財政構造改革の推進に関する特別措置法
第1章 総則
第1条 この法律は、国及び地方公共団体の財政収支が著しく不均衡な状況にあることにかんがみ、財政構造改革の推進に関する国の責務、財政構造改革の当面の目標及び国の財政運営の当面の方針を定めるとともに、各歳出分野における改革の基本方針、集中改革期間(平成10年度から平成12年度までの期間をいう。以下同じ。)における国の一般会計の主要な経費に係る量的縮減目標及び政府が講ずべき制度改革等並びに地方財政の健全化に必要な事項を定めることを目的とする。
第2条 財政構造改革は、人口構造の高齢化等我が国の経済社会情勢の変化、国際情勢の変化等国及び地方公共団体の財政を取り巻く環境が大きく変容している中で、国及び地方公共団体の財政が危機的状況にあることを踏まえ、将来に向けて更に効率的で信頼できる行政を確立し、安心で豊かな福祉社会及び健全で活力ある経済を実現することが緊要な課題であることにかんがみ、経済構造改革を推進しつつ、財政収支を健全化し、これに十分対応できる財政構造を実現するために行われるものとする。
第3条 国は、前条の趣旨にのっとり、財政構造改革を推進する責務を有する。
第4条 財政構造改革の当面の目標は、次のとおりとする。
一 平成17年度までに、一会計年度の国及び地方公共団体の財政赤字額(国際連合の定めた基準に準拠して内閣府が作成する国民経済計算の体系(以下「国民経済計算の体系」という。)における中央政府の貯蓄投資差額及び地方政府の貯蓄投資差額を合算した額であって、零未満のものをいう。以下同じ。)を零から差し引いた額を当該会計年度の国内総生産(国民経済計算の体系における国内総生産をいう。以下同じ。)の額で除して得られる数値(次条において「財政赤字の対国内総生産比」という。)を百分の三以下とすること。
二 平成10年度から平成16年度までの間の各年度に国の一般会計において特例公債(財政法(昭和22年法律第34号)第4条第1項ただし書の規定により発行される公債以外の公債であって、一会計年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、特別の法律に基づき発行されるものをいう。以下同じ。)を発行する場合には、著しく異常かつ激甚な非常災害の発生又は経済活動の著しい停滞(国内総生産の伸び率の低い事態が継続する等の政令で定める状況をいう。)が国民生活等に及ぼす重大な影響に対処するための施策の実施に重大な支障が生ずるときを除きその発行額の縮減を図りつつ、一般会計の歳出(同法第29条で定める補正予算(以下単に「補正予算」という。)が作成された場合における一般会計の歳出を含む。)は、平成17年度までに特例公債に係る収入以外の歳入をもってその財源とするものとし、あわせて同年度の予算における公債依存度(一般会計の歳入(補正予算が作成された場合における一般会計の歳入を含む。)の額における公債金収入の額(同法第4条第1項ただし書の規定により発行する公債に係る収入の額及び特例公債に係る収入の額を合算した額をいう。)の占める割合をいう。以下同じ。)を平成9年度の予算における公債依存度に比して引き下げること。
第5条 平成10年度から平成17年度までの間における各年度の予算及び当該各年度の地方団体(地方交付税法(昭和25年法律第211号)第2条第2号に規定する地方団体をいう。第41条において同じ。)の歳入歳出総額の見込額に関する地方財政計画(同法第7条に規定する地方団体の歳入歳出総額の見込額に関する書類をいう。第41条において同じ。)の国会への提出後、遅滞なく、総務大臣及び財務大臣は、当該各年度における財政赤字の対国内総生産比の見込みの数値を計算して、公表するものとする。
2 総務大臣及び財務大臣は、前項に規定する各年度における国民経済計算の体系における中央政府の貯蓄投資差額及び地方政府の貯蓄投資差額が公表された場合においては、遅滞なく、当該各年度における財政赤字の対国内総生産比を計算して、公表するものとする。
第6条 国は、第4条に規定する財政構造改革の当面の目標の達成に資するよう、財政運営に当たり、一般歳出の額(一般会計の歳出の額から国債費(特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第42条第1項の規定その他政令で定める規定による一般会計から国債整理基金特別会計への繰入金をいう。)の額、同法第24条の規定による一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計への繰入金の額その他政令で定める経費の額を合算した額を控除した額をいう。以下同じ。)を抑制するとともに、次に掲げる観点等を踏まえ、特別会計を含むすべての歳出分野を対象とした改革を推進することを当面の方針とする。
一 行政の各分野において国及び地方公共団体と民間が分担すべき役割を見直すこと。
二 行政の各分野において国と地方公共団体が分担すべき役割を見直すこと。
三 国及び地方公共団体の施策により国民の受ける利益の水準とそれに要する費用を支弁するための国民の負担の水準との間の衡平を図ること。
四 活力ある経済社会を創出すること。
五 財政資金を効率的に配分すること。
六 国民負担率(一会計年度において国の収入となる租税及び印紙収入の額並びに地方公共団体の収入となる租税の額を合算した額、当該会計年度における国民経済計算の体系における社会保障負担の額及び一般政府の無基金雇用者福祉帰属負担の額を合算した額並びに当該会計年度における国及び地方公共団体の財政赤字額を零から差し引いた額を合算した額を国民経済計算の体系における国民所得の額で除して得られる数値をいう。)を百分の五十を上回らないように抑制すること。
2 政府は、平成10年度の当初予算(補正予算及び財政法第30条で定める暫定予算以外の予算をいう。以下同じ。)を作成するに当たり、一般歳出の額が平成9年度の当初予算における一般歳出の額を下回るようにするものとする。
第2章 各歳出分野における改革の基本方針、集中改革期間における主要な経費の量的縮減目標及び政府が講ずべき制度改革等
第1節 社会保障
第7条 政府は、社会保障制度の構造改革を進め、将来にわたり安定的に運営することが可能な社会保障制度の構築を図るため、社会保障制度の在り方について検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずることにより、人口構造の高齢化等に伴う社会保障関係費の増加額をできる限り抑制するものとする。
2 前項に規定する社会保障関係費とは、生活保護、社会福祉、社会保険、保健衛生対策及び失業対策に関し一般会計予算に計上される経費をいう。
第8条 政府は、集中改革期間における各年度の当初予算を作成するに当たり、次条から第12条までに定める措置を講ずること等により、社会保障関係費の額を次のとおり抑制するものとする。
一 平成10年度の当初予算における社会保障関係費の額は、平成9年度の当初予算における社会保障関係費の額に3000億円を加算した額を下回ること。
二 平成11年度の当初予算における社会保障関係費の額の平成10年度の当初予算における社会保障関係費の額に対する増加額は、できる限り抑制した額とすること。
三 平成12年度の当初予算における社会保障関係費の額は、平成11年度の当初予算における社会保障関係費の額におおむね百分の百二を乗じた額を上回らないこと。
2 前項の場合において、社会保障関係費の範囲は、集中改革期間の各年度の当初予算で定める。ただし、平成9年度の当初予算における社会保障関係費の範囲は、平成10年度の当初予算で定める。
第9条 政府は、医療保険制度の安定的運営を図るため、平成12年度までのできるだけ早い時期に、健康保険法(大正11年法律第70号)、国民健康保険法(昭和33年法律第192号)その他の法律に基づく医療保険制度等について抜本的な改革を行うための検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
2 政府は、高齢者の置かれた経済状況を踏まえ、平成12年度までに、一定額以上の収入等を有する高齢者に対する老人保健法(昭和57年法律第80号)の規定に基づく医療給付等の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
第10条 政府は、厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)、国民年金法(昭和34年法律第141号)及び共済各法(国民年金法第5条第1項第2号から第4号までに掲げる法律をいう。)(以下「厚生年金保険法等」という。)に基づく年金たる給付に係る保険料等についての将来の世代における負担の抑制を図るため、集中改革期間中において最初に行われる財政再計算(厚生年金保険法第81条第4項に規定する再計算等厚生年金保険法等の規定に基づく保険料率等の再計算をいう。第3項において同じ。)に当たり、次に掲げる事項について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
一 主として高齢者が長期にわたり療養を行う医療施設その他の施設に入所している者に対する年金たる給付の在り方
二 年金の額の改定の方法
三 事業所に使用される65歳以上の者に対する年金たる給付の在り方
四 年金たる給付を受ける権利を有する者(次項において「受給権者」という。)となる年齢
五 年金たる給付の水準
六 その他将来の世代の負担の抑制を図るための措置(次項に規定する措置を除く。)
2 政府は、平成12年度までに、給付と負担の適切な関係を維持することが年金制度の円滑な運営に必要であることに配慮しつつ、高齢者の置かれた経済状況を踏まえ、一定額以上の収入等を有する受給権者に対する厚生年金保険法等による年金たる給付の額の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
3 政府は、集中改革期間中において最初に行われる財政再計算に当たり、世代間及び世代内の負担の公平の観点から、次に掲げる事項について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
一 厚生年金保険法及び国民年金法に基づく保険料率等に関し、厚生年金保険法第81条第6項及び国民年金法第87条第5項により段階的に行うこととされている保険料率等の引上げの在り方
二 厚生年金保険法等に基づく年金たる給付に係る保険料及び掛金の賦課の対象となる報酬の範囲
第11条 政府は、厚生年金保険法等に基づく年金事業その他の社会保険事業の事務の執行に要する費用について、第7条の趣旨を踏まえその在り方について検討を加えるとともに、第8条第1項に掲げる量的縮減目標及び第4条に規定する財政構造改革の当面の目標の達成に資するため、平成10年度から平成15年度までの間、厚生年金保険法及び国民年金法に基づく年金事業の事務並びに国家公務員共済組合法(昭和33年法律第128号)及び地方公務員等共済組合法(昭和37年法律第152号)に基づく短期給付及び長期給付に係る組合の事務の執行に要する費用(以下この条において「年金事業等の事務費」という。)の一部に国及び地方公共団体の負担以外の財源を充てるものとし、これにより、年金事業等の事務費に係る国及び地方公共団体の負担を抑制するものとする。
第12条 政府は、平成10年度当初予算の成立の日までのできるだけ早い時期に、雇用保険法(昭和49年法律第116号)第37条の2に規定する高年齢求職者給付金の在り方について廃止を含めて見直しを行うとともに、同法に基づく失業等給付に係る国庫負担の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
第2節 公共投資
第13条 政府は、公共事業に係る予算について、経済構造改革を早急に推進する必要性、行政の各分野における国と地方公共団体との適切な役割分担等の観点を踏まえ、重点化及び効率化を図るものとする。
第14条 政府は、平成10年度の当初予算を作成するに当たり、公共投資関係費の額が平成9年度の当初予算における公共投資関係費の額に百分の九十三を乗じた額を上回らないようにするものとする。
2 政府は、平成11年度及び平成12年度の当初予算を作成するに当たり、公共投資関係費の額が当該各年度の前年度の当初予算における公共投資関係費の額を下回るようにするものとする。
3 前二項に規定する公共投資関係費とは、国、地方公共団体等が実施する社会資本としての道路、河川その他の公共の用に供する施設を整備する事業その他の公共的な建設又は復旧の事業(国民生活の安定に寄与するための住宅の建設又は確保に関する事業を含む。)及び官公庁施設の建設等の事業(財政法第4条第1項ただし書に規定する公共事業費に該当するものに限る。)に関し一般会計予算に計上される経費をいう。
4 第8条第2項の規定は、第1項及び第2項の場合における公共投資関係費の範囲について準用する。
第15条 政府は、公共事業に関する計画(公共事業に関し事業の実施の目標及び量を定める全国に及ぶ計画であって、法律の規定に基づき策定されるもの又は政府が定めるものをいう。以下同じ。)のうちこの法律の施行の際現に存する平成8年度以前の年度を始期とするもの(住宅建設計画法(昭和41年法律第100号)第4条第1項に定める住宅建設5箇年計画及び計画の終期を平成9年度とするものを除く。)について、前条の趣旨及び第4条に規定する財政構造改革の当面の目標を踏まえ、当該各計画を、当該各計画に定める事業の量を変更することなく当該各計画における期間に比して長期の期間の計画に改定するものとし、これにより、1箇年当たり平均事業量(当該各計画に定める事業の量を当該各計画の期間の年数で除して得た量をいう。次項において同じ。)を縮減するものとする。
2 政府は、公共事業に関する計画であって平成9年度を始期とするもの(以下この項において「当該各計画」という。)について、前条の趣旨及び第4条に規定する財政構造改革の当面の目標を踏まえ、長期的視点に立って、当該各計画の期間については当該各計画と同一の公共事業の分野における平成8年度を終期とする各計画における期間に比し長期の期間とするとともに当該各計画の事業の量については前項の趣旨を参酌して策定するものとし、これにより、1箇年当たり平均事業量を抑制するものとする。
第3節 文教
第16条 政府は、文教予算(学校教育、社会教育、学術及び文化の振興及び普及を図る等のための行政事務及び事業を遂行するため、国の予算に計上される経費をいう。)について、児童又は生徒の数の減少に応じた合理化、受益者負担の徹底、国と地方公共団体との適切な役割分担等の観点から、義務教育に対する一般会計の負担及び私立学校に対する助成等の在り方について見直し、抑制するものとする。
第17条 政府は、集中改革期間における各年度の当初予算を作成するに当たり、私立学校振興助成法(昭和50年法律第61号)第4条及び第9条の規定による私立学校の経常的経費に充てるための国の補助金並びに同法第10条の規定による私立学校に対する国の補助金(私立学校の経常的経費に充てるための国の補助金に限る。)の総額が当該各年度の前年度の当初予算におけるこれらの規定による補助金の総額を上回らないようにするものとする。
第18条 第16条の趣旨を踏まえるとともに第4条に規定する財政構造改革の当面の目標の達成に資するため、附則第24条の規定による改正前の公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律及び公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律の一部を改正する法律(平成5年法律第14号)附則第2項から第5項までに規定する学級編制及び教職員定数の標準に関し、これらの規定による経過措置の終了に伴い国及び地方公共団体が講ずるものとされる財政上の措置については、平成12年度までの間に講ずるものとし、これにより、公立義務教育諸学校等の教職員の給与費等に係る国及び地方公共団体の負担を抑制するものとする。
第4節 防衛
第19条 政府は、我が国の安全保障上の観点と経済事情及び財政事情等を勘案し、防衛関係費について、節度ある防衛力の整備を行う必要があることを踏まえつつ、財政構造改革の推進の緊要性に配意して、抑制するものとする。
2 前項に規定する防衛関係費とは、自衛隊の管理及び運営並びにこれに関する事務、条約に基づく外国軍隊の駐留及び日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の規定に基づくアメリカ合衆国政府の責務の本邦における遂行に伴う事務並びに安全保障会議の事務に関するものとして一般会計予算に計上される経費をいう。
第20条 政府は、集中改革期間における各年度の当初予算を作成するに当たり、防衛関係費(日米安全保障協議委員会の下に設置された沖縄県に所在するアメリカ合衆国軍隊の施設及び区域に関連する諸問題を検討するための特別行動委員会において取りまとめられ、同協議委員会において承認された沖縄県におけるアメリカ合衆国軍隊の施設及び区域の整理、統合及び縮小並びに沖縄県におけるアメリカ合衆国軍隊の運用の方法の調整方策に係る計画及び措置を実施するため必要となる経費(第3項において「特別行動委員会関係経費」という。)を除く。以下この条において同じ。)の額が当該各年度の前年度の当初予算における防衛関係費の額を上回らないようにするものとする。
2 前項に規定する日米安全保障協議委員会とは、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に基づき、日本国政府とアメリカ合衆国政府の間の相互理解を促進することに役立つとともに安全保障の分野における両国間の協力関係の強化に貢献するような問題であって安全保障問題の基盤をなすもののうち、安全保障問題に関するものを検討するために設置された特別の委員会をいう。
3 第8条第2項の規定は、第1項の場合における防衛関係費及び特別行動委員会関係経費の範囲について準用する。
第5節 政府開発援助
第21条 政府は、政府開発援助について、その量的拡充が国際的に顕著なものとなっている一方で、我が国の財政が危機的状況にあることを踏まえ、その量的拡充から質の向上への転換を図るものとする。
2 前項に規定する政府開発援助とは、次に掲げるものをいう。
一 開発途上にある海外の地域等(以下この号において「開発途上地域等」という。)における経済及び社会の開発又は人道支援に寄与し、もって国際協力の促進に資することを目的として、政府が直接又は間接に開発途上地域等に対して行う協力のうち次に掲げるもの(次号に掲げるものを除く。)
イ 技術協力
ロ 無償の資金供与による協力
ハ 有償の資金供与による協力(資金の供与の条件が開発途上地域等にとって重い負担にならないよう金利、償還期間等について緩やかな条件が付けられているものに限る。)
ニ イからハまでに掲げるもののほか、この号の目的を達成するため必要な協力
二 前号の目的を達成するための活動に携わる国際機関等に対して行う出資並びに資金の拠出及び貸付け(同号ハの条件が付けられているものに限る。)であって、同号の目的達成に係るもの
三 前二号に掲げるものに係る調査、研究、企画、立案、実施等に直接又は間接に関連する事務
第22条 政府は、平成10年度の当初予算を作成するに当たり、政府開発援助費の額が平成9年度の当初予算における政府開発援助費の額に十分の九を乗じた額を上回らないようにするものとする。
2 政府は、平成11年度及び平成12年度の当初予算を作成するに当たり、政府開発援助費の額が当該各年度の前年度の当初予算における政府開発援助費の額を下回るようにするものとする。
3 前二項に規定する政府開発援助費とは、前条第2項に掲げるものに関し一般会計予算に計上される経費をいう。
4 第8条第2項の規定は、第1項及び第2項の場合における政府開発援助費の範囲について準用する。
第6節 農林水産
第23条 政府は、農林水産業の担い手に対して農林水産業に関する施策を集中的に行い、市場原理の一層の導入等を図ることにより、農林水産関係予算(農林水産業の改良発達及び農林漁家の福祉の増進並びに国民食糧の安定的供給を図るための行政事務及び事業を遂行するため、国の予算に計上される経費をいう。)について、重点化及び効率化を図るものとする。
第24条 政府は、集中改革期間における各年度の当初予算を作成するに当たり、主要食糧関係費の額が当該各年度の前年度の当初予算における主要食糧関係費の額を上回らないようにするものとする。
2 前項に規定する主要食糧関係費とは、主要食糧の計画的な流通を確保するための措置、政府による主要食糧の買入れ、輸入及び売渡しの措置並びに主要食糧の需給及び価格の安定を図るための措置に関し一般会計予算に計上される経費をいう。
3 第8条第2項の規定は、第1項の場合における主要食糧関係費の範囲について準用する。
第7節 科学技術
第25条 政府は、科学技術・イノベーション基本法(平成7年法律第130号)第12条第1項に規定する科学技術・イノベーション基本計画の実施に当たり、原子力、宇宙開発及び防衛に係る研究に関する経費等を極力抑制するとともに、同計画について、国及び地方公共団体の財政が危機的状況にあることを踏まえた弾力的な取扱いを行うものとする。
2 政府は、科学技術振興費について、当該経費に係る研究開発の適切な評価を行い、その結果を予算の配分へ反映させること等により重点化及び効率化を進めるとともに、集中改革期間中においては科学技術振興費以外の経費との均衡に配慮するものとする。
3 前項に規定する科学技術振興費とは、国の試験研究機関、大学、民間等において行われる研究開発に関し、主として科学技術の振興を図るために必要なものとして一般会計予算に計上される経費をいう。
第26条 政府は、平成10年度の当初予算を作成するに当たり、科学技術振興費の額が平成9年度の当初予算における科学技術振興費の額におおむね百分の百五を乗じた額を上回らないようにするものとする。
2 政府は、平成11年度及び平成12年度の当初予算を作成するに当たり、科学技術振興費の額の当該各年度の前年度の当初予算における科学技術振興費の額に対する増加額をできる限り抑制するものとする。
3 第8条第2項の規定は、前二項の場合における科学技術振興費の範囲について準用する。
第27条 政府は、集中改革期間中に、国の試験研究機関、特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人(以下「特殊法人」という。)等であって研究開発を目的とするもの及び特殊法人等に属する研究所等の統合又は廃止に関する計画を作成するものとする。
第8節 エネルギー対策
第28条 政府は、中長期的に安定的なエネルギー施策を推進する観点に立ちつつ、エネルギー対策特別会計のエネルギー需給勘定の全ての歳出を見直し、一般会計から当該勘定への繰入金の額を縮減するとともに、同特別会計の電源開発促進勘定について、全ての歳出を見直し、電源立地対策、電源利用対策及び原子力安全規制対策の一層の効率化を行うものとする。
第29条 政府は、集中改革期間における各年度の当初予算を作成するに当たり、エネルギー対策費の額が当該各年度の前年度の当初予算におけるエネルギー対策費の額を上回らないようにするものとする。
2 前項に規定するエネルギー対策費とは、エネルギーの長期的かつ安定的な供給を確保する等のため、原子力及びエネルギー技術の研究開発の促進並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策等に関し一般会計予算に計上される経費をいう。
3 第8条第2項の規定は、第1項の場合におけるエネルギー対策費の範囲について準用する。
第9節 中小企業対策
第30条 政府は、中小企業対策費について、中小企業者等の活力及び地方公共団体の役割を尊重する観点から、すべての歳出を見直すものとする。
2 前項に規定する中小企業対策費とは、中小企業の育成及び発展並びにその経営の向上を図る施策に関し一般会計予算に計上される経費をいう。
第31条 政府は、集中改革期間における各年度の当初予算を作成するに当たり、中小企業対策費の額が当該各年度の前年度の当初予算における中小企業対策費の額を上回らないようにするものとする。
2 第8条第2項の規定は、前項の場合における中小企業対策費の範囲について準用する。
第10節 人件費
第32条 政府は、集中改革期間中においては、適切な措置を講ずることにより、人件費(国家公務員以外の者に係る人件費に対する国の補助及び負担に要する費用を含む。)の総額を極力抑制するものとする。
第11節 その他の事項に係る経費
第33条 政府は、集中改革期間における各年度の当初予算を作成するに当たり、当該各年度の一般歳出のうち第7条、第14条、第17条、第20条、第22条、第24条、第25条、第29条、第30条及び前条に規定する経費以外の経費(以下この条において「その他の事項に係る経費」という。)の総額が、当該各年度の前年度の当初予算におけるその他の事項に係る経費の総額を極力上回らないよう、抑制するものとする。
第12節 補助金等の見直し
第34条 国は、経済社会情勢の変化、行政の各分野における国及び地方公共団体と民間との役割分担の在り方並びに行政の各分野における国と地方公共団体との役割分担の在り方を踏まえ、すべての分野において、国の補助金、負担金、交付金(国以外の者が実施する特定の事業等に要する費用の財源の配付を目的として国が交付する給付金をいう。)、補給金(国以外の者が事業等を実施するための経費について不足を生ずる場合にその不足を補うために国が交付する給付金をいう。)、委託費(国の事業等を国以外の者に委託する場合に国が交付する給付金をいう。)その他相当の反対給付を受けないで国が交付する給付金であって政令で定めるもの(以下「補助金等」という。)に関する見直しを行うものとする。
第35条 政府は、一般会計予算に計上される補助金等であって地方公共団体に対して交付されるもののうち、制度等見直し対象補助金等(次に掲げる事項のいずれかに該当するものをいう。次項において同じ。)については、交付の対象となる事業等に係る制度若しくは施策の見直し又は当該事業等の見直しを行うことにより、当該補助金等の削減又は合理化を図るものとする。
一 国の安全の確保及び対外関係の処理等に係る国の責務に関するもの
二 災害救助又は災害復旧に係るもの
三 法律に基づく財産の使用又は処分の制限に伴う当該財産の所有者の経済的な負担の増加を緩和させるもので、国が負担するもの
四 この法律の規定に基づき、集中改革期間中に当該補助金等の給付の根拠となる制度の改革に関する検討又は制度の見直しを行うこととしているものその他政令で定めるもの
2 政府は、集中改革期間における各年度の当初予算を作成するに当たり、その他補助金等(一般会計予算に計上される補助金等であって地方公共団体に対して交付されるもののうち、制度等見直し対象補助金等以外のものをいう。以下この条において同じ。)の額の各省各庁(財政法第21条に規定する各省各庁をいう。以下同じ。)の所管ごとの合算額が当該各年度の前年度の当初予算におけるその他補助金等の額の各省各庁の所管ごとの合算額に十分の九を乗じた額を上回らないようにするものとする。
3 第8条第2項の規定は、前項の場合におけるその他補助金等の範囲について準用する。
第36条 政府は、一般会計予算に計上される補助金等であって特殊法人その他これに準ずるものとして政令で定める法人(次条において「特殊法人等」という。)に対して交付されるものについては、交付の対象となる事業等の見直しを行うことにより、当該補助金等の削減又は合理化を図るものとする。
第37条 政府は、一般会計予算に計上される補助金等であって地方公共団体及び特殊法人等以外の者に対して交付されるもののうち、次に掲げる事項のいずれかに該当するものについては、交付の対象となる事業等に係る制度若しくは施策の見直し又は当該事業等の見直しを行うことにより、当該補助金等の削減又は合理化を図るものとする。
一 国の安全の確保及び対外関係の処理等に係る国の責務に関するもの
二 法律に基づく財産の使用又は処分の制限に伴う当該財産の所有者の経済的な負担の増加を緩和させるもので、国が負担するもの
三 この法律の規定に基づき、集中改革期間中に当該補助金等の給付の根拠となる制度の改革に関する検討又は制度の見直しを行うこととしているものその他政令で定めるもの
2 政府は、集中改革期間における各年度の当初予算を作成するに当たり、一般会計予算に計上される補助金等であって地方公共団体及び特殊法人等以外の者に対して交付されるもののうち、前項に規定するもの以外のものに該当する補助金等の額の各省各庁の所管ごとの合算額が当該各年度の前年度の当初予算における同項に規定するもの以外のものに該当する補助金等の額の各省各庁の所管ごとの合算額に十分の九を乗じた額を上回らないようにするものとする。
3 第8条第2項の規定は、前項の場合における同項の補助金等の範囲について準用する。
第38条 各省各庁の長(財政法第20条第2項に規定する各省各庁の長をいう。)は、補助金等の交付の決定に関し次に掲げる措置を講ずるものとする。
一 補助金等の交付の目的等に応じ、当該補助金等に係る交付を決定する場合におけるその決定額等の下限を定めること。
二 補助金等の交付の目的等に応じ、当該補助金等の交付の決定の概要等を公表することとし、公表に係る具体的方法等について定めるとともに、補助金等における予算の執行に係る手続の簡素化又は合理化に努めること。
第3章 地方財政の健全化
第39条 地方公共団体は、第4条第1号に掲げる財政構造改革の当面の目標の達成に資するよう、国の財政構造改革の推進に関する施策に呼応し、及び並行して、財政構造改革に努め、その財政の自主的かつ自立的な健全化を図るものとする。
第40条 政府は、地方公共団体の財政の自主的かつ自立的な健全化が円滑に推進されるよう、地方公共団体に対し、適切に行政上及び財政上の措置を講ずるものとする。
第41条 政府は、第4条第1号に掲げる財政構造改革の当面の目標の達成に資するため、地方一般歳出の額(地方財政計画に記載された地方団体の歳出総額の見込額から当該見込額のうち地方債の利子及び元金償還金の額その他政令で定める経費の額を合算した額を控除した額をいう。次項において同じ。)が抑制されたものとなるよう、必要な措置を講ずるものとする。
2 政府は、平成10年度の地方団体の歳入歳出総額の見込額に関する地方財政計画における地方一般歳出の額が、平成9年度の地方団体の歳入歳出総額の見込額に関する地方財政計画における地方一般歳出の額を下回るよう、必要な措置を講ずるものとする。
第1条 この法律は、公布の日から施行する。
第2条 政府は、この法律の施行後必要に応じ、財政構造改革の実施状況等を勘案し、国及び地方公共団体の財政の在り方について検討を加え、第4条に規定する財政構造改革の当面の目標の達成のため必要があると認めるときは、更なる歳出の改革と縮減のための措置を講ずるものとする。
この法律は、公布の日から施行する。
第1条 この法律(第2条及び第3条を除く。)は、平成13年1月6日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第995条(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律附則の改正規定に係る部分に限る。)、第1305条、第1306条、第1324条第2項、第1326条第2項及び第1344条の規定 公布の日
第1条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第2条、第8条及び第10条(石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律附則第24条及び第25条の改正規定に限る。)並びに附則第2条から第7条まで、第10条、第12条、第14条、第15条、第17条から第21条まで及び第29条の規定は平成14年3月31日から、第4条、第6条、第9条及び第10条(石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律第28条及び附則第23条の改正規定に限る。)並びに附則第8条、第9条、第13条、第16条及び第22条から第27条までの規定は同年4月1日から施行する。
第1条 この法律は、平成14年4月1日から施行する。
第1条 この法律は、平成15年10月1日から施行する。
第1条 この法律は、平成16年4月1日から施行する。
第8条 附則第2条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
第1条 この法律は、平成19年4月1日から施行し、平成19年度の予算から適用する。
第392条 附則第2条から第65条まで、第67条から第259条まで及び第382条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要となる経過措置は、政令で定める。
第1条 この法律は、公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第7条第1項(両議院の同意を得ることに係る部分に限る。)並びに附則第2条第3項(両議院の同意を得ることに係る部分に限る。)、第5条、第6条、第14条第1項、第34条及び第87条の規定 公布の日
第87条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
第1条 この法律は、令和3年4月1日から施行する。