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サイバーセキュリティ基本法

平成26年法律第104号
最終改正:令和元年5月24日法律第11号
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第1章 総則

(目的)

第1条 この法律は、インターネットその他の高度情報通信ネットワークの整備及び情報通信技術の活用の進展に伴って世界的規模で生じているサイバーセキュリティに対する脅威の深刻化その他の内外の諸情勢の変化に伴い、情報の自由な流通を確保しつつ、サイバーセキュリティの確保を図ることが喫緊の課題となっている状況に鑑み、我が国のサイバーセキュリティに関する施策に関し、基本理念を定め、国及び地方公共団体の責務等を明らかにし、並びにサイバーセキュリティ戦略の策定その他サイバーセキュリティに関する施策の基本となる事項を定めるとともに、サイバーセキュリティ戦略本部を設置すること等により、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(平成12年法律第144号)と相まって、サイバーセキュリティに関する施策を総合的かつ効果的に推進し、もって経済社会の活力の向上及び持続的発展並びに国民が安全で安心して暮らせる社会の実現を図るとともに、国際社会の平和及び安全の確保並びに我が国の安全保障に寄与することを目的とする。


(定義)

第2条 この法律において「サイバーセキュリティ」とは、電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式(以下この条において「電磁的方式」という。)により記録され、又は発信され、伝送され、若しくは受信される情報の漏えい、滅失又は毀損の防止その他の当該情報の安全管理のために必要な措置並びに情報システム及び情報通信ネットワークの安全性及び信頼性の確保のために必要な措置(情報通信ネットワーク又は電磁的方式で作られた記録に係る記録媒体(以下「電磁的記録媒体」という。)を通じた電子計算機に対する不正な活動による被害の防止のために必要な措置を含む。)が講じられ、その状態が適切に維持管理されていることをいう。


(基本理念)

第3条 サイバーセキュリティに関する施策の推進は、インターネットその他の高度情報通信ネットワークの整備及び情報通信技術の活用による情報の自由な流通の確保が、これを通じた表現の自由の享有、イノベーションの創出、経済社会の活力の向上等にとって重要であることに鑑み、サイバーセキュリティに対する脅威に対して、国、地方公共団体、重要社会基盤事業者(国民生活及び経済活動の基盤であって、その機能が停止し、又は低下した場合に国民生活又は経済活動に多大な影響を及ぼすおそれが生ずるものに関する事業を行う者をいう。以下同じ。)等の多様な主体の連携により、積極的に対応することを旨として、行われなければならない。

 サイバーセキュリティに関する施策の推進は、国民1人1人のサイバーセキュリティに関する認識を深め、自発的に対応することを促すとともに、サイバーセキュリティに対する脅威による被害を防ぎ、かつ、被害から迅速に復旧できる強靱な体制を構築するための取組を積極的に推進することを旨として、行われなければならない。

 サイバーセキュリティに関する施策の推進は、インターネットその他の高度情報通信ネットワークの整備及び情報通信技術の活用による活力ある経済社会を構築するための取組を積極的に推進することを旨として、行われなければならない。

 サイバーセキュリティに関する施策の推進は、サイバーセキュリティに対する脅威への対応が国際社会にとって共通の課題であり、かつ、我が国の経済社会が国際的な密接な相互依存関係の中で営まれていることに鑑み、サイバーセキュリティに関する国際的な秩序の形成及び発展のために先導的な役割を担うことを旨として、国際的協調の下に行われなければならない。

 サイバーセキュリティに関する施策の推進は、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法の基本理念に配慮して行われなければならない。

 サイバーセキュリティに関する施策の推進に当たっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない。


(国の責務)

第4条 国は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、サイバーセキュリティに関する総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。


(地方公共団体の責務)

第5条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との適切な役割分担を踏まえて、サイバーセキュリティに関する自主的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。


(重要社会基盤事業者の責務)

第6条 重要社会基盤事業者は、基本理念にのっとり、そのサービスを安定的かつ適切に提供するため、サイバーセキュリティの重要性に関する関心と理解を深め、自主的かつ積極的にサイバーセキュリティの確保に努めるとともに、国又は地方公共団体が実施するサイバーセキュリティに関する施策に協力するよう努めるものとする。


(サイバー関連事業者その他の事業者の責務)

第7条 サイバー関連事業者(インターネットその他の高度情報通信ネットワークの整備、情報通信技術の活用又はサイバーセキュリティに関する事業を行う者をいう。以下同じ。)その他の事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、自主的かつ積極的にサイバーセキュリティの確保に努めるとともに、国又は地方公共団体が実施するサイバーセキュリティに関する施策に協力するよう努めるものとする。


(教育研究機関の責務)

第8条 大学その他の教育研究機関は、基本理念にのっとり、自主的かつ積極的にサイバーセキュリティの確保、サイバーセキュリティに係る人材の育成並びにサイバーセキュリティに関する研究及びその成果の普及に努めるとともに、国又は地方公共団体が実施するサイバーセキュリティに関する施策に協力するよう努めるものとする。


(国民の努力)

第9条 国民は、基本理念にのっとり、サイバーセキュリティの重要性に関する関心と理解を深め、サイバーセキュリティの確保に必要な注意を払うよう努めるものとする。


(法制上の措置等)

第10条 政府は、サイバーセキュリティに関する施策を実施するため必要な法制上、財政上又は税制上の措置その他の措置を講じなければならない。


(行政組織の整備等)

第11条 国は、サイバーセキュリティに関する施策を講ずるにつき、行政組織の整備及び行政運営の改善に努めるものとする。

第2章 サイバーセキュリティ戦略

第12条 政府は、サイバーセキュリティに関する施策の総合的かつ効果的な推進を図るため、サイバーセキュリティに関する基本的な計画(以下「サイバーセキュリティ戦略」という。)を定めなければならない。

 サイバーセキュリティ戦略は、次に掲げる事項について定めるものとする。

 サイバーセキュリティに関する施策についての基本的な方針

 国の行政機関等におけるサイバーセキュリティの確保に関する事項

 重要社会基盤事業者及びその組織する団体並びに地方公共団体(以下「重要社会基盤事業者等」という。)におけるサイバーセキュリティの確保の促進に関する事項

 前三号に掲げるもののほか、サイバーセキュリティに関する施策を総合的かつ効果的に推進するために必要な事項

 内閣総理大臣は、サイバーセキュリティ戦略の案につき閣議の決定を求めなければならない。

 政府は、サイバーセキュリティ戦略を策定したときは、遅滞なく、これを国会に報告するとともに、インターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。

 前二項の規定は、サイバーセキュリティ戦略の変更について準用する。

 政府は、サイバーセキュリティ戦略について、その実施に要する経費に関し必要な資金の確保を図るため、毎年度、国の財政の許す範囲内で、これを予算に計上する等その円滑な実施に必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

第3章 基本的施策

(国の行政機関等におけるサイバーセキュリティの確保)

第13条 国は、国の行政機関、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第1項に規定する独立行政法人をいう。以下同じ。)及び特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法(平成11年法律第91号)第4条第1項第9号の規定の適用を受けるものをいう。以下同じ。)等におけるサイバーセキュリティに関し、国の行政機関、独立行政法人及び指定法人(特殊法人及び認可法人(特別の法律により設立され、かつ、その設立等に関し行政官庁の認可を要する法人をいう。第33条第1項において同じ。)のうち、当該法人におけるサイバーセキュリティが確保されない場合に生ずる国民生活又は経済活動への影響を勘案して、国が当該法人におけるサイバーセキュリティの確保のために講ずる施策の一層の充実を図る必要があるものとしてサイバーセキュリティ戦略本部が指定するものをいう。以下同じ。)におけるサイバーセキュリティに関する統一的な基準の策定、国の行政機関における情報システムの共同化、情報通信ネットワーク又は電磁的記録媒体を通じた国の行政機関、独立行政法人又は指定法人の情報システムに対する不正な活動の監視及び分析、国の行政機関、独立行政法人及び指定法人におけるサイバーセキュリティに関する演習及び訓練並びに国内外の関係機関との連携及び連絡調整によるサイバーセキュリティに対する脅威への対応、国の行政機関、独立行政法人及び特殊法人等の間におけるサイバーセキュリティに関する情報の共有その他の必要な施策を講ずるものとする。


(重要社会基盤事業者等におけるサイバーセキュリティの確保の促進)

第14条 国は、重要社会基盤事業者等におけるサイバーセキュリティに関し、基準の策定、演習及び訓練、情報の共有その他の自主的な取組の促進その他の必要な施策を講ずるものとする。


(民間事業者及び教育研究機関等の自発的な取組の促進)

第15条 国は、中小企業者その他の民間事業者及び大学その他の教育研究機関が有する知的財産に関する情報が我が国の国際競争力の強化にとって重要であることに鑑み、これらの者が自発的に行うサイバーセキュリティに対する取組が促進されるよう、サイバーセキュリティの重要性に関する関心と理解の増進、サイバーセキュリティに関する相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行うことその他の必要な施策を講ずるものとする。

 国は、国民1人1人が自発的にサイバーセキュリティの確保に努めることが重要であることに鑑み、日常生活における電子計算機又はインターネットその他の高度情報通信ネットワークの利用に際して適切な製品又はサービスを選択することその他の取組について、サイバーセキュリティに関する相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行うことその他の必要な施策を講ずるものとする。


(多様な主体の連携等)

第16条 国は、関係府省相互間の連携の強化を図るとともに、国、地方公共団体、重要社会基盤事業者、サイバー関連事業者等の多様な主体が相互に連携してサイバーセキュリティに関する施策に取り組むことができるよう必要な施策を講ずるものとする。


(サイバーセキュリティ協議会)

第17条 第28条第1項に規定するサイバーセキュリティ戦略本部長及びその委嘱を受けた国務大臣(次項において「本部長等」という。)は、サイバーセキュリティに関する施策の推進に関し必要な協議を行うため、サイバーセキュリティ協議会(以下この条において「協議会」という。)を組織するものとする。

 本部長等は、必要と認めるときは、協議して、協議会に、次に掲げる者を構成員として加えることができる。

 国の関係行政機関の長(本部長等を除く。)

 地方公共団体又はその組織する団体

 重要社会基盤事業者又はその組織する団体

 サイバー関連事業者又はその組織する団体

 大学その他の教育研究機関又はその組織する団体

 その他本部長等が必要と認める者

 協議会は、第1項の協議を行うため必要があると認めるときは、その構成員に対し、サイバーセキュリティに関する施策の推進に関し必要な資料の提出、意見の開陳、説明その他の協力を求めることができる。この場合において、当該構成員は、正当な理由がある場合を除き、その求めに応じなければならない。

 協議会の事務に従事する者又は従事していた者は、正当な理由がなく、当該事務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。

 協議会の庶務は、内閣官房において処理し、命を受けて内閣官房副長官補が掌理する。

 前各項に定めるもののほか、協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、協議会が定める。


(犯罪の取締り及び被害の拡大の防止)

第18条 国は、サイバーセキュリティに関する犯罪の取締り及びその被害の拡大の防止のために必要な施策を講ずるものとする。


(我が国の安全に重大な影響を及ぼすおそれのある事象への対応)

第19条 国は、サイバーセキュリティに関する事象のうち我が国の安全に重大な影響を及ぼすおそれがあるものへの対応について、関係機関における体制の充実強化並びに関係機関相互の連携強化及び役割分担の明確化を図るために必要な施策を講ずるものとする。


(産業の振興及び国際競争力の強化)

第20条 国は、サイバーセキュリティの確保を自立的に行う能力を我が国が有することの重要性に鑑み、サイバーセキュリティに関連する産業が雇用機会を創出することができる成長産業となるよう、新たな事業の創出並びに産業の健全な発展及び国際競争力の強化を図るため、サイバーセキュリティに関し、先端的な研究開発の推進、技術の高度化、人材の育成及び確保、競争条件の整備等による経営基盤の強化及び新たな事業の開拓、技術の安全性及び信頼性に係る規格等の国際標準化及びその相互承認の枠組みへの参画その他の必要な施策を講ずるものとする。


(研究開発の推進等)

第21条 国は、我が国においてサイバーセキュリティに関する技術力を自立的に保持することの重要性に鑑み、サイバーセキュリティに関する研究開発及び技術等の実証の推進並びにその成果の普及を図るため、サイバーセキュリティに関し、研究体制の整備、技術の安全性及び信頼性に関する基礎研究及び基盤的技術の研究開発の推進、研究者及び技術者の育成、国の試験研究機関、大学、民間等の連携の強化、研究開発のための国際的な連携その他の必要な施策を講ずるものとする。


(人材の確保等)

第22条 国は、大学、高等専門学校、専修学校、民間事業者等と緊密な連携協力を図りながら、サイバーセキュリティに係る事務に従事する者の職務及び職場環境がその重要性にふさわしい魅力あるものとなるよう、当該者の適切な処遇の確保に必要な施策を講ずるものとする。

 国は、大学、高等専門学校、専修学校、民間事業者等と緊密な連携協力を図りながら、サイバーセキュリティに係る人材の確保、養成及び資質の向上のため、資格制度の活用、若年技術者の養成その他の必要な施策を講ずるものとする。


(教育及び学習の振興、普及啓発等)

第23条 国は、国民が広くサイバーセキュリティに関する関心と理解を深めるよう、サイバーセキュリティに関する教育及び学習の振興、啓発及び知識の普及その他の必要な施策を講ずるものとする。

 国は、前項の施策の推進に資するよう、サイバーセキュリティに関する啓発及び知識の普及を図るための行事の実施、重点的かつ効果的にサイバーセキュリティに対する取組を推進するための期間の指定その他の必要な施策を講ずるものとする。


(国際協力の推進等)

第24条 国は、サイバーセキュリティに関する分野において、我が国の国際社会における役割を積極的に果たすとともに、国際社会における我が国の利益を増進するため、サイバーセキュリティに関し、国際的な規範の策定への主体的な参画、国際間における信頼関係の構築及び情報の共有の推進、開発途上地域のサイバーセキュリティに関する対応能力の構築の積極的な支援その他の国際的な技術協力、犯罪の取締りその他の国際協力を推進するとともに、我が国のサイバーセキュリティに対する諸外国の理解を深めるために必要な施策を講ずるものとする。

第4章 サイバーセキュリティ戦略本部

(設置)

第25条 サイバーセキュリティに関する施策を総合的かつ効果的に推進するため、内閣に、サイバーセキュリティ戦略本部(以下「本部」という。)を置く。


(所掌事務等)

第26条 本部は、次に掲げる事務をつかさどる。

 サイバーセキュリティ戦略の案の作成及び実施の推進に関すること。

 国の行政機関、独立行政法人及び指定法人におけるサイバーセキュリティに関する対策の基準の作成及び当該基準に基づく施策の評価(監査を含む。)その他の当該基準に基づく施策の実施の推進に関すること。

 国の行政機関、独立行政法人又は指定法人で発生したサイバーセキュリティに関する重大な事象に対する施策の評価(原因究明のための調査を含む。)に関すること。

 サイバーセキュリティに関する事象が発生した場合における国内外の関係者との連絡調整に関すること。

 前各号に掲げるもののほか、サイバーセキュリティに関する施策で重要なものの企画に関する調査審議、府省横断的な計画、関係行政機関の経費の見積りの方針及び施策の実施に関する指針の作成並びに施策の評価その他の当該施策の実施の推進並びに総合調整に関すること。

 本部は、サイバーセキュリティ戦略の案を作成しようとするときは、あらかじめ、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部及び国家安全保障会議の意見を聴かなければならない。

 本部は、サイバーセキュリティに関する重要事項について、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部との緊密な連携を図るものとする。

 本部は、我が国の安全保障に係るサイバーセキュリティに関する重要事項について、国家安全保障会議との緊密な連携を図るものとする。


(組織)

第27条 本部は、サイバーセキュリティ戦略本部長、サイバーセキュリティ戦略副本部長及びサイバーセキュリティ戦略本部員をもって組織する。


(サイバーセキュリティ戦略本部長)

第28条 本部の長は、サイバーセキュリティ戦略本部長(以下「本部長」という。)とし、内閣官房長官をもって充てる。

 本部長は、本部の事務を総括し、所部の職員を指揮監督する。

 本部長は、第26条第1項第2号、第3号及び第5号に規定する評価又は第32条若しくは第33条の規定により提供された資料、情報等に基づき、必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、勧告することができる。

 本部長は、前項の規定により関係行政機関の長に対し勧告したときは、当該関係行政機関の長に対し、その勧告に基づいてとった措置について報告を求めることができる。

 本部長は、第3項の規定により勧告した事項に関し特に必要があると認めるときは、内閣総理大臣に対し、当該事項について内閣法(昭和22年法律第5号)第6条の規定による措置がとられるよう意見を具申することができる。


(サイバーセキュリティ戦略副本部長)

第29条 本部に、サイバーセキュリティ戦略副本部長(以下「副本部長」という。)を置き、国務大臣をもって充てる。

 副本部長は、本部長の職務を助ける。


(サイバーセキュリティ戦略本部員)

第30条 本部に、サイバーセキュリティ戦略本部員(次項において「本部員」という。)を置く。

 本部員は、次に掲げる者(第1号から第5号までに掲げる者にあっては、副本部長に充てられたものを除く。)をもって充てる。

 国家公安委員会委員長

 総務大臣

 外務大臣

 経済産業大臣

 防衛大臣

 前各号に掲げる者のほか、本部長及び副本部長以外の国務大臣のうちから、本部の所掌事務を遂行するために特に必要があると認める者として内閣総理大臣が指定する者

 サイバーセキュリティに関し優れた識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する者


(事務の委託)

第31条 本部は、次の各号に掲げる事務の区分に応じて、当該事務の一部を当該各号に定める者に委託することができる。

 第26条第1項第2号に掲げる事務(独立行政法人及び指定法人におけるサイバーセキュリティに関する対策の基準に基づく監査に係るものに限る。)又は同項第3号に掲げる事務(独立行政法人又は指定法人で発生したサイバーセキュリティに関する重大な事象の原因究明のための調査に係るものに限る。) 独立行政法人情報処理推進機構その他サイバーセキュリティに関する対策について十分な技術的能力及び専門的な知識経験を有するとともに、当該事務を確実に実施することができるものとして政令で定める法人

 第26条第1項第4号に掲げる事務 サイバーセキュリティに関する事象が発生した場合における国内外の関係者との連絡調整について十分な技術的能力及び専門的な知識経験を有するとともに、当該事務を確実に実施することができるものとして政令で定める法人

 前項の規定により事務の委託を受けた法人の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、正当な理由がなく、当該委託に係る事務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。

 第1項の規定により事務の委託を受けた法人の役員又は職員であって当該委託に係る事務に従事するものは、刑法(明治40年法律第45号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。


(資料提供等)

第32条 関係行政機関の長は、本部の定めるところにより、本部に対し、サイバーセキュリティに関する資料又は情報であって、本部の所掌事務の遂行に資するものを、適時に提供しなければならない。

 前項に定めるもののほか、関係行政機関の長は、本部長の求めに応じて、本部に対し、本部の所掌事務の遂行に必要なサイバーセキュリティに関する資料又は情報の提供及び説明その他必要な協力を行わなければならない。


(資料の提出その他の協力)

第33条 本部は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、地方公共団体及び独立行政法人の長、国立大学法人(国立大学法人法(平成15年法律第112号)第2条第1項に規定する国立大学法人をいう。)の学長又は理事長、大学共同利用機関法人(同条第3項に規定する大学共同利用機関法人をいう。)の機構長、日本司法支援センター(総合法律支援法(平成16年法律第74号)第13条に規定する日本司法支援センターをいう。)の理事長、特殊法人及び認可法人であって本部が指定するものの代表者並びにサイバーセキュリティに関する事象が発生した場合における国内外の関係者との連絡調整を行う関係機関の代表者に対して、サイバーセキュリティに対する脅威による被害の拡大を防止し、及び当該被害からの迅速な復旧を図るために国と連携して行う措置その他のサイバーセキュリティに関する対策に関し必要な資料の提出、意見の開陳、説明その他の協力を求めることができる。この場合において、当該求めを受けた者は、正当な理由がある場合を除き、その求めに応じなければならない。

 本部は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、同項の協力を依頼することができる。


(地方公共団体への協力)

第34条 地方公共団体は、第5条に規定する施策の策定又は実施のために必要があると認めるときは、本部に対し、情報の提供その他の協力を求めることができる。

 本部は、前項の規定による協力を求められたときは、その求めに応じるよう努めるものとする。


(事務)

第35条 本部に関する事務は、内閣官房において処理し、命を受けて内閣官房副長官補が掌理する。


(主任の大臣)

第36条 本部に係る事項については、内閣法にいう主任の大臣は、内閣総理大臣とする。


(政令への委任)

第37条 この法律に定めるもののほか、本部に関し必要な事項は、政令で定める。

第5章 罰則

第38条 第17条第4項又は第31条第2項の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

附 則
(施行期日)

第1条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第2章及び第4章の規定並びに附則第4条の規定は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。


(検討)

第2条 政府は、武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成15年法律第79号)第21条第1項に規定する緊急事態に相当するサイバーセキュリティに関する事象その他の情報通信ネットワーク又は電磁的記録媒体を通じた電子計算機に対する不正な活動から、国民生活及び経済活動の基盤であって、その機能が停止し、又は低下した場合に国民生活又は経済活動に多大な影響を及ぼすおそれが生ずるもの等を防御する能力の一層の強化を図るための施策について、幅広い観点から検討するものとする。

附 則(平成27年9月11日法律第66号)
(施行期日)

第1条 この法律は、平成28年4月1日から施行する。

附 則(平成27年9月30日法律第76号)
(施行期日)

第1条 この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

附 則(平成28年4月22日法律第31号)
(施行期日)

第1条 この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次条並びに附則第3条、第5条及び第6条の規定は、公布の日から施行する。


(政令への委任)

第6条 附則第2条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。

附 則(平成30年12月12日法律第91号)
(施行期日)

 この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

附 則(令和元年5月24日法律第11号)
(施行期日)

第1条 この法律は、平成32年4月1日から施行する。ただし、第2条中国立大学法人法附則に一条を加える改正規定、第4条中独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法第3条の改正規定及び同法第16条第1項の改正規定並びに次条並びに附則第4条第3項及び第4項、第9条、第11条並びに第12条の規定は、公布の日から施行する。