新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律
第1条 この法律は、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置が労働者及び事業主に及ぼす影響の緩和を図るため、雇用保険法(昭和49年法律第116号)の特例等を定めるものとする。
第2条 この法律において「新型コロナウイルス感染症」とは、病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和2年1月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)である感染症をいう。
第3条 雇用保険法第15条第1項に規定する受給資格者(以下この条において「受給資格者」という。)であって、同法第22条第2項に規定する就職が困難な受給資格者以外のもの(同法第24条の2第4項に規定する個別延長給付又は同法附則第5条第1項の規定による基本手当の支給を受けることができるものを除く。)のうち、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者については、公共職業安定所長が、その地域における雇用機会の状況及び新型コロナウイルス感染症についての新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号)第2条第4号に規定する新型インフルエンザ等緊急事態措置の実施の状況その他の事情を勘案し、雇用保険法第24条の2第1項に規定する指導基準に照らして再就職を促進するために必要な職業指導を行うことが適当であると認めた場合においては、第3項の規定による期間内の失業している日(同法第15条第2項に規定する失業の認定を受けた日に限る。)について、同法の規定による所定給付日数を超えて基本手当を支給することができる。
一 受給資格(雇用保険法第14条第2項第1号に規定する受給資格をいう。次号及び第3号において同じ。)に係る離職の日が、新型コロナウイルス感染症について新型インフルエンザ等対策特別措置法第32条第1項に規定する新型インフルエンザ等緊急事態宣言(次号において「緊急事態宣言」という。)がされた日以前である場合 当該日において現に受給資格者である者
二 受給資格に係る離職の日が、緊急事態宣言がされた日後新型インフルエンザ等対策特別措置法第32条第5項に規定する新型インフルエンザ等緊急事態解除宣言(次号において「緊急事態解除宣言」という。)がされた日以前である場合 特定理由離職者(雇用保険法第13条第3項に規定する特定理由離職者をいう。同号において同じ。)又は特定受給資格者(同法第23条第2項に規定する特定受給資格者をいう。同号において同じ。)である者
三 受給資格に係る離職の日が、緊急事態解除宣言がされた日後である場合 特定理由離職者(雇用保険法第24条の2第1項に規定するものに限る。)又は特定受給資格者であって、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響(次条及び第5条第1項において「新型コロナウイルス感染症等の影響」という。)により離職を余儀なくされた者
2 前項の場合において、所定給付日数を超えて基本手当を支給する日数は、60日(雇用保険法第23条第1項第2号イ又は第3号イに該当する受給資格者にあっては、30日)を限度とするものとする。
3 第1項の規定による基本手当の支給を受ける受給資格者の受給期間は、雇用保険法第20条第1項及び第2項の規定にかかわらず、これらの規定による期間に前項に規定する日数を加えた期間とする。
4 第1項の規定の適用がある場合における雇用保険法第28条、第29条、第32条、第33条及び第79条の2の規定の適用については、同法第28条第1項中「個別延長給付を」とあるのは「個別延長給付又は新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律(令和2年法律第54号。以下「臨時特例法」という。)第3条第1項の規定による基本手当の支給(以下「特例延長給付」という。)を」と、「個別延長給付が」とあるのは「個別延長給付又は特例延長給付が」と、同条第2項中「個別延長給付、」とあるのは「個別延長給付、特例延長給付、」と、「個別延長給付又は」とあるのは「個別延長給付、特例延長給付又は」と、「個別延長給付が」とあるのは「個別延長給付又は特例延長給付が」と、同法第29条第1項、第32条第1項及び第33条第5項中「個別延長給付」とあるのは「個別延長給付、特例延長給付」と、同法第79条の2中「並びに第59条第1項」とあるのは「、第59条第1項並びに臨時特例法第3条第1項」とする。
第4条 政府は、新型コロナウイルス感染症等の影響による労働者の失業の予防を図るため、雇用保険法第62条の雇用安定事業として、新型コロナウイルス感染症等の影響により事業主が休業させ、その休業させられている期間の全部又は一部について賃金の支払を受けることができなかった同法第4条第1項に規定する被保険者(次条第1項において「被保険者」という。)に対して、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金を支給する事業を実施することができる。
第5条 政府は、新型コロナウイルス感染症等の影響による労働者の失業の予防を図るため、新型コロナウイルス感染症等の影響により事業主が休業させ、その休業させられている期間の全部又は一部について賃金の支払を受けることができなかった被保険者でない労働者(厚生労働省令で定める者を除く。)に対して、予算の範囲内において、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金に準じて特別の給付金を支給することができる。
2 雇用保険法第76条第1項、第77条、第77条の2、第79条、第83条(第1号、第2号及び第4号を除く。)、第85条(第1号を除く。)及び第86条第1項の規定は、前項の規定による給付金の支給について準用する。この場合において、同法第76条第1項中「被保険者若しくは受給資格者、高年齢受給資格者、特例受給資格者若しくは日雇受給資格者(以下「受給資格者等」という。)若しくは教育訓練給付対象者」とあるのは「被保険者でない労働者」と、「、若しくは」とあるのは「、又は」と、「事業主又は労働保険事務組合若しくは労働保険事務組合であつた団体」とあるのは「事業主」と、「この法律の施行」とあるのは「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律(令和2年法律第54号。以下「臨時特例法」という。)第5条第1項の規定による給付金の支給」と、同法第77条中「被保険者、受給資格者等、教育訓練給付対象者又は未支給の失業等給付等」とあるのは「臨時特例法第5条第1項の給付金」と、「この法律の施行」とあるのは「同項の規定による給付金の支給」と、同法第77条の2第1項中「この法律の施行」とあるのは「臨時特例法第5条第1項の規定による給付金の支給」と、同法第79条第1項中「この法律の施行」とあるのは「臨時特例法第5条第1項の規定による給付金の支給」と、「被保険者、受給資格者等若しくは教育訓練給付対象者」とあるのは「被保険者でない労働者」と、「、若しくは」とあるのは「、又は」と、「事業所又は労働保険事務組合若しくは労働保険事務組合であつた団体の事務所」とあるのは「事業所」と、同法第85条中「被保険者、受給資格者等、教育訓練給付対象者又は未支給の失業等給付等」とあるのは「臨時特例法第5条第1項の給付金」と、同法第86条第1項中「法人(法人でない労働保険事務組合を含む。以下この項において同じ。)」とあるのは「法人」と、「前三条」とあるのは「第83条又は前条」とする。
第6条 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金及び前条第1項の給付金を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。
第7条 租税その他の公課は、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金及び第5条第1項の給付金として支給を受けた金銭を標準として課することができない。
第8条 この法律に規定するもののほか、この法律の実施のため必要な手続その他の事項は、厚生労働省令で定める。
第1条 この法律は、公布の日から施行する。
第2条 この法律の施行前にされた新型インフルエンザ等対策特別措置法第32条第1項に規定する新型インフルエンザ等緊急事態宣言に係る第3条の規定の適用については、同条第1項中「当該各号に定める者」とあるのは、「当該各号に定める者(同法の規定による所定給付日数に相当する日数分の基本手当の支給を受け終わる日がこの法律の施行の日以後である者に限る。)」とする。
第1条 この法律は、公布の日から起算して10日を経過した日から施行する。
第4条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。