犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律
第1章 総則
第1条 この法律は、預金口座等への振込みを利用して行われた詐欺等の犯罪行為により被害を受けた者に対する被害回復分配金の支払等のため、預金等に係る債権の消滅手続及び被害回復分配金の支払手続等を定め、もって当該犯罪行為により被害を受けた者の財産的被害の迅速な回復等に資することを目的とする。
第2条 この法律において「金融機関」とは、次に掲げるものをいう。
一 銀行
二 信用金庫
三 信用金庫連合会
四 労働金庫
五 労働金庫連合会
六 信用協同組合
七 信用協同組合連合会
八 農業協同組合
九 農業協同組合連合会
十 漁業協同組合
十一 漁業協同組合連合会
十二 水産加工業協同組合
十三 水産加工業協同組合連合会
十四 農林中央金庫
十五 株式会社商工組合中央金庫
2 この法律において「預金口座等」とは、預金口座又は貯金口座(金融機関により、預金口座又は貯金口座が犯罪行為に利用されたこと等を理由として、これらの口座に係る契約を解約しその資金を別段預金等により管理する措置がとられている場合におけるこれらの口座であったものを含む。)をいう。
3 この法律において「振込利用犯罪行為」とは、詐欺その他の人の財産を害する罪の犯罪行為であって、財産を得る方法としてその被害を受けた者からの預金口座等への振込みが利用されたものをいう。
4 この法律において「犯罪利用預金口座等」とは、次に掲げる預金口座等をいう。
一 振込利用犯罪行為において、前項に規定する振込みの振込先となった預金口座等
二 専ら前号に掲げる預金口座等に係る資金を移転する目的で利用された預金口座等であって、当該預金口座等に係る資金が同号の振込みに係る資金と実質的に同じであると認められるもの
5 この法律において「被害回復分配金」とは、第7条の規定により消滅した預金又は貯金(以下「預金等」という。)に係る債権の額に相当する額の金銭を原資として金融機関により支払われる金銭であって、振込利用犯罪行為により失われた財産の価額を基礎として第4章の規定によりその金額が算出されるものをいう。
第2章 預金口座等に係る取引の停止等の措置
第3条 金融機関は、当該金融機関の預金口座等について、捜査機関等から当該預金口座等の不正な利用に関する情報の提供があることその他の事情を勘案して犯罪利用預金口座等である疑いがあると認めるときは、当該預金口座等に係る取引の停止等の措置を適切に講ずるものとする。
2 金融機関は、前項の場合において、同項の預金口座等に係る取引の状況その他の事情を勘案して当該預金口座等に係る資金を移転する目的で利用された疑いがある他の金融機関の預金口座等があると認めるときは、当該他の金融機関に対して必要な情報を提供するものとする。
第3章 預金等に係る債権の消滅手続
第4条 金融機関は、当該金融機関の預金口座等について、次に掲げる事由その他の事情を勘案して犯罪利用預金口座等であると疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、速やかに、当該預金口座等について現に取引の停止等の措置が講じられていない場合においては当該措置を講ずるとともに、主務省令で定めるところにより、預金保険機構に対し、当該預金口座等に係る預金等に係る債権について、主務省令で定める書類を添えて、当該債権の消滅手続の開始に係る公告をすることを求めなければならない。
一 捜査機関等から当該預金口座等の不正な利用に関する情報の提供があったこと。
二 前号の情報その他の情報に基づいて当該預金口座等に係る振込利用犯罪行為による被害の状況について行った調査の結果
三 金融機関が有する資料により知ることができる当該預金口座等の名義人の住所への連絡その他の方法による当該名義人の所在その他の状況について行った調査の結果
四 当該預金口座等に係る取引の状況
2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当するときは、適用しない。
一 前項に規定する預金口座等についてこれに係る預金等の払戻しを求める訴え(以下この章において「払戻しの訴え」という。)が提起されているとき又は当該預金等に係る債権について強制執行、仮差押え若しくは仮処分の手続その他主務省令で定める手続(以下この章において「強制執行等」という。)が行われているとき。
二 振込利用犯罪行為により被害を受けたと認められる者の状況その他の事情を勘案して、この法律に規定する手続を実施することが適当でないと認められる場合として、主務省令で定める場合に該当するとき。
3 金融機関は、第1項の預金口座等に係る取引の状況その他の事情を勘案して当該預金口座等に係る資金を移転する目的で利用されたと疑うに足りる相当な理由がある他の金融機関の預金口座等があると認めるときは、当該他の金融機関に対し、同項の預金口座等に係る主務省令で定める事項を通知しなければならない。
第5条 預金保険機構は、前条第1項の規定による求めがあったときは、遅滞なく、当該求めに係る書面又は同項に規定する主務省令で定める書類の内容に基づき、次に掲げる事項を公告しなければならない。
一 前条第1項の規定による求めに係る預金口座等(以下この章において「対象預金口座等」という。)に係る預金等に係る債権(以下この章において「対象預金等債権」という。)についてこの章の規定に基づく消滅手続が開始された旨
二 対象預金口座等に係る金融機関及びその店舗並びに預金等の種別及び口座番号
三 対象預金口座等の名義人の氏名又は名称
四 対象預金等債権の額
五 対象預金口座等に係る名義人その他の対象預金等債権に係る債権者による当該対象預金等債権についての金融機関への権利行使の届出又は払戻しの訴えの提起若しくは強制執行等(以下「権利行使の届出等」という。)に係る期間
六 前号の権利行使の届出の方法
七 払戻しの訴えの提起又は強制執行等に関し参考となるべき事項として主務省令で定めるもの(当該事項を公告することが困難である旨の金融機関の通知がある事項を除く。)
八 第5号に掲げる期間内に権利行使の届出等がないときは、対象預金等債権が消滅する旨
九 その他主務省令で定める事項
2 前項第5号に掲げる期間は、同項の規定による公告があった日の翌日から起算して60日以上でなければならない。
3 預金保険機構は、前条第1項の規定による求めに係る書面又は同項に規定する主務省令で定める書類に形式上の不備があると認めるときは、金融機関に対し、相当の期間を定めて、その補正を求めることができる。
4 金融機関は、第1項第5号に掲げる期間内に対象預金口座等に係る振込利用犯罪行為により被害を受けた旨の申出をした者があるときは、その者に対し、被害回復分配金の支払の申請に関し利便を図るための措置を適切に講ずるものとする。
5 第1項から第3項までに規定するもののほか、第1項の規定による公告に関し必要な事項は、主務省令で定める。
第6条 金融機関は、前条第1項第5号に掲げる期間内に権利行使の届出等があったときは、その旨を預金保険機構に通知しなければならない。
2 金融機関は、前条第1項第5号に掲げる期間内に対象預金口座等が犯罪利用預金口座等でないことが明らかになったときは、その旨を預金保険機構に通知しなければならない。
3 預金保険機構は、前二項の規定による通知を受けたときは、預金等に係る債権の消滅手続が終了した旨を公告しなければならない。
第7条 対象預金等債権について、第5条第1項第5号に掲げる期間内に権利行使の届出等がなく、かつ、前条第2項の規定による通知がないときは、当該対象預金等債権は、消滅する。この場合において、預金保険機構は、その旨を公告しなければならない。
第4章 被害回復分配金の支払手続
第1節 通則
第8条 金融機関は、前条の規定により消滅した預金等に係る債権(以下この章及び第37条第2項において「消滅預金等債権」という。)の額に相当する額の金銭を原資として、この章の定めるところにより、消滅預金等債権に係る預金口座等(以下この章において「対象預金口座等」という。)に係る振込利用犯罪行為(対象預金口座等が第2条第4項第2号に掲げる預金口座等である場合にあっては、当該預金口座等に係る資金の移転元となった同項第1号に掲げる預金口座等に係る振込利用犯罪行為。以下この章において「対象犯罪行為」という。)により被害を受けた者(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。)であってこれにより財産を失ったもの(以下この章において「対象被害者」という。)に対し、被害回復分配金を支払わなければならない。
2 金融機関は、対象被害者について相続その他の一般承継があったときは、この章の定めるところにより、その相続人その他の一般承継人に対し、被害回復分配金を支払わなければならない。
3 前二項の規定は、消滅預金等債権の額が1000円未満である場合は、適用しない。この場合において、預金保険機構は、その旨を公告しなければならない。
第9条 前条の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する者は、被害回復分配金の支払を受けることができない。
一 対象犯罪行為により失われた財産の価額に相当する損害の全部について、そのてん補又は賠償がされた場合(当該対象犯罪行為により当該財産を失った対象被害者又はその一般承継人以外の者により当該てん補又は賠償がされた場合に限る。)における当該対象犯罪行為により当該財産を失った対象被害者又はその一般承継人
二 対象犯罪行為を実行した者若しくはこれに共犯として加功した者、当該対象犯罪行為に関連して不正な利益を得た者、当該対象犯罪行為により財産を失ったことについて自己に不法な原因がある者その他被害回復分配金の支払を受けることが社会通念上適切でない者又は対象被害者がこれらの者のいずれかに該当する場合におけるその一般承継人
第2節 手続の開始等
第10条 金融機関は、第7条の規定により預金等に係る債権が消滅したとき(第8条第3項に規定する場合を除く。)は、速やかに、主務省令で定めるところにより、預金保険機構に対し、その消滅に係る消滅預金等債権について、主務省令で定める書類を添えて、被害回復分配金の支払手続の開始に係る公告をすることを求めなければならない。
2 前項の規定は、対象預金口座等に係るすべての対象被害者又はその一般承継人が明らかであり、かつ、これらの対象被害者又はその一般承継人のすべてから被害回復分配金の支払を求める旨の申出があるときは、適用しない。この場合において、金融機関は、預金保険機構にその旨を通知しなければならない。
第11条 預金保険機構は、前条第1項の規定による求めがあったときは、遅滞なく、当該求めに係る書面又は同項に規定する主務省令で定める書類の内容に基づき、次に掲げる事項を公告しなければならない。
一 前条第1項の規定による求めに係る消滅預金等債権についてこの章の規定に基づく被害回復分配金の支払手続が開始された旨
二 対象預金口座等(対象預金口座等が第2条第4項第2号に掲げる預金口座等である場合における当該対象預金口座等に係る資金の移転元となった同項第1号に掲げる預金口座等を含む。次号において同じ。)に係る金融機関及びその店舗並びに預金等の種別及び口座番号
三 対象預金口座等の名義人の氏名又は名称
四 消滅預金等債権の額
五 支払申請期間
六 被害回復分配金の支払の申請方法
七 被害回復分配金の支払の申請に関し参考となるべき事項として主務省令で定めるもの(当該事項を公告することが困難である旨の金融機関の通知がある事項を除く。)
八 その他主務省令で定める事項
2 前項第5号に掲げる支払申請期間(以下この章において単に「支払申請期間」という。)は、同項の規定による公告があった日の翌日から起算して30日以上でなければならない。
3 預金保険機構は、前条第1項の規定による求めに係る書面又は同項に規定する主務省令で定める書類に形式上の不備があると認めるときは、金融機関に対し、相当の期間を定めて、その補正を求めることができる。
4 金融機関は、対象犯罪行為による被害を受けたことが疑われる者に対し被害回復分配金の支払手続の実施等について周知するため、必要な情報の提供その他の措置を適切に講ずるものとする。
5 第1項から第3項までに規定するもののほか、第1項の規定による公告に関し必要な事項は、主務省令で定める。
第3節 支払の申請及び決定等
第12条 被害回復分配金の支払を受けようとする者は、支払申請期間(第10条第2項の規定による通知があった場合においては、金融機関が定める相当の期間。以下同じ。)内に、主務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書に第1号及び第2号に掲げる事項を疎明するに足りる資料を添付して、対象預金口座等に係る金融機関に申請をしなければならない。
一 申請人が対象被害者又はその一般承継人であることの基礎となる事実
二 対象犯罪行為により失われた財産の価額
三 控除対象額(対象犯罪行為により失われた財産の価額に相当する損害について、そのてん補又は賠償がされた場合(当該対象犯罪行為により当該財産を失った対象被害者又はその一般承継人以外の者により当該てん補又は賠償がされた場合に限る。)における当該てん補額及び賠償額を合算した額をいう。以下同じ。)
四 その他主務省令で定める事項
2 前項の規定による申請をした対象被害者又はその一般承継人(以下この項において「対象被害者等」という。)について、当該申請に対する次条の規定による決定が行われるまでの間に一般承継があったときは、当該対象被害者等の一般承継人は、支払申請期間が経過した後であっても、当該一般承継があった日から60日以内に限り、被害回復分配金の支払の申請をすることができる。この場合において、当該一般承継人は、主務省令で定めるところにより、前項に規定する申請書に同項第1号及び第2号に掲げる事項を疎明するに足りる資料を添付して、これを対象預金口座等に係る金融機関に提出しなければならない。
3 前二項の規定による申請は、対象犯罪行為に係る第2条第3項に規定する振込みの依頼をした金融機関を経由して、行うことができる。
第13条 金融機関は、前条第1項の規定による申請があった場合において、支払申請期間が経過したときは、遅滞なく、同条第1項又は第2項に規定する申請書及び資料等に基づき、その申請人が被害回復分配金の支払を受けることができる者に該当するか否かの決定をしなければならない。同条第2項の規定による申請があった場合において、当該申請に係る一般承継があった日から60日が経過したときも、同様とする。
2 金融機関は、被害回復分配金の支払を受けることができる者に該当する旨の決定(以下「支払該当者決定」という。)をするに当たっては、その犯罪被害額(対象犯罪行為により失われた財産の価額から控除対象額を控除した額をいう。以下同じ。)を定めなければならない。この場合において、支払該当者決定を受ける者で同一の対象被害者の一般承継人であるものが2人以上ある場合におけるその者に係る犯罪被害額は、当該対象被害者に係る対象犯罪行為により失われた財産の価額から控除対象額を控除した額を当該一般承継人の数で除して得た額とする。
3 前項後段に規定する場合において、当該支払該当者決定を受ける者のうちに各人が支払を受けるべき被害回復分配金の額の割合について合意をした者があるときは、同項後段の規定にかかわらず、当該合意をした者に係る犯罪被害額は、同項後段の規定により算出された額のうちこれらの者に係るものを合算した額に当該合意において定められた各人が支払を受けるべき被害回復分配金の額の割合を乗じて得た額とする。
4 前二項に定めるもののほか、犯罪被害額の認定の方法については、主務省令で定める。
第14条 金融機関は、前条の規定による決定を行ったときは、速やかに、その内容を記載した書面を申請人に送付しなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、申請人の所在が知れないときその他同項の書面を送付することができないときは、金融機関において当該書面を保管し、いつでも申請人に交付すべき旨を明らかにする措置として主務省令で定める措置をとることをもって同項の規定による送付に代えることができる。
第15条 金融機関は、第13条の規定による決定を行ったときは、次に掲げる事項を記載した決定表を作成し、申請人の閲覧に供するため、これを主務省令で定める場所に備え置かなければならない。
一 支払該当者決定を受けた者の氏名又は名称及び当該支払該当者決定において定められた犯罪被害額(支払該当者決定を受けた者がないときは、その旨)
二 その他主務省令で定める事項
第4節 支払の実施等
第16条 金融機関は、すべての申請に対する第13条の規定による決定を行ったときは、遅滞なく、支払該当者決定を受けた者に対し、被害回復分配金を支払わなければならない。
2 前項の規定により支払う被害回復分配金の額は、支払該当者決定により定めた犯罪被害額の総額(以下この項において「総被害額」という。)が消滅預金等債権の額を超えるときは、この額に当該支払該当者決定を受けた者に係る犯罪被害額の総被害額に対する割合を乗じて得た額(その額に1円未満の端数があるときは、これを切り捨てた額)とし、その他のときは、当該犯罪被害額とする。
3 金融機関は、第1項の規定により支払う被害回復分配金の額を決定表に記載し、その旨を預金保険機構に通知しなければならない。
4 預金保険機構は、前項の規定による通知を受けたときは、第1項の規定により支払う被害回復分配金の額を金融機関が決定表に記載した旨を公告しなければならない。
第17条 金融機関は、支払該当者決定が行われた者について一般承継があった場合において、その者に支払うべき被害回復分配金でまだ支払っていないものがあるときは、その者の一般承継人であって当該一般承継があった日から60日以内に届出をしたものに対し、未払の被害回復分配金を支払わなければならない。この場合において、当該一般承継人は、主務省令で定めるところにより、届出書を金融機関に提出しなければならない。
2 前項の規定により届出をした一般承継人が2人以上ある場合における当該一般承継人に支払う被害回復分配金の額は、同項に規定する未払の被害回復分配金の額を当該一般承継人の数で除して得た額(その額に1円未満の端数があるときは、これを切り捨てた額)とする。ただし、当該一般承継人のうちに各人が支払を受けるべき被害回復分配金の額の割合について合意をした者があるときは、当該合意をした者に支払う被害回復分配金の額は、この項本文の規定により算出された額のうちこれらの者に係るものを合算した額に当該合意において定められた各人が支払を受けるべき被害回復分配金の額の割合を乗じて得た額(その額に1円未満の端数があるときは、これを切り捨てた額)とする。
第5節 手続の終了等
第18条 金融機関は、次の各号のいずれかに該当するときは、速やかに、預金保険機構に対し、被害回復分配金の支払手続の終了に係る公告をすることを求めなければならない。
一 第12条第1項又は第2項の規定による申請がないとき。
二 第12条第1項又は第2項の規定による申請のすべてについて第13条の規定による決定があった場合において、支払該当者決定を受けた者がないとき。
三 前節又は第22条第2項の規定により支払うべき被害回復分配金のすべてについて、同節の規定によりこれを支払い、又は同項に規定する措置をとったとき。
四 対象預金口座等が犯罪利用預金口座等でないことが明らかになったとき。
2 預金保険機構は、前項の規定による求めがあったときは、遅滞なく、被害回復分配金の支払手続が終了した旨を公告しなければならない。
第19条 金融機関は、第8条第3項又は前条第2項の規定による公告があった場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、当該各号に定める額に相当する額の金銭を、預金保険機構に納付しなければならない。
一 第8条第3項の規定による公告があったとき又は前条第2項の規定による公告があった場合において被害回復分配金の支払を行わなかったとき。 消滅預金等債権の額
二 前条第2項の規定による公告があった場合において、当該公告に係る対象預金口座等について支払った被害回復分配金の額の合計額が消滅預金等債権の額に満たないとき。 消滅預金等債権の額から当該被害回復分配金の額の合計額を控除した額
第20条 預金保険機構は、前条(第24条第3項の規定によりその例によることとされる場合を含む。)の規定により金銭の納付を受けたときは、当該納付を受けた金銭の額から当該金銭の額に第25条第4項の規定による支払に要する費用の額を考慮して主務省令で定める割合を乗じて得た額を控除した額の金銭を、主務省令で定めるところにより、犯罪被害者等の支援の充実のために支出するものとする。
2 預金保険機構は、前項の主務省令で定める割合を乗じて得た額の金銭について、その全部又は一部が第25条第4項の規定による支払のため必要がなくなったときは、前項の主務省令で定めるところにより、これを犯罪被害者等の支援の充実のために支出するものとする。
第21条 被害回復分配金を支払ったときは、その支払を受けた者が有する当該被害回復分配金に係る対象犯罪行為に係る損害賠償請求権その他の請求権は、その支払を受けた額の限度において消滅する。
2 金融機関が第25条第1項又は第2項の規定による支払を行った場合において、その支払を受けた者が第4条第1項の規定の適用その他の前章又はこの章に規定する手続の実施に関し損害賠償請求権その他の請求権を有するときは、当該請求権は、その支払を受けた額の限度において消滅する。
第22条 被害回復分配金の支払手続において、被害回復分配金の支払を受ける権利は、第16条第4項(次項又は第24条第2項の規定によりその例によることとされる場合を含む。)の規定による公告があった時から6月間行使しないときは、消滅する。
2 金融機関は、前項の規定により被害回復分配金の支払を受ける権利が消滅した場合において、同一の対象預金口座等に係る被害回復分配金の支払について他に支払該当者決定を受けた者(被害回復分配金の支払を受ける権利が消滅した者を除く。以下「他の支払該当者」という。)があり、かつ、他の支払該当者について既に支払った被害回復分配金の額が犯罪被害額に満たないときは、遅滞なく、同項の規定により消滅した権利に係る被害回復分配金の額に相当する額の金銭を原資として、前節の規定の例により、他の支払該当者又はその一般承継人に対し、被害回復分配金の支払をしなければならない。ただし、同項の規定により消滅した権利に係る被害回復分配金の額が1000円未満である場合は、この限りでない。
第23条 被害回復分配金の支払を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。ただし、国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押さえる場合は、この限りでない。
第24条 金融機関は、偽りその他不正の手段により被害回復分配金の支払を受けた者があるときは、その者からの被害回復分配金の返還に係る措置を適切に講ずるものとする。
2 金融機関は、前項に規定する者から被害回復分配金の返還を受けた場合において、他の支払該当者があり、かつ、他の支払該当者について既に支払った被害回復分配金の額が犯罪被害額に満たないときは、遅滞なく、返還を受けた額に相当する額の金銭を原資として、前節の規定の例により、他の支払該当者又はその一般承継人に対し、被害回復分配金の支払をしなければならない。ただし、同項に規定する者から返還を受けた額が1000円未満である場合は、この限りでない。
3 第1項に規定する者から返還を受けた金銭の預金保険機構への納付については、第19条の規定の例による。
第25条 対象預金口座等に係る名義人その他の消滅預金等債権に係る債権者(以下この条において「名義人等」という。)は、第8条第3項又は第18条第2項の規定による公告があった後において、対象預金口座等に係る金融機関に対し第5条第1項第5号に掲げる期間内に同号の権利行使の届出を行わなかったことについてのやむを得ない事情その他の事情、当該対象預金口座等の利用の状況及び当該対象預金口座等への主要な入金の原因について必要な説明が行われたこと等により、当該対象預金口座等が犯罪利用預金口座等でないことについて相当な理由があると認められる場合には、当該金融機関に対し、消滅預金等債権の額に相当する額の支払を請求することができる。
2 名義人等は、対象預金口座等について、当該対象預金口座等に係る金融機関に対し第5条第1項第5号に掲げる期間内に同号の権利行使の届出を行わなかったことについてのやむを得ない事情その他の事情について必要な説明を行った場合において、対象犯罪行為による被害に係る財産以外の財産をもって当該対象預金口座等への振込みその他の方法による入金が行われているときは、第8条第3項又は第18条第2項の規定による公告があった後において、当該対象預金口座等に係る金融機関に対し、消滅預金等債権の額から当該入金以外の当該対象預金口座等へのすべての入金の合計額を控除した額の支払を請求することができる。ただし、当該消滅預金等債権の額が当該合計額以下であるときは、この限りでない。
3 金融機関は、前二項の規定による支払を行おうとする場合において、第4条第1項の規定の適用その他の前章に規定する手続の実施に関し過失がないと思料するときは、その旨を預金保険機構に通知しなければならない。
4 第1項又は第2項の規定による支払を行った金融機関は、主務省令で定めるところにより、第4条第1項の規定の適用その他の前章に規定する手続の実施に関し過失がないことについて相当な理由があると認められるときは、預金保険機構に対し、第1項又は第2項の規定により支払った額に相当する額の支払を請求することができる。ただし、当該支払に係る預金口座等について被害回復分配金が支払われている場合において、この章に規定する手続の実施に関し金融機関に過失があるときは、その請求することができる額は、第1項又は第2項の規定により支払った額から金融機関の過失により支払った被害回復分配金の額の合計額を控除した額とする。
5 金融機関は、第1項又は第2項の規定による支払に係る預金口座等が犯罪利用預金口座等その他不正に利用された預金口座等である疑いがあると認めるときは、当該支払を停止する措置を講ずることができる。
第5章 預金保険機構の業務の特例等
第26条 預金保険機構(以下「機構」という。)は、預金保険法(昭和46年法律第34号)第34条に規定する業務のほか、第1条の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 預金等に係る債権の消滅手続の開始に係る公告その他第3章の規定による業務
二 被害回復分配金の支払手続の開始に係る公告その他前章の規定による業務(次号及び第4号に掲げる業務を除く。)
三 第19条(第24条第3項の規定によりその例によることとされる場合を含む。)の規定による金銭の収納及び第20条の規定による金銭の支出その他の管理
四 前条第4項の規定による金銭の支払
五 第30条の規定による手数料の収納
六 前各号の業務に附帯する業務
第27条 この法律の規定による公告は、インターネットを利用して公衆の閲覧に供する方法でしなければならない。
第28条 機構は、第26条の規定による業務(以下「被害回復分配金支払業務」という。)に係る経理については、その他の経理と区分し、特別の勘定を設けて整理しなければならない。
第29条 機構は、被害回復分配金支払業務を行うため必要があると認めるときは、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けて、金融機関その他の者から資金の借入れ(借換えを含む。)をすることができる。
2 前項の規定による借入金の現在額は、政令で定める金額を超えることとなってはならない。
第30条 機構は、第4条第1項又は第10条第1項の規定による求めを行う金融機関から、被害回復分配金支払業務に係る事務に要する費用を勘案して機構が運営委員会(預金保険法第14条に規定する運営委員会をいう。)の議決を経て定める額の手数料を徴収することができる。
2 機構は、前項に規定する手数料の額を定め、又はこれを変更しようとするときは、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けなければならない。
第6章 雑則
第31条 この法律により機構の業務が行われる場合には、この法律の規定によるほか、預金保険法を適用する。この場合において、同法第15条第5号中「事項」とあるのは「事項(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律(平成19年法律第133号。以下「被害回復分配金支払法」という。)の規定による機構の業務に係るものを除く。)」と、同法第37条第1項中「次の各号に掲げる業務」とあるのは「次の各号に掲げる業務(被害回復分配金支払法の規定による業務を行う場合にあつては、当該業務)」と、「各号に定める者」とあるのは「各号に定める者(被害回復分配金支払法の規定による業務を行う場合にあつては、被害回復分配金支払法第2条第1項に規定する金融機関)」と、同条第2項中「特定持株会社等」とあるのは「特定持株会社等(被害回復分配金支払法の規定による業務を行う場合にあつては、被害回復分配金支払法第2条第1項に規定する金融機関)」と、同法第44条、第45条第2項及び第46条第1項中「この法律」とあるのは「この法律又は被害回復分配金支払法」と、同法第51条第2項中「業務(第40条の2第2号に掲げる業務を除く。)」とあるのは「業務(第40条の2第2号に掲げる業務及び被害回復分配金支払法第28条に規定する被害回復分配金支払業務を除く。)」と、同法第152条第1号中「この法律」とあるのは「この法律又は被害回復分配金支払法」と、同条第3号中「第34条に規定する業務」とあるのは「第34条に規定する業務及び被害回復分配金支払法の規定による業務」とする。
第32条 金融機関は、この法律に規定する手続の実施に関し、関係行政機関等に対し必要な協力を求めることができる。
第33条 金融機関は、被害回復分配金の支払の原資となる金銭を、自己の固有財産その他の財産と分別して管理しなければならない。
第34条 第4条第1項の規定による求め(同項の主務省令で定める書類の提出を含む。)、第5条第1項第7号の規定による通知、第6条第1項又は第2項の規定による通知、第10条第1項の規定による求め(同項の主務省令で定める書類の提出を含む。)、同条第2項の規定による通知、第11条第1項第7号の規定による通知、第16条第3項の規定による通知、第18条第1項の規定による求め及び第25条第3項の規定による通知は、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして主務省令で定めるものをいう。)の提出又は電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって主務省令で定めるものをいう。)をもって行うことができる。
第35条 行政庁は、この法律の円滑な実施を確保するため必要があると認めるときは、金融機関(金融機関代理業者(銀行法(昭和56年法律第59号)第2条第15項に規定する銀行代理業者、長期信用銀行法(昭和27年法律第187号)第16条の5第3項に規定する長期信用銀行代理業者、信用金庫法(昭和26年法律第238号)第85条の2第3項に規定する信用金庫代理業者、協同組合による金融事業に関する法律(昭和24年法律第183号)第6条の3第3項に規定する信用協同組合代理業者、労働金庫法(昭和28年法律第227号)第89条の3第3項に規定する労働金庫代理業者、農業協同組合法(昭和22年法律第132号)第92条の2第3項に規定する特定信用事業代理業者、水産業協同組合法(昭和23年法律第242号)第106条第3項に規定する特定信用事業代理業者、農林中央金庫法(平成13年法律第93号)第95条の2第3項に規定する農林中央金庫代理業者及び株式会社商工組合中央金庫法(平成19年法律第74号)第2条第4項に規定する代理又は媒介に係る契約の相手方をいう。以下この条及び次条において同じ。)を含む。)又は銀行持株会社等(銀行法第2条第13項に規定する銀行持株会社又は長期信用銀行法第16条の4第1項に規定する長期信用銀行持株会社をいう。以下この条及び次条において同じ。)に対し、その業務又は財産の状況に関し報告又は資料の提出を求めることができる。
2 行政庁は、この法律の円滑な実施を確保するため特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、金融機関若しくは銀行持株会社等(以下この条及び次条において「金融機関等」という。)の子会社(当該金融機関等が銀行法第2条第1項に規定する銀行又は同条第13項に規定する銀行持株会社である場合には同条第8項に、長期信用銀行法第2条に規定する長期信用銀行又は同法第16条の4第1項に規定する長期信用銀行持株会社である場合には同法第13条の2第2項に、信用金庫又は信用金庫連合会である場合には信用金庫法第32条第6項に、信用協同組合又は信用協同組合連合会である場合には協同組合による金融事業に関する法律第4条第1項に、労働金庫又は労働金庫連合会である場合には労働金庫法第32条第5項に、農業協同組合又は農業協同組合連合会である場合には農業協同組合法第11条の2第2項に、漁業協同組合若しくは漁業協同組合連合会又は水産加工業協同組合若しくは水産加工業協同組合連合会である場合には水産業協同組合法第11条の8第2項に、農林中央金庫である場合には農林中央金庫法第24条第4項に、株式会社商工組合中央金庫である場合には株式会社商工組合中央金庫法第23条第2項に、それぞれ規定する子会社(子会社とみなされる会社を含む。)をいう。次項及び次条において同じ。)又は当該金融機関等から業務の委託を受けた者(金融機関代理業者を除く。次項並びに次条第2項及び第5項において同じ。)に対し、当該金融機関等の業務又は財産の状況に関し参考となるべき報告又は資料の提出を求めることができる。
3 金融機関等の子会社又は金融機関等から業務の委託を受けた者は、正当な理由があるときは、前項の規定による報告又は資料の提出を拒むことができる。
第36条 行政庁は、この法律の円滑な実施を確保するため必要があると認めるときは、当該職員に金融機関等(金融機関代理業者を含む。)の営業所若しくは事務所その他の施設に立ち入らせ、その業務若しくは財産の状況に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 行政庁は、前項の規定による立入り、質問又は検査を行う場合において特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該職員に当該金融機関等の子会社若しくは当該金融機関等から業務の委託を受けた者の施設に立ち入らせ、当該金融機関等に対する質問若しくは検査に必要な事項に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
3 前二項の場合において、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。
4 第1項及び第2項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
5 前条第3項の規定は、第2項の規定による金融機関等の子会社又は金融機関等から業務の委託を受けた者に対する質問及び検査について準用する。
6 行政庁は、必要があると認めるときは、機構に、第1項又は第2項の規定による立入り、質問又は検査(第3章及び第4章の規定による手続が適正に行われていることを調査するために行うものに限る。)を行わせることができる。この場合において、機構は、その職員に当該立入り、質問又は検査を行わせるものとする。
7 第3項から第5項までの規定は、前項の規定による立入り、質問又は検査について準用する。
第37条 政府は、この法律の円滑な実施を図るため、振込利用犯罪行為により被害を受けた者の財産的被害の迅速な回復等に資するとのこの法律の趣旨及び被害回復分配金の支払手続等に関する事項その他この法律の内容について、広報活動等を通じて国民に周知を図り、その理解を得るよう努めるものとする。
2 機構は、毎年少なくとも一回、消滅預金等債権に関する事項、被害回復分配金の支払の実施の状況その他のこの法律の実施の状況に関する事項を公表するものとする。
第38条 この法律に規定するもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、主務省令で定める。
第39条 この法律における行政庁は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める者とする。
一 第2条第1項第1号から第3号まで、第6号及び第7号に掲げる金融機関 内閣総理大臣
二 第2条第1項第4号及び第5号に掲げる金融機関 内閣総理大臣及び厚生労働大臣
三 第2条第1項第8号及び第9号に掲げる金融機関 農業協同組合法第98条第1項に規定する行政庁
四 第2条第1項第10号から第13号までに掲げる金融機関 水産業協同組合法第127条第1項に規定する行政庁
五 第2条第1項第14号に掲げる金融機関 農林水産大臣及び内閣総理大臣
六 第2条第1項第15号に掲げる金融機関 株式会社商工組合中央金庫法第56条第2項に規定する主務大臣
第40条 この法律における主務省令は、内閣府令・財務省令・厚生労働省令・農林水産省令・経済産業省令とする。ただし、第20条第1項に規定する主務省令は、内閣府令・財務省令とする。
第41条 内閣総理大臣は、この法律による権限を金融庁長官に委任する。
2 この法律に規定する行政庁の権限に属する事務(この法律の規定により都道府県知事の権限に属することとされている事務を除く。)の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる。
3 前二項に規定するもののほか、この法律の規定による行政庁の権限の行使に関して必要な事項は、政令で定める。
第42条 この法律の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第2条第9項第1号に規定する第1号法定受託事務とする。
第7章 罰則
第43条 第35条第1項又は第2項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をした者は、1年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。
2 第36条第1項、第2項又は第6項の規定による当該職員又は機構の職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者も、前項と同様とする。
第44条 次の各号のいずれかに該当する者は、50万円以下の罰金に処する。
一 第12条第1項又は第2項に規定する申請書又は資料に虚偽の記載をして提出した者
二 第17条第1項(第22条第2項又は第24条第2項の規定によりその例によることとされる場合を含む。)に規定する届出書に虚偽の記載をして提出した者
第45条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めがあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者若しくは管理人又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
一 第43条 2億円以下の罰金刑
二 前条 同条の罰金刑
2 法人でない団体について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人が、その訴訟行為につき当該法人でない団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
第1条 この法律は、公布の日から起算して6月を経過した日から施行する。ただし、次条及び附則第4条の規定は、公布の日から施行する。
第2条 機構は、この法律の施行の日前においても、被害回復分配金支払業務の実施に必要な準備行為をすることができる。
第1条 この法律は、平成20年10月1日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 附則第3条から第22条まで、第25条から第30条まで、第101条及び第102条の規定 公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日
第100条 この法律の施行前に改正前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。以下この条において同じ。)の規定によってした処分、手続その他の行為であって、改正後のそれぞれの法律の規定に相当の規定があるものは、この附則に別段の定めがあるものを除き、改正後のそれぞれの法律の相当の規定によってしたものとみなす。
第101条 この法律(附則第1条各号に掲げる規定にあっては、当該規定。以下この条において同じ。)の施行前にした行為並びにこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合及びこの附則の規定によりなおその効力を有することとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第102条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
第1条 この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第1条中金融商品取引法第197条の2の次に一条を加える改正規定、同法第198条第2号の次に二号を加える改正規定並びに同法第198条の3、第198条の6第2号、第205条第14号並びに第207条第1項第2号及び第2項の改正規定、第3条の規定、第4条中農業協同組合法第11条の4第4項の次に一項を加える改正規定、第5条のうち水産業協同組合法第11条の11中第5項を第6項とし、第4項の次に一項を加える改正規定、第8条の規定(投資信託及び投資法人に関する法律第252条の改正規定を除く。)、第14条のうち銀行法第13条中第5項を第6項とし、第4項の次に一項を加える改正規定及び同法第52条の22第4項中「前三項」を「前各項」に改め、同項を同条第5項とし、同条第3項の次に一項を加える改正規定、第15条の規定、第19条のうち農林中央金庫法第58条中第5項を第6項とし、第4項の次に一項を加える改正規定、第21条中信託業法第91条、第93条、第96条及び第98条第1項の改正規定、第22条の規定並びに附則第30条(株式会社地域経済活性化支援機構法(平成21年法律第63号)第23条第2項の改正規定に限る。)、第31条(株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法(平成23年法律第113号)第17条第2項の改正規定に限る。)、第32条、第36条及び第37条の規定 公布の日から起算して20日を経過した日
二 第1条中金融商品取引法第79条の49第1項、第79条の53第4項及び第5項、第79条の55第2項並びに第185条の16の改正規定、第13条の規定、第16条中保険業法第240条の6第1項、第241条第1項、第249条第1項、第249条の2第1項及び第5項、第249条の3並びに第265条の28第1項の改正規定、第17条の規定(金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第445条第3項の改正規定を除く。)、第20条の規定並びに附則第17条から第19条まで、第22条から第24条まで、第29条(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律(平成19年法律第133号)第31条の改正規定に限る。)、第30条(株式会社地域経済活性化支援機構法第23条第2項の改正規定を除く。)、第31条(株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法第17条第2項の改正規定を除く。)、第33条及び第34条の規定 公布の日から起算して9月を超えない範囲内において政令で定める日
第36条 この法律(附則第1条各号に掲げる規定にあっては、当該規定。以下この条において同じ。)の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第37条 附則第2条から第15条まで及び前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
第1条 この法律は、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。