家事事件手続法
第1編 総則
第1章 通則
第1条 家事審判及び家事調停に関する事件(以下「家事事件」という。)の手続については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。
第2条 裁判所は、家事事件の手続が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に家事事件の手続を追行しなければならない。
第3条 この法律に定めるもののほか、家事事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
第1章の2 日本の裁判所の管轄権
第3条の2 裁判所は、不在者の財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の五十五の項の事項についての審判事件をいう。第145条において同じ。)について、不在者の財産が日本国内にあるときは、管轄権を有する。
第3条の3 裁判所は、失踪の宣告の取消しの審判事件(別表第一の五十七の項の事項についての審判事件をいう。第149条第1項及び第2項において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。
一 日本において失踪の宣告の審判があったとき。
二 失踪者の住所が日本国内にあるとき又は失踪者が日本の国籍を有するとき。
三 失踪者が生存していたと認められる最後の時点において、失踪者が日本国内に住所を有していたとき又は日本の国籍を有していたとき。
第3条の4 裁判所は、嫡出否認の訴えについて日本の裁判所が管轄権を有するときは、嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件(別表第一の五十九の項の事項についての審判事件をいう。第159条第1項及び第2項において同じ。)について、管轄権を有する。
第3条の5 裁判所は、養子縁組をするについての許可の審判事件(別表第一の六十一の項の事項についての審判事件をいう。第161条第1項及び第2項において同じ。)及び特別養子縁組の成立の審判事件(同表の六十三の項の事項についての審判事件をいう。第164条において同じ。)(特別養子適格の確認の審判事件(同条第2項に規定する特別養子適格の確認についての審判事件をいう。第164条の2第2項及び第4項において同じ。)を含む。)について、養親となるべき者又は養子となるべき者の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。
第3条の6 裁判所は、死後離縁をするについての許可の審判事件(別表第一の六十二の項の事項についての審判事件をいう。第162条第1項及び第2項において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。
一 養親又は養子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。
二 養親又は養子がその死亡の時に日本国内に住所を有していたとき。
三 養親又は養子の一方が日本の国籍を有する場合であって、他の一方がその死亡の時に日本の国籍を有していたとき。
第3条の7 裁判所は、特別養子縁組の離縁の審判事件(別表第一の六十四の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。
一 養親の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。
二 養子の実父母又は検察官からの申立てであって、養子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。
三 養親及び養子が日本の国籍を有するとき。
四 日本国内に住所がある養子からの申立てであって、養親及び養子が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき。
五 日本国内に住所がある養子からの申立てであって、養親が行方不明であるとき、養親の住所がある国においてされた離縁に係る確定した裁判が日本国で効力を有しないときその他の日本の裁判所が審理及び裁判をすることが養親と養子との間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき。
第3条の8 裁判所は、親権に関する審判事件(別表第一の六十五の項から六十九の項まで並びに別表第二の七の項及び八の項の事項についての審判事件をいう。第167条において同じ。)、子の監護に関する処分の審判事件(同表の三の項の事項についての審判事件をいう。第150条第4号及び第151条第2号において同じ。)(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件を除く。)及び親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件(別表第一の百三十二の項の事項についての審判事件をいう。第242条第1項第2号及び第3項において同じ。)について、子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。
第3条の9 裁判所は、養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件(別表第一の七十の項の事項についての審判事件をいう。第176条及び第177条第1号において同じ。)又は未成年後見人の選任の審判事件(同表の七十一の項の事項についての審判事件をいう。同条第2号において同じ。)について、未成年被後見人となるべき者若しくは未成年被後見人(以下この条において「未成年被後見人となるべき者等」という。)の住所若しくは居所が日本国内にあるとき又は未成年被後見人となるべき者等が日本の国籍を有するときは、管轄権を有する。
第3条の10 裁判所は、夫婦、親子その他の親族関係から生ずる扶養の義務に関する審判事件(別表第一の八十四の項及び八十五の項並びに別表第二の一の項から三の項まで、九の項及び十の項の事項についての審判事件(同表の三の項の事項についての審判事件にあっては、子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件に限る。)をいう。)について、扶養義務者(別表第一の八十四の項の事項についての審判事件にあっては、扶養義務者となるべき者)であって申立人でないもの又は扶養権利者(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件にあっては、子の監護者又は子)の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。
第3条の11 裁判所は、相続に関する審判事件(別表第一の八十六の項から百十の項まで及び百三十三の項並びに別表第二の十一の項から十五の項までの事項についての審判事件をいう。)について、相続開始の時における被相続人の住所が日本国内にあるとき、住所がない場合又は住所が知れない場合には相続開始の時における被相続人の居所が日本国内にあるとき、居所がない場合又は居所が知れない場合には被相続人が相続開始の前に日本国内に住所を有していたとき(日本国内に最後に住所を有していた後に外国に住所を有していたときを除く。)は、管轄権を有する。
2 相続開始の前に推定相続人の廃除の審判事件(別表第一の八十六の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)、推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件(同表の八十七の項の事項についての審判事件をいう。第188条第1項及び第189条第1項において同じ。)、遺言の確認の審判事件(同表の百二の項の事項についての審判事件をいう。第209条第2項において同じ。)又は遺留分の放棄についての許可の審判事件(同表の百十の項の事項についての審判事件をいう。第216条第1項第2号において同じ。)の申立てがあった場合における前項の規定の適用については、同項中「相続開始の時における被相続人」とあるのは「被相続人」と、「相続開始の前」とあるのは「申立て前」とする。
3 裁判所は、第1項に規定する場合のほか、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の八十八の項の事項についての審判事件をいう。第189条第1項及び第2項において同じ。)、相続財産の保存又は管理に関する処分の審判事件(同表の九十の項の事項についての審判事件をいう。第201条第10項において同じ。)、限定承認を受理した場合における相続財産の管理人の選任の審判事件(同表の九十四の項の事項についての審判事件をいう。)、財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件(同表の九十七の項の事項についての審判事件をいう。第202条第1項第2号及び第3項において同じ。)及び相続人の不存在の場合における相続財産の管理に関する処分の審判事件(同表の九十九の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)について、相続財産に属する財産が日本国内にあるときは、管轄権を有する。
4 当事者は、合意により、いずれの国の裁判所に遺産の分割に関する審判事件(別表第二の十二の項から十四の項までの事項についての審判事件をいう。第3条の14及び第191条第1項において同じ。)及び特別の寄与に関する処分の審判事件(同表の十五の項の事項についての審判事件をいう。第3条の14及び第216条の2において同じ。)の申立てをすることができるかについて定めることができる。
5 民事訴訟法(平成8年法律第109号)第3条の7第2項から第4項までの規定は、前項の合意について準用する。
第3条の12 裁判所は、財産の分与に関する処分の審判事件(別表第二の四の項の事項についての審判事件をいう。第150条第5号において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。
一 夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、他の一方の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。
二 夫であった者及び妻であった者の双方が日本の国籍を有するとき。
三 日本国内に住所がある夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、夫であった者及び妻であった者が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき。
四 日本国内に住所がある夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、他の一方が行方不明であるとき、他の一方の住所がある国においてされた財産の分与に関する処分に係る確定した裁判が日本国で効力を有しないときその他の日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき。
第3条の13 裁判所は、家事調停事件について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。
一 当該調停を求める事項についての訴訟事件又は家事審判事件について日本の裁判所が管轄権を有するとき。
二 相手方の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。
三 当事者が日本の裁判所に家事調停の申立てをすることができる旨の合意をしたとき。
2 民事訴訟法第3条の7第2項及び第3項の規定は、前項第3号の合意について準用する。
3 人事訴訟法(平成15年法律第109号)第2条に規定する人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての調停事件については、第1項(第2号及び第3号に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。
第3条の14 裁判所は、第3条の2から前条までに規定する事件について日本の裁判所が管轄権を有することとなる場合(遺産の分割に関する審判事件又は特別の寄与に関する処分の審判事件について、日本の裁判所にのみ申立てをすることができる旨の合意に基づき申立てがされた場合を除く。)においても、事案の性質、申立人以外の事件の関係人の負担の程度、証拠の所在地、未成年者である子の利益その他の事情を考慮して、日本の裁判所が審理及び裁判をすることが適正かつ迅速な審理の実現を妨げ、又は相手方がある事件について申立人と相手方との間の衡平を害することとなる特別の事情があると認めるときは、その申立ての全部又は一部を却下することができる。
第3条の15 日本の裁判所の管轄権は、家事審判若しくは家事調停の申立てがあった時又は裁判所が職権で家事事件の手続を開始した時を標準として定める。
第2章 管轄
第4条 家事事件は、管轄が人の住所地により定まる場合において、日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときはその居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属し、日本国内に居所がないとき又は居所が知れないときはその最後の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
第5条 この法律の他の規定により二以上の家庭裁判所が管轄権を有するときは、家事事件は、先に申立てを受け、又は職権で手続を開始した家庭裁判所が管轄する。
第6条 管轄裁判所が法律上又は事実上裁判権を行うことができないときは、その裁判所の直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。
2 裁判所の管轄区域が明確でないため管轄裁判所が定まらないときは、関係のある裁判所に共通する直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。
3 前二項の規定により管轄裁判所を定める裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
第7条 この法律の他の規定により家事事件の管轄が定まらないときは、その家事事件は、審判又は調停を求める事項に係る財産の所在地又は最高裁判所規則で定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
第8条 裁判所の管轄は、家事審判若しくは家事調停の申立てがあった時又は裁判所が職権で家事事件の手続を開始した時を標準として定める。
第9条 裁判所は、家事事件の全部又は一部がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより又は職権で、これを管轄裁判所に移送する。ただし、家庭裁判所は、事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、家事事件の全部又は一部を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に移送し、又は自ら処理することができる。
2 家庭裁判所は、家事事件がその管轄に属する場合においても、次の各号に掲げる事由があるときは、職権で、家事事件の全部又は一部を当該各号に定める家庭裁判所に移送することができる。
一 家事事件の手続が遅滞することを避けるため必要があると認めるときその他相当と認めるとき 第5条の規定により管轄権を有しないこととされた家庭裁判所
二 事件を処理するために特に必要があると認めるとき 前号の家庭裁判所以外の家庭裁判所
3 前二項の規定による移送の裁判及び第1項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
4 前項の規定による移送の裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。
5 民事訴訟法第22条の規定は、家事事件の移送の裁判について準用する。
第3章 裁判所職員の除斥及び忌避
第10条 裁判官は、次に掲げる場合には、その職務の執行から除斥される。ただし、第6号に掲げる場合にあっては、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない。
一 裁判官又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、事件の当事者若しくはその他の審判を受ける者となるべき者(審判(申立てを却下する審判を除く。)がされた場合において、その審判を受ける者となる者をいう。以下同じ。)であるとき、又は事件についてこれらの者と共同権利者、共同義務者若しくは償還義務者の関係にあるとき。
二 裁判官が当事者又はその他の審判を受ける者となるべき者の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。
三 裁判官が当事者又はその他の審判を受ける者となるべき者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。
四 裁判官が事件について証人若しくは鑑定人となったとき、又は審問を受けることとなったとき。
五 裁判官が事件について当事者若しくはその他の審判を受ける者となるべき者の代理人若しくは補佐人であるとき、又はあったとき。
六 裁判官が事件について仲裁判断に関与し、又は不服を申し立てられた前審の裁判に関与したとき。
2 前項に規定する除斥の原因があるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、除斥の裁判をする。
第11条 裁判官について裁判又は調停の公正を妨げる事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができる。
2 当事者は、裁判官の面前において事件について陳述をしたときは、その裁判官を忌避することができない。ただし、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。
第12条 合議体の構成員である裁判官及び家庭裁判所の1人の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判官の所属する裁判所が、受託裁判官として職務を行う簡易裁判所の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判所の所在地を管轄する地方裁判所が、裁判をする。
2 家庭裁判所及び地方裁判所における前項の裁判は、合議体でする。
3 裁判官は、その除斥又は忌避についての裁判に関与することができない。
4 除斥又は忌避の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで家事事件の手続を停止しなければならない。ただし、急速を要する行為については、この限りでない。
5 次に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判をするときは、第3項の規定は、適用しない。
一 家事事件の手続を遅滞させる目的のみでされたことが明らかなとき。
二 前条第2項の規定に違反するとき。
三 最高裁判所規則で定める手続に違反するとき。
6 前項の裁判は、第1項及び第2項の規定にかかわらず、忌避された受命裁判官等(受命裁判官、受託裁判官、調停委員会を組織する裁判官又は家事事件を取り扱う家庭裁判所の1人の裁判官をいう。次条第3項ただし書において同じ。)がすることができる。
7 第5項の裁判をした場合には、第4項本文の規定にかかわらず、家事事件の手続は停止しない。
8 除斥又は忌避を理由があるとする裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
9 除斥又は忌避の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
第13条 裁判所書記官の除斥及び忌避については、第10条、第11条並びに前条第3項、第5項、第8項及び第9項の規定を準用する。
2 裁判所書記官について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その裁判所書記官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。ただし、前項において準用する前条第5項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。
3 裁判所書記官の除斥又は忌避についての裁判は、裁判所書記官の所属する裁判所がする。ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官等(受命裁判官又は受託裁判官にあっては、当該裁判官の手続に立ち会う裁判所書記官が忌避の申立てを受けたときに限る。)がすることができる。
第14条 参与員の除斥及び忌避については、第10条、第11条並びに第12条第2項、第8項及び第9項の規定を準用する。
2 参与員について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その参与員は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。ただし、第12条第5項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。
3 参与員の除斥又は忌避についての裁判は、参与員の所属する家庭裁判所がする。ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官(受命裁判官の手続に立ち会う参与員が忌避の申立てを受けたときに限る。)又は家事事件を取り扱う家庭裁判所の1人の裁判官がすることができる。
第15条 家事調停官の除斥及び忌避については、第10条、第11条並びに第12条第2項から第4項まで、第8項及び第9項の規定を準用する。
2 第12条第5項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、前項において準用する同条第4項本文の規定にかかわらず、家事事件の手続は停止しない。
3 家事調停官の除斥又は忌避についての裁判は、家事調停官の所属する家庭裁判所がする。ただし、前項の裁判は、忌避された家事調停官がすることができる。
第16条 家庭裁判所調査官及び家事調停委員の除斥については、第10条並びに第12条第2項、第8項及び第9項の規定(忌避に関する部分を除く。)を準用する。
2 家庭裁判所調査官又は家事調停委員について除斥の申立てがあったときは、その家庭裁判所調査官又は家事調停委員は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。
3 家庭裁判所調査官又は家事調停委員の除斥についての裁判は、家庭裁判所調査官又は家事調停委員の所属する裁判所がする。
第4章 当事者能力及び手続行為能力
第17条 当事者能力、家事事件の手続における手続上の行為(以下「手続行為」という。)をすることができる能力(以下この項において「手続行為能力」という。)、手続行為能力を欠く者の法定代理及び手続行為をするのに必要な授権については、民事訴訟法第28条、第29条、第31条、第33条並びに第34条第1項及び第2項の規定を準用する。
2 被保佐人、被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。次項において同じ。)又は後見人その他の法定代理人が他の者がした家事審判又は家事調停の申立て又は抗告について手続行為をするには、保佐人若しくは保佐監督人、補助人若しくは補助監督人又は後見監督人の同意その他の授権を要しない。職権により手続が開始された場合についても、同様とする。
3 被保佐人、被補助人又は後見人その他の法定代理人が次に掲げる手続行為をするには、特別の授権がなければならない。ただし、家事調停の申立てその他家事調停の手続の追行について同意その他の授権を得ている場合において、第2号に掲げる手続行為をするときは、この限りでない。
一 家事審判又は家事調停の申立ての取下げ
二 第268条第1項若しくは第277条第1項第1号の合意、第270条第1項に規定する調停条項案の受諾又は第286条第8項の共同の申出
三 審判に対する即時抗告、第94条第1項(第288条において準用する場合を含む。)の抗告若しくは第97条第2項(第288条において準用する場合を含む。)の申立ての取下げ又は第279条第1項若しくは第286条第1項の異議の取下げ
第18条 親権を行う者又は後見人は、第118条(この法律の他の規定において準用する場合を含む。)又は第252条第1項の規定により未成年者又は成年被後見人が法定代理人によらずに自ら手続行為をすることができる場合であっても、未成年者又は成年被後見人を代理して手続行為をすることができる。ただし、家事審判及び家事調停の申立ては、民法(明治29年法律第89号)その他の法令の規定により親権を行う者又は後見人が申立てをすることができる場合(人事訴訟法第2条に規定する人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての家事調停の申立てにあっては、同法その他の法令の規定によりその訴えを提起することができる場合を含む。)に限る。
第19条 裁判長は、未成年者又は成年被後見人について、法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、家事事件の手続が遅滞することにより損害が生ずるおそれがあるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、特別代理人を選任することができる。
2 特別代理人の選任の裁判は、疎明に基づいてする。
3 裁判所は、いつでも特別代理人を改任することができる。
4 特別代理人が手続行為をするには、後見人と同一の授権がなければならない。
5 第1項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
第20条 別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、法定代理権の消滅は、本人又は代理人から他方の当事者に通知しなければ、その効力を生じない。家事調停事件においても、同様とする。
第21条 法人の代表者及び法人でない社団又は財団で当事者能力を有するものの代表者又は管理人については、この法律中法定代理及び法定代理人に関する規定を準用する。
第5章 手続代理人及び補佐人
第22条 法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ手続代理人となることができない。ただし、家庭裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を手続代理人とすることができる。
2 前項ただし書の許可は、いつでも取り消すことができる。
第23条 手続行為につき行為能力の制限を受けた者が第118条(この法律の他の規定において準用する場合を含む。)又は第252条第1項の規定により手続行為をしようとする場合において、必要があると認めるときは、裁判長は、申立てにより、弁護士を手続代理人に選任することができる。
2 手続行為につき行為能力の制限を受けた者が前項の申立てをしない場合においても、裁判長は、弁護士を手続代理人に選任すべき旨を命じ、又は職権で弁護士を手続代理人に選任することができる。
3 前二項の規定により裁判長が手続代理人に選任した弁護士に対し手続行為につき行為能力の制限を受けた者が支払うべき報酬の額は、裁判所が相当と認める額とする。
第24条 手続代理人は、委任を受けた事件について、参加、強制執行及び保全処分に関する行為をし、かつ、弁済を受領することができる。
2 手続代理人は、次に掲げる事項については、特別の委任を受けなければならない。ただし、家事調停の申立てその他家事調停の手続の追行について委任を受けている場合において、第2号に掲げる手続行為をするときは、この限りでない。
一 家事審判又は家事調停の申立ての取下げ
二 第268条第1項若しくは第277条第1項第1号の合意、第270条第1項に規定する調停条項案の受諾又は第286条第8項の共同の申出
三 審判に対する即時抗告、第94条第1項(第288条において準用する場合を含む。)の抗告、第97条第2項(第288条において準用する場合を含む。)の申立て又は第279条第1項若しくは第286条第1項の異議
四 前号の抗告(即時抗告を含む。)、申立て又は異議の取下げ
五 代理人の選任
3 手続代理人の代理権は、制限することができない。ただし、弁護士でない手続代理人については、この限りでない。
4 前三項の規定は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人の権限を妨げない。
第25条 手続代理人の代理権の消滅は、家事審判事件(別表第二に掲げる事項についてのものに限る。)及び家事調停事件においては本人又は代理人から他方の当事者に、その他の家事事件においては本人又は代理人から裁判所に通知しなければ、その効力を生じない。
第26条 民事訴訟法第34条(第3項を除く。)及び第56条から第58条まで(同条第3項を除く。)の規定は、手続代理人及びその代理権について準用する。
第27条 家事事件の手続における補佐人については、民事訴訟法第60条の規定を準用する。
第6章 手続費用
第1節 手続費用の負担
第28条 手続費用(家事審判に関する手続の費用(以下「審判費用」という。)及び家事調停に関する手続の費用(以下「調停費用」という。)をいう。以下同じ。)は、各自の負担とする。
2 裁判所は、事情により、前項の規定によれば当事者及び利害関係参加人(第42条第7項に規定する利害関係参加人をいう。第1号において同じ。)がそれぞれ負担すべき手続費用の全部又は一部を、その負担すべき者以外の者であって次に掲げるものに負担させることができる。
一 当事者又は利害関係参加人
二 前号に掲げる者以外の審判を受ける者となるべき者
三 前号に掲げる者に準ずる者であって、その裁判により直接に利益を受けるもの
3 前二項の規定によれば検察官が負担すべき手続費用は、国庫の負担とする。
第29条 裁判所は、事件を完結する裁判において、職権で、その審級における審判費用(調停手続を経ている場合にあっては、調停費用を含む。)の全部について、その負担の裁判をしなければならない。ただし、事情により、事件の一部又は中間の争いに関する裁判において、その費用についての負担の裁判をすることができる。
2 上級の裁判所が本案の裁判を変更する場合には、手続の総費用(調停手続を経ている場合にあっては、調停費用を含む。)について、その負担の裁判をしなければならない。事件の差戻し又は移送を受けた裁判所がその事件を完結する裁判をする場合も、同様とする。
3 調停が成立した場合において、調停費用(審判手続を経ている場合にあっては、審判費用を含む。)の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。
4 第244条の規定により調停を行うことができる事件についての訴訟が係属する裁判所が第257条第2項又は第274条第1項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、その訴訟についての訴訟費用の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。
第30条 事実の調査、証拠調べ、呼出し、告知その他の家事事件の手続に必要な行為に要する費用は、国庫において立て替えることができる。
第31条 民事訴訟法第69条から第74条までの規定(裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについての決定に対する即時抗告に関する部分を除く。)は、手続費用の負担について準用する。この場合において、同法第72条中「当事者が裁判所において和解をした場合」とあるのは「調停が成立した場合」と、「和解の費用又は訴訟費用」とあるのは「家事事件手続法(平成23年法律第52号)第29条第3項の調停費用又は同条第4項の訴訟費用」と、同法第73条第1項中「裁判及び和解」とあるのは「裁判及び調停の成立」と、「補助参加の申出の取下げ又は補助参加についての異議の取下げ」とあるのは「家事事件手続法第41条第1項若しくは第42条第1項の規定による参加の申出の取下げ又は同条第2項の規定による参加の許可の申立ての取下げ」と、同条第2項中「第61条から第66条まで及び」とあるのは「家事事件手続法第31条第1項において準用する」と読み替えるものとする。
2 前項において準用する民事訴訟法第69条第3項の規定による即時抗告並びに同法第71条第4項(前項において準用する同法第72条後段において準用する場合を含む。)、第73条第2項及び第74条第2項の異議の申立てについての裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。
第2節 手続上の救助
第32条 家事事件の手続の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、手続上の救助の裁判をすることができる。ただし、救助を求める者が不当な目的で家事審判又は家事調停の申立てその他の手続行為をしていることが明らかなときは、この限りでない。
2 民事訴訟法第82条第2項及び第83条から第86条まで(同法第83条第1項第3号を除く。)の規定は、手続上の救助について準用する。この場合において、同法第84条中「第82条第1項本文」とあるのは、「家事事件手続法第32条第1項本文」と読み替えるものとする。
第7章 家事事件の審理等
第33条 家事事件の手続は、公開しない。ただし、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。
第34条 家事事件の手続の期日は、職権で、裁判長が指定する。
2 家事事件の手続の期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができる。
3 家事事件の手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り、することができる。
4 民事訴訟法第94条から第97条までの規定は、家事事件の手続の期日及び期間について準用する。
第35条 裁判所は、家事事件の手続を併合し、又は分離することができる。
2 裁判所は、前項の規定による裁判を取り消すことができる。
3 裁判所は、当事者を異にする家事事件について手続の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。
第36条 送達及び家事事件の手続の中止については、民事訴訟法第1編第5章第4節及び第130条から第132条まで(同条第1項を除く。)の規定を準用する。この場合において、同法第113条中「その訴訟の目的である請求又は防御の方法」とあるのは、「裁判又は調停を求める事項」と読み替えるものとする。
第37条 裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が裁判をする。
2 前項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
第8章 電子情報処理組織による申立て等
第38条 家事事件の手続における申立てその他の申述(次項において「申立て等」という。)については、民事訴訟法第132条の10第1項から第5項までの規定(支払督促に関する部分を除く。)を準用する。
2 前項において準用する民事訴訟法第132条の10第1項本文の規定によりされた申立て等に係るこの法律の他の規定による家事事件の記録の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付は、同条第5項の書面をもってするものとする。当該申立て等に係る書類の送達又は送付も、同様とする。
第2編 家事審判に関する手続
第1章 総則
第1節 家事審判の手続
第1款 通則
第39条 家庭裁判所は、この編に定めるところにより、別表第一及び別表第二に掲げる事項並びに同編に定める事項について、審判をする。
第40条 家庭裁判所は、参与員の意見を聴いて、審判をする。ただし、家庭裁判所が相当と認めるときは、その意見を聴かないで、審判をすることができる。
2 家庭裁判所は、参与員を家事審判の手続の期日に立ち会わせることができる。
3 参与員は、家庭裁判所の許可を得て、第1項の意見を述べるために、申立人が提出した資料の内容について、申立人から説明を聴くことができる。ただし、別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、この限りでない。
4 参与員の員数は、各事件について1人以上とする。
5 参与員は、毎年あらかじめ家庭裁判所の選任した者の中から、事件ごとに家庭裁判所が指定する。
6 前項の規定により選任される者の資格、員数その他同項の規定による選任に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
7 参与員には、最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。
第41条 当事者となる資格を有する者は、当事者として家事審判の手続に参加することができる。
2 家庭裁判所は、相当と認めるときは、当事者の申立てにより又は職権で、他の当事者となる資格を有する者(審判を受ける者となるべき者に限る。)を、当事者として家事審判の手続に参加させることができる。
3 第1項の規定による参加の申出及び前項の申立ては、参加の趣旨及び理由を記載した書面でしなければならない。
4 第1項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
第42条 審判を受ける者となるべき者は、家事審判の手続に参加することができる。
2 審判を受ける者となるべき者以外の者であって、審判の結果により直接の影響を受けるもの又は当事者となる資格を有するものは、家庭裁判所の許可を得て、家事審判の手続に参加することができる。
3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、職権で、審判を受ける者となるべき者及び前項に規定する者を、家事審判の手続に参加させることができる。
4 前条第3項の規定は、第1項の規定による参加の申出及び第2項の規定による参加の許可の申立てについて準用する。
5 家庭裁判所は、第1項又は第2項の規定により家事審判の手続に参加しようとする者が未成年者である場合において、その者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者が当該家事審判の手続に参加することがその者の利益を害すると認めるときは、第1項の規定による参加の申出又は第2項の規定による参加の許可の申立てを却下しなければならない。
6 第1項の規定による参加の申出を却下する裁判(前項の規定により第1項の規定による参加の申出を却下する裁判を含む。)に対しては、即時抗告をすることができる。
7 第1項から第3項までの規定により家事審判の手続に参加した者(以下「利害関係参加人」という。)は、当事者がすることができる手続行為(家事審判の申立ての取下げ及び変更並びに裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の取下げを除く。)をすることができる。ただし、裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、利害関係参加人が不服申立て又は異議の申立てに関するこの法律の他の規定によりすることができる場合に限る。
第43条 家庭裁判所は、当事者となる資格を有しない者及び当事者である資格を喪失した者を家事審判の手続から排除することができる。
2 前項の規定による排除の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
第44条 当事者が死亡、資格の喪失その他の事由によって家事審判の手続を続行することができない場合には、法令により手続を続行する資格のある者は、その手続を受け継がなければならない。
2 法令により手続を続行する資格のある者が前項の規定による受継の申立てをした場合において、その申立てを却下する裁判がされたときは、当該裁判に対し、即時抗告をすることができる。
3 第1項の場合には、家庭裁判所は、他の当事者の申立てにより又は職権で、法令により手続を続行する資格のある者に家事審判の手続を受け継がせることができる。
第45条 家事審判の申立人が死亡、資格の喪失その他の事由によってその手続を続行することができない場合において、法令により手続を続行する資格のある者がないときは、当該家事審判の申立てをすることができる者は、その手続を受け継ぐことができる。
2 家庭裁判所は、前項の場合において、必要があると認めるときは、職権で、当該家事審判の申立てをすることができる者に、その手続を受け継がせることができる。
3 第1項の規定による受継の申立て及び前項の規定による受継の裁判は、第1項の事由が生じた日から1月以内にしなければならない。
第46条 裁判所書記官は、家事審判の手続の期日について、調書を作成しなければならない。ただし、証拠調べの期日以外の期日については、裁判長においてその必要がないと認めるときは、その経過の要領を記録上明らかにすることをもって、これに代えることができる。
第47条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、家事審判事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は家事審判事件に関する事項の証明書の交付(第289条第6項において「記録の閲覧等」という。)を請求することができる。
2 前項の規定は、家事審判事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。
3 家庭裁判所は、当事者から前二項の規定による許可の申立てがあったときは、これを許可しなければならない。
4 家庭裁判所は、事件の関係人である未成年者の利益を害するおそれ、当事者若しくは第三者の私生活若しくは業務の平穏を害するおそれ又は当事者若しくは第三者の私生活についての重大な秘密が明らかにされることにより、その者が社会生活を営むのに著しい支障を生じ、若しくはその者の名誉を著しく害するおそれがあると認められるときは、前項の規定にかかわらず、同項の申立てを許可しないことができる。事件の性質、審理の状況、記録の内容等に照らして当該当事者に同項の申立てを許可することを不適当とする特別の事情があると認められるときも、同様とする。
5 家庭裁判所は、利害関係を疎明した第三者から第1項又は第2項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。
6 審判書その他の裁判書の正本、謄本若しくは抄本又は家事審判事件に関する事項の証明書については、当事者は、第1項の規定にかかわらず、家庭裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。審判を受ける者が当該審判があった後に請求する場合も、同様とする。
7 家事審判事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、家事審判事件の記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。
8 第3項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
9 前項の規定による即時抗告が家事審判の手続を不当に遅滞させることを目的としてされたものであると認められるときは、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。
10 前項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
第48条 裁判所その他の官庁、検察官又は吏員は、その職務上検察官の申立てにより審判をすべき場合が生じたことを知ったときは、管轄権を有する家庭裁判所に対応する検察庁の検察官にその旨を通知しなければならない。
第2款 家事審判の申立て
第49条 家事審判の申立ては、申立書(以下「家事審判の申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない。
2 家事審判の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 当事者及び法定代理人
二 申立ての趣旨及び理由
3 申立人は、二以上の事項について審判を求める場合において、これらの事項についての家事審判の手続が同種であり、これらの事項が同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、一の申立てにより求めることができる。
4 家事審判の申立書が第2項の規定に違反する場合には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。民事訴訟費用等に関する法律(昭和46年法律第40号)の規定に従い家事審判の申立ての手数料を納付しない場合も、同様とする。
5 前項の場合において、申立人が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、家事審判の申立書を却下しなければならない。
6 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。
第50条 申立人は、申立ての基礎に変更がない限り、申立ての趣旨又は理由を変更することができる。ただし、第71条(第188条第4項において準用する場合を含む。)の規定により審理を終結した後は、この限りでない。
2 申立ての趣旨又は理由の変更は、家事審判の手続の期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。
3 家庭裁判所は、申立ての趣旨又は理由の変更が不適法であるときは、その変更を許さない旨の裁判をしなければならない。
4 申立ての趣旨又は理由の変更により家事審判の手続が著しく遅滞することとなるときは、家庭裁判所は、その変更を許さない旨の裁判をすることができる。
第3款 家事審判の手続の期日
第51条 家庭裁判所は、家事審判の手続の期日に事件の関係人を呼び出すことができる。
2 呼出しを受けた事件の関係人は、家事審判の手続の期日に出頭しなければならない。ただし、やむを得ない事由があるときは、代理人を出頭させることができる。
3 前項の事件の関係人が正当な理由なく出頭しないときは、家庭裁判所は、5万円以下の過料に処する。
第52条 家事審判の手続の期日においては、裁判長が手続を指揮する。
2 裁判長は、発言を許し、又はその命令に従わない者の発言を禁止することができる。
3 当事者が家事審判の手続の期日における裁判長の指揮に関する命令に対し異議を述べたときは、家庭裁判所は、その異議について裁判をする。
第53条 家庭裁判所は、受命裁判官に家事審判の手続の期日における手続を行わせることができる。ただし、事実の調査及び証拠調べについては、第61条第3項の規定又は第64条第1項において準用する民事訴訟法第2編第4章第1節から第6節までの規定により受命裁判官が事実の調査又は証拠調べをすることができる場合に限る。
2 前項の場合においては、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。
第54条 家庭裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、家事審判の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる。
2 家事審判の手続の期日に出頭しないで前項の手続に関与した者は、その期日に出頭したものとみなす。
第55条 家事審判の手続の期日における通訳人の立会い等については民事訴訟法第154条の規定を、家事審判事件の手続関係を明瞭にするために必要な陳述をすることができない当事者、利害関係参加人、代理人及び補佐人に対する措置については同法第155条の規定を準用する。
第4款 事実の調査及び証拠調べ
第56条 家庭裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で、必要と認める証拠調べをしなければならない。
2 当事者は、適切かつ迅速な審理及び審判の実現のため、事実の調査及び証拠調べに協力するものとする。
第57条 疎明は、即時に取り調べることができる資料によってしなければならない。
第58条 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。
2 急迫の事情があるときは、裁判長が、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。
3 家庭裁判所調査官は、事実の調査の結果を書面又は口頭で家庭裁判所に報告するものとする。
4 家庭裁判所調査官は、前項の規定による報告に意見を付することができる。
第59条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、家事審判の手続の期日に家庭裁判所調査官を立ち会わせることができる。
2 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項の規定により立ち会わせた家庭裁判所調査官に意見を述べさせることができる。
3 家庭裁判所は、家事審判事件の処理に関し、事件の関係人の家庭環境その他の環境の調整を行うために必要があると認めるときは、家庭裁判所調査官に社会福祉機関との連絡その他の措置をとらせることができる。
4 急迫の事情があるときは、裁判長が、前項の措置をとらせることができる。
第60条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、医師である裁判所技官に事件の関係人の心身の状況について診断をさせることができる。
2 第58条第2項から第4項までの規定は前項の診断について、前条第1項及び第2項の規定は裁判所技官の期日への立会い及び意見の陳述について準用する。
第61条 家庭裁判所は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所に事実の調査を嘱託することができる。
2 前項の規定による嘱託により職務を行う受託裁判官は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所において事実の調査をすることを相当と認めるときは、更に事実の調査の嘱託をすることができる。
3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、受命裁判官に事実の調査をさせることができる。
4 前三項の規定により受託裁判官又は受命裁判官が事実の調査をする場合には、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。
第62条 家庭裁判所は、必要な調査を官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は銀行、信託会社、関係人の使用者その他の者に対し関係人の預金、信託財産、収入その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。
第63条 家庭裁判所は、事実の調査をした場合において、その結果が当事者による家事審判の手続の追行に重要な変更を生じ得るものと認めるときは、これを当事者及び利害関係参加人に通知しなければならない。
第64条 家事審判の手続における証拠調べについては、民事訴訟法第2編第4章第1節から第6節までの規定(同法第179条、第182条、第187条から第189条まで、第207条第2項、第208条、第224条(同法第229条第2項及び第232条第1項において準用する場合を含む。)及び第229条第4項の規定を除く。)を準用する。
2 前項において準用する民事訴訟法の規定による即時抗告は、執行停止の効力を有する。
3 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、家庭裁判所は、20万円以下の過料に処する。
一 第1項において準用する民事訴訟法第223条第1項(同法第231条において準用する場合を含む。)の規定による提出の命令に従わないとき、又は正当な理由なく第1項において準用する同法第232条第1項において準用する同法第223条第1項の規定による提示の命令に従わないとき。
二 書証を妨げる目的で第1項において準用する民事訴訟法第220条(同法第231条において準用する場合を含む。)の規定により提出の義務がある文書(同法第231条に規定する文書に準ずる物件を含む。)を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき、又は検証を妨げる目的で検証の目的を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。
4 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、家庭裁判所は、10万円以下の過料に処する。
一 正当な理由なく第1項において準用する民事訴訟法第229条第2項(同法第231条において準用する場合を含む。)において準用する同法第223条第1項の規定による提出の命令に従わないとき。
二 対照の用に供することを妨げる目的で対照の用に供すべき筆跡又は印影を備える文書その他の物件を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。
三 第1項において準用する民事訴訟法第229条第3項(同法第231条において準用する場合を含む。)の規定による決定に正当な理由なく従わないとき、又は当該決定に係る対照の用に供すべき文字を書体を変えて筆記したとき。
5 家庭裁判所は、当事者本人を尋問する場合には、その当事者に対し、家事審判の手続の期日に出頭することを命ずることができる。
6 民事訴訟法第192条から第194条までの規定は前項の規定により出頭を命じられた当事者が正当な理由なく出頭しない場合について、同法第209条第1項及び第2項の規定は出頭した当事者が正当な理由なく宣誓又は陳述を拒んだ場合について準用する。
第5款 家事審判の手続における子の意思の把握等
第65条 家庭裁判所は、親子、親権又は未成年後見に関する家事審判その他未成年者である子(未成年被後見人を含む。以下この条において同じ。)がその結果により影響を受ける家事審判の手続においては、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法により、子の意思を把握するように努め、審判をするに当たり、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならない。
第6款 家事調停をすることができる事項についての家事審判の手続の特則
第66条 別表第二に掲げる事項についての審判事件は、この法律の他の規定により定める家庭裁判所のほか、当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。
2 民事訴訟法第11条第2項及び第3項の規定は、前項の合意について準用する。
第67条 別表第二に掲げる事項についての家事審判の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、家事審判の申立書の写しを相手方に送付しなければならない。ただし、家事審判の手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められるときは、家事審判の申立てがあったことを通知することをもって、家事審判の申立書の写しの送付に代えることができる。
2 第49条第4項から第6項までの規定は、前項の規定による家事審判の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知をすることができない場合について準用する。
3 裁判長は、第1項の規定による家事審判の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納を相当の期間を定めて申立人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、家事審判の申立書を却下しなければならない。
4 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。
第68条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当事者の陳述を聴かなければならない。
2 前項の規定による陳述の聴取は、当事者の申出があるときは、審問の期日においてしなければならない。
第69条 別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、家庭裁判所が審問の期日を開いて当事者の陳述を聴くことにより事実の調査をするときは、他の当事者は、当該期日に立ち会うことができる。ただし、当該他の当事者が当該期日に立ち会うことにより事実の調査に支障を生ずるおそれがあると認められるときは、この限りでない。
第70条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続において、事実の調査をしたときは、特に必要がないと認める場合を除き、その旨を当事者及び利害関係参加人に通知しなければならない。
第71条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、相当の猶予期間を置いて、審理を終結する日を定めなければならない。ただし、当事者双方が立ち会うことができる家事審判の手続の期日においては、直ちに審理を終結する旨を宣言することができる。
第72条 家庭裁判所は、前条の規定により審理を終結したときは、審判をする日を定めなければならない。
第7款 審判等
第73条 家庭裁判所は、家事審判事件が裁判をするのに熟したときは、審判をする。
2 家庭裁判所は、家事審判事件の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について審判をすることができる。手続の併合を命じた数個の家事審判事件中その一が裁判をするのに熟したときも、同様とする。
第74条 審判は、特別の定めがある場合を除き、当事者及び利害関係参加人並びにこれらの者以外の審判を受ける者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。
2 審判(申立てを却下する審判を除く。)は、特別の定めがある場合を除き、審判を受ける者(審判を受ける者が数人あるときは、そのうちの1人)に告知することによってその効力を生ずる。ただし、即時抗告をすることができる審判は、確定しなければその効力を生じない。
3 申立てを却下する審判は、申立人に告知することによってその効力を生ずる。
4 審判は、即時抗告の期間の満了前には確定しないものとする。
5 審判の確定は、前項の期間内にした即時抗告の提起により、遮断される。
第75条 金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずる審判は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。
第76条 審判は、審判書を作成してしなければならない。ただし、即時抗告をすることができない審判については、家事審判の申立書又は調書に主文を記載することをもって、審判書の作成に代えることができる。
2 審判書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 主文
二 理由の要旨
三 当事者及び法定代理人
四 裁判所
第77条 審判に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、家庭裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。
2 更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。
3 更正決定に対しては、更正後の審判が原審判であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。
4 第1項の申立てを不適法として却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
5 審判に対し適法な即時抗告があったときは、前二項の即時抗告は、することができない。
第78条 家庭裁判所は、審判をした後、その審判を不当と認めるときは、次に掲げる審判を除き、職権で、これを取り消し、又は変更することができる。
一 申立てによってのみ審判をすべき場合において申立てを却下した審判
二 即時抗告をすることができる審判
2 審判が確定した日から5年を経過したときは、家庭裁判所は、前項の規定による取消し又は変更をすることができない。ただし、事情の変更によりその審判を不当と認めるに至ったときは、この限りでない。
3 家庭裁判所は、第1項の規定により審判の取消し又は変更をする場合には、その審判における当事者及びその他の審判を受ける者の陳述を聴かなければならない。
4 第1項の規定による取消し又は変更の審判に対しては、取消し後又は変更後の審判が原審判であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。
第79条 民事訴訟法第247条、第256条第1項及び第258条(第2項後段を除く。)の規定は、審判について準用する。この場合において、同法第256条第1項中「言渡し後」とあるのは、「審判が告知を受ける者に最初に告知された日から」と読み替えるものとする。
第79条の2 外国裁判所の家事事件についての確定した裁判(これに準ずる公的機関の判断を含む。)については、その性質に反しない限り、民事訴訟法第118条の規定を準用する。
第80条 家庭裁判所は、審判の前提となる法律関係の争いその他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間決定をすることができる。
2 中間決定は、裁判書を作成してしなければならない。
第81条 家庭裁判所は、家事審判の手続においては、審判をする場合を除き、決定で裁判をする。この場合には、第73条から第79条まで(第74条第2項ただし書、第76条第1項及び第78条第3項を除く。)の規定を準用する。
2 家事審判の手続の指揮に関する裁判は、いつでも取り消すことができる。
3 審判以外の裁判は、判事補が単独ですることができる。
第8款 取下げによる事件の終了
第82条 家事審判の申立ては、特別の定めがある場合を除き、審判があるまで、その全部又は一部を取り下げることができる。
2 別表第二に掲げる事項についての家事審判の申立ては、審判が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。ただし、申立ての取下げは、審判がされた後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。
3 前項ただし書及び第153条(第199条において準用する場合を含む。)の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合においては、家庭裁判所は、相手方に対し、申立ての取下げがあったことを通知しなければならない。ただし、申立ての取下げが家事審判の手続の期日において口頭でされた場合において、相手方がその期日に出頭したときは、この限りでない。
4 前項本文の規定による通知を受けた日から2週間以内に相手方が異議を述べないときは、申立ての取下げに同意したものとみなす。同項ただし書の規定による場合において、申立ての取下げがあった日から2週間以内に相手方が異議を述べないときも、同様とする。
5 民事訴訟法第261条第3項及び第262条第1項の規定は、家事審判の申立ての取下げについて準用する。この場合において、同法第261条第3項ただし書中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは、「家事審判の手続の期日」と読み替えるものとする。
第83条 家事審判の申立人(第153条(第199条において準用する場合を含む。)の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合にあっては、当事者双方)が、連続して二回、呼出しを受けた家事審判の手続の期日に出頭せず、又は呼出しを受けた家事審判の手続の期日において陳述をしないで退席をしたときは、家庭裁判所は、申立ての取下げがあったものとみなすことができる。
第9款 高等裁判所が第一審として行う手続
第84条 高等裁判所が第一審として家事審判の手続を行う場合におけるこの節の規定の適用については、同節の規定(第58条、第59条第1項から第3項まで、第61条第1項及び第2項並びに第65条の規定を除く。)中「家庭裁判所」とあるのは「高等裁判所」と、第39条、第47条第6項、第49条第3項、第56条第2項、第65条、第72条、第73条、第74条第1項から第3項まで(第2項ただし書を除く。)、第75条、第77条第1項、第78条(第1項第2号及び第4項を除く。)、第79条、第80条第1項、第81条第1項並びに第82条第1項及び第2項中「審判」とあるのは「審判に代わる裁判」と、第42条第2項中「審判の結果」とあるのは「審判に代わる裁判の結果」と、第58条第1項、第59条第1項から第3項まで、第61条第1項及び第65条中「家庭裁判所は」とあるのは「高等裁判所は」と、第58条第3項中「家庭裁判所に」とあるのは「高等裁判所に」と、第76条中「審判書」とあるのは「裁判書」と、同条第1項中「審判は」とあるのは「審判に代わる裁判は」と、同項ただし書中「即時抗告をすることができない審判」とあるのは「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができない審判に代わる裁判」と、第78条第1項第2号中「即時抗告をすることができる審判」とあるのは「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができる審判に代わる裁判」とする。
2 第40条及び第48条の規定は、高等裁判所が第一審として家事審判の手続を行う場合については、適用しない。
第2節 不服申立て
第1款 審判に対する不服申立て
第1目 即時抗告
第85条 審判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。
2 手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。
第86条 審判に対する即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、2週間の不変期間内にしなければならない。ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。
2 即時抗告の期間は、特別の定めがある場合を除き、即時抗告をする者が、審判の告知を受ける者である場合にあってはその者が審判の告知を受けた日から、審判の告知を受ける者でない場合にあっては申立人が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から、それぞれ進行する。
第87条 即時抗告は、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。
2 抗告状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 当事者及び法定代理人
二 原審判の表示及びその審判に対して即時抗告をする旨
3 即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、これを却下しなければならない。
4 前項の規定による審判に対しては、即時抗告をすることができる。
5 前項の即時抗告は、1週間の不変期間内にしなければならない。ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。
6 第49条第4項及び第5項の規定は、抗告状が第2項の規定に違反する場合及び民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い即時抗告の提起の手数料を納付しない場合について準用する。
第88条 審判に対する即時抗告があった場合には、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者及び利害関係参加人(抗告人を除く。)に対し、抗告状の写しを送付しなければならない。ただし、抗告審における手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められる場合には、即時抗告があったことを通知することをもって、抗告状の写しの送付に代えることができる。
2 裁判長は、前項の規定による抗告状の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納を相当の期間を定めて抗告人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならない。
第89条 抗告裁判所は、原審における当事者及びその他の審判を受ける者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければ、原審判を取り消すことができない。
2 別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければならない。
第90条 原裁判所は、審判に対する即時抗告を理由があると認めるときは、その審判を更正しなければならない。ただし、別表第二に掲げる事項についての審判については、更正することができない。
第91条 抗告裁判所は、即時抗告について決定で裁判をする。
2 抗告裁判所は、即時抗告を理由があると認める場合には、家事審判事件について自ら審判に代わる裁判をしなければならない。ただし、第93条第3項において準用する民事訴訟法第307条又は第308条第1項の規定により事件を第一審裁判所に差し戻すときは、この限りでない。
第92条 抗告裁判所は、家事審判事件(別表第二に掲げる事項についての審判事件を除く。)の全部又は一部が原裁判所の管轄に属しないと認める場合には、原審判を取り消さなければならない。ただし、原審における審理の経過、事件の性質、抗告の理由等に照らして原審判を取り消さないことを相当とする特別の事情があると認めるときは、この限りでない。
2 抗告裁判所は、家事審判事件が管轄違いであることを理由として原審判を取り消すときは、その事件を管轄権を有する家庭裁判所に移送しなければならない。
第93条 審判に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続については、特別の定めがある場合を除き、前節第1款から第8款までの規定(第40条、第41条第4項、第42条第6項、第43条第2項、第44条第2項、第47条第8項から第10項まで、第48条、第49条第6項、第66条、第67条第4項、第74条第2項ただし書、第4項及び第5項、第76条第1項ただし書、第77条第3項から第5項まで、第78条第4項、第81条第3項並びに第83条の規定を除く。)、第4節の規定(第105条第2項、第110条、第111条及び第113条の規定を除く。)及び次章の規定(家庭裁判所の管轄及び即時抗告に関する規定を除く。)を準用する。この場合において、第78条第1項第2号中「即時抗告をすることができる審判」とあるのは、「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができる審判に代わる裁判」と読み替えるものとする。
2 抗告裁判所は、第88条第1項の規定による抗告状の写しの送付及びこれに代わる即時抗告があったことの通知をすることを要しないときは、前項において準用する第71条の規定による審理の終結の手続を経ることなく、即時抗告を却下し、又は棄却することができる。
3 民事訴訟法第283条、第284条、第292条、第298条第1項、第299条第1項、第302条、第303条及び第305条から第308条までの規定は、審判に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。この場合において、同法第292条第2項中「第261条第3項、第262条第1項及び第263条」とあるのは「家事事件手続法第82条第5項及び第83条」と、同法第303条第5項中「第189条」とあるのは「家事事件手続法第291条」と読み替えるものとする。
第2目 特別抗告
第94条 家庭裁判所の審判で不服を申し立てることができないもの及び高等裁判所の家事審判事件についての決定に対しては、その裁判に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。
2 前項の抗告(以下「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。
第95条 特別抗告は、執行停止の効力を有しない。ただし、前条第2項の抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、特別抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。
2 前項ただし書の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。
3 民事訴訟法第76条、第77条、第79条及び第80条の規定は、前項の担保について準用する。
第96条 第86条第2項、第87条から第89条まで、第91条第1項及び第93条の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。この場合において、第87条第6項中「及び第5項」とあるのは、「から第6項まで」と読み替えるものとする。
2 民事訴訟法第314条第2項、第315条、第316条(第1項第1号を除く。)、第321条第1項、第322条、第325条第1項前段、第2項、第3項後段及び第4項、第326条並びに第336条第2項の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。この場合において、同法第314条第2項中「前条において準用する第288条及び第289条第2項」とあるのは「家事事件手続法第96条第1項において読み替えて準用する同法第87条第6項」と、同法第316条第2項中「対しては」とあるのは「対しては、1週間の不変期間内に」と、同法第322条中「前二条」とあるのは「家事事件手続法第94条第2項の規定及び同法第96条第2項において準用する第321条第1項」と、同法第325条第1項前段及び第2項中「第312条第1項又は第2項」とあるのは「家事事件手続法第94条第1項」と、同条第3項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第4項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。
第3目 許可抗告
第97条 高等裁判所の家事審判事件についての決定(次項の申立てについての決定を除く。)に対しては、第94条第1項の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。ただし、その決定が家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。
2 前項の高等裁判所は、同項の決定について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、抗告を許可しなければならない。
3 前項の申立てにおいては、第94条第1項に規定する事由を理由とすることはできない。
4 第2項の規定による許可があった場合には、第1項の抗告(以下この条及び次条第1項において「許可抗告」という。)があったものとみなす。
5 許可抗告が係属する抗告裁判所は、第2項の規定による許可の申立書又は同項の申立てに係る理由書に記載された許可抗告の理由についてのみ調査をする。
6 許可抗告が係属する抗告裁判所は、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原決定を破棄することができる。
第98条 第86条第2項、第87条(第4項及び第5項を除く。)、第88条、第89条、第91条第1項、第93条及び第95条の規定は、許可抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。この場合において、第86条第2項、第87条第1項、第2項第2号及び第3項、第88条第1項並びに第89条第2項中「即時抗告」とあり、第87条第6項中「即時抗告の提起」とあり、並びに第95条第1項本文中「特別抗告」とあるのは「第97条第2項の申立て」と、第87条第1項、第2項及び第6項、第88条並びに第93条第2項中「抗告状」とあるのは「第97条第2項の規定による許可の申立書」と、第91条第1項並びに第93条第1項前段、第2項及び第3項中「即時抗告」とあり、並びに第95条第1項ただし書中「特別抗告」とあるのは「許可抗告」と読み替えるものとする。
2 民事訴訟法第315条及び第336条第2項の規定は前条第2項の申立てについて、同法第318条第3項の規定は前条第2項の規定による許可をする場合について、同法第318条第4項後段、第321条第1項、第322条、第325条第1項前段、第2項、第3項後段及び第4項並びに第326条の規定は前条第2項の規定による許可があった場合について準用する。この場合において、同法第318条第4項後段中「第320条」とあるのは「家事事件手続法第97条第5項」と、同法第322条中「前二条」とあるのは「家事事件手続法第97条第5項の規定及び同法第98条第2項において準用する第321条第1項」と、同法第325条第1項前段及び第2項中「第312条第1項又は第2項」とあるのは「家事事件手続法第97条第2項」と、同条第3項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第4項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。
第2款 審判以外の裁判に対する不服申立て
第99条 審判以外の裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。
第100条 受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、家事審判事件が係属している裁判所に異議の申立てをすることができる。ただし、その裁判が家庭裁判所の裁判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。
2 前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
第101条 審判以外の裁判に対する即時抗告は、1週間の不変期間内にしなければならない。ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。
2 前項の即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、執行停止の効力を有しない。ただし、抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、即時抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。
3 第95条第2項及び第3項の規定は、前項ただし書の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。
第102条 前款の規定(第85条第1項、第86条第1項並びに第88条及び第89条(これらの規定を第96条第1項及び第98条第1項において準用する場合を含む。)の規定を除く。)は、裁判所、裁判官又は裁判長がした審判以外の裁判に対する不服申立てについて準用する。
第3節 再審
第103条 確定した審判その他の裁判(事件を完結するものに限る。第5項において同じ。)に対しては、再審の申立てをすることができる。
2 再審の手続には、その性質に反しない限り、各審級における手続に関する規定を準用する。
3 民事訴訟法第4編の規定(同法第341条及び第349条の規定を除く。)は、第1項の再審の申立て及びこれに関する手続について準用する。この場合において、同法第348条第1項中「不服申立ての限度で、本案の審理及び裁判をする」とあるのは、「本案の審理及び裁判をする」と読み替えるものとする。
4 前項において準用する民事訴訟法第346条第1項の再審開始の決定に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。
5 第3項において準用する民事訴訟法第348条第2項の規定により審判その他の裁判に対する再審の申立てを棄却する決定に対しては、当該審判その他の裁判に対し即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。
第104条 裁判所は、前条第1項の再審の申立てがあった場合において、不服の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、事実上の点につき疎明があり、かつ、執行により償うことができない損害が生ずるおそれがあることにつき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。
2 前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
3 第95条第2項及び第3項の規定は、第1項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。
第4節 審判前の保全処分
第105条 本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属する家庭裁判所は、この法律の定めるところにより、仮差押え、仮処分、財産の管理者の選任その他の必要な保全処分を命ずる審判をすることができる。
2 本案の家事審判事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前項の審判に代わる裁判をする。
第106条 審判前の保全処分(前条第1項の審判及び同条第2項の審判に代わる裁判をいう。以下同じ。)の申立ては、その趣旨及び保全処分を求める事由を明らかにしてしなければならない。
2 審判前の保全処分の申立人は、保全処分を求める事由を疎明しなければならない。
3 家庭裁判所(前条第2項の場合にあっては、高等裁判所)は、審判前の保全処分の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、職権で、事実の調査及び証拠調べをすることができる。
4 審判前の保全処分の申立ては、審判前の保全処分があった後であっても、その全部又は一部を取り下げることができる。
第107条 審判前の保全処分のうち仮の地位を定める仮処分を命ずるものは、審判を受ける者となるべき者の陳述を聴かなければ、することができない。ただし、その陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。
第108条 家庭裁判所(第105条第2項の場合にあっては、高等裁判所)は、第47条第3項の規定にかかわらず、審判前の保全処分の事件について、当事者から同条第1項又は第2項の規定による許可の申立てがあった場合には、審判前の保全処分の事件における審判を受ける者となるべき者に対し、当該事件が係属したことを通知し、又は審判前の保全処分を告知するまでは、相当と認めるときに限り、これを許可することができる。
第109条 審判前の保全処分は、疎明に基づいてする。
2 審判前の保全処分については、第74条第2項ただし書の規定は、適用しない。
3 審判前の保全処分の執行及び効力は、民事保全法(平成元年法律第91号)その他の仮差押え及び仮処分の執行及び効力に関する法令の規定に従う。この場合において、同法第45条中「仮に差し押さえるべき物又は係争物の所在地を管轄する地方裁判所」とあるのは、「本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属している家庭裁判所(当該家事審判事件が高等裁判所に係属しているときは、原裁判所)」とする。
第110条 審判前の保全処分(第105条第2項の審判に代わる裁判を除く。次項において同じ。)の申立人は、申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。ただし、次に掲げる保全処分の申立てを却下する審判については、この限りでない。
一 第126条第1項(第134条第1項及び第143条第1項において準用する場合を含む。)、第158条第1項(第242条第3項において準用する場合を含む。)及び第200条第1項の規定による財産の管理者の選任又は財産の管理等に関する指示の保全処分
二 第127条第1項(第135条、第144条、第181条及び第225条第1項において準用する場合を含む。)、第166条第1項(同条第5項において準用する場合を含む。)、第174条第1項(第242条第3項において準用する場合を含む。)、第175条第3項及び第215条第1項の規定による職務代行者の選任の保全処分
2 本案の家事審判の申立てについての審判(申立てを却下する審判を除く。)に対し即時抗告をすることができる者は、審判前の保全処分(前項各号に掲げる保全処分を命ずる審判を除く。)に対し、即時抗告をすることができる。
第111条 前条第2項の規定により即時抗告が提起された場合において、原審判の取消しの原因となることが明らかな事情及び原審判の執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることについて疎明があったときは、抗告裁判所は、申立てにより、即時抗告についての裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として、若しくは担保を立てさせないで原審判の執行の停止を命じ、又は担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として既にした執行処分の取消しを命ずることができる。審判前の保全処分の事件の記録が家庭裁判所に存する間は、家庭裁判所も、これらの処分を命ずることができる。
2 第106条第2項及び第3項の規定は、前項の申立てについて準用する。
第112条 審判前の保全処分が確定した後に、保全処分を求める事由の消滅その他の事情の変更があるときは、本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属する家庭裁判所又は審判前の保全処分をした家庭裁判所は、本案の家事審判の申立てについての審判(申立てを却下する審判を除く。)に対し即時抗告をすることができる者の申立てにより又は職権で、審判前の保全処分の取消しの審判をすることができる。
2 本案の家事審判事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前項の審判前の保全処分の取消しの審判に代わる裁判をする。
3 第106条並びに第109条第1項及び第2項の規定は、第1項の審判前の保全処分の取消しの審判及び前項の裁判について準用する。
第113条 前条第1項の審判前の保全処分の取消しの審判の申立人は、申立てを却下する審判(第110条第1項各号に掲げる保全処分の取消しの申立てを却下する審判を除く。)に対し、即時抗告をすることができる。
2 審判前の保全処分の申立人は、前条第1項の審判前の保全処分の取消しの審判(第110条第1項各号に掲げる保全処分の取消しの審判を除く。)及び第115条において準用する民事保全法第33条の規定による原状回復の審判に対し、即時抗告をすることができる。
3 第111条の規定は、前二項の規定による即時抗告に伴う執行停止について準用する。
第114条 裁判所書記官は、審判前の保全処分の手続の期日について、調書を作成しなければならない。ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。
2 審判前の保全処分の手続については、第46条の規定は、適用しない。
第115条 民事保全法第4条の規定は審判前の保全処分に関する手続における担保について、同法第14条、第15条及び第20条から第24条まで(同法第23条第4項を除く。)の規定は審判前の保全処分について、同法第33条の規定は審判前の保全処分の取消しの裁判について、同法第34条の規定は第112条第1項の審判前の保全処分の取消しの審判について準用する。
第5節 戸籍の記載等の嘱託
第116条 裁判所書記官は、次に掲げる場合には、最高裁判所規則で定めるところにより、遅滞なく、戸籍事務を管掌する者又は登記所に対し、戸籍の記載又は後見登記等に関する法律(平成11年法律第152号)に定める登記を嘱託しなければならない。ただし、戸籍の記載又は同法に定める登記の嘱託を要するものとして最高裁判所規則で定めるものに限る。
一 別表第一に掲げる事項についての審判又はこれに代わる裁判が効力を生じた場合
二 審判前の保全処分が効力を生じ、又は効力を失った場合
第2章 家事審判事件
第1節 成年後見に関する審判事件
第117条 後見開始の審判事件(別表第一の一の項の事項についての審判事件をいう。次項及び次条第1号において同じ。)は、成年被後見人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
2 成年後見に関する審判事件(別表第一の一の項から十六の二の項までの事項についての審判事件をいう。)は、後見開始の審判事件を除き、後見開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が後見開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。ただし、後見開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。
第118条 次に掲げる審判事件(第1号、第4号及び第6号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)においては、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人は、第17条第1項において準用する民事訴訟法第31条の規定にかかわらず、法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。その者が被保佐人又は被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。)であって、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。
一 後見開始の審判事件
二 後見開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の二の項の事項についての審判事件をいう。)
三 成年後見人の選任の審判事件(別表第一の三の項の事項についての審判事件をいう。)
四 成年後見人の解任の審判事件(別表第一の五の項の事項についての審判事件をいう。第127条第1項において同じ。)
五 成年後見監督人の選任の審判事件(別表第一の六の項の事項についての審判事件をいう。)
六 成年後見監督人の解任の審判事件(別表第一の八の項の事項についての審判事件をいう。第127条第5項において同じ。)
七 成年被後見人に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の十二の項の事項についての審判事件をいう。)
八 成年被後見人に宛てた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成14年法律第99号)第2条第3項に規定する信書便物(以下「郵便物等」という。)の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の審判事件(別表第一の十二の二の項の事項についての審判事件をいう。第123条の2において「成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託等の審判事件」という。)
九 成年後見の事務の監督の審判事件(別表第一の十四の項の事項についての審判事件をいう。)
十 第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の十五の項の事項についての審判事件をいう。第125条第1項及び第2項において同じ。)
第119条 家庭裁判所は、成年被後見人となるべき者の精神の状況につき鑑定をしなければ、後見開始の審判をすることができない。ただし、明らかにその必要がないと認めるときは、この限りでない。
2 家庭裁判所は、成年被後見人の精神の状況につき医師の意見を聴かなければ、民法第10条の規定による後見開始の審判の取消しの審判をすることができない。ただし、明らかにその必要がないと認めるときは、この限りでない。
第120条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第1号から第3号までにあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。ただし、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人については、その者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。
一 後見開始の審判 成年被後見人となるべき者
二 後見開始の審判の取消しの審判(民法第10条の規定による場合に限る。) 成年被後見人及び成年後見人
三 成年後見人又は成年後見監督人の選任の審判 成年被後見人となるべき者又は成年被後見人
四 成年後見人の解任の審判 成年後見人
五 成年後見監督人の解任の審判 成年後見監督人
六 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人
2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。
一 成年後見人の選任の審判 成年後見人となるべき者
二 成年後見監督人の選任の審判 成年後見監督人となるべき者
第121条 次に掲げる申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。
一 後見開始の申立て
二 民法第843条第2項の規定による成年後見人の選任の申立て
三 民法第845条の規定により選任の請求をしなければならない者による同法第843条第3項の規定による成年後見人の選任の申立て
第122条 次の各号に掲げる審判は、当該各号に定める者に通知しなければならない。この場合においては、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人については、第74条第1項の規定は、適用しない。
一 後見開始の審判 成年被後見人となるべき者
二 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人
2 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の審判は、信書の送達の事業を行う者に告知することを要しない。この場合においては、その審判が効力を生じた時に、信書の送達の事業を行う者に通知しなければならない。
3 次の各号に掲げる審判は、第74条第1項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。
一 後見開始の審判 民法第843条第1項の規定により成年後見人に選任される者並びに任意後見契約に関する法律(平成11年法律第150号。以下「任意後見契約法」という。)第10条第3項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人
二 後見開始の審判の取消しの審判 成年後見人及び成年後見監督人
三 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の取消し又は変更の審判 成年後見人
第123条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第1号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。
一 後見開始の審判 民法第7条及び任意後見契約法第10条第2項に規定する者
二 後見開始の申立てを却下する審判 申立人
三 後見開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第10条に規定する者
四 成年後見人の解任の審判 成年後見人
五 成年後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、成年後見監督人並びに成年被後見人及びその親族
六 成年後見監督人の解任の審判 成年後見監督人
七 成年後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに成年被後見人及びその親族
八 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人及びその親族
九 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の取消し又は変更の審判 成年後見人
十 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の申立てを却下する審判 申立人
十一 成年被後見人の死亡後の死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為についての許可の申立てを却下する審判 申立人
2 審判の告知を受ける者でない者による後見開始の審判に対する即時抗告の期間は、民法第843条第1項の規定により成年後見人に選任される者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。
第123条の2 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託等の審判事件においては、第89条第1項の規定(第96条第1項及び第98条第1項において準用する場合を含む。)にかかわらず、抗告裁判所は、信書の送達の事業を行う者の陳述を聴くことを要しない。
第124条 家庭裁判所は、適当な者に、成年後見の事務若しくは成年被後見人の財産の状況を調査させ、又は臨時に財産の管理をさせることができる。
2 家庭裁判所は、前項の規定により調査又は管理をした者に対し、成年被後見人の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。
3 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に第1項の規定による調査をさせることができる。
4 民法第644条、第646条、第647条及び第650条の規定は、第1項の規定により財産を管理する者について準用する。
第125条 家庭裁判所は、いつでも、第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理者を改任することができる。
2 家庭裁判所は、第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理者(前項の規定により改任された管理者を含む。以下この条において「財産の管理者」という。)に対し、財産の状況の報告及び管理の計算を命ずることができる。
3 前項の報告及び計算に要する費用は、成年被後見人の財産の中から支弁する。
4 家庭裁判所は、財産の管理者に対し、その提供した担保の増減、変更又は免除を命ずることができる。
5 財産の管理者の不動産又は船舶の上に抵当権の設定を命ずる審判が効力を生じたときは、裁判所書記官は、その設定の登記を嘱託しなければならない。設定した抵当権の変更又は消滅の登記についても、同様とする。
6 民法第644条、第646条、第647条及び第650条の規定は、財産の管理者について準用する。
7 家庭裁判所は、成年被後見人が財産を管理することができるようになったとき、管理すべき財産がなくなったときその他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、成年被後見人、財産の管理者若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、財産の管理者の選任その他の財産の管理に関する処分の取消しの審判をしなければならない。
第126条 家庭裁判所(第105条第2項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、後見開始の申立てがあった場合において、成年被後見人となるべき者の生活、療養看護又は財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、後見開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、成年被後見人となるべき者の生活、療養看護若しくは財産の管理に関する事項を指示することができる。
2 家庭裁判所は、後見開始の申立てがあった場合において、成年被後見人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、後見開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、成年被後見人となるべき者の財産上の行為(民法第9条ただし書に規定する行為を除く。第7項において同じ。)につき、前項の財産の管理者の後見を受けることを命ずることができる。
3 家庭裁判所は、成年被後見人となるべき者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、第107条の規定にかかわらず、その者の陳述を聴く手続を経ずに、前項の規定による審判(次項から第7項までにおいて「後見命令の審判」という。)をすることができる。
4 後見命令の審判は、第1項の財産の管理者(数人あるときは、そのうちの1人)に告知することによって、その効力を生ずる。
5 後見命令の審判は、成年被後見人となるべき者に通知しなければならない。この場合においては、成年被後見人となるべき者については、第74条第1項の規定は、適用しない。
6 審判の告知を受ける者でない者による後見命令の審判に対する即時抗告の期間は、第1項の財産の管理者が第4項の規定による告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。
7 後見命令の審判があったときは、成年被後見人となるべき者及び第1項の財産の管理者は、成年被後見人となるべき者がした財産上の行為を取り消すことができる。この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。
8 前条第1項から第6項までの規定及び民法第27条から第29条まで(同法第27条第2項を除く。)の規定は、第1項の財産の管理者について準用する。この場合において、前条第3項中「成年被後見人」とあるのは、「成年被後見人となるべき者」と読み替えるものとする。
第127条 家庭裁判所は、成年後見人の解任の審判事件が係属している場合において、成年被後見人の利益のため必要があるときは、成年後見人の解任の申立てをした者の申立てにより又は職権で、成年後見人の解任についての審判が効力を生ずるまでの間、成年後見人の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。
2 前項の規定による成年後見人の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される成年後見人、他の成年後見人又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。
3 家庭裁判所は、いつでも、第1項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。
4 家庭裁判所は、第1項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、成年被後見人の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。
5 前各項の規定は、成年後見監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。
第2節 保佐に関する審判事件
第128条 保佐開始の審判事件(別表第一の十七の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)は、被保佐人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
2 保佐に関する審判事件(別表第一の十七の項から三十五の項までの事項についての審判事件をいう。)は、保佐開始の審判事件を除き、保佐開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が保佐開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。ただし、保佐開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。
第129条 第118条の規定は、次に掲げる審判事件(第1号、第7号及び第9号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における被保佐人となるべき者及び被保佐人について準用する。
一 保佐開始の審判事件
二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判事件(別表第一の十八の項の事項についての審判事件をいう。)
三 保佐人の同意に代わる許可の審判事件(別表第一の十九の項の事項についての審判事件をいう。)
四 保佐開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の二十の項の事項についての審判事件をいう。)
五 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判事件(別表第一の二十一の項の事項についての審判事件をいう。)
六 保佐人の選任の審判事件(別表第一の二十二の項の事項についての審判事件をいう。)
七 保佐人の解任の審判事件(別表第一の二十四の項の事項についての審判事件をいう。第135条において同じ。)
八 保佐監督人の選任の審判事件(別表第一の二十六の項の事項についての審判事件をいう。)
九 保佐監督人の解任の審判事件(別表第一の二十八の項の事項についての審判事件をいう。第135条において同じ。)
十 保佐人に対する代理権の付与の審判事件(別表第一の三十二の項の事項についての審判事件をいう。)
十一 保佐人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判事件(別表第一の三十三の項の事項についての審判事件をいう。)
十二 保佐の事務の監督の審判事件(別表第一の三十四の項の事項についての審判事件をいう。)
第130条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第1号、第2号、第4号及び第5号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。
一 保佐開始の審判 被保佐人となるべき者
二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 被保佐人となるべき者又は被保佐人
三 保佐人の同意に代わる許可の審判 保佐人
四 保佐開始の審判の取消しの審判(民法第14条第1項の規定による場合に限る。) 被保佐人及び保佐人
五 保佐人又は保佐監督人の選任の審判 被保佐人となるべき者又は被保佐人
六 保佐人の解任の審判 保佐人
七 保佐監督人の解任の審判 保佐監督人
2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。
一 保佐人の選任の審判 保佐人となるべき者
二 保佐監督人の選任の審判 保佐監督人となるべき者
第131条 次の各号に掲げる審判は、第74条第1項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。
一 保佐開始の審判 民法第876条の2第1項の規定により保佐人に選任される者並びに任意後見契約法第10条第3項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人
二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 保佐人及び保佐監督人(当該審判が保佐人又は保佐監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、保佐人となるべき者又は保佐監督人となるべき者)
三 保佐人の同意に代わる許可の審判 保佐人及び保佐監督人
四 保佐開始の審判の取消しの審判 保佐人及び保佐監督人
五 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判 保佐人及び保佐監督人
六 保佐人に対する代理権の付与の審判 被保佐人及び保佐監督人(当該審判が保佐監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、保佐監督人となるべき者)
七 保佐人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判 被保佐人及び保佐監督人
第132条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第1号及び第4号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。
一 保佐開始の審判 民法第11条本文及び任意後見契約法第10条第2項に規定する者
二 保佐開始の申立てを却下する審判 申立人
三 保佐開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第14条第1項に規定する者
四 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 被保佐人
五 保佐人の同意に代わる許可の申立てを却下する審判 申立人
六 保佐人の解任の審判 保佐人
七 保佐人の解任の申立てを却下する審判 申立人、保佐監督人並びに被保佐人及びその親族
八 保佐監督人の解任の審判 保佐監督人
九 保佐監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに被保佐人及びその親族
2 審判の告知を受ける者でない者及び被保佐人となるべき者による保佐開始の審判に対する即時抗告の期間は、被保佐人となるべき者が審判の告知を受けた日及び民法第876条の2第1項の規定により保佐人に選任される者が審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。
第133条 第119条の規定は被保佐人となるべき者及び被保佐人の精神の状況に関する鑑定及び意見の聴取について、第121条の規定は保佐開始の申立ての取下げ及び保佐人の選任の申立ての取下げについて、第124条の規定は保佐の事務の監督について準用する。
第134条 保佐開始の審判事件を本案とする保全処分については、第126条第1項の規定を準用する。
2 家庭裁判所(第105条第2項の場合にあっては、高等裁判所)は、保佐開始の申立てがあった場合において、被保佐人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、保佐開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、被保佐人となるべき者の財産上の行為(民法第13条第1項に規定する行為に限る。第5項において同じ。)につき、前項において準用する第126条第1項の規定により選任される財産の管理者(以下この条において単に「財産の管理者」という。)の保佐を受けることを命ずることができる。
3 前項の規定による審判(次項及び第5項において「保佐命令の審判」という。)は、第74条第1項に規定する者のほか、財産の管理者に告知しなければならない。
4 審判の告知を受ける者でない者及び被保佐人となるべき者による保佐命令の審判に対する即時抗告の期間は、被保佐人となるべき者が審判の告知を受けた日及び財産の管理者が前項の規定による審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。
5 保佐命令の審判があったときは、被保佐人となるべき者及び財産の管理者は、被保佐人となるべき者が財産の管理者の同意を得ないでした財産上の行為を取り消すことができる。この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。
6 第125条第1項から第6項までの規定及び民法第27条から第29条まで(同法第27条第2項を除く。)の規定は、財産の管理者について準用する。この場合において、第125条第3項中「成年被後見人」とあるのは、「被保佐人となるべき者」と読み替えるものとする。
第135条 第127条第1項から第4項までの規定は、保佐人の解任の審判事件又は保佐監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。
第3節 補助に関する審判事件
第136条 補助開始の審判事件(別表第一の三十六の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)は、被補助人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
2 補助に関する審判事件(別表第一の三十六の項から五十四の項までの事項についての審判事件をいう。)は、補助開始の審判事件を除き、補助開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が補助開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。ただし、補助開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。
第137条 第118条の規定は、次に掲げる審判事件(第1号、第7号及び第9号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における被補助人となるべき者及び被補助人について準用する。
一 補助開始の審判事件
二 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判事件(別表第一の三十七の項の事項についての審判事件をいう。)
三 補助人の同意に代わる許可の審判事件(別表第一の三十八の項の事項についての審判事件をいう。)
四 補助開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の三十九の項の事項についての審判事件をいう。)
五 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判事件(別表第一の四十の項の事項についての審判事件をいう。)
六 補助人の選任の審判事件(別表第一の四十一の項の事項についての審判事件をいう。)
七 補助人の解任の審判事件(別表第一の四十三の項の事項についての審判事件をいう。第144条において同じ。)
八 補助監督人の選任の審判事件(別表第一の四十五の項の事項についての審判事件をいう。)
九 補助監督人の解任の審判事件(別表第一の四十七の項の事項についての審判事件をいう。第144条において同じ。)
十 補助人に対する代理権の付与の審判事件(別表第一の五十一の項の事項についての審判事件をいう。)
十一 補助人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判事件(別表第一の五十二の項の事項についての審判事件をいう。)
十二 補助の事務の監督の審判事件(別表第一の五十三の項の事項についての審判事件をいう。)
第138条 家庭裁判所は、被補助人となるべき者の精神の状況につき医師その他適当な者の意見を聴かなければ、補助開始の審判をすることができない。
第139条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第1号、第3号及び第4号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。
一 補助開始の審判 被補助人となるべき者
二 補助人の同意に代わる許可の審判 補助人
三 補助開始の審判の取消しの審判(民法第18条第1項又は第3項の規定による場合に限る。) 被補助人及び補助人
四 補助人又は補助監督人の選任の審判 被補助人となるべき者又は被補助人
五 補助人の解任の審判 補助人
六 補助監督人の解任の審判 補助監督人
2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。
一 補助人の選任の審判 補助人となるべき者
二 補助監督人の選任の審判 補助監督人となるべき者
第140条 次の各号に掲げる審判は、第74条第1項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。
一 補助開始の審判 民法第876条の7第1項の規定により補助人に選任される者並びに任意後見契約法第10条第3項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人
二 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判 補助人及び補助監督人(当該審判が補助人又は補助監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、補助人となるべき者又は補助監督人となるべき者)
三 補助人の同意に代わる許可の審判 補助人及び補助監督人
四 補助開始の審判の取消しの審判 補助人及び補助監督人
五 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判 補助人及び補助監督人
六 補助人に対する代理権の付与の審判 被補助人及び補助監督人(当該審判が補助監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、補助監督人となるべき者)
七 補助人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判 被補助人及び補助監督人
第141条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第1号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。
一 補助開始の審判 民法第15条第1項本文及び任意後見契約法第10条第2項に規定する者
二 補助開始の申立てを却下する審判 申立人
三 補助開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第18条第1項に規定する者
四 補助人の同意に代わる許可の申立てを却下する審判 申立人
五 補助人の解任の審判 補助人
六 補助人の解任の申立てを却下する審判 申立人、補助監督人並びに被補助人及びその親族
七 補助監督人の解任の審判 補助監督人
八 補助監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに被補助人及びその親族
2 審判の告知を受ける者でない者及び被補助人となるべき者による補助開始の審判に対する即時抗告の期間は、被補助人となるべき者が審判の告知を受けた日及び民法第876条の7第1項の規定により補助人に選任される者が審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。
第142条 第121条の規定は補助開始の申立ての取下げ及び補助人の選任の申立ての取下げについて、第124条の規定は補助の事務の監督について準用する。
第143条 補助開始の審判事件を本案とする保全処分については、第126条第1項の規定を準用する。
2 家庭裁判所(第105条第2項の場合にあっては、高等裁判所)は、補助開始及び補助人の同意を得なければならない行為の定めの申立てがあった場合において、被補助人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、補助開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、被補助人となるべき者の財産上の行為(民法第13条第1項に規定する行為であって、当該補助人の同意を得なければならない行為の定めの申立てに係るものに限る。第5項において同じ。)につき、前項において準用する第126条第1項の規定により選任される財産の管理者(以下この条において単に「財産の管理者」という。)の補助を受けることを命ずることができる。
3 前項の規定による審判(次項及び第5項において「補助命令の審判」という。)は、第74条第1項に規定する者のほか、財産の管理者に告知しなければならない。
4 審判の告知を受ける者でない者及び被補助人となるべき者による補助命令の審判に対する即時抗告の期間は、被補助人となるべき者が審判の告知を受けた日及び財産の管理者が前項の規定による審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。
5 補助命令の審判があったときは、被補助人となるべき者及び財産の管理者は、被補助人となるべき者が財産の管理者の同意を得ないでした財産上の行為を取り消すことができる。この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。
6 第125条第1項から第6項までの規定及び民法第27条から第29条まで(同法第27条第2項を除く。)の規定は、財産の管理者について準用する。この場合において、第125条第3項中「成年被後見人」とあるのは、「被補助人となるべき者」と読み替えるものとする。
第144条 第127条第1項から第4項までの規定は、補助人の解任の審判事件又は補助監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。
第4節 不在者の財産の管理に関する処分の審判事件
第145条 不在者の財産の管理に関する処分の審判事件は、不在者の従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
第146条 家庭裁判所は、いつでも、民法第25条第1項の規定により選任し、又は同法第26条の規定により改任した管理人を改任することができる。
2 家庭裁判所は、民法第25条第1項の規定により選任し、又は同法第26条の規定により改任した管理人及び前項の規定により改任した管理人(第4項及び第6項において「家庭裁判所が選任した管理人」という。)に対し、財産の状況の報告及び管理の計算を命ずることができる。同法第27条第2項の場合においては、不在者が置いた管理人に対しても、同様とする。
3 前項の報告及び計算に要する費用は、不在者の財産の中から支弁する。
4 家庭裁判所は、管理人(家庭裁判所が選任した管理人及び不在者が置いた管理人をいう。次項及び次条において同じ。)に対し、その提供した担保の増減、変更又は免除を命ずることができる。
5 管理人の不動産又は船舶の上に抵当権の設定を命ずる審判が効力を生じたときは、裁判所書記官は、その設定の登記を嘱託しなければならない。設定した抵当権の変更又は消滅の登記についても、同様とする。
6 民法第644条、第646条、第647条及び第650条の規定は、家庭裁判所が選任した管理人について準用する。
第147条 家庭裁判所は、不在者が財産を管理することができるようになったとき、管理すべき財産がなくなったときその他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、不在者、管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、民法第25条第1項の規定による管理人の選任その他の不在者の財産の管理に関する処分の取消しの審判をしなければならない。
第5節 失踪の宣告に関する審判事件
第1款 失踪の宣告の審判事件
第148条 失踪の宣告の審判事件(別表第一の五十六の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、不在者の従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
2 第118条の規定は、失踪の宣告の審判事件における不在者について準用する。
3 家庭裁判所は、次に掲げる事項を公告し、かつ、第2号及び第4号の期間が経過しなければ、失踪の宣告の審判をすることができない。この場合において、第2号及び第4号の期間は、民法第30条第1項の場合にあっては3月を、同条第2項の場合にあっては1月を下ってはならない。
一 不在者について失踪の宣告の申立てがあったこと。
二 不在者は、一定の期間までにその生存の届出をすべきこと。
三 前号の届出がないときは、失踪の宣告がされること。
四 不在者の生死を知る者は、一定の期間までにその届出をすべきこと。
4 失踪の宣告の審判は、不在者に告知することを要しない。
5 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第1号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。
一 失踪の宣告の審判 不在者及び利害関係人
二 失踪の宣告の申立てを却下する審判 申立人
第2款 失踪の宣告の取消しの審判事件
第149条 失踪の宣告の取消しの審判事件は、失踪者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
2 第118条の規定は、失踪の宣告の取消しの審判事件における失踪者について準用する。
3 失踪の宣告の取消しの審判は、事件の記録上失踪者の住所又は居所が判明している場合に限り、失踪者に告知すれば足りる。
4 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。
一 失踪の宣告の取消しの審判 利害関係人(申立人を除く。)
二 失踪の宣告の取消しの申立てを却下する審判 失踪者及び利害関係人
第6節 婚姻等に関する審判事件
第150条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件(別表第二の一の項の事項についての審判事件をいう。次条第1号において同じ。) 夫又は妻の住所地
二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件(別表第一の五十八の項の事項についての審判事件をいう。) 夫又は妻の住所地
三 婚姻費用の分担に関する処分の審判事件(別表第二の二の項の事項についての審判事件をいう。) 夫又は妻の住所地
四 子の監護に関する処分の審判事件 子(父又は母を同じくする数人の子についての申立てに係るものにあっては、そのうちの1人)の住所地
五 財産の分与に関する処分の審判事件 夫又は妻であった者の住所地
六 離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の五の項の事項についての審判事件をいう。) 所有者の住所地
第151条 第118条の規定は、次の各号に掲げる審判事件及びこれらの審判事件を本案とする保全処分についての審判事件(いずれの審判事件においても、財産上の給付を求めるものを除く。)における当該各号に定める者について準用する。
一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件 夫及び妻
二 子の監護に関する処分の審判事件 子
第152条 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判をする場合には、夫及び妻(申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。
2 家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判を除く。)をする場合には、第68条の規定により当事者の陳述を聴くほか、子(15歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。
第153条 第82条第2項の規定にかかわらず、財産の分与に関する処分の審判の申立ての取下げは、相手方が本案について書面を提出し、又は家事審判の手続の期日において陳述をした後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。
第154条 家庭裁判所は、夫婦間の協力扶助に関する処分の審判において、扶助の程度若しくは方法を定め、又はこれを変更することができる。
2 家庭裁判所は、次に掲げる審判において、当事者(第2号の審判にあっては、夫又は妻)に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。
一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判
二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判
三 婚姻費用の分担に関する処分の審判
四 財産の分与に関する処分の審判
3 家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判において、子の監護をすべき者の指定又は変更、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項の定めをする場合には、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。
4 家庭裁判所は、離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。
第155条 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更の審判とともに共有財産の分割に関する処分の審判をする場合において、特別の事情があると認めるときは、共有財産の分割の方法として、一方の婚姻の当事者に他方の婚姻の当事者に対する債務を負担させて、現物の分割に代えることができる。
第156条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。
一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻
二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻
三 婚姻費用の分担に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻
四 子の監護に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 子の父母及び子の監護者
五 財産の分与に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫又は妻であった者
六 離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判 婚姻の当事者(民法第751条第2項において準用する同法第769条第2項の規定による場合にあっては、生存配偶者)その他の利害関係人
第157条 家庭裁判所(第105条第2項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、次に掲げる事項についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、当該事項についての審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。
一 夫婦間の協力扶助に関する処分
二 婚姻費用の分担に関する処分
三 子の監護に関する処分
四 財産の分与に関する処分
2 家庭裁判所は、前項第3号に掲げる事項について仮の地位を定める仮処分(子の監護に要する費用の分担に関する仮処分を除く。)を命ずる場合には、第107条の規定により審判を受ける者となるべき者の陳述を聴くほか、子(15歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。ただし、子の陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。
第158条 家庭裁判所は、夫婦の一方から夫婦財産契約による財産の管理者の変更の申立てがあった場合において、他の一方の管理する申立人所有の財産又は共有財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、当該財産の管理者の変更の申立てについての審判(共有財産の分割に関する処分の申立てがあった場合にあっては、その申立てについての審判)が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、他の一方の管理する申立人所有の財産若しくは共有財産の管理に関する事項を指示することができる。
2 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更の審判の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者又は夫婦の他の一方の申立てにより、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。
3 第125条第1項から第6項までの規定及び民法第27条から第29条まで(同法第27条第2項を除く。)の規定は、第1項の財産の管理者について準用する。この場合において、第125条第3項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「管理に係る財産」と読み替えるものとする。
第7節 親子に関する審判事件
第1款 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件
第159条 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件は、子の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
2 第118条の規定は、嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件における夫について準用する。
3 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。
第2款 子の氏の変更についての許可の審判事件
第160条 子の氏の変更についての許可の審判事件(別表第一の六十の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、子(父又は母を同じくする数人の子についての子の氏の変更についての許可の申立てに係るものにあっては、そのうちの1人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
2 第118条の規定は、子の氏の変更についての許可の審判事件における子(15歳以上のものに限る。)について準用する。
3 子の氏の変更についての許可の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。
第3款 養子縁組をするについての許可の審判事件
第161条 養子縁組をするについての許可の審判事件は、養子となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
2 第118条の規定は、養子縁組をするについての許可の審判事件における養親となるべき者及び養子となるべき者(15歳以上のものに限る。)について準用する。
3 家庭裁判所は、養子縁組をするについての許可の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。ただし、養子となるべき者については、その者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。
一 養子となるべき者(15歳以上のものに限る。)
二 養子となるべき者に対し親権を行う者及び養子となるべき者の未成年後見人
4 養子縁組をするについての許可の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。
第4款 死後離縁をするについての許可の審判事件
第162条 死後離縁をするについての許可の審判事件は、申立人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
2 第118条の規定は、死後離縁をするについての許可の審判事件における養親及び養子(15歳以上のものに限る。)について準用する。
3 家庭裁判所は、養子の死後に死後離縁をするについての許可の申立てがあった場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、養子を代襲して養親の相続人となるべき者に対し、その旨を通知するものとする。ただし、事件の記録上その者の氏名及び住所又は居所が判明している場合に限る。
4 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。
一 死後離縁をするについての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。)
二 死後離縁をするについての許可の申立てを却下する審判 申立人
第5款 離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件
第163条 離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の六の項の事項についての審判事件をいう。)は、その所有者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
2 家庭裁判所は、離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。
3 離縁の当事者その他の利害関係人は、離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。
第6款 特別養子縁組に関する審判事件
第164条 特別養子縁組の成立の審判事件は、養親となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
2 養子となるべき者は、特別養子適格の確認(養子となるべき者について民法第817条の6に定める要件があること及び同法第817条の7に規定する父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合に該当することについての確認をいう。以下この条及び次条において同じ。)の審判(申立人の同条第1項の規定による申立てによりされたものに限る。)を受けた者又は児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判(特別養子縁組の成立の申立ての日の6箇月前の日以後に確定したものに限る。)を受けた者でなければならない。
3 養子となるべき者の親権者(申立人の配偶者である民法第817条の3第2項ただし書に規定する他の一方を除く。以下この項において同じ。)及びその親権者に対し親権を行う者は、特別養子縁組の成立の審判事件において養子となるべき者を代理して手続行為をすることができない。
4 養子となるべき者の父母(申立人の配偶者である民法第817条の3第2項ただし書に規定する他の一方を除く。第10項において同じ。)は、第42条第1項及び第3項の規定にかかわらず、特別養子縁組の成立の審判事件の手続に参加することができない。
5 第118条の規定は、特別養子縁組の成立の審判事件(当該審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における養親となるべき者並びに養子となるべき者及び申立人の配偶者である民法第817条の3第2項ただし書に規定する他の一方について準用する。
6 家庭裁判所は、特別養子縁組の成立の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。
一 養子となるべき者(15歳以上のものに限る。)
二 養子となるべき者に対し親権を行う者(養子となるべき者の父母及び養子となるべき者の親権者に対し親権を行う者を除く。)及び養子となるべき者の未成年後見人
7 特別養子適格の確認の審判(児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判を含む。以下この項において同じ。)は、特別養子縁組の成立の審判事件の係属する裁判所を拘束する。この場合において、特別養子適格の確認の審判は、特別養子縁組の成立の審判事件との関係においては、特別養子縁組の成立の審判をする時においてしたものとみなす。
8 特別養子縁組の成立の審判は、第74条第1項に規定する者のほか、第6項第2号に掲げる者に告知しなければならない。
9 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者の利益を害すると認める場合には、その者に告知することを要しない。ただし、養子となるべき者が15歳に達している場合は、この限りでない。
10 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者の父母に告知することを要しない。ただし、住所又は居所が知れている父母に対しては、審判をした日及び審判の主文を通知しなければならない。
11 家庭裁判所は、第2項の規定にかかわらず、特別養子縁組の成立の審判を、特別養子適格の確認の審判と同時にすることができる。この場合においては、特別養子縁組の成立の審判は、特別養子適格の確認の審判が確定するまでは、確定しないものとする。
12 家庭裁判所は、前項前段の場合において、特別養子適格の確認の審判を取り消す裁判が確定したときは、職権で、特別養子縁組の成立の審判を取り消さなければならない。
13 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者が18歳に達した日以後は、確定しないものとする。この場合においては、家庭裁判所は、職権で、その審判を取り消さなければならない。
14 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。
一 特別養子縁組の成立の審判 養子となるべき者及び第6項第2号に掲げる者
二 特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判 申立人
15 養子となるべき者(15歳未満のものに限る。)による特別養子縁組の成立の審判に対する即時抗告の期間は、養子となるべき者以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。
第164条の2 家庭裁判所は、養親となるべき者の申立てにより、その者と養子となるべき者との間における縁組について、特別養子適格の確認の審判をすることができる。ただし、養子となるべき者の出生の日から2箇月を経過する日まで及び養子となるべき者が18歳に達した日以後は、この限りでない。
2 特別養子適格の確認の審判事件は、養親となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
3 特別養子適格の確認の申立ては、特別養子縁組の成立の申立てと同時にしなければならない。
4 第118条の規定は、特別養子適格の確認の審判事件における養親となるべき者並びに養子となるべき者及び養子となるべき者の父母について準用する。
5 民法第817条の6本文の同意は、次の各号のいずれにも該当する場合には、撤回することができない。ただし、その同意をした日から2週間を経過する日までは、この限りでない。
一 養子となるべき者の出生の日から2箇月を経過した後にされたものであること。
二 次のいずれかに該当するものであること。
イ 家庭裁判所調査官による事実の調査を経た上で家庭裁判所に書面を提出してされたものであること。
ロ 審問の期日においてされたものであること。
6 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。この場合において、第2号に掲げる者の同意がないにもかかわらずその審判をするときは、その者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。
一 養子となるべき者(15歳以上のものに限る。)
二 養子となるべき者の父母
三 養子となるべき者に対し親権を行う者(前号に掲げる者を除く。)及び養子となるべき者の未成年後見人
四 養子となるべき者の父母に対し親権を行う者及び養子となるべき者の父母の後見人
7 家庭裁判所は、特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判が確定したとき、又は特別養子縁組の成立の申立てが取り下げられたときは、当該申立てをした者の申立てに係る特別養子適格の確認の申立てを却下しなければならない。
8 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の申立てを却下する審判をする場合には、第6項第2号及び第3号に掲げる者の陳述を聴かなければならない。
9 特別養子適格の確認の審判は、第74条第1項に規定する者のほか、第6項第3号及び第4号に掲げる者に告知しなければならない。
10 特別養子適格の確認の審判は、養子となるべき者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者の利益を害すると認める場合には、その者に告知することを要しない。
11 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の審判をする場合において、第6項第2号に掲げる者を特定することができないときは、同号及び同項第4号に掲げる者の陳述を聴くこと並びにこれらの者にその審判を告知することを要しない。
12 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。
一 特別養子適格の確認の審判 養子となるべき者及び第6項第2号から第4号までに掲げる者
二 特別養子適格の確認の申立てを却下する審判 申立人
13 養子となるべき者による特別養子適格の確認の審判に対する即時抗告の期間は、養子となるべき者以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。
14 特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判が確定したとき、又は特別養子縁組の成立の申立てが取り下げられたときは、当該申立てをした者の申立てによる特別養子適格の確認の審判は、その効力を失う。
第165条 特別養子縁組の離縁の審判事件は、養親の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
2 第118条の規定は、特別養子縁組の離縁の審判事件(当該審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における養親、養子及びその実父母について準用する。
3 家庭裁判所は、特別養子縁組の離縁の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。この場合において、第1号から第3号までに掲げる者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。
一 養子(15歳以上のものに限る。)
二 養親
三 養子の実父母
四 養子に対し親権を行う者(第2号に掲げる者を除く。)及び養子の後見人
五 養親の後見人
六 養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人
4 家庭裁判所は、特別養子縁組の離縁の申立てを却下する審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。
一 養子の実父母(申立人を除く。)
二 養子に対し親権を行う者及び養子の後見人
三 養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人
5 特別養子縁組の離縁の審判は、第74条第1項に規定する者のほか、第3項第4号から第6号までに掲げる者に告知しなければならない。
6 特別養子縁組の離縁の審判は、養子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して養子の利益を害すると認める場合には、養子に告知することを要しない。
7 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第1号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。
一 特別養子縁組の離縁の審判 養子、養親、養子の実父母、養子に対し親権を行う者で養親でないもの、養子の後見人、養親の後見人、養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人
二 特別養子縁組の離縁の申立てを却下する審判 申立人
8 養子による特別養子縁組の離縁の審判に対する即時抗告の期間は、養子以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。
第166条 家庭裁判所(第105条第2項の場合にあっては、高等裁判所。第3項及び第4項において同じ。)は、特別養子縁組の成立の申立てがあった場合において、養子となるべき者の利益のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、特別養子縁組の成立の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、申立人を養子となるべき者の監護者に選任し、又は養子となるべき者の親権者若しくは未成年後見人の職務の執行を停止し、若しくはその職務代行者を選任することができる。
2 前項の規定による職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者若しくは未成年後見人、養子となるべき者に対し親権を行う者若しくは他の未成年後見人又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。
3 家庭裁判所は、いつでも、第1項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。
4 家庭裁判所は、第1項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、養子となるべき者の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。
5 前各項の規定(養子となるべき者の監護者を選任する保全処分に関する部分を除く。)は、特別養子縁組の離縁の審判事件を本案とする保全処分について準用する。
第8節 親権に関する審判事件
第167条 親権に関する審判事件は、子(父又は母を同じくする数人の子についての親権者の指定若しくは変更又は第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の申立てに係るものにあっては、そのうちの1人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
第168条 第118条の規定は、次の各号に掲げる審判事件(第3号及び第7号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における当該各号に定める者について準用する。
一 子に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の六十五の項の事項についての審判事件をいう。) 子
二 第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の六十六の項の事項についての審判事件をいう。第173条において同じ。) 子
三 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判事件(別表第一の六十七の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母
四 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判事件(別表第一の六十八の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母
五 親権又は管理権を辞し、又は回復するについての許可の審判事件(別表第一の六十九の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母
六 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の審判事件(別表第二の七の項の事項についての審判事件をいう。) 養子、その父母及び養親
七 親権者の指定又は変更の審判事件(別表第二の八の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母
第169条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第1号、第2号及び第4号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。この場合において、第1号に掲げる子の親権者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。
一 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判 子(15歳以上のものに限る。)及び子の親権者
二 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子(15歳以上のものに限る。)、子に対し親権を行う者、子の未成年後見人及び親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者
三 親権又は管理権を辞するについての許可の審判 子(15歳以上のものに限る。)
四 親権又は管理権を回復するについての許可の審判 子(15歳以上のものに限る。)、子に対し親権を行う者及び子の未成年後見人
2 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判をする場合には、第68条の規定により当事者の陳述を聴くほか、子(15歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。
第170条 次の各号に掲げる審判は、第74条第1項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。ただし、子にあっては、子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して子の利益を害すると認める場合は、この限りでない。
一 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判 子
二 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子、子に対し親権を行う者及び子の未成年後見人
第171条 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判において、当事者に対し、子の引渡し又は財産上の給付その他の給付を命ずることができる。
第172条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第1号から第3号まで及び第5号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。
一 親権喪失の審判 親権を喪失する者及びその親族
二 親権停止の審判 親権を停止される者及びその親族
三 管理権喪失の審判 管理権を喪失する者及びその親族
四 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てを却下する審判 申立人、子及びその親族、未成年後見人並びに未成年後見監督人
五 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子及びその親族、子に対し親権を行う者、未成年後見人並びに未成年後見監督人
六 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの申立てを却下する審判 申立人並びに親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者及びその親族
七 親権又は管理権を回復するについての許可の申立てを却下する審判 申立人
八 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の審判 養子の父母及び養子の監護者
九 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の申立てを却下する審判 申立人、養子の父母及び養子の監護者
十 親権者の指定又は変更の審判及びその申立てを却下する審判 子の父母及び子の監護者
2 次の各号に掲げる即時抗告の期間は、当該各号に定める日から進行する。
一 審判の告知を受ける者でない者及び子による親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判に対する即時抗告 親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失する者が審判の告知を受けた日
二 審判の告知を受ける者でない者及び子による親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判に対する即時抗告 親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者が審判の告知を受けた日
第173条 第125条の規定は、第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。
第174条 家庭裁判所(第105条第2項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てがあった場合において、子の利益のため必要があると認めるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、親権者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。
2 前項の規定による親権者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者、子に対し親権を行う者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。
3 家庭裁判所は、いつでも、第1項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。
4 家庭裁判所は、第1項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、子の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。
第175条 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権者の指定又は変更の審判を本案とする仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。
2 前項の規定により仮の地位の仮処分を命ずる場合には、第107条の規定により審判を受ける者となるべき者の陳述を聴くほか、子(15歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。ただし、子の陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。
3 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判又は調停の申立てがあった場合において、子の利益のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権者の指定又は変更の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、親権者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。
4 前項の規定による親権者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者、子に対し親権を行う者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。
5 家庭裁判所は、いつでも、第3項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。
6 家庭裁判所は、第3項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、子の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。
第9節 未成年後見に関する審判事件
第176条 未成年後見に関する審判事件(別表第一の七十の項から八十三の項までの事項についての審判事件をいう。)は、未成年被後見人(養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件にあっては、未成年被後見人となるべき者)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
第177条 第118条の規定は、次に掲げる審判事件(第3号及び第5号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における未成年被後見人(第1号の審判事件にあっては、未成年被後見人となるべき者及び養親)について準用する。
一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件
二 未成年後見人の選任の審判事件
三 未成年後見人の解任の審判事件(別表第一の七十三の項の事項についての審判事件をいう。第181条において同じ。)
四 未成年後見監督人の選任の審判事件(別表第一の七十四の項の事項についての審判事件をいう。)
五 未成年後見監督人の解任の審判事件(別表第一の七十六の項の事項についての審判事件をいう。第181条において同じ。)
六 未成年被後見人に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の七十九の項の事項についての審判事件をいう。)
七 未成年後見の事務の監督の審判事件(別表第一の八十一の項の事項についての審判事件をいう。)
八 第三者が未成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の八十二の項の事項についての審判事件をいう。第180条において同じ。)
第178条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第1号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。
一 未成年後見人又は未成年後見監督人の選任の審判 未成年被後見人(15歳以上のものに限る。)
二 未成年後見人の解任の審判 未成年後見人
三 未成年後見監督人の解任の審判 未成年後見監督人
2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。
一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者又は未成年後見人の選任 未成年後見人となるべき者
二 未成年後見監督人の選任 未成年後見監督人となるべき者
第179条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。
一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の申立てを却下する審判 申立人
二 未成年後見人の解任の審判 未成年後見人
三 未成年後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、未成年後見監督人並びに未成年被後見人及びその親族
四 未成年後見監督人の解任の審判 未成年後見監督人
五 未成年後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに未成年被後見人及びその親族
第180条 第121条の規定は未成年後見人の選任の申立ての取下げについて、第124条の規定は未成年後見の事務の監督について、第125条の規定は第三者が未成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。この場合において、第121条第2号中「第843条第2項の規定による成年後見人」とあるのは「第840条第1項の規定による未成年後見人」と、同条第3号中「第843条第3項の規定による成年後見人」とあるのは「第840条第2項の規定による未成年後見人」と読み替えるものとする。
第181条 第127条第1項から第4項までの規定は、未成年後見人の解任の審判事件又は未成年後見監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。
第10節 扶養に関する審判事件
第182条 扶養義務の設定の審判事件(別表第一の八十四の項の事項についての審判事件をいう。)は、扶養義務者となるべき者(数人についての扶養義務の設定の申立てに係るものにあっては、そのうちの1人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
2 扶養義務の設定の取消しの審判事件(別表第一の八十五の項の事項についての審判事件をいう。)は、その扶養義務の設定の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所がその扶養義務の設定の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。
3 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消しの審判事件(別表第二の九の項の事項についての審判事件をいう。)並びに扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判事件(同表の十の項の事項についての審判事件をいう。)は、相手方(数人に対する申立てに係るものにあっては、そのうちの1人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
第183条 扶養義務の設定の申立ては、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成15年法律第110号)第23条の2第2項第4号の規定による保護者の選任の申立てと一の申立てによりするときは、同法第2条第2項に規定する対象者の住所地を管轄する家庭裁判所にもすることができる。
第184条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。
一 扶養義務の設定の審判 扶養義務者となるべき者
二 扶養義務の設定の取消しの審判 扶養権利者
第185条 家庭裁判所は、扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判において、当事者に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。
第186条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。
一 扶養義務の設定の審判 扶養義務者となるべき者(申立人を除く。)
二 扶養義務の設定の申立てを却下する審判 申立人
三 扶養義務の設定の取消しの審判 扶養権利者(申立人を除く。)
四 扶養義務の設定の取消しの申立てを却下する審判 申立人
五 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消しの審判並びにこれらの申立てを却下する審判 申立人及び相手方
六 扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判並びにこれらの申立てを却下する審判 申立人及び相手方
第187条 家庭裁判所(第105条第2項の場合にあっては、高等裁判所)は、次に掲げる事項についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、当該事項についての審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。
一 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消し
二 扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消し
第11節 推定相続人の廃除に関する審判事件
第188条 推定相続人の廃除の審判事件及び推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件は、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。ただし、これらの審判事件が被相続人の死亡後に申し立てられた場合にあっては、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
2 第118条の規定は、前項に規定する審判事件における被相続人について準用する。
3 家庭裁判所は、推定相続人の廃除の審判事件においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、廃除を求められた推定相続人の陳述を聴かなければならない。この場合における陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。
4 推定相続人の廃除の審判事件における手続については、申立人及び廃除を求められた推定相続人を当事者とみなして、第67条及び第69条から第72条までの規定を準用する。
5 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。
一 推定相続人の廃除の審判 廃除された推定相続人
二 推定相続人の廃除又はその審判の取消しの申立てを却下する審判 申立人
第189条 推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件は、推定相続人の廃除の審判事件又は推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件が係属している家庭裁判所(その審判事件が係属していない場合にあっては相続が開始した地を管轄する家庭裁判所、その審判事件が抗告裁判所に係属している場合にあってはその裁判所)の管轄に属する。
2 第125条第1項から第6項までの規定は、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理人について準用する。この場合において、同条第1項、第2項及び第4項中「家庭裁判所」とあるのは「推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分を命じた裁判所」と、同条第3項中「成年被後見人の財産」とあるのは「遺産」と読み替えるものとする。
3 推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分を命じた裁判所は、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判が確定したときは、廃除を求められた推定相続人、前項の管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、その処分の取消しの裁判をしなければならない。
第12節 相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件
第190条 相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の十一の項の事項についての審判事件をいう。)は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
2 家庭裁判所は、相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。
3 相続人その他の利害関係人は、相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。
第13節 遺産の分割に関する審判事件
第191条 遺産の分割に関する審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
2 前項の規定にかかわらず、遺産の分割の審判事件(別表第二の十二の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)が係属している場合における寄与分を定める処分の審判事件(同表の十四の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。)は、当該遺産の分割の審判事件が係属している裁判所の管轄に属する。
第192条 遺産の分割の審判事件及び寄与分を定める処分の審判事件が係属するときは、これらの審判の手続及び審判は、併合してしなければならない。数人からの寄与分を定める処分の審判事件が係属するときも、同様とする。
第193条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判の手続において、1月を下らない範囲内で、当事者が寄与分を定める処分の審判の申立てをすべき期間を定めることができる。
2 家庭裁判所は、寄与分を定める処分の審判の申立てが前項の期間を経過した後にされたときは、当該申立てを却下することができる。
3 家庭裁判所は、第1項の期間を定めなかった場合においても、当事者が時機に後れて寄与分を定める処分の申立てをしたことにつき、申立人の責めに帰すべき事由があり、かつ、申立てに係る寄与分を定める処分の審判の手続を併合することにより、遺産の分割の審判の手続が著しく遅滞することとなるときは、その申立てを却下することができる。
第194条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をするため必要があると認めるときは、相続人に対し、遺産の全部又は一部を競売して換価することを命ずることができる。
2 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をするため必要があり、かつ、相当と認めるときは、相続人の意見を聴き、相続人に対し、遺産の全部又は一部について任意に売却して換価することを命ずることができる。ただし、共同相続人中に競売によるべき旨の意思を表示した者があるときは、この限りでない。
3 前二項の規定による裁判(以下この条において「換価を命ずる裁判」という。)が確定した後に、その換価を命ずる裁判の理由の消滅その他の事情の変更があるときは、家庭裁判所は、相続人の申立てにより又は職権で、これを取り消すことができる。
4 換価を命ずる裁判は、第81条第1項において準用する第74条第1項に規定する者のほか、遺産の分割の審判事件の当事者に告知しなければならない。
5 相続人は、換価を命ずる裁判に対し、即時抗告をすることができる。
6 家庭裁判所は、換価を命ずる裁判をする場合において、第200条第1項の財産の管理者が選任されていないときは、これを選任しなければならない。
7 家庭裁判所は、換価を命ずる裁判により換価を命じられた相続人に対し、遺産の中から、相当な報酬を与えることができる。
8 第125条の規定及び民法第27条から第29条まで(同法第27条第2項を除く。)の規定は、第6項の規定により選任した財産の管理者について準用する。この場合において、第125条第3項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「遺産」と読み替えるものとする。
第195条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をする場合において、特別の事情があると認めるときは、遺産の分割の方法として、共同相続人の1人又は数人に他の共同相続人に対する債務を負担させて、現物の分割に代えることができる。
第196条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判において、当事者に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。
第197条 家庭裁判所は、事情の変更があるときは、相続人の申立てにより、いつでも、遺産の分割の禁止の審判を取り消し、又は変更する審判をすることができる。この申立てに係る審判事件は、別表第二に掲げる事項についての審判事件とみなす。
第198条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。
一 遺産の分割の審判及びその申立てを却下する審判 相続人
二 遺産の分割の禁止の審判 相続人
三 遺産の分割の禁止の審判を取り消し、又は変更する審判 相続人
四 寄与分を定める処分の審判 相続人
五 寄与分を定める処分の申立てを却下する審判 申立人
2 第192条前段の規定により審判が併合してされたときは、寄与分を定める処分の審判又はその申立てを却下する審判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。
3 第192条後段の規定により審判が併合してされたときは、申立人の1人がした即時抗告は、申立人の全員に対してその効力を生ずる。
第199条 第153条の規定は、遺産の分割の審判の申立ての取下げについて準用する。
第200条 家庭裁判所(第105条第2項の場合にあっては、高等裁判所。次項及び第3項において同じ。)は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、遺産の分割の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、財産の管理に関する事項を指示することができる。
2 家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者又は相手方の申立てにより、遺産の分割の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。
3 前項に規定するもののほか、家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、相続財産に属する債務の弁済、相続人の生活費の支弁その他の事情により遺産に属する預貯金債権(民法第466条の5第1項に規定する預貯金債権をいう。以下この項において同じ。)を当該申立てをした者又は相手方が行使する必要があると認めるときは、その申立てにより、遺産に属する特定の預貯金債権の全部又は一部をその者に仮に取得させることができる。ただし、他の共同相続人の利益を害するときは、この限りでない。
4 第125条第1項から第6項までの規定及び民法第27条から第29条まで(同法第27条第2項を除く。)の規定は、第1項の財産の管理者について準用する。この場合において、第125条第3項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「遺産」と読み替えるものとする。
第14節 相続の承認及び放棄に関する審判事件
第201条 相続の承認及び放棄に関する審判事件(別表第一の八十九の項から九十五の項までの事項についての審判事件をいう。)は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
2 前項の規定にかかわらず、限定承認の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の九十三の項の事項についての審判事件をいう。)は、限定承認の申述を受理した家庭裁判所(抗告裁判所が受理した場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。
3 家庭裁判所(抗告裁判所が限定承認の申述を受理した場合にあっては、その裁判所)は、相続人が数人ある場合において、限定承認の申述を受理したときは、職権で、民法第936条第1項の規定により相続財産の管理人を選任しなければならない。
4 第118条の規定は、限定承認又は相続の放棄の取消しの申述の受理の審判事件(別表第一の九十一の項の事項についての審判事件をいう。)における限定承認又は相続の放棄の取消しをすることができる者について準用する。
5 限定承認及びその取消し並びに相続の放棄及びその取消しの申述は、次に掲げる事項を記載した申述書を家庭裁判所に提出してしなければならない。
一 当事者及び法定代理人
二 限定承認若しくはその取消し又は相続の放棄若しくはその取消しをする旨
6 第49条第3項から第6項まで及び第50条の規定は、前項の申述について準用する。この場合において、第49条第4項中「第2項」とあるのは、「第201条第5項」と読み替えるものとする。
7 家庭裁判所は、第5項の申述の受理の審判をするときは、申述書にその旨を記載しなければならない。この場合において、当該審判は、申述書にその旨を記載した時に、その効力を生ずる。
8 前項の審判については、第76条の規定は、適用しない。
9 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。
一 相続の承認又は放棄をすべき期間の伸長の申立てを却下する審判 申立人
二 限定承認又は相続の放棄の取消しの申述を却下する審判 限定承認又は相続の放棄の取消しをすることができる者
三 限定承認又は相続の放棄の申述を却下する審判 申述人
10 第125条の規定は、相続財産の保存又は管理に関する処分の審判事件について準用する。この場合において、同条第3項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。
第15節 財産分離に関する審判事件
第202条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める裁判所の管轄に属する。
一 財産分離の審判事件(別表第一の九十六の項の事項についての審判事件をいう。次号において同じ。) 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所
二 財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件 財産分離の審判事件が係属している家庭裁判所(抗告裁判所に係属している場合にあってはその裁判所、財産分離の裁判確定後にあっては財産分離の審判事件が係属していた家庭裁判所)
三 財産分離の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の九十八の項の事項についての審判事件をいう。) 財産分離の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が財産分離の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)
2 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。
一 財産分離の審判 相続人
二 民法第941条第1項の規定による財産分離の申立てを却下する審判 相続債権者及び受遺者
三 民法第950条第1項の規定による財産分離の申立てを却下する審判 相続人の債権者
3 第125条の規定は、財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。この場合において、同条第3項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。
第16節 相続人の不存在に関する審判事件
第203条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める家庭裁判所の管轄に属する。
一 相続人の不存在の場合における相続財産の管理に関する処分の審判事件 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所
二 相続人の不存在の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の百の項の事項についての審判事件をいう。) 相続人の不存在の場合における相続財産の管理に関する処分の審判事件において相続財産の管理人の選任の審判をした家庭裁判所
三 特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件(別表第一の百一の項の事項についての審判事件をいう。次条第2項及び第207条において同じ。) 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所
第204条 特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てについての審判は、民法第958条の期間の満了後3月を経過した後にしなければならない。
2 同一の相続財産に関し特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件が数個同時に係属するときは、これらの審判の手続及び審判は、併合してしなければならない。
第205条 家庭裁判所は、特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てについての審判をする場合には、民法第952条第1項の規定により選任し、又は第208条において準用する第125条第1項の規定により改任した相続財産の管理人(次条及び第207条において単に「相続財産の管理人」という。)の意見を聴かなければならない。
第206条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。
一 特別縁故者に対する相続財産の分与の審判 申立人及び相続財産の管理人
二 特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てを却下する審判 申立人
2 第204条第2項の規定により審判が併合してされたときは、申立人の1人又は相続財産の管理人がした即時抗告は、申立人の全員に対してその効力を生ずる。
第207条 第194条第1項、第2項本文、第3項から第5項まで及び第7項の規定は、特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件について準用する。この場合において、同条第1項及び第7項中「相続人」とあり、並びに同条第2項中「相続人の意見を聴き、相続人」とあるのは「相続財産の管理人」と、同条第3項中「相続人」とあるのは「特別縁故者に対する相続財産の分与の申立人若しくは相続財産の管理人」と、同条第4項中「当事者」とあるのは「申立人」と、同条第5項中「相続人」とあるのは「特別縁故者に対する相続財産の分与の申立人及び相続財産の管理人」と読み替えるものとする。
第208条 第125条の規定は、相続人の不存在の場合における相続財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。この場合において、同条第3項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。
第17節 遺言に関する審判事件
第209条 遺言に関する審判事件(別表第一の百二の項から百八の項までの事項についての審判事件をいう。)は、相続を開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
2 前項の規定にかかわらず、遺言の確認の審判事件は、遺言者の生存中は、遺言者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
第210条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の陳述を聴かなければならない。
一 遺言執行者の解任の審判 遺言執行者
二 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 受遺者及び負担の利益を受けるべき者
2 家庭裁判所は、遺言執行者の選任の審判をする場合には、遺言執行者となるべき者の意見を聴かなければならない。
第211条 裁判所書記官は、遺言書の検認について、調書を作成しなければならない。
第212条 遺言の確認又は遺言書の検認の申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。
第213条 次の各号に掲げる審判は、第74条第1項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。
一 遺言執行者の解任の審判 相続人
二 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 負担の利益を受けるべき者
第214条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。
一 遺言の確認の審判 利害関係人
二 遺言の確認の申立てを却下する審判 遺言に立ち会った証人及び利害関係人
三 遺言執行者の選任の申立てを却下する審判 利害関係人
四 遺言執行者の解任の審判 遺言執行者
五 遺言執行者の解任の申立てを却下する審判 利害関係人
六 遺言執行者の辞任についての許可の申立てを却下する審判 申立人
七 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 受遺者その他の利害関係人(申立人を除く。)
八 負担付遺贈に係る遺言の取消しの申立てを却下する審判 相続人
第215条 家庭裁判所(第105条第2項の場合にあっては、高等裁判所。第3項及び第4項において同じ。)は、遺言執行者の解任の申立てがあった場合において、遺言の内容の実現のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、遺言執行者の解任の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、遺言執行者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。
2 前項の規定による遺言執行者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される遺言執行者、他の遺言執行者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。
3 家庭裁判所は、いつでも、第1項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。
4 家庭裁判所は、第1項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、相続財産の中から、相当な報酬を与えることができる。
第18節 遺留分に関する審判事件
第216条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
一 遺留分を算定するための財産の価額を定める場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の百九の項の事項についての審判事件をいう。) 相続が開始した地
二 遺留分の放棄についての許可の審判事件 被相続人の住所地
2 遺留分の放棄についての許可の申立てをした者は、申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。
第18節の2 特別の寄与に関する審判事件
第216条の2 特別の寄与に関する処分の審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
第216条の3 家庭裁判所は、特別の寄与に関する処分の審判において、当事者に対し、金銭の支払を命ずることができる。
第216条の4 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。
一 特別の寄与に関する処分の審判 申立人及び相手方
二 特別の寄与に関する処分の申立てを却下する審判 申立人
第216条の5 家庭裁判所(第105条第2項の場合にあっては、高等裁判所)は、特別の寄与に関する処分についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は申立人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、特別の寄与に関する処分の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。
第19節 任意後見契約法に規定する審判事件
第217条 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件(別表第一の百十一の項の事項についての審判事件をいう。次項及び次条において同じ。)は、任意後見契約法第2条第2号の本人(以下この節において単に「本人」という。)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
2 任意後見契約法に規定する審判事件(別表第一の百十一の項から百二十一の項までの事項についての審判事件をいう。)は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件を除き、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が当該任意後見監督人を選任した場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。ただし、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。
第218条 第118条の規定は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件における本人について準用する。
第219条 家庭裁判所は、本人の精神の状況につき医師その他適当な者の意見を聴かなければ、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をすることができない。
第220条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第1号及び第4号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。ただし、本人については、本人の心身の障害により本人の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。
一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判並びに任意後見監督人が欠けた場合及び任意後見監督人を更に選任する場合における任意後見監督人の選任の審判 本人
二 任意後見監督人の解任の審判 任意後見監督人
三 任意後見人の解任の審判 任意後見人
四 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人及び任意後見人
2 家庭裁判所は、前項第1号に掲げる審判をする場合には、任意後見監督人となるべき者の意見を聴かなければならない。
3 家庭裁判所は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をする場合には、任意後見契約の効力が生ずることについて、任意後見受任者の意見を聴かなければならない。
第221条 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任及び任意後見監督人が欠けた場合における任意後見監督人の選任の申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。
第222条 次の各号に掲げる審判は、第74条第1項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。
一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判 本人及び任意後見受任者
二 後見開始の審判等の取消しの審判 後見開始の審判の取消しの審判にあっては成年後見人及び成年後見監督人、保佐開始の審判の取消しの審判にあっては保佐人及び保佐監督人並びに補助開始の審判の取消しの審判にあっては補助人及び補助監督人
三 任意後見人の解任の審判 本人及び任意後見監督人
四 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人、任意後見人及び任意後見監督人
第223条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第4号及び第6号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。
一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の申立てを却下する審判 申立人
二 任意後見監督人の解任の審判 任意後見監督人
三 任意後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに本人及びその親族
四 任意後見人の解任の審判 本人及び任意後見人
五 任意後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、任意後見監督人並びに本人及びその親族
六 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人及び任意後見人
七 任意後見契約の解除についての許可の申立てを却下する審判 申立人
第224条 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に任意後見監督人の事務を調査させることができる。
第225条 第127条第1項から第4項までの規定は、任意後見監督人の解任の審判事件(別表第一の百十七の項の事項についての審判事件をいう。)を本案とする保全処分について準用する。
2 第127条第1項及び第2項の規定は、任意後見人の解任の審判事件(別表第一の百二十の項の事項についての審判事件をいう。)を本案とする保全処分について準用する。この場合において、同条第1項中「停止し、又はその職務代行者を選任する」とあるのは「停止する」と、同条第2項中「同項の規定により選任した職務代行者」とあるのは「任意後見監督人」と読み替えるものとする。
第20節 戸籍法に規定する審判事件
第226条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
一 氏又は名の変更についての許可の審判事件(別表第一の百二十二の項の事項についての審判事件をいう。) 申立人の住所地
二 就籍許可の審判事件(別表第一の百二十三の項の事項についての審判事件をいう。) 就籍しようとする地
三 戸籍の訂正についての許可の審判事件(別表第一の百二十四の項の事項についての審判事件をいう。) その戸籍のある地
四 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の審判事件(別表第一の百二十五の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。) 市役所(戸籍法(昭和22年法律第224号)第4条において準用する同法第122条の規定による場合にあっては、区役所)又は町村役場の所在地
第227条 第118条の規定は、戸籍法に規定する審判事件(別表第一の百二十二の項から百二十五の項までの事項についての審判事件をいう。)における当該審判事件の申立てをすることができる者について準用する。ただし、戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の審判事件においては、当該処分を受けた届出その他の行為を自らすることができる場合に限る。
第228条 家庭裁判所は、戸籍法第113条の規定による戸籍の訂正についての許可の申立てが当該戸籍の届出人又は届出事件の本人以外の者からされた場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当該届出人又は届出事件の本人に対し、その旨を通知しなければならない。ただし、事件の記録上これらの者の氏名及び住所又は居所が判明している場合に限る。
第229条 家庭裁判所は、氏の変更についての許可の審判をする場合には、申立人と同一戸籍内にある者(15歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。
2 家庭裁判所は、戸籍事件についての市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市にあっては、区長又は総合区長とする。以下この節において同じ。)の処分に対する不服の申立てがあった場合には、当該市町村長の意見を聴かなければならない。
第230条 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを却下する審判は、第74条第1項に規定する者のほか、当該市町村長に告知しなければならない。
2 家庭裁判所は、戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを理由があると認めるときは、当該市町村長に対し、相当の処分を命じなければならない。
第231条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。
一 氏の変更についての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。)
二 氏又は名の変更についての許可の申立てを却下する審判 申立人
三 就籍許可の申立てを却下する審判 申立人
四 戸籍の訂正についての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。)
五 戸籍の訂正についての許可の申立てを却下する審判 申立人
六 前条第2項の規定による市町村長に相当の処分を命ずる審判 当該市町村長
七 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを却下する審判 申立人
第21節 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律に規定する審判事件
第232条 性別の取扱いの変更の審判事件(別表第一の百二十六の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、申立人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
2 第118条の規定は、性別の取扱いの変更の審判事件における申立人について準用する。
3 性別の取扱いの変更の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。
第22節 厚生年金保険法に規定する審判事件
第233条 請求すべき按分割合に関する処分の審判事件(別表第二の十六の項の事項についての審判事件をいう。)は、申立人又は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
2 申立人及び相手方は、請求すべき按分割合に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。
3 請求すべき按分割合に関する処分の審判の手続については、第68条第2項の規定は、適用しない。
第23節 児童福祉法に規定する審判事件
第234条 都道府県の措置についての承認の審判事件(別表第一の百二十七の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。)、都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判事件(同表の百二十八の項の事項についての審判事件をいう。同条において同じ。)、児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判事件(同表の百二十八の二の項の事項についての審判事件をいう。同条において同じ。)及び児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件(同表の百二十八の三の項の事項についての審判事件をいう。以下この節において同じ。)は、児童の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
第235条 第118条の規定は、都道府県の措置についての承認の審判事件、都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判事件及び児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判事件における児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者、児童の未成年後見人及び児童並びに児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件における児童及びその父母について準用する。
第236条 家庭裁判所は、都道府県の措置についての承認、都道府県の措置の期間の更新についての承認又は児童相談所長若しくは都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の申立てについての審判をする場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、前条に規定する者(児童にあっては、15歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。
2 前項の場合において、家庭裁判所は、申立人に対し、児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人の陳述に関する意見を求めることができる。
3 第164条の2第6項及び第8項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。
第237条 都道府県の措置についての承認、都道府県の措置の期間の更新についての承認又は児童相談所長若しくは都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判は、第74条第1項に規定する者のほか、児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人に告知しなければならない。
2 第164条の2第9項から第11項までの規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。
第238条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。
一 都道府県の措置についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人
二 都道府県の措置についての承認の申立てを却下する審判 申立人
三 都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人
四 都道府県の措置の期間の更新についての承認の申立てを却下する審判 申立人
五 児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人
六 児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の申立てを却下する審判 申立人
2 第164条の2第12項及び第13項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。
第239条 家庭裁判所は、児童の出生の日から2箇月を経過する日まで及び児童が18歳に達した日以後は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判をすることができない。
2 第164条の2第5項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。
第24節 生活保護法等に規定する審判事件
第240条 施設への入所等についての許可の審判事件(別表第一の百二十九の項の事項についての審判事件をいう。第3項において同じ。)は、被保護者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
2 扶養義務者の負担すべき費用額の確定の審判事件(別表第二の十七の項の事項についての審判事件をいう。)は、扶養義務者(数人に対する申立てに係るものにあっては、そのうちの1人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
3 第118条の規定は、施設への入所等についての許可の審判事件における被保護者、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人について準用する。
4 家庭裁判所は、施設への入所等についての許可の申立てについての審判をする場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、被保護者(15歳以上のものに限る。)、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人の陳述を聴かなければならない。
5 施設への入所等についての許可の審判は、第74条第1項に規定する者のほか、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人に告知しなければならない。
6 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。
一 施設への入所等についての許可の審判 被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人
二 施設への入所等についての許可の申立てを却下する審判 申立人
三 扶養義務者の負担すべき費用額の確定の審判及びその申立てを却下する審判 申立人及び相手方
第25節 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に規定する審判事件
第241条 保護者の順位の変更及び保護者の選任の審判事件(別表第一の百三十の項の事項についての審判事件をいう。第4項において同じ。)は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第2条第2項に規定する対象者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(申立人を除く。)の意見を聴かなければならない。
一 保護者の順位の変更の審判 先順位に変更される者
二 保護者の選任の審判 保護者となるべき者
3 保護者の順位の変更又は保護者の選任の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。
4 家庭裁判所は、いつでも、保護者の順位の変更及び保護者の選任の審判事件において選任した保護者を改任することができる。
第26節 破産法に規定する審判事件
第242条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
一 破産手続が開始された場合における夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件(別表第一の百三十一の項の事項についての審判事件をいう。第3項において同じ。) 夫又は妻の住所地
二 親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件 子の住所地
三 破産手続における相続の放棄の承認についての申述の受理の審判事件(別表第一の百三十三の項の事項についての審判事件をいう。第3項において同じ。) 相続が開始した地
2 破産管財人は、破産手続における相続の放棄の承認についての申述を却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。
3 第152条第1項、第154条第2項(第2号に係る部分に限る。)、第155条、第156条(第2号に係る部分に限る。)及び第158条の規定は破産手続が開始された場合における夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件について、第168条(第3号に係る部分に限る。)、第169条第1項(第1号に係る部分に限る。)、第170条(第1号に係る部分に限る。)、第172条第1項(第3号及び第4号に係る部分に限る。)及び第2項(第1号に係る部分に限る。)並びに第174条の規定(管理権喪失に関する部分に限る。)は親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件について、第201条第5項から第8項までの規定は破産手続における相続の放棄の承認についての申述の受理の審判事件について準用する。
第27節 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律に規定する審判事件
第243条 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判事件(別表第一の百三十四の項の事項についての審判事件をいう。)は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
一 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(平成20年法律第33号)第4条第1項の規定による合意(同法第5条又は第6条第2項の規定による合意をした場合にあっては、同法第4条第1項及び第5条又は第6条第2項の規定による合意)についての申立てに係るものである場合 同法第3条第2項の旧代表者の住所地
二 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律第4条第3項の規定による合意(同法第5条又は第6条第2項の規定による合意をした場合にあっては、同法第4条第3項及び第5条又は第6条第2項の規定による合意)についての申立てに係るものである場合 同法第3条第4項の旧個人事業者の住所地
2 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判は、当該合意の当事者の全員に告知しなければならない。
3 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。
一 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判 当該合意の当事者(申立人を除く。)
二 遺留分の算定に係る合意についての許可の申立てを却下する審判 当該合意の当事者
第3編 家事調停に関する手続
第1章 総則
第1節 通則
第244条 家庭裁判所は、人事に関する訴訟事件その他家庭に関する事件(別表第一に掲げる事項についての事件を除く。)について調停を行うほか、この編の定めるところにより審判をする。
第245条 家事調停事件は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。
2 民事訴訟法第11条第2項及び第3項の規定は、前項の合意について準用する。
3 第191条第2項及び第192条の規定は、遺産の分割の調停事件(別表第二の十二の項の事項についての調停事件をいう。)及び寄与分を定める処分の調停事件(同表の十四の項の事項についての調停事件をいう。)について準用する。この場合において、第191条第2項中「前項」とあるのは、「第245条第1項」と読み替えるものとする。
第246条 家庭裁判所は、第244条の規定により調停を行うことができる事件以外の事件について調停の申立てを受けた場合には、職権で、これを管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所に移送する。
2 家庭裁判所は、第244条の規定により調停を行うことができる事件について調停の申立てを受けた場合において、事件を処理するために必要があると認めるときは、職権で、事件の全部又は一部を管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所に移送することができる。
3 家庭裁判所は、事件を処理するために特に必要があると認めるときは、前二項の規定にかかわらず、その事件を管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所以外の地方裁判所又は簡易裁判所(事物管轄権を有するものに限る。)に移送することができる。
4 第9条第3項から第5項までの規定は、前三項の規定による移送の裁判について準用する。
第247条 家庭裁判所は、調停委員会で調停を行う。ただし、家庭裁判所が相当と認めるときは、裁判官のみで行うことができる。
2 家庭裁判所は、当事者の申立てがあるときは、前項ただし書の規定にかかわらず、調停委員会で調停を行わなければならない。
第248条 調停委員会は、裁判官1人及び家事調停委員2人以上で組織する。
2 調停委員会を組織する家事調停委員は、家庭裁判所が各事件について指定する。
3 調停委員会の決議は、過半数の意見による。可否同数の場合には、裁判官の決するところによる。
4 調停委員会の評議は、秘密とする。
第249条 家事調停委員は、非常勤とし、その任免に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
2 家事調停委員には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。
第250条 家事調停官は、弁護士で5年以上その職にあったもののうちから、最高裁判所が任命する。
2 家事調停官は、この法律の定めるところにより、家事調停事件の処理に必要な職務を行う。
3 家事調停官は、任期を2年とし、再任されることができる。
4 家事調停官は、非常勤とする。
5 家事調停官は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、在任中、その意に反して解任されることがない。
一 弁護士法(昭和24年法律第205号)第7条各号のいずれかに該当するに至ったとき。
二 心身の故障のため職務の執行ができないと認められたとき。
三 職務上の義務違反その他家事調停官たるに適しない非行があると認められたとき。
6 この法律に定めるもののほか、家事調停官の任免に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
第251条 家事調停官は、家庭裁判所の指定を受けて、家事調停事件を取り扱う。
2 家事調停官は、その取り扱う家事調停事件の処理について、この法律において家庭裁判所、裁判官又は裁判長が行うものとして定める家事調停事件の処理に関する権限を行うことができる。
3 家事調停官は、独立してその職権を行う。
4 家事調停官は、その権限を行うについて、裁判所書記官、家庭裁判所調査官及び医師である裁判所技官に対し、その職務に関し必要な命令をすることができる。この場合において、裁判所法(昭和22年法律第59号)第60条第5項の規定は、家事調停官の命令を受けた裁判所書記官について準用する。
5 家事調停官には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。
第252条 次の各号に掲げる調停事件(第1号及び第2号にあっては、財産上の給付を求めるものを除く。)において、当該各号に定める者は、第17条第1項において準用する民事訴訟法第31条の規定にかかわらず、法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。その者が被保佐人又は被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。)であって、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。
一 夫婦間の協力扶助に関する処分の調停事件(別表第二の一の項の事項についての調停事件をいう。) 夫及び妻
二 子の監護に関する処分の調停事件(別表第二の三の項の事項についての調停事件をいう。) 子
三 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の調停事件(別表第二の七の項の事項についての調停事件をいう。) 養子、その父母及び養親
四 親権者の指定又は変更の調停事件(別表第二の八の項の事項についての調停事件をいう。) 子及びその父母
五 人事訴訟法第2条に規定する人事に関する訴え(第277条第1項において単に「人事に関する訴え」という。)を提起することができる事項についての調停事件 同法第13条第1項の規定が適用されることにより訴訟行為をすることができることとなる者
2 親権を行う者又は後見人は、第18条の規定にかかわらず、前項第1号、第3号及び第4号に掲げる調停事件(同項第1号の調停事件にあっては、財産上の給付を求めるものを除く。)においては、当該各号に定める者に代理して第268条第1項の合意、第270条第1項に規定する調停条項案の受諾及び第286条第8項の共同の申出をすることができない。離婚についての調停事件における夫及び妻の後見人並びに離縁についての調停事件における養親の後見人、養子(15歳以上のものに限る。以下この項において同じ。)に対し親権を行う者及び養子の後見人についても、同様とする。
第253条 裁判所書記官は、家事調停の手続の期日について、調書を作成しなければならない。ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。
第254条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、家事調停事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は家事調停事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。
2 前項の規定は、家事調停事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。
3 家庭裁判所は、当事者又は利害関係を疎明した第三者から前二項の規定による許可の申立てがあった場合(第6項に規定する場合を除く。)において、相当と認めるときは、これを許可することができる。
4 次に掲げる書面については、当事者は、第1項の規定にかかわらず、家庭裁判所の許可を得ずに、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。
一 審判書その他の裁判書の正本、謄本又は抄本
二 調停において成立した合意を記載し、又は調停をしないものとして、若しくは調停が成立しないものとして事件が終了した旨を記載した調書の正本、謄本又は抄本
三 家事調停事件に関する事項の証明書
5 家事調停事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、家事調停事件の記録の保存又は裁判所若しくは調停委員会の執務に支障があるときは、することができない。
6 第277条第1項に規定する事項についての調停事件において、当事者から第1項又は第2項の規定による許可の申立てがあった場合については、第47条第3項、第4項及び第8項から第10項までの規定を準用する。
第2節 家事調停の申立て等
第255条 家事調停の申立ては、申立書(次項及び次条において「家事調停の申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない。
2 家事調停の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 当事者及び法定代理人
二 申立ての趣旨及び理由
3 家事調停の申立てを不適法として却下する審判に対しては、即時抗告をすることができる。
4 第49条第3項から第6項まで及び第50条(第1項ただし書を除く。)の規定は、家事調停の申立てについて準用する。この場合において、第49条第4項中「第2項」とあるのは、「第255条第2項」と読み替えるものとする。
第256条 家事調停の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は家事調停の手続の期日を経ないで第271条の規定により家事調停事件を終了させるときを除き、家事調停の申立書の写しを相手方に送付しなければならない。ただし、家事調停の手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められるときは、家事調停の申立てがあったことを通知することをもって、家事調停の申立書の写しの送付に代えることができる。
2 第49条第4項から第6項までの規定は前項の規定による家事調停の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知をすることができない場合について、第67条第3項及び第4項の規定は前項の規定による家事調停の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納について準用する。
第257条 第244条の規定により調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない。
2 前項の事件について家事調停の申立てをすることなく訴えを提起した場合には、裁判所は、職権で、事件を家事調停に付さなければならない。ただし、裁判所が事件を調停に付することが相当でないと認めるときは、この限りでない。
3 裁判所は、前項の規定により事件を調停に付する場合においては、事件を管轄権を有する家庭裁判所に処理させなければならない。ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に処理させることができる。
第3節 家事調停の手続
第258条 第41条から第43条までの規定は家事調停の手続における参加及び排除について、第44条の規定は家事調停の手続における受継について、第51条から第55条までの規定は家事調停の手続の期日について、第56条から第62条まで及び第64条の規定は家事調停の手続における事実の調査及び証拠調べについて、第65条の規定は家事調停の手続における子の意思の把握等について、第73条、第74条、第76条(第1項ただし書を除く。)、第77条及び第79条の規定は家事調停に関する審判について、第81条の規定は家事調停に関する審判以外の裁判について準用する。
2 前項において準用する第61条第1項の規定により家事調停の手続における事実の調査の嘱託を受けた裁判所は、相当と認めるときは、裁判所書記官に当該嘱託に係る事実の調査をさせることができる。ただし、嘱託を受けた家庭裁判所が家庭裁判所調査官に当該嘱託に係る事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。
第259条 調停委員会が行う家事調停の手続は、調停委員会を組織する裁判官が指揮する。
第260条 調停委員会が家事調停を行う場合には、次に掲げる事項に関する裁判所の権限は、調停委員会が行う。
一 第22条の規定による手続代理人の許可等
二 第27条において準用する民事訴訟法第60条第1項及び第2項の規定による補佐人の許可等
三 第33条ただし書の規定による傍聴の許可
四 第35条の規定による手続の併合等
五 第255条第4項において準用する第50条第3項及び第4項の規定による申立ての変更
六 第258条第1項において準用する第41条第1項及び第2項並びに第42条第1項から第3項まで及び第5項の規定による参加、第43条第1項の規定による排除、第44条第1項及び第3項の規定による受継、第51条第1項の規定による事件の関係人の呼出し、第54条第1項の規定による音声の送受信による通話の方法による手続並びに第56条第1項、第59条第1項及び第2項(これらの規定を第60条第2項において準用する場合を含む。)、第61条第1項、第62条並びに第64条第5項の規定並びに同条第1項において準用する民事訴訟法の規定による事実の調査及び証拠調べ(過料及び勾引に関する事項を除く。)
2 調停委員会が家事調停を行う場合には、第23条第1項及び第2項の規定による手続代理人の選任等、第34条第1項の規定による期日の指定並びに第253条ただし書の規定による調書の作成に関する裁判長の権限は、当該調停委員会を組織する裁判官が行う。
第261条 調停委員会を組織する裁判官は、当該調停委員会の決議により、事実の調査及び証拠調べをすることができる。
2 前項の場合には、裁判官は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせ、又は医師である裁判所技官に事件の関係人の心身の状況について診断をさせることができる。
3 第58条第3項及び第4項の規定は、前項の規定による事実の調査及び心身の状況についての診断について準用する。
4 第1項の場合には、裁判官は、相当と認めるときは、裁判所書記官に事実の調査をさせることができる。ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。
5 調停委員会を組織する裁判官は、当該調停委員会の決議により、家庭裁判所調査官に第59条第3項の規定による措置をとらせることができる。
第262条 調停委員会は、相当と認めるときは、当該調停委員会を組織する家事調停委員に事実の調査をさせることができる。ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。
第263条 調停委員会は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所に事件の関係人から紛争の解決に関する意見を聴取することを嘱託することができる。
2 前項の規定により意見の聴取の嘱託を受けた家庭裁判所は、相当と認めるときは、家事調停委員に当該嘱託に係る意見を聴取させることができる。
第264条 調停委員会は、必要があると認めるときは、当該調停委員会を組織していない家事調停委員の専門的な知識経験に基づく意見を聴取することができる。
2 前項の規定により意見を聴取する家事調停委員は、家庭裁判所が指定する。
3 前項の規定による指定を受けた家事調停委員は、調停委員会に出席して意見を述べるものとする。
第265条 調停委員会は、事件の実情を考慮して、裁判所外の適当な場所で調停を行うことができる。
第266条 調停委員会は、家事調停事件が係属している間、調停のために必要であると認める処分を命ずることができる。
2 急迫の事情があるときは、調停委員会を組織する裁判官が前項の処分(以下「調停前の処分」という。)を命ずることができる。
3 調停前の処分は、執行力を有しない。
4 調停前の処分として必要な事項を命じられた当事者又は利害関係参加人が正当な理由なくこれに従わないときは、家庭裁判所は、10万円以下の過料に処する。
第267条 裁判官のみで家事調停の手続を行う場合においては、家庭裁判所は、相当と認めるときは、裁判所書記官に事実の調査をさせることができる。ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。
2 第263条から前条までの規定は、裁判官のみで家事調停の手続を行う場合について準用する。
第4節 調停の成立
第268条 調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は、確定判決(別表第二に掲げる事項にあっては、確定した第39条の規定による審判)と同一の効力を有する。
2 家事調停事件の一部について当事者間に合意が成立したときは、その一部について調停を成立させることができる。手続の併合を命じた数個の家事調停事件中その一について合意が成立したときも、同様とする。
3 離婚又は離縁についての調停事件においては、第258条第1項において準用する第54条第1項に規定する方法によっては、調停を成立させることができない。
4 第1項及び第2項の規定は、第277条第1項に規定する事項についての調停事件については、適用しない。
第269条 調停調書に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、家庭裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。
2 更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。
3 更正決定に対しては、即時抗告をすることができる。
4 第1項の申立てを不適法として却下した決定に対しては、即時抗告をすることができる。
第270条 当事者が遠隔の地に居住していることその他の事由により出頭することが困難であると認められる場合において、その当事者があらかじめ調停委員会(裁判官のみで家事調停の手続を行う場合にあっては、その裁判官。次条及び第272条第1項において同じ。)から提示された調停条項案を受諾する旨の書面を提出し、他の当事者が家事調停の手続の期日に出頭して当該調停条項案を受諾したときは、当事者間に合意が成立したものとみなす。
2 前項の規定は、離婚又は離縁についての調停事件については、適用しない。
第5節 調停の成立によらない事件の終了
第271条 調停委員会は、事件が性質上調停を行うのに適当でないと認めるとき、又は当事者が不当な目的でみだりに調停の申立てをしたと認めるときは、調停をしないものとして、家事調停事件を終了させることができる。
第272条 調停委員会は、当事者間に合意(第277条第1項第1号の合意を含む。)が成立する見込みがない場合又は成立した合意が相当でないと認める場合には、調停が成立しないものとして、家事調停事件を終了させることができる。ただし、家庭裁判所が第284条第1項の規定による調停に代わる審判をしたときは、この限りでない。
2 前項の規定により家事調停事件が終了したときは、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。
3 当事者が前項の規定による通知を受けた日から2週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。
4 第1項の規定により別表第二に掲げる事項についての調停事件が終了した場合には、家事調停の申立ての時に、当該事項についての家事審判の申立てがあったものとみなす。
第273条 家事調停の申立ては、家事調停事件が終了するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。
2 民事訴訟法第261条第3項及び第262条第1項の規定は、家事調停の申立ての取下げについて準用する。この場合において、同法第261条第3項ただし書中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは、「家事調停の手続の期日」と読み替えるものとする。
第6節 付調停等
第274条 第244条の規定により調停を行うことができる事件についての訴訟又は家事審判事件が係属している場合には、裁判所は、当事者(本案について被告又は相手方の陳述がされる前にあっては、原告又は申立人に限る。)の意見を聴いて、いつでも、職権で、事件を家事調停に付することができる。
2 裁判所は、前項の規定により事件を調停に付する場合においては、事件を管轄権を有する家庭裁判所に処理させなければならない。ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に処理させることができる。
3 家庭裁判所及び高等裁判所は、第1項の規定により事件を調停に付する場合には、前項の規定にかかわらず、その家事調停事件を自ら処理することができる。
4 前項の規定により家庭裁判所又は高等裁判所が調停委員会で調停を行うときは、調停委員会は、当該裁判所がその裁判官の中から指定する裁判官1人及び家事調停委員2人以上で組織する。
5 第3項の規定により高等裁判所が自ら調停を行う場合についてのこの編の規定の適用については、第244条、第247条、第248条第2項、第254条第1項から第4項まで、第264条第2項、第266条第4項、第269条第1項並びに第272条第1項ただし書及び第2項並びに次章及び第3章の規定中「家庭裁判所」とあるのは「高等裁判所」と、第244条、第258条第1項、第276条、第277条第1項第1号、第279条第3項及び第284条第1項中「審判」とあるのは「審判に代わる裁判」と、第267条第1項中「家庭裁判所は」とあるのは「高等裁判所は」と、次章の規定中「合意に相当する審判」とあるのは「合意に相当する審判に代わる裁判」と、第272条第1項ただし書及び第3章の規定(第286条第7項の規定を除く。)中「調停に代わる審判」とあるのは「調停に代わる審判に代わる裁判」と、第281条及び第287条中「却下する審判」とあるのは「却下する審判に代わる裁判」とする。
第275条 家事調停の申立てがあった事件について訴訟が係属しているとき、又は訴訟が係属している裁判所が第257条第2項若しくは前条第1項の規定により事件を調停に付したときは、訴訟が係属している裁判所は、家事調停事件が終了するまで訴訟手続を中止することができる。
2 家事調停の申立てがあった事件について家事審判事件が係属しているとき、又は家事審判事件が係属している裁判所が前条第1項の規定により事件を調停に付したときは、家事審判事件が係属している裁判所は、家事調停事件が終了するまで、家事審判の手続を中止することができる。
第276条 訴訟が係属している裁判所が第257条第2項又は第274条第1項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、又は次条第1項若しくは第284条第1項の規定による審判が確定したときは、当該訴訟について訴えの取下げがあったものとみなす。
2 家事審判事件が係属している裁判所が第274条第1項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、又は第284条第1項の審判が確定したときは、当該家事審判事件は、終了する。
第2章 合意に相当する審判
第277条 人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての家事調停の手続において、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する場合には、家庭裁判所は、必要な事実を調査した上、第1号の合意を正当と認めるときは、当該合意に相当する審判(以下「合意に相当する審判」という。)をすることができる。ただし、当該事項に係る身分関係の当事者の一方が死亡した後は、この限りでない。
一 当事者間に申立ての趣旨のとおりの審判を受けることについて合意が成立していること。
二 当事者の双方が申立てに係る無効若しくは取消しの原因又は身分関係の形成若しくは存否の原因について争わないこと。
2 前項第1号の合意は、第258条第1項において準用する第54条第1項及び第270条第1項に規定する方法によっては、成立させることができない。
3 第1項の家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、合意に相当する審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。
4 第272条第1項から第3項までの規定は、家庭裁判所が第1項第1号の規定による合意を正当と認めない場合について準用する。
第278条 家事調停の申立ての取下げは、合意に相当する審判がされた後は、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。
第279条 当事者及び利害関係人は、合意に相当する審判に対し、家庭裁判所に異議を申し立てることができる。ただし、当事者にあっては、第277条第1項各号に掲げる要件に該当しないことを理由とする場合に限る。
2 前項の規定による異議の申立ては、2週間の不変期間内にしなければならない。
3 前項の期間は、異議の申立てをすることができる者が、審判の告知を受ける者である場合にあってはその者が審判の告知を受けた日から、審判の告知を受ける者でない場合にあっては当事者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から、それぞれ進行する。
4 第1項の規定による異議の申立てをする権利は、放棄することができる。
第280条 家庭裁判所は、当事者がした前条第1項の規定による異議の申立てが不適法であるとき、又は異議の申立てに理由がないと認めるときは、これを却下しなければならない。利害関係人がした同項の規定による異議の申立てが不適法であるときも、同様とする。
2 異議の申立人は、前項の規定により異議の申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。
3 家庭裁判所は、当事者から適法な異議の申立てがあった場合において、異議の申立てを理由があると認めるときは、合意に相当する審判を取り消さなければならない。
4 利害関係人から適法な異議の申立てがあったときは、合意に相当する審判は、その効力を失う。この場合においては、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。
5 当事者が前項の規定による通知を受けた日から2週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。
第281条 第279条第1項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判が確定したときは、合意に相当する審判は、確定判決と同一の効力を有する。
第282条 婚姻の取消しについての家事調停の手続において、婚姻の取消しについての合意に相当する審判をするときは、この合意に相当する審判において、当事者間の合意に基づき、子の親権者を指定しなければならない。
2 前項の合意に相当する審判は、子の親権者の指定につき当事者間で合意が成立しないとき、又は成立した合意が相当でないと認めるときは、することができない。
第283条 夫が嫡出否認についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、当該申立てに係る子のために相続権を害される者その他夫の三親等内の血族が夫の死亡の日から1年以内に嫡出否認の訴えを提起したときは、夫がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。
第3章 調停に代わる審判
第284条 家庭裁判所は、調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で、事件の解決のため必要な審判(以下「調停に代わる審判」という。)をすることができる。ただし、第277条第1項に規定する事項についての家事調停の手続においては、この限りでない。
2 家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、調停に代わる審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。
3 家庭裁判所は、調停に代わる審判において、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。
第285条 家事調停の申立ての取下げは、第273条第1項の規定にかかわらず、調停に代わる審判がされた後は、することができない。
2 調停に代わる審判の告知は、公示送達の方法によっては、することができない。
3 調停に代わる審判を告知することができないときは、家庭裁判所は、これを取り消さなければならない。
第286条 当事者は、調停に代わる審判に対し、家庭裁判所に異議を申し立てることができる。
2 第279条第2項から第4項までの規定は、前項の規定による異議の申立てについて準用する。
3 家庭裁判所は、第1項の規定による異議の申立てが不適法であるときは、これを却下しなければならない。
4 異議の申立人は、前項の規定により異議の申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。
5 適法な異議の申立てがあったときは、調停に代わる審判は、その効力を失う。この場合においては、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。
6 当事者が前項の規定による通知を受けた日から2週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。
7 第5項の規定により別表第二に掲げる事項についての調停に代わる審判が効力を失った場合には、家事調停の申立ての時に、当該事項についての家事審判の申立てがあったものとみなす。
8 当事者が、申立てに係る家事調停(離婚又は離縁についての家事調停を除く。)の手続において、調停に代わる審判に服する旨の共同の申出をしたときは、第1項の規定は、適用しない。
9 前項の共同の申出は、書面でしなければならない。
10 当事者は、調停に代わる審判の告知前に限り、第8項の共同の申出を撤回することができる。この場合においては、相手方の同意を得ることを要しない。
第287条 前条第1項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判が確定したときは、別表第二に掲げる事項についての調停に代わる審判は確定した第39条の規定による審判と同一の効力を、その余の調停に代わる審判は確定判決と同一の効力を有する。
第4章 不服申立て等
第288条 家事調停の手続においてされた裁判に対する不服申立て及び再審については、特別の定めのある場合を除き、それぞれ前編第1章第2節及び第3節の規定を準用する。
第4編 履行の確保
第289条 義務を定める第39条の規定による審判をした家庭裁判所(第91条第1項(第96条第1項及び第98条第1項において準用する場合を含む。)の規定により抗告裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては第一審裁判所である家庭裁判所、第105条第2項の規定により高等裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては本案の家事審判事件の第一審裁判所である家庭裁判所。以下同じ。)は、権利者の申出があるときは、その審判(抗告裁判所又は高等裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては、その裁判。次条第1項において同じ。)で定められた義務の履行状況を調査し、義務者に対し、その義務の履行を勧告することができる。
2 義務を定める第39条の規定による審判をした家庭裁判所は、前項の規定による調査及び勧告を他の家庭裁判所に嘱託することができる。
3 義務を定める第39条の規定による審判をした家庭裁判所並びに前項の規定により調査及び勧告の嘱託を受けた家庭裁判所(次項から第6項までにおいてこれらの家庭裁判所を「調査及び勧告をする家庭裁判所」という。)は、家庭裁判所調査官に第1項の規定による調査及び勧告をさせることができる。
4 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第1項の規定による調査及び勧告に関し、事件の関係人の家庭環境その他の環境の調整を行うために必要があると認めるときは、家庭裁判所調査官に社会福祉機関との連絡その他の措置をとらせることができる。
5 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第1項の規定による調査及び勧告に必要な調査を官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は銀行、信託会社、関係人の使用者その他の者に対し関係人の預金、信託財産、収入その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。
6 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第1項の規定による調査及び勧告の事件の関係人から当該事件の記録の閲覧等又はその複製の請求があった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。
7 前各項の規定は、調停又は調停に代わる審判において定められた義務(高等裁判所において定められたものを含む。次条第3項において同じ。)の履行及び調停前の処分として命じられた事項の履行について準用する。
第290条 義務を定める第39条の規定による審判をした家庭裁判所は、その審判で定められた金銭の支払その他の財産上の給付を目的とする義務の履行を怠った者がある場合において、相当と認めるときは、権利者の申立てにより、義務者に対し、相当の期限を定めてその義務の履行をすべきことを命ずる審判をすることができる。この場合において、その命令は、その命令をする時までに義務者が履行を怠った義務の全部又は一部についてするものとする。
2 義務を定める第39条の規定による審判をした家庭裁判所は、前項の規定により義務の履行を命ずるには、義務者の陳述を聴かなければならない。
3 前二項の規定は、調停又は調停に代わる審判において定められた義務の履行について準用する。
4 前三項に規定するもののほか、第1項(前項において準用する場合を含む。)の規定による義務の履行を命ずる審判の手続については、第2編第1章に定めるところによる。
5 第1項(第3項において準用する場合を含む。)の規定により義務の履行を命じられた者が正当な理由なくその命令に従わないときは、家庭裁判所は、10万円以下の過料に処する。
第5編 罰則
第291条 この法律の規定による過料の裁判は、裁判官の命令で執行する。この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。
2 この法律に規定するもののほか、過料についての裁判に関しては、非訟事件手続法(平成23年法律第51号)第5編の規定(同法第119条及び第121条第1項の規定並びに同法第120条及び第122条の規定中検察官に関する部分を除く。)を準用する。
第292条 参与員、家事調停委員又はこれらの職にあった者が正当な理由なくその職務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
第293条 家事調停委員又は家事調停委員であった者が正当な理由なく評議の経過又は裁判官、家事調停官若しくは家事調停委員の意見若しくはその多少の数を漏らしたときは、30万円以下の罰金に処する。参与員又は参与員であった者が正当な理由なく裁判官又は参与員の意見を漏らしたときも、同様とする。
第1条 この法律(以下「新法」という。)は、非訟事件手続法の施行の日から施行する。
第2条 新法は、非訟事件手続法及び家事事件手続法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成23年法律第53号。次条において「整備法」という。)第4条に規定する事件以外の家事事件の手続について適用する。
第3条 整備法第3条の規定による廃止前の家事審判法(昭和22年法律第152号。以下この条及び次条第1項において「旧法」という。)の規定による義務を定める審判その他の裁判、調停若しくは調停に代わる審判又は旧法第28条第2項に規定する調停前の措置(整備法第4条の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるものを含む。以下この条において「義務を定める審判等」という。)がされた場合においては、義務を定める審判等を新法の規定による義務を定める審判その他の裁判、調停若しくは調停に代わる審判又は調停前の処分とみなして、第289条及び第290条の規定を適用する。
第4条 旧法の規定による家事調停の申立てがあった場合においては、その申立てを新法の規定による家事調停の申立てとみなして、第257条第1項、第272条第3項(第277条第4項において準用する場合を含む。)、第280条第5項、第283条及び第286条第6項の規定を適用する。
2 第29条第4項、第257条第2項、第274条第1項、第275条第1項及び第276条第1項の規定は、新法の施行前に訴えの提起があった訴訟については、適用しない。
第5条 新法の規定の適用に関しては、次に掲げる事項は、別表第二に掲げる事項とみなす。
一 民法の一部を改正する法律(昭和22年法律第222号)の附則(次号において「民法附則」という。)第24条の規定による扶養に関してされた判決の変更又は取消し
二 民法附則第32条の規定による遺産の分割に関する処分
2 第182条第3項、第185条、第186条(第5号及び第6号に係る部分に限る。)及び第187条の規定は、前項第1号に掲げる事項についての審判事件及び当該事件を本案とする保全処分について準用する。
3 第191条第1項、第194条から第197条まで、第198条第1項(第1号から第3号までに係る部分に限る。)、第199条及び第200条の規定は、第1項第2号に掲げる事項についての審判事件及び当該事件を本案とする保全処分について準用する。
第1条 この法律は、平成27年10月1日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、それぞれ当該各号に定める日から施行する。
一 次条並びに附則第3条、第28条、第159条及び第160条の規定 公布の日
第160条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
第1条 この法律は、平成26年4月1日から施行する。
第14条 旧法第20条第2項ただし書又は同項第4号の規定による保護者の順位の変更又は保護者の選任の確定した審判(この法律の施行の際、旧法第5条に規定する精神障害者(以下この条及び次条において単に「精神障害者」という。)を旧医療観察法第2条第3項に規定する対象者(次条において単に「対象者」という。)とする旧医療観察法第3条第1項に規定する処遇事件(次条において単に「処遇事件」という。)が現に係属し、又は精神障害者に対する旧医療観察法による医療が終了していない場合における当該確定した審判に限る。)は、新医療観察法第23条の2第2項ただし書又は同項第4号の規定による保護者の順位の変更又は保護者の選任の確定した審判とみなす。
第15条 旧法第20条第2項ただし書又は同項第4号の規定による保護者の順位の変更又は保護者の選任の申立て(この法律の施行の際、精神障害者を対象者とする処遇事件が現に係属し、又は精神障害者に対する旧医療観察法による医療が終了していない場合における当該申立てに限り、この法律の施行前に当該申立てに係る審判が確定したものを除く。)は、新医療観察法第23条の2第2項ただし書又は同項第4号の規定による保護者の順位の変更又は保護者の選任の申立てとみなす。
第1条 この法律は、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
この法律は、公布の日から起算して6月を経過した日から施行する。
第1条 この法律は、平成29年4月1日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第1条のうち児童福祉法の目次の改正規定、同法第1条の改正規定、同法第2条に第1項及び第2項として二項を加える改正規定、同法第1章中第6節を第7節とし、第5節を第6節とする改正規定、同章第4節を同章第5節とする改正規定、同法第10条第1項の改正規定、同法第11条第1項に一号を加える改正規定、同章第3節を同章第4節とする改正規定、同章第2節を同章第3節とする改正規定、同法第6条の3第4項の改正規定、同法第1章中第1節を第2節とし、同節の前に一節を加える改正規定、同法第23条第1項、第26条第1項第2号、第27条第1項第2号、第33条第1項及び第2項、第33条の2第1項及び第2項、第33条の2の2第1項並びに第33条の3第1項の改正規定、同法第2章第6節中第33条の9の次に一条を加える改正規定並びに同法第33条の10、第33条の14第2項及び第56条第4項の改正規定、第4条中母子及び父子並びに寡婦福祉法第3条の2第1項の改正規定、第5条中母子保健法第5条第2項の改正規定並びに第6条中児童虐待の防止等に関する法律第4条第1項及び第7項、第8条第2項、第10条第1項、第11条第1項及び第4項、第12条の2、第12条の3、第14条第1項並びに第15条の改正規定並びに附則第4条、第8条及び第17条の規定並びに附則第21条中国家戦略特別区域法(平成25年法律第107号)第12条の4第1項及び第8項の改正規定(同条第1項及び第8項中「第1章第6節」を「第1章第7節」に改める部分に限る。) 公布の日
第1条 この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
第1条 この法律は、公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
第3条 第2条の規定による改正後の家事事件手続法(以下この条において「新家事事件手続法」という。)第3条の2から第3条の10まで、第3条の11第1項から第3項まで、第3条の12、第3条の13第1項(第1号及び第2号に係る部分に限る。)及び第3項(同条第1項第2号に係る部分に限る。)、第3条の14並びに第3条の15の規定は、この法律の施行の際現に係属している家事事件の日本の裁判所の管轄権については、適用しない。
2 新家事事件手続法第3条の11第4項及び第5項の規定は、この法律の施行前にした特定の国の裁判所に同条第4項に規定する審判事件の申立てをすることができる旨の合意については、適用しない。
3 新家事事件手続法第3条の13第1項(第3号に係る部分に限る。)、第2項及び第3項(同条第1項第3号に係る部分に限る。)の規定は、この法律の施行前にした日本の裁判所に家事調停の申立てをすることができる旨の合意については、適用しない。
4 新家事事件手続法第79条の2の規定は、この法律の施行前に確定した外国裁判所の家事事件における裁判(これに準ずる公的機関の判断を含む。)については、適用しない。
第1条 この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 附則第30条及び第31条の規定 公布の日
二~四 略
五 第3条中家事事件手続法第3条の11及び第3条の14の改正規定並びに附則第11条第1項の規定 人事訴訟法等の一部を改正する法律(平成30年法律第20号)の施行の日又はこの法律の施行の日のいずれか遅い日
第11条 第3条の規定による改正後の家事事件手続法(以下「新家事事件手続法」という。)第3条の11第4項の規定は、附則第1条第5号に掲げる規定の施行の日前にした特定の国の裁判所に特別の寄与に関する処分の審判事件(新家事事件手続法別表第二の十五の項の事項についての審判事件をいう。)の申立てをすることができる旨の合意については、適用しない。
2 施行日から第3号施行日の前日までの間における新家事事件手続法第200条第3項の規定の適用については、同項中「民法第466条の5第1項に規定する預貯金債権」とあるのは、「預金口座又は貯金口座に係る預金又は貯金に係る債権」とする。
第12条 施行日が人事訴訟法等の一部を改正する法律の施行の日前となる場合には、同日の前日までの間における新家事事件手続法第216条の2及び別表第二の規定の適用については、同条中「審判事件」とあるのは「審判事件(別表第二の十五の項の事項についての審判事件をいう。)」と、同表中「第197条」とあるのは「第197条、第216条の2」とする。
第31条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
第1条 この法律は、公布の日から起算して20日を経過した日から施行する。
第1条 この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
1 この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、附則第3項の規定は、公布の日から施行する。
2 この法律の施行の際現に係属している特別養子縁組の成立の審判事件に関する養子となる者の年齢についての要件及び当該審判事件の手続については、なお従前の例による。
3 前項に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
項 |
事項 |
根拠となる法律の規定 |
成年後見 |
||
一 |
後見開始 |
民法第7条 |
二 |
後見開始の審判の取消し |
民法第10条及び同法第19条第2項において準用する同条第1項 |
三 |
成年後見人の選任 |
民法第843条第1項から第3項まで |
四 |
成年後見人の辞任についての許可 |
民法第844条 |
五 |
成年後見人の解任 |
民法第846条 |
六 |
成年後見監督人の選任 |
民法第849条 |
七 |
成年後見監督人の辞任についての許可 |
民法第852条において準用する同法第844条 |
八 |
成年後見監督人の解任 |
民法第852条において準用する同法第846条 |
九 |
成年後見に関する財産の目録の作成の期間の伸長 |
民法第853条第1項ただし書(同法第856条において準用する場合を含む。) |
十 |
成年後見人又は成年後見監督人の権限の行使についての定め及びその取消し |
民法第859条の2第1項及び第2項(これらの規定を同法第852条において準用する場合を含む。) |
十一 |
成年被後見人の居住用不動産の処分についての許可 |
民法第859条の3(同法第852条において準用する場合を含む。) |
十二 |
成年被後見人に関する特別代理人の選任 |
民法第860条において準用する同法第826条 |
十二の二 |
成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更 |
民法第860条の2第1項、第3項及び第4項 |
十三 |
成年後見人又は成年後見監督人に対する報酬の付与 |
民法第862条(同法第852条において準用する場合を含む。) |
十四 |
成年後見の事務の監督 |
民法第863条 |
十五 |
第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分 |
民法第869条において準用する同法第830条第2項から第4項まで |
十六 |
成年後見に関する管理の計算の期間の伸長 |
民法第870条ただし書 |
十六の二 |
成年被後見人の死亡後の死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為についての許可 |
民法第873条の2ただし書 |
保佐 |
||
十七 |
保佐開始 |
民法第11条 |
十八 |
保佐人の同意を得なければならない行為の定め |
民法第13条第2項 |
十九 |
保佐人の同意に代わる許可 |
民法第13条第3項 |
二十 |
保佐開始の審判の取消し |
民法第14条第1項及び第19条第1項(同条第2項において準用する場合を含む。) |
二十一 |
保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消し |
民法第14条第2項 |
二十二 |
保佐人の選任 |
民法第876条の2第1項並びに同条第2項において準用する同法第843条第2項及び第3項 |
二十三 |
保佐人の辞任についての許可 |
民法第876条の2第2項において準用する同法第844条 |
二十四 |
保佐人の解任 |
民法第876条の2第2項において準用する同法第846条 |
二十五 |
臨時保佐人の選任 |
民法第876条の2第3項 |
二十六 |
保佐監督人の選任 |
民法第876条の3第1項 |
二十七 |
保佐監督人の辞任についての許可 |
民法第876条の3第2項において準用する同法第844条 |
二十八 |
保佐監督人の解任 |
民法第876条の3第2項において準用する同法第846条 |
二十九 |
保佐人又は保佐監督人の権限の行使についての定め及びその取消し |
民法第876条の3第2項及び第876条の5第2項において準用する同法第859条の2第1項及び第2項 |
三十 |
被保佐人の居住用不動産の処分についての許可 |
民法第876条の3第2項及び第876条の5第2項において準用する同法第859条の3 |
三十一 |
保佐人又は保佐監督人に対する報酬の付与 |
民法第876条の3第2項及び第876条の5第2項において準用する同法第862条 |
三十二 |
保佐人に対する代理権の付与 |
民法第876条の4第1項 |
三十三 |
保佐人に対する代理権の付与の審判の取消し |
民法第876条の4第3項 |
三十四 |
保佐の事務の監督 |
民法第876条の5第2項において準用する同法第863条 |
三十五 |
保佐に関する管理の計算の期間の伸長 |
民法第876条の5第3項において準用する同法第870条ただし書 |
補助 |
||
三十六 |
補助開始 |
民法第15条第1項 |
三十七 |
補助人の同意を得なければならない行為の定め |
民法第17条第1項 |
三十八 |
補助人の同意に代わる許可 |
民法第17条第3項 |
三十九 |
補助開始の審判の取消し |
民法第18条第1項及び第3項並びに第19条第1項(同条第2項において準用する場合を含む。) |
四十 |
補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消し |
民法第18条第2項 |
四十一 |
補助人の選任 |
民法第876条の7第1項並びに同条第2項において準用する同法第843条第2項及び第3項 |
四十二 |
補助人の辞任についての許可 |
民法第876条の7第2項において準用する同法第844条 |
四十三 |
補助人の解任 |
民法第876条の7第2項において準用する同法第846条 |
四十四 |
臨時補助人の選任 |
民法第876条の7第3項 |
四十五 |
補助監督人の選任 |
民法第876条の8第1項 |
四十六 |
補助監督人の辞任についての許可 |
民法第876条の8第2項において準用する同法第844条 |
四十七 |
補助監督人の解任 |
民法第876条の8第2項において準用する同法第846条 |
四十八 |
補助人又は補助監督人の権限の行使についての定め及びその取消し |
民法第876条の8第2項及び第876条の10第1項において準用する同法第859条の2第1項及び第2項 |
四十九 |
被補助人の居住用不動産の処分についての許可 |
民法第876条の8第2項及び第876条の10第1項において準用する同法第859条の3 |
五十 |
補助人又は補助監督人に対する報酬の付与 |
民法第876条の8第2項及び第876条の10第1項において準用する同法第862条 |
五十一 |
補助人に対する代理権の付与 |
民法第876条の9第1項 |
五十二 |
補助人に対する代理権の付与の審判の取消し |
民法第876条の9第2項において準用する同法第876条の4第3項 |
五十三 |
補助の事務の監督 |
民法第876条の10第1項において準用する同法第863条 |
五十四 |
補助に関する管理の計算の期間の伸長 |
民法第876条の10第2項において準用する同法第870条ただし書 |
不在者の財産の管理 |
||
五十五 |
不在者の財産の管理に関する処分 |
民法第25条から第29条まで |
失踪の宣告 |
||
五十六 |
失踪の宣告 |
民法第30条 |
五十七 |
失踪の宣告の取消し |
民法第32条第1項 |
婚姻等 |
||
五十八 |
夫婦財産契約による財産の管理者の変更等 |
民法第758条第2項及び第3項 |
親子 |
||
五十九 |
嫡出否認の訴えの特別代理人の選任 |
民法第775条 |
六十 |
子の氏の変更についての許可 |
民法第791条第1項及び第3項 |
六十一 |
養子縁組をするについての許可 |
民法第794条及び第798条 |
六十二 |
死後離縁をするについての許可 |
民法第811条第6項 |
六十三 |
特別養子縁組の成立 |
民法第817条の2 |
六十四 |
特別養子縁組の離縁 |
民法第817条の10第1項 |
親権 |
||
六十五 |
子に関する特別代理人の選任 |
民法第826条 |
六十六 |
第三者が子に与えた財産の管理に関する処分 |
民法第830条第2項から第4項まで |
六十七 |
親権喪失、親権停止又は管理権喪失 |
民法第834条から第835条まで |
六十八 |
親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消し |
民法第836条 |
六十九 |
親権又は管理権を辞し、又は回復するについての許可 |
民法第837条 |
未成年後見 |
||
七十 |
養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任 |
民法第811条第5項 |
七十一 |
未成年後見人の選任 |
民法第840条第1項及び第2項 |
七十二 |
未成年後見人の辞任についての許可 |
民法第844条 |
七十三 |
未成年後見人の解任 |
民法第846条 |
七十四 |
未成年後見監督人の選任 |
民法第849条 |
七十五 |
未成年後見監督人の辞任についての許可 |
民法第852条において準用する同法第844条 |
七十六 |
未成年後見監督人の解任 |
民法第852条において準用する同法第846条 |
七十七 |
未成年後見に関する財産目録の作成の期間の伸長 |
民法第853条第1項ただし書(同法第856条及び第867条第2項において準用する場合を含む。) |
七十八 |
未成年後見人又は未成年後見監督人の権限の行使についての定め及びその取消し |
民法第857条の2第2項から第4項まで(これらの規定を同法第852条において準用する場合を含む。) |
七十九 |
未成年被後見人に関する特別代理人の選任 |
民法第860条において準用する同法第826条 |
八十 |
未成年後見人又は未成年後見監督人に対する報酬の付与 |
民法第862条(同法第852条及び第867条第2項において準用する場合を含む。) |
八十一 |
未成年後見の事務の監督 |
民法第863条(同法第867条第2項において準用する場合を含む。) |
八十二 |
第三者が未成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分 |
民法第869条において準用する同法第830条第2項から第4項まで |
八十三 |
未成年後見に関する管理の計算の期間の伸長 |
民法第870条ただし書 |
扶養 |
||
八十四 |
扶養義務の設定 |
民法第877条第2項 |
八十五 |
扶養義務の設定の取消し |
民法第877条第3項 |
推定相続人の廃除 |
||
八十六 |
推定相続人の廃除 |
民法第892条及び第893条 |
八十七 |
推定相続人の廃除の審判の取消し |
民法第894条 |
八十八 |
推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分 |
民法第895条 |
相続の承認及び放棄 |
||
八十九 |
相続の承認又は放棄をすべき期間の伸長 |
民法第915条第1項ただし書 |
九十 |
相続財産の保存又は管理に関する処分 |
民法第918条第2項及び第3項(これらの規定を同法第926条第2項(同法第936条第3項において準用する場合を含む。)及び第940条第2項において準用する場合を含む。) |
九十一 |
限定承認又は相続の放棄の取消しの申述の受理 |
民法第919条第4項 |
九十二 |
限定承認の申述の受理 |
民法第924条 |
九十三 |
限定承認の場合における鑑定人の選任 |
民法第930条第2項及び第932条ただし書 |
九十四 |
限定承認を受理した場合における相続財産の管理人の選任 |
民法第936条第1項 |
九十五 |
相続の放棄の申述の受理 |
民法第938条 |
財産分離 |
||
九十六 |
財産分離 |
民法第941条第1項及び第950条第1項 |
九十七 |
財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分 |
民法第943条(同法第950条第2項において準用する場合を含む。) |
九十八 |
財産分離の場合における鑑定人の選任 |
民法第947条第3項及び第950条第2項において準用する同法第930条第2項及び第932条ただし書 |
相続人の不存在 |
||
九十九 |
相続人の不存在の場合における相続財産の管理に関する処分 |
民法第952条、第953条及び第958条 |
百 |
相続人の不存在の場合における鑑定人の選任 |
民法第957条第2項において準用する同法第930条第2項 |
百一 |
特別縁故者に対する相続財産の分与 |
民法第958条の3第1項 |
遺言 |
||
百二 |
遺言の確認 |
民法第976条第4項及び第979条第3項 |
百三 |
遺言書の検認 |
民法第1004条第1項 |
百四 |
遺言執行者の選任 |
民法第1010条 |
百五 |
遺言執行者に対する報酬の付与 |
民法第1018条第1項 |
百六 |
遺言執行者の解任 |
民法第1019条第1項 |
百七 |
遺言執行者の辞任についての許可 |
民法第1019条第2項 |
百八 |
負担付遺贈に係る遺言の取消し |
民法第1027条 |
遺留分 |
||
百九 |
遺留分を算定するための財産の価額を定める場合における鑑定人の選任 |
民法第1043条第2項 |
百十 |
遺留分の放棄についての許可 |
民法第1049条第1項 |
任意後見契約法 |
||
百十一 |
任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任 |
任意後見契約法第4条第1項 |
百十二 |
任意後見監督人が欠けた場合における任意後見監督人の選任 |
任意後見契約法第4条第4項 |
百十三 |
任意後見監督人を更に選任する場合における任意後見監督人の選任 |
任意後見契約法第4条第5項 |
百十四 |
後見開始の審判等の取消し |
任意後見契約法第4条第2項 |
百十五 |
任意後見監督人の職務に関する処分 |
任意後見契約法第7条第3項 |
百十六 |
任意後見監督人の辞任についての許可 |
任意後見契約法第7条第4項において準用する民法第844条 |
百十七 |
任意後見監督人の解任 |
任意後見契約法第7条第4項において準用する民法第846条 |
百十八 |
任意後見監督人の権限の行使についての定め及びその取消し |
任意後見契約法第7条第4項において準用する民法第859条の2第1項及び第2項 |
百十九 |
任意後見監督人に対する報酬の付与 |
任意後見契約法第7条第4項において準用する民法第862条 |
百二十 |
任意後見人の解任 |
任意後見契約法第8条 |
百二十一 |
任意後見契約の解除についての許可 |
任意後見契約法第9条第2項 |
戸籍法 |
||
百二十二 |
氏又は名の変更についての許可 |
戸籍法第107条第1項(同条第4項において準用する場合を含む。)及び第107条の2 |
百二十三 |
就籍許可 |
戸籍法第110条第1項 |
百二十四 |
戸籍の訂正についての許可 |
戸籍法第113条及び第114条 |
百二十五 |
戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服 |
戸籍法第122条(同法第4条において準用する場合を含む。) |
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律 |
||
百二十六 |
性別の取扱いの変更 |
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(平成15年法律第111号)第3条第1項 |
児童福祉法 |
||
百二十七 |
都道府県の措置についての承認 |
児童福祉法(昭和22年法律第164号)第28条第1項第1号及び第2号ただし書 |
百二十八 |
都道府県の措置の期間の更新についての承認 |
児童福祉法第28条第2項ただし書 |
百二十八の二 |
児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認 |
児童福祉法第33条第5項 |
百二十八の三 |
児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認 |
児童福祉法第33条の6の2第1項 |
生活保護法等 |
||
百二十九 |
施設への入所等についての許可 |
生活保護法(昭和25年法律第144号)第30条第3項 |
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律 |
||
百三十 |
保護者の順位の変更及び保護者の選任 |
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第23条の2第2項ただし書及び同項第4号 |
破産法 |
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百三十一 |
破産手続が開始された場合における夫婦財産契約による財産の管理者の変更等 |
破産法(平成16年法律第75号)第61条第1項において準用する民法第758条第2項及び第3項 |
百三十二 |
親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失 |
破産法第61条第1項において準用する民法第835条 |
百三十三 |
破産手続における相続の放棄の承認についての申述の受理 |
破産法第238条第2項(同法第243条において準用する場合を含む。) |
中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律 |
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百三十四 |
遺留分の算定に係る合意についての許可 |
中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律第8条第1項 |
項 |
事項 |
根拠となる法律の規定 |
婚姻等 |
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一 |
夫婦間の協力扶助に関する処分 |
民法第752条 |
二 |
婚姻費用の分担に関する処分 |
民法第760条 |
三 |
子の監護に関する処分 |
民法第766条第2項及び第3項(これらの規定を同法第749条、第771条及び第788条において準用する場合を含む。) |
四 |
財産の分与に関する処分 |
民法第768条第2項(同法第749条及び第771条において準用する場合を含む。) |
五 |
離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定 |
民法第769条第2項(同法第749条、第751条第2項及び第771条において準用する場合を含む。) |
親子 |
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六 |
離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定 |
民法第808条第2項及び第817条において準用する同法第769条第2項 |
親権 |
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七 |
養子の離縁後に親権者となるべき者の指定 |
民法第811条第4項 |
八 |
親権者の指定又は変更 |
民法第819条第5項及び第6項(これらの規定を同法第749条において準用する場合を含む。) |
扶養 |
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九 |
扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消し |
民法第878条及び第880条 |
十 |
扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消し |
民法第879条及び第880条 |
相続 |
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十一 |
相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定 |
民法第897条第2項 |
遺産の分割 |
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十二 |
遺産の分割 |
民法第907条第2項 |
十三 |
遺産の分割の禁止 |
民法第907条第3項 |
十四 |
寄与分を定める処分 |
民法第904条の2第2項 |
特別の寄与 |
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十五 |
特別の寄与に関する処分 |
民法第1050条第2項 |
厚生年金保険法 |
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十六 |
請求すべき按分割合に関する処分 |
厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)第78条の2第2項 |
生活保護法等 |
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十七 |
扶養義務者の負担すべき費用額の確定 |
生活保護法第77条第2項(ハンセン病問題の解決の促進に関する法律(平成20年法律第82号)第21条第2項において準用する場合を含む。) |