施行する。
この法律は、一般社団・財団法人法の施行の日から施行する。
1 この法律は、公布の日から起算して1年を経過した日から施行する。
2 政府は、消費者の被害の状況、消費者の利益の擁護を図るための諸施策の実施の状況その他社会経済情勢の変化を勘案しつつ、この法律による改正後の消費者契約法の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
1 この法律は、平成21年4月1日から施行する。ただし、第2条及び第4条の規定は、特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律(平成20年法律第74号)の施行の日から施行する。
2 第1条又は第2条の規定の施行前にされた消費者契約法第13条第1項の認定の申請並びに同法第19条第3項及び第20条第3項の認可の申請に係る認定及び認可に関する手続については、それぞれ第1条又は第2条の規定による改正後の同法の規定にかかわらず、なお従前の例による。
3 第1条又は第2条の規定の施行前にした行為に対する罰則の適用については、それぞれ第1条又は第2条の規定による改正後の消費者契約法の規定にかかわらず、なお従前の例による。
第1条 この法律は、消費者庁及び消費者委員会設置法(平成21年法律第48号)の施行の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 附則第9条の規定 この法律の公布の日
第4条 この法律の施行前にこの法律による改正前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。以下「旧法令」という。)の規定によりされた免許、許可、認可、承認、指定その他の処分又は通知その他の行為は、法令に別段の定めがあるもののほか、この法律の施行後は、この法律による改正後のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。以下「新法令」という。)の相当規定によりされた免許、許可、認可、承認、指定その他の処分又は通知その他の行為とみなす。
2 この法律の施行の際現に旧法令の規定によりされている免許の申請、届出その他の行為は、法令に別段の定めがあるもののほか、この法律の施行後は、新法令の相当規定によりされた免許の申請、届出その他の行為とみなす。
3 この法律の施行前に旧法令の規定により報告、届出、提出その他の手続をしなければならない事項で、この法律の施行日前にその手続がされていないものについては、法令に別段の定めがあるもののほか、この法律の施行後は、これを、新法令の相当規定によりその手続がされていないものとみなして、新法令の規定を適用する。
第5条 旧法令の規定により発せられた内閣府設置法第7条第3項の内閣府令又は国家行政組織法第12条第1項の省令は、法令に別段の定めがあるもののほか、この法律の施行後は、新法令の相当規定に基づいて発せられた相当の内閣府設置法第7条第3項の内閣府令又は国家行政組織法第12条第1項の省令としての効力を有するものとする。
第8条 この法律の施行前にした行為及びこの法律の附則においてなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第9条 附則第2条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
第1条 この法律は、公布の日から起算して20日を経過した日から施行する。
第1条 この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
第1条 この法律は、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次条及び附則第18条の規定については、公布の日から施行する。
第17条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第18条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
第1条 この法律は、公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
第1条 この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 略
二 第1条中不当景品類及び不当表示防止法第10条の改正規定及び同法本則に一条を加える改正規定、第2条の規定(次号に掲げる改正規定を除く。)並びに附則第3条及び第7条から第11条までの規定 公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日
第1条 この法律は、公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
第1条 この法律は、公布の日から起算して1年を経過した日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 附則第4条の規定 公布の日
二 第5条第2項の改正規定(「及び第7条」を「から第7条まで」に改める部分に限る。)、第6条の次に一条を加える改正規定及び附則第3条の規定 民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)の施行の日
三 附則第6条の規定 民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成29年法律第45号)の公布の日又はこの法律の公布の日のいずれか遅い日
第2条 この法律による改正後の消費者契約法(以下「新法」という。)第4条第4項及び第5項(第3号に係る部分に限る。)(これらの規定を新法第5条第1項において準用する場合を含む。)の規定は、この法律の施行前にされた消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示については、適用しない。
2 この法律の施行前にされた消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示に係る取消権については、新法第7条第1項の規定にかかわらず、なお従前の例による。
3 この法律の施行前に締結された消費者契約の条項については、新法第8条第1項第3号及び第4号の規定にかかわらず、なお従前の例による。
4 新法第8条の2の規定は、この法律の施行前に締結された消費者契約の条項については、適用しない。
第3条 附則第1条第2号に掲げる規定による改正後の消費者契約法第6条の2の規定は、同号に掲げる規定の施行前に消費者契約に基づく債務の履行として給付がされた場合におけるその給付を受けた消費者の返還の義務については、適用しない。
第4条 前二条に定めるもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
第5条 政府は、消費者の被害の状況、消費者の利益の擁護を図るための諸施策の実施の状況その他社会経済情勢の変化を勘案しつつ、新法の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
第1条 この法律は、平成29年10月1日から施行する。ただし、附則第5条の規定は、公布の日から施行する。
第2条 この法律の施行の際現に第2条の規定による改正前の消費者契約法第13条第1項の認定を受けている者(次条において「既存適格消費者団体」という。)に係る当該認定の有効期間については、その満了の日までの間は、第2条の規定による改正後の消費者契約法第17条第1項の規定にかかわらず、なお従前の例による。
第4条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第5条 前三条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
この法律は、民法改正法の施行の日から施行する。ただし、第103条の2、第103条の3、第267条の2、第267条の3及び第362条の規定は、公布の日から施行する。
第1条 この法律は、公布の日から起算して1年を経過した日から施行する。ただし、附則第3条及び第5条の規定は、公布の日から施行する。
第2条 この法律の施行前にされた消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示については、この法律による改正後の消費者契約法(以下「新法」という。)第4条第2項(新法第5条第1項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、なお従前の例による。
2 新法第4条第3項第3号から第8号まで(これらの規定を新法第5条第1項において準用する場合を含む。)の規定は、この法律の施行前にされた消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示については、適用しない。
3 この法律の施行前に締結された消費者契約の条項については、新法第8条第1項及び第8条の2の規定にかかわらず、なお従前の例による。
4 新法第8条の3の規定は、この法律の施行前に締結された消費者契約の条項については、適用しない。
第3条 前条に定めるもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
第4条 政府は、消費者の被害の状況、消費者の利益の擁護を図るための諸施策の実施の状況その他社会経済情勢の変化を勘案しつつ、新法の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。