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刑事訴訟法

昭和23年法律第131号
最終改正:平成29年6月23日法律第72号
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    第1編 総則

    第1条 この法律は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする。

    第1章 裁判所の管轄

    第2条 裁判所の土地管轄は、犯罪地又は被告人の住所、居所若しくは現在地による。

     国外に在る日本船舶内で犯した罪については、前項に規定する地の外、その船舶の船籍の所在地又は犯罪後その船舶の寄泊した地による。

     国外に在る日本航空機内で犯した罪については、第1項に規定する地の外、犯罪後その航空機の着陸(着水を含む。)した地による。


    第3条 事物管轄を異にする数個の事件が関連するときは、上級の裁判所は、併せてこれを管轄することができる。

     高等裁判所の特別権限に属する事件と他の事件とが関連するときは、高等裁判所は、併せてこれを管轄することができる。


    第4条 事物管轄を異にする数個の関連事件が上級の裁判所に係属する場合において、併せて審判することを必要としないものがあるときは、上級の裁判所は、決定で管轄権を有する下級の裁判所にこれを移送することができる。


    第5条 数個の関連事件が各別に上級の裁判所及び下級の裁判所に係属するときは、事物管轄にかかわらず、上級の裁判所は、決定で下級の裁判所の管轄に属する事件を併せて審判することができる。

     高等裁判所の特別権限に属する事件が高等裁判所に係属し、これと関連する事件が下級の裁判所に係属するときは、高等裁判所は、決定で下級の裁判所の管轄に属する事件を併せて審判することができる。


    第6条 土地管轄を異にする数個の事件が関連するときは、一個の事件につき管轄権を有する裁判所は、併せて他の事件を管轄することができる。但し、他の法律の規定により特定の裁判所の管轄に属する事件は、これを管轄することができない。


    第7条 土地管轄を異にする数個の関連事件が同一裁判所に係属する場合において、併せて審判することを必要としないものがあるときは、その裁判所は、決定で管轄権を有する他の裁判所にこれを移送することができる。


    第8条 数個の関連事件が各別に事物管轄を同じくする数個の裁判所に係属するときは、各裁判所は、検察官又は被告人の請求により、決定でこれを一の裁判所に併合することができる。

     前項の場合において各裁判所の決定が一致しないときは、各裁判所に共通する直近上級の裁判所は、検察官又は被告人の請求により、決定で事件を一の裁判所に併合することができる。


    第9条 数個の事件は、左の場合に関連するものとする。

     1人が数罪を犯したとき。

     数人が共に同一又は別個の罪を犯したとき。

     数人が通謀して各別に罪を犯したとき。

     犯人蔵匿の罪、証憑湮滅の罪、偽証の罪、虚偽の鑑定通訳の罪及び贓物に関する罪とその本犯の罪とは、共に犯したものとみなす。


    第10条 同一事件が事物管轄を異にする数個の裁判所に係属するときは、上級の裁判所が、これを審判する。

     上級の裁判所は、検察官又は被告人の請求により、決定で管轄権を有する下級の裁判所にその事件を審判させることができる。


    第11条 同一事件が事物管轄を同じくする数個の裁判所に係属するときは、最初に公訴を受けた裁判所が、これを審判する。

     各裁判所に共通する直近上級の裁判所は、検察官又は被告人の請求により、決定で後に公訴を受けた裁判所にその事件を審判させることができる。


    第12条 裁判所は、事実発見のため必要があるときは、管轄区域外で職務を行うことができる。

     前項の規定は、受命裁判官にこれを準用する。


    第13条 訴訟手続は、管轄違の理由によつては、その効力を失わない。


    第14条 裁判所は、管轄権を有しないときでも、急速を要する場合には、事実発見のため必要な処分をすることができる。

     前項の規定は、受命裁判官にこれを準用する。


    第15条 検察官は、左の場合には、関係のある第一審裁判所に共通する直近上級の裁判所に管轄指定の請求をしなければならない。

     裁判所の管轄区域が明らかでないため管轄裁判所が定まらないとき。

     管轄違を言い渡した裁判が確定した事件について他に管轄裁判所がないとき。


    第16条 法律による管轄裁判所がないとき、又はこれを知ることができないときは、検事総長は、最高裁判所に管轄指定の請求をしなければならない。


    第17条 検察官は、左の場合には、直近上級の裁判所に管轄移転の請求をしなければならない。

     管轄裁判所が法律上の理由又は特別の事情により裁判権を行うことができないとき。

     地方の民心、訴訟の状況その他の事情により裁判の公平を維持することができない虞があるとき。

     前項各号の場合には、被告人も管轄移転の請求をすることができる。


    第18条 犯罪の性質、地方の民心その他の事情により管轄裁判所が審判をするときは公安を害する虞があると認める場合には、検事総長は、最高裁判所に管轄移転の請求をしなければならない。


    第19条 裁判所は、適当と認めるときは、検察官若しくは被告人の請求により又は職権で、決定を以て、その管轄に属する事件を事物管轄を同じくする他の管轄裁判所に移送することができる。

     移送の決定は、被告事件につき証拠調を開始した後は、これをすることができない。

     移送の決定又は移送の請求を却下する決定に対しては、その決定により著しく利益を害される場合に限り、その事由を疎明して、即時抗告をすることができる。

    第2章 裁判所職員の除斥及び忌避

    第20条 裁判官は、次に掲げる場合には、職務の執行から除斥される。

     裁判官が被害者であるとき。

     裁判官が被告人又は被害者の親族であるとき、又はあつたとき。

     裁判官が被告人又は被害者の法定代理人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。

     裁判官が事件について証人又は鑑定人となつたとき。

     裁判官が事件について被告人の代理人、弁護人又は補佐人となつたとき。

     裁判官が事件について検察官又は司法警察員の職務を行つたとき。

     裁判官が事件について第266条第2号の決定、略式命令、前審の裁判、第398条乃至第400条、第412条若しくは第413条の規定により差し戻し、若しくは移送された場合における原判決又はこれらの裁判の基礎となつた取調べに関与したとき。ただし、受託裁判官として関与した場合は、この限りでない。


    第21条 裁判官が職務の執行から除斥されるべきとき、又は不公平な裁判をする虞があるときは、検察官又は被告人は、これを忌避することができる。

     弁護人は、被告人のため忌避の申立をすることができる。但し、被告人の明示した意思に反することはできない。


    第22条 事件について請求又は陳述をした後には、不公平な裁判をする虞があることを理由として裁判官を忌避することはできない。但し、忌避の原因があることを知らなかつたとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。


    第23条 合議体の構成員である裁判官が忌避されたときは、その裁判官所属の裁判所が、決定をしなければならない。この場合において、その裁判所が地方裁判所であるときは、合議体で決定をしなければならない。

     地方裁判所の1人の裁判官又は家庭裁判所の裁判官が忌避されたときはその裁判官所属の裁判所が、簡易裁判所の裁判官が忌避されたときは管轄地方裁判所が、合議体で決定をしなければならない。ただし、忌避された裁判官が忌避の申立てを理由があるものとするときは、その決定があつたものとみなす。

     忌避された裁判官は、前二項の決定に関与することができない。

     裁判所が忌避された裁判官の退去により決定をすることができないときは、直近上級の裁判所が、決定をしなければならない。


    第24条 訴訟を遅延させる目的のみでされたことの明らかな忌避の申立は、決定でこれを却下しなければならない。この場合には、前条第3項の規定を適用しない。第22条の規定に違反し、又は裁判所の規則で定める手続に違反してされた忌避の申立を却下する場合も、同様である。

     前項の場合には、忌避された受命裁判官、地方裁判所の1人の裁判官又は家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官は、忌避の申立てを却下する裁判をすることができる。


    第25条 忌避の申立を却下する決定に対しては、即時抗告をすることができる。


    第26条 この章の規定は、第20条第7号の規定を除いて、裁判所書記にこれを準用する。

     決定は、裁判所書記所属の裁判所がこれをしなければならない。但し、第24条第1項の場合には、裁判所書記の附属する受命裁判官が、忌避の申立を却下する裁判をすることができる。

    第3章 訴訟能力

    第27条 被告人又は被疑者が法人であるときは、その代表者が、訴訟行為についてこれを代表する。

     数人が共同して法人を代表する場合にも、訴訟行為については、各自が、これを代表する。


    第28条 刑法(明治40年法律第45号)第39条又は第41条の規定を適用しない罪に当たる事件について、被告人又は被疑者が意思能力を有しないときは、その法定代理人(2人以上あるときは、各自。以下同じ。)が、訴訟行為についてこれを代理する。


    第29条 前二条の規定により被告人を代表し、又は代理する者がないときは、検察官の請求により又は職権で、特別代理人を選任しなければならない。

     前二条の規定により被疑者を代表し、又は代理する者がない場合において、検察官、司法警察員又は利害関係人の請求があつたときも、前項と同様である。

     特別代理人は、被告人又は被疑者を代表し又は代理して訴訟行為をする者ができるまで、その任務を行う。

    第4章 弁護及び補佐

    第30条 被告人又は被疑者は、何時でも弁護人を選任することができる。

     被告人又は被疑者の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹は、独立して弁護人を選任することができる。


    第31条 弁護人は、弁護士の中からこれを選任しなければならない。

     簡易裁判所又は地方裁判所においては、裁判所の許可を得たときは、弁護士でない者を弁護人に選任することができる。ただし、地方裁判所においては、他に弁護士の中から選任された弁護人がある場合に限る。


    第31条の2 弁護人を選任しようとする被告人又は被疑者は、弁護士会に対し、弁護人の選任の申出をすることができる。

     弁護士会は、前項の申出を受けた場合は、速やかに、所属する弁護士の中から弁護人となろうとする者を紹介しなければならない。

     弁護士会は、前項の弁護人となろうとする者がないときは、当該申出をした者に対し、速やかに、その旨を通知しなければならない。同項の規定により紹介した弁護士が被告人又は被疑者がした弁護人の選任の申込みを拒んだときも、同様とする。


    第32条 公訴の提起前にした弁護人の選任は、第一審においてもその効力を有する。

     公訴の提起後における弁護人の選任は、審級ごとにこれをしなければならない。


    第33条 被告人に数人の弁護人があるときは、裁判所の規則で、主任弁護人を定めなければならない。


    第34条 前条の規定による主任弁護人の権限については、裁判所の規則の定めるところによる。


    第35条 裁判所は、裁判所の規則の定めるところにより、被告人又は被疑者の弁護人の数を制限することができる。但し、被告人の弁護人については、特別の事情のあるときに限る。


    第36条 被告人が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判所は、その請求により、被告人のため弁護人を附しなければならない。但し、被告人以外の者が選任した弁護人がある場合は、この限りでない。


    第36条の2 この法律により弁護人を要する場合を除いて、被告人が前条の請求をするには、資力申告書(その者に属する現金、預金その他政令で定めるこれらに準ずる資産の合計額(以下「資力」という。)及びその内訳を申告する書面をいう。以下同じ。)を提出しなければならない。


    第36条の3 この法律により弁護人を要する場合を除いて、その資力が基準額(標準的な必要生計費を勘案して一般に弁護人の報酬及び費用を賄うに足りる額として政令で定める額をいう。以下同じ。)以上である被告人が第36条の請求をするには、あらかじめ、その請求をする裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内に在る弁護士会に第31条の2第1項の申出をしていなければならない。

     前項の規定により第31条の2第1項の申出を受けた弁護士会は、同条第3項の規定による通知をしたときは、前項の地方裁判所又は当該被告事件が係属する裁判所に対し、その旨を通知しなければならない。


    第37条 左の場合に被告人に弁護人がないときは、裁判所は、職権で弁護人を附することができる。

     被告人が未成年者であるとき。

     被告人が年齢70年以上の者であるとき。

     被告人が耳の聞えない者又は口のきけない者であるとき。

     被告人が心神喪失者又は心神耗弱者である疑があるとき。

     その他必要と認めるとき。


    第37条の2 被疑者に対して勾留状が発せられている場合において、被疑者が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判官は、その請求により、被疑者のため弁護人を付さなければならない。ただし、被疑者以外の者が選任した弁護人がある場合又は被疑者が釈放された場合は、この限りでない。

     前項の請求は、勾留を請求された被疑者も、これをすることができる。


    第37条の3 前条第1項の請求をするには、資力申告書を提出しなければならない。

     その資力が基準額以上である被疑者が前条第1項の請求をするには、あらかじめ、その勾留の請求を受けた裁判官の所属する裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内に在る弁護士会に第31条の2第1項の申出をしていなければならない。

     前項の規定により第31条の2第1項の申出を受けた弁護士会は、同条第3項の規定による通知をしたときは、前項の地方裁判所に対し、その旨を通知しなければならない。


    第37条の4 裁判官は、被疑者に対して勾留状が発せられ、かつ、これに弁護人がない場合において、精神上の障害その他の事由により弁護人を必要とするかどうかを判断することが困難である疑いがある被疑者について必要があると認めるときは、職権で弁護人を付することができる。ただし、被疑者が釈放された場合は、この限りでない。


    第37条の5 裁判官は、死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる事件について第37条の2第1項又は前条の規定により弁護人を付する場合又は付した場合において、特に必要があると認めるときは、職権で更に弁護人1人を付することができる。ただし、被疑者が釈放された場合は、この限りでない。


    第38条 この法律の規定に基づいて裁判所若しくは裁判長又は裁判官が付すべき弁護人は、弁護士の中からこれを選任しなければならない。

     前項の規定により選任された弁護人は、旅費、日当、宿泊料及び報酬を請求することができる。


    第38条の2 裁判官による弁護人の選任は、被疑者がその選任に係る事件について釈放されたときは、その効力を失う。ただし、その釈放が勾留の執行停止によるときは、この限りでない。


    第38条の3 裁判所は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、裁判所若しくは裁判長又は裁判官が付した弁護人を解任することができる。

     第30条の規定により弁護人が選任されたことその他の事由により弁護人を付する必要がなくなつたとき。

     被告人と弁護人との利益が相反する状況にあり弁護人にその職務を継続させることが相当でないとき。

     心身の故障その他の事由により、弁護人が職務を行うことができず、又は職務を行うことが困難となつたとき。

     弁護人がその任務に著しく反したことによりその職務を継続させることが相当でないとき。

     弁護人に対する暴行、脅迫その他の被告人の責めに帰すべき事由により弁護人にその職務を継続させることが相当でないとき。

     弁護人を解任するには、あらかじめ、その意見を聴かなければならない。

     弁護人を解任するに当たつては、被告人の権利を不当に制限することがないようにしなければならない。

     公訴の提起前は、裁判官が付した弁護人の解任は、裁判官がこれを行う。この場合においては、前三項の規定を準用する。


    第38条の4 裁判所又は裁判官の判断を誤らせる目的で、その資力について虚偽の記載のある資力申告書を提出した者は、10万円以下の過料に処する。


    第39条 身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあつては、第31条第2項の許可があつた後に限る。)と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。

     前項の接見又は授受については、法令(裁判所の規則を含む。以下同じ。)で、被告人又は被疑者の逃亡、罪証の隠滅又は戒護に支障のある物の授受を防ぐため必要な措置を規定することができる。

     検察官、検察事務官又は司法警察職員(司法警察員及び司法巡査をいう。以下同じ。)は、捜査のため必要があるときは、公訴の提起前に限り、第1項の接見又は授受に関し、その日時、場所及び時間を指定することができる。但し、その指定は、被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなものであつてはならない。


    第40条 弁護人は、公訴の提起後は、裁判所において、訴訟に関する書類及び証拠物を閲覧し、且つ謄写することができる。但し、証拠物を謄写するについては、裁判長の許可を受けなければならない。

     前項の規定にかかわらず、第157条の6第4項に規定する記録媒体は、謄写することができない。


    第41条 弁護人は、この法律に特別の定のある場合に限り、独立して訴訟行為をすることができる。


    第42条 被告人の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹は、何時でも補佐人となることができる。

     補佐人となるには、審級ごとにその旨を届け出なければならない。

     補佐人は、被告人の明示した意思に反しない限り、被告人がすることのできる訴訟行為をすることができる。但し、この法律に特別の定のある場合は、この限りでない。

    第5章 裁判

    第43条 判決は、この法律に特別の定のある場合を除いては、口頭弁論に基いてこれをしなければならない。

     決定又は命令は、口頭弁論に基いてこれをすることを要しない。

     決定又は命令をするについて必要がある場合には、事実の取調をすることができる。

     前項の取調は、合議体の構成員にこれをさせ、又は地方裁判所、家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官にこれを嘱託することができる。


    第44条 裁判には、理由を附しなければならない。

     上訴を許さない決定又は命令には、理由を附することを要しない。但し、第428条第2項の規定により異議の申立をすることができる決定については、この限りでない。


    第45条 判決以外の裁判は、判事補が1人でこれをすることができる。


    第46条 被告人その他訴訟関係人は、自己の費用で、裁判書又は裁判を記載した調書の謄本又は抄本の交付を請求することができる。

    第6章 書類及び送達

    第47条 訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。但し、公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる場合は、この限りでない。


    第48条 公判期日における訴訟手続については、公判調書を作成しなければならない。

     公判調書には、裁判所の規則の定めるところにより、公判期日における審判に関する重要な事項を記載しなければならない。

     公判調書は、各公判期日後速かに、遅くとも判決を宣告するまでにこれを整理しなければならない。ただし、判決を宣告する公判期日の調書は当該公判期日後7日以内に、公判期日から判決を宣告する日までの期間が10日に満たない場合における当該公判期日の調書は当該公判期日後10日以内(判決を宣告する日までの期間が3日に満たないときは、当該判決を宣告する公判期日後7日以内)に、整理すれば足りる。


    第49条 被告人に弁護人がないときは、公判調書は、裁判所の規則の定めるところにより、被告人も、これを閲覧することができる。被告人は、読むことができないとき、又は目の見えないときは、公判調書の朗読を求めることができる。


    第50条 公判調書が次回の公判期日までに整理されなかつたときは、裁判所書記は、検察官、被告人又は弁護人の請求により、次回の公判期日において又はその期日までに、前回の公判期日における証人の供述の要旨を告げなければならない。この場合において、請求をした検察官、被告人又は弁護人が証人の供述の要旨の正確性につき異議を申し立てたときは、その旨を調書に記載しなければならない。

     被告人及び弁護人の出頭なくして開廷した公判期日の公判調書が、次回の公判期日までに整理されなかつたときは、裁判所書記は、次回の公判期日において又はその期日までに、出頭した被告人又は弁護人に前回の公判期日における審理に関する重要な事項を告げなければならない。


    第51条 検察官、被告人又は弁護人は、公判調書の記載の正確性につき異議を申し立てることができる。異議の申立があつたときは、その旨を調書に記載しなければならない。

     前項の異議の申立ては、遅くとも当該審級における最終の公判期日後14日以内にこれをしなければならない。ただし、第48条第3項ただし書の規定により判決を宣告する公判期日後に整理された調書については、整理ができた日から14日以内にこれをすることができる。


    第52条 公判期日における訴訟手続で公判調書に記載されたものは、公判調書のみによつてこれを証明することができる。


    第53条 何人も、被告事件の終結後、訴訟記録を閲覧することができる。但し、訴訟記録の保存又は裁判所若しくは検察庁の事務に支障のあるときは、この限りでない。

     弁論の公開を禁止した事件の訴訟記録又は一般の閲覧に適しないものとしてその閲覧が禁止された訴訟記録は、前項の規定にかかわらず、訴訟関係人又は閲覧につき正当な理由があつて特に訴訟記録の保管者の許可を受けた者でなければ、これを閲覧することができない。

     日本国憲法第82条第2項但書に掲げる事件については、閲覧を禁止することはできない。

     訴訟記録の保管及びその閲覧の手数料については、別に法律でこれを定める。


    第53条の2 訴訟に関する書類及び押収物については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)及び独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成13年法律第140号)の規定は、適用しない。

     訴訟に関する書類及び押収物に記録されている個人情報については、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第58号)第4章及び独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第59号)第4章の規定は、適用しない。

     訴訟に関する書類については、公文書等の管理に関する法律(平成21年法律第66号)第2章の規定は、適用しない。この場合において、訴訟に関する書類についての同法第4章の規定の適用については、同法第14条第1項中「国の機関(行政機関を除く。以下この条において同じ。)」とあり、及び同法第16条第1項第3号中「国の機関(行政機関を除く。)」とあるのは、「国の機関」とする。

     押収物については、公文書等の管理に関する法律の規定は、適用しない。


    第54条 書類の送達については、裁判所の規則に特別の定のある場合を除いては、民事訴訟に関する法令の規定(公示送達に関する規定を除く。)を準用する。

    第7章 期間

    第55条 期間の計算については、時で計算するものは、即時からこれを起算し、日、月又は年で計算するものは、初日を算入しない。但し、時効期間の初日は、時間を論じないで1日としてこれを計算する。

     月及び年は、暦に従つてこれを計算する。

     期間の末日が日曜日、土曜日、国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日、1月2日、1月3日又は12月29日から12月31日までの日に当たるときは、これを期間に算入しない。ただし、時効期間については、この限りでない。


    第56条 法定の期間は、裁判所の規則の定めるところにより、訴訟行為をすべき者の住居又は事務所の所在地と裁判所又は検察庁の所在地との距離及び交通通信の便否に従い、これを延長することができる。

     前項の規定は、宣告した裁判に対する上訴の提起期間には、これを適用しない。

    第8章 被告人の召喚、勾引及び勾留

    第57条 裁判所は、裁判所の規則で定める相当の猶予期間を置いて、被告人を召喚することができる。


    第58条 裁判所は、次の場合には、被告人を勾引することができる。

     被告人が定まつた住居を有しないとき。

     被告人が、正当な理由がなく、召喚に応じないとき、又は応じないおそれがあるとき。


    第59条 勾引した被告人は、裁判所に引致した時から24時間以内にこれを釈放しなければならない。但し、その時間内に勾留状が発せられたときは、この限りでない。


    第60条 裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。

     被告人が定まつた住居を有しないとき。

     被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

     被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

     勾留の期間は、公訴の提起があつた日から2箇月とする。特に継続の必要がある場合においては、具体的にその理由を附した決定で、1箇月ごとにこれを更新することができる。但し、第89条第1号、第3号、第4号又は第6号にあたる場合を除いては、更新は、一回に限るものとする。

     30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律(大正15年法律第60号)及び経済関係罰則の整備に関する法律(昭和19年法律第4号)の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる事件については、被告人が定まつた住居を有しない場合に限り、第1項の規定を適用する。


    第61条 被告人の勾留は、被告人に対し被告事件を告げこれに関する陳述を聴いた後でなければ、これをすることができない。但し、被告人が逃亡した場合は、この限りでない。


    第62条 被告人の召喚、勾引又は勾留は、召喚状、勾引状又は勾留状を発してこれをしなければならない。


    第63条 召喚状には、被告人の氏名及び住居、罪名、出頭すべき年月日時及び場所並びに正当な理由がなく出頭しないときは勾引状を発することがある旨その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判長又は受命裁判官が、これに記名押印しなければならない。


    第64条 勾引状又は勾留状には、被告人の氏名及び住居、罪名、公訴事実の要旨、引致すべき場所又は勾留すべき刑事施設、有効期間及びその期間経過後は執行に着手することができず令状はこれを返還しなければならない旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判長又は受命裁判官が、これに記名押印しなければならない。

     被告人の氏名が明らかでないときは、人相、体格その他被告人を特定するに足りる事項で被告人を指示することができる。

     被告人の住居が明らかでないときは、これを記載することを要しない。


    第65条 召喚状は、これを送達する。

     被告人から期日に出頭する旨を記載した書面を差し出し、又は出頭した被告人に対し口頭で次回の出頭を命じたときは、召喚状を送達した場合と同一の効力を有する。口頭で出頭を命じた場合には、その旨を調書に記載しなければならない。

     裁判所に近接する刑事施設にいる被告人に対しては、刑事施設職員(刑事施設の長又はその指名する刑事施設の職員をいう。以下同じ。)に通知してこれを召喚することができる。この場合には、被告人が刑事施設職員から通知を受けた時に召喚状の送達があつたものとみなす。


    第66条 裁判所は、被告人の現在地の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に被告人の勾引を嘱託することができる。

     受託裁判官は、受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に転嘱することができる。

     受託裁判官は、受託事項について権限を有しないときは、受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に嘱託を移送することができる。

     嘱託又は移送を受けた裁判官は、勾引状を発しなければならない。

     第64条の規定は、前項の勾引状についてこれを準用する。この場合においては、勾引状に嘱託によつてこれを発する旨を記載しなければならない。


    第67条 前条の場合には、嘱託によつて勾引状を発した裁判官は、被告人を引致した時から24時間以内にその人違でないかどうかを取り調べなければならない。

     被告人が人違でないときは、速やかに且つ直接これを指定された裁判所に送致しなければならない。この場合には、嘱託によつて勾引状を発した裁判官は、被告人が指定された裁判所に到着すべき期間を定めなければならない。

     前項の場合には、第59条の期間は、被告人が指定された裁判所に到着した時からこれを起算する。


    第68条 裁判所は、必要があるときは、指定の場所に被告人の出頭又は同行を命ずることができる。被告人が正当な理由がなくこれに応じないときは、その場所に勾引することができる。この場合には、第59条の期間は、被告人をその場所に引致した時からこれを起算する。


    第69条 裁判長は、急速を要する場合には、第57条乃至第62条、第65条、第66条及び前条に規定する処分をし、又は合議体の構成員にこれをさせることができる。


    第70条 勾引状又は勾留状は、検察官の指揮によつて、検察事務官又は司法警察職員がこれを執行する。但し、急速を要する場合には、裁判長、受命裁判官又は地方裁判所、家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官は、その執行を指揮することができる。

     刑事施設にいる被告人に対して発せられた勾留状は、検察官の指揮によつて、刑事施設職員がこれを執行する。


    第71条 検察事務官又は司法警察職員は、必要があるときは、管轄区域外で、勾引状若しくは勾留状を執行し、又はその地の検察事務官若しくは司法警察職員にその執行を求めることができる。


    第72条 被告人の現在地が判らないときは、裁判長は、検事長にその捜査及び勾引状又は勾留状の執行を嘱託することができる。

     嘱託を受けた検事長は、その管内の検察官に捜査及び勾引状又は勾留状の執行の手続をさせなければならない。


    第73条 勾引状を執行するには、これを被告人に示した上、できる限り速やかに且つ直接、指定された裁判所その他の場所に引致しなければならない。第66条第4項の勾引状については、これを発した裁判官に引致しなければならない。

     勾留状を執行するには、これを被告人に示した上、できる限り速やかに、かつ、直接、指定された刑事施設に引致しなければならない。

     勾引状又は勾留状を所持しないためこれを示すことができない場合において、急速を要するときは、前二項の規定にかかわらず、被告人に対し公訴事実の要旨及び令状が発せられている旨を告げて、その執行をすることができる。但し、令状は、できる限り速やかにこれを示さなければならない。


    第74条 勾引状又は勾留状の執行を受けた被告人を護送する場合において必要があるときは、仮に最寄りの刑事施設にこれを留置することができる。


    第75条 勾引状の執行を受けた被告人を引致した場合において必要があるときは、これを刑事施設に留置することができる。


    第76条 被告人を勾引したときは、直ちに被告人に対し、公訴事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨並びに貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨を告げなければならない。ただし、被告人に弁護人があるときは、公訴事実の要旨を告げれば足りる。

     前項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たつては、弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示しなければならない。

     第1項の告知及び前項の教示は、合議体の構成員又は裁判所書記官にこれをさせることができる。

     第66条第4項の規定により勾引状を発した場合には、第1項の告知及び第2項の教示は、その勾引状を発した裁判官がこれをしなければならない。ただし、裁判所書記官にその告知及び教示をさせることができる。


    第77条 被告人を勾留するには、被告人に対し、弁護人を選任することができる旨及び貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨を告げなければならない。ただし、被告人に弁護人があるときは、この限りでない。

     前項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たつては、勾留された被告人は弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示しなければならない。

     第61条ただし書の場合には、被告人を勾留した後直ちに、第1項に規定する事項及び公訴事実の要旨を告げるとともに、前項に規定する事項を教示しなければならない。ただし、被告人に弁護人があるときは、公訴事実の要旨を告げれば足りる。

     前条第3項の規定は、第1項の告知、第2項の教示並びに前項の告知及び教示についてこれを準用する。


    第78条 勾引又は勾留された被告人は、裁判所又は刑事施設の長若しくはその代理者に弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる。ただし、被告人に弁護人があるときは、この限りでない。

     前項の申出を受けた裁判所又は刑事施設の長若しくはその代理者は、直ちに被告人の指定した弁護士、弁護士法人又は弁護士会にその旨を通知しなければならない。被告人が2人以上の弁護士又は二以上の弁護士法人若しくは弁護士会を指定して前項の申出をしたときは、そのうちの1人の弁護士又は一の弁護士法人若しくは弁護士会にこれを通知すれば足りる。


    第79条 被告人を勾留したときは、直ちに弁護人にその旨を通知しなければならない。被告人に弁護人がないときは、被告人の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹のうち被告人の指定する者1人にその旨を通知しなければならない。


    第80条 勾留されている被告人は、第39条第1項に規定する者以外の者と、法令の範囲内で、接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。勾引状により刑事施設に留置されている被告人も、同様である。


    第81条 裁判所は、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官の請求により又は職権で、勾留されている被告人と第39条第1項に規定する者以外の者との接見を禁じ、又はこれと授受すべき書類その他の物を検閲し、その授受を禁じ、若しくはこれを差し押えることができる。但し、糧食の授受を禁じ、又はこれを差し押えることはできない。


    第82条 勾留されている被告人は、裁判所に勾留の理由の開示を請求することができる。

     勾留されている被告人の弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹その他利害関係人も、前項の請求をすることができる。

     前二項の請求は、保釈、勾留の執行停止若しくは勾留の取消があつたとき、又は勾留状の効力が消滅したときは、その効力を失う。


    第83条 勾留の理由の開示は、公開の法廷でこれをしなければならない。

     法廷は、裁判官及び裁判所書記が列席してこれを開く。

     被告人及びその弁護人が出頭しないときは、開廷することはできない。但し、被告人の出頭については、被告人が病気その他やむを得ない事由によつて出頭することができず且つ被告人に異議がないとき、弁護人の出頭については、被告人に異議がないときは、この限りでない。


    第84条 法廷においては、裁判長は、勾留の理由を告げなければならない。

     検察官又は被告人及び弁護人並びにこれらの者以外の請求者は、意見を述べることができる。但し、裁判長は、相当と認めるときは、意見の陳述に代え意見を記載した書面を差し出すべきことを命ずることができる。


    第85条 勾留の理由の開示は、合議体の構成員にこれをさせることができる。


    第86条 同一の勾留について第82条の請求が二以上ある場合には、勾留の理由の開示は、最初の請求についてこれを行う。その他の請求は、勾留の理由の開示が終つた後、決定でこれを却下しなければならない。


    第87条 勾留の理由又は勾留の必要がなくなつたときは、裁判所は、検察官、勾留されている被告人若しくはその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消さなければならない。

     第82条第3項の規定は、前項の請求についてこれを準用する。


    第88条 勾留されている被告人又はその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹は、保釈の請求をすることができる。

     第82条第3項の規定は、前項の請求についてこれを準用する。


    第89条 保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。

     被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。

     被告人が前に死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。

     被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。

     被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

     被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。

     被告人の氏名又は住居が分からないとき。


    第90条 裁判所は、保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。


    第91条 勾留による拘禁が不当に長くなつたときは、裁判所は、第88条に規定する者の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消し、又は保釈を許さなければならない。

     第82条第3項の規定は、前項の請求についてこれを準用する。


    第92条 裁判所は、保釈を許す決定又は保釈の請求を却下する決定をするには、検察官の意見を聴かなければならない。

     検察官の請求による場合を除いて、勾留を取り消す決定をするときも、前項と同様である。但し、急速を要する場合は、この限りでない。


    第93条 保釈を許す場合には、保証金額を定めなければならない。

     保証金額は、犯罪の性質及び情状、証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければならない。

     保釈を許す場合には、被告人の住居を制限しその他適当と認める条件を附することができる。


    第94条 保釈を許す決定は、保証金の納付があつた後でなければ、これを執行することができない。

     裁判所は、保釈請求者でない者に保証金を納めることを許すことができる。

     裁判所は、有価証券又は裁判所の適当と認める被告人以外の者の差し出した保証書を以て保証金に代えることを許すことができる。


    第95条 裁判所は、適当と認めるときは、決定で、勾留されている被告人を親族、保護団体その他の者に委託し、又は被告人の住居を制限して、勾留の執行を停止することができる。


    第96条 裁判所は、左の各号の一にあたる場合には、検察官の請求により、又は職権で、決定を以て保釈又は勾留の執行停止を取り消すことができる。

     被告人が、召喚を受け正当な理由がなく出頭しないとき。

     被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

     被告人が罪証を隠滅し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

     被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をしたとき。

     被告人が住居の制限その他裁判所の定めた条件に違反したとき。

     保釈を取り消す場合には、裁判所は、決定で保証金の全部又は一部を没取することができる。

     保釈された者が、刑の言渡を受けその判決が確定した後、執行のため呼出を受け正当な理由がなく出頭しないとき、又は逃亡したときは、検察官の請求により、決定で保証金の全部又は一部を没取しなければならない。


    第97条 上訴の提起期間内の事件でまだ上訴の提起がないものについて、勾留の期間を更新し、勾留を取り消し、又は保釈若しくは勾留の執行停止をし、若しくはこれを取り消すべき場合には、原裁判所が、その決定をしなければならない。

     上訴中の事件で訴訟記録が上訴裁判所に到達していないものについて前項の決定をすべき裁判所は、裁判所の規則の定めるところによる。

     前二項の規定は、勾留の理由の開示をすべき場合にこれを準用する。


    第98条 保釈若しくは勾留の執行停止を取り消す決定があつたとき、又は勾留の執行停止の期間が満了したときは、検察事務官、司法警察職員又は刑事施設職員は、検察官の指揮により、勾留状の謄本及び保釈若しくは勾留の執行停止を取り消す決定の謄本又は期間を指定した勾留の執行停止の決定の謄本を被告人に示してこれを刑事施設に収容しなければならない。

     前項の書面を所持しないためこれを示すことができない場合において、急速を要するときは、同項の規定にかかわらず、検察官の指揮により、被告人に対し保釈若しくは勾留の執行停止が取り消された旨又は勾留の執行停止の期間が満了した旨を告げて、これを刑事施設に収容することができる。ただし、その書面は、できる限り速やかにこれを示さなければならない。

     第71条の規定は、前二項の規定による収容についてこれを準用する。

    第9章 押収及び捜索

    第99条 裁判所は、必要があるときは、証拠物又は没収すべき物と思料するものを差し押えることができる。但し、特別の定のある場合は、この限りでない。

     差し押さえるべき物が電子計算機であるときは、当該電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であつて、当該電子計算機で作成若しくは変更をした電磁的記録又は当該電子計算機で変更若しくは消去をすることができることとされている電磁的記録を保管するために使用されていると認めるに足りる状況にあるものから、その電磁的記録を当該電子計算機又は他の記録媒体に複写した上、当該電子計算機又は当該他の記録媒体を差し押さえることができる。

     裁判所は、差し押えるべき物を指定し、所有者、所持者又は保管者にその物の提出を命ずることができる。


    第99条の2 裁判所は、必要があるときは、記録命令付差押え(電磁的記録を保管する者その他電磁的記録を利用する権限を有する者に命じて必要な電磁的記録を記録媒体に記録させ、又は印刷させた上、当該記録媒体を差し押さえることをいう。以下同じ。)をすることができる。


    第100条 裁判所は、被告人から発し、又は被告人に対して発した郵便物、信書便物又は電信に関する書類で法令の規定に基づき通信事務を取り扱う者が保管し、又は所持するものを差し押え、又は提出させることができる。

     前項の規定に該当しない郵便物、信書便物又は電信に関する書類で法令の規定に基づき通信事務を取り扱う者が保管し、又は所持するものは、被告事件に関係があると認めるに足りる状況のあるものに限り、これを差し押え、又は提出させることができる。

     前二項の規定による処分をしたときは、その旨を発信人又は受信人に通知しなければならない。但し、通知によつて審理が妨げられる虞がある場合は、この限りでない。


    第101条 被告人その他の者が遺留した物又は所有者、所持者若しくは保管者が任意に提出した物は、これを領置することができる。


    第102条 裁判所は、必要があるときは、被告人の身体、物又は住居その他の場所に就き、捜索をすることができる。

     被告人以外の者の身体、物又は住居その他の場所については、押収すべき物の存在を認めるに足りる状況のある場合に限り、捜索をすることができる。


    第103条 公務員又は公務員であつた者が保管し、又は所持する物について、本人又は当該公務所から職務上の秘密に関するものであることを申し立てたときは、当該監督官庁の承諾がなければ、押収をすることはできない。但し、当該監督官庁は、国の重大な利益を害する場合を除いては、承諾を拒むことができない。


    第104条 左に掲げる者が前条の申立をしたときは、第1号に掲げる者についてはその院、第2号に掲げる者については内閣の承諾がなければ、押収をすることはできない。

     衆議院若しくは参議院の議員又はその職に在つた者

     内閣総理大臣その他の国務大臣又はその職に在つた者

     前項の場合において、衆議院、参議院又は内閣は、国の重大な利益を害する場合を除いては、承諾を拒むことができない。


    第105条 医師、歯科医師、助産師、看護師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、公証人、宗教の職に在る者又はこれらの職に在つた者は、業務上委託を受けたため、保管し、又は所持する物で他人の秘密に関するものについては、押収を拒むことができる。但し、本人が承諾した場合、押収の拒絶が被告人のためのみにする権利の濫用と認められる場合(被告人が本人である場合を除く。)その他裁判所の規則で定める事由がある場合は、この限りでない。


    第106条 公判廷外における差押え、記録命令付差押え又は捜索は、差押状、記録命令付差押状又は捜索状を発してこれをしなければならない。


    第107条 差押状、記録命令付差押状又は捜索状には、被告人の氏名、罪名、差し押さえるべき物、記録させ若しくは印刷させるべき電磁的記録及びこれを記録させ若しくは印刷させるべき者又は捜索すべき場所、身体若しくは物、有効期間及びその期間経過後は執行に着手することができず令状はこれを返還しなければならない旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判長が、これに記名押印しなければならない。

     第99条第2項の規定による処分をするときは、前項の差押状に、同項に規定する事項のほか、差し押さえるべき電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であつて、その電磁的記録を複写すべきものの範囲を記載しなければならない。

     第64条第2項の規定は、第1項の差押状、記録命令付差押状又は捜索状についてこれを準用する。


    第108条 差押状、記録命令付差押状又は捜索状は、検察官の指揮によつて、検察事務官又は司法警察職員がこれを執行する。ただし、裁判所が被告人の保護のため必要があると認めるときは、裁判長は、裁判所書記官又は司法警察職員にその執行を命ずることができる。

     裁判所は、差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行に関し、その執行をする者に対し書面で適当と認める指示をすることができる。

     前項の指示は、合議体の構成員にこれをさせることができる。

     第71条の規定は、差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行についてこれを準用する。


    第109条 検察事務官又は裁判所書記官は、差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行について必要があるときは、司法警察職員に補助を求めることができる。


    第110条 差押状、記録命令付差押状又は捜索状は、処分を受ける者にこれを示さなければならない。


    第110条の2 差し押さえるべき物が電磁的記録に係る記録媒体であるときは、差押状の執行をする者は、その差押えに代えて次に掲げる処分をすることができる。公判廷で差押えをする場合も、同様である。

     差し押さえるべき記録媒体に記録された電磁的記録を他の記録媒体に複写し、印刷し、又は移転した上、当該他の記録媒体を差し押さえること。

     差押えを受ける者に差し押さえるべき記録媒体に記録された電磁的記録を他の記録媒体に複写させ、印刷させ、又は移転させた上、当該他の記録媒体を差し押さえること。


    第111条 差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行については、錠をはずし、封を開き、その他必要な処分をすることができる。公判廷で差押え、記録命令付差押え又は捜索をする場合も、同様である。

     前項の処分は、押収物についても、これをすることができる。


    第111条の2 差し押さえるべき物が電磁的記録に係る記録媒体であるときは、差押状又は捜索状の執行をする者は、処分を受ける者に対し、電子計算機の操作その他の必要な協力を求めることができる。公判廷で差押え又は捜索をする場合も、同様である。


    第112条 差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行中は、何人に対しても、許可を得ないでその場所に出入りすることを禁止することができる。

     前項の禁止に従わない者は、これを退去させ、又は執行が終わるまでこれに看守者を付することができる。


    第113条 検察官、被告人又は弁護人は、差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行に立ち会うことができる。ただし、身体の拘束を受けている被告人は、この限りでない。

     差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行をする者は、あらかじめ、執行の日時及び場所を前項の規定により立ち会うことができる者に通知しなければならない。ただし、これらの者があらかじめ裁判所に立ち会わない意思を明示した場合及び急速を要する場合は、この限りでない。

     裁判所は、差押状又は捜索状の執行について必要があるときは、被告人をこれに立ち会わせることができる。


    第114条 公務所内で差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行をするときは、その長又はこれに代わるべき者に通知してその処分に立ち会わせなければならない。

     前項の規定による場合を除いて、人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内で差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行をするときは、住居主若しくは看守者又はこれらの者に代わるべき者をこれに立ち会わせなければならない。これらの者を立ち会わせることができないときは、隣人又は地方公共団体の職員を立ち会わせなければならない。


    第115条 女子の身体について捜索状の執行をする場合には、成年の女子をこれに立ち会わせなければならない。但し、急速を要する場合は、この限りでない。


    第116条 日出前、日没後には、令状に夜間でも執行することができる旨の記載がなければ、差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行のため、人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入ることはできない。

     日没前に差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行に着手したときは、日没後でも、その処分を継続することができる。


    第117条 次に掲げる場所で差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行をするについては、前条第1項に規定する制限によることを要しない。

     賭博、富くじ又は風俗を害する行為に常用されるものと認められる場所

     旅館、飲食店その他夜間でも公衆が出入りすることができる場所。ただし、公開した時間内に限る。


    第118条 差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行を中止する場合において必要があるときは、執行が終わるまでその場所を閉鎖し、又は看守者を置くことができる。


    第119条 捜索をした場合において証拠物又は没収すべきものがないときは、捜索を受けた者の請求により、その旨の証明書を交付しなければならない。


    第120条 押収をした場合には、その目録を作り、所有者、所持者若しくは保管者(第110条の2の規定による処分を受けた者を含む。)又はこれらの者に代わるべき者に、これを交付しなければならない。


    第121条 運搬又は保管に不便な押収物については、看守者を置き、又は所有者その他の者に、その承諾を得て、これを保管させることができる。

     危険を生ずる虞がある押収物は、これを廃棄することができる。

     前二項の処分は、裁判所が特別の指示をした場合を除いては、差押状の執行をした者も、これをすることができる。


    第122条 没収することができる押収物で滅失若しくは破損の虞があるもの又は保管に不便なものについては、これを売却してその代価を保管することができる。


    第123条 押収物で留置の必要がないものは、被告事件の終結を待たないで、決定でこれを還付しなければならない。

     押収物は、所有者、所持者、保管者又は差出人の請求により、決定で仮にこれを還付することができる。

     押収物が第110条の2の規定により電磁的記録を移転し、又は移転させた上差し押さえた記録媒体で留置の必要がないものである場合において、差押えを受けた者と当該記録媒体の所有者、所持者又は保管者とが異なるときは、被告事件の終結を待たないで、決定で、当該差押えを受けた者に対し、当該記録媒体を交付し、又は当該電磁的記録の複写を許さなければならない。

     前三項の決定をするについては、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。


    第124条 押収した贓物で留置の必要がないものは、被害者に還付すべき理由が明らかなときに限り、被告事件の終結を待たないで、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、決定でこれを被害者に還付しなければならない。

     前項の規定は、民事訴訟の手続に従い、利害関係人がその権利を主張することを妨げない。


    第125条 押収又は捜索は、合議体の構成員にこれをさせ、又はこれをすべき地の地方裁判所、家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官にこれを嘱託することができる。

     受託裁判官は、受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に転嘱することができる。

     受託裁判官は、受託事項について権限を有しないときは、受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に嘱託を移送することができる。

     受命裁判官又は受託裁判官がする押収又は捜索については、裁判所がする押収又は捜索に関する規定を準用する。但し、第100条第3項の通知は、裁判所がこれをしなければならない。


    第126条 検察事務官又は司法警察職員は、勾引状又は勾留状を執行する場合において必要があるときは、人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入り、被告人の捜索をすることができる。この場合には、捜索状は、これを必要としない。


    第127条 第111条、第112条、第114条及び第118条の規定は、前条の規定により検察事務官又は司法警察職員がする捜索についてこれを準用する。但し、急速を要する場合は、第114条第2項の規定によることを要しない。

    第10章 検証

    第128条 裁判所は、事実発見のため必要があるときは、検証することができる。


    第129条 検証については、身体の検査、死体の解剖、墳墓の発掘、物の破壊その他必要な処分をすることができる。


    第130条 日出前、日没後には、住居主若しくは看守者又はこれらの者に代るべき者の承諾がなければ、検証のため、人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入ることはできない。但し、日出後では検証の目的を達することができない虞がある場合は、この限りでない。

     日没前検証に着手したときは、日没後でもその処分を継続することができる。

     第117条に規定する場所については、第1項に規定する制限によることを要しない。


    第131条 身体の検査については、これを受ける者の性別、健康状態その他の事情を考慮した上、特にその方法に注意し、その者の名誉を害しないように注意しなければならない。

     女子の身体を検査する場合には、医師又は成年の女子をこれに立ち会わせなければならない。


    第132条 裁判所は、身体の検査のため、被告人以外の者を裁判所又は指定の場所に召喚することができる。


    第133条 前条の規定により召喚を受けた者が正当な理由がなく出頭しないときは、決定で、10万円以下の過料に処し、かつ、出頭しないために生じた費用の賠償を命ずることができる。

     前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。


    第134条 第132条の規定により召喚を受け正当な理由がなく出頭しない者は、10万円以下の罰金又は拘留に処する。

     前項の罪を犯した者には、情状により、罰金及び拘留を併科することができる。


    第135条 第132条の規定による召喚に応じない者は、更にこれを召喚し、又はこれを勾引することができる。


    第136条 第62条、第63条及び第65条の規定は、第132条及び前条の規定による召喚について、第62条、第64条、第66条、第67条、第70条、第71条及び第73条第1項の規定は、前条の規定による勾引についてこれを準用する。


    第137条 被告人又は被告人以外の者が正当な理由がなく身体の検査を拒んだときは、決定で、10万円以下の過料に処し、かつ、その拒絶により生じた費用の賠償を命ずることができる。

     前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。


    第138条 正当な理由がなく身体の検査を拒んだ者は、10万円以下の罰金又は拘留に処する。

     前項の罪を犯した者には、情状により、罰金及び拘留を併科することができる。


    第139条 裁判所は、身体の検査を拒む者を過料に処し、又はこれに刑を科しても、その効果がないと認めるときは、そのまま、身体の検査を行うことができる。


    第140条 裁判所は、第137条の規定により過料を科し、又は前条の規定により身体の検査をするにあたつては、あらかじめ、検察官の意見を聴き、且つ、身体の検査を受ける者の異議の理由を知るため適当な努力をしなければならない。


    第141条 検証をするについて必要があるときは、司法警察職員に補助をさせることができる。


    第142条 第111条の2から第114条まで、第118条及び第125条の規定は、検証についてこれを準用する。

    第11章 証人尋問

    第143条 裁判所は、この法律に特別の定のある場合を除いては、何人でも証人としてこれを尋問することができる。


    第143条の2 裁判所は、裁判所の規則で定める相当の猶予期間を置いて、証人を召喚することができる。


    第144条 公務員又は公務員であつた者が知り得た事実について、本人又は当該公務所から職務上の秘密に関するものであることを申し立てたときは、当該監督官庁の承諾がなければ証人としてこれを尋問することはできない。但し、当該監督官庁は、国の重大な利益を害する場合を除いては、承諾を拒むことができない。


    第145条 左に掲げる者が前条の申立をしたときは、第1号に掲げる者についてはその院、第2号に掲げる者については内閣の承諾がなければ、証人としてこれを尋問することはできない。

     衆議院若しくは参議院の議員又はその職に在つた者

     内閣総理大臣その他の国務大臣又はその職に在つた者

     前項の場合において、衆議院、参議院又は内閣は、国の重大な利益を害する場合を除いては、承諾を拒むことができない。


    第146条 何人も、自己が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができる。


    第147条 何人も、左に掲げる者が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができる。

     自己の配偶者、三親等内の血族若しくは二親等内の姻族又は自己とこれらの親族関係があつた者

     自己の後見人、後見監督人又は保佐人

     自己を後見人、後見監督人又は保佐人とする者


    第148条 共犯又は共同被告人の1人又は数人に対し前条の関係がある者でも、他の共犯又は共同被告人のみに関する事項については、証言を拒むことはできない。


    第149条 医師、歯科医師、助産師、看護師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、公証人、宗教の職に在る者又はこれらの職に在つた者は、業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するものについては、証言を拒むことができる。但し、本人が承諾した場合、証言の拒絶が被告人のためのみにする権利の濫用と認められる場合(被告人が本人である場合を除く。)その他裁判所の規則で定める事由がある場合は、この限りでない。


    第150条 召喚を受けた証人が正当な理由がなく出頭しないときは、決定で、10万円以下の過料に処し、かつ、出頭しないために生じた費用の賠償を命ずることができる。

     前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。


    第151条 証人として召喚を受け正当な理由がなく出頭しない者は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。


    第152条 裁判所は、証人が、正当な理由がなく、召喚に応じないとき、又は応じないおそれがあるときは、その証人を勾引することができる。


    第153条 第62条、第63条及び第65条の規定は、証人の召喚について、第62条、第64条、第66条、第67条、第70条、第71条及び第73条第1項の規定は、証人の勾引についてこれを準用する。


    第153条の2 勾引状の執行を受けた証人を護送する場合又は引致した場合において必要があるときは、一時最寄の警察署その他の適当な場所にこれを留置することができる。


    第154条 証人には、この法律に特別の定のある場合を除いて、宣誓をさせなければならない。


    第155条 宣誓の趣旨を理解することができない者は、宣誓をさせないで、これを尋問しなければならない。

     前項に掲げる者が宣誓をしたときでも、その供述は、証言としての効力を妨げられない。


    第156条 証人には、その実験した事実により推測した事項を供述させることができる。

     前項の供述は、鑑定に属するものでも、証言としての効力を妨げられない。


    第157条 検察官、被告人又は弁護人は、証人の尋問に立ち会うことができる。

     証人尋問の日時及び場所は、あらかじめ、前項の規定により尋問に立ち会うことができる者にこれを通知しなければならない。但し、これらの者があらかじめ裁判所に立ち会わない意思を明示したときは、この限りでない。

     第1項に規定する者は、証人の尋問に立ち会つたときは、裁判長に告げて、その証人を尋問することができる。


    第157条の2 検察官は、証人が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのある事項についての尋問を予定している場合であつて、当該事項についての証言の重要性、関係する犯罪の軽重及び情状その他の事情を考慮し、必要と認めるときは、あらかじめ、裁判所に対し、当該証人尋問を次に掲げる条件により行うことを請求することができる。

     尋問に応じてした供述及びこれに基づいて得られた証拠は、証人が当該証人尋問においてした行為が第161条又は刑法第169条の罪に当たる場合に当該行為に係るこれらの罪に係る事件において用いるときを除き、証人の刑事事件において、これらを証人に不利益な証拠とすることができないこと。

     第146条の規定にかかわらず、自己が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのある証言を拒むことができないこと。

     裁判所は、前項の請求を受けたときは、その証人に尋問すべき事項に証人が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのある事項が含まれないと明らかに認められる場合を除き、当該証人尋問を同項各号に掲げる条件により行う旨の決定をするものとする。


    第157条の3 検察官は、証人が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのある事項について証言を拒んだと認める場合であつて、当該事項についての証言の重要性、関係する犯罪の軽重及び情状その他の事情を考慮し、必要と認めるときは、裁判所に対し、それ以後の当該証人尋問を前条第1項各号に掲げる条件により行うことを請求することができる。

     裁判所は、前項の請求を受けたときは、その証人が証言を拒んでいないと認められる場合又はその証人に尋問すべき事項に証人が刑事訴追を受け、若しくは有罪判決を受けるおそれのある事項が含まれないと明らかに認められる場合を除き、それ以後の当該証人尋問を前条第1項各号に掲げる条件により行う旨の決定をするものとする。


    第157条の4 裁判所は、証人を尋問する場合において、証人の年齢、心身の状態その他の事情を考慮し、証人が著しく不安又は緊張を覚えるおそれがあると認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、その不安又は緊張を緩和するのに適当であり、かつ、裁判官若しくは訴訟関係人の尋問若しくは証人の供述を妨げ、又はその供述の内容に不当な影響を与えるおそれがないと認める者を、その証人の供述中、証人に付き添わせることができる。

     前項の規定により証人に付き添うこととされた者は、その証人の供述中、裁判官若しくは訴訟関係人の尋問若しくは証人の供述を妨げ、又はその供述の内容に不当な影響を与えるような言動をしてはならない。


    第157条の5 裁判所は、証人を尋問する場合において、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、証人が被告人の面前(次条第1項及び第2項に規定する方法による場合を含む。)において供述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合であつて、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、被告人とその証人との間で、一方から又は相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採ることができる。ただし、被告人から証人の状態を認識することができないようにするための措置については、弁護人が出頭している場合に限り、採ることができる。

     裁判所は、証人を尋問する場合において、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、名誉に対する影響その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、傍聴人とその証人との間で、相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採ることができる。


    第157条の6 裁判所は、次に掲げる者を証人として尋問する場合において、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、裁判官及び訴訟関係人が証人を尋問するために在席する場所以外の場所であつて、同一構内(これらの者が在席する場所と同一の構内をいう。次項において同じ。)にあるものにその証人を在席させ、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によつて、尋問することができる。

     刑法第176条から第179条まで若しくは第181条の罪、同法第225条若しくは第226条の2第3項の罪(わいせつ又は結婚の目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、同法第227条第1項(第225条又は第226条の2第3項の罪を犯した者を幇助する目的に係る部分に限る。)若しくは第3項(わいせつの目的に係る部分に限る。)若しくは第241条第1項若しくは第3項の罪又はこれらの罪の未遂罪の被害者

     児童福祉法(昭和22年法律第164号)第60条第1項の罪若しくは同法第34条第1項第9号に係る同法第60条第2項の罪又は児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第4条から第8条までの罪の被害者

     前二号に掲げる者のほか、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、裁判官及び訴訟関係人が証人を尋問するために在席する場所において供述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認められる者

     裁判所は、証人を尋問する場合において、次に掲げる場合であつて、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、同一構内以外にある場所であつて裁判所の規則で定めるものに証人を在席させ、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によつて、尋問することができる。

     犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、証人が同一構内に出頭するときは精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認めるとき。

     同一構内への出頭に伴う移動に際し、証人の身体若しくは財産に害を加え又は証人を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認めるとき。

     同一構内への出頭後の移動に際し尾行その他の方法で証人の住居、勤務先その他その通常所在する場所が特定されることにより、証人若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認めるとき。

     証人が遠隔地に居住し、その年齢、職業、健康状態その他の事情により、同一構内に出頭することが著しく困難であると認めるとき。

     前二項に規定する方法により証人尋問を行う場合(前項第4号の規定による場合を除く。)において、裁判所は、その証人が後の刑事手続において同一の事実につき再び証人として供述を求められることがあると思料する場合であつて、証人の同意があるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、その証人の尋問及び供述並びにその状況を記録媒体(映像及び音声を同時に記録することができるものに限る。)に記録することができる。

     前項の規定により証人の尋問及び供述並びにその状況を記録した記録媒体は、訴訟記録に添付して調書の一部とするものとする。


    第158条 裁判所は、証人の重要性、年齢、職業、健康状態その他の事情と事案の軽重とを考慮した上、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、必要と認めるときは、裁判所外にこれを召喚し、又はその現在場所でこれを尋問することができる。

     前項の場合には、裁判所は、あらかじめ、検察官、被告人及び弁護人に、尋問事項を知る機会を与えなければならない。

     検察官、被告人又は弁護人は、前項の尋問事項に附加して、必要な事項の尋問を請求することができる。


    第159条 裁判所は、検察官、被告人又は弁護人が前条の証人尋問に立ち会わなかつたときは、立ち会わなかつた者に、証人の供述の内容を知る機会を与えなければならない。

     前項の証人の供述が被告人に予期しなかつた著しい不利益なものである場合には、被告人又は弁護人は、更に必要な事項の尋問を請求することができる。

     裁判所は、前項の請求を理由がないものと認めるときは、これを却下することができる。


    第160条 証人が正当な理由がなく宣誓又は証言を拒んだときは、決定で、10万円以下の過料に処し、かつ、その拒絶により生じた費用の賠償を命ずることができる。

     前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。


    第161条 正当な理由がなく宣誓又は証言を拒んだ者は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。


    第162条 裁判所は、必要があるときは、決定で指定の場所に証人の同行を命ずることができる。証人が正当な理由がなく同行に応じないときは、これを勾引することができる。


    第163条 裁判所外で証人を尋問すべきときは、合議体の構成員にこれをさせ、又は証人の現在地の地方裁判所、家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官にこれを嘱託することができる。

     受託裁判官は、受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に転嘱することができる。

     受託裁判官は、受託事項について権限を有しないときは、受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に嘱託を移送することができる。

     受命裁判官又は受託裁判官は、証人の尋問に関し、裁判所又は裁判長に属する処分をすることができる。但し、第150条及び第160条の決定は、裁判所もこれをすることができる。

     第158条第2項及び第3項並びに第159条に規定する手続は、前項の規定にかかわらず、裁判所がこれをしなければならない。


    第164条 証人は、旅費、日当及び宿泊料を請求することができる。但し、正当な理由がなく宣誓又は証言を拒んだ者は、この限りでない。

     証人は、あらかじめ旅費、日当又は宿泊料の支給を受けた場合において、正当な理由がなく、出頭せず又は宣誓若しくは証言を拒んだときは、その支給を受けた費用を返納しなければならない。

    第12章 鑑定

    第165条 裁判所は、学識経験のある者に鑑定を命ずることができる。


    第166条 鑑定人には、宣誓をさせなければならない。


    第167条 被告人の心神又は身体に関する鑑定をさせるについて必要があるときは、裁判所は、期間を定め、病院その他の相当な場所に被告人を留置することができる。

     前項の留置は、鑑定留置状を発してこれをしなければならない。

     第1項の留置につき必要があるときは、裁判所は、被告人を収容すべき病院その他の場所の管理者の申出により、又は職権で、司法警察職員に被告人の看守を命ずることができる。

     裁判所は、必要があるときは、留置の期間を延長し又は短縮することができる。

     勾留に関する規定は、この法律に特別の定のある場合を除いては、第1項の留置についてこれを準用する。但し、保釈に関する規定は、この限りでない。

     第1項の留置は、未決勾留日数の算入については、これを勾留とみなす。


    第167条の2 勾留中の被告人に対し鑑定留置状が執行されたときは、被告人が留置されている間、勾留は、その執行を停止されたものとする。

     前項の場合において、前条第1項の処分が取り消され又は留置の期間が満了したときは、第98条の規定を準用する。


    第168条 鑑定人は、鑑定について必要がある場合には、裁判所の許可を受けて、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入り、身体を検査し、死体を解剖し、墳墓を発掘し、又は物を破壊することができる。

     裁判所は、前項の許可をするには、被告人の氏名、罪名及び立ち入るべき場所、検査すべき身体、解剖すべき死体、発掘すべき墳墓又は破壊すべき物並びに鑑定人の氏名その他裁判所の規則で定める事項を記載した許可状を発して、これをしなければならない。

     裁判所は、身体の検査に関し、適当と認める条件を附することができる。

     鑑定人は、第1項の処分を受ける者に許可状を示さなければならない。

     前三項の規定は、鑑定人が公判廷でする第1項の処分については、これを適用しない。

     第131条、第137条、第138条及び第140条の規定は、鑑定人の第1項の規定によつてする身体の検査についてこれを準用する。


    第169条 裁判所は、合議体の構成員に鑑定について必要な処分をさせることができる。但し、第167条第1項に規定する処分については、この限りでない。


    第170条 検察官及び弁護人は、鑑定に立ち会うことができる。この場合には、第157条第2項の規定を準用する。


    第171条 前章の規定は、勾引に関する規定を除いて、鑑定についてこれを準用する。


    第172条 身体の検査を受ける者が、鑑定人の第168条第1項の規定によつてする身体の検査を拒んだ場合には、鑑定人は、裁判官にその者の身体の検査を請求することができる。

     前項の請求を受けた裁判官は、第10章の規定に準じ身体の検査をすることができる。


    第173条 鑑定人は、旅費、日当及び宿泊料の外、鑑定料を請求し、及び鑑定に必要な費用の支払又は償還を受けることができる。

     鑑定人は、あらかじめ鑑定に必要な費用の支払を受けた場合において、正当な理由がなく、出頭せず又は宣誓若しくは鑑定を拒んだときは、その支払を受けた費用を返納しなければならない。


    第174条 特別の知識によつて知り得た過去の事実に関する尋問については、この章の規定によらないで、前章の規定を適用する。

    第13章 通訳及び翻訳

    第175条 国語に通じない者に陳述をさせる場合には、通訳人に通訳をさせなければならない。


    第176条 耳の聞えない者又は口のきけない者に陳述をさせる場合には、通訳人に通訳をさせることができる。


    第177条 国語でない文字又は符号は、これを翻訳させることができる。


    第178条 前章の規定は、通訳及び翻訳についてこれを準用する。

    第14章 証拠保全

    第179条 被告人、被疑者又は弁護人は、あらかじめ証拠を保全しておかなければその証拠を使用することが困難な事情があるときは、第一回の公判期日前に限り、裁判官に押収、捜索、検証、証人の尋問又は鑑定の処分を請求することができる。

     前項の請求を受けた裁判官は、その処分に関し、裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。


    第180条 検察官及び弁護人は、裁判所において、前条第1項の処分に関する書類及び証拠物を閲覧し、且つ謄写することができる。但し、弁護人が証拠物の謄写をするについては、裁判官の許可を受けなければならない。

     前項の規定にかかわらず、第157条の6第4項に規定する記録媒体は、謄写することができない。

     被告人又は被疑者は、裁判官の許可を受け、裁判所において、第1項の書類及び証拠物を閲覧することができる。ただし、被告人又は被疑者に弁護人があるときは、この限りでない。

    第15章 訴訟費用

    第181条 刑の言渡をしたときは、被告人に訴訟費用の全部又は一部を負担させなければならない。但し、被告人が貧困のため訴訟費用を納付することのできないことが明らかであるときは、この限りでない。

     被告人の責に帰すべき事由によつて生じた費用は、刑の言渡をしない場合にも、被告人にこれを負担させることができる。

     検察官のみが上訴を申し立てた場合において、上訴が棄却されたとき、又は上訴の取下げがあつたときは、上訴に関する訴訟費用は、これを被告人に負担させることができない。ただし、被告人の責めに帰すべき事由によつて生じた費用については、この限りでない。

     公訴が提起されなかつた場合において、被疑者の責めに帰すべき事由により生じた費用があるときは、被疑者にこれを負担させることができる。


    第182条 共犯の訴訟費用は、共犯人に、連帯して、これを負担させることができる。


    第183条 告訴、告発又は請求により公訴の提起があつた事件について被告人が無罪又は免訴の裁判を受けた場合において、告訴人、告発人又は請求人に故意又は重大な過失があつたときは、その者に訴訟費用を負担させることができる。

     告訴、告発又は請求があつた事件について公訴が提起されなかつた場合において、告訴人、告発人又は請求人に故意又は重大な過失があつたときも、前項と同様とする。


    第184条 検察官以外の者が上訴又は再審若しくは正式裁判の請求を取り下げた場合には、その者に上訴、再審又は正式裁判に関する費用を負担させることができる。


    第185条 裁判によつて訴訟手続が終了する場合において、被告人に訴訟費用を負担させるときは、職権でその裁判をしなければならない。この裁判に対しては、本案の裁判について上訴があつたときに限り、不服を申し立てることができる。


    第186条 裁判によつて訴訟手続が終了する場合において、被告人以外の者に訴訟費用を負担させるときは、職権で別にその決定をしなければならない。この決定に対しては、即時抗告をすることができる。


    第187条 裁判によらないで訴訟手続が終了する場合において、訴訟費用を負担させるときは、最終に事件の係属した裁判所が、職権でその決定をしなければならない。この決定に対しては、即時抗告をすることができる。


    第187条の2 公訴が提起されなかつた場合において、訴訟費用を負担させるときは、検察官の請求により、裁判所が決定をもつてこれを行う。この決定に対しては、即時抗告をすることができる。


    第188条 訴訟費用の負担を命ずる裁判にその額を表示しないときは、執行の指揮をすべき検察官が、これを算定する。

    第16章 費用の補償

    第188条の2 無罪の判決が確定したときは、国は、当該事件の被告人であつた者に対し、その裁判に要した費用の補償をする。ただし、被告人であつた者の責めに帰すべき事由によつて生じた費用については、補償をしないことができる。

     被告人であつた者が、捜査又は審判を誤らせる目的で、虚偽の自白をし、又は他の有罪の証拠を作ることにより、公訴の提起を受けるに至つたものと認められるときは、前項の補償の全部又は一部をしないことができる。

     第188条の5第1項の規定による補償の請求がされている場合には、第188条の4の規定により補償される費用については、第1項の補償をしない。


    第188条の3 前条第1項の補償は、被告人であつた者の請求により、無罪の判決をした裁判所が、決定をもつてこれを行う。

     前項の請求は、無罪の判決が確定した後6箇月以内にこれをしなければならない。

     補償に関する決定に対しては、即時抗告をすることができる。


    第188条の4 検察官のみが上訴をした場合において、上訴が棄却され又は取り下げられて当該上訴に係る原裁判が確定したときは、これによつて無罪の判決が確定した場合を除き、国は、当該事件の被告人又は被告人であつた者に対し、上訴によりその審級において生じた費用の補償をする。ただし、被告人又は被告人であつた者の責めに帰すべき事由によつて生じた費用については、補償をしないことができる。


    第188条の5 前条の補償は、被告人又は被告人であつた者の請求により、当該上訴裁判所であつた最高裁判所又は高等裁判所が、決定をもつてこれを行う。

     前項の請求は、当該上訴に係る原裁判が確定した後2箇月以内にこれをしなければならない。

     補償に関する決定で高等裁判所がしたものに対しては、第428条第2項の異議の申立てをすることができる。この場合には、即時抗告に関する規定をも準用する。


    第188条の6 第188条の2第1項又は第188条の4の規定により補償される費用の範囲は、被告人若しくは被告人であつた者又はそれらの者の弁護人であつた者が公判準備及び公判期日に出頭するに要した旅費、日当及び宿泊料並びに弁護人であつた者に対する報酬に限るものとし、その額に関しては、刑事訴訟費用に関する法律の規定中、被告人又は被告人であつた者については証人、弁護人であつた者については弁護人に関する規定を準用する。

     裁判所は、公判準備又は公判期日に出頭した弁護人が2人以上あつたときは、事件の性質、審理の状況その他の事情を考慮して、前項の弁護人であつた者の旅費、日当及び宿泊料を主任弁護人その他一部の弁護人に係るものに限ることができる。


    第188条の7 補償の請求その他補償に関する手続、補償と他の法律による損害賠償との関係、補償を受ける権利の譲渡又は差押え及び被告人又は被告人であつた者の相続人に対する補償については、この法律に特別の定めがある場合のほか、刑事補償法(昭和25年法律第1号)第1条に規定する補償の例による。

    第2編 第一審

    第1章 捜査

    第189条 警察官は、それぞれ、他の法律又は国家公安委員会若しくは都道府県公安委員会の定めるところにより、司法警察職員として職務を行う。

     司法警察職員は、犯罪があると思料するときは、犯人及び証拠を捜査するものとする。


    第190条 森林、鉄道その他特別の事項について司法警察職員として職務を行うべき者及びその職務の範囲は、別に法律でこれを定める。


    第191条 検察官は、必要と認めるときは、自ら犯罪を捜査することができる。

     検察事務官は、検察官の指揮を受け、捜査をしなければならない。


    第192条 検察官と都道府県公安委員会及び司法警察職員とは、捜査に関し、互に協力しなければならない。


    第193条 検察官は、その管轄区域により、司法警察職員に対し、その捜査に関し、必要な一般的指示をすることができる。この場合における指示は、捜査を適正にし、その他公訴の遂行を全うするために必要な事項に関する一般的な準則を定めることによつて行うものとする。

     検察官は、その管轄区域により、司法警察職員に対し、捜査の協力を求めるため必要な一般的指揮をすることができる。

     検察官は、自ら犯罪を捜査する場合において必要があるときは、司法警察職員を指揮して捜査の補助をさせることができる。

     前三項の場合において、司法警察職員は、検察官の指示又は指揮に従わなければならない。


    第194条 検事総長、検事長又は検事正は、司法警察職員が正当な理由がなく検察官の指示又は指揮に従わない場合において必要と認めるときは、警察官たる司法警察職員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会に、警察官たる者以外の司法警察職員については、その者を懲戒し又は罷免する権限を有する者に、それぞれ懲戒又は罷免の訴追をすることができる。

     国家公安委員会、都道府県公安委員会又は警察官たる者以外の司法警察職員を懲戒し若しくは罷免する権限を有する者は、前項の訴追が理由のあるものと認めるときは、別に法律の定めるところにより、訴追を受けた者を懲戒し又は罷免しなければならない。


    第195条 検察官及び検察事務官は、捜査のため必要があるときは、管轄区域外で職務を行うことができる。


    第196条 検察官、検察事務官及び司法警察職員並びに弁護人その他職務上捜査に関係のある者は、被疑者その他の者の名誉を害しないように注意し、且つ、捜査の妨げとならないように注意しなければならない。


    第197条 捜査については、その目的を達するため必要な取調をすることができる。但し、強制の処分は、この法律に特別の定のある場合でなければ、これをすることができない。

     捜査については、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

     検察官、検察事務官又は司法警察員は、差押え又は記録命令付差押えをするため必要があるときは、電気通信を行うための設備を他人の通信の用に供する事業を営む者又は自己の業務のために不特定若しくは多数の者の通信を媒介することのできる電気通信を行うための設備を設置している者に対し、その業務上記録している電気通信の送信元、送信先、通信日時その他の通信履歴の電磁的記録のうち必要なものを特定し、30日を超えない期間を定めて、これを消去しないよう、書面で求めることができる。この場合において、当該電磁的記録について差押え又は記録命令付差押えをする必要がないと認めるに至つたときは、当該求めを取り消さなければならない。

     前項の規定により消去しないよう求める期間については、特に必要があるときは、30日を超えない範囲内で延長することができる。ただし、消去しないよう求める期間は、通じて60日を超えることができない。

     第2項又は第3項の規定による求めを行う場合において、必要があるときは、みだりにこれらに関する事項を漏らさないよう求めることができる。


    第198条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。

     前項の取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。

     被疑者の供述は、これを調書に録取することができる。

     前項の調書は、これを被疑者に閲覧させ、又は読み聞かせて、誤がないかどうかを問い、被疑者が増減変更の申立をしたときは、その供述を調書に記載しなければならない。

     被疑者が、調書に誤のないことを申し立てたときは、これに署名押印することを求めることができる。但し、これを拒絶した場合は、この限りでない。


    第199条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。ただし、30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。

     裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。以下本条において同じ。)の請求により、前項の逮捕状を発する。但し、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない。

     検察官又は司法警察員は、第1項の逮捕状を請求する場合において、同一の犯罪事実についてその被疑者に対し前に逮捕状の請求又はその発付があつたときは、その旨を裁判所に通知しなければならない。


    第200条 逮捕状には、被疑者の氏名及び住居、罪名、被疑事実の要旨、引致すべき官公署その他の場所、有効期間及びその期間経過後は逮捕をすることができず令状はこれを返還しなければならない旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判官が、これに記名押印しなければならない。

     第64条第2項及び第3項の規定は、逮捕状についてこれを準用する。


    第201条 逮捕状により被疑者を逮捕するには、逮捕状を被疑者に示さなければならない。

     第73条第3項の規定は、逮捕状により被疑者を逮捕する場合にこれを準用する。


    第202条 検察事務官又は司法巡査が逮捕状により被疑者を逮捕したときは、直ちに、検察事務官はこれを検察官に、司法巡査はこれを司法警察員に引致しなければならない。


    第203条 司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者を受け取つたときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。

     前項の場合において、被疑者に弁護人の有無を尋ね、弁護人があるときは、弁護人を選任することができる旨は、これを告げることを要しない。

     司法警察員は、第1項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たつては、被疑者に対し、弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示しなければならない。

     司法警察員は、第1項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たつては、被疑者に対し、引き続き勾留を請求された場合において貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは裁判官に対して弁護人の選任を請求することができる旨並びに裁判官に対して弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨及びその資力が基準額以上であるときは、あらかじめ、弁護士会(第37条の3第2項の規定により第31条の2第1項の申出をすべき弁護士会をいう。)に弁護人の選任の申出をしていなければならない旨を教示しなければならない。

     第1項の時間の制限内に送致の手続をしないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。


    第204条 検察官は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者(前条の規定により送致された被疑者を除く。)を受け取つたときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。但し、その時間の制限内に公訴を提起したときは、勾留の請求をすることを要しない。

     検察官は、前項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たつては、被疑者に対し、弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示しなければならない。

     検察官は、第1項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たつては、被疑者に対し、引き続き勾留を請求された場合において貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは裁判官に対して弁護人の選任を請求することができる旨並びに裁判官に対して弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨及びその資力が基準額以上であるときは、あらかじめ、弁護士会(第37条の3第2項の規定により第31条の2第1項の申出をすべき弁護士会をいう。)に弁護人の選任の申出をしていなければならない旨を教示しなければならない。

     第1項の時間の制限内に勾留の請求又は公訴の提起をしないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。

     前条第2項の規定は、第1項の場合にこれを準用する。


    第205条 検察官は、第203条の規定により送致された被疑者を受け取つたときは、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者を受け取つた時から24時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。

     前項の時間の制限は、被疑者が身体を拘束された時から72時間を超えることができない。

     前二項の時間の制限内に公訴を提起したときは、勾留の請求をすることを要しない。

     第1項及び第2項の時間の制限内に勾留の請求又は公訴の提起をしないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。


    第206条 検察官又は司法警察員がやむを得ない事情によつて前三条の時間の制限に従うことができなかつたときは、検察官は、裁判官にその事由を疎明して、被疑者の勾留を請求することができる。

     前項の請求を受けた裁判官は、その遅延がやむを得ない事由に基く正当なものであると認める場合でなければ、勾留状を発することができない。


    第207条 前三条の規定による勾留の請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。但し、保釈については、この限りでない。

     前項の裁判官は、勾留を請求された被疑者に被疑事件を告げる際に、被疑者に対し、弁護人を選任することができる旨及び貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨を告げなければならない。ただし、被疑者に弁護人があるときは、この限りでない。

     前項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たつては、勾留された被疑者は弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示しなければならない。

     第2項の規定により弁護人の選任を請求することができる旨を告げるに当たつては、弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨及びその資力が基準額以上であるときは、あらかじめ、弁護士会(第37条の3第2項の規定により第31条の2第1項の申出をすべき弁護士会をいう。)に弁護人の選任の申出をしていなければならない旨を教示しなければならない。

     裁判官は、第1項の勾留の請求を受けたときは、速やかに勾留状を発しなければならない。ただし、勾留の理由がないと認めるとき、及び前条第2項の規定により勾留状を発することができないときは、勾留状を発しないで、直ちに被疑者の釈放を命じなければならない。


    第208条 前条の規定により被疑者を勾留した事件につき、勾留の請求をした日から10日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない。

     裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、前項の期間を延長することができる。この期間の延長は、通じて10日を超えることができない。


    第208条の2 裁判官は、刑法第2編第2章乃至第4章又は第8章の罪にあたる事件については、検察官の請求により、前条第2項の規定により延長された期間を更に延長することができる。この期間の延長は、通じて5日を超えることができない。


    第209条 第74条、第75条及び第78条の規定は、逮捕状による逮捕についてこれを準用する。


    第210条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。この場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。逮捕状が発せられないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。

     第200条の規定は、前項の逮捕状についてこれを準用する。


    第211条 前条の規定により被疑者が逮捕された場合には、第199条の規定により被疑者が逮捕された場合に関する規定を準用する。


    第212条 現に罪を行い、又は現に罪を行い終つた者を現行犯人とする。

     左の各号の一にあたる者が、罪を行い終つてから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす。

     犯人として追呼されているとき。

     贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。

     身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。

     誰何されて逃走しようとするとき。


    第213条 現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。


    第214条 検察官、検察事務官及び司法警察職員以外の者は、現行犯人を逮捕したときは、直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は司法警察職員に引き渡さなければならない。


    第215条 司法巡査は、現行犯人を受け取つたときは、速やかにこれを司法警察員に引致しなければならない。

     司法巡査は、犯人を受け取つた場合には、逮捕者の氏名、住居及び逮捕の事由を聴き取らなければならない。必要があるときは、逮捕者に対しともに官公署に行くことを求めることができる。


    第216条 現行犯人が逮捕された場合には、第199条の規定により被疑者が逮捕された場合に関する規定を準用する。


    第217条 30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪の現行犯については、犯人の住居若しくは氏名が明らかでない場合又は犯人が逃亡するおそれがある場合に限り、第213条から前条までの規定を適用する。


    第218条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証をすることができる。この場合において、身体の検査は、身体検査令状によらなければならない。

     差し押さえるべき物が電子計算機であるときは、当該電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であつて、当該電子計算機で作成若しくは変更をした電磁的記録又は当該電子計算機で変更若しくは消去をすることができることとされている電磁的記録を保管するために使用されていると認めるに足りる状況にあるものから、その電磁的記録を当該電子計算機又は他の記録媒体に複写した上、当該電子計算機又は当該他の記録媒体を差し押さえることができる。

     身体の拘束を受けている被疑者の指紋若しくは足型を採取し、身長若しくは体重を測定し、又は写真を撮影するには、被疑者を裸にしない限り、第1項の令状によることを要しない。

     第1項の令状は、検察官、検察事務官又は司法警察員の請求により、これを発する。

     検察官、検察事務官又は司法警察員は、身体検査令状の請求をするには、身体の検査を必要とする理由及び身体の検査を受ける者の性別、健康状態その他裁判所の規則で定める事項を示さなければならない。

     裁判官は、身体の検査に関し、適当と認める条件を附することができる。


    第219条 前条の令状には、被疑者若しくは被告人の氏名、罪名、差し押さえるべき物、記録させ若しくは印刷させるべき電磁的記録及びこれを記録させ若しくは印刷させるべき者、捜索すべき場所、身体若しくは物、検証すべき場所若しくは物又は検査すべき身体及び身体の検査に関する条件、有効期間及びその期間経過後は差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証に着手することができず令状はこれを返還しなければならない旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判官が、これに記名押印しなければならない。

     前条第2項の場合には、同条の令状に、前項に規定する事項のほか、差し押さえるべき電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であつて、その電磁的記録を複写すべきものの範囲を記載しなければならない。

     第64条第2項の規定は、前条の令状についてこれを準用する。


    第220条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第199条の規定により被疑者を逮捕する場合又は現行犯人を逮捕する場合において必要があるときは、左の処分をすることができる。第210条の規定により被疑者を逮捕する場合において必要があるときも、同様である。

     人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入り被疑者の捜索をすること。

     逮捕の現場で差押、捜索又は検証をすること。

     前項後段の場合において逮捕状が得られなかつたときは、差押物は、直ちにこれを還付しなければならない。第123条第3項の規定は、この場合についてこれを準用する。

     第1項の処分をするには、令状は、これを必要としない。

     第1項第2号及び前項の規定は、検察事務官又は司法警察職員が勾引状又は勾留状を執行する場合にこれを準用する。被疑者に対して発せられた勾引状又は勾留状を執行する場合には、第1項第1号の規定をも準用する。


    第221条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者その他の者が遺留した物又は所有者、所持者若しくは保管者が任意に提出した物は、これを領置することができる。


    第222条 第99条第1項、第100条、第102条から第105条まで、第110条から第112条まで、第114条、第115条及び第118条から第124条までの規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第218条、第220条及び前条の規定によつてする押収又は捜索について、第110条、第111条の2、第112条、第114条、第118条、第129条、第131条及び第137条から第140条までの規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第218条又は第220条の規定によつてする検証についてこれを準用する。ただし、司法巡査は、第122条から第124条までに規定する処分をすることができない。

     第220条の規定により被疑者を捜索する場合において急速を要するときは、第114条第2項の規定によることを要しない。

     第116条及び第117条の規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第218条の規定によつてする差押え、記録命令付差押え又は捜索について、これを準用する。

     日出前、日没後には、令状に夜間でも検証をすることができる旨の記載がなければ、検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第218条の規定によつてする検証のため、人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入ることができない。但し、第117条に規定する場所については、この限りでない。

     日没前検証に着手したときは、日没後でもその処分を継続することができる。

     検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第218条の規定により差押、捜索又は検証をするについて必要があるときは、被疑者をこれに立ち会わせることができる。

     第1項の規定により、身体の検査を拒んだ者を過料に処し、又はこれに賠償を命ずべきときは、裁判所にその処分を請求しなければならない。


    第222条の2 通信の当事者のいずれの同意も得ないで電気通信の傍受を行う強制の処分については、別に法律で定めるところによる。


    第223条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者以外の者の出頭を求め、これを取り調べ、又はこれに鑑定、通訳若しくは翻訳を嘱託することができる。

     第198条第1項但書及び第3項乃至第5項の規定は、前項の場合にこれを準用する。


    第224条 前条第1項の規定により鑑定を嘱託する場合において第167条第1項に規定する処分を必要とするときは、検察官、検察事務官又は司法警察員は、裁判官にその処分を請求しなければならない。

     裁判官は、前項の請求を相当と認めるときは、第167条の場合に準じてその処分をしなければならない。この場合には、第167条の2の規定を準用する。


    第225条 第223条第1項の規定による鑑定の嘱託を受けた者は、裁判官の許可を受けて、第168条第1項に規定する処分をすることができる。

     前項の許可の請求は、検察官、検察事務官又は司法警察員からこれをしなければならない。

     裁判官は、前項の請求を相当と認めるときは、許可状を発しなければならない。

     第168条第2項乃至第4項及び第6項の規定は、前項の許可状についてこれを準用する。


    第226条 犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が、第223条第1項の規定による取調に対して、出頭又は供述を拒んだ場合には、第一回の公判期日前に限り、検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。


    第227条 第223条第1項の規定による検察官、検察事務官又は司法警察職員の取調べに際して任意の供述をした者が、公判期日においては前にした供述と異なる供述をするおそれがあり、かつ、その者の供述が犯罪の証明に欠くことができないと認められる場合には、第一回の公判期日前に限り、検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。

     前項の請求をするには、検察官は、証人尋問を必要とする理由及びそれが犯罪の証明に欠くことができないものであることを疎明しなければならない。


    第228条 前二条の請求を受けた裁判官は、証人の尋問に関し、裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。

     裁判官は、捜査に支障を生ずる虞がないと認めるときは、被告人、被疑者又は弁護人を前項の尋問に立ち会わせることができる。


    第229条 変死者又は変死の疑のある死体があるときは、その所在地を管轄する地方検察庁又は区検察庁の検察官は、検視をしなければならない。

     検察官は、検察事務官又は司法警察員に前項の処分をさせることができる。


    第230条 犯罪により害を被つた者は、告訴をすることができる。


    第231条 被害者の法定代理人は、独立して告訴をすることができる。

     被害者が死亡したときは、その配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹は、告訴をすることができる。但し、被害者の明示した意思に反することはできない。


    第232条 被害者の法定代理人が被疑者であるとき、被疑者の配偶者であるとき、又は被疑者の四親等内の血族若しくは三親等内の姻族であるときは、被害者の親族は、独立して告訴をすることができる。


    第233条 死者の名誉を毀損した罪については、死者の親族又は子孫は、告訴をすることができる。

     名誉を毀損した罪について被害者が告訴をしないで死亡したときも、前項と同様である。但し、被害者の明示した意思に反することはできない。


    第234条 親告罪について告訴をすることができる者がない場合には、検察官は、利害関係人の申立により告訴をすることができる者を指定することができる。


    第235条 親告罪の告訴は、犯人を知つた日から6箇月を経過したときは、これをすることができない。ただし、刑法第232条第2項の規定により外国の代表者が行う告訴及び日本国に派遣された外国の使節に対する同法第230条又は第231条の罪につきその使節が行う告訴については、この限りでない。


    第236条 告訴をすることができる者が数人ある場合には、1人の期間の徒過は、他の者に対しその効力を及ぼさない。


    第237条 告訴は、公訴の提起があるまでこれを取り消すことができる。

     告訴の取消をした者は、更に告訴をすることができない。

     前二項の規定は、請求を待つて受理すべき事件についての請求についてこれを準用する。


    第238条 親告罪について共犯の1人又は数人に対してした告訴又はその取消は、他の共犯に対しても、その効力を生ずる。

     前項の規定は、告発又は請求を待つて受理すべき事件についての告発若しくは請求又はその取消についてこれを準用する。


    第239条 何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。

     官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。


    第240条 告訴は、代理人によりこれをすることができる。告訴の取消についても、同様である。


    第241条 告訴又は告発は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなければならない。

     検察官又は司法警察員は、口頭による告訴又は告発を受けたときは調書を作らなければならない。


    第242条 司法警察員は、告訴又は告発を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。


    第243条 前二条の規定は、告訴又は告発の取消についてこれを準用する。


    第244条 刑法第232条第2項の規定により外国の代表者が行う告訴又はその取消は、第241条及び前条の規定にかかわらず、外務大臣にこれをすることができる。日本国に派遣された外国の使節に対する刑法第230条又は第231条の罪につきその使節が行う告訴又はその取消も、同様である。


    第245条 第241条及び第242条の規定は、自首についてこれを準用する。


    第246条 司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し、検察官が指定した事件については、この限りでない。

    第2章 公訴

    第247条 公訴は、検察官がこれを行う。


    第248条 犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。


    第249条 公訴は、検察官の指定した被告人以外の者にその効力を及ぼさない。


    第250条 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの(死刑に当たるものを除く。)については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。

     無期の懲役又は禁錮に当たる罪については30年

     長期20年の懲役又は禁錮に当たる罪については20年

     前二号に掲げる罪以外の罪については10年

     時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。

     死刑に当たる罪については25年

     無期の懲役又は禁錮に当たる罪については15年

     長期15年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については10年

     長期15年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については7年

     長期10年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については5年

     長期5年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については3年

     拘留又は科料に当たる罪については1年


    第251条 二以上の主刑を併科し、又は二以上の主刑中その一を科すべき罪については、その重い刑に従つて、前条の規定を適用する。


    第252条 刑法により刑を加重し、又は減軽すべき場合には、加重し、又は減軽しない刑に従つて、第250条の規定を適用する。


    第253条 時効は、犯罪行為が終つた時から進行する。

     共犯の場合には、最終の行為が終つた時から、すべての共犯に対して時効の期間を起算する。


    第254条 時効は、当該事件についてした公訴の提起によつてその進行を停止し、管轄違又は公訴棄却の裁判が確定した時からその進行を始める。

     共犯の1人に対してした公訴の提起による時効の停止は、他の共犯に対してその効力を有する。この場合において、停止した時効は、当該事件についてした裁判が確定した時からその進行を始める。


    第255条 犯人が国外にいる場合又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達若しくは略式命令の告知ができなかつた場合には、時効は、その国外にいる期間又は逃げ隠れている期間その進行を停止する。

     犯人が国外にいること又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達若しくは略式命令の告知ができなかつたことの証明に必要な事項は、裁判所の規則でこれを定める。


    第256条 公訴の提起は、起訴状を提出してこれをしなければならない。

     起訴状には、左の事項を記載しなければならない。

     被告人の氏名その他被告人を特定するに足りる事項

     公訴事実

     罪名

     公訴事実は、訴因を明示してこれを記載しなければならない。訴因を明示するには、できる限り日時、場所及び方法を以て罪となるべき事実を特定してこれをしなければならない。

     罪名は、適用すべき罰条を示してこれを記載しなければならない。但し、罰条の記載の誤は、被告人の防禦に実質的な不利益を生ずる虞がない限り、公訴提起の効力に影響を及ぼさない。

     数個の訴因及び罰条は、予備的に又は択一的にこれを記載することができる。

     起訴状には、裁判官に事件につき予断を生ぜしめる虞のある書類その他の物を添附し、又はその内容を引用してはならない。


    第257条 公訴は、第一審の判決があるまでこれを取り消すことができる。


    第258条 検察官は、事件がその所属検察庁の対応する裁判所の管轄に属しないものと思料するときは、書類及び証拠物とともにその事件を管轄裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。


    第259条 検察官は、事件につき公訴を提起しない処分をした場合において、被疑者の請求があるときは、速やかにその旨をこれに告げなければならない。


    第260条 検察官は、告訴、告発又は請求のあつた事件について、公訴を提起し、又はこれを提起しない処分をしたときは、速やかにその旨を告訴人、告発人又は請求人に通知しなければならない。公訴を取り消し、又は事件を他の検察庁の検察官に送致したときも、同様である。


    第261条 検察官は、告訴、告発又は請求のあつた事件について公訴を提起しない処分をした場合において、告訴人、告発人又は請求人の請求があるときは、速やかに告訴人、告発人又は請求人にその理由を告げなければならない。


    第262条 刑法第193条から第196条まで又は破壊活動防止法(昭和27年法律第240号)第45条若しくは無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(平成11年法律第147号)第42条若しくは第43条の罪について告訴又は告発をした者は、検察官の公訴を提起しない処分に不服があるときは、その検察官所属の検察庁の所在地を管轄する地方裁判所に事件を裁判所の審判に付することを請求することができる。

     前項の請求は、第260条の通知を受けた日から7日以内に、請求書を公訴を提起しない処分をした検察官に差し出してこれをしなければならない。


    第263条 前条第1項の請求は、第266条の決定があるまでこれを取り下げることができる。

     前項の取下をした者は、その事件について更に前条第1項の請求をすることができない。


    第264条 検察官は、第262条第1項の請求を理由があるものと認めるときは、公訴を提起しなければならない。


    第265条 第262条第1項の請求についての審理及び裁判は、合議体でこれをしなければならない。

     裁判所は、必要があるときは、合議体の構成員に事実の取調をさせ、又は地方裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官にこれを嘱託することができる。この場合には、受命裁判官及び受託裁判官は、裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。


    第266条 裁判所は、第262条第1項の請求を受けたときは、左の区別に従い、決定をしなければならない。

     請求が法令上の方式に違反し、若しくは請求権の消滅後にされたものであるとき、又は請求が理由のないときは、請求を棄却する。

     請求が理由のあるときは、事件を管轄地方裁判所の審判に付する。


    第267条 前条第2号の決定があつたときは、その事件について公訴の提起があつたものとみなす。


    第267条の2 裁判所は、第266条第2号の決定をした場合において、同一の事件について、検察審査会法(昭和23年法律第147号)第2条第1項第1号に規定する審査を行う検察審査会又は同法第41条の6第1項の起訴議決をした検察審査会(同法第41条の9第1項の規定により公訴の提起及びその維持に当たる者が指定された後は、その者)があるときは、これに当該決定をした旨を通知しなければならない。


    第268条 裁判所は、第266条第2号の規定により事件がその裁判所の審判に付されたときは、その事件について公訴の維持にあたる者を弁護士の中から指定しなければならない。

     前項の指定を受けた弁護士は、事件について公訴を維持するため、裁判の確定に至るまで検察官の職務を行う。但し、検察事務官及び司法警察職員に対する捜査の指揮は、検察官に嘱託してこれをしなければならない。

     前項の規定により検察官の職務を行う弁護士は、これを法令により公務に従事する職員とみなす。

     裁判所は、第1項の指定を受けた弁護士がその職務を行うに適さないと認めるときその他特別の事情があるときは、何時でもその指定を取り消すことができる。

     第1項の指定を受けた弁護士には、政令で定める額の手当を給する。


    第269条 裁判所は、第262条第1項の請求を棄却する場合又はその請求の取下があつた場合には、決定で、請求者に、その請求に関する手続によつて生じた費用の全部又は一部の賠償を命ずることができる。この決定に対しては、即時抗告をすることができる。


    第270条 検察官は、公訴の提起後は、訴訟に関する書類及び証拠物を閲覧し、且つ謄写することができる。

     前項の規定にかかわらず、第157条の6第4項に規定する記録媒体は、謄写することができない。

    第3章 公判

    第1節 公判準備及び公判手続

    第271条 裁判所は、公訴の提起があつたときは、遅滞なく起訴状の謄本を被告人に送達しなければならない。

     公訴の提起があつた日から2箇月以内に起訴状の謄本が送達されないときは、公訴の提起は、さかのぼつてその効力を失う。


    第272条 裁判所は、公訴の提起があつたときは、遅滞なく被告人に対し、弁護人を選任することができる旨及び貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨を知らせなければならない。但し、被告人に弁護人があるときは、この限りでない。

     裁判所は、この法律により弁護人を要する場合を除いて、前項の規定により弁護人の選任を請求することができる旨を知らせるに当たつては、弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨及びその資力が基準額以上であるときは、あらかじめ、弁護士会(第36条の3第1項の規定により第31条の2第1項の申出をすべき弁護士会をいう。)に弁護人の選任の申出をしていなければならない旨を教示しなければならない。


    第273条 裁判長は、公判期日を定めなければならない。

     公判期日には、被告人を召喚しなければならない。

     公判期日は、これを検察官、弁護人及び補佐人に通知しなければならない。


    第274条 裁判所の構内にいる被告人に対し公判期日を通知したときは、召喚状の送達があつた場合と同一の効力を有する。


    第275条 第一回の公判期日と被告人に対する召喚状の送達との間には、裁判所の規則で定める猶予期間を置かなければならない。


    第276条 裁判所は、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で、公判期日を変更することができる。

     公判期日を変更するには、裁判所の規則の定めるところにより、あらかじめ、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。但し、急速を要する場合は、この限りでない。

     前項但書の場合には、変更後の公判期日において、まず、検察官及び被告人又は弁護人に対し、異議を申し立てる機会を与えなければならない。


    第277条 裁判所がその権限を濫用して公判期日を変更したときは、訴訟関係人は、最高裁判所の規則又は訓令の定めるところにより、司法行政監督上の措置を求めることができる。


    第278条 公判期日に召喚を受けた者が病気その他の事由によつて出頭することができないときは、裁判所の規則の定めるところにより、医師の診断書その他の資料を提出しなければならない。


    第278条の2 裁判所は、必要と認めるときは、検察官又は弁護人に対し、公判準備又は公判期日に出頭し、かつ、これらの手続が行われている間在席し又は在廷することを命ずることができる。

     裁判長は、急速を要する場合には、前項に規定する命令をし、又は合議体の構成員にこれをさせることができる。

     前二項の規定による命令を受けた検察官又は弁護人が正当な理由がなくこれに従わないときは、決定で、10万円以下の過料に処し、かつ、その命令に従わないために生じた費用の賠償を命ずることができる。

     前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。

     裁判所は、第3項の決定をしたときは、検察官については当該検察官を指揮監督する権限を有する者に、弁護士である弁護人については当該弁護士の所属する弁護士会又は日本弁護士連合会に通知し、適当な処置をとるべきことを請求しなければならない。

     前項の規定による請求を受けた者は、そのとつた処置を裁判所に通知しなければならない。


    第279条 裁判所は、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。


    第280条 公訴の提起があつた後第一回の公判期日までは、勾留に関する処分は、裁判官がこれを行う。

     第199条若しくは第210条の規定により逮捕され、又は現行犯人として逮捕された被疑者でまだ勾留されていないものについて第204条又は第205条の時間の制限内に公訴の提起があつた場合には、裁判官は、速やかに、被告事件を告げ、これに関する陳述を聴き、勾留状を発しないときは、直ちにその釈放を命じなければならない。

     前二項の裁判官は、その処分に関し、裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。


    第281条 証人については、裁判所は、第158条に掲げる事項を考慮した上、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き必要と認めるときに限り、公判期日外においてこれを尋問することができる。


    第281条の2 裁判所は、公判期日外における証人尋問に被告人が立ち会つた場合において、証人が被告人の面前(第157条の5第1項に規定する措置を採る場合並びに第157条の6第1項及び第2項に規定する方法による場合を含む。)においては圧迫を受け充分な供述をすることができないと認めるときは、弁護人が立ち会つている場合に限り、検察官及び弁護人の意見を聴き、その証人の供述中被告人を退席させることができる。この場合には、供述終了後被告人に証言の要旨を告知し、その証人を尋問する機会を与えなければならない。


    第281条の3 弁護人は、検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧又は謄写の機会を与えた証拠に係る複製等(複製その他証拠の全部又は一部をそのまま記録した物及び書面をいう。以下同じ。)を適正に管理し、その保管をみだりに他人にゆだねてはならない。


    第281条の4 被告人若しくは弁護人(第440条に規定する弁護人を含む。)又はこれらであつた者は、検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧又は謄写の機会を与えた証拠に係る複製等を、次に掲げる手続又はその準備に使用する目的以外の目的で、人に交付し、又は提示し、若しくは電気通信回線を通じて提供してはならない。

     当該被告事件の審理その他の当該被告事件に係る裁判のための審理

     当該被告事件に関する次に掲げる手続

     第1編第16章の規定による費用の補償の手続

     第349条第1項の請求があつた場合の手続

     第350条の請求があつた場合の手続

     上訴権回復の請求の手続

     再審の請求の手続

     非常上告の手続

     第500条第1項の申立ての手続

     第502条の申立ての手続

     刑事補償法の規定による補償の請求の手続

     前項の規定に違反した場合の措置については、被告人の防御権を踏まえ、複製等の内容、行為の目的及び態様、関係人の名誉、その私生活又は業務の平穏を害されているかどうか、当該複製等に係る証拠が公判期日において取り調べられたものであるかどうか、その取調べの方法その他の事情を考慮するものとする。


    第281条の5 被告人又は被告人であつた者が、検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧又は謄写の機会を与えた証拠に係る複製等を、前条第1項各号に掲げる手続又はその準備に使用する目的以外の目的で、人に交付し、又は提示し、若しくは電気通信回線を通じて提供したときは、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

     弁護人(第440条に規定する弁護人を含む。以下この項において同じ。)又は弁護人であつた者が、検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧又は謄写の機会を与えた証拠に係る複製等を、対価として財産上の利益その他の利益を得る目的で、人に交付し、又は提示し、若しくは電気通信回線を通じて提供したときも、前項と同様とする。


    第281条の6 裁判所は、審理に2日以上を要する事件については、できる限り、連日開廷し、継続して審理を行わなければならない。

     訴訟関係人は、期日を厳守し、審理に支障を来さないようにしなければならない。


    第282条 公判期日における取調は、公判廷でこれを行う。

     公判廷は、裁判官及び裁判所書記が列席し、且つ検察官が出席してこれを開く。


    第283条 被告人が法人である場合には、代理人を出頭させることができる。


    第284条 50万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、5万円)以下の罰金又は科料に当たる事件については、被告人は、公判期日に出頭することを要しない。ただし、被告人は、代理人を出頭させることができる。


    第285条 拘留にあたる事件の被告人は、判決の宣告をする場合には、公判期日に出頭しなければならない。その他の場合には、裁判所は、被告人の出頭がその権利の保護のため重要でないと認めるときは、被告人に対し公判期日に出頭しないことを許すことができる。

     長期3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、5万円)を超える罰金に当たる事件の被告人は、第291条の手続をする場合及び判決の宣告をする場合には、公判期日に出頭しなければならない。その他の場合には、前項後段の例による。


    第286条 前三条に規定する場合の外、被告人が公判期日に出頭しないときは、開廷することはできない。


    第286条の2 被告人が出頭しなければ開廷することができない場合において、勾留されている被告人が、公判期日に召喚を受け、正当な理由がなく出頭を拒否し、刑事施設職員による引致を著しく困難にしたときは、裁判所は、被告人が出頭しないでも、その期日の公判手続を行うことができる。


    第287条 公判廷においては、被告人の身体を拘束してはならない。但し、被告人が暴力を振い又は逃亡を企てた場合は、この限りでない。

     被告人の身体を拘束しない場合にも、これに看守者を附することができる。


    第288条 被告人は、裁判長の許可がなければ、退廷することができない。

     裁判長は、被告人を在廷させるため、又は法廷の秩序を維持するため相当な処分をすることができる。


    第289条 死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮にあたる事件を審理する場合には、弁護人がなければ開廷することはできない。

     弁護人がなければ開廷することができない場合において、弁護人が出頭しないとき若しくは在廷しなくなつたとき、又は弁護人がないときは、裁判長は、職権で弁護人を付さなければならない。

     弁護人がなければ開廷することができない場合において、弁護人が出頭しないおそれがあるときは、裁判所は、職権で弁護人を付することができる。


    第290条 第37条各号の場合に弁護人が出頭しないときは、裁判所は、職権で弁護人を附することができる。


    第290条の2 裁判所は、次に掲げる事件を取り扱う場合において、当該事件の被害者等(被害者又は被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹をいう。以下同じ。)若しくは当該被害者の法定代理人又はこれらの者から委託を受けた弁護士から申出があるときは、被告人又は弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、被害者特定事項(氏名及び住所その他の当該事件の被害者を特定させることとなる事項をいう。以下同じ。)を公開の法廷で明らかにしない旨の決定をすることができる。

     刑法第176条から第179条まで若しくは第181条の罪、同法第225条若しくは第226条の2第3項の罪(わいせつ又は結婚の目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、同法第227条第1項(第225条又は第226条の2第3項の罪を犯した者を幇助する目的に係る部分に限る。)若しくは第3項(わいせつの目的に係る部分に限る。)若しくは第241条第1項若しくは第3項の罪又はこれらの罪の未遂罪に係る事件

     児童福祉法第60条第1項の罪若しくは同法第34条第1項第9号に係る同法第60条第2項の罪又は児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第4条から第8条までの罪に係る事件

     前二号に掲げる事件のほか、犯行の態様、被害の状況その他の事情により、被害者特定事項が公開の法廷で明らかにされることにより被害者等の名誉又は社会生活の平穏が著しく害されるおそれがあると認められる事件

     前項の申出は、あらかじめ、検察官にしなければならない。この場合において、検察官は、意見を付して、これを裁判所に通知するものとする。

     裁判所は、第1項に定めるもののほか、犯行の態様、被害の状況その他の事情により、被害者特定事項が公開の法廷で明らかにされることにより被害者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認められる事件を取り扱う場合において、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、被害者特定事項を公開の法廷で明らかにしない旨の決定をすることができる。

     裁判所は、第1項又は前項の決定をした事件について、被害者特定事項を公開の法廷で明らかにしないことが相当でないと認めるに至つたとき、第312条の規定により罰条が撤回若しくは変更されたため第1項第1号若しくは第2号に掲げる事件に該当しなくなつたとき又は同項第3号に掲げる事件若しくは前項に規定する事件に該当しないと認めるに至つたときは、決定で、第1項又は前項の決定を取り消さなければならない。


    第290条の3 裁判所は、次に掲げる場合において、証人、鑑定人、通訳人、翻訳人又は供述録取書等(供述書、供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるもの又は映像若しくは音声を記録することができる記録媒体であつて供述を記録したものをいう。以下同じ。)の供述者(以下この項において「証人等」という。)から申出があるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、証人等特定事項(氏名及び住所その他の当該証人等を特定させることとなる事項をいう。以下同じ。)を公開の法廷で明らかにしない旨の決定をすることができる。

     証人等特定事項が公開の法廷で明らかにされることにより証人等若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認めるとき。

     前号に掲げる場合のほか、証人等特定事項が公開の法廷で明らかにされることにより証人等の名誉又は社会生活の平穏が著しく害されるおそれがあると認めるとき。

     裁判所は、前項の決定をした事件について、証人等特定事項を公開の法廷で明らかにしないことが相当でないと認めるに至つたときは、決定で、同項の決定を取り消さなければならない。


    第291条 検察官は、まず、起訴状を朗読しなければならない。

     第290条の2第1項又は第3項の決定があつたときは、前項の起訴状の朗読は、被害者特定事項を明らかにしない方法でこれを行うものとする。この場合においては、検察官は、被告人に起訴状を示さなければならない。

     前条第1項の決定があつた場合における第1項の起訴状の朗読についても、前項と同様とする。この場合において、同項中「被害者特定事項」とあるのは、「証人等特定事項」とする。

     裁判長は、起訴状の朗読が終つた後、被告人に対し、終始沈黙し、又は個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨その他裁判所の規則で定める被告人の権利を保護するため必要な事項を告げた上、被告人及び弁護人に対し、被告事件について陳述する機会を与えなければならない。


    第291条の2 被告人が、前条第4項の手続に際し、起訴状に記載された訴因について有罪である旨を陳述したときは、裁判所は、検察官、被告人及び弁護人の意見を聴き、有罪である旨の陳述のあつた訴因に限り、簡易公判手続によつて審判をする旨の決定をすることができる。ただし、死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる事件については、この限りでない。


    第291条の3 裁判所は、前条の決定があつた事件が簡易公判手続によることができないものであり、又はこれによることが相当でないものであると認めるときは、その決定を取り消さなければならない。


    第292条 証拠調べは、第291条の手続が終つた後、これを行う。ただし、次節第1款に定める公判前整理手続において争点及び証拠の整理のために行う手続については、この限りでない。


    第292条の2 裁判所は、被害者等又は当該被害者の法定代理人から、被害に関する心情その他の被告事件に関する意見の陳述の申出があるときは、公判期日において、その意見を陳述させるものとする。

     前項の規定による意見の陳述の申出は、あらかじめ、検察官にしなければならない。この場合において、検察官は、意見を付して、これを裁判所に通知するものとする。

     裁判長又は陪席の裁判官は、被害者等又は当該被害者の法定代理人が意見を陳述した後、その趣旨を明確にするため、これらの者に質問することができる。

     訴訟関係人は、被害者等又は当該被害者の法定代理人が意見を陳述した後、その趣旨を明確にするため、裁判長に告げて、これらの者に質問することができる。

     裁判長は、被害者等若しくは当該被害者の法定代理人の意見の陳述又は訴訟関係人の被害者等若しくは当該被害者の法定代理人に対する質問が既にした陳述若しくは質問と重複するとき、又は事件に関係のない事項にわたるときその他相当でないときは、これを制限することができる。

     第157条の4、第157条の5並びに第157条の6第1項及び第2項の規定は、第1項の規定による意見の陳述について準用する。

     裁判所は、審理の状況その他の事情を考慮して、相当でないと認めるときは、意見の陳述に代え意見を記載した書面を提出させ、又は意見の陳述をさせないことができる。

     前項の規定により書面が提出された場合には、裁判長は、公判期日において、その旨を明らかにしなければならない。この場合において、裁判長は、相当と認めるときは、その書面を朗読し、又はその要旨を告げることができる。

     第1項の規定による陳述又は第7項の規定による書面は、犯罪事実の認定のための証拠とすることができない。


    第293条 証拠調が終つた後、検察官は、事実及び法律の適用について意見を陳述しなければならない。

     被告人及び弁護人は、意見を陳述することができる。


    第294条 公判期日における訴訟の指揮は、裁判長がこれを行う。


    第295条 裁判長は、訴訟関係人のする尋問又は陳述が既にした尋問若しくは陳述と重複するとき、又は事件に関係のない事項にわたるときその他相当でないときは、訴訟関係人の本質的な権利を害しない限り、これを制限することができる。訴訟関係人の被告人に対する供述を求める行為についても同様である。

     裁判長は、証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人を尋問する場合において、証人、鑑定人、通訳人若しくは翻訳人若しくはこれらの親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあり、これらの者の住居、勤務先その他その通常所在する場所が特定される事項が明らかにされたならば証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人が十分な供述をすることができないと認めるときは、当該事項についての尋問を制限することができる。ただし、検察官のする尋問を制限することにより犯罪の証明に重大な支障を生ずるおそれがあるとき、又は被告人若しくは弁護人のする尋問を制限することにより被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。

     裁判長は、第290条の2第1項又は第3項の決定があつた場合において、訴訟関係人のする尋問又は陳述が被害者特定事項にわたるときは、これを制限することにより、犯罪の証明に重大な支障を生ずるおそれがある場合又は被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがある場合を除き、当該尋問又は陳述を制限することができる。訴訟関係人の被告人に対する供述を求める行為についても、同様とする。

     第290条の3第1項の決定があつた場合における訴訟関係人のする尋問若しくは陳述又は訴訟関係人の被告人に対する供述を求める行為についても、前項と同様とする。この場合において、同項中「被害者特定事項」とあるのは、「証人等特定事項」とする。

     裁判所は、前各項の規定による命令を受けた検察官又は弁護士である弁護人がこれに従わなかつた場合には、検察官については当該検察官を指揮監督する権限を有する者に、弁護士である弁護人については当該弁護士の所属する弁護士会又は日本弁護士連合会に通知し、適当な処置をとるべきことを請求することができる。

     前項の規定による請求を受けた者は、そのとつた処置を裁判所に通知しなければならない。


    第296条 証拠調のはじめに、検察官は、証拠により証明すべき事実を明らかにしなければならない。但し、証拠とすることができず、又は証拠としてその取調を請求する意思のない資料に基いて、裁判所に事件について偏見又は予断を生ぜしめる虞のある事項を述べることはできない。


    第297条 裁判所は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、証拠調の範囲、順序及び方法を定めることができる。

     前項の手続は、合議体の構成員にこれをさせることができる。

     裁判所は、適当と認めるときは、何時でも、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、第1項の規定により定めた証拠調の範囲、順序又は方法を変更することができる。


    第298条 検察官、被告人又は弁護人は、証拠調を請求することができる。

     裁判所は、必要と認めるときは、職権で証拠調をすることができる。


    第299条 検察官、被告人又は弁護人が証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人の尋問を請求するについては、あらかじめ、相手方に対し、その氏名及び住居を知る機会を与えなければならない。証拠書類又は証拠物の取調を請求するについては、あらかじめ、相手方にこれを閲覧する機会を与えなければならない。但し、相手方に異議のないときは、この限りでない。

     裁判所が職権で証拠調の決定をするについては、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。


    第299条の2 検察官又は弁護人は、前条第1項の規定により証人、鑑定人、通訳人若しくは翻訳人の氏名及び住居を知る機会を与え又は証拠書類若しくは証拠物を閲覧する機会を与えるに当たり、証人、鑑定人、通訳人若しくは翻訳人若しくは証拠書類若しくは証拠物にその氏名が記載され若しくは記録されている者若しくはこれらの親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認めるときは、相手方に対し、その旨を告げ、これらの者の住居、勤務先その他その通常所在する場所が特定される事項が、犯罪の証明若しくは犯罪の捜査又は被告人の防御に関し必要がある場合を除き、関係者(被告人を含む。)に知られないようにすることその他これらの者の安全が脅かされることがないように配慮することを求めることができる。


    第299条の3 検察官は、第299条第1項の規定により証人の氏名及び住居を知る機会を与え又は証拠書類若しくは証拠物を閲覧する機会を与えるに当たり、被害者特定事項が明らかにされることにより、被害者等の名誉若しくは社会生活の平穏が著しく害されるおそれがあると認めるとき、又は被害者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え若しくはこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認めるときは、弁護人に対し、その旨を告げ、被害者特定事項が、被告人の防御に関し必要がある場合を除き、被告人その他の者に知られないようにすることを求めることができる。ただし、被告人に知られないようにすることを求めることについては、被害者特定事項のうち起訴状に記載された事項以外のものに限る。


    第299条の4 検察官は、第299条第1項の規定により証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人の氏名及び住居を知る機会を与えるべき場合において、その者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認めるときは、弁護人に対し、当該氏名及び住居を知る機会を与えた上で、当該氏名又は住居を被告人に知らせてはならない旨の条件を付し、又は被告人に知らせる時期若しくは方法を指定することができる。ただし、その証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるときその他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。

     検察官は、前項本文の場合において、同項本文の規定による措置によつては同項本文に規定する行為を防止できないおそれがあると認めるとき(被告人に弁護人がないときを含む。)は、その証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなる場合その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがある場合を除き、被告人及び弁護人に対し、その証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人の氏名又は住居を知る機会を与えないことができる。この場合において、被告人又は弁護人に対し、氏名にあつてはこれに代わる呼称を、住居にあつてはこれに代わる連絡先を知る機会を与えなければならない。

     検察官は、第299条第1項の規定により証拠書類又は証拠物を閲覧する機会を与えるべき場合において、証拠書類若しくは証拠物に氏名若しくは住居が記載され若しくは記録されている者であつて検察官が証人、鑑定人、通訳人若しくは翻訳人として尋問を請求するもの若しくは供述録取書等の供述者(以下この項及び次項において「検察官請求証人等」という。)若しくは検察官請求証人等の親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認めるときは、弁護人に対し、証拠書類又は証拠物を閲覧する機会を与えた上で、その検察官請求証人等の氏名又は住居を被告人に知らせてはならない旨の条件を付し、又は被告人に知らせる時期若しくは方法を指定することができる。ただし、その検察官請求証人等の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるときその他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。

     検察官は、前項本文の場合において、同項本文の規定による措置によつては同項本文に規定する行為を防止できないおそれがあると認めるとき(被告人に弁護人がないときを含む。)は、その検察官請求証人等の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなる場合その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがある場合を除き、被告人及び弁護人に対し、証拠書類又は証拠物のうちその検察官請求証人等の氏名又は住居が記載され又は記録されている部分について閲覧する機会を与えないことができる。この場合において、被告人又は弁護人に対し、氏名にあつてはこれに代わる呼称を、住居にあつてはこれに代わる連絡先を知る機会を与えなければならない。

     検察官は、前各項の規定による措置をとつたときは、速やかに、裁判所にその旨を通知しなければならない。


    第299条の5 裁判所は、検察官が前条第1項から第4項までの規定による措置をとつた場合において、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、被告人又は弁護人の請求により、決定で、当該措置の全部又は一部を取り消さなければならない。

     当該措置に係る者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがないとき。

     当該措置により、当該措置に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるときその他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるとき。

     検察官のとつた措置が前条第2項又は第4項の規定によるものである場合において、同条第1項本文又は第3項本文の規定による措置によつて第1号に規定する行為を防止できるとき。

     裁判所は、前項第2号又は第3号に該当すると認めて検察官がとつた措置の全部又は一部を取り消す場合において、同項第1号に規定する行為がなされるおそれがあると認めるときは、弁護人に対し、当該措置に係る者の氏名又は住居を被告人に知らせてはならない旨の条件を付し、又は被告人に知らせる時期若しくは方法を指定することができる。ただし、当該条件を付し、又は当該時期若しくは方法の指定をすることにより、当該措置に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるときその他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。

     裁判所は、第1項の請求について決定をするときは、検察官の意見を聴かなければならない。

     第1項の請求についてした決定(第2項の規定により条件を付し、又は時期若しくは方法を指定する裁判を含む。)に対しては、即時抗告をすることができる。


    第299条の6 裁判所は、検察官がとつた第299条の4第1項若しくは第3項の規定による措置に係る者若しくは裁判所がとつた前条第2項の規定による措置に係る者若しくはこれらの親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認める場合において、検察官及び弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、弁護人が第40条第1項の規定により訴訟に関する書類又は証拠物を閲覧し又は謄写するに当たり、これらに記載され又は記録されている当該措置に係る者の氏名又は住居を被告人に知らせてはならない旨の条件を付し、又は被告人に知らせる時期若しくは方法を指定することができる。ただし、当該措置に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるときその他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。

     裁判所は、検察官がとつた第299条の4第2項若しくは第4項の規定による措置に係る者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認める場合において、検察官及び弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、弁護人が第40条第1項の規定により訴訟に関する書類又は証拠物を閲覧し又は謄写するについて、これらのうち当該措置に係る者の氏名若しくは住居が記載され若しくは記録されている部分の閲覧若しくは謄写を禁じ、又は当該氏名若しくは住居を被告人に知らせてはならない旨の条件を付し、若しくは被告人に知らせる時期若しくは方法を指定することができる。ただし、当該措置に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるときその他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。

     裁判所は、検察官がとつた第299条の4第1項から第4項までの規定による措置に係る者若しくは裁判所がとつた前条第2項の規定による措置に係る者若しくはこれらの親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認める場合において、検察官及び被告人の意見を聴き、相当と認めるときは、被告人が第49条の規定により公判調書を閲覧し又はその朗読を求めるについて、このうち当該措置に係る者の氏名若しくは住居が記載され若しくは記録されている部分の閲覧を禁じ、又は当該部分の朗読の求めを拒むことができる。ただし、当該措置に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるときその他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。


    第299条の7 検察官は、第299条の4第1項若しくは第3項の規定により付した条件に弁護人が違反したとき、又はこれらの規定による時期若しくは方法の指定に弁護人が従わなかつたときは、弁護士である弁護人については当該弁護士の所属する弁護士会又は日本弁護士連合会に通知し、適当な処置をとるべきことを請求することができる。

     裁判所は、第299条の5第2項若しくは前条第1項若しくは第2項の規定により付した条件に弁護人が違反したとき、又はこれらの規定による時期若しくは方法の指定に弁護人が従わなかつたときは、弁護士である弁護人については当該弁護士の所属する弁護士会又は日本弁護士連合会に通知し、適当な処置をとるべきことを請求することができる。

     前二項の規定による請求を受けた者は、そのとつた処置をその請求をした検察官又は裁判所に通知しなければならない。


    第300条 第321条第1項第2号後段の規定により証拠とすることができる書面については、検察官は、必ずその取調を請求しなければならない。


    第301条 第322条及び第324条第1項の規定により証拠とすることができる被告人の供述が自白である場合には、犯罪事実に関する他の証拠が取り調べられた後でなければ、その取調を請求することはできない。


    第302条 第321条乃至第323条又は第326条の規定により証拠とすることができる書面が捜査記録の一部であるときは、検察官は、できる限り他の部分と分離してその取調を請求しなければならない。


    第303条 公判準備においてした証人その他の者の尋問、検証、押収及び捜索の結果を記載した書面並びに押収した物については、裁判所は、公判期日において証拠書類又は証拠物としてこれを取り調べなければならない。


    第304条 証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人は、裁判長又は陪席の裁判官が、まず、これを尋問する。

     検察官、被告人又は弁護人は、前項の尋問が終つた後、裁判長に告げて、その証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人を尋問することができる。この場合において、その証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人の取調が、検察官、被告人又は弁護人の請求にかかるものであるときは、請求をした者が、先に尋問する。

     裁判所は、適当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、前二項の尋問の順序を変更することができる。


    第304条の2 裁判所は、証人を尋問する場合において、証人が被告人の面前(第157条の5第1項に規定する措置を採る場合並びに第157条の6第1項及び第2項に規定する方法による場合を含む。)においては圧迫を受け充分な供述をすることができないと認めるときは、弁護人が出頭している場合に限り、検察官及び弁護人の意見を聴き、その証人の供述中被告人を退廷させることができる。この場合には、供述終了後被告人を入廷させ、これに証言の要旨を告知し、その証人を尋問する機会を与えなければならない。


    第305条 検察官、被告人又は弁護人の請求により、証拠書類の取調べをするについては、裁判長は、その取調べを請求した者にこれを朗読させなければならない。ただし、裁判長は、自らこれを朗読し、又は陪席の裁判官若しくは裁判所書記官にこれを朗読させることができる。

     裁判所が職権で証拠書類の取調べをするについては、裁判長は、自らその書類を朗読し、又は陪席の裁判官若しくは裁判所書記官にこれを朗読させなければならない。

     第290条の2第1項又は第3項の決定があつたときは、前二項の規定による証拠書類の朗読は、被害者特定事項を明らかにしない方法でこれを行うものとする。

     第290条の3第1項の決定があつた場合における第1項又は第2項の規定による証拠書類の朗読についても、前項と同様とする。この場合において、同項中「被害者特定事項」とあるのは、「証人等特定事項」とする。

     第157条の6第4項の規定により記録媒体がその一部とされた調書の取調べについては、第1項又は第2項の規定による朗読に代えて、当該記録媒体を再生するものとする。ただし、裁判長は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、当該記録媒体の再生に代えて、当該調書の取調べを請求した者、陪席の裁判官若しくは裁判所書記官に当該調書に記録された供述の内容を告げさせ、又は自らこれを告げることができる。

     裁判所は、前項の規定により第157条の6第4項に規定する記録媒体を再生する場合において、必要と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、第157条の5に規定する措置を採ることができる。


    第306条 検察官、被告人又は弁護人の請求により、証拠物の取調をするについては、裁判長は、請求をした者をしてこれを示させなければならない。但し、裁判長は、自らこれを示し、又は陪席の裁判官若しくは裁判所書記にこれを示させることができる。

     裁判所が職権で証拠物の取調をするについては、裁判長は、自らこれを訴訟関係人に示し、又は陪席の裁判官若しくは裁判所書記にこれを示させなければならない。


    第307条 証拠物中書面の意義が証拠となるものの取調をするについては、前条の規定による外、第305条の規定による。


    第307条の2 第291条の2の決定があつた事件については、第296条、第297条、第300条乃至第302条及び第304条乃至前条の規定は、これを適用せず、証拠調は、公判期日において、適当と認める方法でこれを行うことができる。


    第308条 裁判所は、検察官及び被告人又は弁護人に対し、証拠の証明力を争うために必要とする適当な機会を与えなければならない。


    第309条 検察官、被告人又は弁護人は、証拠調に関し異議を申し立てることができる。

     検察官、被告人又は弁護人は、前項に規定する場合の外、裁判長の処分に対して異議を申し立てることができる。

     裁判所は、前二項の申立について決定をしなければならない。


    第310条 証拠調を終つた証拠書類又は証拠物は、遅滞なくこれを裁判所に提出しなければならない。但し、裁判所の許可を得たときは、原本に代え、その謄本を提出することができる。


    第311条 被告人は、終始沈黙し、又は個々の質問に対し、供述を拒むことができる。

     被告人が任意に供述をする場合には、裁判長は、何時でも必要とする事項につき被告人の供述を求めることができる。

     陪席の裁判官、検察官、弁護人、共同被告人又はその弁護人は、裁判長に告げて、前項の供述を求めることができる。


    第312条 裁判所は、検察官の請求があるときは、公訴事実の同一性を害しない限度において、起訴状に記載された訴因又は罰条の追加、撤回又は変更を許さなければならない。

     裁判所は、審理の経過に鑑み適当と認めるときは、訴因又は罰条を追加又は変更すべきことを命ずることができる。

     裁判所は、訴因又は罰条の追加、撤回又は変更があつたときは、速やかに追加、撤回又は変更された部分を被告人に通知しなければならない。

     裁判所は、訴因又は罰条の追加又は変更により被告人の防禦に実質的な不利益を生ずる虞があると認めるときは、被告人又は弁護人の請求により、決定で、被告人に充分な防禦の準備をさせるため必要な期間公判手続を停止しなければならない。


    第313条 裁判所は、適当と認めるときは、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で、決定を以て、弁論を分離し若しくは併合し、又は終結した弁論を再開することができる。

     裁判所は、被告人の権利を保護するため必要があるときは、裁判所の規則の定めるところにより、決定を以て弁論を分離しなければならない。


    第313条の2 この法律の規定に基づいて裁判所若しくは裁判長又は裁判官が付した弁護人の選任は、弁論が併合された事件についてもその効力を有する。ただし、裁判所がこれと異なる決定をしたときは、この限りでない。

     前項ただし書の決定をするには、あらかじめ、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。


    第314条 被告人が心神喪失の状態に在るときは、検察官及び弁護人の意見を聴き、決定で、その状態の続いている間公判手続を停止しなければならない。但し、無罪、免訴、刑の免除又は公訴棄却の裁判をすべきことが明らかな場合には、被告人の出頭を待たないで、直ちにその裁判をすることができる。

     被告人が病気のため出頭することができないときは、検察官及び弁護人の意見を聴き、決定で、出頭することができるまで公判手続を停止しなければならない。但し、第284条及び第285条の規定により代理人を出頭させた場合は、この限りでない。

     犯罪事実の存否の証明に欠くことのできない証人が病気のため公判期日に出頭することができないときは、公判期日外においてその取調をするのを適当と認める場合の外、決定で、出頭することができるまで公判手続を停止しなければならない。

     前三項の規定により公判手続を停止するには、医師の意見を聴かなければならない。


    第315条 開廷後裁判官がかわつたときは、公判手続を更新しなければならない。但し、判決の宣告をする場合は、この限りでない。


    第315条の2 第291条の2の決定が取り消されたときは、公判手続を更新しなければならない。但し、検察官及び被告人又は弁護人に異議がないときは、この限りでない。


    第316条 地方裁判所において1人の裁判官のした訴訟手続は、被告事件が合議体で審判すべきものであつた場合にも、その効力を失わない。

    第2節 争点及び証拠の整理手続

    第1款 公判前整理手続
    第1目 通則

    第316条の2 裁判所は、充実した公判の審理を継続的、計画的かつ迅速に行うため必要があると認めるときは、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で、第一回公判期日前に、決定で、事件の争点及び証拠を整理するための公判準備として、事件を公判前整理手続に付することができる。

     前項の決定又は同項の請求を却下する決定をするには、裁判所の規則の定めるところにより、あらかじめ、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。

     公判前整理手続は、この款に定めるところにより、訴訟関係人を出頭させて陳述させ、又は訴訟関係人に書面を提出させる方法により、行うものとする。


    第316条の3 裁判所は、充実した公判の審理を継続的、計画的かつ迅速に行うことができるよう、公判前整理手続において、十分な準備が行われるようにするとともに、できる限り早期にこれを終結させるように努めなければならない。

     訴訟関係人は、充実した公判の審理を継続的、計画的かつ迅速に行うことができるよう、公判前整理手続において、相互に協力するとともに、その実施に関し、裁判所に進んで協力しなければならない。


    第316条の4 公判前整理手続においては、被告人に弁護人がなければその手続を行うことができない。

     公判前整理手続において被告人に弁護人がないときは、裁判長は、職権で弁護人を付さなければならない。


    第316条の5 公判前整理手続においては、次に掲げる事項を行うことができる。

     訴因又は罰条を明確にさせること。

     訴因又は罰条の追加、撤回又は変更を許すこと。

     公判期日においてすることを予定している主張を明らかにさせて事件の争点を整理すること。

     証拠調べの請求をさせること。

     前号の請求に係る証拠について、その立証趣旨、尋問事項等を明らかにさせること。

     証拠調べの請求に関する意見(証拠書類について第326条の同意をするかどうかの意見を含む。)を確かめること。

     証拠調べをする決定又は証拠調べの請求を却下する決定をすること。

     証拠調べをする決定をした証拠について、その取調べの順序及び方法を定めること。

     証拠調べに関する異議の申立てに対して決定をすること。

     第3目の定めるところにより証拠開示に関する裁定をすること。

    十一 第316条の33第1項の規定による被告事件の手続への参加の申出に対する決定又は当該決定を取り消す決定をすること。

    十二 公判期日を定め、又は変更することその他公判手続の進行上必要な事項を定めること。


    第316条の6 裁判長は、訴訟関係人を出頭させて公判前整理手続をするときは、公判前整理手続期日を定めなければならない。

     公判前整理手続期日は、これを検察官、被告人及び弁護人に通知しなければならない。

     裁判長は、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で、公判前整理手続期日を変更することができる。この場合においては、裁判所の規則の定めるところにより、あらかじめ、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。


    第316条の7 公判前整理手続期日に検察官又は弁護人が出頭しないときは、その期日の手続を行うことができない。


    第316条の8 弁護人が公判前整理手続期日に出頭しないとき、又は在席しなくなつたときは、裁判長は、職権で弁護人を付さなければならない。

     弁護人が公判前整理手続期日に出頭しないおそれがあるときは、裁判所は、職権で弁護人を付することができる。


    第316条の9 被告人は、公判前整理手続期日に出頭することができる。

     裁判所は、必要と認めるときは、被告人に対し、公判前整理手続期日に出頭することを求めることができる。

     裁判長は、被告人を出頭させて公判前整理手続をする場合には、被告人が出頭する最初の公判前整理手続期日において、まず、被告人に対し、終始沈黙し、又は個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨を告知しなければならない。


    第316条の10 裁判所は、弁護人の陳述又は弁護人が提出する書面について被告人の意思を確かめる必要があると認めるときは、公判前整理手続期日において被告人に対し質問を発し、及び弁護人に対し被告人と連署した書面の提出を求めることができる。


    第316条の11 裁判所は、合議体の構成員に命じ、公判前整理手続(第316条の5第2号、第7号及び第9号から第11号までの決定を除く。)をさせることができる。この場合において、受命裁判官は、裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。


    第316条の12 公判前整理手続期日には、裁判所書記官を立ち会わせなければならない。

     公判前整理手続期日における手続については、裁判所の規則の定めるところにより、公判前整理手続調書を作成しなければならない。

    第2目 争点及び証拠の整理

    第316条の13 検察官は、事件が公判前整理手続に付されたときは、その証明予定事実(公判期日において証拠により証明しようとする事実をいう。以下同じ。)を記載した書面を、裁判所に提出し、及び被告人又は弁護人に送付しなければならない。この場合においては、当該書面には、証拠とすることができず、又は証拠としてその取調べを請求する意思のない資料に基づいて、裁判所に事件について偏見又は予断を生じさせるおそれのある事項を記載することができない。

     検察官は、前項の証明予定事実を証明するために用いる証拠の取調べを請求しなければならない。

     前項の規定により証拠の取調べを請求するについては、第299条第1項の規定は適用しない。

     裁判所は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴いた上で、第1項の書面の提出及び送付並びに第2項の請求の期限を定めるものとする。


    第316条の14 検察官は、前条第2項の規定により取調べを請求した証拠(以下「検察官請求証拠」という。)については、速やかに、被告人又は弁護人に対し、次の各号に掲げる証拠の区分に応じ、当該各号に定める方法による開示をしなければならない。

     証拠書類又は証拠物 当該証拠書類又は証拠物を閲覧する機会(弁護人に対しては、閲覧し、かつ、謄写する機会)を与えること。

     証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人 その氏名及び住居を知る機会を与え、かつ、その者の供述録取書等のうち、その者が公判期日において供述すると思料する内容が明らかになるもの(当該供述録取書等が存在しないとき、又はこれを閲覧させることが相当でないと認めるときにあつては、その者が公判期日において供述すると思料する内容の要旨を記載した書面)を閲覧する機会(弁護人に対しては、閲覧し、かつ、謄写する機会)を与えること。

     検察官は、前項の規定による証拠の開示をした後、被告人又は弁護人から請求があつたときは、速やかに、被告人又は弁護人に対し、検察官が保管する証拠の一覧表の交付をしなければならない。

     前項の一覧表には、次の各号に掲げる証拠の区分に応じ、証拠ごとに、当該各号に定める事項を記載しなければならない。

     証拠物 品名及び数量

     供述を録取した書面で供述者の署名又は押印のあるもの 当該書面の標目、作成の年月日及び供述者の氏名

     証拠書類(前号に掲げるものを除く。) 当該証拠書類の標目、作成の年月日及び作成者の氏名

     前項の規定にかかわらず、検察官は、同項の規定により第2項の1覧表に記載すべき事項であつて、これを記載することにより次に掲げるおそれがあると認めるものは、同項の一覧表に記載しないことができる。

     人の身体若しくは財産に害を加え又は人を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれ

     人の名誉又は社会生活の平穏が著しく害されるおそれ

     犯罪の証明又は犯罪の捜査に支障を生ずるおそれ

     検察官は、第2項の規定により一覧表の交付をした後、証拠を新たに保管するに至つたときは、速やかに、被告人又は弁護人に対し、当該新たに保管するに至つた証拠の一覧表の交付をしなければならない。この場合においては、前二項の規定を準用する。


    第316条の15 検察官は、前条第1項の規定による開示をした証拠以外の証拠であつて、次の各号に掲げる証拠の類型のいずれかに該当し、かつ、特定の検察官請求証拠の証明力を判断するために重要であると認められるものについて、被告人又は弁護人から開示の請求があつた場合において、その重要性の程度その他の被告人の防御の準備のために当該開示をすることの必要性の程度並びに当該開示によつて生じるおそれのある弊害の内容及び程度を考慮し、相当と認めるときは、速やかに、同項第1号に定める方法による開示をしなければならない。この場合において、検察官は、必要と認めるときは、開示の時期若しくは方法を指定し、又は条件を付することができる。

     証拠物

     第321条第2項に規定する裁判所又は裁判官の検証の結果を記載した書面

     第321条第3項に規定する書面又はこれに準ずる書面

     第321条第4項に規定する書面又はこれに準ずる書面

     次に掲げる者の供述録取書等

     検察官が証人として尋問を請求した者

     検察官が取調べを請求した供述録取書等の供述者であつて、当該供述録取書等が第326条の同意がされない場合には、検察官が証人として尋問を請求することを予定しているもの

     前号に掲げるもののほか、被告人以外の者の供述録取書等であつて、検察官が特定の検察官請求証拠により直接証明しようとする事実の有無に関する供述を内容とするもの

     被告人の供述録取書等

     取調べ状況の記録に関する準則に基づき、検察官、検察事務官又は司法警察職員が職務上作成することを義務付けられている書面であつて、身体の拘束を受けている者の取調べに関し、その年月日、時間、場所その他の取調べの状況を記録したもの(被告人又はその共犯として身体を拘束され若しくは公訴を提起された者であつて第5号イ若しくはロに掲げるものに係るものに限る。)

     検察官請求証拠である証拠物の押収手続記録書面(押収手続の記録に関する準則に基づき、検察官、検察事務官又は司法警察職員が職務上作成することを義務付けられている書面であつて、証拠物の押収に関し、その押収者、押収の年月日、押収場所その他の押収の状況を記録したものをいう。次項及び第3項第2号イにおいて同じ。)

     前項の規定による開示をすべき証拠物の押収手続記録書面(前条第1項又は前項の規定による開示をしたものを除く。)について、被告人又は弁護人から開示の請求があつた場合において、当該証拠物により特定の検察官請求証拠の証明力を判断するために当該開示をすることの必要性の程度並びに当該開示によつて生じるおそれのある弊害の内容及び程度を考慮し、相当と認めるときも、同項と同様とする。

     被告人又は弁護人は、前二項の開示の請求をするときは、次の各号に掲げる開示の請求の区分に応じ、当該各号に定める事項を明らかにしなければならない。

     第1項の開示の請求 次に掲げる事項

     第1項各号に掲げる証拠の類型及び開示の請求に係る証拠を識別するに足りる事項

     事案の内容、特定の検察官請求証拠に対応する証明予定事実、開示の請求に係る証拠と当該検察官請求証拠との関係その他の事情に照らし、当該開示の請求に係る証拠が当該検察官請求証拠の証明力を判断するために重要であることその他の被告人の防御の準備のために当該開示が必要である理由

     前項の開示の請求 次に掲げる事項

     開示の請求に係る押収手続記録書面を識別するに足りる事項

     第1項の規定による開示をすべき証拠物と特定の検察官請求証拠との関係その他の事情に照らし、当該証拠物により当該検察官請求証拠の証明力を判断するために当該開示が必要である理由


    第316条の16 被告人又は弁護人は、第316条の13第1項の書面の送付を受け、かつ、第316条の14第1項並びに前条第1項及び第2項の規定による開示をすべき証拠の開示を受けたときは、検察官請求証拠について、第326条の同意をするかどうか又はその取調べの請求に関し異議がないかどうかの意見を明らかにしなければならない。

     裁判所は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴いた上で、前項の意見を明らかにすべき期限を定めることができる。


    第316条の17 被告人又は弁護人は、第316条の13第1項の書面の送付を受け、かつ、第316条の14第1項並びに第316条の15第1項及び第2項の規定による開示をすべき証拠の開示を受けた場合において、その証明予定事実その他の公判期日においてすることを予定している事実上及び法律上の主張があるときは、裁判所及び検察官に対し、これを明らかにしなければならない。この場合においては、第316条の13第1項後段の規定を準用する。

     被告人又は弁護人は、前項の証明予定事実があるときは、これを証明するために用いる証拠の取調べを請求しなければならない。この場合においては、第316条の13第3項の規定を準用する。

     裁判所は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴いた上で、第1項の主張を明らかにすべき期限及び前項の請求の期限を定めることができる。


    第316条の18 被告人又は弁護人は、前条第2項の規定により取調べを請求した証拠については、速やかに、検察官に対し、次の各号に掲げる証拠の区分に応じ、当該各号に定める方法による開示をしなければならない。

     証拠書類又は証拠物 当該証拠書類又は証拠物を閲覧し、かつ、謄写する機会を与えること。

     証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人 その氏名及び住居を知る機会を与え、かつ、その者の供述録取書等のうち、その者が公判期日において供述すると思料する内容が明らかになるもの(当該供述録取書等が存在しないとき、又はこれを閲覧させることが相当でないと認めるときにあつては、その者が公判期日において供述すると思料する内容の要旨を記載した書面)を閲覧し、かつ、謄写する機会を与えること。


    第316条の19 検察官は、前条の規定による開示をすべき証拠の開示を受けたときは、第316条の17第2項の規定により被告人又は弁護人が取調べを請求した証拠について、第326条の同意をするかどうか又はその取調べの請求に関し異議がないかどうかの意見を明らかにしなければならない。

     裁判所は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴いた上で、前項の意見を明らかにすべき期限を定めることができる。


    第316条の20 検察官は、第316条の14第1項並びに第316条の15第1項及び第2項の規定による開示をした証拠以外の証拠であつて、第316条の17第1項の主張に関連すると認められるものについて、被告人又は弁護人から開示の請求があつた場合において、その関連性の程度その他の被告人の防御の準備のために当該開示をすることの必要性の程度並びに当該開示によつて生じるおそれのある弊害の内容及び程度を考慮し、相当と認めるときは、速やかに、第316条の14第1項第1号に定める方法による開示をしなければならない。この場合において、検察官は、必要と認めるときは、開示の時期若しくは方法を指定し、又は条件を付することができる。

     被告人又は弁護人は、前項の開示の請求をするときは、次に掲げる事項を明らかにしなければならない。

     開示の請求に係る証拠を識別するに足りる事項

     第316条の17第1項の主張と開示の請求に係る証拠との関連性その他の被告人の防御の準備のために当該開示が必要である理由


    第316条の21 検察官は、第316条の13から前条まで(第316条の14第5項を除く。)に規定する手続が終わつた後、その証明予定事実を追加し又は変更する必要があると認めるときは、速やかに、その追加し又は変更すべき証明予定事実を記載した書面を、裁判所に提出し、及び被告人又は弁護人に送付しなければならない。この場合においては、第316条の13第1項後段の規定を準用する。

     検察官は、その証明予定事実を証明するために用いる証拠の取調べの請求を追加する必要があると認めるときは、速やかに、その追加すべき証拠の取調べを請求しなければならない。この場合においては、第316条の13第3項の規定を準用する。

     裁判所は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴いた上で、第1項の書面の提出及び送付並びに前項の請求の期限を定めることができる。

     第316条の14第1項、第316条の15及び第316条の16の規定は、第2項の規定により検察官が取調べを請求した証拠についてこれを準用する。


    第316条の22 被告人又は弁護人は、第316条の13から第316条の20まで(第316条の14第5項を除く。)に規定する手続が終わつた後、第316条の17第1項の主張を追加し又は変更する必要があると認めるときは、速やかに、裁判所及び検察官に対し、その追加し又は変更すべき主張を明らかにしなければならない。この場合においては、第316条の13第1項後段の規定を準用する。

     被告人又は弁護人は、その証明予定事実を証明するために用いる証拠の取調べの請求を追加する必要があると認めるときは、速やかに、その追加すべき証拠の取調べを請求しなければならない。この場合においては、第316条の13第3項の規定を準用する。

     裁判所は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴いた上で、第1項の主張を明らかにすべき期限及び前項の請求の期限を定めることができる。

     第316条の18及び第316条の19の規定は、第2項の規定により被告人又は弁護人が取調べを請求した証拠についてこれを準用する。

     第316条の20の規定は、第1項の追加し又は変更すべき主張に関連すると認められる証拠についてこれを準用する。


    第316条の23 第299条の2及び第299条の3の規定は、検察官又は弁護人がこの目の規定による証拠の開示をする場合についてこれを準用する。

     第299条の4の規定は、検察官が第316条の14第1項(第316条の21第4項において準用する場合を含む。)の規定による証拠の開示をすべき場合についてこれを準用する。

     第299条の5から第299条の7までの規定は、検察官が前項において準用する第299条の4第1項から第4項までの規定による措置をとつた場合についてこれを準用する。


    第316条の24 裁判所は、公判前整理手続を終了するに当たり、検察官及び被告人又は弁護人との間で、事件の争点及び証拠の整理の結果を確認しなければならない。

    第3目 証拠開示に関する裁定

    第316条の25 裁判所は、証拠の開示の必要性の程度並びに証拠の開示によつて生じるおそれのある弊害の内容及び程度その他の事情を考慮して、必要と認めるときは、第316条の14第1項(第316条の21第4項において準用する場合を含む。)の規定による開示をすべき証拠については検察官の請求により、第316条の18(第316条の22第4項において準用する場合を含む。)の規定による開示をすべき証拠については被告人又は弁護人の請求により、決定で、当該証拠の開示の時期若しくは方法を指定し、又は条件を付することができる。

     裁判所は、前項の請求について決定をするときは、相手方の意見を聴かなければならない。

     第1項の請求についてした決定に対しては、即時抗告をすることができる。


    第316条の26 裁判所は、検察官が第316条の14第1項若しくは第316条の15第1項若しくは第2項(第316条の21第4項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)若しくは第316条の20第1項(第316条の22第5項において準用する場合を含む。)の規定による開示をすべき証拠を開示していないと認めるとき、又は被告人若しくは弁護人が第316条の18(第316条の22第4項において準用する場合を含む。)の規定による開示をすべき証拠を開示していないと認めるときは、相手方の請求により、決定で、当該証拠の開示を命じなければならない。この場合において、裁判所は、開示の時期若しくは方法を指定し、又は条件を付することができる。

     裁判所は、前項の請求について決定をするときは、相手方の意見を聴かなければならない。

     第1項の請求についてした決定に対しては、即時抗告をすることができる。


    第316条の27 裁判所は、第316条の25第1項又は前条第1項の請求について決定をするに当たり、必要があると認めるときは、検察官、被告人又は弁護人に対し、当該請求に係る証拠の提示を命ずることができる。この場合においては、裁判所は、何人にも、当該証拠の閲覧又は謄写をさせることができない。

     裁判所は、被告人又は弁護人がする前条第1項の請求について決定をするに当たり、必要があると認めるときは、検察官に対し、その保管する証拠であつて、裁判所の指定する範囲に属するものの標目を記載した一覧表の提示を命ずることができる。この場合においては、裁判所は、何人にも、当該一覧表の閲覧又は謄写をさせることができない。

     第1項の規定は第316条の25第3項又は前条第3項の即時抗告が係属する抗告裁判所について、前項の規定は同条第3項の即時抗告が係属する抗告裁判所について、それぞれ準用する。

    第2款 期日間整理手続

    第316条の28 裁判所は、審理の経過に鑑み必要と認めるときは、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で、第一回公判期日後に、決定で、事件の争点及び証拠を整理するための公判準備として、事件を期日間整理手続に付することができる。

     期日間整理手続については、前款(第316条の2第1項及び第316条の9第3項を除く。)の規定を準用する。この場合において、検察官、被告人又は弁護人が前項の決定前に取調べを請求している証拠については、期日間整理手続において取調べを請求した証拠とみなし、第316条の6から第316条の10まで及び第316条の12中「公判前整理手続期日」とあるのは「期日間整理手続期日」と、同条第2項中「公判前整理手続調書」とあるのは「期日間整理手続調書」と読み替えるものとする。

    第3款 公判手続の特例

    第316条の29 公判前整理手続又は期日間整理手続に付された事件を審理する場合には、第289条第1項に規定する事件に該当しないときであつても、弁護人がなければ開廷することはできない。


    第316条の30 公判前整理手続に付された事件については、被告人又は弁護人は、証拠により証明すべき事実その他の事実上及び法律上の主張があるときは、第296条の手続に引き続き、これを明らかにしなければならない。この場合においては、同条ただし書の規定を準用する。


    第316条の31 公判前整理手続に付された事件については、裁判所は、裁判所の規則の定めるところにより、前条の手続が終わつた後、公判期日において、当該公判前整理手続の結果を明らかにしなければならない。

     期日間整理手続に付された事件については、裁判所は、裁判所の規則の定めるところにより、その手続が終わつた後、公判期日において、当該期日間整理手続の結果を明らかにしなければならない。


    第316条の32 公判前整理手続又は期日間整理手続に付された事件については、検察官及び被告人又は弁護人は、第298条第1項の規定にかかわらず、やむを得ない事由によつて公判前整理手続又は期日間整理手続において請求することができなかつたものを除き、当該公判前整理手続又は期日間整理手続が終わつた後には、証拠調べを請求することができない。

     前項の規定は、裁判所が、必要と認めるときに、職権で証拠調べをすることを妨げるものではない。

    第3節 被害者参加

    第316条の33 裁判所は、次に掲げる罪に係る被告事件の被害者等若しくは当該被害者の法定代理人又はこれらの者から委託を受けた弁護士から、被告事件の手続への参加の申出があるときは、被告人又は弁護人の意見を聴き、犯罪の性質、被告人との関係その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、決定で、当該被害者等又は当該被害者の法定代理人の被告事件の手続への参加を許すものとする。

     故意の犯罪行為により人を死傷させた罪

     刑法第176条から第179条まで、第211条、第220条又は第224条から第227条までの罪

     前号に掲げる罪のほか、その犯罪行為にこれらの罪の犯罪行為を含む罪(第1号に掲げる罪を除く。)

     自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平成25年法律第86号)第4条、第5条又は第6条第3項若しくは第4項の罪

     第1号から第3号までに掲げる罪の未遂罪

     前項の申出は、あらかじめ、検察官にしなければならない。この場合において、検察官は、意見を付して、これを裁判所に通知するものとする。

     裁判所は、第1項の規定により被告事件の手続への参加を許された者(以下「被害者参加人」という。)が当該被告事件の被害者等若しくは当該被害者の法定代理人に該当せず若しくは該当しなくなつたことが明らかになつたとき、又は第312条の規定により罰条が撤回若しくは変更されたため当該被告事件が同項各号に掲げる罪に係るものに該当しなくなつたときは、決定で、同項の決定を取り消さなければならない。犯罪の性質、被告人との関係その他の事情を考慮して被告事件の手続への参加を認めることが相当でないと認めるに至つたときも、同様とする。


    第316条の34 被害者参加人又はその委託を受けた弁護士は、公判期日に出席することができる。

     公判期日は、これを被害者参加人に通知しなければならない。

     裁判所は、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士が多数である場合において、必要があると認めるときは、これらの者の全員又はその一部に対し、その中から、公判期日に出席する代表者を選定するよう求めることができる。

     裁判所は、審理の状況、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士の数その他の事情を考慮して、相当でないと認めるときは、公判期日の全部又は一部への出席を許さないことができる。

     前各項の規定は、公判準備において証人の尋問又は検証が行われる場合について準用する。


    第316条の35 被害者参加人又はその委託を受けた弁護士は、検察官に対し、当該被告事件についてのこの法律の規定による検察官の権限の行使に関し、意見を述べることができる。この場合において、検察官は、当該権限を行使し又は行使しないこととしたときは、必要に応じ、当該意見を述べた者に対し、その理由を説明しなければならない。


    第316条の36 裁判所は、証人を尋問する場合において、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士から、その者がその証人を尋問することの申出があるときは、被告人又は弁護人の意見を聴き、審理の状況、申出に係る尋問事項の内容、申出をした者の数その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、情状に関する事項(犯罪事実に関するものを除く。)についての証人の供述の証明力を争うために必要な事項について、申出をした者がその証人を尋問することを許すものとする。

     前項の申出は、検察官の尋問が終わつた後(検察官の尋問がないときは、被告人又は弁護人の尋問が終わつた後)直ちに、尋問事項を明らかにして、検察官にしなければならない。この場合において、検察官は、当該事項について自ら尋問する場合を除き、意見を付して、これを裁判所に通知するものとする。

     裁判長は、第295条第1項から第4項までに規定する場合のほか、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士のする尋問が第1項に規定する事項以外の事項にわたるときは、これを制限することができる。


    第316条の37 裁判所は、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士から、その者が被告人に対して第311条第2項の供述を求めるための質問を発することの申出があるときは、被告人又は弁護人の意見を聴き、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士がこの法律の規定による意見の陳述をするために必要があると認める場合であつて、審理の状況、申出に係る質問をする事項の内容、申出をした者の数その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、申出をした者が被告人に対してその質問を発することを許すものとする。

     前項の申出は、あらかじめ、質問をする事項を明らかにして、検察官にしなければならない。この場合において、検察官は、当該事項について自ら供述を求める場合を除き、意見を付して、これを裁判所に通知するものとする。

     裁判長は、第295条第1項、第3項及び第4項に規定する場合のほか、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士のする質問が第1項に規定する意見の陳述をするために必要がある事項に関係のない事項にわたるときは、これを制限することができる。


    第316条の38 裁判所は、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士から、事実又は法律の適用について意見を陳述することの申出がある場合において、審理の状況、申出をした者の数その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、公判期日において、第293条第1項の規定による検察官の意見の陳述の後に、訴因として特定された事実の範囲内で、申出をした者がその意見を陳述することを許すものとする。

     前項の申出は、あらかじめ、陳述する意見の要旨を明らかにして、検察官にしなければならない。この場合において、検察官は、意見を付して、これを裁判所に通知するものとする。

     裁判長は、第295条第1項、第3項及び第4項に規定する場合のほか、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士の意見の陳述が第1項に規定する範囲を超えるときは、これを制限することができる。

     第1項の規定による陳述は、証拠とはならないものとする。


    第316条の39 裁判所は、被害者参加人が第316条の34第1項(同条第5項において準用する場合を含む。第4項において同じ。)の規定により公判期日又は公判準備に出席する場合において、被害者参加人の年齢、心身の状態その他の事情を考慮し、被害者参加人が著しく不安又は緊張を覚えるおそれがあると認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、その不安又は緊張を緩和するのに適当であり、かつ、裁判官若しくは訴訟関係人の尋問若しくは被告人に対する供述を求める行為若しくは訴訟関係人がする陳述を妨げ、又はその陳述の内容に不当な影響を与えるおそれがないと認める者を、被害者参加人に付き添わせることができる。

     前項の規定により被害者参加人に付き添うこととされた者は、裁判官若しくは訴訟関係人の尋問若しくは被告人に対する供述を求める行為若しくは訴訟関係人がする陳述を妨げ、又はその陳述の内容に不当な影響を与えるような言動をしてはならない。

     裁判所は、第1項の規定により被害者参加人に付き添うこととされた者が、裁判官若しくは訴訟関係人の尋問若しくは被告人に対する供述を求める行為若しくは訴訟関係人がする陳述を妨げ、又はその陳述の内容に不当な影響を与えるおそれがあると認めるに至つたときその他その者を被害者参加人に付き添わせることが相当でないと認めるに至つたときは、決定で、同項の決定を取り消すことができる。

     裁判所は、被害者参加人が第316条の34第1項の規定により公判期日又は公判準備に出席する場合において、犯罪の性質、被害者参加人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、被害者参加人が被告人の面前において在席、尋問、質問又は陳述をするときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合であつて、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、弁護人が出頭している場合に限り、被告人とその被害者参加人との間で、被告人から被害者参加人の状態を認識することができないようにするための措置を採ることができる。

     裁判所は、被害者参加人が第316条の34第1項の規定により公判期日に出席する場合において、犯罪の性質、被害者参加人の年齢、心身の状態、名誉に対する影響その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、傍聴人とその被害者参加人との間で、相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採ることができる。

    第4節 証拠

    第317条 事実の認定は、証拠による。


    第318条 証拠の証明力は、裁判官の自由な判断に委ねる。


    第319条 強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない。

     被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。

     前二項の自白には、起訴された犯罪について有罪であることを自認する場合を含む。


    第320条 第321条乃至第328条に規定する場合を除いては、公判期日における供述に代えて書面を証拠とし、又は公判期日外における他の者の供述を内容とする供述を証拠とすることはできない。

     第291条の2の決定があつた事件の証拠については、前項の規定は、これを適用しない。但し、検察官、被告人又は弁護人が証拠とすることに異議を述べたものについては、この限りでない。


    第321条 被告人以外の者が作成した供述書又はその者の供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるものは、次に掲げる場合に限り、これを証拠とすることができる。

     裁判官の面前(第157条の6第1項及び第2項に規定する方法による場合を含む。)における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は供述者が公判準備若しくは公判期日において前の供述と異なつた供述をしたとき。

     検察官の面前における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は公判準備若しくは公判期日において前の供述と相反するか若しくは実質的に異なつた供述をしたとき。ただし、公判準備又は公判期日における供述よりも前の供述を信用すべき特別の情況の存するときに限る。

     前二号に掲げる書面以外の書面については、供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明又は国外にいるため公判準備又は公判期日において供述することができず、かつ、その供述が犯罪事実の存否の証明に欠くことができないものであるとき。ただし、その供述が特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限る。

     被告人以外の者の公判準備若しくは公判期日における供述を録取した書面又は裁判所若しくは裁判官の検証の結果を記載した書面は、前項の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。

     検察官、検察事務官又は司法警察職員の検証の結果を記載した書面は、その供述者が公判期日において証人として尋問を受け、その真正に作成されたものであることを供述したときは、第1項の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。

     鑑定の経過及び結果を記載した書面で鑑定人の作成したものについても、前項と同様である。


    第321条の2 被告事件の公判準備若しくは公判期日における手続以外の刑事手続又は他の事件の刑事手続において第157条の6第1項又は第2項に規定する方法によりされた証人の尋問及び供述並びにその状況を記録した記録媒体がその一部とされた調書は、前条第1項の規定にかかわらず、証拠とすることができる。この場合において、裁判所は、その調書を取り調べた後、訴訟関係人に対し、その供述者を証人として尋問する機会を与えなければならない。

     前項の規定により調書を取り調べる場合においては、第305条第5項ただし書の規定は、適用しない。

     第1項の規定により取り調べられた調書に記録された証人の供述は、第295条第1項前段並びに前条第1項第1号及び第2号の適用については、被告事件の公判期日においてされたものとみなす。


    第322条 被告人が作成した供述書又は被告人の供述を録取した書面で被告人の署名若しくは押印のあるものは、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものであるとき、又は特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限り、これを証拠とすることができる。但し、被告人に不利益な事実の承認を内容とする書面は、その承認が自白でない場合においても、第319条の規定に準じ、任意にされたものでない疑があると認めるときは、これを証拠とすることができない。

     被告人の公判準備又は公判期日における供述を録取した書面は、その供述が任意にされたものであると認めるときに限り、これを証拠とすることができる。


    第323条 前三条に掲げる書面以外の書面は、次に掲げるものに限り、これを証拠とすることができる。

     戸籍謄本、公正証書謄本その他公務員(外国の公務員を含む。)がその職務上証明することができる事実についてその公務員の作成した書面

     商業帳簿、航海日誌その他業務の通常の過程において作成された書面

     前二号に掲げるものの外特に信用すべき情況の下に作成された書面


    第324条 被告人以外の者の公判準備又は公判期日における供述で被告人の供述をその内容とするものについては、第322条の規定を準用する。

     被告人以外の者の公判準備又は公判期日における供述で被告人以外の者の供述をその内容とするものについては、第321条第1項第3号の規定を準用する。


    第325条 裁判所は、第321条から前条までの規定により証拠とすることができる書面又は供述であつても、あらかじめ、その書面に記載された供述又は公判準備若しくは公判期日における供述の内容となつた他の者の供述が任意にされたものかどうかを調査した後でなければ、これを証拠とすることができない。


    第326条 検察官及び被告人が証拠とすることに同意した書面又は供述は、その書面が作成され又は供述のされたときの情況を考慮し相当と認めるときに限り、第321条乃至前条の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。

     被告人が出頭しないでも証拠調を行うことができる場合において、被告人が出頭しないときは、前項の同意があつたものとみなす。但し、代理人又は弁護人が出頭したときは、この限りでない。


    第327条 裁判所は、検察官及び被告人又は弁護人が合意の上、文書の内容又は公判期日に出頭すれば供述することが予想されるその供述の内容を書面に記載して提出したときは、その文書又は供述すべき者を取り調べないでも、その書面を証拠とすることができる。この場合においても、その書面の証明力を争うことを妨げない。


    第328条 第321条乃至第324条の規定により証拠とすることができない書面又は供述であつても、公判準備又は公判期日における被告人、証人その他の者の供述の証明力を争うためには、これを証拠とすることができる。

    第5節 公判の裁判

    第329条 被告事件が裁判所の管轄に属しないときは、判決で管轄違の言渡をしなければならない。但し、第266条第2号の規定により地方裁判所の審判に付された事件については、管轄違の言渡をすることはできない。


    第330条 高等裁判所は、その特別権限に属する事件として公訴の提起があつた場合において、その事件が下級の裁判所の管轄に属するものと認めるときは、前条の規定にかかわらず、決定で管轄裁判所にこれを移送しなければならない。


    第331条 裁判所は、被告人の申立がなければ、土地管轄について、管轄違の言渡をすることができない。

     管轄違の申立は、被告事件につき証拠調を開始した後は、これをすることができない。


    第332条 簡易裁判所は、地方裁判所において審判するのを相当と認めるときは、決定で管轄地方裁判所にこれを移送しなければならない。


    第333条 被告事件について犯罪の証明があつたときは、第334条の場合を除いては、判決で刑の言渡をしなければならない。

     刑の執行猶予は、刑の言渡しと同時に、判決でその言渡しをしなければならない。猶予の期間中保護観察に付する場合も、同様とする。


    第334条 被告事件について刑を免除するときは、判決でその旨の言渡をしなければならない。


    第335条 有罪の言渡をするには、罪となるべき事実、証拠の標目及び法令の適用を示さなければならない。

     法律上犯罪の成立を妨げる理由又は刑の加重減免の理由となる事実が主張されたときは、これに対する判断を示さなければならない。


    第336条 被告事件が罪とならないとき、又は被告事件について犯罪の証明がないときは、判決で無罪の言渡をしなければならない。


    第337条 左の場合には、判決で免訴の言渡をしなければならない。

     確定判決を経たとき。

     犯罪後の法令により刑が廃止されたとき。

     大赦があつたとき。

     時効が完成したとき。


    第338条 左の場合には、判決で公訴を棄却しなければならない。

     被告人に対して裁判権を有しないとき。

     第340条の規定に違反して公訴が提起されたとき。

     公訴の提起があつた事件について、更に同一裁判所に公訴が提起されたとき。

     公訴提起の手続がその規定に違反したため無効であるとき。


    第339条 左の場合には、決定で公訴を棄却しなければならない。

     第271条第2項の規定により公訴の提起がその効力を失つたとき。

     起訴状に記載された事実が真実であつても、何らの罪となるべき事実を包含していないとき。

     公訴が取り消されたとき。

     被告人が死亡し、又は被告人たる法人が存続しなくなつたとき。

     第10条又は第11条の規定により審判してはならないとき。

     前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。


    第340条 公訴の取消による公訴棄却の決定が確定したときは、公訴の取消後犯罪事実につきあらたに重要な証拠を発見した場合に限り、同一事件について更に公訴を提起することができる。


    第341条 被告人が陳述をせず、許可を受けないで退廷し、又は秩序維持のため裁判長から退廷を命ぜられたときは、その陳述を聴かないで判決をすることができる。


    第342条 判決は、公判廷において、宣告によりこれを告知する。


    第343条 禁錮以上の刑に処する判決の宣告があつたときは、保釈又は勾留の執行停止は、その効力を失う。この場合には、あらたに保釈又は勾留の執行停止の決定がないときに限り、第98条の規定を準用する。


    第344条 禁錮以上の刑に処する判決の宣告があつた後は、第60条第2項但書及び第89条の規定は、これを適用しない。


    第345条 無罪、免訴、刑の免除、刑の全部の執行猶予、公訴棄却(第338条第4号による場合を除く。)、罰金又は科料の裁判の告知があつたときは、勾留状は、その効力を失う。


    第346条 押収した物について、没収の言渡がないときは、押収を解く言渡があつたものとする。


    第347条 押収した贓物で被害者に還付すべき理由が明らかなものは、これを被害者に還付する言渡をしなければならない。

     贓物の対価として得た物について、被害者から交付の請求があつたときは、前項の例による。

     仮に還付した物について、別段の言渡がないときは、還付の言渡があつたものとする。

     前三項の規定は、民事訴訟の手続に従い、利害関係人がその権利を主張することを妨げない。


    第348条 裁判所は、罰金、科料又は追徴を言い渡す場合において、判決の確定を待つてはその執行をすることができず、又はその執行をするのに著しい困難を生ずる虞があると認めるときは、検察官の請求により又は職権で、被告人に対し、仮に罰金、科料又は追徴に相当する金額を納付すべきことを命ずることができる。

     仮納付の裁判は、刑の言渡と同時に、判決でその言渡をしなければならない。

     仮納付の裁判は、直ちにこれを執行することができる。


    第349条 刑の執行猶予の言渡を取り消すべき場合には、検察官は、刑の言渡を受けた者の現在地又は最後の住所地を管轄する地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所に対しその請求をしなければならない。

     刑法第26条の2第2号又は第27条の5第2号の規定により刑の執行猶予の言渡しを取り消すべき場合には、前項の請求は、保護観察所の長の申出に基づいてこれをしなければならない。


    第349条の2 前条の請求があつたときは、裁判所は、猶予の言渡を受けた者又はその代理人の意見を聴いて決定をしなければならない。

     前項の場合において、その請求が刑法第26条の2第2号又は第27条の5第2号の規定による猶予の言渡しの取消しを求めるものであつて、猶予の言渡しを受けた者の請求があるときは、口頭弁論を経なければならない。

     第1項の決定をするについて口頭弁論を経る場合には、猶予の言渡を受けた者は、弁護人を選任することができる。

     第1項の決定をするについて口頭弁論を経る場合には、検察官は、裁判所の許可を得て、保護観察官に意見を述べさせることができる。

     第1項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。


    第350条 刑法第52条の規定により刑を定むべき場合には、検察官は、その犯罪事実について最終の判決をした裁判所にその請求をしなければならない。この場合には、前条第1項及び第5項の規定を準用する。

    第4章 証拠収集等への協力及び訴追に関する合意

    第1節 合意及び協議の手続

    第350条の2 検察官は、特定犯罪に係る事件の被疑者又は被告人が特定犯罪に係る他人の刑事事件(以下単に「他人の刑事事件」という。)について一又は二以上の第1号に掲げる行為をすることにより得られる証拠の重要性、関係する犯罪の軽重及び情状、当該関係する犯罪の関連性の程度その他の事情を考慮して、必要と認めるときは、被疑者又は被告人との間で、被疑者又は被告人が当該他人の刑事事件について一又は二以上の同号に掲げる行為をし、かつ、検察官が被疑者又は被告人の当該事件について一又は二以上の第2号に掲げる行為をすることを内容とする合意をすることができる。

     次に掲げる行為

     第198条第1項又は第223条第1項の規定による検察官、検察事務官又は司法警察職員の取調べに際して真実の供述をすること。

     証人として尋問を受ける場合において真実の供述をすること。

     検察官、検察事務官又は司法警察職員による証拠の収集に関し、証拠の提出その他の必要な協力をすること(イ及びロに掲げるものを除く。)

     次に掲げる行為

     公訴を提起しないこと。

     公訴を取り消すこと。

     特定の訴因及び罰条により公訴を提起し、又はこれを維持すること。

     特定の訴因若しくは罰条の追加若しくは撤回又は特定の訴因若しくは罰条への変更を請求すること。

     第293条第1項の規定による意見の陳述において、被告人に特定の刑を科すべき旨の意見を陳述すること。

     即決裁判手続の申立てをすること。

     略式命令の請求をすること。

     前項に規定する「特定犯罪」とは、次に掲げる罪(死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たるものを除く。)をいう。

     刑法第96条から第96条の6まで若しくは第155条の罪、同条の例により処断すべき罪、同法第157条の罪、同法第158条の罪(同法第155条の罪、同条の例により処断すべき罪又は同法第157条第1項若しくは第2項の罪に係るものに限る。)又は同法第159条から第163条の5まで、第197条から第197条の4まで、第198条、第246条から第250条まで若しくは第252条から第254条までの罪

     組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成11年法律第136号。以下「組織的犯罪処罰法」という。)第3条第1項第1号から第4号まで、第13号若しくは第14号に掲げる罪に係る同条の罪、同項第13号若しくは第14号に掲げる罪に係る同条の罪の未遂罪又は組織的犯罪処罰法第10条若しくは第11条の罪

     前二号に掲げるもののほか、租税に関する法律、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)又は金融商品取引法(昭和23年法律第25号)の罪その他の財政経済関係犯罪として政令で定めるもの

     次に掲げる法律の罪

     爆発物取締罰則(明治17年太政官布告第32号)

     大麻取締法(昭和23年法律第124号)

     覚せい剤取締法(昭和26年法律第252号)

     麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)

     武器等製造法(昭和28年法律第145号)

     あへん法(昭和29年法律第71号)

     銃砲刀剣類所持等取締法(昭和33年法律第6号)

     国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成3年法律第94号)

     刑法第103条、第104条若しくは第105条の2の罪又は組織的犯罪処罰法第7条の罪(同条第1項第1号から第3号までに掲げる者に係るものに限る。)若しくは組織的犯罪処罰法第7条の2の罪(いずれも前各号に掲げる罪を本犯の罪とするものに限る。)

     第1項の合意には、被疑者若しくは被告人がする同項第1号に掲げる行為又は検察官がする同項第2号に掲げる行為に付随する事項その他の合意の目的を達するため必要な事項をその内容として含めることができる。


    第350条の3 前条第1項の合意をするには、弁護人の同意がなければならない。

     前条第1項の合意は、検察官、被疑者又は被告人及び弁護人が連署した書面により、その内容を明らかにしてするものとする。


    第350条の4 第350条の2第1項の合意をするため必要な協議は、検察官と被疑者又は被告人及び弁護人との間で行うものとする。ただし、被疑者又は被告人及び弁護人に異議がないときは、協議の一部を弁護人のみとの間で行うことができる。


    第350条の5 前条の協議において、検察官は、被疑者又は被告人に対し、他人の刑事事件について供述を求めることができる。この場合においては、第198条第2項の規定を準用する。

     被疑者又は被告人が前条の協議においてした供述は、第350条の2第1項の合意が成立しなかつたときは、これを証拠とすることができない。

     前項の規定は、被疑者又は被告人が当該協議においてした行為が刑法第103条、第104条若しくは第172条の罪又は組織的犯罪処罰法第7条第1項第1号若しくは第2号に掲げる者に係る同条の罪に当たる場合において、これらの罪に係る事件において用いるときは、これを適用しない。


    第350条の6 検察官は、司法警察員が送致し若しくは送付した事件又は司法警察員が現に捜査していると認める事件について、その被疑者との間で第350条の4の協議を行おうとするときは、あらかじめ、司法警察員と協議しなければならない。

     検察官は、第350条の4の協議に係る他人の刑事事件について司法警察員が現に捜査していることその他の事情を考慮して、当該他人の刑事事件の捜査のため必要と認めるときは、前条第1項の規定により供述を求めることその他の当該協議における必要な行為を司法警察員にさせることができる。この場合において、司法警察員は、検察官の個別の授権の範囲内で、検察官が第350条の2第1項の合意の内容とすることを提案する同項第2号に掲げる行為の内容の提示をすることができる。

    第2節 公判手続の特例

    第350条の7 検察官は、被疑者との間でした第350条の2第1項の合意がある場合において、当該合意に係る被疑者の事件について公訴を提起したときは、第291条の手続が終わつた後(事件が公判前整理手続に付された場合にあつては、その時後)遅滞なく、証拠として第350条の3第2項の書面(以下「合意内容書面」という。)の取調べを請求しなければならない。被告事件について、公訴の提起後に被告人との間で第350条の2第1項の合意をしたときも、同様とする。

     前項の規定により合意内容書面の取調べを請求する場合において、当該合意の当事者が第350条の10第2項の規定により当該合意から離脱する旨の告知をしているときは、検察官は、あわせて、同項の書面の取調べを請求しなければならない。

     第1項の規定により合意内容書面の取調べを請求した後に、当該合意の当事者が第350条の10第2項の規定により当該合意から離脱する旨の告知をしたときは、検察官は、遅滞なく、同項の書面の取調べを請求しなければならない。


    第350条の8 被告人以外の者の供述録取書等であつて、その者が第350条の2第1項の合意に基づいて作成したもの又は同項の合意に基づいてされた供述を録取し若しくは記録したものについて、検察官、被告人若しくは弁護人が取調べを請求し、又は裁判所が職権でこれを取り調べることとしたときは、検察官は、遅滞なく、合意内容書面の取調べを請求しなければならない。この場合においては、前条第2項及び第3項の規定を準用する。


    第350条の9 検察官、被告人若しくは弁護人が証人尋問を請求し、又は裁判所が職権で証人尋問を行うこととした場合において、その証人となるべき者との間で当該証人尋問についてした第350条の2第1項の合意があるときは、検察官は、遅滞なく、合意内容書面の取調べを請求しなければならない。この場合においては、第350条の7第3項の規定を準用する。

    第3節 合意の終了

    第350条の10 次の各号に掲げる事由があるときは、当該各号に定める者は、第350条の2第1項の合意から離脱することができる。

     第350条の2第1項の合意の当事者が当該合意に違反したとき その相手方

     次に掲げる事由 被告人

     検察官が第350条の2第1項第2号ニに係る同項の合意に基づいて訴因又は罰条の追加、撤回又は変更を請求した場合において、裁判所がこれを許さなかつたとき。

     検察官が第350条の2第1項第2号ホに係る同項の合意に基づいて第293条第1項の規定による意見の陳述において被告人に特定の刑を科すべき旨の意見を陳述した事件について、裁判所がその刑より重い刑の言渡しをしたとき。

     検察官が第350条の2第1項第2号ヘに係る同項の合意に基づいて即決裁判手続の申立てをした事件について、裁判所がこれを却下する決定(第350条の22第3号又は第4号に掲げる場合に該当することを理由とするものに限る。)をし、又は第350条の25第1項第3号若しくは第4号に該当すること(同号については、被告人が起訴状に記載された訴因について有罪である旨の陳述と相反するか又は実質的に異なつた供述をしたことにより同号に該当する場合を除く。)となつたことを理由として第350条の22の決定を取り消したとき。

     検察官が第350条の2第1項第2号トに係る同項の合意に基づいて略式命令の請求をした事件について、裁判所が第463条第1項若しくは第2項の規定により通常の規定に従い審判をすることとし、又は検察官が第465条第1項の規定により正式裁判の請求をしたとき。

     次に掲げる事由 検察官

     被疑者又は被告人が第350条の4の協議においてした他人の刑事事件についての供述の内容が真実でないことが明らかになつたとき。

     第1号に掲げるもののほか、被疑者若しくは被告人が第350条の2第1項の合意に基づいてした供述の内容が真実でないこと又は被疑者若しくは被告人が同項の合意に基づいて提出した証拠が偽造若しくは変造されたものであることが明らかになつたとき。

     前項の規定による離脱は、その理由を記載した書面により、当該離脱に係る合意の相手方に対し、当該合意から離脱する旨の告知をして行うものとする。


    第350条の11 検察官が第350条の2第1項第2号イに係る同項の合意に基づいて公訴を提起しない処分をした事件について、検察審査会法第39条の5第1項第1号若しくは第2号の議決又は同法第41条の6第1項の起訴議決があつたときは、当該合意は、その効力を失う。


    第350条の12 前条の場合には、当該議決に係る事件について公訴が提起されたときにおいても、被告人が第350条の4の協議においてした供述及び当該合意に基づいてした被告人の行為により得られた証拠並びにこれらに基づいて得られた証拠は、当該被告人の刑事事件において、これらを証拠とすることができない。

     前項の規定は、次に掲げる場合には、これを適用しない。

     前条に規定する議決の前に被告人がした行為が、当該合意に違反するものであつたことが明らかになり、又は第350条の10第1項第3号イ若しくはロに掲げる事由に該当することとなつたとき。

     被告人が当該合意に基づくものとしてした行為又は当該協議においてした行為が第350条の15第1項の罪、刑法第103条、第104条、第169条若しくは第172条の罪又は組織的犯罪処罰法第7条第1項第1号若しくは第2号に掲げる者に係る同条の罪に当たる場合において、これらの罪に係る事件において用いるとき。

     証拠とすることについて被告人に異議がないとき。

    第4節 合意の履行の確保

    第350条の13 検察官が第350条の2第1項第2号イからニまで、ヘ又はトに係る同項の合意(同号ハに係るものについては、特定の訴因及び罰条により公訴を提起する旨のものに限る。)に違反して、公訴を提起し、公訴を取り消さず、異なる訴因及び罰条により公訴を提起し、訴因若しくは罰条の追加、撤回若しくは変更を請求することなく若しくは異なる訴因若しくは罰条の追加若しくは撤回若しくは異なる訴因若しくは罰条への変更を請求して公訴を維持し、又は即決裁判手続の申立て若しくは略式命令の請求を同時にすることなく公訴を提起したときは、判決で当該公訴を棄却しなければならない。

     検察官が第350条の2第1項第2号ハに係る同項の合意(特定の訴因及び罰条により公訴を維持する旨のものに限る。)に違反して訴因又は罰条の追加又は変更を請求したときは、裁判所は、第312条第1項の規定にかかわらず、これを許してはならない。


    第350条の14 検察官が第350条の2第1項の合意に違反したときは、被告人が第350条の4の協議においてした供述及び当該合意に基づいてした被告人の行為により得られた証拠は、これらを証拠とすることができない。

     前項の規定は、当該被告人の刑事事件の証拠とすることについて当該被告人に異議がない場合及び当該被告人以外の者の刑事事件の証拠とすることについてその者に異議がない場合には、これを適用しない。


    第350条の15 第350条の2第1項の合意に違反して、検察官、検察事務官又は司法警察職員に対し、虚偽の供述をし又は偽造若しくは変造の証拠を提出した者は、5年以下の懲役に処する。

     前項の罪を犯した者が、当該合意に係る他人の刑事事件の裁判が確定する前であつて、かつ、当該合意に係る自己の刑事事件の裁判が確定する前に自白したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。

    第5章 即決裁判手続

    第1節 即決裁判手続の申立て

    第350条の16 検察官は、公訴を提起しようとする事件について、事案が明白であり、かつ、軽微であること、証拠調べが速やかに終わると見込まれることその他の事情を考慮し、相当と認めるときは、公訴の提起と同時に、書面により即決裁判手続の申立てをすることができる。ただし、死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる事件については、この限りでない。

     前項の申立ては、即決裁判手続によることについての被疑者の同意がなければ、これをすることができない。

     検察官は、被疑者に対し、前項の同意をするかどうかの確認を求めるときは、これを書面でしなければならない。この場合において、検察官は、被疑者に対し、即決裁判手続を理解させるために必要な事項(被疑者に弁護人がないときは、次条の規定により弁護人を選任することができる旨を含む。)を説明し、通常の規定に従い審判を受けることができる旨を告げなければならない。

     被疑者に弁護人がある場合には、第1項の申立ては、被疑者が第2項の同意をするほか、弁護人が即決裁判手続によることについて同意をし又はその意見を留保しているときに限り、これをすることができる。

     被疑者が第2項の同意をし、及び弁護人が前項の同意をし又はその意見を留保するときは、書面でその旨を明らかにしなければならない。

     第1項の書面には、前項の書面を添付しなければならない。


    第350条の17 前条第3項の確認を求められた被疑者が即決裁判手続によることについて同意をするかどうかを明らかにしようとする場合において、被疑者が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判官は、その請求により、被疑者のため弁護人を付さなければならない。ただし、被疑者以外の者が選任した弁護人がある場合は、この限りでない。

     第37条の3の規定は、前項の請求をする場合についてこれを準用する。

    第2節 公判準備及び公判手続の特例

    第350条の18 即決裁判手続の申立てがあつた場合において、被告人に弁護人がないときは、裁判長は、できる限り速やかに、職権で弁護人を付さなければならない。


    第350条の19 検察官は、即決裁判手続の申立てをした事件について、被告人又は弁護人に対し、第299条第1項の規定により証拠書類を閲覧する機会その他の同項に規定する機会を与えるべき場合には、できる限り速やかに、その機会を与えなければならない。


    第350条の20 裁判所は、即決裁判手続の申立てがあつた事件について、弁護人が即決裁判手続によることについてその意見を留保しているとき、又は即決裁判手続の申立てがあつた後に弁護人が選任されたときは、弁護人に対し、できる限り速やかに、即決裁判手続によることについて同意をするかどうかの確認を求めなければならない。

     弁護人は、前項の同意をするときは、書面でその旨を明らかにしなければならない。


    第350条の21 裁判長は、即決裁判手続の申立てがあつたときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴いた上で、その申立て後(前条第1項に規定する場合においては、同項の同意があつた後)、できる限り早い時期の公判期日を定めなければならない。


    第350条の22 裁判所は、即決裁判手続の申立てがあつた事件について、第291条第4項の手続に際し、被告人が起訴状に記載された訴因について有罪である旨の陳述をしたときは、次に掲げる場合を除き、即決裁判手続によつて審判をする旨の決定をしなければならない。

     第350条の16第2項又は第4項の同意が撤回されたとき。

     第350条の20第1項に規定する場合において、同項の同意がされなかつたとき、又はその同意が撤回されたとき。

     前二号に掲げるもののほか、当該事件が即決裁判手続によることができないものであると認めるとき。

     当該事件が即決裁判手続によることが相当でないものであると認めるとき。


    第350条の23 前条の手続を行う公判期日及び即決裁判手続による公判期日については、弁護人がないときは、これを開くことができない。


    第350条の24 第350条の22の決定のための審理及び即決裁判手続による審判については、第284条、第285条、第296条、第297条、第300条から第302条まで及び第304条から第307条までの規定は、これを適用しない。

     即決裁判手続による証拠調べは、公判期日において、適当と認める方法でこれを行うことができる。


    第350条の25 裁判所は、第350条の22の決定があつた事件について、次の各号のいずれかに該当することとなつた場合には、当該決定を取り消さなければならない。

     判決の言渡し前に、被告人又は弁護人が即決裁判手続によることについての同意を撤回したとき。

     判決の言渡し前に、被告人が起訴状に記載された訴因について有罪である旨の陳述を撤回したとき。

     前二号に掲げるもののほか、当該事件が即決裁判手続によることができないものであると認めるとき。

     当該事件が即決裁判手続によることが相当でないものであると認めるとき。

     前項の規定により第350条の22の決定が取り消されたときは、公判手続を更新しなければならない。ただし、検察官及び被告人又は弁護人に異議がないときは、この限りでない。


    第350条の26 即決裁判手続の申立てを却下する決定(第350条の22第3号又は第4号に掲げる場合に該当することを理由とするものを除く。)があつた事件について、当該決定後、証拠調べが行われることなく公訴が取り消された場合において、公訴の取消しによる公訴棄却の決定が確定したときは、第340条の規定にかかわらず、同一事件について更に公訴を提起することができる。前条第1項第1号、第2号又は第4号のいずれかに該当すること(同号については、被告人が起訴状に記載された訴因について有罪である旨の陳述と相反するか又は実質的に異なつた供述をしたことにより同号に該当する場合に限る。)となつたことを理由として第350条の22の決定が取り消された事件について、当該取消しの決定後、証拠調べが行われることなく公訴が取り消された場合において、公訴の取消しによる公訴棄却の決定が確定したときも、同様とする。

    第3節 証拠の特例

    第350条の27 第350条の22の決定があつた事件の証拠については、第320条第1項の規定は、これを適用しない。ただし、検察官、被告人又は弁護人が証拠とすることに異議を述べたものについては、この限りでない。

    第4節 公判の裁判の特例

    第350条の28 裁判所は、第350条の22の決定があつた事件については、できる限り、即日判決の言渡しをしなければならない。


    第350条の29 即決裁判手続において懲役又は禁錮の言渡しをする場合には、その刑の全部の執行猶予の言渡しをしなければならない。

    第3編 上訴

    第1章 通則

    第351条 検察官又は被告人は、上訴をすることができる。

     第266条第2号の規定により裁判所の審判に付された事件と他の事件とが併合して審判され、一個の裁判があつた場合には、第268条第2項の規定により検察官の職務を行う弁護士及び当該他の事件の検察官は、その裁判に対し各々独立して上訴をすることができる。


    第352条 検察官又は被告人以外の者で決定を受けたものは、抗告をすることができる。


    第353条 被告人の法定代理人又は保佐人は、被告人のため上訴をすることができる。


    第354条 勾留に対しては、勾留の理由の開示があつたときは、その開示の請求をした者も、被告人のため上訴をすることができる。その上訴を棄却する決定に対しても、同様である。


    第355条 原審における代理人又は弁護人は、被告人のため上訴をすることができる。


    第356条 前三条の上訴は、被告人の明示した意思に反してこれをすることができない。


    第357条 上訴は、裁判の一部に対してこれをすることができる。部分を限らないで上訴をしたときは、裁判の全部に対してしたものとみなす。


    第358条 上訴の提起期間は、裁判が告知された日から進行する。


    第359条 検察官、被告人又は第352条に規定する者は、上訴の放棄又は取下をすることができる。


    第360条 第353条又は第354条に規定する者は、書面による被告人の同意を得て、上訴の放棄又は取下をすることができる。


    第360条の2 死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に処する判決に対する上訴は、前二条の規定にかかわらず、これを放棄することができない。


    第360条の3 上訴放棄の申立は、書面でこれをしなければならない。


    第361条 上訴の放棄又は取下をした者は、その事件について更に上訴をすることができない。上訴の放棄又は取下に同意をした被告人も、同様である。


    第362条 第351条乃至第355条の規定により上訴をすることができる者は、自己又は代人の責に帰することができない事由によつて上訴の提起期間内に上訴をすることができなかつたときは、原裁判所に上訴権回復の請求をすることができる。


    第363条 上訴権回復の請求は、事由が止んだ日から上訴の提起期間に相当する期間内にこれをしなければならない。

     上訴権回復の請求をする者は、その請求と同時に上訴の申立をしなければならない。


    第364条 上訴権回復の請求についてした決定に対しては、即時抗告をすることができる。


    第365条 上訴権回復の請求があつたときは、原裁判所は、前条の決定をするまで裁判の執行を停止する決定をすることができる。この場合には、被告人に対し勾留状を発することができる。


    第366条 刑事施設にいる被告人が上訴の提起期間内に上訴の申立書を刑事施設の長又はその代理者に差し出したときは、上訴の提起期間内に上訴をしたものとみなす。

     被告人が自ら申立書を作ることができないときは、刑事施設の長又はその代理者は、これを代書し、又は所属の職員にこれをさせなければならない。


    第367条 前条の規定は、刑事施設にいる被告人が上訴の放棄若しくは取下げ又は上訴権回復の請求をする場合にこれを準用する。


    第368条 削除


    第369条 削除


    第370条 削除


    第371条 削除

    第2章 控訴

    第372条 控訴は、地方裁判所又は簡易裁判所がした第一審の判決に対してこれをすることができる。


    第373条 控訴の提起期間は、14日とする。


    第374条 控訴をするには、申立書を第一審裁判所に差し出さなければならない。


    第375条 控訴の申立が明らかに控訴権の消滅後にされたものであるときは、第一審裁判所は、決定でこれを棄却しなければならない。この決定に対しては、即時抗告をすることができる。


    第376条 控訴申立人は、裁判所の規則で定める期間内に控訴趣意書を控訴裁判所に差し出さなければならない。

     控訴趣意書には、この法律又は裁判所の規則の定めるところにより、必要な疎明資料又は検察官若しくは弁護人の保証書を添附しなければならない。


    第377条 左の事由があることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、その事由があることの充分な証明をすることができる旨の検察官又は弁護人の保証書を添附しなければならない。

     法律に従つて判決裁判所を構成しなかつたこと。

     法令により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと。

     審判の公開に関する規定に違反したこと。


    第378条 左の事由があることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実であつてその事由があることを信ずるに足りるものを援用しなければならない。

     不法に管轄又は管轄違を認めたこと。

     不法に、公訴を受理し、又はこれを棄却したこと。

     審判の請求を受けた事件について判決をせず、又は審判の請求を受けない事件について判決をしたこと。

     判決に理由を附せず、又は理由にくいちがいがあること。


    第379条 前二条の場合を除いて、訴訟手続に法令の違反があつてその違反が判決に影響を及ぼすことが明らかであることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実であつて明らかに判決に影響を及ぼすべき法令の違反があることを信ずるに足りるものを援用しなければならない。


    第380条 法令の適用に誤があつてその誤が判決に影響を及ぼすことが明らかであることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、その誤及びその誤が明らかに判決に影響を及ぼすべきことを示さなければならない。


    第381条 刑の量定が不当であることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実であつて刑の量定が不当であることを信ずるに足りるものを援用しなければならない。


    第382条 事実の誤認があつてその誤認が判決に影響を及ぼすことが明らかであることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実であつて明らかに判決に影響を及ぼすべき誤認があることを信ずるに足りるものを援用しなければならない。


    第382条の2 やむを得ない事由によつて第一審の弁論終結前に取調を請求することができなかつた証拠によつて証明することのできる事実であつて前二条に規定する控訴申立の理由があることを信ずるに足りるものは、訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実以外の事実であつても、控訴趣意書にこれを援用することができる。

     第一審の弁論終結後判決前に生じた事実であつて前二条に規定する控訴申立の理由があることを信ずるに足りるものについても、前項と同様である。

     前二項の場合には、控訴趣意書に、その事実を疎明する資料を添附しなければならない。第1項の場合には、やむを得ない事由によつてその証拠の取調を請求することができなかつた旨を疎明する資料をも添附しなければならない。


    第383条 左の事由があることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、その事由があることを疎明する資料を添附しなければならない。

     再審の請求をすることができる場合にあたる事由があること。

     判決があつた後に刑の廃止若しくは変更又は大赦があつたこと。


    第384条 控訴の申立は、第377条乃至第382条及び前条に規定する事由があることを理由とするときに限り、これをすることができる。


    第385条 控訴の申立が法令上の方式に違反し、又は控訴権の消滅後にされたものであることが明らかなときは、控訴裁判所は、決定でこれを棄却しなければならない。

     前項の決定に対しては、第428条第2項の異議の申立をすることができる。この場合には、即時抗告に関する規定をも準用する。


    第386条 左の場合には、控訴裁判所は、決定で控訴を棄却しなければならない。

     第376条第1項に定める期間内に控訴趣意書を差し出さないとき。

     控訴趣意書がこの法律若しくは裁判所の規則で定める方式に違反しているとき、又は控訴趣意書にこの法律若しくは裁判所の規則の定めるところに従い必要な疎明資料若しくは保証書を添附しないとき。

     控訴趣意書に記載された控訴の申立の理由が、明らかに第377条乃至第382条及び第383条に規定する事由に該当しないとき。

     前条第2項の規定は、前項の決定についてこれを準用する。


    第387条 控訴審では、弁護士以外の者を弁護人に選任することはできない。


    第388条 控訴審では、被告人のためにする弁論は、弁護人でなければ、これをすることができない。


    第389条 公判期日には、検察官及び弁護人は、控訴趣意書に基いて弁論をしなければならない。


    第390条 控訴審においては、被告人は、公判期日に出頭することを要しない。ただし、裁判所は、50万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、5万円)以下の罰金又は科料に当たる事件以外の事件について、被告人の出頭がその権利の保護のため重要であると認めるときは、被告人の出頭を命ずることができる。


    第391条 弁護人が出頭しないとき、又は弁護人の選任がないときは、この法律により弁護人を要する場合又は決定で弁護人を附した場合を除いては、検察官の陳述を聴いて判決をすることができる。


    第392条 控訴裁判所は、控訴趣意書に包含された事項は、これを調査しなければならない。

     控訴裁判所は、控訴趣意書に包含されない事項であつても、第377条乃至第382条及び第383条に規定する事由に関しては、職権で調査をすることができる。


    第393条 控訴裁判所は、前条の調査をするについて必要があるときは、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で事実の取調をすることができる。但し、第382条の2の疎明があつたものについては、刑の量定の不当又は判決に影響を及ぼすべき事実の誤認を証明するために欠くことのできない場合に限り、これを取り調べなければならない。

     控訴裁判所は、必要があると認めるときは、職権で、第一審判決後の刑の量定に影響を及ぼすべき情状につき取調をすることができる。

     前二項の取調は、合議体の構成員にこれをさせ、又は地方裁判所、家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官にこれを嘱託することができる。この場合には、受命裁判官及び受託裁判官は、裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。

     第1項又は第2項の規定による取調をしたときは、検察官及び弁護人は、その結果に基いて弁論をすることができる。


    第394条 第一審において証拠とすることができた証拠は、控訴審においても、これを証拠とすることができる。


    第395条 控訴の申立が法令上の方式に違反し、又は控訴権の消滅後にされたものであるときは、判決で控訴を棄却しなければならない。


    第396条 第377条乃至第382条及び第383条に規定する事由がないときは、判決で控訴を棄却しなければならない。


    第397条 第377条乃至第382条及び第383条に規定する事由があるときは、判決で原判決を破棄しなければならない。

     第393条第2項の規定による取調の結果、原判決を破棄しなければ明らかに正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄することができる。


    第398条 不法に、管轄違を言い渡し、又は公訴を棄却したことを理由として原判決を破棄するときは、判決で事件を原裁判所に差し戻さなければならない。


    第399条 不法に管轄を認めたことを理由として原判決を破棄するときは、判決で事件を管轄第一審裁判所に移送しなければならない。但し、控訴裁判所は、その事件について第一審の管轄権を有するときは、第一審として審判をしなければならない。


    第400条 前二条に規定する理由以外の理由によつて原判決を破棄するときは、判決で、事件を原裁判所に差し戻し、又は原裁判所と同等の他の裁判所に移送しなければならない。但し、控訴裁判所は、訴訟記録並びに原裁判所及び控訴裁判所において取り調べた証拠によつて、直ちに判決をすることができるものと認めるときは、被告事件について更に判決をすることができる。


    第401条 被告人の利益のため原判決を破棄する場合において、破棄の理由が控訴をした共同被告人に共通であるときは、その共同被告人のためにも原判決を破棄しなければならない。


    第402条 被告人が控訴をし、又は被告人のため控訴をした事件については、原判決の刑より重い刑を言い渡すことはできない。


    第403条 原裁判所が不法に公訴棄却の決定をしなかつたときは、決定で公訴を棄却しなければならない。

     第385条第2項の規定は、前項の決定についてこれを準用する。


    第403条の2 即決裁判手続においてされた判決に対する控訴の申立ては、第384条の規定にかかわらず、当該判決の言渡しにおいて示された罪となるべき事実について第382条に規定する事由があることを理由としては、これをすることができない。

     原裁判所が即決裁判手続によつて判決をした事件については、第397条第1項の規定にかかわらず、控訴裁判所は、当該判決の言渡しにおいて示された罪となるべき事実について第382条に規定する事由があることを理由としては、原判決を破棄することができない。


    第404条 第2編中公判に関する規定は、この法律に特別の定のある場合を除いては、控訴の審判についてこれを準用する。

    第3章 上告

    第405条 高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては、左の事由があることを理由として上告の申立をすることができる。

     憲法の違反があること又は憲法の解釈に誤があること。

     最高裁判所の判例と相反する判断をしたこと。

     最高裁判所の判例がない場合に、大審院若しくは上告裁判所たる高等裁判所の判例又はこの法律施行後の控訴裁判所たる高等裁判所の判例と相反する判断をしたこと。


    第406条 最高裁判所は、前条の規定により上告をすることができる場合以外の場合であつても、法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件については、その判決確定前に限り、裁判所の規則の定めるところにより、自ら上告審としてその事件を受理することができる。


    第407条 上告趣意書には、裁判所の規則の定めるところにより、上告の申立の理由を明示しなければならない。


    第408条 上告裁判所は、上告趣意書その他の書類によつて、上告の申立の理由がないことが明らかであると認めるときは、弁論を経ないで、判決で上告を棄却することができる。


    第409条 上告審においては、公判期日に被告人を召喚することを要しない。


    第410条 上告裁判所は、第405条各号に規定する事由があるときは、判決で原判決を破棄しなければならない。但し、判決に影響を及ぼさないことが明らかな場合は、この限りでない。

     第405条第2号又は第3号に規定する事由のみがある場合において、上告裁判所がその判例を変更して原判決を維持するのを相当とするときは、前項の規定は、これを適用しない。


    第411条 上告裁判所は、第405条各号に規定する事由がない場合であつても、左の事由があつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄することができる。

     判決に影響を及ぼすべき法令の違反があること。

     刑の量定が甚しく不当であること。

     判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認があること。

     再審の請求をすることができる場合にあたる事由があること。

     判決があつた後に刑の廃止若しくは変更又は大赦があつたこと。


    第412条 不法に管轄を認めたことを理由として原判決を破棄するときは、判決で事件を管轄控訴裁判所又は管轄第一審裁判所に移送しなければならない。


    第413条 前条に規定する理由以外の理由によつて原判決を破棄するときは、判決で、事件を原裁判所若しくは第一審裁判所に差し戻し、又はこれらと同等の他の裁判所に移送しなければならない。但し、上告裁判所は、訴訟記録並びに原裁判所及び第一審裁判所において取り調べた証拠によつて、直ちに判決をすることができるものと認めるときは、被告事件について更に判決をすることができる。


    第413条の2 第一審裁判所が即決裁判手続によつて判決をした事件については、第411条の規定にかかわらず、上告裁判所は、当該判決の言渡しにおいて示された罪となるべき事実について同条第3号に規定する事由があることを理由としては、原判決を破棄することができない。


    第414条 前章の規定は、この法律に特別の定のある場合を除いては、上告の審判についてこれを準用する。


    第415条 上告裁判所は、その判決の内容に誤のあることを発見したときは、検察官、被告人又は弁護人の申立により、判決でこれを訂正することができる。

     前項の申立は、判決の宣告があつた日から10日以内にこれをしなければならない。

     上告裁判所は、適当と認めるときは、第1項に規定する者の申立により、前項の期間を延長することができる。


    第416条 訂正の判決は、弁論を経ないでもこれをすることができる。


    第417条 上告裁判所は、訂正の判決をしないときは、速やかに決定で申立を棄却しなければならない。

     訂正の判決に対しては、第415条第1項の申立をすることはできない。


    第418条 上告裁判所の判決は、宣告があつた日から第415条の期間を経過したとき、又はその期間内に同条第1項の申立があつた場合には訂正の判決若しくは申立を棄却する決定があつたときに、確定する。

    第4章 抗告

    第419条 抗告は、特に即時抗告をすることができる旨の規定がある場合の外、裁判所のした決定に対してこれをすることができる。但し、この法律に特別の定のある場合は、この限りでない。


    第420条 裁判所の管轄又は訴訟手続に関し判決前にした決定に対しては、この法律に特に即時抗告をすることができる旨の規定がある場合を除いては、抗告をすることはできない。

     前項の規定は、勾留、保釈、押収又は押収物の還付に関する決定及び鑑定のためにする留置に関する決定については、これを適用しない。

     勾留に対しては、前項の規定にかかわらず、犯罪の嫌疑がないことを理由として抗告をすることはできない。


    第421条 抗告は、即時抗告を除いては、何時でもこれをすることができる。但し、原決定を取り消しても実益がないようになつたときは、この限りでない。


    第422条 即時抗告の提起期間は、3日とする。


    第423条 抗告をするには、申立書を原裁判所に差し出さなければならない。

     原裁判所は、抗告を理由があるものと認めるときは、決定を更正しなければならない。抗告の全部又は一部を理由がないと認めるときは、申立書を受け取つた日から3日以内に意見書を添えて、これを抗告裁判所に送付しなければならない。


    第424条 抗告は、即時抗告を除いては、裁判の執行を停止する効力を有しない。但し、原裁判所は、決定で、抗告の裁判があるまで執行を停止することができる。

     抗告裁判所は、決定で裁判の執行を停止することができる。


    第425条 即時抗告の提起期間内及びその申立があつたときは、裁判の執行は、停止される。


    第426条 抗告の手続がその規定に違反したとき、又は抗告が理由のないときは、決定で抗告を棄却しなければならない。

     抗告が理由のあるときは、決定で原決定を取り消し、必要がある場合には、更に裁判をしなければならない。


    第427条 抗告裁判所の決定に対しては、抗告をすることはできない。


    第428条 高等裁判所の決定に対しては、抗告をすることはできない。

     即時抗告をすることができる旨の規定がある決定並びに第419条及び第420条の規定により抗告をすることができる決定で高等裁判所がしたものに対しては、その高等裁判所に異議の申立をすることができる。

     前項の異議の申立に関しては、抗告に関する規定を準用する。即時抗告をすることができる旨の規定がある決定に対する異議の申立に関しては、即時抗告に関する規定をも準用する。


    第429条 裁判官が左の裁判をした場合において、不服がある者は、簡易裁判所の裁判官がした裁判に対しては管轄地方裁判所に、その他の裁判官がした裁判に対してはその裁判官所属の裁判所にその裁判の取消又は変更を請求することができる。

     忌避の申立を却下する裁判

     勾留、保釈、押収又は押収物の還付に関する裁判

     鑑定のため留置を命ずる裁判

     証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人に対して過料又は費用の賠償を命ずる裁判

     身体の検査を受ける者に対して過料又は費用の賠償を命ずる裁判

     第420条第3項の規定は、前項の請求についてこれを準用する。

     第1項の請求を受けた地方裁判所又は家庭裁判所は、合議体で決定をしなければならない。

     第1項第4号又は第5号の裁判の取消又は変更の請求は、その裁判のあつた日から3日以内にこれをしなければならない。

     前項の請求期間内及びその請求があつたときは、裁判の執行は、停止される。


    第430条 検察官又は検察事務官のした第39条第3項の処分又は押収若しくは押収物の還付に関する処分に不服がある者は、その検察官又は検察事務官が所属する検察庁の対応する裁判所にその処分の取消又は変更を請求することができる。

     司法警察職員のした前項の処分に不服がある者は、司法警察職員の職務執行地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所にその処分の取消又は変更を請求することができる。

     前二項の請求については、行政事件訴訟に関する法令の規定は、これを適用しない。


    第431条 前二条の請求をするには、請求書を管轄裁判所に差し出さなければならない。


    第432条 第424条、第426条及び第427条の規定は、第429条及び第430条の請求があつた場合にこれを準用する。


    第433条 この法律により不服を申し立てることができない決定又は命令に対しては、第405条に規定する事由があることを理由とする場合に限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。

     前項の抗告の提起期間は、5日とする。


    第434条 第423条、第424条及び第426条の規定は、この法律に特別の定のある場合を除いては、前条第1項の抗告についてこれを準用する。

    第4編 再審

    第435条 再審の請求は、左の場合において、有罪の言渡をした確定判決に対して、その言渡を受けた者の利益のために、これをすることができる。

     原判決の証拠となつた証拠書類又は証拠物が確定判決により偽造又は変造であつたことが証明されたとき。

     原判決の証拠となつた証言、鑑定、通訳又は翻訳が確定判決により虚偽であつたことが証明されたとき。

     有罪の言渡を受けた者を誣告した罪が確定判決により証明されたとき。但し、誣告により有罪の言渡を受けたときに限る。

     原判決の証拠となつた裁判が確定裁判により変更されたとき。

     特許権、実用新案権、意匠権又は商標権を害した罪により有罪の言渡をした事件について、その権利の無効の審決が確定したとき、又は無効の判決があつたとき。

     有罪の言渡を受けた者に対して無罪若しくは免訴を言い渡し、刑の言渡を受けた者に対して刑の免除を言い渡し、又は原判決において認めた罪より軽い罪を認めるべき明らかな証拠をあらたに発見したとき。

     原判決に関与した裁判官、原判決の証拠となつた証拠書類の作成に関与した裁判官又は原判決の証拠となつた書面を作成し若しくは供述をした検察官、検察事務官若しくは司法警察職員が被告事件について職務に関する罪を犯したことが確定判決により証明されたとき。但し、原判決をする前に裁判官、検察官、検察事務官又は司法警察職員に対して公訴の提起があつた場合には、原判決をした裁判所がその事実を知らなかつたときに限る。


    第436条 再審の請求は、左の場合において、控訴又は上告を棄却した確定判決に対して、その言渡を受けた者の利益のために、これをすることができる。

     前条第1号又は第2号に規定する事由があるとき。

     原判決又はその証拠となつた証拠書類の作成に関与した裁判官について前条第7号に規定する事由があるとき。

     第一審の確定判決に対して再審の請求をした事件について再審の判決があつた後は、控訴棄却の判決に対しては、再審の請求をすることはできない。

     第一審又は第二審の確定判決に対して再審の請求をした事件について再審の判決があつた後は、上告棄却の判決に対しては、再審の請求をすることはできない。


    第437条 前二条の規定に従い、確定判決により犯罪が証明されたことを再審の請求の理由とすべき場合において、その確定判決を得ることができないときは、その事実を証明して再審の請求をすることができる。但し、証拠がないという理由によつて確定判決を得ることができないときは、この限りでない。


    第438条 再審の請求は、原判決をした裁判所がこれを管轄する。


    第439条 再審の請求は、左の者がこれをすることができる。

     検察官

     有罪の言渡を受けた者

     有罪の言渡を受けた者の法定代理人及び保佐人

     有罪の言渡を受けた者が死亡し、又は心神喪失の状態に在る場合には、その配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹

     第435条第7号又は第436条第1項第2号に規定する事由による再審の請求は、有罪の言渡を受けた者がその罪を犯させた場合には、検察官でなければこれをすることができない。


    第440条 検察官以外の者は、再審の請求をする場合には、弁護人を選任することができる。

     前項の規定による弁護人の選任は、再審の判決があるまでその効力を有する。


    第441条 再審の請求は、刑の執行が終り、又はその執行を受けることがないようになつたときでも、これをすることができる。


    第442条 再審の請求は、刑の執行を停止する効力を有しない。但し、管轄裁判所に対応する検察庁の検察官は、再審の請求についての裁判があるまで刑の執行を停止することができる。


    第443条 再審の請求は、これを取り下げることができる。

     再審の請求を取り下げた者は、同一の理由によつては、更に再審の請求をすることができない。


    第444条 第366条の規定は、再審の請求及びその取下についてこれを準用する。


    第445条 再審の請求を受けた裁判所は、必要があるときは、合議体の構成員に再審の請求の理由について、事実の取調をさせ、又は地方裁判所、家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官にこれを嘱託することができる。この場合には、受命裁判官及び受託裁判官は、裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。


    第446条 再審の請求が法令上の方式に違反し、又は請求権の消滅後にされたものであるときは、決定でこれを棄却しなければならない。


    第447条 再審の請求が理由のないときは、決定でこれを棄却しなければならない。

     前項の決定があつたときは、何人も、同一の理由によつては、更に再審の請求をすることはできない。


    第448条 再審の請求が理由のあるときは、再審開始の決定をしなければならない。

     再審開始の決定をしたときは、決定で刑の執行を停止することができる。


    第449条 控訴を棄却した確定判決とその判決によつて確定した第一審の判決とに対して再審の請求があつた場合において、第一審裁判所が再審の判決をしたときは、控訴裁判所は、決定で再審の請求を棄却しなければならない。

     第一審又は第二審の判決に対する上告を棄却した判決とその判決によつて確定した第一審又は第二審の判決とに対して再審の請求があつた場合において、第一審裁判所又は控訴裁判所が再審の判決をしたときは、上告裁判所は、決定で再審の請求を棄却しなければならない。


    第450条 第446条、第447条第1項、第448条第1項又は前条第1項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。


    第451条 裁判所は、再審開始の決定が確定した事件については、第449条の場合を除いては、その審級に従い、更に審判をしなければならない。

     左の場合には、第314条第1項本文及び第339条第1項第4号の規定は、前項の審判にこれを適用しない。

     死亡者又は回復の見込がない心神喪失者のために再審の請求がされたとき。

     有罪の言渡を受けた者が、再審の判決がある前に、死亡し、又は心神喪失の状態に陥りその回復の見込がないとき。

     前項の場合には、被告人の出頭がなくても、審判をすることができる。但し、弁護人が出頭しなければ開廷することはできない。

     第2項の場合において、再審の請求をした者が弁護人を選任しないときは、裁判長は、職権で弁護人を附しなければならない。


    第452条 再審においては、原判決の刑より重い刑を言い渡すことはできない。


    第453条 再審において無罪の言渡をしたときは、官報及び新聞紙に掲載して、その判決を公示しなければならない。

    第5編 非常上告

    第454条 検事総長は、判決が確定した後その事件の審判が法令に違反したことを発見したときは、最高裁判所に非常上告をすることができる。


    第455条 非常上告をするには、その理由を記載した申立書を最高裁判所に差し出さなければならない。


    第456条 公判期日には、検察官は、申立書に基いて陳述をしなければならない。


    第457条 非常上告が理由のないときは、判決でこれを棄却しなければならない。


    第458条 非常上告が理由のあるときは、左の区別に従い、判決をしなければならない。

     原判決が法令に違反したときは、その違反した部分を破棄する。但し、原判決が被告人のため不利益であるときは、これを破棄して、被告事件について更に判決をする。

     訴訟手続が法令に違反したときは、その違反した手続を破棄する。


    第459条 非常上告の判決は、前条第1号但書の規定によりされたものを除いては、その効力を被告人に及ぼさない。


    第460条 裁判所は、申立書に包含された事項に限り、調査をしなければならない。

     裁判所は、裁判所の管轄、公訴の受理及び訴訟手続に関しては、事実の取調をすることができる。この場合には、第393条第3項の規定を準用する。

    第6編 略式手続

    第461条 簡易裁判所は、検察官の請求により、その管轄に属する事件について、公判前、略式命令で、100万円以下の罰金又は科料を科することができる。この場合には、刑の執行猶予をし、没収を科し、その他付随の処分をすることができる。


    第461条の2 検察官は、略式命令の請求に際し、被疑者に対し、あらかじめ、略式手続を理解させるために必要な事項を説明し、通常の規定に従い審判を受けることができる旨を告げた上、略式手続によることについて異議がないかどうかを確めなければならない。

     被疑者は、略式手続によることについて異議がないときは、書面でその旨を明らかにしなければならない。


    第462条 略式命令の請求は、公訴の提起と同時に、書面でこれをしなければならない。

     前項の書面には、前条第2項の書面を添附しなければならない。


    第462条の2 検察官は、略式命令の請求をする場合において、その事件について被告人との間でした第350条の2第1項の合意があるときは、当該請求と同時に、合意内容書面を裁判所に差し出さなければならない。

     前項の規定により合意内容書面を裁判所に差し出した後、裁判所が略式命令をする前に、当該合意の当事者が第350条の10第2項の規定により当該合意から離脱する旨の告知をしたときは、検察官は、遅滞なく、同項の書面をその裁判所に差し出さなければならない。


    第463条 第462条の請求があつた場合において、その事件が略式命令をすることができないものであり、又はこれをすることが相当でないものであると思料するときは、通常の規定に従い、審判をしなければならない。

     検察官が、第461条の2に定める手続をせず、又は第462条第2項に違反して略式命令を請求したときも、前項と同様である。

     裁判所は、前二項の規定により通常の規定に従い審判をするときは、直ちに検察官にその旨を通知しなければならない。

     第1項及び第2項の場合には、第271条の規定の適用があるものとする。但し、同条第2項に定める期間は、前項の通知があつた日から2箇月とする。


    第463条の2 前条の場合を除いて、略式命令の請求があつた日から4箇月以内に略式命令が被告人に告知されないときは、公訴の提起は、さかのぼつてその効力を失う。

     前項の場合には、裁判所は、決定で、公訴を棄却しなければならない。略式命令が既に検察官に告知されているときは、略式命令を取り消した上、その決定をしなければならない。

     前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。


    第464条 略式命令には、罪となるべき事実、適用した法令、科すべき刑及び附随の処分並びに略式命令の告知があつた日から14日以内に正式裁判の請求をすることができる旨を示さなければならない。


    第465条 略式命令を受けた者又は検察官は、その告知を受けた日から14日以内に正式裁判の請求をすることができる。

     正式裁判の請求は、略式命令をした裁判所に、書面でこれをしなければならない。正式裁判の請求があつたときは、裁判所は、速やかにその旨を検察官又は略式命令を受けた者に通知しなければならない。


    第466条 正式裁判の請求は、第一審の判決があるまでこれを取り下げることができる。


    第467条 第353条、第355条乃至第357条、第359条、第360条及び第361条乃至第365条の規定は、正式裁判の請求又はその取下についてこれを準用する。


    第468条 正式裁判の請求が法令上の方式に違反し、又は請求権の消滅後にされたものであるときは、決定でこれを棄却しなければならない。この決定に対しては、即時抗告をすることができる。

     正式裁判の請求を適法とするときは、通常の規定に従い、審判をしなければならない。

     前項の場合においては、略式命令に拘束されない。


    第469条 正式裁判の請求により判決をしたときは、略式命令は、その効力を失う。


    第470条 略式命令は、正式裁判の請求期間の経過又はその請求の取下により、確定判決と同一の効力を生ずる。正式裁判の請求を棄却する裁判が確定したときも、同様である。

    第7編 裁判の執行

    第471条 裁判は、この法律に特別の定のある場合を除いては、確定した後これを執行する。


    第472条 裁判の執行は、その裁判をした裁判所に対応する検察庁の検察官がこれを指揮する。但し、第70条第1項但書の場合、第108条第1項但書の場合その他その性質上裁判所又は裁判官が指揮すべき場合は、この限りでない。

     上訴の裁判又は上訴の取下により下級の裁判所の裁判を執行する場合には、上訴裁判所に対応する検察庁の検察官がこれを指揮する。但し、訴訟記録が下級の裁判所又はその裁判所に対応する検察庁に在るときは、その裁判所に対応する検察庁の検察官が、これを指揮する。


    第473条 裁判の執行の指揮は、書面でこれをし、これに裁判書又は裁判を記載した調書の謄本又は抄本を添えなければならない。但し、刑の執行を指揮する場合を除いては、裁判書の原本、謄本若しくは抄本又は裁判を記載した調書の謄本若しくは抄本に認印して、これをすることができる。


    第474条 二以上の主刑の執行は、罰金及び科料を除いては、その重いものを先にする。但し、検察官は、重い刑の執行を停止して、他の刑の執行をさせることができる。


    第475条 死刑の執行は、法務大臣の命令による。

     前項の命令は、判決確定の日から6箇月以内にこれをしなければならない。但し、上訴権回復若しくは再審の請求、非常上告又は恩赦の出願若しくは申出がされその手続が終了するまでの期間及び共同被告人であつた者に対する判決が確定するまでの期間は、これをその期間に算入しない。


    第476条 法務大臣が死刑の執行を命じたときは、5日以内にその執行をしなければならない。


    第477条 死刑は、検察官、検察事務官及び刑事施設の長又はその代理者の立会いの上、これを執行しなければならない。

     検察官又は刑事施設の長の許可を受けた者でなければ、刑場に入ることはできない。


    第478条 死刑の執行に立ち会つた検察事務官は、執行始末書を作り、検察官及び刑事施設の長又はその代理者とともに、これに署名押印しなければならない。


    第479条 死刑の言渡を受けた者が心神喪失の状態に在るときは、法務大臣の命令によつて執行を停止する。

     死刑の言渡を受けた女子が懐胎しているときは、法務大臣の命令によつて執行を停止する。

     前二項の規定により死刑の執行を停止した場合には、心神喪失の状態が回復した後又は出産の後に法務大臣の命令がなければ、執行することはできない。

     第475条第2項の規定は、前項の命令についてこれを準用する。この場合において、判決確定の日とあるのは、心神喪失の状態が回復した日又は出産の日と読み替えるものとする。


    第480条 懲役、禁錮又は拘留の言渡を受けた者が心神喪失の状態に在るときは、刑の言渡をした裁判所に対応する検察庁の検察官又は刑の言渡を受けた者の現在地を管轄する地方検察庁の検察官の指揮によつて、その状態が回復するまで執行を停止する。


    第481条 前条の規定により刑の執行を停止した場合には、検察官は、刑の言渡を受けた者を監護義務者又は地方公共団体の長に引き渡し、病院その他の適当な場所に入れさせなければならない。

     刑の執行を停止された者は、前項の処分があるまでこれを刑事施設に留置し、その期間を刑期に算入する。


    第482条 懲役、禁錮又は拘留の言渡を受けた者について左の事由があるときは、刑の言渡をした裁判所に対応する検察庁の検察官又は刑の言渡を受けた者の現在地を管轄する地方検察庁の検察官の指揮によつて執行を停止することができる。

     刑の執行によつて、著しく健康を害するとき、又は生命を保つことのできない虞があるとき。

     年齢70年以上であるとき。

     受胎後150日以上であるとき。

     出産後60日を経過しないとき。

     刑の執行によつて回復することのできない不利益を生ずる虞があるとき。

     祖父母又は父母が年齢70年以上又は重病若しくは不具で、他にこれを保護する親族がないとき。

     子又は孫が幼年で、他にこれを保護する親族がないとき。

     その他重大な事由があるとき。


    第483条 第500条に規定する申立の期間内及びその申立があつたときは、訴訟費用の負担を命ずる裁判の執行は、その申立についての裁判が確定するまで停止される。


    第484条 死刑、懲役、禁錮又は拘留の言渡しを受けた者が拘禁されていないときは、検察官は、執行のためこれを呼び出さなければならない。呼出しに応じないときは、収容状を発しなければならない。


    第485条 死刑、懲役、禁錮又は拘留の言渡しを受けた者が逃亡したとき、又は逃亡するおそれがあるときは、検察官は、直ちに収容状を発し、又は司法警察員にこれを発せしめることができる。


    第486条 死刑、懲役、禁錮又は拘留の言渡しを受けた者の現在地が分からないときは、検察官は、検事長にその者の刑事施設への収容を請求することができる。

     請求を受けた検事長は、その管内の検察官に収容状を発せしめなければならない。


    第487条 収容状には、刑の言渡しを受けた者の氏名、住居、年齢、刑名、刑期その他収容に必要な事項を記載し、検察官又は司法警察員が、これに記名押印しなければならない。


    第488条 収容状は、勾引状と同一の効力を有する。


    第489条 収容状の執行については、勾引状の執行に関する規定を準用する。


    第490条 罰金、科料、没収、追徴、過料、没取、訴訟費用、費用賠償又は仮納付の裁判は、検察官の命令によつてこれを執行する。この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。

     前項の裁判の執行は、民事執行法(昭和54年法律第4号)その他強制執行の手続に関する法令の規定に従つてする。ただし、執行前に裁判の送達をすることを要しない。


    第491条 没収又は租税その他の公課若しくは専売に関する法令の規定により言い渡した罰金若しくは追徴は、刑の言渡を受けた者が判決の確定した後死亡した場合には、相続財産についてこれを執行することができる。


    第492条 法人に対して罰金、科料、没収又は追徴を言い渡した場合に、その法人が判決の確定した後合併によつて消滅したときは、合併の後存続する法人又は合併によつて設立された法人に対して執行することができる。


    第493条 第一審と第二審とにおいて、仮納付の裁判があつた場合に、第一審の仮納付の裁判について既に執行があつたときは、その執行は、これを第二審の仮納付の裁判で納付を命ぜられた金額の限度において、第二審の仮納付の裁判についての執行とみなす。

     前項の場合において、第一審の仮納付の裁判の執行によつて得た金額が第二審の仮納付の裁判で納付を命ぜられた金額を超えるときは、その超過額は、これを還付しなければならない。


    第494条 仮納付の裁判の執行があつた後に、罰金、科料又は追徴の裁判が確定したときは、その金額の限度において刑の執行があつたものとみなす。

     前項の場合において、仮納付の裁判の執行によつて得た金額が罰金、科料又は追徴の金額を超えるときは、その超過額は、これを還付しなければならない。


    第495条 上訴の提起期間中の未決勾留の日数は、上訴申立後の未決勾留の日数を除き、全部これを本刑に通算する。

     上訴申立後の未決勾留の日数は、左の場合には、全部これを本刑に通算する。

     検察官が上訴を申し立てたとき。

     検察官以外の者が上訴を申し立てた場合においてその上訴審において原判決が破棄されたとき。

     前二項の規定による通算については、未決勾留の1日を刑期の1日又は金額の4000円に折算する。

     上訴裁判所が原判決を破棄した後の未決勾留は、上訴中の未決勾留日数に準じて、これを通算する。


    第496条 没収物は、検察官がこれを処分しなければならない。


    第497条 没収を執行した後3箇月以内に、権利を有する者が没収物の交付を請求したときは、検察官は、破壊し、又は廃棄すべき物を除いては、これを交付しなければならない。

     没収物を処分した後前項の請求があつた場合には、検察官は、公売によつて得た代価を交付しなければならない。


    第498条 偽造し、又は変造された物を返還する場合には、偽造又は変造の部分をその物に表示しなければならない。

     偽造し、又は変造された物が押収されていないときは、これを提出させて、前項に規定する手続をしなければならない。但し、その物が公務所に属するときは、偽造又は変造の部分を公務所に通知して相当な処分をさせなければならない。


    第498条の2 不正に作られた電磁的記録又は没収された電磁的記録に係る記録媒体を返還し、又は交付する場合には、当該電磁的記録を消去し、又は当該電磁的記録が不正に利用されないようにする処分をしなければならない。

     不正に作られた電磁的記録に係る記録媒体が公務所に属する場合において、当該電磁的記録に係る記録媒体が押収されていないときは、不正に作られた部分を公務所に通知して相当な処分をさせなければならない。


    第499条 押収物の還付を受けるべき者の所在が判らないため、又はその他の事由によつて、その物を還付することができない場合には、検察官は、その旨を政令で定める方法によつて公告しなければならない。

     第222条第1項において準用する第123条第1項若しくは第124条第1項の規定又は第220条第2項の規定により押収物を還付しようとするときも、前項と同様とする。この場合において、同項中「検察官」とあるのは、「検察官又は司法警察員」とする。

     前二項の規定による公告をした日から6箇月以内に還付の請求がないときは、その物は、国庫に帰属する。

     前項の期間内でも、価値のない物は、これを廃棄し、保管に不便な物は、これを公売してその代価を保管することができる。


    第499条の2 前条第1項の規定は第123条第3項の規定による交付又は複写について、前条第2項の規定は第220条第2項及び第222条第1項において準用する第123条第3項の規定による交付又は複写について、それぞれ準用する。

     前項において準用する前条第1項又は第2項の規定による公告をした日から6箇月以内に前項の交付又は複写の請求がないときは、その交付をし、又は複写をさせることを要しない。


    第500条 訴訟費用の負担を命ぜられた者は、貧困のためこれを完納することができないときは、裁判所の規則の定めるところにより、訴訟費用の全部又は一部について、その裁判の執行の免除の申立をすることができる。

     前項の申立は、訴訟費用の負担を命ずる裁判が確定した後20日以内にこれをしなければならない。


    第500条の2 被告人又は被疑者は、検察官に訴訟費用の概算額の予納をすることができる。


    第500条の3 検察官は、訴訟費用の裁判を執行する場合において、前条の規定による予納がされた金額があるときは、その予納がされた金額から当該訴訟費用の額に相当する金額を控除し、当該金額を当該訴訟費用の納付に充てる。

     前項の規定により予納がされた金額から訴訟費用の額に相当する金額を控除して残余があるときは、その残余の額は、その予納をした者の請求により返還する。


    第500条の4 次の各号のいずれかに該当する場合には、第500条の2の規定による予納がされた金額は、その予納をした者の請求により返還する。

     第38条の2の規定により弁護人の選任が効力を失つたとき。

     訴訟手続が終了する場合において、被告人に訴訟費用の負担を命ずる裁判がなされなかつたとき。

     訴訟費用の負担を命ぜられた者が、訴訟費用の全部について、その裁判の執行の免除を受けたとき。


    第501条 刑の言渡を受けた者は、裁判の解釈について疑があるときは、言渡をした裁判所に裁判の解釈を求める申立をすることができる。


    第502条 裁判の執行を受ける者又はその法定代理人若しくは保佐人は、執行に関し検察官のした処分を不当とするときは、言渡をした裁判所に異議の申立をすることができる。


    第503条 第500条及び前二条の申立ては、決定があるまでこれを取り下げることができる。

     第366条の規定は、第500条及び前二条の申立て及びその取下げについてこれを準用する。


    第504条 第500条、第501条及び第502条の申立てについてした決定に対しては、即時抗告をすることができる。


    第505条 罰金又は科料を完納することができない場合における労役場留置の執行については、刑の執行に関する規定を準用する。


    第506条 第490条第1項の裁判の執行の費用は、執行を受ける者の負担とし、民事執行法その他強制執行の手続に関する法令の規定に従い、執行と同時にこれを取り立てなければならない。


    第507条 検察官又は裁判所若しくは裁判官は、裁判の執行に関して必要があると認めるときは、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

    附 則

    この法律は、昭和24年1月1日から、これを施行する。

    附 則(昭和23年12月21日法律第260号)

    第10条 この法律は、昭和24年1月1日から施行する。

    附 則(昭和24年5月28日法律第116号)

    この法律は、公布の日から施行する。

    附 則(昭和27年7月21日法律第240号)

     この法律は、公布の日から施行する。

    附 則(昭和27年7月31日法律第268号)

     この法律は、昭和27年8月1日から施行する。

    附 則(昭和28年8月7日法律第172号)

     この法律は、公布の日から起算して90日を経過した日から施行する。

     この附則で、「新法」とは、この法律による改正後の刑事訴訟法をいい、「旧法」とは、従前の刑事訴訟法をいう。

     新法は、特別の定がある場合を除いては、新法施行前に生じた事項にも適用する。但し、旧法によつて生じた効力を妨げない。

     前項但書の場合において、旧法によつてした訴訟手続が新法にこれに相当する規定があるものは、新法によつてしたものとみなす。

     新法施行前に正式裁判の請求をした事件で新法施行後にその取下のあつたものの訴訟費用の負担については、新法施行後も、なお従前の例による。

     新法施行の際すでに控訴趣意書の差出期間を経過した事件の控訴裁判所における事実の取調については、新法施行後も、なお旧法第393条第1項但書の規定を適用する。

     新法施行前すでに略式命令の請求があつた事件の略式手続については、なお従前の例による。正式裁判の請求をすることができる期間についても、同様である。

     前項前段の事件で、被告人に対し略式命令の謄本の送達がなくて新法施行前すでに略式命令の請求があつた日から2箇月を経過したものについては、公訴の提起は、さかのぼつてその効力を失つたものとする。但し、新法施行前すでに裁判所が旧法第463条の規定により通常の規定に従い審判をすることとした事件及び新法施行前すでに被告人に対し略式命令の謄本が送達された事件については、この限りでない。

     第7項前段の事件で、新法施行の際略式命令の請求があつた日からまだ2箇月を経過していないものについては、新法第463条の2の規定の適用があるものとする。この場合には、前項但書の規定を準用する。

    10 新法施行の際まだ略式命令の請求をしていない事件であつても、新法施行の際すでに検察官から被疑者に対し略式命令の請求をすることを告げているものについては、これを告げた日から7日を経過した後であつて、且つ、略式手続によることについて被疑者に異議がない場合には、新法第461条の2及び第462条第2項の規定にかかわらず、略式命令をすることができる。

    附 則(昭和28年8月10日法律第195号)

     この法律の施行期日は、昭和28年12月31日までの間において政令で定める。

    附 則(昭和29年4月1日法律第57号)

     この法律は、昭和29年8月31日までの間において政令で定める日から施行する。但し、刑法第1条第2項の改正規定及び附則第3項の規定は、公布の日から施行する。

    附 則(昭和29年6月8日法律第163号)
    (施行期日)

     この法律中、第53条の規定は交通事件即決裁判手続法の施行の日から、その他の部分は、警察法(昭和29年法律第162号。同法附則第1項但書に係る部分を除く。)の施行の日から施行する。

    附 則(昭和33年4月30日法律第108号)

    この法律は、公布の日から起算して20日を経過した日から施行する。

    附 則(昭和46年4月6日法律第42号)

    この法律(第1条を除く。)は、昭和46年7月1日から施行する。

    附 則(昭和51年5月21日法律第23号)

     この法律は、公布の日から起算して90日を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

     この法律の施行前に生じた訴訟費用については、この法律による改正後の刑事訴訟法第181条第3項ただし書の規定は、適用しない。

     この法律による改正後の刑事訴訟法第188条の2の規定は、この法律の施行後に無罪の判決が確定した事件につきこの法律の施行前に生じた費用についても適用する。

     検察官のみが上訴をした場合において、その上訴がこの法律の施行前に棄却され又は取り下げられたときは、上訴によりその審級において生じた費用の補償については、なお従前の例による。

     この法律による改正前の刑事訴訟法第370条第1項の規定による補償の請求及び前項の規定により従前の例によることとされる補償の請求がされている場合には、改正前の同法第368条の規定及び同条の規定の例により補償される費用については、改正後の同法第188条の2第1項の補償をしない。

    附 則(昭和54年3月30日法律第5号)
    (施行期日)

     この法律は、民事執行法(昭和54年法律第4号)の施行の日(昭和55年10月1日)から施行する。

    (経過措置)

     この法律の施行前に申し立てられた民事執行、企業担保権の実行及び破産の事件については、なお従前の例による。

     前項の事件に関し執行官が受ける手数料及び支払又は償還を受ける費用の額については、同項の規定にかかわらず、最高裁判所規則の定めるところによる。

    附 則(昭和61年5月23日法律第66号)
    (施行期日)

     この法律は、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

    附 則(昭和63年12月13日法律第93号)
    (施行期日)

    第1条 この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

    附 則(平成3年4月17日法律第31号)
    (施行期日)

     この法律は、公布の日から起算して20日を経過した日から施行する。

    (逮捕及び勾留に関する経過措置)

     この法律の施行前に犯した刑法の罪に係る刑事訴訟法第60条第3項、第199条第1項及び第217条の適用については、なお従前の例による。

    附 則(平成4年4月2日法律第30号)
    (施行期日)

     この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

    附 則(平成7年5月12日法律第91号)
    (施行期日)

    第1条 この法律は、公布の日から起算して20日を経過した日から施行する。


    (刑事訴訟法の一部改正に伴う経過措置)

    第12条 この法律の施行前に犯したこの法律による改正前の刑法第40条の規定を適用しない罪に当たる事件については、前条の規定による改正後の刑事訴訟法第28条の規定にかかわらず、なお従前の例による。

    附 則(平成11年5月14日法律第43号)
    (施行期日)

    第1条 この法律は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号。以下「情報公開法」という。)の施行の日から施行する。

    附 則(平成11年8月18日法律第138号)

    この法律は、公布の日から起算して20日を経過した日から施行する。

    附 則(平成11年12月7日法律第147号)
    (施行期日)

     この法律は、公布の日から起算して20日を経過した日から施行する。

    附 則(平成11年12月8日法律第151号)
    (施行期日)

    第1条 この法律は、平成12年4月1日から施行する。


    (経過措置)

    第3条 民法の一部を改正する法律(平成11年法律第149号)附則第3条第3項の規定により従前の例によることとされる準禁治産者及びその保佐人に関するこの法律による改正規定の適用については、次に掲げる改正規定を除き、なお従前の例による。

    一~二十五 略

    附 則(平成12年5月19日法律第74号)
    (施行期日)

     この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、それぞれ当該各号に定める日から施行する。

     第1条中刑事訴訟法第235条の改正規定及び第2条の規定 公布の日から起算して20日を経過した日

     第1条中刑事訴訟法第157条の次に三条を加える改正規定(第157条の4に係る部分に限る。) 公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日

    (経過措置)

     前項第1号に定める日前に犯した第1条の規定による改正後の刑事訴訟法第235条第1項第1号に掲げる罪について告訴をすることができる期間については、なお従前の例による。

    附 則(平成12年12月6日法律第142号)
    (施行期日)

    第1条 この法律は、平成13年4月1日から施行する。

    附 則(平成13年6月8日法律第41号)
    (施行期日)

    第1条 この法律は、平成14年4月1日から施行する。

    附 則(平成13年12月5日法律第139号)

    この法律は、公布の日から起算して20日を経過した日から施行する。

    附 則(平成13年12月5日法律第140号)
    (施行期日)

    第1条 この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

    附 則(平成13年12月12日法律第153号)
    (施行期日)

    第1条 この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。


    (処分、手続等に関する経過措置)

    第42条 この法律の施行前に改正前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。以下この条において同じ。)の規定によってした処分、手続その他の行為であって、改正後のそれぞれの法律の規定に相当の規定があるものは、この附則に別段の定めがあるものを除き、改正後のそれぞれの法律の相当の規定によってしたものとみなす。


    (罰則に関する経過措置)

    第43条 この法律の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。


    (経過措置の政令への委任)

    第44条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

    附 則(平成14年7月31日法律第98号)
    (施行期日)

    第1条 この法律は、公社法の施行の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

     第1章第1節(別表第一から別表第四までを含む。)並びに附則第28条第2項、第33条第2項及び第3項並びに第39条の規定 公布の日


    (罰則に関する経過措置)

    第38条 施行日前にした行為並びにこの法律の規定によりなお従前の例によることとされる場合及びこの附則の規定によりなおその効力を有することとされる場合における施行日以後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。


    (その他の経過措置の政令への委任)

    第39条 この法律に規定するもののほか、公社法及びこの法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。

    附 則(平成14年7月31日法律第100号)
    (施行期日)

    第1条 この法律は、民間事業者による信書の送達に関する法律(平成14年法律第99号)の施行の日から施行する。


    (罰則に関する経過措置)

    第2条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。


    (その他の経過措置の政令への委任)

    第3条 前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

    附 則(平成15年5月30日法律第61号)
    (施行期日)

    第1条 この法律は、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の施行の日から施行する。


    (その他の経過措置の政令への委任)

    第4条 前二条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

    附 則(平成16年5月28日法律第62号)
    (施行期日)

    第1条 この法律は、公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

     第1条(刑事訴訟法第31条の次に一条を加える改正規定、同法第36条の次に二条を加える改正規定、同法第37条の次に四条を加える改正規定、同法第38条第1項を改め、同条の次に三条を加える改正規定、同法第58条及び第89条の改正規定、同法第181条に一項を加える改正規定、同法第183条に一項を加える改正規定、同法第187条の次に一条を加える改正規定、同法第203条第2項の次に一項を加える改正規定、同法第204条第2項を改め、同条第1項の次に一項を加える改正規定、同法第205条に一項を加える改正規定、同法第207条第2項を改め、同条第1項の次に二項を加える改正規定、同法第272条に一項を加える改正規定、同法第313条の次に一条を加える改正規定、同法第2編中第3章の次に一章を加える改正規定、同法第403条の次に一条を加える改正規定、同法第413条の次に一条を加える改正規定、同法第500条の次に三条を加える改正規定並びに第503条及び第504条の改正規定に限る。)、第4条、次条並びに附則第3条及び第9条の規定 公布の日から起算して2年6月を超えない範囲内において政令で定める日

     第1条(刑事訴訟法第267条の次に一条を加える改正規定に限る。)、第2条、第3条(検察審査会法第8条第4号の次に三号を加える改正規定を除く。)並びに附則第7条(附則第3条の規定を読み替えて準用する部分に限る。)及び第8条の規定 公布の日から起算して5年を超えない範囲内において政令で定める日


    (第1条の規定による刑事訴訟法の一部改正に伴う経過措置)

    第2条 前条第1号に掲げる規定の施行の際現に裁判所に係属している事件の被告人については、第1条の規定による改正後の刑事訴訟法(以下「新法」という。)第36条の2及び第36条の3並びに第38条の3の規定は、適用しない。


    第3条 司法警察員は、附則第1条第1号に掲げる規定の施行の際現に新法第37条の2第1項に規定する事件について逮捕されている被疑者(附則第1条第1号に掲げる規定の施行の日前に検察官に送致する手続をした者を除く。)に対し、速やかに新法第203条第3項に規定する事項を教示しなければならない。ただし、被疑者に弁護人があるとき又は被疑者が釈放されたときは、この限りでない。

     検察官は、附則第1条第1号に掲げる規定の施行の際現に新法第37条の2第1項に規定する事件について逮捕されている被疑者(前項に規定する被疑者を除く。)及び同条第1項に規定する事件以外の事件について逮捕され附則第1条第1号に掲げる規定の施行の日前に同項に規定する事件について送致された被疑者(次項に規定する被疑者を除く。)に対し、速やかに新法第204条第2項に規定する事項を教示しなければならない。ただし、被疑者に弁護人があるとき又は被疑者が釈放されたときは、この限りでない。

     検察官は、附則第1条第1号に掲げる規定の施行の際現に新法第37条の2第1項に規定する事件について勾留状が発せられている被疑者に対し、速やかに貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは裁判官に対して弁護人の選任を請求することができる旨並びに裁判官に対して弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨及びその資力が基準額以上であるときは、あらかじめ、弁護士会(新法第37条の3第2項の規定により新法第31条の2第1項の申出をすべき弁護士会をいう。)に弁護人の選任の申出をしていなければならない旨を教示しなければならない。ただし、被疑者に弁護人があるとき又は被疑者が釈放されたときは、この限りでない。


    第4条 検察官又は司法警察員は、附則第1条第1号に掲げる規定の施行の日前においても、死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる事件について逮捕され、又は勾留状が発せられている被疑者に対し、附則第1条第1号に掲げる規定の施行の日を告げ、その日以後、勾留を請求され、又は勾留状が発せられている被疑者が貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは裁判官に対して弁護人の選任を請求することができる旨並びに裁判官に対して弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨及びその資力が基準額以上であるときは、あらかじめ、その勾留の請求を受けた裁判官の所属する裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内に在る弁護士会に弁護人の選任の申出をしていなければならない旨を教示することができる。

     検察官又は司法警察員が前項の規定による教示をした被疑者については、当該事件について重ねて前条の規定による教示をすることを要しない。


    第5条 新法第281条の5の規定は、この法律の施行の日前に検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧又は謄写の機会を与えた証拠に係る複製等については、適用しない。


    (第2条の規定による刑事訴訟法の一部改正に伴う経過措置)

    第7条 附則第3条及び第4条の規定は、第2条の規定による改正後の刑事訴訟法第37条の2第1項の規定により新たに同項の請求をすることができることとなり、又は引き続き勾留を請求された場合において同項の請求をすることができることとなる被疑者について準用する。この場合において、これらの規定中「附則第1条第1号」とあるのは、「附則第1条第2号」と読み替えるものとする。

    附 則(平成16年12月8日法律第156号)
    (施行期日)

    第1条 この法律は、公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。


    (経過措置)

    第3条 

     この法律の施行前に犯した罪の公訴時効の期間については、第2条の規定による改正後の刑事訴訟法第250条の規定にかかわらず、なお従前の例による。

    附 則(平成17年5月25日法律第50号)
    (施行期日)

    第1条 この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

    附 則(平成17年6月22日法律第66号)
    (施行期日)

    第1条 この法律は、公布の日から起算して20日を経過した日から施行する。


    (調整規定)

    第2条 この法律の施行の日が犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律の施行の日前である場合には、第1条のうち刑法第3条第12号及び第3条の2第5号の改正規定中「第3条第12号」とあるのは「第3条第11号」とし、第4条のうち組織的犯罪処罰法第3条第1項第8号の改正規定中「第3条第1項第8号」とあるのは「第3条第1項第4号」とする。


    第3条 この法律の施行の日が犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律の施行の日前である場合には、同法の施行の日の前日までの間における組織的犯罪処罰法別表の規定の適用については、同表第2号ワ中「国外移送目的略取等、被略取者収受等」とあるのは、「所在国外移送目的略取及び誘拐、人身売買、被略取者等所在国外移送、被略取者引渡し等」とする。


    第4条 この法律の施行の日が旅券法及び組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律第1条中旅券法第23条の改正規定の施行の日前である場合には、当該改正規定の施行の日の前日までの間における第3条の規定による改正後の出入国管理及び難民認定法第24条第4号ニ及びヨ並びに第24条の2第2号の規定の適用については、同法第24条第4号ニ中「旅券法(昭和26年法律第267号)第23条第1項(第6号を除く。)から第3項までの罪により刑に処せられた者」とあるのは「削除」とし、同号ヨ中「イからカまで」とあるのは「イからハまで及びホからカまで」とし、同法第24条の2第2号中「第4号ハ」とあるのは「第4号ハ及びホ」とする。

     附則第1条第3号に掲げる規定の施行の日が旅券法及び組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律第1条中旅券法第23条の改正規定の施行の日前である場合には、当該改正規定の施行の日の前日までの間における第3条の規定による改正後の出入国管理及び難民認定法第61条の2の2第1項第3号及び第61条の2の4第1項第5号の規定の適用については、これらの規定中「第4号ハ」とあるのは、「第4号ハ及びホ」とする。


    第5条 附則第1条第4号に掲げる規定の施行の日が旅券法及び組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律第2条の規定の施行の日前である場合には、第4条のうち、組織的犯罪処罰法第2条第2項第1号イの改正規定中「別表第一第1号、第2号若しくは第4号から第6号まで」を「別表第一(第3号を除く。)」とあるのは「、第4号若しくは第5号」を「若しくは第4号から第9号まで」とし、組織的犯罪処罰法別表第一第4号ニ中「ト」を「ル」に改め、同号ト中「ヘ」を「ヌ」に改め、同号中トをルとし、ヘをヌとし、ホをヘとし、ヘの次にト、チ及びリを加える改正規定中「別表第一第4号ニ中「ト」を「ル」に改め、同号ト中「ヘ」を「ヌ」に改め、同号中トをルとし、」とあるのは「別表第一第4号ニ中「ヘ」を「ヌ」に改め、同号ヘ中「ホ」を「リ」に改め、同号中」とし、組織的犯罪処罰法別表第一中第6号を第10号とし、第5号を第6号とし、同号の次に三号を加える改正規定中「第6号を第10号とし、第5号」とあるのは「第5号」とする。

     前項の場合において、旅券法及び組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律第2条のうち、組織的犯罪処罰法第2条第2項第1号イの改正規定中「、第4号若しくは第5号」を「若しくは第4号から第6号まで」とあるのは「別表第一第1号、第2号若しくは第4号から第9号まで」を「別表第一(第3号を除く。)」とし、組織的犯罪処罰法別表第一第4号ニ中「ヘ」を「ト」に改め、同号ヘ中「ホ」を「ヘ」に改め、同号中ヘをトとし、ホの次にヘを加える改正規定中「別表第一第4号ニ中「ヘ」を「ト」に改め、同号ヘ中「ホ」を「ヘ」に改め、同号中ヘをトとし、ホ」とあるのは「別表第一第4号ニ中「ヌ」を「ル」に改め、同号ヌ中「リ」を「ヌ」に改め、同号中ヌをルとし、リ」とし、「ヘ 旅券法」とあるのは「ヌ 旅券法」とし、組織的犯罪処罰法別表第一に一号を加える改正規定中「六 旅券法」とあるのは「十 旅券法」とする。


    (罰則に関する経過措置)

    第10条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

    附 則(平成18年5月8日法律第36号)
    (施行期日)

    第1条 この法律は、公布の日から起算して20日を経過した日から施行する。

    附 則(平成19年5月23日法律第54号)
    (施行期日)

    第1条 この法律は、公布の日から起算して20日を経過した日から施行する。ただし、附則第3条の規定は、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成19年法律第95号)の施行の日又はこの法律の施行の日のいずれか遅い日から施行する。

    附 則(平成19年5月30日法律第60号)
    (施行期日)

    第1条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

    一・二 略

     第2条及び第3条(検察審査会法第8条の改正規定に限る。)の規定 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の施行の日

    附 則(平成19年6月27日法律第95号)
    (施行期日)

    第1条 この法律は、公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、それぞれ当該各号に定める日から施行する。

     第1条(刑事訴訟法第292条の2の改正規定に限る。)並びに次条及び附則第6条(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成16年法律第63号)第58条の改正規定に限る。)の規定 公布の日から起算して20日を経過した日

     第1条(刑事訴訟法第290条の次に一条を加える改正規定、同法第291条第1項の次に一項を加える改正規定、同法第291条の2及び第295条の改正規定、同法第299条の2の次に一条を加える改正規定並びに同法第305条、第316条の23、第321条の2第2項及び第350条の8の改正規定に限る。)及び第3条の規定 公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日


    (調整規定)

    第2条 前条第1号に掲げる規定の施行の日から同条第2号に掲げる規定の施行の日の前日までの間における第1条の規定による改正後の刑事訴訟法第292条の2の規定の適用については、同条第1項中「被害者等」とあるのは、「被害者等(被害者又は被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹をいう。以下この条において同じ。)」とする。


    (経過措置)

    第3条 第1条の規定による改正後の刑事訴訟法第316条の5第11号、第316条の11(第316条の5第11号に係る部分に限る。)及び第2編第3章第3節の規定は、この法律の施行の際現に係属している刑事被告事件については、適用しない。この法律の施行の日前判決が確定した刑事被告事件であってこの法律の施行の日以後再審開始の決定が確定したものについても、同様とする。


    (検討等)

    第9条 政府は、この法律の施行後3年を経過した場合において、この法律による改正後の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。


    第10条 政府は、被害者参加人(第1条の規定による改正後の刑事訴訟法第316条の33第3項に規定する被害者参加人をいう。以下同じ。)の委託を受けた弁護士の役割の重要性にかんがみ、資力の乏しい被害者参加人も弁護士の法的援助を受けられるようにするため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

    附 則(平成20年6月18日法律第71号)
    (施行期日)

     この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

    附 則(平成21年7月1日法律第66号)
    (施行期日)

    第1条 この法律は、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

    附 則(平成22年4月27日法律第26号)
    (施行期日)

    第1条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第2条中刑事訴訟法第499条の改正規定並びに附則第4条及び第5条の規定は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。


    (経過措置)

    第3条 第2条の規定による改正後の刑事訴訟法(次項において「新法」という。)第250条の規定は、この法律の施行の際既にその公訴の時効が完成している罪については、適用しない。

     新法第250条第1項の規定は、刑法等の一部を改正する法律(平成16年法律第156号)附則第3条第2項の規定にかかわらず、同法の施行前に犯した人を死亡させた罪であって禁錮以上の刑に当たるもので、この法律の施行の際その公訴の時効が完成していないものについても、適用する。

    附 則(平成23年6月3日法律第61号)
    (施行期日)

    第1条 この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日(以下「施行日」という。)から施行する。

    附 則(平成23年6月24日法律第74号)
    (施行期日)

    第1条 この法律は、公布の日から起算して20日を経過した日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

     第2条の規定、第3条中組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下「組織的犯罪処罰法」という。)第71条第1項の改正規定、第4条及び第5条の規定並びに附則第10条から第12条まで及び第16条の規定 公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日


    (経過措置)

    第6条 附則第1条第1号に掲げる規定の施行の日の前日までの間における刑事訴訟法第157条の4第2項の規定の適用については、同項中「以下同じ」とあるのは、「第316条の14第2号を除き、以下同じ」とする。


    第8条 施行日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

    附 則(平成25年6月19日法律第49号)
    (施行期日)

    第1条 この法律は、公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

    附 則(平成25年11月27日法律第86号)
    (施行期日)

    第1条 この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。


    (罰則の適用等に関する経過措置)

    第14条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

    附 則(平成26年6月25日法律第79号)
    (施行期日等)

    第1条 この法律は、公布の日から起算して20日を経過した日から施行する。

    附 則(平成28年6月3日法律第54号)
    (施行期日)

    第1条 この法律は、公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

     附則第9条第3項の規定 公布の日

     第1条(刑事訴訟法第90条、第151条及び第161条の改正規定に限る。)、第3条、第5条及び第8条の規定並びに附則第3条及び第5条の規定 公布の日から起算して20日を経過した日

     第1条(前号に掲げる改正規定を除く。)及び第6条の規定並びに次条並びに附則第4条、第6条、第8条、第10条、第11条(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成16年法律第63号)第64条第1項の表第43条第4項、第69条、第76条第2項、第85条、第108条第3項、第125条第1項、第163条第1項、第169条、第278条の2第2項、第297条第2項、第316条の11の項及び第65条第4項の改正規定に限る。)及び第12条から第15条までの規定 公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日

     第2条(刑事訴訟法第301条の次に一条を加える改正規定を除く。)及び第4条の規定並びに附則第7条及び第11条(前号に掲げる改正規定を除く。)の規定 公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日


    (第1条の規定による刑事訴訟法の一部改正に伴う経過措置)

    第2条 裁判所は、前条第3号に掲げる規定の施行の際現に勾引状により留置されている被告人に対し、速やかに、第1条の規定による改正後の刑事訴訟法(以下「第1条による改正後の法」という。)第76条第2項に規定する事項を教示しなければならない。ただし、被告人に弁護人があるとき又は被告人が釈放されたときは、この限りでない。

     裁判所は、前条第3号に掲げる規定の施行の際現に勾留されている被告人(次項に規定する被告人を除く。)に対し、速やかに、第1条による改正後の法第77条第2項に規定する事項を教示しなければならない。ただし、被告人に弁護人があるとき又は被告人が釈放されたときは、この限りでない。

     裁判所は、前条第3号に掲げる規定の施行の際現に勾留されている被告人(逮捕又は勾引に引き続き勾留されている者に限る。)に対し、速やかに、第1条による改正後の法第77条第1項に規定する事項を告げるとともに、同条第2項に規定する事項を教示しなければならない。ただし、被告人に弁護人があるとき又は被告人が釈放されたときは、この限りでない。

     第1条による改正後の法第76条第3項及び第4項の規定は前条第3号に掲げる規定の施行の際現に勾引状により留置されている被告人に対する第1項の規定による教示について、第1条による改正後の法第76条第3項の規定は同号に掲げる規定の施行の際現に勾留されている被告人に対する第2項の規定による教示並びに前項の規定による告知及び教示について、それぞれ準用する。


    第3条 裁判所は、附則第1条第3号に掲げる規定の施行の日(以下「第3号施行日」という。)前においても、勾引された被告人に対し、弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示することができる。この場合においては、第1条の規定による改正前の刑事訴訟法(以下「第1条による改正前の法」という。)第76条第2項及び第3項の規定を準用する。

     前項の規定による教示をされた被告人については、当該事件について重ねて前条第1項の規定による教示をすることを要しない。

     裁判所は、第3号施行日前においても、第1条による改正前の法第61条本文の規定により被告事件を告げられる被告人(勾引に引き続き同条本文の規定により被告事件を告げられる被告人を除く。)又は勾留されている被告人(逮捕又は勾引に引き続き勾留されている被告人を除く。)に対し、弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示することができる。この場合においては、第1条による改正前の法第76条第2項の規定を準用する。

     前項の規定による教示をされた被告人については、当該事件について重ねて前条第2項の規定による教示をすることを要しない。

     裁判官は逮捕に引き続き第1条による改正前の法第280条第2項の規定により被告事件を告げられる被告人に対し、裁判所は勾引に引き続き第1条による改正前の法第61条本文の規定により被告事件を告げられる被告人又は勾留されている被告人(逮捕又は勾引に引き続き勾留されている者に限る。)に対し、それぞれ、第3号施行日前においても、第1条による改正前の法第77条第1項に規定する事項を告げるとともに、弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示することができる。この場合においては、第1条による改正前の法第76条第2項の規定を準用する。

     前項の規定による告知及び教示をされた被告人については、当該事件について重ねて前条第3項の規定による告知及び教示をすることを要しない。


    第4条 司法警察員は、附則第1条第3号に掲げる規定の施行の際現に逮捕されている被疑者(第3号施行日前に検察官に送致する手続をした者を除く。)に対し、速やかに、第1条による改正後の法第203条第3項に規定する事項を教示しなければならない。ただし、被疑者に弁護人があるとき又は被疑者が釈放されたときは、この限りでない。

     検察官は、附則第1条第3号に掲げる規定の施行の際現に逮捕されている被疑者(前項に規定する被疑者を除く。)に対し、速やかに、第1条による改正後の法第204条第2項に規定する事項を教示しなければならない。ただし、被疑者に弁護人があるとき又は被疑者が釈放されたときは、この限りでない。

     検察官は、附則第1条第3号に掲げる規定の施行の際現に第1条による改正後の法第37条の2第1項に規定する事件について勾留されている被疑者に対し、速やかに、弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示しなければならない。ただし、被疑者に弁護人があるとき又は被疑者が釈放されたときは、この限りでない。

     検察官は、附則第1条第3号に掲げる規定の施行の際現に勾留されている被疑者(前項に規定する被疑者を除く。)に対し、速やかに、弁護人を選任することができる旨を告げるとともに、弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示しなければならない。ただし、被疑者に弁護人があるとき又は被疑者が釈放されたときは、この限りでない。


    第5条 検察官又は司法警察員は、第3号施行日前においても、逮捕されている被疑者に対し、弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示することができる。

     前項の規定による教示をされた被疑者については、当該事件について重ねて前条第1項又は第2項の規定による教示をすることを要しない。

     検察官は、第3号施行日前においても、第1条による改正前の法第37条の2第1項に規定する事件について勾留されている被疑者に対し、弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示することができる。

     前項の規定による教示をされた被疑者については、当該事件について重ねて前条第3項及び附則第2条第2項の規定による教示をすることを要しない。

     検察官は、第3号施行日前においても、勾留されている被疑者(第3項に規定する被疑者を除く。)に対し、弁護人を選任することができる旨を告げるとともに、弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示することができる。

     前項の規定による告知及び教示をされた被疑者については、当該事件について重ねて前条第4項の規定による告知及び教示並びに附則第2条第2項の規定による教示をすることを要しない。


    第6条 第1条による改正後の法第350条の12の規定は、第3号施行日以後に第1条による改正後の法第350条の2第2項の同意があった事件について適用する。


    (第2条の規定による刑事訴訟法の一部改正に伴う経過措置)

    第7条 司法警察員は、附則第1条第4号に掲げる規定の施行の際現に第2条の規定による改正前の刑事訴訟法(以下「第2条による改正前の法」という。)第37条の2第1項に規定する事件以外の事件について逮捕されている被疑者(同号に掲げる規定の施行の日(以下「第4号施行日」という。)前に検察官に送致する手続をした者を除く。)に対し、速やかに、第2条の規定による改正後の刑事訴訟法(以下この条において「第2条による改正後の法」という。)第203条第4項に規定する事項を教示しなければならない。ただし、被疑者に弁護人があるとき又は被疑者が釈放されたときは、この限りでない。

     検察官は、附則第1条第4号に掲げる規定の施行の際現に第2条による改正前の法第37条の2第1項に規定する事件以外の事件について逮捕されている被疑者(前項及び次項に規定する被疑者並びに第2条による改正前の法第205条第5項において準用する第2条による改正前の法第204条第3項の規定による教示をされた被疑者を除く。)に対し、速やかに、第2条による改正後の法第204条第3項に規定する事項を教示しなければならない。ただし、被疑者に弁護人があるとき又は被疑者が釈放されたときは、この限りでない。

     検察官は、附則第1条第4号に掲げる規定の施行の際現に第2条による改正前の法第37条の2第1項に規定する事件以外の事件について勾留状が発せられている被疑者に対し、速やかに、貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは裁判官に対して弁護人の選任を請求することができる旨並びに裁判官に対して弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨及びその資力が基準額以上であるときは、あらかじめ、弁護士会(第2条による改正後の法第37条の3第2項の規定により第2条による改正後の法第31条の2第1項の申出をすべき弁護士会をいう。次条第1項において同じ。)に弁護人の選任の申出をしていなければならない旨を教示しなければならない。ただし、被疑者に弁護人があるとき又は被疑者が釈放されたときは、この限りでない。


    第8条 検察官又は司法警察員は、第4号施行日前においても、第2条による改正前の法第37条の2第1項に規定する事件以外の事件について逮捕され、又は勾留状が発せられている被疑者に対し、第4号施行日を告げ、第4号施行日以後、勾留を請求され、又は勾留状が発せられている被疑者が貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは裁判官に対して弁護人の選任を請求することができる旨並びに裁判官に対して弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨及びその資力が基準額以上であるときは、あらかじめ、弁護士会に弁護人の選任の申出をしていなければならない旨を教示することができる。

     前項の規定による教示をされた被疑者については、当該事件について重ねて前条の規定による教示をすることを要しない。


    (検討)

    第9条 政府は、取調べの録音・録画等(取調べにおける被疑者の供述及びその状況を録音及び録画の方法により記録媒体に記録し、並びにこれを立証の用に供することをいう。以下この条において同じ。)が、被疑者の供述の任意性その他の事項についての的確な立証を担保するものであるとともに、取調べの適正な実施に資することを踏まえ、この法律の施行後3年を経過した場合において、取調べの録音・録画等の実施状況を勘案し、取調べの録音・録画等に伴って捜査上の支障その他の弊害が生じる場合があること等に留意しつつ、取調べの録音・録画等に関する制度の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

     前項に定めるもののほか、政府は、この法律の施行後3年を経過した場合において、この法律による改正後の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

     政府は、この法律の公布後、必要に応じ、速やかに、再審請求審における証拠の開示、起訴状等における被害者の氏名の秘匿に係る措置、証人等の刑事手続外における保護に係る措置等について検討を行うものとする。


    (調整規定)

    第15条 第3号施行日が刑法等の一部を改正する法律の施行の日以後となる場合には、前条の規定は、適用しない。

    附 則(平成29年6月21日法律第67号)
    (施行期日)

    第1条 この法律は、公布の日から起算して20日を経過した日から施行する。


    (検討)

    第12条 政府は、刑事訴訟法等の一部を改正する法律附則第9条第1項の規定により同項に規定する取調べの録音・録画等に関する制度の在り方について検討を行うに当たっては、新組織的犯罪処罰法第6条の2第1項及び第2項の規定の適用状況並びにこれらの規定の罪に係る事件の捜査及び公判の状況等を踏まえ、特に、当該罪に係る事件における証拠の収集の方法として刑事訴訟法第198条第1項の規定による取調べが重要な意義を有するとの指摘があることにも留意して、可及的速やかに、当該罪に係る事件に関する当該制度の在り方について検討を加えるものとする。

     政府は、新組織的犯罪処罰法第6条の2第1項及び第2項の罪に係る事件の捜査に全地球測位システムに係る端末を車両に取り付けて位置情報を検索し把握する方法を用いることが、事案の真相を明らかにするための証拠の収集に資するものである一方、最高裁判所平成28年(あ)第442号同29年3月15日大法廷判決において、当該方法を用いた捜査が、刑事訴訟法上、特別の根拠規定がある場合でなければ許容されない強制の処分に当たり、当該方法を用いた捜査が今後も広く用いられ得る有力な捜査方法であるとすれば、これを行うに当たっては立法措置が講ぜられることが望ましい旨が指摘されていることを踏まえ、この法律の施行後速やかに、当該方法を用いた捜査を行うための制度の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

    附 則(平成29年6月23日法律第72号)
    (施行期日)

    第1条 この法律は、公布の日から起算して20日を経過した日から施行する。


    (刑事訴訟法の一部改正に伴う経過措置)

    第5条 附則第2条第1項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における旧法第178条の2の罪若しくはその未遂罪、旧法第181条第3項の罪又は旧法第241条前段の罪若しくはその未遂罪の被害者は、この法律の施行の日から刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成28年法律第54号。以下この項において「刑事訴訟法等一部改正法」という。)附則第1条第4号に掲げる規定の施行の日(以下この項において「第4号施行日」という。)の前日までの間は、前条の規定による改正後の刑事訴訟法(次項において「新刑事訴訟法」という。)第157条の4第1項の規定の適用については同項第1号に掲げる者とみなし、第4号施行日以後は、刑事訴訟法等一部改正法第2条の規定による改正後の刑事訴訟法第157条の6第1項の規定の適用については同項第1号に掲げる者とみなす。

     附則第2条第1項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における旧法第178条の2の罪若しくはその未遂罪、旧法第181条第3項の罪又は旧法第241条の罪若しくはその未遂罪に係る事件は、新刑事訴訟法第290条の2第1項の規定の適用については同項第1号に掲げる事件とみなす。


    (検討)

    第9条 政府は、この法律の施行後3年を目途として、性犯罪における被害の実情、この法律による改正後の規定の施行の状況等を勘案し、性犯罪に係る事案の実態に即した対処を行うための施策の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。